1 :
◆U.Ze.JZ4Hs :
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 23:32:03.96 ID:HWDn++Vc0
まっってた
3 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/12(日) 23:33:54.56 ID:tC/NdzU40
そんな、適当につけた酉ががが、、、
まあいいか
4 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/12(日) 23:38:57.98 ID:tC/NdzU40
――シュールントの村で調達した地図を開き、次の目的地を探す。
このまま東に10フェール向かった所に『トルド砂漠』があるらしい。
何kmあるか分からない砂漠を越えた先はアザード帝国の領土『水の都 ハルゼシア』
アザード帝国はフェストルにとって最大の敵国。
フェストル王国の王女デレンディアがそんな国に行けば即座に殺されるだろう。
そんな心配を余所に、デレはアザード帝国へ行くのを楽しみにしているようだ。
さすがにこれ以上危険な目に犯す訳にはいかない為、覚悟を決めて俺はデレに言った。
「自分の街へ帰れ」と。
それを聞いたデレは、途端に今まで見たことのない形相で俺を睨みつけ、
「冗談じゃありませんっ!」と怒鳴った。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 23:43:47.40 ID:tC/NdzU40
さらに怒鳴る。
ζ(゚ー゚*#ζ「私なら大丈夫ですっ!私のせいで皆さんが巻き込まれるなら、そうならないように……」
デレは腰に付けている小さなバッグから調理用ナイフを取り出し、フェストル王国の王族の証であるその輝く金色の髪を切った。
爪;'ー`)y‐「え、ちょデレッ…」
暴走したデレは躊躇することなく、次は服の腹の部分を引き千切った。
この場にいる者なら誰でも思っただろう。
爪;'ー`)y‐「「「(やり過ぎ……)」」」 ⌒*リ;´・-・リ(; ^ω^)
ζ(゚ー゚*#ζ「こうすればバレません!」
(; ^ω^)「いや…、あの…、逆に盗賊と思われるんじゃ…」
デレの服は見事にビリビリに破れ、まるで女盗賊のような格好に。
腹は露出し、白い肌が露になり目のやり場に困るのをコホンッ、と咳払いをして誤魔化した。
爪'ー`)y‐「それに砂漠越えするのにそんな格好じゃ日焼けするぞ」
ζ(゚、゚*ζ「………そ、そうでした…」
ズーン…、という効果音が聞こえてきそうな程落ち込み、先程の暴走をデレは後悔している。
6 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/12(日) 23:49:00.99 ID:tC/NdzU40
爪'ー`)y‐「とりあえず、……そうだなー…」
と、俺はまた地図を確認する。すると、トルド砂漠の前に丁度街があることに気付いた。
爪'ー`)y‐「ここ、レーラ荒原を抜けた所にある『ペルタン』っていう街で一旦デレの服を買おう。髪は…、もうどうしようもねェなぁ…」
ζ(;ー;*ζ「ごめんなさい…。私ったらつい興奮してしてしまって…っ。逆に皆さんに迷惑をかけてしましました…っ、う…っ、うぅ…っ」
余程さっきの行動を後悔しているのか両手で顔を覆い泣き出した。
爪;'ー`)y‐「な、泣くことないだろ…」
突然泣き出す彼女に後ずさりする俺。
ζ(;ー;*ζ「でもぉ〜…っ」
( ^ω^)「兄ちゃん泣かせたー」
⌒*リ´・-・リ「お兄ちゃんダメでしょー」
二人はまるで他人事のように俺達を置いて先へ進んで行く。
爪;'ー`)y‐「おいコラッ、お前らも慰めてやってくれよ!」
( ^ω^)「だって泣かせたの兄ちゃんだし、なぁ?」
⌒*リ´・-・リ「そうだよそうだよ」
爪#'ー`)y‐「何意気投合してんだっ!」
もろ半泣き状態で二人に助けを求め、なんとかデレを泣き止ませた。
7 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/12(日) 23:51:14.85 ID:tC/NdzU40
⌒*リ´・-・リ「あーあ…、髪もったいないなぁ…。凄く綺麗な髪だったのにぃ…」
リリは地面に落ちたデレの髪の毛を拾い、心底残念そうな表情で言った。
ζ(゚ー゚*;ζ「…うぅ……っ。で、でも髪はまた生えてきますし、何より髪だけは切ってよかったと思いますっ」
冷や汗をかきながら言デレ。本人に言えば悪いが全くもって説得力がない。
それはさて置き、そろそろ夕日も沈んでいく時間帯なので少し早歩きで『ペルタン』へと向かった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 23:52:48.95 ID:tC/NdzU40
六 【一人という虚しさ】
これだ!
