1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
まだ未明の通りには人影がない。
これまで車も対向車二台にしか出会わなかった。
青山霊園に向かう幅広い道路だ。
薄闇のなか、
右に大きなコンクリートの建造物がある。
たしか美術館と聞いたような気がするが、
名前は忘れた。
( ´ ゝ`)
その建物がある十字路をいくらか過ぎたあと、
身体を傾け流石兄者は通りを左折した。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:05:01.84 ID:586wxtCQ0
両脇には瀟洒なマンションが何棟も並んでいる。
バイクをとめたのはそのひとつの玄関近くだった。
数日まえ下調べにやってきたとき、
ここですな、
長岡がそう薦めた位置だ。
ギアをニュートラルにいれる。
アイドリングするエンジン音以外、
物音はひとつしかない。
すぐ脇のマンション玄関にある泉水、
その水流の音だった。
四サイクル百二十五ccのエンジンは、
都心の贅沢なスペースを流れる水音に隠れ、
かすかな響きで息づいていた。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:06:04.16 ID:586wxtCQ0
フルフェイスのヘルメットのなかで、
( ´ ゝ`)(やっぱり長岡は頭がいいな)
流石はいつものようにそう思う。
( ´ ゝ`)(ああいう男なら、
やくざ以外にもどんな仕事だってやっていけはしただろう)
まっすぐな通りの正面には遠く、
青山通りが見える。
そこにはすでにそうとうの頻度で車が走っている。
だがこの脇道に人通りはまったく見あたらなかった。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:07:08.87 ID:586wxtCQ0
時計を見た。
六時五分まえ。
もう新聞配達も終わっている時間だ。
その点も、
きちんと調べあげた長岡から聞いている。
流石はバイクにまたがったまま、
革の手袋を脱いだ。
素手が十一月早朝の寒気につつまれた。
かじかみそうになる手をコートのポケットにいれると硬い感触がふれてきた。
きのう渡されたリボルバーだ。
射撃はフィリピンで一度だけ経験した。
拳銃のグリップを軽く握り、
片足を地面につけた姿勢で動かなかった。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:08:01.68 ID:586wxtCQ0
待つあいだ、
ときおり周囲に目をやった。
( ´ ゝ`)(こういう洒落たマンションは、俺には似合わない。
こんな青山みたいなとこに住むこともないだろう。
そもそもいまこういう場所にいる連中はどうやってこの生活を手に入れ、
どんなふうに暮らしているんだろう)
金の問題ではない。
流石の育った環境にその点、
不足はなかったはずだ。
いっそ裕福さえいえた。
だがやくざ稼業の世界で育った彼にとって、
いま周囲にある光景はなんだかひどく遠い世界にい思えたのである。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:09:06.38 ID:586wxtCQ0
時間がゆっくりすぎた。
やがて流石の目が脇の植え込みでとまった。
背の低い灌木が刈りこまれ整然と植わっている。
この季節、
まだ青々とした小さな葉が枝に群れている。
先日の夜、
長岡とやってきたとき、
こんな植え込みは気にもとめなかった。
( ´ ゝ`)(この小さな木の名はなんというのだろう)
ふとそう思った。
( ´ ゝ`)(そういえば、
木の名前なんかに興味を持ったことはない。
生家には広い庭があった。
樹木もずいぶん植わっていた。
なのに名前に疑問を持ったことは一度だってない。
桜とか松みたいに平凡なものは記憶になかった。
生い茂っていたあの樹木のどれも、
俺はその名をいい当てることができなかったはずだ)
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:09:43.97 ID:vTi3KjcP0
しえん
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:11:09.49 ID:586wxtCQ0
目をそらしたが、
視線がまたもどっていった。
明けていく朝の光のなか、
朝露をまとった植え込みの葉群れの青さが目に沁みた。
じっとそのいろに目をとめていた。
そのとき突然、
予想もしなかった思いがやってきた。
それは不意の悲しみにも似ていた。
( ´ ゝ`)(俺はこの歳になるまで、
二十三になるまで、
なにも知らないで生きてきたんじゃなかろうか)
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:12:09.60 ID:586wxtCQ0
同時に異変が起きた。
歯がガチガチ鳴りはじめたのだ。
ついで呼吸が苦しくなった。
流石はうろたえた。
(;´ ゝ`)(なんでこんなときになって、
こういうことになっちまうんだ。
俺はいまビビっているんだろうか。
目撃されやすく、危なっかしいこの仕事。
だがこれは、俺が長岡の反対を押し切り自分で志願した。
そうじゃなかったか)
流石は左手でポケットにいれた右の手首を固く握りしめた。
