アニメオタクの聖地になった滋賀豊郷小学校の解体運動
スタジオジブリの最新作「借りぐらしのアリエッティ」の舞台となった青森県平川市に多くの
観光客が詰め掛けているが、この夏、アニメ効果に沸いたもう一つの注目スポットがあった。
それが、滋賀県豊郷町の豊郷小学校の旧校舎群なのだ。戦前から建つ白亜の校舎が、
人気アニメ「けいおん!」に登場する桜が丘高校のモデルとの情報が広まり、アニメオタク
が小さな町に殺到しているのである。
ちなみに、この「けいおん!」は、'09年にTBS系の深夜枠で放送された人気アニメ。軽音
部を舞台に4人の女子高生がバンドを組む物語がウケ、社会現象化したことでも知られている。
だが、一方の豊郷小学校は旧校舎の解体・存続を巡って住民と行政が対立。訴訟や町長
のリコール問題まで起きたこともある小学校だ。それだけに降って湧いたアニオタたちの「聖
地巡礼」は、悲喜こもごもの問題を巻き起こしているのだ。
地元・豊郷町にしてみれば「けいおん!」は格好の町興しネタ。旧校舎内にはグッズやポ
スターが飾られ、さながら、オタクのサロンと化している。なりきりファンが記念写真を撮る光
景は、今や日常茶飯事だ。
「オタクでも何でも注目が集まるのはいいことです」
町役場の職員は思わぬ経済効果にホクホクだが、その一方では、押し寄せたファンが捨
てるゴミや道路への飛び出しなどの苦情が殺到。住民の間には、戸惑いの声も広がっているのだ。
また、同校の卒業生はこう語る。
「校舎が注目されるのは嬉しいけど、正直、忸怩たる思いです。オタクの聖地が悪いとは
いいませんが、僕らが市と対立してまで目指したのは、あくまで校舎としての使用継続ですから」
行政側には「豊郷町をオタクの聖地に」という動きもあるが、地元住民らは一様に首を傾
げる有様。
再び、以前のようなトラブルが起こらなければ、いいのだが。
http://wjn.jp/article/detail/6498572/