川 ゚ -゚) 約束を抱いて眠るようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
おらっしゃああああああああ!!!!!!!1
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:21:48.84 ID:ppV38aT5O
>>1代理ありがとうございます
2話目投下いたします

ありがたきまとめ花束さん
http://bouquet.u-abel.net/promise/mokuji.html
発見した時漏らしそうなくらい吃驚しました、本当にうれしい
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:22:24.15 ID:aXizkPsE0
そして支援だ
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:22:44.09 ID:ppV38aT5O

約束―――。


笑いながら、確かにそう言っていた。


約束を果たす為に、気づくべきだったのかも知れない。


だが、思い出せない。


私は、誰と約束したのだ?


何の、約束をしたのだ―――?
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:24:05.70 ID:ppV38aT5O





川 ゚ -゚) 約束を抱いて眠るようです




6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:24:26.28 ID:aXizkPsE0
支援
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:24:31.01 ID:2ugtZh3O0
支援
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:24:35.72 ID:7zEVnDe8O
しえん
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:26:11.42 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚) 「………」

ゆっくりと次のページを捲ると、少し大きめに"二日目"とだけ書いていた。
見逃したのか意図的なのか、"一日目"は書いてなかった気がするが、それはまぁいいだろう。

川 ゚ -゚) 「ふむ…」

少しずつ日は傾いて来ていて、先ほどまで白く光っていたハズの森は真っ赤に燃えるかの様だった。
時間は、確実に進んでいる。
そしてその結果が今だ。

川 ゚ -゚) 「その結果が、記憶喪失か…碌なものじゃないな」

それも本にまとめられていて、自分を見つける為に今こうして読まれている。
とんでもなく悪趣味な話だ。
この著者は、喜劇でも悲劇でもない劇を、観客のいないステージで出演者をくるくると踊らせている。

酷い話だ、等と思うと、少し困った様な笑みが浮かんでしまった。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:26:29.71 ID:aXizkPsE0
支援
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:28:23.45 ID:bcCbqaT8O
支援
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:28:23.94 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚) 「とにかく、続きを読まなきゃな」

日が落ちる前に、読めるだけ読んでおこうと考え、また手を動かした。

――――――――――――――――――――――

(゚、゚トソン 「おはようございます」

川;゚ -゚) 「…おはよう」

王女が目を覚ますと、今にも衝突してしまいそうな程近い場所に顔がありました。

川 ゚ -゚) 「あぁ…誘拐紛いのことをされたんだったな……」

(゚、゚トソン 「冷静ですね、もう少し驚いてくださいよ」

川 ゚ -゚) 「驚いたらお前が喜ぶだろ」

(゚、゚トソン 「当然ですッ!」

川;゚ -゚) 「あぁあぁ、分かったから寝起きの耳元で叫ぶな」
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:29:05.17 ID:aXizkPsE0
支援
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:29:31.95 ID:ppV38aT5O
ゆったりとした動きで体を起こし、髪を掻き上げる寝間着の王女。

少し平たい胸を張り、それを見下ろしている魔女はエプロン姿。

川う -゚) 「なんだ、料理でも作ってたのか?」

目をこすりながら疑問をぶつけると、魔女は一度だけ頷きます。

(゚、゚トソン 「朝ご飯は大切ですからね」

それを聞いて、昨日の魔女の発言を思い出した王女は気持ちが萎えてしまいました。

今日からカレーにまみれるのか等と考えながらも、重い動きでベッドから降り、伸びを一つ。

川 ゚ -゚) 「背に腹は代えられん、カレーにまみれるか」

(゚、゚トソン 「あー、それですが」
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:30:56.42 ID:aXizkPsE0
支援
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:31:15.94 ID:ppV38aT5O
扉を開けて部屋を出てみれば、食卓には黄金色に焼けたトーストの乗った皿があるのが見えるではありませんか。

(゚、゚トソン 「貴女がいる間くらいは三食カレーは止めとこうかと」

川*゚ -゚) 「おぉ…おぉ……ッ」

顔を綻ばせ、溢れんばかりの感動を抑えきれず、つい拳を握ってしまう王女。

少しだけ残念な気持ちになった、しかしそれも王女を見て微笑ましくなった魔女は、どっちとも取れる苦笑いを浮かべます。

(゚、゚トソン 「そんなに嫌でしたか?カレー」

川*゚ -゚) 「バッカ、カレーは好きだけど三食なんて耐えられるか」

そう言って食卓についた王女は、バターの入った容器を片手に笑うのでした。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:32:27.35 ID:ppV38aT5O
さて、朝も早くから城の会議室では既に数名が難しい顔をしています。