10 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/12(日) 23:58:00.61 ID:tC/NdzU40
/# ,' 3「クソ…ッ!!」
私以外誰も居ない、とある研究室にて、何の罪も無いデスクを思いきり叩いた。
自分の孫を殺す為にあんな化け物を造っていると思うだけで虫唾が走る。
困ったものだ…。フォックスがあんな酷い目にあっているのは全て自分が悪いというのに……。
研究に没頭するあまり、息子ヒッキーには何もしてやれなかった。
私の妻はヒッキーがまだ幼い頃に病気で亡くなり、父子家庭になったというのに私の頭の中は研究のことばかりで、
全くといっていいほどヒッキーにかまってやれなかった。そのせいでヒッキーは『人を愛する』ということを知らず育った。
そして、いつしか『人を憎む』ようになってしまった。
その頃も私はまだ研究に没頭し、毎日毎日研究所に泊り込みで研究を続けており。
その成果を買われ、今ここの研究員となってまた研究をする毎日となっている。
ここの研究員になる前にヒッキーを孤児院へと連れて行き、心の内でヒッキーを捨てた。
全ての、この出来事の発端は私にあるのだ…。
11 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:01:30.00 ID:0yRcxnPI0
『人を愛する』ということを学ばずに育ったヒッキーは相手を利用する為だけに結婚した。
そして、産まれた自分の子供を兵士にする為に、
人を殺す殺人兵器にする為に、
まだ幼いフォックスを『兵士飼育所』へと捨てた。
私が研究をやめてヒッキーに『人を愛する』ということを教えていれば、きっとこんなことにはならなかった筈だ。
ヒッキーがあんな者になったのは、全て私が悪いんだ。
すまない、このまま生きていても、フォックス…、お前を殺す為だけに働かされるだけだ。
私はデスクの上にあるハサミを手に取り、
自ら、喉に刺した。
12 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:03:52.65 ID:0yRcxnPI0
これは単なる『逃げ』かもしれない。
だがこれで少しはあのトカゲの化け物、【ダグ】の強化などは出来まい。
私に出来ることは、残念だがこれで精一杯だ。
すまない。
本当に。
すまない……。
どうか、
生き延びてくれ、フォックス……。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:07:16.22 ID:0yRcxnPI0
――トルド砂漠に一番近い『ペルタン』
「はいっ、安いよ安いよ!砂漠越えする人には持って来い!水筒を三個セットで100ペスト!」
街中は砂漠の中という程砂塗れなのに、住民達の活気は物凄い。
(; ^ω^)「うひゃー、すっごい賑やかな街だお!」
ζ(゚ー゚*ζ「活気があって素敵ですねぇ」
その時、「そこのお姉ちゃん!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい…?」
突然、デレは屋台の中年男に呼ばれた。
「旅人さんかい?もし砂漠越えをするんなら、そんな服じゃ出来ないよ?」
14 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:12:18.90 ID:0yRcxnPI0
ζ(゚ー゚*;ζ「えっ、あ…。……私このままで来ていたの忘れてました…」
と、赤面して小声で言い、俺の後ろに隠れる。
爪'ー`)y‐「……この店では服を取り扱ってんのか?」
「扱ってるよ〜。服を買うならうちが一番だ!ほらお姉ちゃんっ、隠れてないでなんか買ってってよ」
ζ(゚、゚*ζ「……皆さんが選んでください…」
屋台の店主にもう近づきたくないのか、デレは前に出ようとしない。
その時、
⌒*リ*´・-・リ「これかわいーっ!」
リリが店の服を手に取り、瞳をキラキラさせその服を見ていた。
⌒*リ´・-・リ「デレンお姉ちゃんっ!これなんかどう?」
リリは俺の後ろに隠れているデレン手に取った服を見せに向かった。
ζ(゚ー゚*;ζ「まぁ、可愛いですけど………、これじゃ動きにくいと思うんですけど…」
そう。リリが手に取っている服はまるで国の姫が着るような…、まぁ実際には姫なのだが…。そんなビラビラの服を持っているのだ。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:18:34.22 ID:0yRcxnPI0
リリはしゅん…、と落ち込み、服を元の場所に戻した。
ζ(゚ー゚*;ζ「ご、ごめんんさいリリ…ッ、私そんなつもりじゃ…」
