1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ドレディアたん可愛いお
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 20:27:25.88 ID:1JKtKr5s0
左目を刺すような痛みで目が覚めた。枕もとの時計を見ると、
まだ午前四時だ。こんな時間にいったい誰が。行こうか、感覚
から察するに、使用者はかなり近い場所にいる。しかし出かけ
る準備をしている間にどこかへいってしまう可能性もある。何よ
り、眠い。
川
- -)「まあいいか」
体をベッドに沈め、私は再び眠りについた。
左目を刺すような痛みで目が覚めた。枕もとの時計を見ると、
まだ午前四時だ。こんな時間にいったい誰が。行こうか、感覚
から察するに、使用者はかなり近い場所にいる。しかし出かけ
る準備をしている間にどこかへいってしまう可能性もある。何よ
り、眠い。
川- -)「まあいいか」
体をベッドに沈め、私は再び眠りについた。
第三話 白い欲望
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 20:30:25.54 ID:0tfBWiow0
支援
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 20:32:21.81 ID:1JKtKr5s0
( ^ω^)「これで十人目! 切り裂き太郎に気をつけろ……」
昼放課、内藤と机を並べ、弁当を食べている。
( ^ω^)「だっておwww太郎wwwセンスねーおwww」
川 ゚ -゚)「不謹慎だ、内藤」
( ^ω^)「サーセン」
切り裂き太郎というのは今世間を賑わせている殺人鬼だ。彼の
犯行は少し特殊で、切り口が異常なまでに綺麗なのだ。そして、
まるで豆腐のように人体を切り刻む。四肢を切り離し、足だけを
持って行く。極めつけは現場に必ず残される“切り裂き太郎に気
をつけろ”という血文字。十件全て同じ内容で、しかも誰も犯人ら
しき人間を見かけない。ここまでするのにはかなりの時間がかか
るはずなのに。
( ^ω^)「でもコレ結構怖いお。段々この町に近づいてきてるし」
そうなのだ。彼の犯行現場が一件ごとにこの町に迫っている。
ここのところ、その噂でこの町は持ちきりだ。
川 ゚ -゚)「内藤も気をつけることだ。特にあの子、可愛らしいし、何より
か弱い。君が守らなければ」
( ^ω^)「そうだ! ツンは絶対守ってみせる! たとえこの命に代
えても!」
川 ゚ -゚)「その意気だ」
内藤のガールフレンド、ツンは他校に通っている。毎日一時間か
けて出迎えしているという溺愛っぷりは、正直病的なものを感じさせ
るが、まあこれも一つの愛の形なのだろう。他の男とどんな会話を
したのか聞きだしたり、メールにはどんな状況でも二分以内に返信
するのも、愛の形だ、多分。経験の無い私にはよく分からない。
( ^ω^)「ところで」
先ほどとは段違いに落ち着いた声色。この落差はなかなか慣れな
い。そっと耳元に口を寄せてきた。
( ^ω^)「今日の七時から、いつもの場所で」
川 ゚ -゚)「ああ」
それからは他愛も無い馬鹿話で昼放課を過ごした。さて、今日は何
人殺せるか。
自転車に跨り、ペダルを漕ぐ。さらに速度を上げる。急げ、急げ。
景色は後ろへ飛んで行き、風は僕を叩き続ける。気持ちいいけどそう
長くもこのままではいられない。彼女を迎えに行かなきゃ。
ξ゚听)ξ「今日も来てくれたの」
( ^ω^)「もちろん、さあ帰ろう」
ツンを校門の前で見つけた。よかった、間に合った。頬をつたう汗を
袖で拭う。
ξ゚听)ξ「今日はね、渡辺さんがびっくりする様なことをしたの」
ツンの話を聞きながら、自転車を牽いて帰路につく。ああ、なんて幸
せな時間なんだ。
ξ゚听)ξ「それでね……カエルをメ……って」
君はそのままで居てね。誰が君を殺そうとしても絶対守って見せる
から。どんな方法を使ってでも、ね。
白い床に目を落としながら進む。目的地は病室。ネームプレートには
素直ぃょぅと刻まれている。
川 ゚ -゚)「入るぞ」
二、三度ノックをして部屋に入る。ぃょぅはベッドの中で本を読んでいた。
(=゚ω゚)ノ「久しぶり、姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「うん、体の調子はどうだ?」
