1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理ですぞ
2 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:04:23.08 ID:wD779XtGO
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:04:24.02 ID:9z6i7xrm0
スレ立て魔氏ね
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:04:52.09 ID:jGlj+L8bO
スレ立て魔裟斗
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:05:37.05 ID:RN+G2BjU0
スレ立て魔氏ね
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:06:07.70 ID:pnzeXt6cO
スレ立て魔氏ね
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:06:09.88 ID:UvsCio4VO
スレ立て魔氏ね
おい、一個もまったりしてないぞ
起きろと、陛下の声がする。
どうやら眠っていたようだ。
少し気怠い。
馬車の小窓からは、紅い光りが差し込み、陛下の顔を照らしている。
降っていた雨は止んだようだ。
外には一年ぶりの故郷の景色が広がっている。
視線の先には麦穂が青々と茂っている。
刈り入れまでは、一月は先だろう。
馬車や人馬が行き交う石畳の高速道路には、農作業から帰る人夫。
交易に集まる商人。
夢を抱き、夢に破れた人々。
様々な人が、首都へ向かい、首都から去って行く。
人の移り変わりの激しい我が故郷は、それでも街の概要だけは変わらない。
ツンが小窓から、首を出して防壁が見えて来た事を僕達に伝える。
これから僕の旅は小休止に入る。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:09:01.47 ID:HRzfWc/eP
スレ立て魔氏ね
擦れた手間市ね
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:12:22.84 ID:NHBb3Gqd0
酢れたてましね
14 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:12:47.65 ID:wD779XtGO
−−ブーン・ホライズン−−
落ちこぼれの気ままな旅は、一度終わりを迎える。
ここからツンと共に再び旅立つまでの少しの間、憂鬱な日々を過ごす事になるだろう。
ため息を吐いて、気持ちを入れ替える。
めんどくさいと逃げ出してしまおうか?
後が怖くて出来ないけどね。
( ^ω^)は落ちこぼれのようです
−−第二章−−
第二話
期待してる
支援
16 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:16:59.66 ID:wD779XtGO
街の関門を通り抜け、首都へと入る。
僕達は一度、その場で別れた。
招致を受ける迄、実家で待機していろとの御達示だ。
我が故郷−−郷土史家の言では泡沫の夢と、一夜の憂鬱の街と言われるニュクス。
その言葉が示す様に、ニュクスは一年前と様変わりしていた。
流行り廃りが激しく、物流の時勢が変わり続けるせいか、知らないが、新しい店が多く見られた。
路上でおひねりを貰う芸人達の技も変わり、今は空中技を主体にした派手な演目が流行りを見せている。
その姿にツンは大聖堂を見た時と同じ、羨望の眼差しを向けていた。
君もおんなじ様な事をしてると思うのだが……。
17 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:22:09.80 ID:wD779XtGO
時間には余裕が無いように思える。
あの陛下の事だ。 今夜にでも呼び付けるつもりだろう。
( ^ω^)「ツン悪いけど、観光は後にするお」
ξ*゚听)ξ「べっ別にそんなのは良いから!」
( ^ω^)「はいはい」
後ろで抗議をしているツンを無視し、北にある城を中心とした一帯へと歩を進める。
貴族階級の邸宅が集まる住宅街だ。
ξ゚听)ξ「なんだか私達、場違いな雰囲気ねぇ」
