1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
小説を読む前の注意点を書いております。
お手数ですが、以下の文に一度目をお通しになられてから御覧下さい。
この小説には残酷尚且つグロテスクな表現が含まれています。そういった類の小説が苦手な方はご遠慮ください。
グロテスク表現等が目立ちますが、グロテスクを推奨している訳ではありません。
あくまでも小説上の表現として、ご理解ください。
この小説を読んだことで気分等を害されましても、一切責任を負いませんので、自己責任でお願い致します。
尚、素人同然の作品故、表現力や文章力の稚拙な場合もありますが、海のように広いお心で見守って頂けると物凄く有難いです。
又、一応気をつけているのですが、誤字脱字がある場合があります。おかしいと思った部分がございましたら、是非教えてやってくださいm(_ _)m
また、作品の質問以外は受け付けておりません。
荒らしや特定等の原因になるのでそこのところよろしくお願いいたします。
猿よけのため、投下は一レスにつき7分前後を目安にしてください。
所用により投下感覚が遅くなる可能性もあります。
これらを理解した上で読んでくれると作者としては非常にありがたいと思います。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:30:48.41 ID:6GwOUpMQP
猿避けにしても7分は長くね?
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:31:35.21 ID:62xiPS7a0
今にも消えそうな小さな灯りが点いた薄暗い部屋。狭い部屋の中には二階建てベットが二つ。
俺はその右ベッドの上段に寝転んでいた。消灯時間まで後10分。それまで何をしようか…。
考えていても思いつかない。とりあえず目を瞑ってみた。真っ暗な、暗闇が広がる。
――…何も無い……。
そう、俺には何も無い…。ただ…、幼い時の記憶だけ残ってる。
両親から引き離される記憶だけ。それ以降の記憶は無い。
楽しいと思った時の記憶など、とうの昔に消え失せた。
こんな地獄に堕とされてから、何一つ…、――何一つ………。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:34:54.87 ID:62xiPS7a0
ヴーーーッ!!
「!」
消灯時間を知らせるブザーが鳴る。
このブザーが鳴ればどんな理由でも部屋の外からは出られない。無理に出ようとすればすぐさまその者に罰が与えられる。
毎晩毎晩、逃げ出そうとした者に罰を与え、悲鳴が止まない。罰が過激過ぎて死ぬ者も居る。
まるで地獄。…いや、本当に地獄かもしれない。決して自由など与えられない。『自由』などという言葉も教えられない。
今日も…、昔連れて来られた俺と同じ年齢の子供が両親と引き離され、この地獄に連れてこられていた。
隣の部屋で泣き喚いていてうるさい。
だが俺も人のことなど言えない。
俺も連れて来られた初日は、酷かった…。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:39:15.58 ID:62xiPS7a0
14年前。
「うわあぁああぁっ!!!はなせえぇええっ!!かあさんととうさんのところにもどるんだああぁーーっ!!」
消灯時間が過ぎてから、外に出て両親の所へ戻ろうとした。
だが見張りの兵に見つかり、部屋に戻されるところを大暴れしてなんとか逃げようとした。
だが…、
「くそっ、このガキがああぁっ!!」
思いきり殴られ、頬骨が折れたかと思う程頬に激痛が走った。
声は出ず涙がボロボロと止まらなかった。
殴られたショックで息も出来なくなってしまう程、その時生まれて初めて『死』の恐怖を感じた。
アイツらは、相手が子供でも決して容赦はしない。殴られて動かなくなった俺を、見張りの兵は部屋の中へと投げ捨てるように放り込んだ。
「今度逃げようとしたら殺すからな、クソガキ」
たった一言の暴言を吐いて出て行く兵。
そのたった一言でも、俺を暗闇に堕とすには十分だった。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:42:53.87 ID:62xiPS7a0
それからだ。俺が人間に対して酷い憎しみを抱いたのは。
『もう誰も信用しない。何が起こっても一人で生きていく』と、決意した瞬間だった。
一 【光が見え、そして旅立つ時】
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:43:38.92 ID:naBVxwOV0
西尾のにこんなのあったよな
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:46:19.33 ID:62xiPS7a0
そろそろ眠るとしよう…。
いつ出撃の警報が鳴るか分からない。
それまでちゃんと身体を休ませておかないと足手まといになる。
俺は薄いかけ布団をかぶり、眠ることにした。
目を瞑った瞬間、フラッシュバックする。
『はなせよっ!!!かあさんっ!!とうさんっ!!いやだ…っ、いやだよぉー…っ!!』
『フォックスッ!!フォックスーーッ!!!』
あぁ…、まただ…。遠い遠い、昔のこと…。
『フォックス…ッ、どうしてっ…』
この人は…、俺の母親なんだよな…。遠いけど近い記憶。
曖昧で両親の顔なんて覚えてないから夢でも顔が分からないみたいだ。お袋の隣にいる親父の顔も、覚えてなんていない…。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:49:51.88 ID:62xiPS7a0
パッ、とすぐ目が覚める。
突然警報の音が鳴り響く。出撃の警報だ。
俺はすぐベッドから飛び降り、更衣室へと向かった。
出撃の警報を耳にするのは15回以上。もうこの警報を聴いて何をすればいいかは頭に入っている。
更衣室で軍服に着替え、自分の武器を装備し、廊下に並んだ。
廊下には指揮官が待っていた。全員が並んでから、指揮官は喋りだす。
( `ハ´)「準備が遅いっ!!8分もかかっているぞ!!これから警報が鳴って5分で準備しろっ!!」
怒鳴り散らす指揮官。俺は5分で済ませたのに他の奴等が遅かった。
俺以外の奴が遅れても連帯責任。戦地から帰って来てから腕立て伏せやら腹筋やら100回以上はやらされる。
それでも俺は遅れた奴を責めたりはしない。人間と何の関わりを持ちたくないから。
責めて喧嘩になるのも面倒。
責めて怨まれるのも面倒。
人間関係なんて緩い紐と自分が繋がっただけの関係ですぐ切れる。
そんな関係、面倒なだけだ。
俺には必要無い。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:53:24.80 ID:62xiPS7a0
午前7時頃。
【兵士飼育所】からの出撃準備が始まった。
1000人程の人間が同時に歩いて
【兵士飼育所】から近くの街に向かった。
歩きながらただ考えることは、
『一人でも多く人間を殺す』
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 00:56:37.22 ID:62xiPS7a0
――街に着き、敵ももう目に見えている程近くにいた。
( `ハ´)「街の人間は敵国の者共だっ!!邪魔なら殺しても構わん!!!」
どこからそんな馬鹿デカイ声が出てくるのか、と心の内で独り言を漏らしながら指揮官の話しを聞く。
( `ハ´)「では!!出撃ーーっ!!!!!!」
「「おおぉーーーっ!!!!」」
1000人もの人間は一斉にして叫ぶ。その中に俺もいるが、決して叫ぶことなどしなかった。
叫んだあと、全員すぐさま剣を構え、兵士達は敵兵士に向かって走り出す。
敵兵士もこちらに負けず一斉突撃をしだした。
関係のない街の市民にも被害が及ぶことなど頭に過ぎること無く、ただ走って、敵を一人でも多く殺すことだけ考える。
それが戦争の兵士。俺達は国にとってただの駒でしか無い。
小さな小さな、そして生きていても何の意味も価値も無い無駄な命。
ただ戦地で殺されるのが運命。
その運命が巡って来るまで、俺はずっと人間を殺し続けるだろう。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:00:08.84 ID:62xiPS7a0
ドンッ!!!!
「うわああぁあぁっ!!」
グサッ!!!ドチャッ!!
「がはっ…!ぐぐ…っ」
普通の人間なら耳を塞ぐだろう。鈍い音が何度も何度も街中に響いている。
指揮官が街に炎を点けるよう兵に命じた。街は除々に炎へと包まれてゆく。
この地獄の炎が街全体を覆い、焼き尽くす前に敵を多く殺せばいい、
そう兵士は思うだろう。兵士の考えは、もう普通じゃないから。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:03:01.35 ID:62xiPS7a0
グサッ!!
「がはっ!!あぁ…っ!」
一人。
グサッ!!!
