憂楽帳:続・振り込め詐欺
ttp://mainichi.jp/select/opinion/yuraku/news/20101018k0000e070054000c.html 前回に続き、大阪で1人暮らしする母が、警察を名乗る電話と金融庁職員をかたる男にキャッシュカードを奪われ、
金を引き出された振り込め詐欺事件について。親族が被害者になって、初めて分かったことが多かった。
誰が信用できるかさえ分からなくなった母を落ち着かせたのは、刑事さんに同行し自宅に来てくれた交番のお巡りさんの
制服姿だった。キャッシュカードに盗難保険をかけるサービスをしている金融機関もあって、場合により被害金の
一部が戻ることも知った。預金利息はほぼ横並びだが、犯罪への備えには大差があった。
最も驚かされたのは、もう一度だまそうとする詐欺犯の執念深さ。少なくない金を引き出された翌日、また母に警察の
生活安全課を名乗る電話。「被害届を出したか」と尋ねる内容だったという。私が署に問い合わせると、やはりニセ電話。
母は電話機の前に「知らない人には何も答えない」と張り紙をした。「他人を信じるな」。
高齢者がこう言い聞かせて暮らさねばならない時代が悲しい。【松田真】