大きな屋敷が建ち並ぶ、高貴な身分の邸宅街を見てツンは呟いていた。
派手な中心部と違い、この辺りは静かなものだ。
( ^ω^)「まぁ気障な人間が多いんだお」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:24:23.94 ID:DATH8qqX0
支援
19 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:26:51.57 ID:wD779XtGO
僕は皮肉を呟いて、我が家へと奥へ、奥へと嫌みたらしい街を歩き続けた。
街の北端に位置する鉄柵に囲まれた庭に着く、ここが僕の家の敷地である。
ξ゚听)ξ「……これ公園?」
( ^ω^)「いや? 僕の家だお」
ξ゚听)ξ「……」
ツンは言葉を失っていた。
さっ入るおと言い、屋敷の門を潜る。
ξ;゚听)ξ「うっうん……」
ツンは尻込みしながら、僕の後をついて来ていた。
敷地はキロ単位で広がり、薔薇のアーチが格子状に作り出した道を歩く。
きっとミセリの仕業だろう。
20 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:30:04.07 ID:wD779XtGO
去年来た時には、前衛的なオブジェが多数配置された不可思議な空間にされていたが、今回は案外普通だと思う。
( ^ω^)「おい……」
道をまっすぐ進むと、薔薇の蔦が道を塞いでいた。
ξ;゚听)ξ「なんで行き止まりが?」
( ^ω^)「妹の悪戯だお……」
ミセリがただの庭を作るとは思って無かったが、まさか迷路を作っているとはね。
ははっ……良い加減にしろ。
( ゚ω゚)「あぁ! もう焼き払いてぇ!」
何度も行き止まり、そして何度も曲がる。
そしてまた行き止まりにぶつかる。
そしてまたまた引き返す。
なにが楽しくて、自分家の庭で迷わなきゃいけないんだ……。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:30:54.78 ID:DATH8qqX0
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 22:32:34.54 ID:XKNTT62I0
今日は支援しなきゃいけないのが多くて規制がうざい
ぐるぐると迷っていると、本格的に迷路の中に迷い込んでしまった様だ。
ξ゚-)ξ「あれ?」
ふとツンが何かに気付く。
( ^ω^)「どうしたんだお?」
ξ゚听)ξ「なんか道が変わってる気がする……」
( ^ω^)「……。 あぁそういう事かお」
幻視魔術の一種か……。
−−しかもこれは普段魔術が使えない、僕の様な奴にしか効果がない陳腐な魔法だ。
僕個人への悪戯だと確定した。
ちょっとムカつく。
( ^ω^)(ミセリめ……)
(♯^ω^)「ツン着いてこいお! 一気に抜けるお」
ξ;゚听)ξ「いやそこ、行き止まりじゃあ?」
24 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:40:27.18 ID:wD779XtGO
僕はツンの言葉に構わず、生い茂る蔦の壁に飛び込む−−
−−そして、刺のささる感触も無く、僕はすんなりと壁の先へと入り込んだ。
ξ;゚听)ξ「どういう事なの?」
壁の先−−いや、すぐ後ろからツンが声を掛けて来る。
( ^ω^)「良いからそのまま進むんだお」
僕が後ろへ声を掛けると、ツンが怖ず怖ずと腕を幻の先へと出して来た。
そしてそのまま、幻を抜けて出てくる。
ξ;゚听)ξ「これも魔法?」
( ^ω^)「まぁ幻術系でも下位の魔術だお」
ξ;゚听)ξ「これで下位なんだ……」
25 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:44:49.94 ID:wD779XtGO
その後、僕達は蔦の壁を無視しまっすぐ屋敷へと向かって行った。
屋敷前の内門が見える頃には、空は闇が覆い尽くしていた。
ξ゚听)ξ「意外とすんなり来れたわねぇ?」
( ^ω^)「ただの悪戯だからだお」
本気で迷わせるつもりなら蔦に実体を持たせた上で、封印呪文で魔法を封じる筈だ。
こんなのにひっかかるのは、本当に僕ぐらいになる。
やり返してやらないと、気が済まない。
内門の前には昔と変わらず、警備用の小屋が建っていた。
僕達はその小屋をノックし、反応を待つ。
( ゚∋゚)「あっ坊ちゃんお帰んなさい」