「うあぁっ!!…助け…て…っ。………」
二人。
10人20人と、俺はどんどん敵兵士や街の住民を殺していった。
人間を殺すことに何の抵抗もなかった。
『目の前で呼吸する奴の世界を消せ』
この言葉を頭に叩き込まれてから抵抗などしなくなった。慣れてしまったんだ。
慣れさせたのは誰?これは全て、国が決めた。
俺達駒は、国に従う他生きていく方法なんて無い。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:07:53.45 ID:I4hLPsJ2P
PCなのにエクスクラメーションが半角って引くわ
冒頭で稚拙とか言ってるやつの文章を誰が読みたいと思うんだろうね
つか素人同然ってそもそも素人だろ
何様だよ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:08:53.90 ID:62xiPS7a0
炎は街をほとんど覆い、焼き尽くしていった。
そろそろここに留まっているのも限界だ。俺は剣をしまい、撤退しようとした。
その時
⌒*リ´:-;リ「…っく…、ひっく…っ、おかあさぁん…っ、おとぉさ、ん…っ、起きてよぉ…っ」
俺が先程殺した男女の大人の近くで、泣いている子供がいた。
その姿はまるで…、昔の俺のようで…。
爪 ー )y‐「…っ……」
これが俺の使命なんだ。人間を殺さなきゃ俺が殺される。
そう思っていた筈なのに……、
あの子供を見ていると昔の俺を表しているようで…、胸がギュウッと、苦しくなった。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:12:30.80 ID:uCJd2FJr0
支援支援がんば
17 :
>>14ごめん:2010/08/26(木) 01:14:36.31 ID:62xiPS7a0
その苦しみに耐えきれず子供の方へと走り出した。
これは同情なのか、何なのか今の俺にはこれっぽちも分からなかった。
ただ、俺みたいな兵士が思うのはありえないかもしれないが…、あの子供を助けたいと思ったんだ。
爪#'ー`)y‐「こっちへ来いっ!」
⌒*リ´・-;リ「…ひっく…っ、…?」
爪#'ー`)y‐「早くっ!!!」
子供は涙を拭い、俺の下へ走って来た。俺は子供をおぶり、燃え盛る炎の海から一目散に逃げ出す。
街から一刻も早く離れたい一心で走った。さっきの戦いでもう疲れている身体の筈なのに、何故か走れた。
走って走って走って…、誰も居ない、人間が存在しない世界へと行きたかった…。
グサッ!とかグチャッ!とかそんなレベルでグロとか馬鹿かよ
文章といいラノベみたいだな
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:16:37.39 ID:uCJd2FJr0
しえん
フォックスがんばれ
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:20:10.76 ID:62xiPS7a0
翌日の朝。
爪うー`)y‐「……ん…」
眩しい日光が顔に直射し、目が覚める。辺りを見渡せば、木が一本だけ生えた丘に居た。
無我夢中で走っていた為か、途中で逃げていた時の記憶を失っている…。
爪'ー`)y‐「…子供は」
ふと隣を見ると、小さな寝息をたて、ぐっすりと眠る子供が居た。
子供の柔らかそうな白い頬に手をやると、冷たくて、悲しかった…。
心のどこかで罪悪感を感じた。きっと、今頃俺は向こうで死んだことになっているだろう。
もしかしたら街に俺の死体を捜しにくるかもしれない。
以前そういう任務を任されたことがある。
もし俺がまだこの世界に存在すると分かれば、アイツらは俺を探し出し、見つけて即座に始末されるだろう。
敵国の少女を助け、国に背いた反逆者として…。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:20:44.47 ID:uCJd2FJr0
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:23:43.73 ID:62xiPS7a0
そうなれば俺はこの子の命の責任は取れなくなる。
初めて助けた命だ、ちゃんと大人になるまで育てるという義務があるだろう。
この子の両親は、俺が殺してしまったのだから…。
逃げて逃げて逃げて…、地獄の使者共の手が届かないどこか、誰も居ない静かな田舎で、二人で暮らして行くのも、悪くはないかもな…。
自分の名前も変えて…、その田舎で小さな家を建てて…、静かにひっそりと平和に暮らせたらどんなにいいだろう…。
そんなこと…、出来ることならば最初からしている。
分かっていた…、ただの想像でしか無いって…。
こんなことを思わせるのは全ては戦争のせい。国が悪いんだ。
俺達兵士のせいじゃない。戦争をすると決めたのは国だ。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:25:05.28 ID:uCJd2FJr0
しえん
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:26:05.38 ID:62xiPS7a0
だがきっと世間の人間共は俺達兵士を憎むだろう。
国が決めたと分かっていても、誰かの知人や遺族を殺したのはあくまでも兵士。
どんなに足掻いたってもう遅いのかもしれない…。
自分が短い人生を諦めなくても、世間が認めてなんてくれない。
世間が俺達を生かしてくれない。
夢も希望も…、無いんだ……。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:26:25.78 ID:uCJd2FJr0
しえ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:31:01.62 ID:62xiPS7a0
⌒*リ´う-リ「……んん…」
隣で寝ていた子供がやっと目を覚ます。
爪'ー`)y‐「…起きたか?」
刺激させないように、優しく話掛けた。
⌒*リ´・-・リ「………」
子供は目を擦り、もう一度俺の顔を見直す。
⌒*リ´・-・リ「お兄ちゃんが昨日助けてくれたの…?」
澄んだ綺麗な瞳で俺を見て言った。俺にそんな瞳はない…。
きっと瞳も何も無いんだろう…。
爪'ー`)y‐「あぁ…。炎がもう街をほとんど覆い尽くしていたからな…。それはそうと、お前名前は?」
⌒*リ´・-・リ「…リリ。リリ・キュヴァリオ。お兄ちゃんは?」
爪'ー`)y‐「フォックス・ヴァルセリア」
⌒*リ´・ー・リ「カッコイイ名前だね」
リリは満面の笑顔で笑った。俺にはその笑顔がとても眩しく思えた。
ずっと『殺し』などの言葉を無理矢理頭に叩き込まれ、笑顔なんて仕方も忘れてしまっていた。今、久々に人の笑顔を見た。
リリは俺の心を眩しい光の方へとゆっくり導いてくれているように思えた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:35:01.74 ID:62xiPS7a0
爪'ー`)y‐「しっかり身体も休めたところで、そろそろ行こうか」
⌒*リ´・-・リ「うんっ!」
俺は防具を脱ぎ捨て、剣だけ持ち歩くことに。リリと手を繋ぎ、歩き始めた。
昨日なんかと比べ、辺りが明るく見えた。
あそこから開放された嬉しさで光が見えるのか、リアと出会い、心に光を少しだけ与えてくれたから光が見えるのか…。
どちらかなんて分からなかったが、今はそんなことどっちでもよかった。
ただ、光が見えたことが、とても嬉しかった。
今ならちゃんと、上を向いて歩いて行けそうだ。
一 【光が見え、そして旅立つ時】 了
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:35:47.13 ID:uCJd2FJr0
乙乙!
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:36:57.14 ID:62xiPS7a0
第二話いきます
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:37:30.24 ID:uCJd2FJr0
しえn
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:37:36.23 ID:0eAmFNdm0
俺は衣服を脱ぎ捨てそそり立つ剣だけを持つことにに見えた
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:42:27.79 ID:62xiPS7a0
あれから二日程経った。
始まりの場所から遠ざかり、俺達は飲まず食わずでやっとのこと街に辿り着けた。
城壁に囲まれた大きな街だ。街の中心には城壁の高さよりはみ出る程高い立派な城が建っている。
爪'ー`)y‐「ここで待ってろよ」
街の門の隣で俺はリリに言った。
⌒*リ´・-・リ「私も一緒に行くっ」
爪'ー`)y‐「ダメだ。俺が一人で行って、食い物かっぱらってくるから。ここで待ってな」
⌒*リ;´・-・リ「盗む…の…?」
リリは心配そうな目で俺を見つめる。
爪'ー`)y‐「しょうがないだろ…。金が無いんだから…」
⌒*リ´・-・リ「…そうだけど……」
兵士飼育所で金なんか1ペスト(お金)も貰ったことなど無い。
それ以前に、貰えるわけがない。
あそこで育てられている兵士は2000を越える数。
国民からの寄付でなんとか食事などが出せているのに、駒同然の兵士に金をやるなど反逆行為だ。
だから俺はまだ金に触ったことも、使ったことも無い。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:48:13.12 ID:62xiPS7a0
だがこのまま食い物を食べなきゃ、俺達は餓死するだろう。
今でさえ、もう目眩が治まらない程なのに。
でも食い物を買う金も無い。だから、盗んで食い物を食べる他、これから生きていくことは困難だ。
爪'ー`)y‐「大丈夫。捕まったりはしないから、な?」
⌒*リ´・-・リ「…う、ん……」
リリはゆっくりと頷いた。そんなリアの頭を優しく撫でてから、俺はリリを残して一人、街の中へと入って行った。
街の中は想像以下で、豪華なものではなかった。
この大きさから考えると貴族やらが住んでる街だと思ったが…、
まぁ食い物がありゃ別に何処でもいい。
街には様々な食べ物の屋台が並んでいた。俺は人ゴミに紛れ、屋台の食い物をどんどん盗んでいった。
人ごみに紛れているので店主も俺が盗んでいることに全く気づいていない。
ついでに金目の物も盗んでおくか…。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:49:33.89 ID:uCJd2FJr0
しえしえ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:51:30.94 ID:62xiPS7a0
――人ごみの人の中にいるのは嫌いだった。
理由なんて、人間が死ぬほど嫌いだから以外他に無いだろう?
でもこれは生きていく為。リリを養ってやる為だ。
だが世間の人間にはこんなことを言ったって、誰も食い物を分けちゃくれない。
「頑張って生きろ」
「頑張れば頑張った分だけ報われる」
こんな無責任な言葉しかくれないだろう。
それか、
「だからって俺の店の食い物を盗むな」
「別にお前が死んでも誰も困らねェよ、死んじまえ」
こんな暴言か。世間は夢を見る人間が思う程甘くはない。
生きていくには死ぬ覚悟で努力が必要。努力をしたって生き延びれない人間もいる。
誰かを思いやる心なんて、この世界では誰一人持っていないだろう。
あんな地獄を創る人間なんかに…。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:55:17.81 ID:uCJd2FJr0
しえん
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 01:58:07.53 ID:62xiPS7a0
――これだけあれば十分だろう。
盗んだ食い物を入れた袋はもう破れてしまいそうな程パンパンだった。
重い袋を担ぎ直し、リリの下へ戻ろうとしたその時、
(’e’)「女王陛下がご結婚なされるらしいぞ!」
(゚、゚;トソン 「えっ!?あのデレンディア女王陛下様が!?」
街の市民が噂話をしていた。デレンディア…、
どこかで聞いたことがある名だ。
(’e’)「あぁ!それに明日の昼に結婚式を挙げるみたいだ!」
(゚、゚トソン 「なら明日は祭りね!」
――……思い出した…。【兵士飼育所】を建てたモララ国王の愛娘だ。
この街が奴の根城だったとは……。…とりあえずリリの所に戻ろう。
俺は街を後にし、リリの下へ向かった。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:01:04.87 ID:62xiPS7a0
リリの下に着き、地面に食べ物がたんまりと入った袋を置いた。
爪'ー`)y‐「ほら、盗って来たぞ。食いな」
⌒*リ´・-・リ「あり、がとう…」
そう言ったリリは、腹は空かせているんだろうけど、あまり嬉しそうではなかった。
