空のようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
立つわけ無いよこんなおかずじゃ
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:45:57.44 ID:Sr5gx5oM0
ソウ思ったけど
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:45:59.57 ID:ZvM1X4mP0
 まず三人に囲まれ、逃げ場を失った。
 次に殴打。完璧に腹に決まり、両手で頭を庇いその場にうずくまる。
 最後に蹴り。地べたに転がった俺の体は、6本の足に踏まれて蹴
られて汚された。
 やがて蹴りが止み、足が移動する音が聞こえ、遠ざかっていった。
屋上に残ったのは俺だけになった。

('A`)「いっつ……」

 チラリと入り口に目をやる。誰もいない。

('A`)「クソったれ」

 見えない相手にしか悪態のつけない自分が情けない。
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:47:13.60 ID:ZvM1X4mP0


   第一話 希望を胸に空へ舞う

5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:48:29.47 ID:ew8fXWve0
しえんだよ
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:49:11.47 ID:ZvM1X4mP0
 焦げた雲の浮かぶ空の下、俺はリンチで痛む体を引きずって歩く。
とある不良グループに目をつけられて以来、このパターンが日常化し
つつある。といっても、目をつけられたのは一週間前のことだから、日
常化とはまだ言えない。じきにそうなるだろうが。

('A`)「どうしてこうなった」

 左腕を押さえて呟く。痛すぎて涙が出た。

(;A;)「どうしてこうなった……」

 きっかけは些細なことだった。カツアゲに抵抗したからだ。

('A`)「あの時素直に渡していればなあ」

 今頃有り金全部取られてボッコボコ、なんてことにはならず、ボ
ッチライフを密かに堪能できていただろうに。
 ため息を吐き空を見る。

('A`)「飛びてえな」

 この空をどこまでも飛んでいって、嫌なことや煩わしいことから
逃げ出したい。今いる最低の肥溜めから飛びたって、自由な空へ
と逃げ出したい。
 もう一度ため息。そんな簡単にはいかねえよな。なんとなく悔し
くなって、俺は走り出した。
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:50:05.81 ID:bwYCerSf0
なんだか切ない雰囲気
支援
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:52:04.70 ID:6qbeCatC0
しえん
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:52:36.95 ID:ZvM1X4mP0
('A`)「ただいま」

 足早に自室へ向かう。こんなくだらないことで親に心配をかけた
くないから……というのは建前で、本当は親が鬱陶しいからだ。親
だけじゃない。お隣さんも、クラスメートも教師も政治家も、そしてあ
の不良共も、なにもかもみんな鬱陶しい。なぜか憎い。消えちまえ
ばいい。

('A`)「……眠い」

 なんにもやる気が起きない。俺はベッドのに倒れこみ。目を瞑っ
た。すぐに意識が朦朧としてきて、軟らかい泥のように崩れた。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:54:09.10 ID:ZvM1X4mP0
 夢だ。
 目の前を鯨が通り過ぎた。それに続き、トリケラトプスやダンゴ
ムシも通り過ぎた。親もお隣さんもクラスメートも教師も政治家も
不良も通り過ぎた。皆通り過ぎた。
 ぼうっとそこで突っ立っていると、誰かに声をかけられた。

「やあ」

 見知らぬ男だった。空色の肌が神秘的だ。

('A`)「どうも」

 とりあえずあいさつ。男は軽く頷き上へ指を差した。

「飛ぼうよ」

('A`)「は?」

 気づけば、俺の体ははるか上空へと飛んでいた。

(;'A`)「ちょ、ちょっと」

 急すぎて事態に対応できない。ぐんぐん飛ぶ体。天井のないこの
場所では、俺の体は永遠に上に行くことになる。

(゚A゚)「止まれ!」

ぴたりと停止。おお。

('A`)「すっげえ」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:56:09.84 ID:ZvM1X4mP0
 下には俺を見上げる人の群れがある。上には綺麗な空。
 飛ぼうと願うと体が再び上へ向かいだした。