26 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:48:25.09 ID:wD779XtGO
小屋からは、門番の大男が出てくる。
髭面の恐面に、トサカの様な髪型が特徴的な男だ。
( ^ω^)「クックル気付いてただろお?」
(;゚∋゚)「お嬢さんの言い付けでして……」
( ^ω^)「まぁ良いお。 開けてくれお」
( ゚∋゚)「解りました。 してその娘は?」
ツンは僕の後ろで、俯いて立っている。
フーサと良いクックルと良い、彼女はこのタイプが苦手なのかも知れない。
( ^ω^)「客人だお」
( ^∋^)d「これですかい?」
小指を立てて、クックルは笑う。
( ^ω^)「あんまからかうなお!」
それに僕も笑って返した。
27 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:52:36.22 ID:wD779XtGO
クックルが呪文を唱えて、内門に手を翳−−かざ−−すと、一人でに鉄柵の門が開いて行く。
魔術仕掛けの門を通り抜けて、僕達は屋敷のエントランスに入っていった。
屋敷に入ると、使用人達が出迎えてくれる。
きちんと道の両側に整列してる辺り、こちらも気付いていたのだろう。
相変わらず嫌みな妹だ。
中央の階段から、妹が降りてくる。
相変わらずの、跳ねた髪の毛とよれよれの寝巻。
成長の跡が見られない平らな胸元。
去年と変わらないなと思った。
28 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 22:56:58.59 ID:wD779XtGO
妹は家督を継ぐ予定の者とは思えない出で立ちで、出迎えてくれた。
相変わらずだな、と少し飽きれてしまう。
ミセ*゚ー゚)リ「よっす! アニキ」
( ^ω^)「おめぇは少し、跡取りの自覚を持てお」
ミセ*゚ー゚)リ「やーだよ! ミセリは自分らしく生きるのだぁ」
( ^ω^)「……」
ξ;゚听)ξ「……またこういうタイプ?」
僕はツンの言葉に黙って頷いた。
この一連の流れで先ほどまでの、悪戯に対する怒りも萎えてしまった。
僕は執事に、ツンの部屋を用意させ自室へと向かう。
親父は、城の会議に出かけているようだ。
その内、僕にもお呼びが掛かるだろう。
僕は適当に備え付けの風呂場で湯浴みをして、正装に着替える。
29 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:03:01.91 ID:wD779XtGO
そしていつ呼ばれても良いように、家門入りのローブを手に、リビングへと向かった。
騎士像や無骨な剣の調度品が並ぶリビングには、変わらず寝巻姿のミセリと、荷物を置いたツンが待っていた。
( ^ω^)「仲よさ気だおね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。 なんか妹みたいで、かわいくてさ」
ξ*゚听)ξ「私もなんだか、懐かしい気持ちになります。 不思議ですけど……」
支援。
31 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:08:04.21 ID:wD779XtGO
(;^ω^)「こんな姉を持ったら苦労するおー」
ミセ*>3<)リ「ひっどいなー」
ミセリが膨れ面をしたのを見て、僕達は笑ってしまった。
( ^ω^)「それで? まだ呼び出しは来ないのかお?」
ミセ*゚ー゚)リ「なんか、軍備の配置とかが纏まらないから、明日になるかもってさー」
( ^ω^)「んじゃ正装した意味はないかも知れないおね……」
ξ゚听)ξ「……」
ツンが僕を見て、黙っている。
どうしたのだろうか?
( ^ω^)「どうかしたかお?」
ξ゚听)ξ「いやなんか……、そういう格好は初めてだよなぁって」
( ^ω^)「そういえばそうだおね。 動き難いから、こういうのは普段全く着ないんだお」
僕の今の服装と言うのは、三つボタンの詰め襟に、金糸で獅子を胸元に描いた黒地の服だ。
32 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:11:12.11 ID:wD779XtGO
ξ゚听)ξ「やっぱり貴族なのねぇ」
ミセ*゚ー゚)リ「似合わないでしょ?」
そう言ってミセリは僕に聴こえる様に、ツンに耳打ちをする。
(#^ω^)「そうやって馬鹿にしてりゃあ良いんだお」