それとは反対に、悲しそうな顔をしていた。
⌒*リ´・-・リ「いただきます…」
リリは袋の中に入っているパンを取り出して口いっぱいに頬張る。
俺も袋の中のリンゴを取り、噛り付いた。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:02:13.54 ID:uCJd2FJr0
ねるしえん
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:04:48.65 ID:62xiPS7a0
ニ 【人に対しての思いやり】
――街の外は、戦争でほとんど自然を失った荒地。
ふと、思ったことを口に出してしまった。
爪 ー )y‐「人間は何故、争わないと生きていけないんだろう…」
⌒*リ´・-・リ「え…?」
爪'ー`)y‐「……あ、なんでもない。気にするな」
俺は袋から数個食い物を取り出し、リリの下を離れた。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:07:37.64 ID:62xiPS7a0
――血のように紅く染まる夕日が沈んでいくのが見える。
こんな綺麗な景色を見ても何故か腹が立ってしょうがない。
あの街の国王を殺してやりたいという殺意が収まらなかった。
アイツのせいで…、俺は…っ……、
何もかも、光さえも僅かに残ることはなく、悉(ことごと)く心から消えてしまった……。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:16:11.37 ID:62xiPS7a0
だがモララを殺すとなるとリリも危険になる。
それだけは駄目だと分かっていた為、殺意は消えなかったが、気持ちを抑えることは出来た。
――夜。
俺はリリを連れ、また街に入った。
食い物を盗んだ時に一緒に盗んだ金目の物を売り、今回は宿で過ごすことに。
宿の部屋に入るとリリはベッドに飛び込んだ。
⌒*リ´・-・リ「久しぶりのベッドだぁ♪」
爪'ー`)y‐「嬉しいか?」
⌒*リ´^ー^リ「うんっ」
リリの太陽のような笑顔を見て、俺もつい微笑んでしまう。
⌒*リ´^-^リ「…やっと、笑ったね」
爪'ー`)y‐「え……?」
⌒*リ´・-・リ「最初会った時から今まで、お兄ちゃん一度も笑ったこと無かったから…。でも良かったぁ…、笑ってくれて……」
爪'ー`)y‐「リリ……」
この子と居ると、少しずつ、ほんの少しずつだが、暗かった心に少しずつ光が俺の下に戻って来る。
日光とか、電光の光の暖かさより…、リリが俺に戻してくれた光が一番暖かかった。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:19:23.58 ID:62xiPS7a0
――翌日の朝。今日も快晴だ。今日は朝から街が騒々しかった。
⌒*リ´・-・リ「……うぅ…ん」
俺が起きたあとにすぐリリも目を覚ました。
爪'ー`)y‐「おはよう」
⌒*リ´・-・リ「ん〜…、おはよぉ〜…。今日は朝から騒がしいね…」
爪'ー`)y‐「あぁ…。今日はこの街に住んでいる国王の娘の結婚式が行われるらしいんだ。その準備で騒がしいんじゃないか?」
⌒*リ´・-・リ「結婚式かぁ……、ねぇねぇお兄ちゃんっ!結婚式見に行こうよっ♪きっとすっごく綺麗だよっ」
爪'ー`)y‐「……いいよ、一緒に見に行こうか」
正直言えば…、アイツの娘の結婚式なんてどうでもいい。でもリリの願いは出来るだけ叶えてやりたい。
俺には、願いなど一度も叶えたこともない。願いを口にすることさえ、許されたことがなかったから……。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:25:28.84 ID:62xiPS7a0
――昼頃。俺はリリを連れ、結婚式が行われる場所に向かった。
大通りにはレッドカーペットが敷かれ、街の人間が乱入しないように一時的な柵が作られていた。
警備員の数も100人を超える数かもしれない。
爪'ー`)y‐「結婚式場の教会の中には入れないみたいだな」
⌒*リ´・-・リ「外から見るしかないのかぁ…。ちょっとがっかりだけど、新婦さんのウエディングドレスが見れないわけじゃないからいいや」
その時、楽器の音が微かに聞こえてきた。
爪'ー`)y‐「そろそろ来るんじゃないか?」
⌒*リ´・-・リ「えっ?どこどこ!?」
爪'ー`)y‐「………ほら」
⌒*リ´・-・リ「わっ!」
俺はリリを持ち上げ、肩車をしてやる。
⌒*リ*´・-・リ「あっ、ホントだ居たよ!」
爪;'ー`)y‐「そ、そうか…」
あ、足が震える…。決してリリが重いってわけじゃなく、俺自身が人に触れることにあまり慣れていないからだ。
というか…、死体以外触ったことがない……。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:31:27.26 ID:62xiPS7a0
爪;'ー`)y‐「ど、どどうだっ?よく見えるか?」
⌒*リ´・-・リ「見える見えるっ!………お兄ちゃんどうしたの?さっきから声が震えてるよ…?」
爪;'ー`)y‐「なななん、なんでもないっ」
⌒*リ´・-・リ「そうかなぁ…」
俺はなんとかごまかしたが、リリはまだ疑っていたみたいだった。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:37:05.37 ID:62xiPS7a0
⌒*リ*´・-・リ「わあぁっ、綺麗〜…」
ルヴィンド(白馬)に引かれて進む、真っ白な馬車が二台、大通りを歩いている。
一台目の馬車には、身体のサイズに合っていない純金のマントを身に纏い、
黄金で様々な宝石を埋め込まれてある豪華な王冠を被ったモララ国王が乗っていた。
二台目の馬車には、純白のウエディングドレスに包まれた新婦と新郎が乗っていた。
誰もが新婦のことを美しいと思うのだろうが、俺にはそんな感情は湧いてこなかった。
普通ならこんなにも多くの民から祝福されて幸せいっぱいだろうに…、新婦の方は何故か浮かない表情をしている。
新郎はそんな新婦の心配もせず祝福する民に手を振っていた。
それは俺だけではなく、リリも気付いていた。
⌒*リ´・-・リ「新婦さん…、元気なさそうだね…。せっかくの結婚式なのに……」
爪'ー`)y‐「そうだな……。…さ、そろそろ帰ろうか……」
俺はリリをゆっくりと降ろす。と、その時、
爪;'ー`)y‐「リリッ!?」
リリは地面に降ろした途端に新婦が乗っている馬車の方へと一目散に走り出した。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:45:54.18 ID:62xiPS7a0
爪;'ー`)y‐「おいっ!!待てっ!!」
リリはまだ身体が小さい為、人ゴミの中をどんどん進んでいく。
追いかけようにも、人が多すぎて通れない。
爪;'ー`)y‐「リリッ!!!」
呼び止めようとしても、止まることはなかった。
リリはついに新婦が乗った馬車に乗り込んだ。歓声をあげていた民が一気に黙り込む。
⌒*リ´・-・リ「お姉ちゃんどうしたの?せっかくの結婚式なのに元気がないよ…」
ζ(゚、゚*ζ「……あ…<_#プー゚)フ「なんだお前はっ!!勝手に馬車に乗り込んで、警備員は何をしている!!」
一緒の馬車に乗っていた新郎がリリに激怒した。
⌒*リ´・-・リ「今は貴方に話しかけてないっ!!お姉ちゃん…、嫌な気持ちで結婚したなら…、ここで祝福してくれている人達全員に失礼だよ……」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 02:55:09.68 ID:62xiPS7a0
ζ(;ー;*ζ「………ごめんなさい…」
新婦は涙ぐんで俯いた。
( ・∀・)「誰だこのガキは」
そこに王モララが現れた。
<_;プー゚)フ「知りませんよ。この子供が勝手に馬車に乗り込んできたんです」
( #・∀・)「おいどけ貴様、せっかく1億ペストも出した結婚式なのにお前のせいで何もかも台無しだ!」
モララはリリの服を掴み、持ち上げた。
爪;'ー`)y‐「リリッ!!!!」
俺は人ゴミを無理矢理突破し、リリの下へと急いだ。
兵士飼育所なんかを建てた野郎だ。子供でも決して容赦はしないだろう。
⌒*リ#´・-・リ「離してよおじさんっ!!」
リリは暴れ回り、モララの純金のマントを蹴った。
( #・∀・)「!!貴様っ、このマントは俺様のお気に入りだぞ!!!それを汚い靴などで蹴るなど断じて許さんっ!!!」
モララはリリを振り回し、投げ捨てた。
⌒*リ´>-<リ「きゃっ!!」
地面に叩きつけられるところをなんとか受け止め、リリは怪我をせずに済んだ。」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:01:49.27 ID:62xiPS7a0
(# ・∀・)「貴様がこのガキの親族かっ!!このマントの弁償をしろ!!!」
こんな子供を振り回して投げ捨てたにも関わらず、たかがマントを少し汚しただけで激怒して、
挙句の果てにはリリに対して謝りもせずマントの弁償しろ?
頭の中で何かがキレた音がした。
爪 ー )y‐「……わかった、弁償してやるよ。明日にな」
(# ・∀・)「100万ペストだぞっ!!明日の昼までに必ず弁償しろよ!!!」
と言い、モララは城へと去って言った。
⌒*リ´;-;リ「……お兄ちゃん…、ごめんなさい…。私のせいで……」
爪 ー )y‐「………」
⌒*リ´;-;リ「おにい…ちゃん……?」
きっと今の俺の目は憎悪の目をしていただろう。
リリも気付いた筈だ…。
今まで抑えていた殺意が爆発し、俺は今夜モララを殺しにいくことにした。
リリをおぶり、宿へと戻った。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:06:11.73 ID:62xiPS7a0
夜になり、そろそろアイツを殺しに行く時間に。
俺は立ち上がり、部屋を出ようとした。
⌒*リ´・-・リ「お兄ちゃんどこ行くのっ?」
爪'ー`)y‐「……散歩」
⌒*リ´・-・リ「そっか…。気をつけてね」
適当な嘘をつき、俺は宿を出た。
モララを殺せば…、きっとリリも危険が及ぶだろうけど、殺意を抑えることが出来ない。
全身の血がアイツを殺したいと言って騒いで収まらない。
こんなに怒ったのは初めてだ。
今まで大切な人なんて居なかったから、怒ることなんて全く無かった。怒る必要も無かった。
だがリリと過ごしてからリリを自分にとって大切な人だと思い始め、そのリリをアイツは…。
神なんて今まで一度も信じたことなんて無かったけど、神に誓ってやるよ。もしリリに危険が及んだとしても、俺が命を懸けて、守ってやる。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:12:18.29 ID:62xiPS7a0
俺は街の中心にある大きな城の中になんとか忍び込めた。
城の中にいた見張りの兵は気絶させ、奥へと進む。
モララがどこにいるかなど分かる筈もないが、とにかく色んな部屋を周ってみることに。
その時、
ζ(゚、゚*ζ「!」
俺が開けようとしていた扉が開いた。
ζ(゚ー゚*ζ「わっ!びっくりした…。……なんですかあなたは…?」
部屋の中から出て来たのは、今度はピンクのドレスを身に纏ったあの新婦だった。
爪'ー`)y‐「………(コイツも殺さなきゃいけないか…)」
ζ(゚ー゚*ζ「……もしかして貴方もモララ国王陛下を殺しに来た方ですか…?」
爪;'ー`)y‐「!!(なっ、なんでそれを…)」
ζ(゚ー゚*ζ「図星ですか…。とにかく入ってください…。ここに居れば見張りに見つかります」
爪;'ー`)y‐「………」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、早く入ってください」
俺は新婦に腕を掴まれ、無理矢理部屋に入れられた。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:18:17.06 ID:62xiPS7a0
ζ(゚ー゚*ζ「…で、今度は一体何が理由ですか?戦争反対?陛下から虐待を受けた?」
爪'ー`)y‐「……なんでアンタに理由を話さなきゃいけないんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「私は陛下の娘、デレンディアです。理由を知ることぐらい、私にも権利があると思うんです。違いますか?それでも話さないと言うのであれば兵を呼びますよ」
爪'ー`)y‐「…ま、確かにそうだな……。いいよ、話してやる」
そのかわりあとでお前も殺さなきゃならなくなるけどな…。
爪'ー`)y‐「兵士飼育所って知ってるか?」
ζ(゚、゚*ζ「兵士飼育所…?知りません…」
娘まで知らないとなると…、これは国家機密か…。
爪'ー`)y‐「お前の親父が建てたものだ。俺は5歳の時に両親から引き離され、その兵士飼育所に無理矢理連れて行かれた。そこで俺は…、人を殺すことしか学ばなかった」
ζ(;ー;*ζ「まさか…、そこは見ず知らずの子供を連れ去り、兵士として育てる所なんですか…?酷い……、なんてことを…っ」
デレンディアは両手で顔を覆い、泣いていた…。なんでそんなことで泣く必要があるんだ…?