昨日の魔女の来訪、そして王女の誘拐があったばかりでは、仕方のない話ですが。

( ・∀・) 「紹介しよう。英雄と呼ばれた男、ギコだ」

(,,゚Д゚) 「ギコです。見知った顔が多いとは言え、初対面の方もいらっしゃいますね…どうぞよろしくお願いします」

一礼したその顔は、昨日の様にギラついた目つきでも、和やかな顔でもなく、真剣そのもの。

キッチリとした服を着て、背筋をピンと伸ばした姿は、見る者に逞しい印象を与えます。
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:32:40.29 ID:aXizkPsE0
支援
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:33:28.83 ID:2ugtZh3OI
支援
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:33:48.97 ID:ppV38aT5O
( ´_ゝ`) 「お前そんなに堅苦しいヤツだったっけ?」

(´<_` ) 「兄者、場を弁えろ。国王を交えての会議だぞ」

砕けた口調とそれを制す同じ顔をした二人の男。

( ・∀・) 「いい、気にするな。兄者とギコは知った間柄だ」

(-@∀@) 「お久しぶりですね、ギコさん。また我々の元に来てくれたことを感謝します」

少し年老いた王様とメガネを掛けた童顔の男。

(,,゚Д゚) 「お気になさらないでください。今回は状況が状況な上に、これを切欠にまた復縁が出来るのですから」

( ´_ゝ`) 「すまなかったな、友人として何も出来なくて…」

(,,゚Д゚) 「蒸し返すな。それに、国の為であったのだから仕方のないことだ」

優しくなだめる様に英雄は諭します。

(´<_` ) 「兄者の友人だと言うのなら、構わないだろう。俺が弟者だ、よろしく」

落ち着いた方の片方が、英雄へと手を差し出します。

(,,゚Д゚) 「流石に双子なだけあって似てるな…よろしく」

英雄はそれに応え、その手を固く握ります。
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:35:21.33 ID:ppV38aT5O
( ・∀・) 「さて、挨拶もいいがそろそろ始めようか…アサピー」

(-@∀@) 「はい」

メガネを掛けた男がテーブルの上に地図を広げます。

(-@∀@) 「ご覧の通り、ここら一帯の地図です」

地図上の城と森の中に赤い円を書き、その間を線で繋ぎます。

(-@∀@) 「彼女、魔女トソンの住処はこの森。幸い城からの距離はたいしたものではありません」

(,,゚Д゚) 「ふむ…」

(-@∀@) 「まぁ数名程度で行くのですから、馬で二時間も駆けずに着くでしょう」

(-@∀@) 「問題は森です。自然に生まれた魔力が覆っているので、多少でも魔力を持つ者がいなければ遭難しますね」

( ・∀・) 「その点も踏まえてメンバーを決めねばな」
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:35:53.00 ID:aXizkPsE0
支援
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:36:26.35 ID:ppV38aT5O
(-@∀@) 「はい、まぁ私か弟者君が妥当でしょう」

淡々と、淡々と、アサピーは説明していきます。

王様の右腕として生きた秘書官は、その頭を最大まで回転させて、会議を進めていきます。

魔女を討ち、王女を取り戻す。

ただそれだけが、全員を動かしていました。

そして会議が進み、時刻が昼に入る少し前。

(-@∀@) 「ここで少しまとめましょうか」

秘書官が紙の束を机で整えながら、深く息を吐くのと同時に提案しました。
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:36:52.55 ID:aXizkPsE0
支援
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:38:30.51 ID:ppV38aT5O
(-@∀@) 「まずメンバーがギコさんと弟者君の二人」

(-@∀@) 「森までは馬で行き、森からは徒歩。一応は来訪と言う形なので正午過ぎに出発」

(-@∀@) 「武力行使は最悪、最後の手段と言うことでお願いします」

(,,゚Д゚) 「分かりました」

(´<_` ) 「了解です」

(-@∀@) 「民の目に付かない様に裏から、見られても平気な様に軽装で」

( ・∀・) 「すまないな、私も行きたかったのだが…」

(,,゚Д゚) 「それはダメだ。国王は、民の為に国にいなければいけない」

その後も決まったことを説明するアサピーと、耳を傾ける会議室の面々。

(-@∀@) 「まぁ、とりあえずはこれで」

休憩、それだけ言うと各々が席を立ち始めます。

さて、国王様は王女様を取り戻せるのでしょうか――?
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:39:56.22 ID:ppV38aT5O
時間は少し巻き戻り、魔女の家。