(=゚ω゚)「ぼちぼちかな」
そうか。としか返せなかった。
弟は半年前、突然足が動かなくなった。原因は不明。医師は精神的な
ものではないかと言っていた。
彼は走るのが好きだった。エースとまではいかないまでも、所属してい
た陸上部ではかなり速いほうだったし、一日でも走れない日があると暴れ
だすほどだった。
ぽつぽつと会話が続く。友達が遊びに来た。祖父が見舞いに来た。早く
走りたい……。
(=゚ω゚)「姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「ん?」
(=゚ω゚)「僕、治るよね」
川 ゚ -゚)「……」
――ああ。
このやり取り、何回繰り返しただろう。その度にぃょぅは不安そうに
眉尻を下げ、私は目を逸らして答えた。
川 ゚ -゚)「……じゃあ、姉ちゃんもうそろそろ行くね」
そうやってまた逃げる。弟からも。
(=゚ω゚)「うん、学校、がんばってね」
そして、自分自身からも。
川 ゚ -゚)「うん」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 20:40:28.88 ID:ejAbNGjf0
改行が・・・
静かな夜、裏道で息も切れ切れの見知らぬ男を追い回す。深夜だからだろう
か、辺りに人は居ない。ベルトの左側に挿しておいたナイフを抜き、投擲する。
わずかに街灯を反射させながら、ナイフは空を滑り、男へ向かう。
「ひい!」
男はナイフに気づき、咄嗟に横に飛んだ。が
「あぐぅ」
ナイフは軌道を変え、男の背に刺さった。それと同時に湧き上がる、狂気。
頬が歪む、手が震える、視界が澄み渡る。斬りたい、傷つけたい、殺したい。
川 ゚∀゚)「ぁはあ!」
今度は右のナイフを放る。のた打ち回る男の背に、もう一本。さらに今度は
鞄からナイフを取り出す。四本、死ね、しね。
川 ゚∀゚)「死ね!」
刺さったナイフを操り、無理矢理引き抜き、もう一度刺す。繰り返す。血が
出る。男は動かなくなった。私は笑った。笑って笑って、最後に吐いた。
「おい」
自動販売機で買った水で口を漱いでいると、後ろから誰かが声をかけてきた。
「……遅かったか」
声の主はギコだった。
(,,゚Д゚)「……なあ、もう止めないか?」
埴屋ギコ。私の同級生で、彼はこの空持ち同士の殺し合いを止めさせるのが
目的だ。能力発動の気配を感じ取っては現場へ向かい、邪魔をする。
(,,゚Д゚)「クーの弟だって、こんなこと望んでないはずだ」
そしてロマンチスト。私は彼が苦手だ。
川 ゚ -゚)「君には関係ない」
(,,゚Д゚)「関係ないなんて関係ない」
川 ゚ -゚)「ガキめ」
(,,゚Д゚)「悪いか」
駄目だ。彼と問答していたらきりが無い。ナイフを回収して、さっさと帰ろう。
ギコに背を向け、死体に近づく。死体の下半身はすでに消えかかっていた。
(,,゚Д゚)「どうしてクーは嘘を吐く?」
無視。何が嘘だ。
(,,゚Д゚)「殺したくも無い相手を殺し続けて、何が残る」
うるさい。死体は頭まで消えている。
(,,゚Д゚)「罪の意識があるだろう、殺した相手、そしてその家族、知り合い、友達、
恋人……クーくらい優しければ、人一人殺すことの悲しさは分かってるはずだ」
回収完了。さっさと帰ろう。今日は疲れた。
(,,゚Д゚)「血にまみれた願い事なんて、クーは望んで」
川 - )「うるさい。これしかないんだよ、他にあるのか方法が。だったら教えてくれ。
私を、ぃょぅを救ってくれよ。なあ、なあ!」
ぃょぅの様態は段々と悪い方へ向かっている。最初は足だけだったのに、今は
腰まで動かなくなった。気づかぬ内に、私の手はギコの胸倉を掴んでいた。
(,,゚Д゚)「……すまん」
彼だって私を気遣ってこんなことを言っている。でも、それで足を止めるわけには
いかない。殺す。殺して、殺して、私は願いを叶えるんだ。今は、こんなものにしか
縋れないから。
(,,゚Д゚)「でも、俺はお前らを止める。こんな殺し合い、絶対止めるからな」
勝手にしろ。鞄にナイフを詰め、私は静かに立ち去った。
うふふ。スキップしそうになる足を落ち着かせながら、家へ急ぐ。今日はお父さん
が帰ってくる。
爪゚ー゚)「えへへっ」
だめだめ、落ち着いて。怒ってる振りしてお父さんを困らせちゃうんだから!
爪^ー^)「〜♪」
口笛くらいはいいよね? ああ楽しみ。何から話そう? 友達ができたこと? テスト
で三番取れたこと? 迷っちゃう!
