1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
和「唯、部活決めた?」
唯「まだこれから〜」
和「え? 学校始まってもう2週間なのに何やってるのよ」
和が語気を強める。
唯「でもでも、何をやって良いのかわかんないんだよ和ちゃん」
唯は鞄を机の上に置いて、クラブ勧誘で貰ったチラシを引っ張り出す。
唯「体動かしたこと無いのに運動部は無理だし…どうしよう」
和「…無理強いはしないけど」
唯「うん」
和「校門のところにも部活紹介のポスターがあるから見てみたら?」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:10:58.61 ID:Cxs83niF0
唯(色々あるな〜)
ポスターには、各々の部の思いが書き込まれている。
メッセージに目を通すだけでも面白い。
唯(ん?)
掲示板の右端に楽器のイラストが描かれたポスターが貼り付けられている。
唯「合奏部…楽器始めませんか?」
唯は幼稚園の頃の自分を思い返した。
先生と歌遊びしているイメージだ。
唯「合奏って、難しくないよね」
和気藹々と、リズム遊びをして…。
唯(よし! 決めた)
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:18:55.78 ID:Cxs83niF0
――職員室
律「山中先生」
さわ子「なんでしょう?」
律「合奏部って、どこで活動してるんですか?」
さわ子「去年で部員が全員卒業しちゃったわ」
律「ということは」
澪「廃部?」
さわ子「寸前ね。人数があれば部として認められるけど」
生徒が職員室に入ってくる。
生徒「先生、たまには部活に出て下さいよ、顧問らしく」
さわ子「はいはい。今行くわ」
さわ子が引っ張られるようにして出て行く。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:24:49.15 ID:Cxs83niF0
澪「きれいな先生だな」
律「軽音部の顧問だってさ、山中先生」
澪「律、どうする? 私は文芸部に行きたいけど」
律「文芸部禁止。澪、音楽室で希望者が来るのを待つぞー!」
澪「ええ?」
――音楽準備室
澪「軽音部とか、合唱部とか、吹奏楽部とかがこの部屋を使いたいって行ってきたらどうするんだよ」
律「ここは合奏部が使います!って追い返すんだよ」
澪(ああもう)
準備室のドアがきぃと音を立てる。
律「おおっ」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:33:03.19 ID:Cxs83niF0
紬「あのー、軽音部ってここですか?」
律「へ?」
律の肩からがくりと力が抜ける。
澪「一応、合奏部。の予定」
律「あ、私は田井中律。あなたの名前は?」
澪(別の部の入部希望者を引きずり込むなよ)
ここに来たからには最後までつきあってもらおう。
律はぎゅっと紬の手を握る。
紬「私は琴吹紬…ですが」
律「琴吹さん、軽音部希望って事は何か楽器ができるの?」
紬「ピアノをやってます。キーボードをやってみようかなーって」
律「このままピアノって言うのはダメ?」
紬「ええっ?」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:41:04.97 ID:Cxs83niF0
律「いいじゃん、いいじゃん」
澪「他の部の入部希望者に無理を押しつけるな!」
澪は律の後頭部にチョップを食らわす。
律「何すんだよ澪ー」
澪「どうにもこうにもやり方が間違ってる!」
律「なんだよー! 中学のとき約束したじゃないか、アンサンブルをやろうって」
紬「アンサンブル?」
澪「学校の芸術鑑賞のときに室内楽を聞いて、律が何かに目覚めたって言うか」
律「そう!私がチェロをやって、澪はビオラをやって…」
紬「ビオラ?」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:41:44.48 ID:RdaJk6aG0
シエンタ
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:50:46.69 ID:Cxs83niF0
澪「うん」
澪のさっきの威勢はどこかにとんで、急にもじもじし始める。
澪「なんて言うか、手が大きいし、恥ずかしいし」
律「そう。澪は恥ずかしがり屋で、メロディーを朗々と弾かせれば倒れちゃう」
澪「そんなことはない!!」
律「ひゃー澪が怒った−!」
紬「ぷふっ!」
澪「?」
律「えー、笑うとこ?ここ」
紬「楽しそうですね。軽音部はやめて、私この部に入部します」
澪「いいのか?」
紬「ええ、なんか楽しくなってきました」
おろおろする澪をよそに、律が不敵に笑う。