朝食を終えた王女は与えられた部屋でのんびりしていました。

川 ゚ -゚) (父上達は今頃、会議なんぞをしているのだろうなぁ)

そんなことを思いながら魔女の淹れた紅茶をすすり、読んでいる本を捲り進めます。

川 ゚ -゚) 「そう言えば、トソンは何をしているのだろうか」

魔女の私生活等、おそらくは誰も知り得ない物。

それが今自らの手元にある事実に気づき、王女はほくそ笑みます。

一人で部屋にいても暇なこともあって、魔女と話そうと王女は部屋を出ました。
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:40:05.08 ID:aXizkPsE0
支援
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:42:04.93 ID:ppV38aT5O
〆(゚、゚トソン 「あら?」

部屋を出ればテーブルに本を幾つか開き、ペンを片手に何かを書いている魔女が。

川 ゚ -゚) 「何をしているのだ?」

〆(゚、゚トソン 「お仕事ですよ、魔術書を少し書き進めている最中です」

川 ゚ -゚) 「ふーん」

本の中身を覗くこともなく、王女は向かいのイスに腰を掛けました。

川 ゚ -゚) 「みーんな仕事仕事仕事、だ」

城でもどこでも、それは変わらないのかと王女は溜め息を吐きます。
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:43:42.63 ID:aXizkPsE0
支援
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:44:07.64 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚) 「その割に私には王女の仕事なんか回してくれない」

〆(゚、゚トソン (そもそも王女の仕事なんて、あるんでしょうか……)

川 ゚ー゚) 「只いるだけの置物王女、私は一体何なのだろうな」

自嘲気味に笑い、魔女へ問い掛ける王女。

〆(゚、゚トソン 「愚痴ですか?」

川 ゚ -゚) 「いいや、世間話さ」

(゚、゚トソン 「では、世間話程度に答えますね」

一度ペンを置き、改めて王女に向かい合って魔女は答えます。

(゚、゚トソン 「それが、王女の仕事ですよ」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:45:21.45 ID:ppV38aT5O
(゚、゚トソン 「"生きてること"、王女としての仕事の本質はこれだと思います」

貴女は民の希望ですよ、と付け加えると、またペンを持ち何かを書き始めます。

川 ゚ -゚) 「それは王女としてではない、人としての仕事だ」

〆(゚、゚トソン 「いえ、人は職ではないので仕事等はありませんよ」

川 ゚ -゚) 「お前は、難しいことを言うな」

〆(゚、゚トソン 「至極簡単なことだと思うのですが…」
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:46:18.55 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚) 「皆が皆、国の為にがんばっているのに、私だけ生きているだけ。それが仕事だと」

それが如何に寂しいか考えてみろ、そう俯いて言いました。

〆(゚、゚トソン 「ならば、自分から変えなければ」

一段落着いたのか、長い息を吐いて顔をこすると、満面の笑みを浮かべます。



(^ー^*トソン 「貴女は王女である以前にクーと言う一人の人なのですよ」
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:46:23.15 ID:aXizkPsE0
この魔女は風評の割りに常識人だから困る
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:47:56.71 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚) 「お前の笑顔キモイな」

(゚、゚トソン 「固まって本当の置物になりたいのですか?」

川 ゚ -゚) 「私を超リアルラブドールにするつもりか?」

(゚、゚*トソン (ヤッベェちょっと欲しい)

言い知れない悪寒を感じながらもお礼を一つ告げる王女。
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:49:24.19 ID:aXizkPsE0
やだこの魔女きもい
前言撤回したい
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:49:24.55 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚) (何で笑ったんだろう)

一つの疑問は口に出さず、代わりに、よしと気合いの一言を発して、勢いよく王女は立ち上がりました。

川 ゚ -゚) 「昼飯くらいは、私が作ってやろうかな」

(゚、゚トソン 「……料理なんて出来るのですか…?」

川 ゚ー゚) 「大丈夫だ。いろいろな料理を食べて舌は肥えているハズだ」

(゚、゚;トソン 「……」

不安しか得られない言葉を受け固まった魔女は、台所へ向かう王女を止められずに溜め息を吐き、またペンを手に取りました。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:51:14.29 ID:ppV38aT5O
――――――――――――――――――――――