そもそも【泣く】って…、どういう意味なんだろう…。
今の俺には【人の為に泣く】などという言葉の意味が全く理解出来なかった。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:25:07.55 ID:62xiPS7a0
ζ(:ー;*ζ「本当にお父様のことは申し訳ないと思います…っ。私からも謝りますのでどうかお父様を…っ、陛下を許してあげて下さい…っ」
デレンディアは土下座までして俺に頼み込んだ。そこまでして人のことを思いやれる心…、俺なんかには無い……。
ζ(;ー;*ζ「お願いします…っ!」
爪 ー )y‐「……俺がその地獄で覚えた言葉は…、『消灯』『起床』『突撃』と!!『目の前で呼吸している奴の世界を消せ』って命令してくるアラームだけだっ!!!
そんなことばかりしか教えない地獄のような施設を…っ、お前の親父が造ったんだよ!!!そこで殺された奴も居れば、
戦場で死んだ奴もいる!!!無理矢理連れて来られなければ!!!俺だって…っ!俺だって……っ」
必死に俺に土下座までして頼み込んでくるデレンディアにこんなこと言うつもりじゃなかった…。
でも勝手に口走ってしまったんだ……。
ζ(;ー;*ζ「何度謝っても…っ、許されないことだと分かっていますっ!!それでも私にとってはお父様はたった一人の家族なんです!!いくら怨んだって構いません…っ!どうか…っ、殺さないでください……っ」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:32:12.27 ID:62xiPS7a0
爪 ー )y‐「……俺、だって…」
その先の言葉が言えなかった…。彼女も…、俺も…、きっと同じ被害者なんだ…。
爪 ー )y‐「……っ…。…わかった……。今回は見逃してやるよ…。でも、まだ俺の殺意が消えたわけじゃねェから…」
俺はその一言を言い残し、部屋を去った。
爪# ー )y‐「クソ…ッ」
俺は城から脱出し、城から離れた場所にあるあの城壁を思い切り殴った。
間違っていた…。いくら兵士飼育所を建てた奴でも、いくら酷い憎しみを抱いていても…、
それで人を殺すっていうのは、間違いなんだ…。
アイツも自分が憎しみを抱いた人間を虐待したり、殺したりしたのかもしれない…。
そんなことをすれば、アイツと同様になる。あんな最低な奴と、同じになる…。
……いや…、もう同じなのかもしれない…。戦場で敵兵を殺さなきゃ自分が殺される。
こんな身勝手な考えで人を殺していたんだったら、アイツと同じだ…。
それが悔しくて…、悲しくて…。自分ではどうしようも出来ない思いになった…。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:38:51.94 ID:62xiPS7a0
俺はリリがいる部屋に戻った。
⌒*リ´・-・リ「おかえり、お兄ちゃん」
爪 ー )y‐「…まだ起きてたのか……」
俺はベッドに腰を落とす。
⌒*リ´・-・リ「長い散歩だったね。疲れなかった?」
この子はどうして優しい心を持っているんだろう…。どうして俺はこんなにも汚い人間なのだろう…。
自分が悲しい…。もっと綺麗な心のまま…、育ちたかった…。リリのように…。
⌒*リ´・-・リ「………お兄、ちゃん…?泣いてるの…?」
「…泣いてなんか…っ、ねェよ……ッ」
いつの間にか目からは大量の涙が次々と流れ出て来る。拭き取ってはまた出て、拭き取ってはまた出ての繰り返し。
俺が14年ぶりに流した涙は、止まることはなかった…。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:44:21.09 ID:62xiPS7a0
「………」
そんな俺を、リリは何も言わず、泣いている俺の傍に来て頭を撫でた。
そしてぎゅっと抱きしめる。今の俺にはとても暖かく感じて…、その暖かさが心の支えとなった。
リリが俺の頭を撫でる度に和む。悲しくてどうしようも出来ない心が除々に癒されていき、涙もようやく止まった。
「ありがとうリリ…。もう大丈夫だ」
「そっか、良かった」
またあの眩しい満面の笑顔で微笑んだ。その笑顔にも癒され、俺はだんだん変わっていくのが自分でも分かった。
きっと、あのモララを殺さなかったのも、デレンディアが必死になって頼み込んでいたからかもしれない…。
リリに出会う前の俺ならきっとすぐデレンディアも殺していただろう。
でもリリと会ってからだんだん俺は変わってきた。怨んでいた人間にも、その怨みは除々に無くなっていくのが分かる。
これも全てこの子のおかげなのだろうか。
sien
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:48:00.27 ID:62xiPS7a0
しばらく経ってから、リリは眠りについた。
俺はスヤスヤと気持ち良さそうに眠るリリの顔を見ながら考えていた。
リリには感謝しなきゃな…。
きっとリリに出会わなければ俺は永遠にあの地獄で生きている感覚も無いまま暮らしていただろう。
さっき俺が泣いていた時も、リリがああして心を癒してくれなければずっと子供のように泣いていただろう…。
その恩返し、でもあるのかな…。
俺は絶対、お前を守り続ける。
たとえ、どんな困難が待ち構えていようとも…。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:49:50.56 ID:62xiPS7a0
二 【人に対しての思いやり】 了
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 03:58:12.88 ID:62xiPS7a0
需要があれば第三話も投下しますがどうですかね?
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 04:29:22.27 ID:xmPIdDsR0
お願いします
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 04:51:00.91 ID:62xiPS7a0
>>61 おお!ありがとうございます
眠気が続く限りは投下したいと思います、ですが途中でいなくなってしまった場合
作者が寝落ちしたと思ってもらってかまいません
またここからは更新スピードも遅くなります
仮に寝落ちしてスレが落ちてしまった場合、また後日投下し直すので
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:01:33.14 ID:62xiPS7a0
――翌日の早朝。俺達はこの街を出ることに。
モララにマントの弁償をすると言ったが、そんな大金どこにも無いに決まっている。
それに、そろそろアイツの所にも兵士飼育所から情報が来る頃だろう。
兵士飼育所から逃亡した反逆者の情報が。
この街から兵士飼育所までそう遠くない。
今も、あの地獄の使者達は俺を探しているだろう。
爪'ー`)y‐「リリ、眠くないか?」
⌒*リ´・-・リ「うん、大丈夫だよ。それより…、ごめんねお兄ちゃん……」
爪'ー`)y‐「え?」
⌒*リ´・-・リ「昨日のこと……、勝手にあの新婦さんの所に行っちゃってごめんなさい…」
爪'ー`)y‐「そんなこと気にしなくていいさ…、な?」
⌒*リ´・-・リ「……うんっ、ありがとう…」
その時だった、
「待ってくださいっ!!」
突然、背後から声が聞こえた。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:12:45.36 ID:62xiPS7a0
振り向けば、必死にこちらに向かって走っているデレンディアが居た。
今度は動きやすそうな服装だ。
ζ(゚ー゚*;ζ「はぁ…っ、はぁ…っ、わ、私も旅に一緒に連れて行ってください…っ」
爪'ー`)y‐「俺がお前を連れて行く理由がどこにあるんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方には理由は無いでしょうね…。でも私は…、父が何をしているのかこの目で確かめたい…。
貴方が父のせいでどんなに酷い目にあったか知りたいんです。そして…、貴方が今まで経験した苦しい思いや悲しい思いを理解して、
またちゃんと謝りたいんです…」
彼女の目は真剣そのものだった。そんなにお前は親ってものが大事なんだな。
そんな思い、俺は一生分からないだろう。
爪'ー)y‐「……しゃあねェなぁ。足手まといにはなるなよ」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ありがとうございますっ!」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:26:40.62 ID:62xiPS7a0
⌒*リ´・-・リ「ねぇねぇ、お姉ちゃんはなんて名前?」
ζ(゚ー゚*ζ「デレンディア・キュルス・バルロイトです。よろしくね」
⌒*リ´*・-・リ「わぁ、長い名前ぇ…。私はリリ・キュヴァリオだよ。リリって呼んでねっ」
ζ(^ー^*ζ「(可愛いぃーっ)わかりました、リリちゃん。……そういえば、貴方の名前もまだ聞いていませんでした…。なんていうお名前なんですか?」
爪'ー`)y‐「俺は……、フォックス・ヴァルセリアだ」
ζ(゚、゚*ζ「…ヴァル、セリア……?もしかしてこの国【フェストル】の将軍、ヒッキー・ヴァルセリアのご子息ですかっ!?」
爪;'ー`)y‐「………は?」
聞いたこともない名前に唖然となる。
ζ(゚、゚*ζ「ヒッキー将軍をご存知ないんですか…?」
爪'ー`)y‐「知らない」
ζ(゚ー゚*ζ「フォックスはヒッキー将軍のご子息なんですか?」
爪'ー`)y‐「だから、誰だよそのヒッキーって奴は」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:33:03.33 ID:62xiPS7a0
ζ(゚ー゚*ζ「過去に敵国の将軍を10人も倒したという偉大な方です。闇術(ダームループ)という闇属性の術を使って敵兵を一気に1000人近く殺したとか。
私の父とも仲が良いのでよく城で見かけたことがあります」
もし…、そのヒッキーっていう奴が俺の親父だったら、どうして俺を【兵士飼育所】に入れたんだ?