「楽しいかい」

 並走する空色の男が言った。

('∀`)「サイコー」

 風を浴びながら答える。

「ならば差し上げよう、君に」

 空を。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:56:57.53 ID:ZvM1X4mP0
 最高の目覚めだ。あのときの浮遊感、風の勢い、綺麗な空の色。
今の俺には何か得体の知れない充実感がある。

('A`)「……」

 まだ五時だし、風呂に入るか。朝風呂なんてイケメン過ぎるぜ、
俺。笑顔を抑えきれぬまま、俺は風呂場へ向かった。


 洗った体に服を着せ、登校の準備をする。不思議だ、今ものすご
く動きたい。

('A`)「また飛びてえな」

 ちらりと窓の外の空へ目をやる。雲一つない、澄みきった空。

――願え

13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:57:18.67 ID:bwYCerSf0
何か起こるのか?
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:58:39.59 ID:ZvM1X4mP0
('A`)「……え?」

――願え、代償を払い、空を願え

 頭の中を声が支配する。なんだこれ、テレパシー?

――願い、空を、飛べ

 次の瞬間、俺の体は地から離れた。

(;'A`)「うおっ!」

 咄嗟に地面を頭に思い浮かべると、体が落ちた。
 飛べる? 今、俺は。

('∀`)「飛べる……」

 俺は顔が歪むのを抑えられなかった。
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:58:56.19 ID:VYdLER0qO
ふいんき(なry)好きかも支援
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:00:54.64 ID:ZvM1X4mP0
 いつもと違う学校。脳内を埋め尽くす全能感。視界の中の人間が
豚に見える。崇めろ、称えろ。俺は飛べる。貴様ら豚には到底でき
ないことができる。今まで俺を馬鹿にしてきた奴だって空は飛べな
い。ざまあみろ。
 俺は二日学校を休んで、空を飛んだ。

 今日の彼はいつもと様子が違った。自信の無さがにじみ出んばか
りの猫背、常に伏せている目、湿っぽい雰囲気。それが、ない。まる
で人が変わったかのようだ。二日間に何があったのだろう。

川 ゚ -゚)「おはよう」

 何故か挨拶がしたくなった。ドクオはにや、と笑い、おはようと返して
きた。

( ^ω^)「おいすークー」

 どうかしたのかと聞きたかったが、内藤に邪魔されてしまった。

川 ゚ -゚)「ああ、おはよう」

 ドクオは会話が終わったのを確認したからか、教室から出て行っ
てしまった。追いかけようとしたが、結局内藤の無駄話に付き合わ
されてしまい、できなかった。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:03:19.54 ID:ZvM1X4mP0
 俺は今屋上へ向かっている。周りに人はいない。もうすぐ一限目
が始まるからだ。まだ顔が歪んでいる。戻らない。どうでもいいか。
それより屋上だ。階段を上がり、鍵の壊された扉の前に立つ。

('∀`)「いひひ」

 ベルトに挿した鉄パイプを学ランでうまく隠れているか確かめる。
大丈夫。見えない見えない。見えてもいいか、いいか?
 大丈夫。二日も学校サボって飛ぶ練習したんだ。いけるさ。

('∀`)「こんちはー」

 扉を開く。たむろしている不良数人を見つけると、俺はそれに近
づいていった。
 たむろしている不良の中で、タバコを吸っている奴が俺に気づき
、下品な笑いを浮かべた。いつもの俺なら心の中で奴に唾を吐きか
けていただろう。だが今は違う。俺はタバコに笑顔を返した。予想外
の反応だったのか、怒りと戸惑いの混じった目でタバコは俺を睨んだ。

(  ゚∀゚ )「よおドックン、約束憶えてたんだな」

 俺を囲むように、不良共は立った。

(  ゚∀゚ )「ほら、イクラだっけ、百万だっけ」

「五万です、アヒャさん」

(  ゚∀゚ )「そーだっけ」

 ぎゃはは、と取り巻きが笑う。俺も笑う。
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:05:43.55 ID:ZvM1X4mP0
(  ゚∀゚ )「ま、いーや。十万出せ。ないならリンチな」