何だろうか、この気持ちは。
何故か顔が綻ぶ様な暖かい気持ちは、鳴り止まない頭の警報等を気にならなくさせる。


何だろうか、この気持ちは。
何故か胸が苦しくなる様な冷たい気持ちは、綻ぶ顔を固まらせる。


何だろうか、この――この――


川 ; -;)


この頬を伝っている雫は、何だろうか―――。
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:51:38.66 ID:aXizkPsE0
支援
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:52:19.92 ID:ppV38aT5O
もしかすると、"幸せ"と呼ぶに値する時間だったのか。
誘拐されて、その犯人と過ごした時間が、掛け替えのない時間だったのか。

雫はぽたぽたと落ち、ページに黒い斑点を着けていく。

何も知らなければ、この暖かい気持ちに気づけなかったことを後悔するのだろう。
何も知らなければ、この冷たい気持ちに気づかなかったことを安堵するのだろう。

知ってしまった今は、よく分からない。
だから私は、ページを捲る。
だから私は、"私"に還ろうとする―――。

既に日は落ち、空に空いた穴から降り注ぐ光だけが灯りとなって、私と"私"を照らしていた。
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:53:41.29 ID:aXizkPsE0
支援
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:53:44.17 ID:ppV38aT5O
――――――――――――――――――――――

川 ゚ -゚) 「召し上がれ」

(゚、゚トソン 「おや……?これは…」魔女の前へ出てきたのは、意外にも食べられそうなふわふわとした黄色い半月。

割って見ればそこから見える真っ赤に染められた米と―――

( 、 ;トソン 「!?」



生命の危機を感じさせる匂い。

見た目に騙された魔女は、思わぬカウンターパンチをモロに喰らってしまいました。
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:54:52.13 ID:2ugtZh3O0
支援
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:55:13.68 ID:aXizkPsE0
支援
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:56:07.14 ID:ppV38aT5O
( 、 ;トソン 「何ですか…この、むせかえる様な匂いは……」

顔をしかめながらもう一度綺麗な見た目を確認すると、信じられないと漏らします。

川 ゚ -゚) 「む、只のオムライスではないか。失礼な」

(゚、゚;トソン 「見た目は認めます、これはオムライスです」

川*゚ー゚) 「だろうだろう?そうだオムライスだ、さぁ食え」

純粋に食べた後の反応を楽しみにしている王女は、朝と同じ様に魔女の向かいのイスに座ります。
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:56:50.67 ID:aXizkPsE0
何が入っているというんだ…
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:57:33.34 ID:ppV38aT5O
(゚、゚;トソン 「いやいやいや!何ですかこの刺激臭!まさか棚にあった劇薬なんか使っていませんよねッ!?」

嬉しそうな王女の顔を見て胸を痛めながら、拒否権を発動させます。

川;゚ -゚) 「そんなことするか!」

二人で喚き合い、テーブルを挟んで口を用いた戦争が勃発しました。

しばらく続いた後に、髪を乱した魔女は観念した様にスプーンを手に。

(゚、゚#トソン 「食べますともッ!えぇ食べてやりますともッ!!」

川#゚ -゚) 「食えるもんなら食ってみやがれバーカッ!!」
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:58:58.77 ID:aXizkPsE0
>川#゚ -゚) 「食えるもんなら食ってみやがれバーカッ!!」

あれれ〜?
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 01:59:28.86 ID:ppV38aT5O
興奮のあまり王女、魔女共々に勢いだけの会話になっていて、既に何を言っているのかお互いに理解していません。

その勢いを殺さずに、寧ろ加速させて魔女はスプーンで真っ赤なご飯を掬うと一口。

(゚、゚#トソン

川#゚ -゚)

(゚、゚トソン

川;゚ -゚)

。`・;゚*,( 、 トソン ゴパァ

川;゚ -゚) 「!?」


吐き出しました。
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:00:44.77 ID:aXizkPsE0
オーゥ…
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:00:48.77 ID:ppV38aT5O
( ∩ ;トソン 「〜〜〜〜〜ッ!!」

川;゚ -゚) 「おい!大丈夫かッ!?おいッ!!」

口に手を当てのた打ち回る魔女を見て焦る王女が水を差し出すと、魔女はそれを奪い取り一気に飲み干しました。

ゼイゼイとした呼吸を唾を飲み込み落ち着かせると、目に涙を浮かべながら王女を睨みつけました。

(;、;#トソン 「 ガ ラ゙ イ゙ っ゙ !!」

川;゚ -゚) 「玉子と一緒に食わんからだ!!」
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:02:12.73 ID:ppV38aT5O
王女曰わく、タバスコで炒めたチキンライスと多量の砂糖を絡めて焼いた玉子を一緒に食べるそうです。