そう言って僕は憤慨した。
ここ最近は、こんな扱いばかりで嫌にななるね。本当に。
ミセ*>ー<)リ「怒んないのー! アニキは少し、短気過ぎるんだって!」
(#^ω^)「うっせぇお」
ξ*゚听)ξ「あのさ!」
ミセ*゚ー゚)リ「なに?」(^ω^ )
ミセリと言葉が重なり、椅子に座るツンへと僕達の視線が交錯する。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 23:15:14.31 ID:vUzqFtYf0
支援
34 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:17:13.78 ID:wD779XtGO
ξ*゚听)ξ「私は……良いと思うよ?」
( ^ω^)「えっ?」
ミセ*^ー^)リ「固まるなよ馬鹿アニキw」
僕がツンの言葉に悪戯が見つかった子供の様に硬直すると、すかさずミセリが茶化して来た。
そりゃあ固まるだろう……。
西では辛辣な言葉ばかり、掛けて来てたのだから。
ツンは中央に来てからは、随分としおらしくなった気がする。
( ^ω^)(これが、素の彼女なのかおねぇ)
僕は少し、ツンに疑問を思えて来たが−−
( ^ω^)「ありがとうお!」
ξ*゚听)ξ「ううん……」
35 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:20:56.81 ID:wD779XtGO
ミセ*゚ー゚)リ「あれあれ〜? ツンちゃん顔が赤いよ〜?」
ξ///)ξ「やめて下さい!」
( ^ω^)(その内落ち着くかお)
−−と、気楽に考えるのは、僕の悪い癖なのかもしれない。
ミセ*゚ー゚)リ「そういえば兄貴達ご飯は?」
( ^ω^)「まだ食べてないお」
ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ街にでも繰り出しますか?」
ξ*゚听)ξ「やった!」
ミセ*^ー^)リ「うん。 しっかし可愛いねぇツンちゃんは」
( ^ω^)「悪いけど、僕はパスだお」
ミセ*゚ ー゚)リ「なんでさ?」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 23:25:05.88 ID:vUzqFtYf0
しえん
37 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:26:40.54 ID:wD779XtGO
( ^ω^)「予定変更を食らうのは、いつものことだからだお」
ミセ;゚ー゚)リ「ああ……」
( ^ω^)「二人で行って来てくれおー、僕はシェフに頼んで勝手に食べるからお」
ξ゚听)ξ「良いの?」
( ^ω^)「気にすんなお」
ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ着替えてくるわ! ツンちゃんもね」
そう言ってミセリ達は出て行った。
その後着替えた二人は僕に軽く挨拶だけして、街へと繰り出して行く。
人は居るはずなのに屋敷全体がしんっと静かになった気がする。
( ^ω^)「さてと、居るんだお? ドクオ」
('A`)「なんでバレたし」
すぅっと窓辺から、影の様に陰欝な男が現れる。
38 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:32:32.34 ID:wD779XtGO
この男は、政務省長官の懐刀とも言われる密偵。ドクオと呼ばれて居るが、本名かは知らない。
歳は僕と対して変わらない筈だが、正確には不明らしい。
( ^ω^)「フォックス長官の事だから、早めにコンタクトを取ってくるだろうからお」
('A`)「お前も油断ならないね」
( ^ω^)「お互い様だお」
('A`)「ちげぇねえなw」
お互い似た様な役割のため、探り合いになるのは悪い癖だ。
( ^ω^)「んで? 用件は?」
('A`)「もしお前なら陛下の暗殺は出来そうか?」
( ^ω^)「まぁ無理だろうね」
39 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:37:26.54 ID:wD779XtGO
('A`)「そうか、なら良い」
頭が良いやつとの会話は楽で良い。
要点だけ話せば、理解してくれるからだ。
ドクオは何も言わずに消えて行った。
もう少しこの家の、セキュリティについて親父に言っておこう。