 ずいと不良の親分、アヒャが俺との距離をつめる。

('A`)「ねーよ」

(  ゚∀゚ )「あ?」

('∀`)「ないっつってんだよ!」

 ベルトから鉄パイプを引き抜きながら、俺は飛んだ。

('∀`)「いひひ、いひ」

 空中で停止する俺を見て、不良共がぽかんと口を開けている。俺
は鉄パイプの先を口に向け、急降下した。

「う、うわ」

 慌てて口を閉じるが、鉄パイプは唇も歯も巻き込んで喉へ入った。
笑いが、止まらない。
 続いてへたり込んでいる金髪と茶髪の襟を掴み、飛んだ。フェンス
を越えて校庭の真上に到着。痛いと喚く不良二人を放す。数秒たって、
どちゃりと音がした。校庭には崩れた肉二つ。血が出てた。腕折れてた
。あと一人。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:06:29.75 ID:bwYCerSf0
支援
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:08:26.85 ID:ZvM1X4mP0
('∀`)「アヒャぁ」

 出口へ走るアヒャを見て、俺は願う。

('∀`)「やらせろ!」

 体が勝手に動く、アヒャに向かって足をアヒャに向ける、足がアヒャ
に当たる吹っ飛ぶアヒャは潰れた俺の足も潰れた。

('∀`)「痛い、気持ちいい!」

 叫んだ。
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:10:50.65 ID:bwYCerSf0
こわい……
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:11:16.00 ID:ZvM1X4mP0
 ピクリと体が震え、左目にぴりりと痛みが走る。いる、私と同じ者が、敵
が近くにいる。どうしようか、とりあえず放課後、彼と探してみよう。まだ左
目が痛むということは、まだ見ぬ敵は学校内にいる。ならば学校関係者の
可能性が高い。見つけ出して、殺さねば。
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:13:35.38 ID:ZvM1X4mP0


   第二話 絶望を孕み地に伏す

24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:15:35.53 ID:ZvM1X4mP0
 廃工場の中で俺は泣いていた。アヒャを蹴り飛ばした足がおかしな
方向へ曲がっていて、血も出てて、それから、それから……。

(;A;)「痛い」

どうしてあんなことしちまったんだ。どうして空飛べるんだ。どうしてこ
んなに痛いんだ。
 痛くて考えがまとまらない。早く病院に行かなきゃ。あれ、そういや俺
人殺したんだ。行けない。どうしよ。飛ぶか、飛んで全部忘れちゃうか。
いいね、いい。
 俺は願い、空へ消えた。
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:18:20.45 ID:ZvM1X4mP0
 左目に痛みが走り、思わず唸る。

(’e’)「誰だ?」

 左目が痛むということは、近くで誰かが空を使ったということだ。下手
すると俺が戦う羽目になる。痛いのはいやだからなるべくここから早く離
れたい。できればその誰かに見つからない内に。

「おい」

 おでましか。強くないといいけど。恐る恐る声のほうへ向くと、そこには
足を怪我したひょろっちい男がいた。

('∀`)「いってえんだけどなんとかなんない?」

 幸薄そうな顔に笑みを貼り付けている。どこかで見覚えがある。確か同じ
学校の……。

('∀`)「ねえってば」

(’e’)「あっ!」

 そうだ、ドクオ。アヒャに目つけられてた可可哀相な奴。

(’e’)「お前。ドクオだよな」

 こいつが奴に選ばれたのか。いや、もしかしたらただの被害者? なんに
せよ情報が足りない。
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:18:31.99 ID:bwYCerSf0
支援
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:21:19.72 ID:ZvM1X4mP0
('∀`)「お、俺のこと知ってんの。嬉しいねえ」

 よく見ると右足があらぬ方向へ曲がっている。ぱっくりと逆方向に曲がっ
てもげそうな右膝から骨やら何やらが剥き出しになっていて、正直見るに
耐えない。吐きそうになる。