論より証拠、百聞は一見に如かず。

如何に説明をされても分からない魔女は、試しに言われた方法で食べてみました。

"(゚、゚トソン モグモグ

川 ゚ -゚) 「どうだ?」

(゚、゚トソン 「この世界を粉々にしてしまいたい衝動に駆られるくらいには不味い」

川 ゚ -゚) 「よぅし表に出ろ」

(゚、゚トソン 「私は出られても貴女は結界で出られませんよ。まぁ食材がもったいないので食べますが」

川 ゚ -゚) 「そうだ、食え食え」
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:02:41.35 ID:47ixRx+V0
支援
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:03:13.68 ID:2ugtZh3O0
説明文だけで既にまずそうw
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:03:40.43 ID:aXizkPsE0
ひどい料理だ…
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:04:14.78 ID:ppV38aT5O
自分の分の"見た目だけオムライス"をほうばり、更に言葉に付け加えようとしましたが、王女は口を閉ざしました。

川 ゚ -゚) 「……」

(゚、゚トソン 「? どうしました?」

川 ゚ -゚) 「いや……なぁ、トソン」

(゚、゚トソン 「何でしょう」

川 ゚ -゚) 「私は、父上が来るのなら、城へ帰れると思っている」

(゚、゚トソン

急に真面目な雰囲気で話し始めた王女。

先程までふざけていた魔女も雰囲気を察し、それに応えようとします。
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:04:39.81 ID:aXizkPsE0
支援
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:06:38.24 ID:ppV38aT5O
川 ゚ -゚) 「親子だからな、当然だ。お前の言っていた様に言えば、"子が親を想う力"と言うものだな」

川 ゚ -゚) 「だが、私は来て欲しくない。自分をお前に捧げることで、漸く国の為になれたのだから」

置物王女、何度か自分のことをそう言っていました。

しかしだ、と手にした水を一口飲むと、俯く王女。

川  - ) 「何て言えばいいのだろうな。自分から望んでここへ来たハズが、先を見れば城へ帰ることになっている」

私は、何を望んでいるのだ――?
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:07:40.74 ID:aXizkPsE0
支援
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:10:55.34 ID:ppV38aT5O
王女が吐く様に発した言葉を、魔女は何も言わずに聞き止めます。

二人の間に流れる沈黙、お互いに言葉を探しているかの様に俯いています。

しばらく黙った後に、魔女は顔を上げました。

そして王女の頭に手を乗せて、こう言いました。

(゚、゚トソン 「……私にハッキリとしたことは言えませんが、王女様」

やはり想う力と言うのは強大なものなのですよ。

そうして顔を上げた時に王女が見た、困った様に笑った魔女の顔はやけに寂しげに見えました。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:11:22.15 ID:aXizkPsE0
支援
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:11:24.19 ID:2ugtZh3O0
支援
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:12:05.32 ID:ppV38aT5O
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

いいぞいいぞいいぞいいぞ。

計画した通りに事は進んでいる。

厄介だった者がいっぺんに消せる。

揃いも揃って邪魔だ、糞共め。

だが、終わりだ。

明日になれば、全て終わるんだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:13:01.32 ID:aXizkPsE0
だれだ
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:14:49.87 ID:ppV38aT5O
――――――――――――――――――――――

突如現れた、明らかにおかしなページ。
一枚だけ、グシャグシャに黒で塗り潰されたページ。

そこに浮かび上がっていた奇妙な文。

まるで誰かの頭を覗き込んだ様な、文。

ドロドロとした何かが頭へ流れ込んでくる。

そして、それは頭痛を更に激しいものへと変えていく。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:16:01.26 ID:aXizkPsE0
しえ
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:16:22.58 ID:ppV38aT5O
川; - )

物語は、次第に加速して行く。
"私"と、魔女と、英雄と、城の者達と、誰か。

それらをグチャグチャに混ぜ、物語と言う形式を取り書かれている、私の記憶。

必然としか思えない様に発見された本。
偶然に発見された様に思えた違和感。
次第にそれはハッキリとした形へと変化し、全てが偶然とは思えないものとなってきた。

記憶を失くした私に、誰かが何かを知らせる為に記したであろう"これ"。
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:17:06.78 ID:aXizkPsE0
支援
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:19:28.56 ID:ppV38aT5O
何故か、自分は無事であった。