⌒*リ´・-・リ「いいのお姉ちゃん。そうだよね、戦いにくかったらダメだもんねっ」
「まあまあ、動きやすい服かい?これなんかどうだ」
店主が取り出したのは、白い服。肌触りは滑らかで、どうやら伸びる素材を使っているようだ。身体にフィットして動きやそうで、尚且つデザインもシンプルで、とても国の王女とはバレないだろう。
「これなぁ、結構いい素材使っててさ、お値打ちなものなんだよね。だから誰も買わなくてさー、正直困ってたんだよ」
と言いながら、服を持っていない方の手で頭をポリポリと掻く店主。
爪'ー`)y‐「値段は?」
「高いよー?5万ペスト」
爪;'ー`)y‐「(……誰が買うんだよ…)」
⌒*リ´・-・リ「もうちょっと安く出来ないのー?おじさん…」
「えー…。…まぁこの値段のまま売ってても拉致があかない、か……。だいたい何ペストなら買ってくれるんだい?」
店主はさらに頭を掻きながら渋々と答えた。正直、値引きするのが嫌、という表情だ。
爪'ー`)y‐「そうだなー…、確かにこの服は素材がいい。高いのも無理はない…。だが5万ペストは高すぎる。1万ペストってとこだな」
「1万なぁ…、そりゃ悪いがちょっと安過ぎるな。あ、そうだ!物々交換なんてどうだい?」
16 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:23:12.27 ID:0yRcxnPI0
ζ(゚ー゚*ζ「それなら…。リリ、これを店主さんに渡して下さい」
デレがリリに手渡した物は、ずっと付けていた酷く美しい蒼色の宝石のネックレス。
⌒*リ´・-・リ「おじさん、はいこれ」
「ん。んんっ?こりゃ!本物のマリン・ホールドじゃねェか!!」
デレの宝石を一目見た瞬間、どこからか虫眼鏡を取り出し吟味し始め、驚いた表情で叫んだ。
「お、お姉ちゃん!これどこで手に入れた!?」
ζ(゚ー゚*;ζ「えっ…、(ここでフェストル王国の王女ということを知られてはお父様に見つかってしまう…。
よし、ここは嘘をついて……、ああダメ…ッ!私嘘は苦手だったのを忘れていたわ…。でも嘘をつかなければっ、
皆さんに迷惑をかけない為にもっ!!)えっと…、あの、その……、ひ、拾ったのですっ、道中で!」
そんな無茶な嘘、通じる訳…、
「拾ったあぁっ!?どこで!?」
なんと、店主はデレの言葉を信じた。
17 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:28:27.39 ID:0yRcxnPI0
ζ(゚ー゚*;ζ「へっ!?いやあの…っ、どこかはあまり覚えていなくて……、ごめんなさい…」
「そうかぁ…。まぁこれをこの服と物々交換してくれるんなら喜んでするよ!他にもおまけで何か付けとくしさっ」
店主はとても嬉しそうだ。マリン・ホールドという宝石はどうやら相当の価値の代物らしい。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ありがとうございます!助かりましたっ!」
「いやいや、こちらこそありがとよっ!また店に寄ってくれなっ!」
俺達は店を離れ、今夜泊まる宿屋を探した。
ζ(゚ー゚*ζ「よかったです、無駄なお金使わなくて済みましたね」
爪'ー`)y‐「でもよかったのか?あのおじさんめちゃくちゃ嬉しそうだったし、相当の物だったんじゃないの?」
ζ( ー *ζ「いいんです。夫から貰ったものですが、別にいいんです……。あの人から貰ったものは私にとって何の価値もありません…」
夫のことを言い出すとデレは俯き、黙り込んだ。それに気遣うように、ブーンはすぐさま話を変えた。
( ^ω^)「…そっか。ってか、ずっと思ってたんだけど。名前、デレティナじゃなくてデレンだったんだお」
ζ(゚ー゚*ζ「…あら……?言っていませんでした?」
( ^ω^)「うん。デレンなんて、珍しい名前だな。地神の『デーレイム』って名前に似てる」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、あの…、…?絶対誰にも言わないでくださいね…?」
( ^ω^)「ん?何を?」
ブーンはデレの言葉に首を傾げて答えた。
18 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:33:30.25 ID:0yRcxnPI0
ζ(゚ー゚*ζ「私、フェストル王国の王女、デレンディア・キュルス・バルロイトなんですよ…」
(; ^ω^)「………へ…?え、マジかお?へ、嘘。うっそおおおおぉっ!?」
今更名前のことに気付く弟も鈍いな、と心の内でそっと思い、他人事のように、俺は呆然と空を眺めていた。
――『聖大都市グラマベルム』地下。辺りは暗闇に包まれ、大きなモニターの光だけが照らしている部屋にて、