律「ま、私の人徳さえあればこんなものよ」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:00:55.49 ID:Cxs83niF0
――数日後
紬「誰も入部希望来ませんね」
お茶をすすりって、一同黙り込む。
澪「入部希望者に聞かせてあげれるように、一応練習したんだけどなー」
律「じゃあ、会議しようぜ。新入部員獲得会議ー!」
準備室のドアが開く。一同が振り返ると、山中先生が一枚の紙をひらひらさせている。
さわ子「みんなー。入部希望者よ」
一同、机の真ん中に置かれた入部希望用紙をのぞき込む。
律「だれ?どれどれ?」
澪「平沢…」
紬「唯?」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:10:56.42 ID:Cxs83niF0
和「唯、入部届を出したって本当?」
唯「うん。本当」
和「それで、何部?」
唯「合奏部」
和「へー…唯、何か楽器できたっけ」
唯「ううん。でも、合奏って付くからには簡単なことしかしないよ」
和「簡単って、限度があると思うけど…」
唯「タンバリンとか、トライアングルとか、カスタネットとか!」
和(本当に大丈夫かしら)
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:12:39.94 ID:Cxs83niF0
和「唯、一度合奏部のポスターを見させてもらえない?」
昼休憩ももうすぐ終わりの頃、二人は掲示板へ行った。
和「合奏って、弦楽器の合奏じゃない?これ」
唯「ええ?」
和「バイオリンできるの?」
唯の顔から血の気が引く。
唯「どうしよう〜」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:15:48.61 ID:ljffz/nI0
素晴らしい
自衛隊は呼ばない
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:22:53.76 ID:Cxs83niF0
入部届受領後の次の日。
紬「いよいよ今日ね」
澪「どんな人かな」
律「よーしムギ、おもてなしの準備は抜かりないかー」
紬「はいっ!一番良い葉っぱで煎れました」
律「よーしどーんと来い!」
唯は音楽室手前の階段を一歩一歩上っていった。
唯(胃が痛い…ような気がする)
唯(行っても行かなくても騙してるってことだよね、これ)
階段を上りきった頃には、すっかり気が滅入ってしまっていた。
唯(入って謝らないと…)
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:31:07.18 ID:Cxs83niF0
音楽室の扉の奥から話し声が聞こえてくる。
唯(どうしよう)
不意に唯の肩に手が置かれる。
唯「ひゃっ!!」
律「平沢…さん?」
唯「ひゃい!」
律「合奏部の部室は音楽準備室だよ。ささこっちこっち」
澪(えらくコチコチだな)
紬「平沢さん、こっちこっち」
澪「みんな平沢さんが入部してくれるの待ってたんだぞ」
唯「え…」
律「バイオリンすごい上手いんだろ?」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:32:59.17 ID:0tTZXVXtQ
優雅です
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:40:04.60 ID:Cxs83niF0
唯(何かが一人歩きしてるー!)
紬「お茶をどうぞ〜」
何となく座らされたけれど、ここで誤解を解いておかないと大変なことになる。
唯「ごめんなさい!」
一同「!?」
唯「何も楽器できないけど、軽い気持ちで入部しちゃいましたー!」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 17:44:18.31 ID:Cxs83niF0
律(せっかくの入部希望者をここで逃す訳には)
澪(何とかして引き留めよう)
二人が紬にアイコンタクトする。
紬(わかりました)
紬「平沢さんクッキーいかが?」
唯「あ、ありがとう」
紬「お茶もおかわりどうぞ」
なんとかもう一度唯を席に着ける。
律「みんな初めてだから」
澪「うんうん。律なんて楽譜よく読み間違えるし」
律「えー。だって同じ音をずっと続くと、今どこだっけってならない?」
澪「きちんと拍を取ってないからそうなるんだ!」
律「てへっ!」
唯「皆さんは、合奏部ではどんな楽器をされるんですか」
律「私はチェロ、こっちの澪はビオラ。さっきお茶入れてたムギはピアノ。で、足りないのはバイオリン」
唯「でもでもバイオリンなんて」
澪「私たちが教えてあげる」
唯「でも私、軽い気持ちで入部届、出しちゃったんだよ…」
一同「…」
律「無理は言わないけど、一度だけで良いから、私たちの演奏聞いてもらえる?」
唯「え、聞かせてもらえるの?」
唯の表情が明るくなる。
律(食いついた!)
