「あー…あー。聞こえるか?オペレーター」
男は調子の悪い無線機を叩きながら、もう何度目かわからない呼びかけを繰り返す。
「くそ……機嫌を直してもらわないと困るんだがな、こいつめ……」
胸のホルダーから黒く光る通信機を取り外して、ため息を吐く。
彼がオペレーターと連絡が取れなくなって、もう随分と時間が経っていた。
「……念のため、通信ログを送信しておく。もし誰かこの通信を拾ったら連絡をくれ」
目を凝らさなければ読めないほど小さな液晶画面を睨みながら、エリンは通信ログを送信した。
届くかどうかさえ分からないが、今の彼は、顔の見えないオペレーターだけが頼りだった。
「……頼む…繋がってくれ」
飲まれそうな闇、自らの呼吸しか聞こえない廃墟の駐車場で、彼は一つため息を吐く。
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