「あのう……」
最初は虫の鳴き声かと思ったけど、どうやら人の声みたい。振り返ってみると、目元
がキリッとしたかっこいい男の人がいた。やだ、見られてた?
爪*゚ー゚)「な、なんですか?」
だったら恥ずかしいなあ。
( <●><●>)「いえ、あまりに楽しそうだったのでつい……」
やっぱり。いやーんもう!
( <●><●>)「――殺したくなっちゃいましてね」
え。何今の。
( <●><●>)「いいですよね、殺しても」
男の人が動き出した。ゆっくりと、ぎらついた目で。こっちに。ぶらりと垂れ下がった手
には、大きな鋸。
( <●><●>)「おいしそうな足だ、早くバラしたい」
失礼。そう言って男の人は口の端をぬぐった。
爪;゚Д゚)「助けて!」
逃げなきゃ。私は大声を張り上げて駆け出した。
( ^ω^)「まーたギコか。まいっちゃうね」
別の場所に隠れていた内藤と合流し、また別の空持ちを探す。あれから三時間。まだ反応
はない。今日はもう帰ろうか。
( ^ω^)「……前から気になっていたんだけど」
川 ゚ -゚)「なんだ」
( ^ω^)「本当に君はぃょぅ君の病気の原因について知らないのかい?」
川 ゚ -゚)「ああ」
そうだ。私は何も知らない。姉なのに、家族なのに、何も。
あの日、私は学校に残って勉強をしていた。九時くらいだっただろうか、勉強も一段落し、帰ろう
と学校を出たとき携帯電話が鳴った。ディスプレイには自宅の番号。でると、泣き叫ぶぃょぅの声。
わき目もふらず家へ向かい、ぃょぅを探した。ぃょぅは電話元で倒れていた。それから救急車を呼んだ。
そのあとは忙しくてよく覚えていない。もしあの時間私がぃょぅと一緒にいたら、もっと早く帰っていた
ら、何か変わっていたかもしれない。それどころか、こんなことにもならなかったかもしれない。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 20:52:55.93 ID:mX094CHg0
文書くの下手糞だな・・・
ぃょぅは記憶を失っていた。そして、足の機能も。侵食は今も続いている。このままだと、もしかしたら
ぃょぅは死んでしまう可能性がある。それだけは。
川 ゚ -゚)「いやだ」
( ^ω^)「ん?」
ぃょぅが治ったら、殺した人を生き返らせるよう願えばいい。
川 ゚ -゚)「なんでもない」
だから、止めない。誰にも止めさせはしない。
ずきり。
あまりの激痛に、しゃがみこんでしまった。きた。二人目だ。
( ^ω^)「行こう」
頷き、私はナイフをベルトに挿した。
爪゚ -;)「ぅ……あぁ」
この声、この肉、この感覚。最高だ。背中から血を流す少女を追いかけながら、僕は勃起を抑えられなかった。
爪; -;)「たすけて……」
傍の男に助けを求めるが、見向きもしない。
爪 - )「どうして」
僕のせいだよ。悪いね。
(*<●><●>)「まってくださいよ、ねえ」
少女は僕の声を無視し、ひたすらか細い声で助けを求めながら、逃げる。もったいない。もっと頑丈で、もっと
元気な女の子だったら。じっくりと、余すことなく楽しめるのに。青白い少女、血が大分抜けて、見る影も無い。
必死に公園に入っていく。
もう駄目か。いっきに駆け寄り、押し倒した。抵抗する力も残っていないのか。やりすぎたかな。
(*<●><●>)「まあ、いいや」
鋸を太もも辺りに突きつける。僅かに足が震えた。いいね。鋸を押し付け空を使った。太ももはバターのように
するりと切れた。血と、断末魔が吹き出た。後、僕の精子と叫び声も。まだ生きてる。何か言ってる。耳を近づけ
ても聞こえない。
( <●><●>)「帰ろ」
もう片方の足を切り離し、持ち帰るために袋に詰めた。そして、お約束の……。
「おい」
あれえ? おかしいな。
( ^ω^)「あんたは……切り裂き太郎?」
空使ってんのに、気づかれた?