( ^ω^)「しっかし、長官も色々考えてるおね」
僕はやる気なさ気な態度の割に、頭だけは回る人だと素直に感心した。
その後結局、食事を済ませたミセリとツンが帰ってからも、城から通達は来なかった。
僕はそのおかげで、ゆっくりと眠りに着く事が出来るのだ。
明日、朝一で呼び出されるだろうが、今の内に疲れを癒しておこう。
早く終われば良いんだけどね……。
――――――――――――
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 23:37:59.88 ID:qAQMTf9h0
ほう、ドクオか
支援
42 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:42:28.15 ID:wD779XtGO
場所に揺られ、街の中を進む。
ブーン達と別れた私は、街を眺めながら城へと戻っていた。
5日ほど離れただけだが、知らない店が横目に映る。
川 ゚ -゚)「相変わらずこの辺りは、定着率が悪いな」
少し、南側は人の入れ替えが激し過ぎるなと思う。
新しい物が流入するのは悪くないのだが、安定した国家を作るには税を払う商工業者が、定着しないことには話しにならない。
43 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:47:24.51 ID:wD779XtGO
軍備にも労力を割かねばならないが、街の発展にも尽力を尽くさねばなるまい。
城に着けば、軍備の話題で持ち切りになるだろうが、折を見てフォックス辺りに街の運営計画を打診して見よう。
やることは山積みだ。
気を引き締めねばなるまい。
私は王なのだから。
白壁の我が居城、ニュクス=VIP城が見えてくる。
開け放たれた正門には、ずらりと騎士達が並んでいた。
相変わらず無駄に派手な出迎えだ。
形式にこだわる老臣達には、飽き飽きしていると言ったのに……。
ただそれでも臣下達は、心から私を敬ってくれているようで、そこまで悪い気はしないのだけど。
私は愛されている。
この想いだけで、国を背負うには充分な報酬だろう。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/02(火) 23:50:28.75 ID:qAQMTf9h0
しえーん
45 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:50:58.19 ID:wD779XtGO
私は城内へと入るとすぐに、会議室へと政治中枢の長達を集める様に指示した。
円形のテーブルと、私専用の豪奢な椅子が置いてあるだけの部屋。
各省庁の長と王だけの、重要な会議の時だけ使われる部屋だ。
私が部屋に着くと、長達は先に席についていた。
( ´∀`)「やっとお帰りになられましたかモナ?」
部屋に入るとすぐに、小肥りの僧衣を纏った老人が話し掛けて来た。
モナー・セイリッド。
柔和な微笑みを浮かべるのとは裏腹に、中々にやり手の神官連の長。
最高神祇官の位にある人物で、少々口うるさい。
川 ゚ -゚)「すまんなモナー。 心配掛けた」
( ´∀`)「だったら、せめて一言言って欲しいですモナ」
46 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:53:38.23 ID:wD779XtGO
やっぱり、小言は忘れないか。
( ФωФ)「まぁ今回は私の愚息がご迷惑を掛けた訳であるから、そのくらいにして置いて欲しいのである」
ブーンの父親。
ロマネスクが、話しに割り込んでくれる。
川 ゚ー゚)「はっは。 感謝しろよロマネスク!」
( ФωФ)「余り調子に乗られぬ様に。 我が子とは言え、国に忠誠を誓う我輩にとっては、貴女様の方が重要なのでありますよ?」
川 ゚ -゚)「わかってるわかってる!」
sien
48 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/02(火) 23:58:41.95 ID:wD779XtGO
ロマネスク・サタニス・ホライズン。
両目に傷を負った、黒衣を着る初老の魔術師。
司法官の長であり、現役最高の魔術を扱う男。
ちなみにこいつも少々堅物だ。
モナーに比べ、小言の数は少ないが重く、余り聴き流せない。
忠誠は人一倍なので、有り難くは思うのだけどね。
正直ブーンの親とは思えない。
反動だろうか?