手も震え始めていたのだった。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:12:53.14 ID:586wxtCQ0
震えはいっこうにおさまらなかった。
寒気のなか、
吹きでた汗がヘルメット内部の顔面を流れた。
そのままどれくらいの時間がすぎたのかはわからない。
ようやくそのとき、
明るくなりつつある視界に流石はその光景をとらえた。
数十メートル向こう、
おそらくこの通りでいちばん贅沢な作りのマンションがある。
オートロックであるため侵入はむずかしい。
その下調べの結果が、
この位置での待機だった。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:13:07.96 ID:cf+p8sa10
様子見支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:13:34.62 ID:586wxtCQ0
日ごろの習慣は、
どんな住居に住むかということとは関係はない。
やはり長岡が入念に調査したとおりだった。
ミ ゚Д゚彡
男がひとり、
玄関から走りでてきた。
赤いジョギングウェアを着た初老の男だった。
歳に似合わず、
軽い足どりでこちらに向けて走ってくる。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:14:42.91 ID:586wxtCQ0
ちらと眺めたあと、
流石は男から目をそらした。
なんとか手の震えだけがおさまるよう、
そのことだけにつとめるよう集中した。
男の吐く白い息が近づいてくる。
すぐそれは流石の横をすぎた。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:16:35.85 ID:/XJW50Lg0
しえーんた 一文が短くて読みやす
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:17:07.89 ID:qxn+a4C50
兄者に口がないように見えるのはわざとなのか
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:21:09.01 ID:586wxtCQ0
通りすぎたあと、
その背中に呼びかけた。
声が喉に絡んだ。
( ´ ゝ`)「義古さん?」
男が振り返った。
精悍な顔つきがいぶかしげに流石を見た。
ミ ゚Д゚彡「なにか……」
男の唇がその形をとったとき、
流石は抜きだしたリボルバーを彼に向けていた。
Σミ;゚Д゚彡
震える手首を左手が固く握りしめる。
男の目になにかのいろがよぎったが、
その表情は意識しなかった。
ただ震える指で最初に撃鉄、
ついで引き金を引いた。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:22:01.64 ID:vTi3KjcP0
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:22:44.11 ID:586wxtCQ0
銃声がひとつ響きわたった。
弾かれたように男が倒れる。
赤い染みが目に入ったような気がしたが、
その光景はもう見なかった。
直後ギアを蹴ったバイクの背後を呻き声が追いかけてくるようにも思えた。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:24:59.35 ID:586wxtCQ0
※
渋谷までゆっくり歩いた。
JRの南口をすぎ、
渋谷署に近い桜丘の路地でバイクをとめた。
エンジンを切り、
スタンドを立てる。
きのう盗んだこの小型バイクがとめてあった路上近くだ。
( ´_ゝ`)
脱いだヘルメットをハンドルに引っかけたとたん、
刺すような風が頬をつつんだ。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:26:53.23 ID:586wxtCQ0
そのまま南口まで歩き、
山手線に乗った。
似合わないが一応、
ネクタイはしめている。
けちなサラリーマン程度にはみえるはずだ。
まだまばらな通勤客にまぎれ、
空いた席に座った流石は小さなため息をついた。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:28:06.48 ID:586wxtCQ0
座席でぼんやりしていた。
頭にあったのはただひとつ、
さっき訪れた異変のことだった。
手の震え。
( ´_ゝ`)(なんであのとき、
ああなっちまったんだろう。
ひょっとしたら)
と流石は思った。
( ´_ゝ`)(ひょっとしたら長岡はああなることを予想していたんじゃないだろうか。
だから、俺がやるといったとき、
あんなに強硬に反対したんじゃなかろうか。
だが会長に申しでて承諾をもらったあと、
長岡はもちろん反対しはしなかった。
いや、できなかったんだ。
あれから彼の態度は一変し、
俺の仕事がうまく運ぶよう協力してくれるようになった)
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:30:00.66 ID:586wxtCQ0
流石兄者は、
本来なら父親の跡目を継ぐはずだった。
だがその父、父者が二年まえ病死したあと、