律「みんな早速準備!」
準備室には足踏みオルガンしかない。
オルガンのラの音に合わせて、調弦の音が響き渡る。
唯「曲は何ですか」
律「サン・サーンスの白鳥に無理矢理ビオラを組み込ませた。澪が寂しくないように」
澪「一言余計だ!」
紬「ちなみに私が編曲しました」
律「じゃあ、ムギ。せーの」
〜♪
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 18:10:28.76 ID:2iePPuxUO
>>1の文章は作文みたいだから、地の文書かなくていいよ
唯「すごいすごい!」
唯が拍手する。
律「はは…はは」
律は頭をかりかりと掻く。
澪「どうだった、私たちの演奏」
唯「何っていうか、がんばれば私でもできそう…かな」
一瞬の間を開けて、合奏部へようこそと笑い声で準備室が満たされた。
明けて昼休憩
和「で、バイオリン始めるの」
唯「うん」
和「どこから借りるの? それとも買うの?」
唯「う〜ん」
和「腕組みしても答えになってないよ」
唯「放課後聞いてみる!」
放課後、音楽準備室
律「おーっし唯、来たな」
唯「あの律ちゃん、澪ちゃん」
律「何だ?」
唯「合奏部に入ったことだし」
律「うんうん」
唯「楽器、どうすればいいかな…借りれない?」
律「うーん…そうだな」
澪「一番良いのは、自宅で練習できるように楽器を持っておくことだけど」
律「一度、楽器店に見に行くか」
澪「ちなみに、買うとしたらどの位まで出せそう?」
唯「貯金箱を開けてみないと何とも言えないよ」
律「そういえばムギは?」
澪「山中先生の所。アップライトでいいから、ピアノが置けないか交渉してる」
唯「それで、楽器屋はいつ行こう?」
律「今度の日曜とか? ムギが帰ってきてからな」
週末の商店街
唯「みんな遅れてごめーん」
律「遅いぞー」
澪「でもよかったな小遣い前借りできて」
唯「妹の憂がいたからこそだよ」
律「照れ笑いか。いいねえ」
澪「で、予算は幾らなんだ?」
唯「五万円」
澪「…練習用にはいいかな」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 18:50:13.11 ID:HMSkSuChO
C
唯「目指すお店ってどこ?」
紬「あれね」
唯「おー、あそこですか。入り口に色んなポスターが貼ってある」
澪「チケットの情報や音楽教室の案内とか、人目に付かないと意味ないからな」
律「早速行こうぜい」
・楽器店、店内
唯「間近で見ると、なんていうか格好いい〜」
澪「予算に見合う分だと、たぶんこの辺りだろうな」
唯「やっぱり値段が違うと音も違うの?」
澪「もちろん。いろいろあるけど、初心者は本体よりも、弓にお金を掛けるべきだな、うん」
律「澪先生かっこいー!」
澪「うるさい!」
メシ食べてくるので、ちょい小休止。
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 20:21:31.68 ID:HMSkSuChO
保守
唯「…」
紬「唯ちゃん?」
唯「なんか、このバイオリンがいい」
澪「ジュゼッペ・ガルネリタイプのバイオリンか…音はどちらかと言えば力強い」
律「え、でもこれ20万円もする」
澪「中級者くらいなら良いけど、唯にはどうかな」
唯「20万円か…」
紬「唯ちゃん、それがいいの?」
唯「うん」
澪「触るだけならタダだし、ショーケース開けてもらおうか」
紬「あ、私に任せてもらえない?」
唯「ムギちゃん?」
紬「すぐに戻るから」
――5分後
紬「皆ごめん」
律「ムギー、遅いぞ」
澪「何してたんだ?ムギ」
紬「値引きしてもらったの」
唯「え?幾ら?アルバイトでも何でもするから」
紬「5万円ちょうど」
律「え?」
澪「ちょっ!」
唯「そんな…悪いよムギちゃん」
紬「バイオリンって言っても、最近はニスを塗る前までは中国で作って、仕上げはヨーロッパっていうのが多いから」
律「って言うことは?」
紬「EUの法律上、EUの中で仕上げると製造はそこの国って事になるの」
澪「へえ」
澪(ってそれで納得していいのか)
紬「それに皆で演奏できる日が楽しみだから、気兼ねしなくていいわよ」
唯「ムギちゃん、ありがとう…」
――明くる日
唯「澪ちゃん、こう?」
澪「私よりも姿見を見て」
澪「脇を締めると左手が固くなるから、もっと力抜いて」
唯「なんか落ちそうで恐いよ」
澪「楽器は顎で支えるんじゃなくて肩で支えるから…そうそう」
律「いやー。弟子が付いてよかったな澪」
澪「いや、いっぱいいっぱい。つーか話しかけるな」
律「ムギー。澪がいじめるー」
紬「唯ちゃんが楽器を支えられるようになったらお茶しましょ」
唯「よっし。さ、澪ちゃん次どうすればいい?」
澪「楽器を構えたままの状態で歩けること」
唯「ひえええ」
――昼休憩
和「どう、合奏部」
唯「今、楽器を構えてるところ」
和「?弾かないの?」
唯「弾く前に色々儀式がいるのです」
和(儀式?)