ブーンが放蕩息子に仕上がったのは。
(=゚Д゚)「そんな事はどうでも良い! さっさと会議を進めるべきではないか?」
トラギ・コロニズ・ルナファス。
こちらはフーサの父親。
相変わらず、五月蝿いやつだ。
父の代から軍務をまとめている男だが、私はどうにも好きになれない。
49 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:01:14.08 ID:y46CTMvoO
責っ付くトラギに従い、席に座り会議を始める。
私はまず、現状の整理を行った。
川 ゚ -゚)「まず第一に、ゴシップ家の馬鹿が、領主になった経緯はどうなっているフォックス?」
爪;'ー`)y‐「えっ? 私ですか?」
私は紫煙を燻らせながら座る、まだ歳若い政務長官に質問する。
先代の長官の強力な後押しで、二年前から長官を勤める男だが、今一やる気を感じられない。
今も煙草を啣えて、どこか上の空と言った表情を浮かべていた。
50 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:07:08.28 ID:wD779XtGO
爪'ー`)y「一応西にも根を張っていたので、経緯は把握してるのですがね……」
煙草を揉み消して、フォックスは答える。
だが、尻切れトンボな話し方だ。
川 ゚ -゚)「何かあるのか?」
爪;'ー`)y「裁判すら行われず、一方的に西に追いやられたようですね……」
私はロマネスクに顔を向ける。
( ФωФ)「直接我輩は、関知してないのである」
それを受けてロマネスクは発言した。
(=#゚Д゚)「それは余りに、無責任ではないのか!」
すかさずトラギが噛み付く、いつもの事だが場を弁えて貰いたい物だ。
( ФωФ)「裁判は行われず、司法取り引きを行った記録があったのである」
しえーん。
52 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:11:46.75 ID:y46CTMvoO
(=゚Д゚)「ぐっ……」
川 ゚ -゚)「どういう事だロマネスク?」
きな臭さが増した気がする。
続けて私はロマネスクに質問した。
( ФωФ)「騎士団内で、何か揉み消した様ですな」
川 ゚ -゚)「おいトラギ。 何か知っているか?」
(=゚Д゚)「……」
トラギは黙っている。
そこにフォックスが、横槍を入れて来た。
爪'ー`)y「そこは私が。 アサピーが起こした婦女暴行事件は、騎士団の役職持ちが行ったのでは無いですかね?」
(=#゚Д゚)「何を根拠に!」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 00:13:28.52 ID:/a88+CI50
ふむふむ
54 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:17:02.49 ID:y46CTMvoO
爪'ー`)y「アサピーの資金源を漁れば、貴方方、騎士団に辿り着いただけですよ」
川 ゚ -゚)「それは真か?」
雲行きが怪しくなり、トラギの顔からは噴怒の相が浮かぶ。
(=#゚Д゚)「ちっ!」
大袈裟に舌打ちをして、トラギは不機嫌を隠しもしない。
この件は後日に回そう。
本題が中座してしまいそうだ。
川 ゚ -゚)「その件は解った。 して経緯のほどは?」
爪'ー`)y「魔族−−ジョルジュ・ローズコション達の侵入経路はメガミと見て間違い無いでしょう」
川 ゚ -゚)「やはりか……、メガミと戦端を開く可能性は?」
支援。
56 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:21:42.15 ID:y46CTMvoO
それに対して、今まで沈黙していたモナーが答える。
( ´∀`)「ペニサスを戻したのは正解でしたモナ。 やはり宗教の対立は避けたい様で、沈黙を続けておりますモナ」
川 ゚ -゚)「だが、長くは持つまい? どのくらい持ちそうだ?」
( ФωФ)「私が特使として、メガミへと出向くのである。 そうすれば戦争を回避出来るでしょうな」
川 ゚ -゚)「それしか無いか……」
駒が足りなくなるかも知れないが、抑止を優先するなら確実な方法だと思う。
しかしトラギの表情は浮かない。
ロマネスクに、手柄を持って行かれるのが気に喰わない様だ。
爪'ー`)y「ただ魔術省はどうするのです?」
( ФωФ)「ミセリに、そろそろ継がせるつもりである」
(=#゚Д゚)「あんな小娘に法が判断出来るとでも御思いか!」
57 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:25:18.97 ID:y46CTMvoO
川 ゚ -゚)「黙れトラギ! 解ったロマネスク。 その様に手配しよう」
私はトラギの言葉を断する。
こいつの、ホライズン家への憎悪はどこから来るのだろうか?