御袋は必死に俺が連れて行かれるのを止めようとしていたのは記憶に残っているが、
親父は何もせず、ただ俺を見ていただけだった。あれが親父かどうかも分からないし、
ヒッキーっていう奴も俺の親父がどうかも分からない。
でも確かめたい。俺は、俺は生まれた時からもう、親父にとってはいらない存在だったのか。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:41:03.56 ID:62xiPS7a0
⌒*リ´・-・リ「……お兄ちゃん大丈夫?」
爪'ー`)y‐「………え?あ…、あぁ…、大丈夫だ。で…、デレ、そのヒッキーって奴は今どこにいるんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「確か…、ここから東に20(q)の所にある【機械都市リヴァイベル】にいらっしゃると思います。
術機武器(ルプディアス)工場の偵察に行くとお父様から聞きましたけど…、今いるかどうかは…」
爪'ー`)y‐「わかった。今から【リヴァルベル】へ行こう。確かめたいことがある」
ζ(゚ー゚*ζ「私も前からあそこが気になっていたので構いませんよ。あそこもお父様が建てたものですし…、
何かまだ私が知らない秘密があるかもしれません」
⌒*リ´・-・リ「私はお兄ちゃんの行くところならどこへでも着いて行くよ」
こうして俺達は、機械都市【リヴァイベル】に向かうことになった。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:45:33.75 ID:62xiPS7a0
三 【弱キ者ノ心】
――ヒッキー・ヴァルセリア。
もし本当に俺の父親だったとしても、父と呼べないだろう。
いや、呼びたくもない。今さら親なんて、俺にはいらない。
リリさえ失わなければ、何もいらない。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 05:54:59.78 ID:62xiPS7a0
――出発してから三日。ようやく【機械都市リヴァイベル】に辿り着いた。
⌒*リ´*・ー・リ「うっわぁ!すっごーい!!機械がいっぱいっ」
リリははしゃいでどんどん先へと行った。少しはしゃぎ過ぎだと思うが、まぁ可愛いので許す。
だが、リリを可愛いと思っているのは俺だけではなかった。
俺の隣にいるこの女……。
ζ(^ー^*ζ「リリは可愛いですねェ…」
と、まるで片思いをしている異性に見とれているかのような目でリリを見ていた。
……これって危ないんじゃないか…?
ζ(^ー^*ζ「なんて透き通った綺麗な目をしているんでしょう。きっと心がとても清らかなのでしょうね。
私達大人に比べて、リリにこんな汚らわしい場所は似合いません」
……以外と真面目なこと言った。
爪'ー`)y‐「(そうだな…)」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 06:01:46.36 ID:62xiPS7a0
――……そうだ…。
そうだった……。
俺みたいな人を何十人、何百人も殺してきた奴と手を繋ぐとリリも汚れるのだろうか。
人の血に染まった俺の手は…、何回洗ったって血は流れ落ちても人を殺したことは水には流されない。
消えることなんかない。
こんな汚い俺の手で、綺麗なリリに触れない方がいい。
ごめんリリ。俺汚いよな…。
汚れているこの手が憎い。汚した自分も憎い。
後悔しても今更もう遅い。俺の罪は、一生消えることなんて無い…。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 07:09:16.54 ID:L0vX1uoU0
どうなった
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 07:35:36.34 ID:naBVxwOV0
寝たか
ほっしゅ
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 09:30:09.87 ID:1pWRegbc0
ほ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 09:50:24.29 ID:1pWRegbc0
自動保守
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 11:17:47.37 ID:uCJd2FJr0
ほすほす
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 12:30:20.68 ID:bb8OxMup0
中々面白いよ支援
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 12:50:13.04 ID:c6bDTmJGO
しえ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 13:03:25.46 ID:62xiPS7a0
爪'ー`)y‐「その術機武器(ルプディアス)工場はどこにあるんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「私もどこにあるのか、どんな建物なのか存じません…。お役に立てなくてごめんなさい…」
爪'ー`)y‐「別に謝ることないから。まぁこの街の人に聞けば分かるんじゃね?」
俺はリリを呼び戻し、三人で術機武器(ルプディアス)工場がどこにあるのか聞き込みをした。
結構大きな工場みたいなので多くの人が知っていた。俺達は聞き込みで得た情報を元に、工場に向かうことに。
爪'ー`)y‐「この大通りの先に工場があるんだな。かなりの人だな…」
爪'ー`)y‐「逸れないように注意しないといけませんね」
⌒*リ´・-・リ「じゃあ私はお兄ちゃんと手繋いでおくね」
と、リリが俺の手を握ろうとする。
爪 ー )y‐「!」
俺は反射的にリリの手を払いのけていた。
⌒*リ;´・-・リ「……え…?」
爪'ー`)y‐「…あ……っ。………ごめんリリ…、デレと手を繋いでてくれ……」
⌒*リ´・-・リ「…う、うん……」
触れてはダメだ…。リリを汚してはダメだ。こんな俺と、本当は一緒に居ちゃダメなんだ……。
俺は汚れているんだ。汚れている俺は、綺麗なものに手を伸ばしてはいけない。綺麗な心のリリを欲してはいけない。
傷つけてしまうかもしれない。でも俺は…、俺がリリに触れてリリが汚れるのが怖い…。怖いんだ…。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 13:09:37.37 ID:62xiPS7a0
工場の前。
爪'ー`)y‐「これがそうか…」
ζ(゚、゚*ζ「そう、みたいですね…」
⌒*リ´・-・リ「………」
リリは落ち込んでいる様子だった。俺が傷つけた。
でも、それでもリリを汚すことだけは嫌だ。
ζ(゚ー゚*ζ「行きましょう」
爪'ー`)y‐「あ、あぁ…」
⌒*リ´・-・リ「………」
リリは何も言わず、俺達の後に着いて来る。俯いたまま。
デレは扉の横にあるインターホンを鳴らした。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 13:13:16.27 ID:62xiPS7a0
『はい、術機武器(ルプディアス)工場です。ご用件は?』
ζ(゚ー゚*ζ「モララ国王の娘、デレンディア・キュルス・バルロイトです。こちらにヒッキー将軍はいらっしゃられるでしょうか?」
『これはデレンディア様。将軍なら街長のご自宅へお話をしに向かいましたが…』
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか…。教えてくれてありがとうございます、失礼しました」
『お気をつけて』
爪'ー`)y‐「結局また探すのか…」
ζ(゚ー゚*ζ「でも今探さないとまたどこかへと行ってしまわれますよ。将軍はお忙しい方ですから…」
爪'ー`)y‐「まぁ、地位が将軍だからな…。よし、街長の家へ行ってみるか。さすがに街長の家は街の住民皆知ってるだろう」
そして俺達はまた近くにいる街の住民に聞き込みをして、街長の自宅へと向かった。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 13:25:16.26 ID:62xiPS7a0
街町の家の前に行くのはやはり容易だった。
爪'ー`)y‐「また居なかったらもう探さねェぞ…っ」
ζ(゚ー゚*ζ「ま、まぁまぁ落ち着いてくださいフォックス…。さぁ、行きましょう」
⌒*リ´ - リ「……私…、ここで待ってる…」
爪'ー`)y‐「「え?」」ζ(゚ー゚*;ζ
二人同時に振り返った。そこには今にも泣きそうな顔をしたリリの姿が。
ζ(゚ー゚*;ζ「リリちゃん…?どうしたの…?」
⌒*リ´ - リ「なんでもない…。早く行って来てよ…、私はここで待ってるから……」
そう言い、リリは街長の家の壁にもたれ込み、そのまま座った。
爪 ー )y‐「……行こう…」
ζ(゚ー゚*;ζ「…え、えぇ」
ごめん、リリ。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 13:37:51.24 ID:62xiPS7a0
(;-_-) 「これはこれはデレンディア様っ!こんなむさ苦しい場所へ如何なされましたか?」
ζ(゚ー゚*ζ「将軍に御用があり、ここまで来ました」
街長の家にはヒッキー将軍と見られる大きな鎧を身に纏った長髪の中年男がいた。
(-_-) 「私にですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「えぇ…。あの…」
爪 ー )y‐「いい…、俺が話す…」
(-_-) 「何者だお前は」
爪'ー`)y‐「俺はフォックス・ヴァルセリア」
(;-_-) 「なっ、フォックスだと…っ!?【フェレンデ】で起きた火災戦争で死んだはず…っ」
爪#'ー`)y‐「俺のことを知っているということは、お前は俺の親父なんだな……。…それならどうして…、
お前はどうして俺を、実の息子をあんな地獄に堕とした!?」
(-_-) 「………」
爪#'ー`)y‐「おい…っ、どうなんだ!!答えろよっ!!!」
(-_-) 「ふん、地獄だって?あんないい場所を地獄だなんて、あそこは逆に頭の悪い貴様に言えば天国じゃないか」
爪#'ー`)y‐「なんだと…っ?」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 13:48:50.40 ID:62xiPS7a0
(#-_-) 「戦争なんてお前や俺が生まれるずっと前から起こっていたんだよ。今になって終わらせるなんてことは出来ない。
だから、世界のガキ共を兵士飼育所に無理矢理押入れ、戦争で活躍させることがこの世に貢献できることなんだよ」
俺はなんとか怒りを抑え、歯を食いしばった。
爪# ー )y‐「罪も無い大勢の人間を殺すことがこの世にとっての貢献?テメェふざけてんのか…っ?」
(-_-) 「大真面目だとも、負け犬のフォックス。戦争で人間を殺すことで、お前らは今まで生きてこれただろう?
それに、お前こそ罪も無い人間を今まで沢山殺してきたんじゃないのか?」
爪 ー )y‐「……っ…」
(#-_-) 「なぁ、そうだろうっ!?」
爪 ー )y‐「おふく、ろ…はっ、今どこに居るっ」
(-_-) 「…話を変えるのか?まぁいい。お前のお袋はお前を戦場に連れて行くのをよっぽど嫌がってなぁ、つい殺してしまったよ…」
ヒッキーはまるで他人事のように答えた。
爪# ー )y‐「…っ!!!それだけの理由で殺して…っ、お前になんの得があんだよっ!!!だいたいお袋はたった一人の妻だったんじゃねェのかよ!!!」
(-_-) 「妻?ハッ、私の邪魔をする者は妻などではない。それに妻の代わりならいくらでもいる」
爪##ー )y‐「…ッ!!……コノヤロオオォーーッ!!!!」
俺は剣を抜いて親父を殺そうとした。
(-_-) 「おい待てよ、おまえは俺と同じだ」
爪 ー )y‐「ッ!!!」
体が動かなくなった。
(-_-) 「俺のことなど言えないじゃないか。あの時のあの街で起こった火災戦争でも街の住民や敵兵を沢山殺したのだろう?」
爪 ー )y‐「やめろ…っ」
俺は耳を塞いで親父が言っていることを聞こえないようにしたが、やはり聞こえてしまう。 親父は不気味な笑みを浮かべ、話を続ける。
(-_-) 「住民達はさぞ怖かっただろうなぁ。お前みたいな若造が剣を振り回して何十人も人を殺していたのだから」
爪 ー )y‐「やめろ…っ!」
(-_-) 「子供なんかがお前のそんな姿を見たらトラウマになるなぁ、きっと。親が目の前で殺されたらショックで声も出なくなるんじゃないか?」
爪 ー )y‐「やめろおおぉおぉおぉっ!!!!!!!」
俺はそのまま膝ま付いた。
ζ(゚ー゚*#ζ「将軍!!もうやめてくださいっ!!これ以上彼を苦しめるなら貴方を将軍から解任しますよ!!!」
(-_-) 「これはこれは、失礼致しました。じゃあな、負け犬フォックス。せいぜい苦しみながら生きてろよ」
と言い残し、親父、いや、ヒッキーは去って行った。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:09:14.62 ID:ik0eSPy70
絶望という名の希望を捨てるなよ
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:13:29.78 ID:62xiPS7a0
ζ(゚ー゚*;ζ「フォックスッ、大丈夫ですか!?」
爪 ー )y‐「ああぁあぁっ!!!やめろっ!!やめろおぉっ!!!」
ζ(゚ー゚*;ζ「街長さんベッドをお借りしてもよろしいですかっ!?」
( ・ω・)「どうぞどうぞ!それより…、彼は大丈夫なのですかっ?」
ζ(゚ー゚*;ζ「かなり混乱しています…っ。とにかく落ち着かせてあげなけばなりません…っ!」
( ・ω・)「私が部屋まで運びましょう。貴方のそんな細い体ではこの方は運べますまい…」
ζ(゚ー゚*;ζ「ありがとうございます…っ!」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:15:25.44 ID:62xiPS7a0
――暗い…。ここはどこだ…?誰も居ない…。
悲しみや苦しみが伝わってくる……。
息苦しい…っ。
早くここから出たい…っ。
誰か…っ、助けてくれ…っ!――
ん?……手が…、暖かい…。
どんどん心が癒されていく…。
なんだろうこの感じは…。
俺は…、この暖かさを知っている……。
リ…リ……?