('∀`)「アヒャ殺したんだけどさ、そのときにちょっと足怪我しちゃってさ
あ。病院行こうにも俺人殺しだし捕まりたくないし。だからお前の家に隠れ
させてくんない? 人助けだと思ってさ、ね?」

 一番気になるのは足の怪我の酷さとドクオの振る舞いだ。あまりに痛みを
感じさせる素振りがない。なら能力は痛みを消すタイプのものか。

(’e’)「いいぜ」

 今のところドクオに敵意はなさそうだ。なら今のうちに引き込んでおくの
もいいだろう。いざとなったらこいつを殺せばいい。承諾しておこう。

('∀`)「サンキュー兄弟! さっそくお前ん家行こうぜ!」

 言うや否や俺とドクオの身体が浮かび上がった。それにつられるかのよう
に歪みを増すドクオの顔。なるほど、痛みを消すのは代償の方だったのか。

('∀`)「さあ案内してくれよ!」

 こいつは使える。俺は心の中で静かに微笑んだ。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:22:14.17 ID:bwYCerSf0
ドクオが狂気に飲み込まれてるな
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:24:16.34 ID:ZvM1X4mP0
 応急処置としてドクオの足に包帯を巻いてやった。消毒とかは知らん。どう
せあってもする気はない。
 力を得た経緯やアヒャ殺しについて聞いていて気づいたが、どうやらこいつ
は空について何も知らないらしい。空色の彼と出会っているらしいのに、彼か
ら説明を受けなかったのか。

('A`)「なんだよ空って、俺聞いてねーぞ」

 ふわふわと浮かびながらドクオは腕を振り回した。怒っているのだろうか。

(’e’)「だったら説明してやるよ。その代わりに俺と手を組んでくれ」

('∀`)「オッケー!」

 えらくあっさりしている。どうせ何も考えていないのだろう。

(’e’)「じゃあまず……そうだな、空色の男に会ったか?」

('∀`)「おうよ、そいつのおかけで俺は空が飛べるんだ!」

 ひひ、と笑うドクオを無視し続ける。

(’e’)「その特殊な能力が空だ。何故か知らないが、彼はそう呼んでいる」

('A`)「へえ……あれ、なんでそいつは俺に空を寄越したんだ?」

 これは言うべきか……。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:26:56.23 ID:ZvM1X4mP0
('A`)「なあどうなの」

 まあいいか。

(’e’)「俺たちに殺し合いをさせたいらしい」

('A`)「へ?」

 一瞬、ドクオの目に疑いの色が見えた。まずいな。

(;’e’)「いや、その、正確に言うと少し違うな。殺したくなければ殺さなくていい」

 ドクオは黙ったまま顔を曇らせる。

(;’e’)「俺達、空を授けられた人間は、同じ空持ちを殺すと目標が見えてくる。
この目標というのが説明しづらいんだが、端的に言えばその目標を殺すと願い
が叶うんだ」

31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:29:18.33 ID:ZvM1X4mP0
('A`)「願いが?」

(’e’)「ああ、目標は人間らしい。俺も3人ほど殺したが、まだ目標は見えない。
だからうまく説明できないんだ」

 俯いたまま、ドクオは沈黙した。纏まりの無い話し方だから分かりにくかったの
だろう。もしもの時のために、そっとポケットへ手を忍ばせる。

('A`)「それ、信じていいか?」

 こちらを見据え、真面目な声色でドクオは言った。よし。

(’e’)「好きにしてくれ」

 ニタリとドクオは笑った。
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:31:57.58 ID:ZvM1X4mP0
 すっかり日が落ちた廃工場は暗く、俺の手元の懐中電灯が無ければろくに前も
見えないほどだ。