今日も彼等の会談が始まっていた。
19 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 00:39:36.28 ID:0yRcxnPI0
(; ^Д^) 「申し訳ありませんっ!!!」
プギャーはモニターに向かって土下座をしている。
(; ^Д^) 「監視の者を付けていればこんなことにはならなかったのに……っ、本当に申し訳ありませんっ!!!」
( ФωФ)『まさか自殺するとはな……。スカルチノフ・ヴァルセリア…、彼は研究に熱心な者じゃった…』
(;`・ω・´)『ロマネスク!こんな事態に何故そんなに落ち着いていられるのだっ!!奴はダグ研究の教授だぞ!!死んだのであればダグの強化等がより難しくなるというのに…っ、あぁくそっ!!!』
シャキンは頭を抱え、机に膝をつく。
从 ゚∀从『だからってさぁ、お前焦り過ぎなんじゃねェかぁ?シャキンさんよぉ。ダグなんていくらでも造って出動させりゃいいだろうよ。
ようするに多勢に無勢ってこったぁ…ま、んなことすりゃあ周りの奴等からは信頼とか好感度がガタ落ちかもしれんけどw』
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:42:50.92 ID:0yRcxnPI0
(`・ω・´)『………まさに止むを得ん…か…。……プギャー』
( ^Д^) 「はっ」
(`・ω・´)『今すぐに、全研究所へ向かいダグ召集しろ。そして最新型巨大飛行戦闘機『エンザルド』に全ダグを乗せ、
フォックス・ヴァルセリア暗殺へと出動させよ!!』
( ^Д^) 「御意!」
プギャーは素早く敬礼をし、早急に部屋を出て行った。
( ФωФ)『困ったことになったのう…。次の国家会議であ奴等になんと言ったらいいんじゃ』
从 ゚∀从『適当に誤魔化せばいいだろ。…ってやっぱ無理か』
(`・ω・´)『…おのれフォックス・ヴァルセリアめ……っ。貴様みたいな屑の居場所などとっくに分かっている…。すぐに…、すぐに殺してやる…っ』
――ブツ…ッ!モニターの電源は消され、部屋はまた暗闇と化した。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:49:56.62 ID:0yRcxnPI0
――夜。今日は『ペルタン』で一泊し、明日の早朝にいよいよ砂漠越え、ということで満場一致した。
ということで、俺達4人はペルタンで一番安い宿で一夜を過ごすことに。
「はい、これが部屋の鍵ですよ。失くさないように気をつけて」
宿屋の運営をしている老夫婦から部屋の鍵をもらい、早速鍵のストラップに書いてある番号の部屋へと向かった。
爪'ー`)y‐「男組は302号室だな。そっちは?」
ζ(゚ー゚*ζ「303号室です。隣通しですね。ではまた明日の早朝に」
爪'ー`)y‐「あぁ、おやすみ」
ζ(゚ー゚*ζ「おやすみなさい」
デレが隣の部屋の扉に手をかけた時、デレに付いて行こうとしたリリが突然、俺に抱きついて来た。
爪;'ー`)y‐「リ、リ…ッ?」
リリは顔を上げ、ニパッ、と笑って
⌒*リ´^ー^リ「寂しがっちゃダメだよ?もう一人なんかじゃないんだからね」
爪;'ー`)y‐「ああ、わかったから!」
⌒*リ´^-^リ「それじゃ、おやすみ」
それだけ言い残して俺から離れた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:54:46.96 ID:0yRcxnPI0
( ^ω^)「……なに?兄ちゃん夜寝る時寂しがってたのかお?」
爪;ー )y‐「…はっ!?そ、そんなことねーよ」
リリの一言がバッチリとが的中し、少し驚いたがブーンの一言で正気に戻り、カアァッ、と顔が熱くなったのが分かった。
(* ^ω^)「赤くなってら、兄ちゃんかっわいー♪」
――ゴッ!!「いでっ!!?」しつこく馬鹿にしてくるので、俺はブーンの頭上に怒りの天誅を落としてやった。
爪#'ー`)y‐「馬鹿なこと言ってないでさっさと寝るぞ!!明日は早いんだ!」
( ^ω^)「って〜〜…、殴らなくてもいいじゃんお〜…っ」
先に部屋に入った俺に続き、ブーンは半泣き状態で殴られたところを摩りながら部屋に入った。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 00:59:09.96 ID:0yRcxnPI0
爪'ー`)y‐「んじゃ消すぞー」
( ^ω^)「おk」
後は寝るだけだ。
スイッチを切った瞬間、パッ、と一瞬で部屋が暗闇と化す。
「おやすみだおー」
「あぁ、おやすみ」
……一瞬暗闇が怖いと思ったのは絶対ブーンには言わない、などくだらない独り言を心の内でもらし、眠りについた。
――………?