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:21:44.71 ID:62xiPS7a0
爪うー)y‐「……う…っ」
⌒*リ;´・-・リ 「!!お兄ちゃん!?」
爪'ー`)y‐「…こ、こは……?」
ζ(゚ー゚*ζ「街長のご自宅です。それより…、もう大丈夫ですかフォックス…?」
爪'ー`)y‐「え…?」
ζ(゚、゚*ζ「酷く混乱していたそうですが…」
……そうだ…。ヒッキーと話しをして、アイツが口にする一つ一つの言葉に怯えて気を失ったんだった。
爪'ー`)y‐「…大丈夫だ……。心配かけてごめん…」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなの全然いいんですよ。それじゃあ私も休みますね、おやすみなさい…」
デレはわざとらしい笑みを浮かべ、静かに部屋を出ていった。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:29:16.01 ID:62xiPS7a0
爪'ー`)y‐「…リリ、お前は寝ないのか…?」
⌒*リ´・-・リ 「今日はお兄ちゃんと一緒に寝る…」
左手が暖かい…。この暖かさはリリがくれたものだったのか…。
触れては駄目だったのに、だけど今の俺にはリリの暖かさが必要だ。
でも、リリを拒む自分が居て、手を離そうとした。すると、
⌒*リ´・-・リ 「離さないで…」
爪'ー`)y‐「…え……?」
⌒*リ´ - リ 「もう手離したりとかしないで…っ」
リリは俯き、身体を震わせていた。ポタポタと涙が落ちるのが分かった。
爪 ー )y‐「………今日だけだからな」
俺はリリをベッドの布団の中に入れてやった。
「暖かい……。ありがとう…、お兄ちゃん……。おやすみ…」
「ん、おやすみ……」
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:32:52.54 ID:OLzBfb/A0
てす
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:34:09.57 ID:62xiPS7a0
俺はまだ寝ずにいた。
さっきのリリの表情を見て気付かされた。
俺の手が…、リリを汚してしまうかもしれない。
でも…、リリにとってはそんなことどうでもよくて、リリが俺に触れられれば、リリは安心出来る。
俺も、安心出来る。
先程までリリに触れるのが怖かったが…、今はなんとも思わない。
逆に触れていないと不安になる。またリリが…、傷付いてしまうんじゃないかって。
また…、リリを泣かせてしまうんじゃないか…、って。
不安な思いは沢山あるけれど、今夜はもう眠ろう。
ヒッキーのことで、俺ももう疲れた…。
不安な思いを早く無くなるよう願い、リリをぎゅっと抱きしめて今宵も俺は眠りについた。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:35:41.36 ID:62xiPS7a0
三 【弱キ者ノ心】 了
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:38:45.07 ID:ExO/Xxgo0
次にお前は「第四話を投下しますが」と言う
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 14:38:48.76 ID:62xiPS7a0
支援ありがとうございました
今からバイトがあるので落ちます。スレが残っていれば第四話を夜か深夜に
落ちていれば後日あらためて投下したいとおもいます
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 15:11:38.11 ID:uCJd2FJr0
乙
楽しみにしとる
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 15:43:25.32 ID:xmPIdDsR0
乙ー
なるべく保守しとくわ
ほ
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 18:39:13.25 ID:c6bDTmJGO
ほ
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 18:40:45.81 ID:Uf4HDNEf0
も
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 19:37:53.93 ID:eO5hfL+70
もしゅ
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 20:32:27.45 ID:D6xhTKfU0
ほしゅ
ほ
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 21:36:28.60 ID:K+6FN+4f0
保守時間目安誰か貼ってくれ
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 21:39:47.40 ID:eO5hfL+70
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:05:56.75 ID:VgT8lgCS0
ほ
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:09:22.54 ID:Uf4HDNEf0
も
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:17:13.46 ID:bb8OxMup0
せ
っ
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:24:31.50 ID:62xiPS7a0
おお!保守されている!ホントにありがたい!
今から第4話を投下したいと思います!
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:34:44.03 ID:62xiPS7a0
――真っ暗な、暗闇の中。
ここは、どこだ? 俺はこんなところで何をしているんだ?
ピチョ…ッ
…え……、血…が……っ。手に血がついて。
『ほうら…、お前は今罪も無い人間を殺した…。やはり人のことなど言えんだろうが』
アイツ…ッ!どこだヒッキー!!!
『お前は、お前自身の大切な人を殺したようだなぁ…、フォックス』
な…、なんのことだ…!!
『下をよく見てみろ』
リ、リ…
「フハハハハッ!!!馬鹿だねぇ…、自分自身の大切な人間まで手にかけるとは…っ』
やめ…ろ……っ!
『本当はそのガキはお前自身にとって大切な人間ではなかったんじゃないか?』
……黙れ!黙れっ!!!俺は…っ、俺は…っ!!
『ただ同情して一緒に連れていただけだろう?』
やめろっ!!消えろ!!消えろっ!!いやだ…っ、俺は…リリを…っ!!殺してなんか…っ!!!これは夢だ…っ。消えろ…っ。
これは夢だ…っ!消えろ消えろっ!!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:41:52.84 ID:62xiPS7a0
爪 ー )y‐「消えろおおぉおぉおーーっ!!!!!」
⌒*リ;´・-・リ 「っ!!な、何っ!?」「
爪 ー )y‐「はぁっ、はぁっ」
夢だ。夢だった。良かった。
⌒*リ;´・-・リ 「お兄ちゃん大丈夫っ?顔がすごい真っ青だよ!?」
爪 ー )y‐「リリ…ッ」
リリがいる…。死んでない…。良かった…っ。
俺はリリを殺してなんかいない…っ。
爪;ー;)y‐「良かった…っ」
俺は心配そうに見つめるリリを抱きしめた。
⌒*リ;´・-・リ 「お、お兄ちゃん…?」
爪 ー )y‐「ごめん…っ、ごめんな…っ」
怖かった…。本当に俺がリリを殺してしまっていたら、なんて夢のせいでくだらないことを少し考えてしまった…。
でもちゃんとここにいる…。ちゃんとリリがいる。触れることで感じる暖かさを感じられる。
リリの特別な暖かさ。光をくれる…、優しい暖かさ…。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:44:41.66 ID:62xiPS7a0
混乱していた俺の心はどんどん落ち着いていき、リリを離してやった。
⌒*リ´・-・リ 「もう大丈夫?」
爪'ー`)y‐「あぁ、大丈夫だ。ありがとう…」
⌒*リ´・-・リ 「良かった…」
あぁ…、俺は、
これからリリが居なければ生きていけないかもしれない。
リリが居ない世界に居れば、すぐ心が闇に取り込まれる。
そして…、リリが助けてくれない限り俺は永遠に闇の中で生きるんだ。
ずっと、永遠に。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:50:24.83 ID:uCJd2FJr0
しえんしえん!
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:52:11.49 ID:62xiPS7a0
ノックが聞こえ、答える間もなく扉が開いた
ζ(゚、゚*ζ「フォックス?さっき叫び声が聞こえましたが…、どうかされましたか?」
デレが心配そうな顔で部屋に入って来た。
爪'ー`)y‐「…いや、なんでもない。ただ悪い夢を見ただけだ…」
ζ(゚、゚*ζ「そうですか…。……あ、街長さんが下で豪華な朝食を用意して下さってますよ」
爪'ー`)y‐「あぁ、わかった。すぐ行く」
デレは手伝いをしてるのか、忙しそうに部屋を出ていった。
また取り残される二人。
⌒*リ´・-・リ 「……お兄ちゃん…、まだ顔色あまり良くないけど大丈夫…?」
爪'ー`)y‐「そんな心配しなくても大丈夫だよ。さ、朝飯食いに行こう、リリ」
⌒*リ´・-・リ 「うん…」
俺自身が「大丈夫だ」と言っても、リリはまだ心配そうな顔で俺を見つめていた。やっぱり、リリには嘘はつけないな……。
本当は……、今でもさっきの悪夢の恐怖心が残ってる…。
リリを見ただけで悪夢を思い出してヒッキーと会話した時のようにまた狂いそうになる…。
はは…、俺って一体なんなんだよ……。リリが動力で動いている機械かよ…。
何にでもリリに関することに反応し過ぎだ。
自分でもそれは分かってる。だけど…、どうすればいいか分からないんだよ…っ。
まだ【兵士飼育所】に居た頃は何もかも命令されて動いてた…。
『自分の意思』なんてもの…、教えられてないから分からない…。
何か命令を出されなきゃ何をすればいいのかなんて…、俺には分からないんだ………。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:53:44.46 ID:yMWYTySw0
支援
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 22:58:53.09 ID:62xiPS7a0
ζ(゚ー゚*ζ「……フォックス…、食べないのですか…?」
爪'ー`)y‐「………」
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃん…?」
豪華な朝食が目の前にあるというのに、食欲が湧かない。まだ手が微かに震えている…。
怖い…。俺がいつ誰かに激怒して人を殺すのか分からない。
その光景をリリに見られて、リリに離れられるのが怖い…。
俺は臆病者だ…。
こんな臆病であの地獄に居た頃、よく人を殺せたよな……。
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃん、早く食べないと冷めちゃうよ?」
爪'ー`)y‐「………」
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃんってばっ」
爪'ー`)y‐「……あ…、ごめんリリ…。…俺ちょっと散歩しに行ってくる……」
きっと二人共変に思っただろう。こんなに思い悩まされたのは初めてだ…。
だからどうすればいいのか分からないんだ……。
俺は二人を残して一人、外へと出た。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:00:33.53 ID:yMWYTySw0
支援
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:01:51.38 ID:62xiPS7a0
街をぶらついていたが、賑やかで人々の声が耳障りだったので街の外に出た。
周りが静かだと、やっぱり落ち着く。
人気が全く無い荒地の丘に行き、青い空を見上げては溜息を漏らす。
今まで、どうやって生きてきたんだっけ…。
一番疑問に思った。
そもそも何故、今まで生きてきたんだ。反抗すれば殺されて楽になれた。
なのに何故……。
――『死』が…、怖かったんだ……。
自分が死ぬなら愚かな人間を殺して生きていった方がマシだと思い込んでいたんだ…。
そしてリリを出会い、人を殺したことが恐怖へと変わり…、今に至るというわけか…。
ヒッキーに出会わなければ、こんな思い悩まされることなどなかった筈だ……。
ただ確かめたかっただけなのに、こんな返り討ちを受けるなんて…。
爪 ー )y‐「馬鹿だなぁ……、俺…」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:08:32.40 ID:62xiPS7a0
その時。
「フォックス!」
見るとデレが俺の下に向かって走っている。
今は一人で居たい気分だったのに…、と心の内で独り言を漏らし、立ち上がってデレの方へ歩く。
爪'ー`)y‐「なんだよ…、何か用…?」
ζ(ー*ζ「はぁ…っ、はぁ…っ。…っ……情けないですよフォックス…」
爪'ー`)y‐「……は?」
いきなり現れて何を言い出すのやらこの女は。
ζ(ー*ζ「過去を悔やんでいても何も始まらないでしょう!!過去なんて…、見なくていいんです…っ。
今だけを見ていればいいんですっ!!!貴方がどれだけ人を殺したなんて知りませんっ!