('A`)「じゃあ、頼むぜ」

 すっとドクオは闇の中に消えた。

(’e’)「めんどくせえ」

 小さく息を吐く。どうして俺はこんなところにいるのか。暗いし寒い。何より、親に
黙って出てきている。ばれたら一大事だ。

(’e’)「まだか……」

 原因はドクオの提案だ。なんでも、奴は片思いの女がいたらしい。しかし自信の
ない奴はろくに会話もできず、今まで過ごしてきた。だからこの廃工場に呼び出し
て告白がしたいと。受け入れてくれなかったら強姦するだの言い出した。あほか。
だが、あの時下手に逆らったら俺が殺されていたかもしれないし、もしかしたら俺
もおこぼれがもらえるかもしれない。学内でもかなりの美人の素直が相手なら、む
しろ望むところ。……実はこっちが本当の理由だったり。

「おおーい」

 入り口の方から声が聞こえた。慌てて涎をすすり、身を隠す。
 ドクオの作戦は、まずドクオが懐中電灯を点して素直の気を引きつけ、俺が後ろ
から襲い掛かるというシンプルなものだった。工場内には入り口脇に積まれた角材
以外に物はないので、俺はその後ろに隠れている。
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:34:28.44 ID:ZvM1X4mP0
「誰もいないのか」

 がらんとした廃工場に再び声が、それと足音が響いた。俺の明かりは先ほど消し
たので、工場内を照らす物は月明かりくらいしかない。ふと、工場の奥で明かりが
点された。

川 ゚ -゚)「君は……」

(;'A`)「こ、こんちは素直しゃん」

 いきなり噛みやがった。

川 ゚ -゚)「ドクオか、どうしたんだ今日は。急にいなくなったから先生が驚いていたぞ」

 そして不良殺しの疑いもかけられていたな。

(;'A`)「ちょっとね……それより、言いたいこと、ある、んだけど」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

 少しの静寂。さっさと言えよ童貞野郎。

(;'A`)「僕と……付き合ってください!」

 もうそろそろか。どうせ答えは決まっている。ゆっくりと腰を上げ、懐からスタンガン
を取り出す。空を手に入れてから、護身用に買ったものだ。

川 ゚ -゚)「無理だ、すまない」
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:36:33.93 ID:ZvM1X4mP0
 ほらな。スタンガンの電源を入れ、俺は空を使って姿を消し、素直の背後まで距離
をつめた。そして、スタンガンを素直に突きつけた。
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:39:37.17 ID:ZvM1X4mP0
 はずだった。
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:41:34.85 ID:ZvM1X4mP0
 は? は? は? なんんでなんでなんで? セント死んじまってるんだけど? あれ
って脳みそ? ひゃー!

(゚A゚)「ひゃー!」

 よく見るとクーが笑ってる。やばいなんでばれた嘘嘘嘘。

川 ゚ー゚)「どうした、顔色が悪いぞ」

(゚A゚)「ひゃーひゃー」

 飛べ!

(゚∀゚)「ひゃー!」
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:44:19.50 ID:ZvM1X4mP0
 突如ドクオの体が浮かび上がった。

(゚∀゚)「ひっひークーにゃん酷い酷い! 俺の愛の告白を一蹴しやがった! 許せん!」

 言うや否や、どくおは私の所へ一直線に降下を始めた。

(゚∀゚)「あひひひ!」

 しかし、私に届くことなくドクオの体は地に落ちた。

(;'A`)「ひいっ!?」

 意味が分からない、と言いたげな顔のドクオをよそに、私は鞄から取り出した数本の
ナイフを上空へ投げつけた。ナイフは空中で止まり、切っ先をドクオに向けた。そして、
吸い込まれるように全てドクオの顔に突き刺さった。そして私は笑った。そしてまた願い
に近づいた。

川 ゚∀゚)
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:46:28.15 ID:ZvM1X4mP0


 あれ、俺死んだ?

39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:49:05.64 ID:ZvM1X4mP0
投下終了
こんな夜遅くに支援ありがとうございました
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:51:18.58 ID:bwYCerSf0

これはあれか?
タイトルからしてホントの主人公はクーか?
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
>>40
正確にはあと数人主人公がいます