何故か、自分は魔女へ連れ去られた。

何故か、自分は記憶を失くしていた。

何故か、自分は知り得ない記憶を持たされた。

何故か、自分は誰かの思考を知り得てしまった。

何故だろうか。
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:19:47.01 ID:aXizkPsE0
支援
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:20:21.39 ID:ppV38aT5O
――――――――――――――――――――――

どのくらいの間でしょうか。

昼食を終え、魔女は仕事を再開し、王女は食器を片付けてから部屋へ戻り横になっていました。

先程から王女の頭の中を、同じことがぐるぐると回り続けています。

"国の為に自分を捧げた"

"おそらく父上か城の者が、ここへ来る"

"そうして私は城へ帰る"
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:20:55.36 ID:aXizkPsE0
支援
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:21:46.09 ID:2ugtZh3O0
支援
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:21:55.01 ID:ppV38aT5O
確信めいた何かを持っていた王女に浮かんだ、新たな疑問。

"私は城へ帰りたいのか?"

"国の為になれたのに?"

"もし魔女にやられてしまったら――?"

"いや、この短い間に確信したことがある"

"彼奴は、極悪非道でも、最低でもない"

"噂とは、尾鰭が付くものなのだ"
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:22:28.17 ID:aXizkPsE0
支援
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:24:38.82 ID:ppV38aT5O
"では、魔女の本当の狙いは?"

"何だ?"

"いや、本当の狙いがどうあれ、彼奴のしたことは既に国への反逆行為だろう。"

"そうしたらどうなる?"

"殺される?"

"魔女が?"



"嫌だ"

"嫌だ嫌だ嫌だ"
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:25:59.47 ID:ppV38aT5O
思考の渦と言うのは、なかなか厄介なものです。

飲み込まれた王女は、ひたすらに後ろ向きな思考の連鎖したものが王女を捕まえて放しません。

何とかしなければ、そう考えるも、何もいい案は出てきません。

川  - )



"〆(゚、゚トソン 「ならば、自分から変えなければ」"

思い出したのは、魔女の言葉。
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:26:10.12 ID:aXizkPsE0
これは…
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:27:18.94 ID:ppV38aT5O
王女は頭を振るい、両手で頬を張りました。

強く叩きすぎたからなのか、目から涙が滲んできます。

しかしその目は何かを秘めていて、キツく扉を睨み付けます。

川 ゚ -゚) 「お前の言う通りだ、トソン。自分から変えなければな」

川 ゚ -゚) 「私は、王女であるが、第一に、クーと言う人間だ」

そして―――

川 ゚ー゚) 「そしてお前は、極悪非道と言われている魔女だが、第一に、トソンと言う一人の人間だ」

変わる前に、お前のせいで少しずつ変えられているよ。

そうぼやきながら笑顔を浮かべ、王女は扉へと歩いて行きました。
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:28:09.38 ID:aXizkPsE0
どうなる
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:32:05.69 ID:ppV38aT5O
うらっしゃぁぁぁ!2話目って書いたけど2話目前編でした、すいません
最初はあんな変な思考の人いなかったのに…おかげで3話構成のつもりが増えました、変な思考の人め

たくさんの支援と代理ありがとうございます!
もしも何かございましたらどうぞ!まだしばらくは起きてますので!
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:33:40.65 ID:2ugtZh3O0
乙!
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:40:12.67 ID:47ixRx+V0
なかなか面白かった。乙!
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:41:28.28 ID:aXizkPsE0
乙!
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:51:19.91 ID:kFilWhnhO
続きが気になる、次はいつなんだー
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 02:58:54.54 ID:WgAVDL3n0
うんこ
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 03:04:30.78 ID:ppV38aT5O
乙ありがとうございます!乙です!
>>82>>84が嬉しいことを言ったから今日はサラダ記念日です

次は書き溜めが出来次第ですが、最近いろいろ追われてるので間があきそうです
目標は来週か再来週で
それを超えたら本の中身の書き方が書きづらいせいか追われてるせいです

>>85
何故途中に腹痛でトイレから投下してたとわかった…

それでは乙でした!おやすみなさい!
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 03:07:38.67 ID:kFilWhnhO
待ってるよ乙でした
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 04:56:23.20 ID:EKfdn0Au0
g
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 08:08:10.33 ID:NTG4nFN90
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 10:06:44.22 ID:7zEVnDe8O
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
乙!