貴方がどれだけ苦しい思いを感じたかもまだ私には分かっていませんっ!!ですが…っ、
どれだけ苦しい思いを感じたとしても……っ、…私は、いつもの貴方でいて欲しいです……」
爪'ー`)y‐「……デレ…」
デレはそれだけ言い終わると静かに立ち去ろうとした。
ζ(ー*ζ「……リリがとても心配していました…。早く戻って来てください。貴方が戻って来ないと、旅は終わってしまいますよ…。
フォックスは、それでいいんですか…?」
そう言い残し、立ち去って行った。
さるよけ支援
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:11:19.99 ID:62xiPS7a0
四 【過去を見るな、今を見ろ】
………過去を悔やんでいても何も始まらない…、か……。
確かにそうだな…。こんな気持ちじゃあリリを守れないしな…。
今をただ見ていればいい。ちゃんと前を向いて歩いていけたらそれでいい。
俺はリリ達の下へと走った。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:17:54.38 ID:62xiPS7a0
バンッ!!
爪 ー )y‐「はぁっ、はぁ…っ」
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃん…」
爪'ー`)y‐「リリ…、ごめんな…、何回も心配かけて……。でももう今度は本当に大丈夫だから」
リリは俺の言葉を聞くと、何も言わず安心したかのように微笑み、俺の下へと近寄って来る。
そして、
⌒*リ´^ー^リ 「おかえりお兄ちゃん!」
俺の真下で満面の笑顔でまた微笑んだ。
爪'ー`)y‐「リリ……。ただいま」
俺はリリの背と同じ高さにする為にしゃがみ、リリの頭を優しく撫で、笑った。
ζ(゚ー゚*ζ「…さて、感動の再会みたいなものが終わったら、さっさと旅の支度を致しましょう!」
爪#'ー`)y‐「ちょ、なんか酷いぞデレ!」
ζ(゚、゚*ζ「あら、そうですかー?」
「「「………ぷ…っ、あはははははっ!!」」」
俺達三人はその日、笑いながら一日を過ごした。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:19:46.37 ID:62xiPS7a0
この日、この時…、俺は久々に腹が痛くなる程大笑いをした。
こうやって、皆で笑っていられるのが一番良いんだと思った。
だって、また苦しい思いをしたって、笑えば何でも忘れてしまうだろう?
それがきっと…、俺達にとっても、世界にとっても、
一番良いんだ。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:25:32.78 ID:uCJd2FJr0
しえ
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:32:19.72 ID:62xiPS7a0
――『聖大都市グラマベルム』地下。
(`・ω・´)『フォックス・ヴァルセリアはまだ見つからんのか』
( ^Д^) 「はっ、申し訳ございません…っ」
周りは暗く、大きなモニターが微かに辺りを照らすだけの不気味な部屋。
一人の若者がモニターに移る中年の男に謝罪をしていた。
( ФωФ)『…仕方ないのだ。この広い世界で一人の人間を見つけ出し殺すというのは元より不可能に近いのである』
その隣から老人が話に入り込んできた。
从 ゚∀从『だが、絶対不可能ってわけじゃねェだろ?アイツらを捜索に出したら簡単に見つかるだろ』
今度は若者の男より少し若い女。
その時
/; ,' 3「お待ち下さい!!!」
突然、部屋に白い研究服を着た老人が入って来た。どうやらここの研究員らしい。
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:42:01.56 ID:62xiPS7a0
(`・ω・´)『何用だスカルチノフ・ヴァルセリア。今は会議中だぞ』
/ ,' 3「代々ヴァルセリア家は【神賢者】と言い伝えられてきました…。その血を継ぐフォックスを殺すとなると世界の機能は停止し、時が止まるのですよ!?」
( ФωФ)『そんなもの、ただの言い伝えじゃろう?世界の仕組みなど我々が一番分かっておる』
/ ,' 3「しかしっ、もしその言い伝えが本当ならば(`・ω・´)『もうよいっ!!おい!その者を追い出し、研究室に閉じ込めておけ!!』
数人の黒い服を纏った人達が研究員の老人を掴み、無理矢理部屋から出そうとする。
/ ,' 3「…くそっ、離せ!!もし言い伝えが本当なら!貴方方も私もっ、フォックスが甦るまで永遠に止まるだけなんですよ!!
そんなの死んだのと同じじゃないかっ!!離せ…っ!それに…っ、フォックスは私の孫なんだ!!」
バタンッ!!
(`・ω・´)『騒々しい…っ。ああいう者には罰を与えたいが…、彼は優秀な科学者だ。失うわけにはいかん』
从 ゚∀从『もういいだろうよシャキン。そろそろ本題に戻ろうぜ』
( ФωФ)『ハインの言う通りじゃ。それで、あの化け物共を使うのか?』
(`・ω・´)『……止むをえん、プギャー、直ちに第五研究所に向かい、【ダグ】を出動させよ』
( ^Д^) 「御意!失礼致します!」
プギャーは部屋を大急ぎで出て行った。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:45:47.21 ID:62xiPS7a0
( ФωФ)『厄介な者じゃ…。人を一人殺すのにこんな要らぬ手間がかかるとはのう…』
(`・ω・´)『全くだ。さて…、そろそろ私は眠るとする。叫んで少し疲れた』
从 ゚∀从『こんな時に病気悪化させんなよ〜?』
(`・ω・´)『分かっている』
モニターは消され、部屋は真っ暗となった。それから物音一つ聞こえることはなかった。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:51:23.23 ID:62xiPS7a0
――翌日の早朝。
ζ(゚ー゚*ζ「街長さん、二日も宿泊させて貰って、本当にありがとうございました」
デレは丁寧にお辞儀をして、笑みを浮かべた。
( ・ω・) 「いいえ、とんでもない!また遊びに来て下さると私は嬉しいですよ」
⌒*リ´・-・リ 「おじさん、ご飯おいしかったよ!ありがとうっ」
リリも満面の笑顔で街長に礼を言った。
( ・ω・) 「孫が出来たようで、嬉しかったよリリちゃん。こちらこそありがとう」
爪'ー`)y‐「……色々、迷惑かけて、悪かった…」
( ・ω・) 「…強く生きなさい。そしてこの二人を、沢山の人を…、守ってあげるのですよ」
爪'ー`)y‐「あぁ、約束する」
俺達はお互い握手をして、そろそろ出発することに。
( ・ω・) 「それではお気をつけて。またこの街にも遊びに来てくださいね」
ζ(゚、゚*ζ「ええ、もちろんです。…あ……、街長さん…、私お父様に何も言わず出て来てしまったんですが…、
私がこの街に来なかった、ということにしておいてもらえませんか…?」
( ・ω・) 「……何か理由があるのですね…。分かりました、憲兵が尋ねて来ても黙っておきます」
デレは深く礼をし、街長に感謝をする。モララに何も言わず来たんだな…。そりゃそうだ、結婚したばかりなのに旅に出るなどアイツが許すわけがない。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/26(木) 23:55:16.91 ID:62xiPS7a0
( ・ω・) 「…あぁそうそう、これを忘れるところでした!リリ…、本当はこれを使わないで頂きたいが…、
しかし、もし守ってくれる人が居なくて、自分の身が危なくなった時は、これを使いなさい」
街長はリリに術機武器(ルプディアス)と見られる小さな銃を渡した。
⌒*リ´・-・リ 「これ何?」
( ・ω・) 「『お守り』…、とでも思って頂ければそれで十分です……」
⌒*リ´・-・リ 「分かった、ありがとう」
( ・ω・) 「では三人共、本当にお気をつけください」
俺達は街長と別れ、『機械都市リヴァイベル』を後にした。
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:01:57.43 ID:BwaRQdiT0
爪'ー`)y‐「さぁて、次はどこへ行く?」
1km程歩いたところでようやく俺は口を開いた。
ζ(゚ー゚*;ζ「…え?決めていなかったんですか?」
爪'ー`)y‐「決めてるわけないだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「てっきり私、次の街に向かっていると思っていました…」
爪'ー`)y‐「そりゃ悪かったな。で、どこか行きたい街とかないのか?」
ζ(゚〜゚*ζ「うーん…」
デレは手を顎に当て、真剣に考える。
ζ(゚ー゚*ζ「………無いです」
爪;'ー`)y‐「なんだそれ!数分考えてその答えか!」
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:06:53.92 ID:BwaRQdiT0
ζ(゚ー゚*;ζ「だ、だってお父様と繋がりがある場所といえば『リヴァイベル』しか思いつかないんですもの…っ」
半泣き状態で答えるデレ。そんな天然、俺に通じると思ってるのか…?