組は解散に追いこまれた。
暴対法が施行された半年後だ。
当局の巧妙な圧力もあったが、
それ以上に内々の混乱が大きかった。
( ´_ゝ`)(俺はまだ二十一歳だったし、
いまどき流行らない世襲への異論があった。
ただそれ以上に、
あの頃の幹部の顔ぶれでは偽装解散さえおぼつかなかったろう。
軟弱な人間しかいなかったからな。
流石組は、一代で身を起こした親爺ひとりでもっていたようなものだ。
つまるところ、どんな組織も人間につきる)
いまになって、
ようやく流石はそう思う。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:31:47.72 ID:586wxtCQ0
以後、流石は父、
父者が五分の縁を交わしていた杉浦会の預かりになった。
待遇はもちろん悪くない。
同世代の男たちが便所掃除と雑巾がけをやり、
一銭の収入もない環境にあって、
なに不自由なく小遣いさえもらえた。
_
( ゚∀゚)
そして世話係についたのが長岡だった。
まだ四十まえで、
若頭補佐の地位にあった男だ。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:33:31.85 ID:586wxtCQ0
電車は新宿をすぎた。
通勤客で車内が少しずつ混みはじめる。
流石は座席に座ったまま、
自分の手をひろげじっと眺めた。
いまはもう、震えはない。
ごついてのひら。
十代後半から、
ただ暴力のためだけにあった手だ。
そのとき、
唐突な思いが生まれた。
それは恐ろしい難問のようでもあった。
だが考え続けた。
ふたつのてのひらを眺めながら、
その解けそうもない問いをずっと考え続けた。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:34:47.50 ID:586wxtCQ0
ようやく決心がついたのは池袋に近づいたころである。
閉まりかかるドアを飛びでると、
ホームから改札をでて構内をゆっくり歩いた。
公衆電話が目に入った。
受話器の向こうから、
長岡丈二の声が流れてきた。
「おはようございます」
いつもと変わらない冷静な口調だった。
彼はいま自宅にいる。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:35:49.38 ID:586wxtCQ0
「首尾はどうでした?」
( ´_ゝ`)】「わからないけど、
一応うまくいったと思う」
「詳しく話していただけますか」
流石はいきさつを話した。
手の震えの件だけは隠し、
素直に話した。
結果の詳細な確認まではせず、
すぐ逃げた事実も打ち明けた。
( ´_ゝ`)】「だからどこに命中したかはわからない。
だが、弾がどこかに当たって倒れるのは見た。
それだけは間違いない。だれにも目撃はされなかった」
「けっこうでござんした」
( ´_ゝ`)】「実際、計画どおり事は運べたと思う」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:37:47.74 ID:586wxtCQ0
数日まえ長岡はこういった。
ご承知かも知れませんが、
殺しならふつうは二発撃つもんです。
一発目を相手の身体のどこかにぶちこんだあと、
二発目で頭を撃つ。
けど、兄者さんにそんなことは期待しちゃいないし、
今度のは殺しではなくたって全然問題はない。
とのかく弾を一発、
身体のどこかに撃ち込む。
それだけでいいんです。
よろしいですか。
結果が殺しになろうがそうでなかろうが、
どうだっていい。
要はヤバい事態が控えていることをああいう立場の連中みんなの頭に叩き込む。
それだけがこのヤマの目的ですからね。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:38:46.44 ID:586wxtCQ0
そんなふうに長岡はいったのだった。
あのときの静かな口ぶりは、
流石が殺人を避けるよう、
あえて促しているような気がした。
おなじ静かな口ぶりの声がまた聞こえた。
「いま、どちらですか」
( ´_ゝ`)】「池袋」
「まだ途中ですね。
じゃあ、事務所には早くお帰りになったほうがいい。
私はこれからオヤジんとこに顔だして報告しときます
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:39:33.55 ID:586wxtCQ0
流石は深呼吸した。
( ´_ゝ`)】「長岡さん」
「なんでしょう」
( ´_ゝ`)】「俺、この稼業から足を洗いたい。
そういう気分になった。
たったいま、そんな気になっちまったんだ」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:40:10.03 ID:586wxtCQ0
沈黙があった。
ずいぶん長い沈黙だった。
しばらくしてゆったりした、
おちついた口調がかえってきた。
いくぶん含み笑いが混じっているようにも思える声だった。
「なるほどね。
そいつは、いい考えかもしれませんね」
流石は驚いて聞きかえした。
(;´_ゝ`)】「杉浦会の出世頭が、
そんな軽はずみをいっていいのか」
「いや、私ははじめて兄者さんを見たときからそう思ってたんです。
ああ、この人はこの稼業にゃ向いちゃいないってね」
それから彼の声がいきなり変わった。