ここは、ペルタン…?
……夢、か…。
24 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 01:01:51.90 ID:0yRcxnPI0
現実味があるが、いつも活気が凄まじいペルタンに人が一人も居ないことで夢だと気付かされる。
見上げれば、まだ昼頃のような空色。いつもならあらゆる店の店主の客寄せの叫び声が聞こえる時間帯だ。
しばらく空を見ていれば、そこに一機の戦闘機が飛んでいた。
ペルタンの上を悠々と飛んでいる。だが何かおかしい。その場から一向に動かない。
すると、その戦闘機から何かが落とされた。
その物はどんどんペルタンに落ちてくる。
25 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 01:04:53.81 ID:0yRcxnPI0
――ドォンッ!!という落下音が街中に響き、物が落ちて来た。
その物は一見、大きな丸い黒い玉にしか見えないが、突然その玉が変形しだす。
『グルルルル…ッ』
なんと、シュールントで出て来たあのトカゲの化け物に変形した。
しかし、あの時のトカゲとは少し容姿が違っていて、体長も一回り大きくなっている。
そのトカゲに変形した黒い玉はあの戦闘機からどんどん落とされ、やがて50体ぐらいもの大群が街を覆いつくした。
そして50体ものトカゲは街を壊し始め、家に隠れていたらしい住民達を襲っていった。
やめろっ!!もう人を襲うのはやめろっ!!!お前らの目的は一体…っ、何なんだ…っ!?
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:08:02.44 ID:0yRcxnPI0
――ガバッ!!!
爪; ー )y‐
夢、か。そうだ夢だった…。
ベッドから一旦起き上がり、隣のベッドで寝ているブーンを起こさないようにカーテンを開けて外を見た。
外はまだ夜明け前。街中がシーンとしている。もし…、先程の夢が正夢だったら…?
あんな数、相手になんか出来ない。逃げるなら今のうちに逃げておいた方がいい。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:10:25.80 ID:0yRcxnPI0
「もし、あのトカゲ共の目的が俺だとしたら?」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:13:13.31 ID:0yRcxnPI0
あの地獄から逃亡したことが、こんなことになるなんて。奴等は、本気で俺を抹消する気だ。
もし、俺の抹消がトカゲ共の目的なら…、シュールントで犠牲になった人達は全て。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:17:00.68 ID:0yRcxnPI0
俺の
大人しく
俺の
兵士飼育所
に
居れ
ば
俺の
犠牲は一人も出なかった
ハズ。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:19:01.82 ID:0yRcxnPI0
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:20:49.17 ID:0yRcxnPI0
全て、俺のせい……。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:24:48.77 ID:0yRcxnPI0
爪 ー )y‐
俺はスヤスヤと気持ち良さそうに眠るブーンを起こさないように、必要なものだけを持ち、まだ夜明け前の空の下、一人で宿を出た。
――灼熱の砂漠は夜明け前なのに酷い暑さだった。汗が湧き出て止まらない。だがこれで、あの戦闘機の目標は外せたハズだ。
……また、俺は一人になってしまった。
このまま一人でどこまで行けばいいのだろう。
目的も無いまま、俺はどうして歩いているのだろう。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:27:01.01 ID:0yRcxnPI0
こんな無駄な命、元から無ければ。
この世界に産まれなければ。
仲間達が恋しい、リリに傍に居て欲しい。
だけどダメなんだ。
これ以上、俺のせいで迷惑をかけるわけにはいかない。
俺のせいで仲間が死なれたりなんかしたら、
俺は正気を失い、やがて自殺でもするだろう。
せめて迷惑がかからないように。
俺は一人でいなきゃいけない。
地獄に居た頃のように。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:28:41.24 ID:0yRcxnPI0
大丈夫だ。
一人は元々慣れている。