唯「最初はきらきら星弾くんだって」
和「学園祭はきちんとした曲を弾くんでしょ?」
唯「?」
――放課後、音楽準備室
唯「律ちゃん」
律「なんだ唯ー」
唯「秋の学園祭って何するの?」
律「まだ半年も先じゃないか。焦ること無いって」
澪「おい、焦るだろ普通。半年だぞ、あと半年」
律「きゃー澪が恐いー」
澪「なにおぅ!」
紬「澪ちゃん、お茶のおかわりどうぞ」
澪「あ、すまん」
ずずっ
唯「で、どうするの?」
澪「律がなかなか動きそうもないからCD持ってきた」
律「ひどっ!」
唯「私たちがするのって、何になるの?」
澪「バイオリンとビオラ、それにチェロとピアノだからピアノ四重奏曲」
一同「おお〜」
律「じゃあ早速決めようぜ〜。ラジカセラジカセ」
カチン
――10分経過
唯「ねえ」
律「何だー、唯」
唯「一番盛り上がる曲って何かな」
律「盛り上がる曲か…」
唯「なんて言うか、演奏する側も聞く側も楽しくなるような」
律「あ、そーだ。終楽章だけで決めるとか!」
唯「いーね! じゃーんで終わる曲」
律「よっし」
澪「いいのかよ」
唯「次、次」
カチッ
〜♪
唯「…この曲良いかも」
澪「ブラームスの第1番作品25。…渋いな、唯」
律「唯はてっきりモーツアルトかと思った」
唯「うーん。モーツアルトはかわいいけど、かわいらしすぎるというか、何って言うか」
律「?」
唯「物語が見えづらい」
律「言うようになったな〜」
唯「えへへ」
紬「楽譜、準備する?」
澪「私たちのはいいけど、唯はもうちょっと基本がいるな。」
唯「ひえー!」
――月日が過ぎて…
澪(最近中だるみしてきたな)
律「唯ー」
唯「なにー律ちゃん」
律「この一週間で美味しかったお菓子ランキングしない?」
唯「いーね、律ちゃん。やろやろ!」
澪「こら二人とも!ちゃんと練習しようよ」
律「言われても張り合いがな〜」
澪「隣の軽音部はいつも音が出てるぞ」
律「他の部は他の部」
澪「ならば合宿をします!」
律「え?」
唯「合宿?」
澪「やっぱり、いつもの場所でいつものように集まってっていうのがいけないと思うんだ」
律「ふむ」
澪「誘惑をきっぱりと断ち切って、学園祭に向かって突っ走ろう!」
律「っていうことは海がいいな。泳げるし」
唯「ムギちゃんって別荘持ってる?」
紬「どれが借りれるか、今確認するわね」
澪「って、おーい聞けぇ!」
一同「ん?」
澪「昔の合奏部はすごかったんだ。老人ホームで演奏会開いたり、アマチュアオーケストラに混ざったり」
律「でも練習しないことには先に進めないじゃん」
唯「合宿で鍛えよーよ、澪ちゃん!」
律「そうそう!」
澪(えええ?あれー?)
――夏休み
唯「ここがムギちゃんちの別荘?」
紬「一番小さいのだけど…」
律(でかっ)
澪「さ、練習始めるぞ。ついこの間は1楽章で躓いたけど、ムギのピアノをよく聞けば…っておいー!」
律「だって海じゃん?泳がないと」
唯「勿体ないよ」
澪「そんな」
紬「澪ちゃんも早く」
澪(ええー?)
