俺が前に書いた小説をあげてみようと思った

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
【オタマジャクシと午後の憂鬱】

学校は嫌いだ。僕は自由に生きたいんだ。
そんな厨二病めいたことを考えながら僕は早退を決意した。
今日は午後から数学の小テストがある。そのことを考えると朝からここには居たくなかったのだ。
始業のチャイムが鳴り始める前に校外へ逃げ出さないと、面倒な教師陣に見つかったらいちいちうるさい。
僕は足早に学校の階段を駆け下り、裏門への道を行く。正門は人目が多いから避けた。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:22:59.55 ID:plaxzfHRP
>>1乙!おもしろかった!!
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:24:17.68 ID:pFvci6np0
無事、裏門まで辿りついたころにはもう始まりのチャイムはなり終わり、授業は開始されていた。
でもまあ僕には関係ない。逃げてしまえばこちらのものだ。
そう、嫌になったら逃げればいい。逃げ場所はいくらでもある。
僕は今までもそうだったんだから。今更逃げてしまうことには何の抵抗もない。
逃げ続ける。
それが17歳の僕がたどり着いた、思春期の答えだった。
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:29:33.16 ID:pFvci6np0
梅雨に入ってからほとんど毎日降り続けていた雨は、幸い、今日は上がっている。
ただそれでも空には濁った雲のせいで青空は見えない。鬱々とした気分をより一層引き立たせる。
それは、人生からの逃亡すら僕に思わせた。つまらない、退屈な人生からの逃亡。
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:29:33.41 ID:pL1ADG3Z0
 俺は半分まで萌えた両切りのピースを吐き捨てるとPPsh41を腰だめに構える。
銃口の先には体育教師を装った「奴ら」の一人がいた。
「おい! 西田! なんのつもりだ? 学校にオモチャ持ってきやがって。没収だ!」
 ドラ声で田口が叫ぶ。いや、田口を装った「何か」だ。俺は安全装置を外し、
引き金を引いた。鋭い金属音とともに七・六二弾が吐き出されてゆく。周囲の生徒たちが逃げ惑う。
「消えろや、寄生虫」
 その「何か」は手足を振り回しながら倒れ、その中心から本体が這い出してくる。
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:32:04.40 ID:iAI62wH+0
・そろそろ都合良くヒロインが出てくる。
  ↓
・当初、主人公はヒロインには興味がない素振りを示す。
  ↓
・二人(もしくはそれ以上)に、何らかの危機もしくは不思議が迫る。
  ↓
・主人公の能力が発揮される。または、他の人の能力が発揮され、主人公が無力を悟る。
  ↓
・いくつもの危機もしくは不思議を乗り越え、深まる絆、もしくは愛情。
  ↓
・僕たちの冒険はこれからだ!
  ↓
・長い間ご声援ありがとうございました。>>1先生の次回作にご期待ください。
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:33:46.99 ID:Mvv1P9jQ0
はやくお母さんに見せてあげるんだ!
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:35:20.33 ID:pFvci6np0
ボーっと歩いていると、水溜りに足を踏み込んでしまっていた。
ズボンに水が染み込んで気持ち悪い。

ふと水溜りを見やると、何かが動いた。
それは濁った水の中をぴちゃぴちゃと暴れている。
何だろう? 僕はそこらへんの棒っきれで水をかきまわしてみる。
そこにいたのは、一匹のオタマジャクシだった。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:39:27.92 ID:pL1ADG3Z0
 田口の抜け殻から這い出した、無数に脚の生えたオタマジャクシに見える「それ」を俺は慎重に狙いを付けて撃つ。
「ピャー」
 間抜けな声を上げてそれは弾けた。俺は満足して銃口を下げる。
「西田くん!」
 俺の腰の周りに絡みつく柔らかな感触。
「もう罪を重ねないで」
 間違いない、幼馴染の秋穂の声だ。
「問題ない」
 俺はぶっきらぼうに答えつつ、焼けたPPShの銃身が彼女の腕に触れないようにそっと遠ざける。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:41:28.66 ID:pFvci6np0

・・・・・・。
両者の間に流れる、沈黙。
お前、何でこんなところにいるんだよ。僕は呆れてしまった。
こんな小さな水溜り、少し晴れの日が続けばすぐに枯れてしまうだろう。
そうなったらこいつはどうなる? 干からびて干しオタマになるに決まっている。
こいつの親はずいぶんと無責任なヤツなんだろうな。助け出してやろうか。
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:46:08.15 ID:pFvci6np0
そっと手を伸ばそうとしたところで、オタマの顔が何か人の顔のように見えた気がした。
もう一度よくみて見る。
すると不思議なことに、このオタマは僕に似ている気がした。
オタマが人面オタマに見えたはもちろん気のせいだが、このオタマの置かれている立場。
それはまさしく僕にそっくりだ。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:48:51.17 ID:pL1ADG3Z0
 俺はゆっくりと振り返り、最高の笑顔を浮かべて彼女の瞳を見つめる。
「革命の始まりなんだ。人類が地球の優占種であるための。これはその第一歩さ」
 秋穂はきょとんとして俺の顔を見つめる。白い肌と額にかかる黒髪が可愛らしい。
「今はまだわからなくていい。でも、明日にはきっとわかるだろう」
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:53:59.75 ID:pFvci6np0
水溜りという閉鎖された空間。
この場所以外の世界を知らず、また知ることも叶わず、ただ一つの世界の中で本当に短い生を終える。
そこに果たして意味などあるのか。
僕も同じく。
僕の移動できる範囲など限られていて、それ以外を知らず、知ること叶わず、閉ざされた僕だけに開かれた世界の中で人生を終える。
今はまた学校というさらに狭い世界に縛られ、逃げ続ける。
いや、実際は完全に逃げられるわけじゃない。明日になれば教師からのお咎めも待っているだろう。
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 00:57:36.76 ID:pL1ADG3Z0
 水が、溜まる。
「こんな所に逃げ込んでも、すぐ捕まっちゃうよ」
 秋穂が俺の制服の袖を掴んで言う。嫌なら着いてこなくていいと言ったのに強情なヤツだ。
「仲間がいるんだよ」
 マンホールの下で暗い通路をLEDライトの明かりだけを頼りに進む。いくつか角を曲がると、
遠くから眩しいハロゲンライトの光がこちらを射た。
 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 01:01:06.16 ID:pFvci6np0

生きることに意味はなく、そして逃げることにも意味などない。
オタマのまぬけ面は、僕に衝撃を与えた。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 01:03:56.66 ID:pL1ADG3Z0
 蛙ヅラの男が俺に呼びかけた。
「バリは燃えているか?」
「ディスコが燃えて日本人観光客のビッチどもも焼死体」
 彼が銃を下げるのがわかった。中国製の五六式だろう。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 01:07:40.64 ID:pFvci6np0
僕は差し出しかけた手をそっと戻す。
ならばせいぜい足掻いてくれ。お前がここに生まれたことには何の意味もない。
そう、ただそこでゆらゆらと泳いでいるだけでは。
意味がなければ作ればいい。
お前はここに生まれたことに意味を見出せないのならば、その水が渇くその瞬間まで、お前がそこにいる意味を悩み続ければいい。
お前が僕と違うのは、逃げることすら叶わないことだから。逃げられなければそこに向かうしかないのだから。

水溜りをまたぎ、僕は歩き出した。明日は英語の小テストがある。さて、それから逃げようかどうしようか。
もう、答えは決まっていた。
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 01:08:33.65 ID:pFvci6np0
終わり。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/03(金) 01:13:54.09 ID:x+llIyMm0
ピャー
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
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