ロマネスクも察しているのだろう。
トラギには触れず、話しを進めている。
( ФωФ)「有り難いのである」
ロマネスクは深々と頭を下げて、礼を表してくれた。
だがトラギの視線は、忌ま忌ましさを隠さず更に増して行く。
川 ゚ -゚)(フォックスと良い、こいつと良い油断ならんな)
私はこの非常時に、配下に対して懐疑心を持たなければ為らない事実に少し絶望した。
58 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:27:50.91 ID:y46CTMvoO
ブーン。
君は私の蒼牙で在ってくれよ。
この事実を忘れるために、私は少し間の抜けた幼なじみの顔を、驟雨の様に思い出していた。
――――日付が変わる前まで時は進む。
会議は小康を見て、具体的な編成の話題になって行った。
政務省はフォックスの意向により、草として領地や同盟国の足並みを揃える調整役。
魔術省は数名の武闘派を東の各領主の城に送り、それ以外は適宜待機の後、派遣と言う形となった。
騎士団の主力5000と、フィレク、トソンのニ名の騎士団長の部隊も追随し、防備を固める事となる。
トラギは城に待機となる。
59 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:30:43.91 ID:y46CTMvoO
トラギは不満を漏らすが、軍人としては私情を挟まず従ってくれた。
神官連は100名の僧兵を東の部隊へ割り振る。
医療斑としてだ。
基本的には首都の防備に回って貰う事になるだろう。
川 ゚ -゚)「取り決めはこんな所か?」
爪'ー`)y「そうですねぇ。 後は兵を送るタイミングですが……」
(=゚Д゚)「そんな物すぐに送れば良いだろう」
爪'ー`)y「そうもいかないのですよ。 恐らく開戦までは少なくとも二年は掛かります」
川 ゚ -゚)「何故言い切れる?」
60 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:33:53.43 ID:y46CTMvoO
爪'ー`)y「魔族の方も、足並みが揃わない中では攻めてこないでしょう。 何よりあちらは王が不在だ」
(=゚Д゚)「ならば一気加勢に攻め立てるべきでは無いか!」
爪'ー`)y「国力が10倍近い相手に、単身で挑む訳にはいかないでしょう?」
( ´∀`)「確かにそうだモナ。 トラギ殿も16年前の戦で、それは痛感して居るでしょう?」
(=゚Д゚)「うむ……」
川 ゚ -゚)「では、同盟国との足並みを揃えるのが先になるか……、フォックス! ロマネスク!
お前達の働き如何で戦機を左右する! 存分に人事を尽くせ!」
( ФωФ)「畏まったのである」
爪'ー`)y「微力を尽くしますよ」
会議は後詰めを迎え、日付が変わる頃まで続いた。
支援。
62 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:36:37.69 ID:y46CTMvoO
二年。
短い様な長い様な、戦雲が澱む日々になるだろう。
当面は各領地と、メガミへの疑念を解決する事に注力する。
少しメガミについては、シューにも探って貰うか?
ブーンにも、仕事を押し付けねばなるまい。
忙しくなりそうだ。
当分は遊び心を封印して、王道を進む事になるだろう。
王たる者の勤めも大変だ。
川 ゚ -゚)「以上で会議を終わる。 明日は各々側近を交え調整をつけて行く。 それぞれよろしく頼むぞ?」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 00:39:13.49 ID:ASbjQ3nhO
僕は死にま支援
64 :
◆YW8tTr3Ies :2010/11/03(水) 00:39:32.88 ID:y46CTMvoO
一同が同意を示して、会議は終了した。
私はすぐさま寝室へと向かう。
そして熱い湯を浴び、早めに寝床に着いた。
寝床の中で私は、ブーンについて考える。
夢の中で君との思い出を噛み締め、甘露の様に転がすぐらいは許してくれよ?
お休みブーン。
君は望まないだろうけど、明日から共に忙しくなるよ。
( ^ω^)は落ちこぼれのようです
第二章
第二話
了
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 00:45:39.54 ID:y46CTMvoO
皆さんお疲れ様でした!
今回は歪んだんだを書いてるので、キャラ紹介をするスペース無くなったでゲソ。
とりあえずVIPの主要キャラはある程度出て来ました。
後は3人ぐらいですね。
ちなみにネタバレですが、戦記物路線にはなりません。
質問などあればどうぞ〜
厄姫見ながら答えます。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 00:51:23.04 ID:tLzpndwQO
おもしろかった!次も期待してる!
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 00:54:37.85 ID:/a88+CI50
乙でした!
面白かったでゲソ!
次回も楽しみじゃなイカ!
乙!!
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 01:00:36.23 ID:6UTpCoYYO
乙!
芸さん仕事早っw
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 01:04:08.52 ID:y46CTMvoO
ほんとだwww
いつも不定期でお世話になってて、申し訳ないです(_ _)
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 01:06:36.17 ID:zD0rEoSU0
乙でした
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/03(水) 02:08:41.49 ID:lzSNuKHNO
読んだ
乙
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
読み終えた乙