律「いやー遊んだ遊んだ」
唯「もー動けない」
澪「練習するぞ」
律「えー。一休みさせてよ」
澪「ダメだ。今日来た意味ないだろ」
律「…やれやれ、よっこいしょ」
唯「澪ちゃん、そのラジカセは?」
澪「昔の資料をあさってたらテープが出てきた。合奏部の記録だ」
〜♪
唯「きれいな音〜」
律「あ、終わった」
〜♪
律「超絶技法? バイオリンか?」
紬「すごすぎる…」
唯「一体誰だろう」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 23:24:29.47 ID:5PKe33HB0
まさかの歯バイオリン
――2学期スタート
和「ところで唯」
唯「なーに和ちゃん」
和「合奏部を取りまとめてるのって誰?」
唯「へ?律ちゃんだけど」
和「部活として、合奏部って言うのがないのよ」
唯「っていうことは?」
和「学園祭に出られなくなるって事。その律さんに早く知らせてあげて」
唯「わ、わかったよ和ちゃん」
――昼休憩
律「よー唯」
唯「た、大変だよ律ちゃん」
澪「どうした? 唯」
唯「これこれしかじか」
律「かくかくうまうま、ってなにー!?今すぐ生徒会室に殴り込みに行くぞ」
澪「やめろって!ムギにも相談しよう」
――放課後・音楽準備室
紬「っていうことは、その申請書を提出していなかったって事かしら」
澪「そんなのあったっけ。律、そんな紙もらった?」
律「さあ。でも一度、生徒会室には行ったから…」
澪「りーつー」
律「…」
唯「律ちゃん…」
律「あ、あははは。どうしよう、机の中からあら不思議。この紙は何でしょう?」
澪「手品の出し物にしては、出すタイミングが遅いよなあ…」
律「あ。ははっは…ごめんなさい」
澪「…まあ、部員は四人で良いとして、顧問か」
紬「音楽の先生って言ったら山中先生だけど」
澪「軽音部の顧問してるからな…」
律「失地挽回、山中先生を味方に引き込む作戦はないかっ!」
唯「律ちゃん手伝うよ」
律「ありがとう唯」
澪「でもどうやるんだ?」
律「そりゃ、彼氏はどこそこの誰とか」
唯「ねえ皆、合奏部の昔の資料にアルバムがあるんだけどさ、この人どこか見たことある人がいない?」
一同「…?」
――職員室前廊下
律「山中先生!」
さわ子「はい、何でしょうか」
律「先生に一つお願いがあってきました」
澪「先生、合奏部の顧問をして下さい!」
さわ子「皆ごめんなさ。私、軽音部の顧問をしてるから、掛け持ちはちょっと…」
律「お飾りでいいんです。幽霊でもいいんです」
澪「律、言い過ぎ」
唯「…」
さわ子「なーに?」
唯「先生、この学校で合奏部にいませんでしたか?」
さわ子「え…えーと?」
唯「よく似た人の写真がありました」
さわ子「それはどこ?」
唯「音楽準備室です」
――音楽準備室
さわ子「全て処分したと思ったのに」
律「先生」
唯「先生、合奏部でバイオリンしてたんですね」
紬「以外でした。学生の頃はてっきりバンドしてたと」
さわ子「ふっ。そうね、あれは高校一年の頃」
澪「か、語り出したー」
さわ子
「ボランティアで行った老人ホームで他校の男子生徒に一目惚れしたの。
チケット送ったり、もっともっと上手くなって目にとまってもらおうって
首席まで上り詰めたわ。でも完璧になりすぎて…」
唯「完璧になりすぎて…?」
さわ子「尊敬する人止まりで、それ以上に進展しなかったのよ!」
澪「それは…キツイ」
律「山中先生」
さわ子「田井中さん…」
律「その経緯を学校中にバラされたくなかったらここハンコをお願いします」
澪(部活申請が、免罪符にっ?)