「フケなさい、兄者さん。すぐフケるんだ」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:42:12.15 ID:586wxtCQ0
(;´_ゝ`)】「だが長岡さんの立場がある。
俺が消えたら迷惑をかける」
「そんなこと気にしなくたっていい。
兄者さんから、この稼業を抜けたいって電話があった。
私はこのあとすぐ、オヤジにそう報告しますよ。
まあ、実際そのとおりでしょう。
ただね、私は兄者さんを怒鳴りつけた。
けど、聞きわけちゃもらえなかった。
そういう筋書きにせざるをえません。それでよござんすか」
(;´_ゝ`)】「そりゃいいけど、長岡さんの立場が……」
「立場、立場って。
ねえ、兄者さん。そんなこたあ、本当に気にしなくていい。
それよか覚悟してくださいよ。
私は兄者さんを追っかけて探しだすよう、
オヤジから指図を受ける。
もちろん、私に否やって返事はありません。
こいつはわかってもらえますね」
( ´_ゝ`)】「わかった。覚悟はできている」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:44:40.08 ID:586wxtCQ0
もし引っ張られることになったような場合、
身内であれば口を割るのはもちろん論外だ。
それに万がいちに備え、
杉浦会なら口の堅い身代わりの用意くらい考えているだろう。
だが、
流石が長岡に告げたようにこの稼業から抜けるとなると、
その筋書きの枠が消えることになる。
つまり杉浦会にとって、
流石は一定の事実を知った外部の人間になる。
組織が打撃を受ける可能性を持った危険な存在になる。
いや、それでなくても恩はあるのだ。
きょうの仕事で返すつもりだったが、
それが逆効果になったかもしれない。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:45:11.07 ID:/N1KMjFF0
見てるぞ
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:45:58.24 ID:586wxtCQ0
また長岡の声が聞こえた。
「けど、兄者さん」
( ´_ゝ`)】「なんだい」
「御承知でしょうが、私は、ちょいと間抜けなとこがあってね。
人探しなんてあんまり得意なほうじゃありません」
流石はいったん沈黙したが、ようやくしゃがれた声がでた。
( ´_ゝ`)】「そっちには、ずいぶん人手があるんじゃなかったか」
「人海戦術なんて、いまどき流行りませんよ。
あんなもの、もう中国でさえ廃れてまさあ」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:46:45.15 ID:586wxtCQ0
流石はかすかに笑った。
( ´_ゝ`)】「ありがとう」
「でこれからどうなさるんですか」
( ´_ゝ`)】「まさかフリーのやくざというわけにはいかないだろうな」
受話器の向こうからも笑い声が聞こえた。
「いつもの調子がもどってきましたね。
わかりました。兄者さんのことだ。
あとはきっとうまくやっていきなさるでしょう。
いちばん最初にやることは、もちろんご存知ですね」
( ´_ゝ`)】「わかっている」
それだけ流石は答えた。
拳銃の処分だ。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:48:17.45 ID:586wxtCQ0
「ならけっこう。川も山も海もある。
どこを選ぶか、私は知りたかないですがね」
( ´_ゝ`)】「繰り返すけど、ありがとう。
これでもう切るよ」
「兄者さん」
( ´_ゝ`)】「なんだい」
「引退興行にしちゃ上出来でござんした。
さすが先代叔父貴の息子さんだ。お元気で」
まだなにかいいたりないような気がした。
だがそれを口にすれば、
長岡の好意を無にすることになる。
流石は電話を切った。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:49:25.51 ID:586wxtCQ0
※
その日、
夕刊の一面トップに記事がでた
<VIP銀行常務、銃撃さる。債権回収めぐるトラブルか。暴力団の関与、濃厚>
肩を撃たれた被害者、
義古五郎常務は命に別条はない模様、ともその記事にあった。
流石はどんな感想も持たなかった。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:52:29.50 ID:586wxtCQ0
いったん終わります。
支援ありがとうございました。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:59:26.50 ID:rYaYZUeS0
乙!
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 20:03:00.13 ID:qxn+a4C50
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 20:06:40.72 ID:NKxfAo0v0
乙さん!
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 20:53:52.74 ID:MmhPC/5M0
今見た。
乙!
いったんってことは長編になるのかな? 楽しみだ!
乙!