( ^ω^)「まあいい」
まあいい。見たところ敵は二人。片方は女の子だし、足綺麗だし。
( ^ω^)「死んでもらうよ」
殺しちゃうか。
まさか切り裂く太郎と出くわすとは。こいつは何をするか分からない。まずは様子見だ。
ナイフを一本抜き、投げつける。奴は難なく鋸で弾き、にやりと笑った。馬鹿め。弾かれた
ナイフを操り、進む方向を切り裂き太郎へ向けた。
( <●><●>)「……あ?」
笑顔が醜く歪んだ。その一寸後に咆哮。肩に刺さっているナイフを気にとめることなく突っ込んできた。馬鹿め馬鹿め。
さらに二本。いける。今度は初めから目を狙う。死ね。
(*<●><●>)「うひゃ」
しかしナイフは左腕に阻まれ、目に届かなかった。切り裂き太郎との距離は残り僅か。下がるか。
(*<●><●>)「待てよっ!」
間に合わなかった。体ごと突っ込まれ、それに押されるように倒れた。
(*<●><●>)「綺麗な肌だなあ、裂きたいぃ!」
こんな奴が今までどうやって警察の手から逃れられていたのか、不思議でならない。そして腹辺りに硬い何かが
当たっている。変態め、不愉快極まりない。
(*<●><●>)「じゃあ、いただきま」
言い終わる前に、切り裂き太郎は吹っ飛んだ。大きなハンマーを持った内藤が駆け寄ってくる。
( ^ω^)「大丈夫?」
返事をせず立ち上がる。奴は横腹を押さえていた。
( <●><●>)「ちっくしょ……」
一気に畳みかけようとナイフを抜くと、奴は突然吼えた。
(#<●><●>)「次会ったら殺すからな! 覚えとけ!」
あまりの情けなさに、手を止めてしまった。これ幸いと、切り裂き太郎は公園のフェンスを越えようと走り出す。
川 ゚ -゚)「逃がさん」
内藤に合図を送り、空を止めさせる。そして、ナイフを二本投擲。それぞれのグリップ底の輪に釣り糸を結びつけた物だ。
二本のナイフは互いに一定の距離を取り、並列して切り裂き太郎へ向かう。
(;<●><●>)「おわっ!」
ナイフは切り裂き太郎の目前を横切り、くるくると奴を中心に回りだす。切り裂き太郎は釣り糸に足を取られ転んだ。
(;<●><●>)「やばい!」
鞄から一番大きなダガーナイフを取り、投げた。チェックメイトだ。
「前無さん!」
突然釣り糸が発火し、切れた。まずい、逃げられる。ダガーの飛ぶ速度をさらに上げる。
(;<●><●>)「頼むロマ!」
今度は私の視界を遮るように炎の渦が出現した。ダガーが見えない、これでは空が使えない。
立てますか? うるさい! 声はするのに追いかけられない。
やがて渦が消えた。しかし、晴れた視界に切り裂き太郎はいなかった。
ちくしょう、ちくしょう。悔しい、悔しすぎてイライラする! どうして俺がこんな目に。ふざけんなクソが。骨が折れてるよう
だし、今日は踏んだり蹴ったりだ!
(#<●><●>)「クソ!」
傍らのゴミ箱を蹴飛ばす。隣のロマネスクが震えただけで、気分は悪いままだ。
(;ФωФ)「落ち着いてくださいよ前無さん、また次があるでしょ?」
そうだ。今回居は駄目だったがこれで終わるわけじゃない。むしろ、これで新しい獲物が見つかった。絶望させてやる。
特にあのガキ、すかした顔しやがって。俺はワカッテマスだ。シリアルキラー切り裂き太郎だ。強いんだよ、勝手なんだよ。
( <○><○>)「ああああああああああああああああ!」
今日が本当の、切り裂き太郎の始まりだ。
「やあ」
暗闇の中に鉄の檻が一つ。そこに僕が閉じ込められている。ここは夢の中、久しぶりに空色の彼が現れた。
( ^ω^)「どうかしたの」
「いやいや、面白かったよ今日のあれ」
見てたのか、そういえば、彼は僕が誰かを殺すと、絶対夢に出てくるな。
( ^ω^)「それはどうも」
「うん、もっと殺していいから。……あ、そういえば一つ言っておかなければいけないことがあるんだけど、聞く?」
( ^ω^)「聞かないことのメリットはないでしょ」
「ごもっとも。それじゃあ……とうとう空持ちが百人になった」
( ^ω^)「ふうん」
「だから、君達に新しいルールが課せられる。引き合うことだ」
引き合う?
「明日から君達空持ちは嫌でも戦う羽目になるってこと。迂闊に空を使うと、簡単に見つかっちゃうよ」
なるほど。
( ^ω^)「でも、どういうに風に引き合う?」
「運命操作、そうせざるを得ない状況になるんだ。まあ、その内分かるよ」
相変わらず不親切な説明だが、願いを叶えるためだ、我慢我慢。
「じゃあそれだけ、バイバイ」
暗闇がひしゃげる、それに巻き込まれ、僕の意識はぶつりと切れた。
了