唯「先生、じゃあちょっとだけ弾いてみます?」
さわ子「や、やめて。ブランクが大きいし」
唯「先生がどんな演奏を聴かせてくれるか知りたいんです」
さわ子(ああ、松ヤニの香りが懐かしい。肩当ては色々試したけど、結局無しにしちゃったんだっけ)
さわ子「じゃ、軽く」
澪「パガニーニ!?」
紬「24のカプリース?すごい!」
澪「バッハの無伴奏バイオリンソナタ!完璧だ!」
唯「ひえー!私のバイオリン!」
さわ子「あなたたち、ろくな演奏もできないのに準備室に陣取って何してるのよ!」
一同「ごめんなさい!」
さわ子「あ…こんなつもりじゃなかったの」
一同「…」
さわ子「そうよ。堅物じゃなくて、皆に親しまれるさわ子先生でいたいの」
律「だったら先生、ラフでも堅くでもなれるようになりましょうよ」
さわ子「田井中さん…」
律「なので先生、ハンコを…。今からお茶を煎れますので」
紬「ポットは暖めてますし、お茶の葉っぱが開けばすぐにでも!」
さわ子「仕方ないわね…」
――ティーブレイク
さわ子「じゃあ演奏する曲を聴かせて。だれかポケットスコア持ってない?」
澪「あ、私のをどうぞ」
さわ子「それじゃあ、今から言う楽章の小節から始めて」
〜♪
律「先生、どうでしょうか」
さわ子「色々あるけれど、あなたたち、お互いの音をきちんと聞いてる?」
律「…」
さわ子「楽譜を追うだけじゃダメ。パート譜だけじゃなく、総譜もきちんと読みなさい」
澪「…」
さわ子「どのメロディーがどこに受け継がれて行くか、流れが読めないと音の塊よ」
紬「…」
さわ子「それにもうちょっと豊かな風味を出せないの?」
唯「ひぃ!」
さわ子「それに」
紬「先生!」
さわ子「何?」
紬「もう一度、お茶煎れません?」
――学園祭まであと数日
音楽準備室
さわ子「唯ちゃんを特訓させます」
唯「あ、え?」
さわ子「唯ちゃんって、きれいにビブラートがかけれるようになったらもっと良い演奏すると思うのよ」
澪「確かに…」
唯「ひどっ!」
律「でも花形がへろへろじゃ格好にならないから、これはこれで良い機会じゃないか?」
唯「そ、そんなものかな…」
さわ子「じゃあ借りて行くわね」
紬「私たちの練習はどうするんでしょうか…」
澪「あ」
――学園祭当日
和「さわ子先生から特訓を受けたって聞いたけど」
唯「弦を押さえたから、指先がもう痛くて痛くて」
和「へえ。でも本番は大丈夫なんでしょ」
唯「さわちゃんの受け売りですから」
和「ふふっ。模擬店の当番、早めに変わるようにするから」
唯「そんな、悪いよ」
和「いいって。せっかくの初舞台なんだから」
唯「それじゃ、皆あとよろしく」
―― 一年廊下
さわ子「あ、平沢さん。丁度よかった。合奏部の部員たちを準備室に集めて」
唯「はーい」
唯(何だろう?)
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 01:28:05.58 ID:vSdba4ZY0
なんでsage進行なんだ?
――音楽準備室
律「さわちゃん、用って何?」
さわ子「コンサートと聞いて連想する物は?」
澪「?」
唯「ドレス?」
さわ子「大当たり!そこで私は皆用にドレスを作ってきました」
紬「ええ?本当ですか?」
さわ子「じゃーん!」
律「色が原色…紅、青、緑それから黄色」
澪(え、これ着なきゃいけないのか?)
唯「私のはどれ?」
澪「って、おいー!」
唯「だって、せっかくのステージなんだよ澪ちゃん」
紬「じゃあ私は着替えできるようにしておこうかな」
さわ子「それじゃあ時間に遅れないようにね」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 01:50:08.52 ID:K+V48/VsO
読んでるよ支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 02:06:02.40 ID:xLEcYf3J0
――体育館
緞帳が上がる
和「いよいよね唯」
唯「うん。和ちゃん、聞いててね」
和(ふふっ)
放送「次は合奏部によります室内楽をお楽しみ頂きます」
律「よーしそれじゃあ行くか」
唯「律ちゃん、ドレスでのしのし歩いたら格好悪いよ」
律「えーチェロってでかいじゃん?」
澪「落ち着け、落ち着け」
紬「澪ちゃん。観客席にいるのは、皆キャベツよ」
澪「そうだキャベツ。うん、キャベツ」
期待の拍手が巻き起こる。
律「さ。行くぞ!澪も」
澪「お、おう」
〜♪
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 02:07:11.13 ID:xLEcYf3J0
拍手が鳴り止まない。
カーテンコールで楽器を持っていなくても「ブラボー」が飛ぶ。
澪(良い演奏だったな。お客さん大喜びだし)
澪(あ。え、ドレスの裾を踏んだ!)
ビィーッ、ドタン!
澪「痛っ、つつ!」
一同「あ」
澪「え?」
律「げ」
唯「ドレスが裂けて、下着が」
澪「いやーー!」
紬「早く楽屋に走って!」
律「早く早く!」
おしまい
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 02:08:23.62 ID:xLEcYf3J0
思いつき書き始めたのはいいけれど、
思いつきでやるもんじゃありません。
一期見返していたら書きたくなりました、とだけ。
お目汚し失礼しました。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 02:16:33.22 ID:K+V48/VsO
終わりかw
乙
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