大丈夫、大丈夫だ。
……だい、じょうぶ、なんか…じゃねェよ……。
ひとり…。ひとりなんだ。今俺は、
"ひとりなんだ"
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:32:12.05 ID:0yRcxnPI0
ζ(゚ー゚*ζ
朝一番に聞こえた音は、扉を叩く音だった。
「僕だ!ブーンだ!!デレ!リリ!起きてお!」
尋常じゃないその慌てっぷりに私はすぐさま扉を開けた。
ζ(゚ー゚*ζ「何かあったんですか…っ?」
扉を開けて目に写ったのは、顔は少し火照っていて汗だくのブーン。
(; ^ω^)「兄ちゃんが…っ、兄ちゃんが居なくなったんだお!」
ζ(゚ー゚*;ζ「なんですって!?」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:33:16.59 ID:3sN2tsLb0
支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:35:53.80 ID:0yRcxnPI0
予想外の出来事に驚いた。また、あの時のように一人で思い悩んだに違いない。
フォックスはよく、悩んでる時は誰にも悩みを打ち明けず一人で悩んで苦しむ人。
そんなに…、私達は頼りないのかしら…。
(; ^ω^)「朝起きたら兄ちゃんが居なくなってて…っ、荷物も兄ちゃんのやつ無くなってたし…。
それから急いで街中を探し回ったんだけど見つからなくてっ!兄ちゃんっ、どうしちゃったんだろう…っ」
息を切らしながらも状況説明をしてくれたブーン。
ζ(゚ー゚*ζ「と、とにかく探しましょうっ!私達も身支度を終えれば一緒に探しますので、ブーンは先に街の外を探しててくださいませんか?」
( ^ω^)「わかったお一応砂漠も一回りしてくるよ」
ζ(゚ー゚*ζ「さぁ、私達もすぐに出ましょう!」
⌒*リ´・-・リ 「う、うん!」
大急ぎで身支度をし、私達二人は街の外へと出た。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:39:10.88 ID:0yRcxnPI0
――街を出てから二時間。猛暑の中ひたすら歩いていたが、さすがに歩きつかれたので近くにあった岩場で一休みをすることに。
爪'ー`)y‐「……ハァ…」
小さく、溜め息をもらした。おかしいな…。砂漠はこんなにも暑いのに…、俺の心は酷く凍えている。
誰も居ないこの空間。今まで味わったことの無い感情が、俺の心をどんどん蝕んでいった。
今頃、アイツらはまだ寝てんだろうな…。起きたら、俺を探すんだろうか…。
"探すな"って置手紙でも置いていけばよかったかな。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:39:42.39 ID:wBeQGlmG0
しえーん
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:42:20.47 ID:0yRcxnPI0
――……何なんだこの虚しさは。生きている感覚を鈍らせるこの感情はなんだ。
"俺は今、何の為に生きているんだ?"
この疑問が頭に張り付いて接がれない。
もう生きる目的も無いんじゃないか?
兵士飼育所から逃げ出してからは、リリを守る為に俺は生きていた。
だが、奴等の狙いは俺がこの世から消えることでリリは抹消対象外だ。だとすれば俺が死んだら……、
犠牲者も出ずにこのまま終わるんだろう。
……その方が、いい。もう俺のせいで誰かが犠牲になるのは嫌だ。
それに、このまま進んでも、この虚しい感情だけが残されるままだ。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:44:30.41 ID:3sN2tsLb0
しえん
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:47:11.58 ID:0yRcxnPI0
短い間だったが、楽しかった。
デレン、ブーン、そしてリリ……、
お前達に出会えてよかった。
心から礼を言うよ。
"ありがとう"
俺の意識はどんどん遠のいて行った。
六【一人という虚しさ】 了
43 :
◆U.Ze.JZ4Hs :2010/09/13(月) 01:49:33.82 ID:0yRcxnPI0
終わりです。支援してくれた方読んでくれた方、ありがとうございました。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:50:38.71 ID:wBeQGlmG0
乙
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
オッツオッツ