……それが通じるんだよな…。
爪'ー`)y‐「はぁ〜…っ」
俺は深い溜息を漏らし、身体全体でガックリとする状態に。行くあてもないまま歩いていたってしょうがない…。
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃん」
その時にリリは俺の服の袖をクイクイ、と軽く引っ張った。
爪'ー`)y‐「どうした?」
⌒*リ´・-・リ 「もう街見えてるよ?」
「「…え?」」
デレと俺、二人同時に反応する。
前方を見れば本当に街があった。
会話をしている間にどれだけ歩いたのか…、と色々と疑問があったが、とりあえず俺達はその街に入ってみることにした。
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:13:07.37 ID:BwaRQdiT0
ζ(゚ー゚*ζ「…街、というか、村のような場所ですね」
この小さな街に住んでいる住民は街程多くなく、田舎の村のような場所だった。
この街はモララが居る『王都ゲンドール』より思いやりのある人が多そうだ。
爪'ー`)y‐「ここにはまだ自然があるみたいだな」
ζ(゚ー゚*ζ「まぁ本当。周辺に聖霊が住んでいるんでしょうか?」
(゜3゜)「ようこそ、旅のお方」
突然、一人の年老いた老人が話しかけてきた。
(゜3゜)「ここは『シュールント』。自然はこれだけじゃが、世界で一番自然が残っている街じゃ。歓迎しますぞ、旅のお方」
老人は優しい笑顔で話した。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ありがとうございます。ところで貴方は…?」
(゜3゜)「あぁこれは失敬。わしはこの街の長、ポセイドン・ナーティスと申す」
ζ(゚ー゚*ζ「初めましてポセイドンさん。私はデレ……、デレティナ・バルコントと申します」
デレは何故か長老に偽名で自己紹介をした。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:16:36.11 ID:BwaRQdiT0
ζ(゚ー゚*ζ「ポセイドンさん、よろしければ宿屋に案内して頂けないでしょうか?」
(゜3゜)「もちろん。わしの孫に使わせましょう。おい、ホライゾン!」
長老は後ろでまき割りをしている短髪の男に声をかけた。
――…ホライゾン……?
聞き覚えのある名前に、違和感を感じる。
( ^ω^)「じいちゃんどうしたお?」
(゜3゜)「あぁホライゾン、この方々を宿屋に案内してはもらえないだろうか?」
( ^ω^)「いいお。じいちゃん身体弱いんだから、家帰ってなお」
(゜3゜)「はいはい。全く心配性じゃのう」
長老はブツブツと文句を言いながら帰って行った。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:17:06.20 ID:l+jHxlLT0
支援
なんだかどんどん壮大なストーリーになってきたな
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:25:58.46 ID:BwaRQdiT0
歩きながらホライゾンは語る
( ^ω^)「僕はホライゾン・ヴァルセリア。ここに居候させてもらってるんだお」
ζ(゚ー゚*;ζ「え…っ!?」
『ヴァルセリア』というファミリー・ネームに驚くデレ。
思い出した、まさか本当にあのホライゾンだったとは…。また会えるとは夢にも思っていなかった。
( ^ω^)「何?どうかした?」
爪'ー`)y‐「ホライゾン、お前生きてたのか!」
( ^ω^)「へ?お兄さん何言ってるお?」
爪'ー`)y‐「ブーン、俺だよ!フォックスだ」
( ^ω^)「……お…」
俺の名前を聞いた瞬間、ブーンの笑顔は一瞬にして消え去った。
(# ^ω^)「…っ……、どの面下げて僕の前に現れた…っ」
爪'ー`)y‐「…え……?」
(# ^ω^)「出て行くおっ!!これ以上僕を不幸にするなあぁ!!!!」
と、ブーンは俺を殴ろうとする。
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:29:02.47 ID:ABbs58rE0
( ^ω^)ちょべりば
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:31:30.83 ID:BwaRQdiT0
その時
⌒*リ#´・-・リ 「やめてっ!!!」
(; ^ω^)「っ!?」
リリがブーンの身体を抱き付いて攻撃を止めた。
爪#'ー`)y‐「リリッ、お前は下がってろ!」
⌒*リ#´・-・リ 「嫌だよ!誰だか分かんないけど、お兄ちゃんを攻撃する人なんて許せない!!」
(# ^ω^)「この…っ、離せっ」
ブーンは強く抱き締めてくるリリを力づくで離そうとする。
⌒*リ´ - リ 「…っ……!」
それでもリリは離れようとしない。
(# ^ω^)「……くそ…っ!分かった…、もう攻撃なんかしないから離すお」
⌒*リ´ - リ 「…ホントに?」
リリはブーンの言葉を信じ、離れた。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:35:57.42 ID:BwaRQdiT0
ζ(゚ー゚*;ζ「あの、フォックス……。どういう関係なのか説明して頂けますか…?」
爪'ー`)y‐「……コイツは俺の弟だよ」
(# ^ω^)「だけどもう兄弟の縁は切ったお!だから今はただの他人だお」
俺は切った覚えは無いが…、それだけ俺のことを憎んでいるんだろう。
ζ( ー *ζ「…そう、ですか……」
デレは落ち込んだ表情で俯いた。他人事なのにどうしてそんな顔をするんだ…。
俺のせいでって思うと気が狂うじゃないか…。
爪'ー`)y‐「とりあえず宿までは案内してくれないか…?」
( ^ω^)「フン…、案内するのは宿だけだお」
( ^ω^)「後、ブーンって呼ぶなお」
何故憎まれているか分からない。兵士飼育所に連れて行かれる前はあんなに仲が良い兄弟だったじゃないか…。
どうしてなんだ…、ブーン…。
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:44:05.71 ID:BwaRQdiT0
( ^ω^)「ほら、ここが宿屋だ」
爪'ー`)y‐「…デレ、リリ。先に宿屋に入っててくれ」
⌒*リ´・-・リ 「でも、お兄ちゃζ( ー *ζ「リリ、行きましょう…」
デレはリリを連れて俺の方をチラチラと振り返りながら宿屋に向かった。
俺は表情で「ありがとう」と、礼を言った。その後振り返りブーンを見る。
( ^ω^)「なんだお、僕はまだ仕事が残ってんだお」
爪 ー )y‐「どうしてそんなに俺を憎んでいる」
( ω )「…お前が出て行ったあとに、親父と母さんが大喧嘩して、母さんは殺された。
その現場を目撃した俺は親父に殺されるところを命からがら逃げて来たんだ。
何もかも…っ、お前が家を出て行ったせいだ!!!」
爪 ー )y‐「違う…っ!!俺は出て行ってなんか(# ω )「黙れ!!!今日ここで一泊したら出て行け!!!そして二度と僕の前に現れるなっ!!!」
ブーンは怒りながら去って行った。出て行ってなんかない。俺だって、ヒッキーの被害者なんだよ…。
文も台詞も展開も痛くなるくらい寒いな
書いてる奴も読んでる奴もどこまで厨二病こじらせてるんだよ
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:48:55.24 ID:BwaRQdiT0
ζ( ー *ζ「フォックス…」
俺はブーンと話終わったあと、部屋に戻った。
部屋に入った途端、ベッドに座っていたデレが立ち上がり心配そうな表情を浮かべながら俺を見つめた。
ζ( ー *ζ「……大丈…夫、ですか…?」
気を使ってか、遠慮しがちに問うてきた。
爪'ー`)y‐「…大丈夫だ。心配すんな」
その問いに俺は無理矢理作った笑顔で答えた。
ζ(゚ー゚*ζ「!!そうですか、良かった…」
ホント…、天然っていうか……、やっぱりデレはリリとは違うんだな…。
リリは真剣な顔で、ずっと俺の顔を見つめたまま目を離そうとしなかった。
俺が大丈夫だと言っても、デレみたいに安心してはいなかった。
ずっと…、俺の目を見つめたまま。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:49:49.23 ID:ABbs58rE0
大体の奴が自覚して読んでるんだろうとは思うが
>>1を読む時点でお察し
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:54:20.13 ID:BwaRQdiT0
その夜。俺は飯を食ったあと、宿屋の風呂に入った。
爪'ー`)y‐「すー…っ、…ふぅーー……っ」
あー…、やっぱり風呂は癒される…。兵士飼育所でも、シャワーだが、それだけが俺にとって癒しの時間だった。
ホカホカとだんだん身体が火照ってくるのが分かった、その時。
「さぁリリ!背中を流してあげますっ」
「えー…っ、寒いよー…」
「大丈夫ですよ。すぐ終わりますから」
隣の女風呂からリリとデレの声。
……なんでそれだけで体温が上がった俺。
「リアはまだ小さいですねぇ」
「え?何が?」
「お胸です」
爪 ー )y‐「ぶっ…!!!!!」
デレの突然な発言につい噴いてしまった。
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 00:57:34.38 ID:uyB5j/Hw0
しえん
てす
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:08:54.96 ID:BwaRQdiT0
「「…?」」
おいっ!おいデレ!!場所を弁えろ!! 隣は男風呂だ!! そういうのは…、まぁ俺も考えた時期もあった…、
…って何考えてんだ俺えええぇーーっ!!!ああぁあぁあーー…
っ、何もかもデレのせいだあぁ〜…っ。
ブクブクブクブク…ッ
「なんでしょう?さっきの音」
「お兄ちゃんじゃない?」
「…っ!!」
「まっさかー、気のせいですよー」
「そうかなー?」
良かった……。バレずに済んだ…。
リリにはバレてると思うが…。 いや…、もう考えるの止そう。上がった方がいいよな…、うん上がろう…。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:14:13.11 ID:BwaRQdiT0
風呂に上がり、部屋の窓を全開に開け、のぼせた体を冷やしていた。
ζ(゚ー゚*ζ「どうしましたフォックス…?なんだか顔が真っ赤ですよ…?」
お前のせいだっ!と、怒鳴りたい気持ちをなんとか抑え、少しのぼせただけだ、と怒りの笑顔で答えた。
⌒*リ´・-・リ 「おにーちゃんっ」
リリは俺の隣に座り、小さな手を俺の頬に当てた。
爪//ー/)y‐「ひゃっ…」
冷たくて、思わず悲鳴が出る。
⌒*リ´・-・リ 「冷たくて気持ちいいでしょ?私お風呂入ったあといっつも手が冷たくなるんだよ」
逆にのぼせるーーっ!!!
⌒*リ´・-・リ 「あれ…?熱上がった…?」
爪;'ー`)y‐「き、気のせいじゃないか…っ?あー、もう冷えた!ありがとリリ!」
⌒*リ´・-・リ 「…?」
あたふたと物凄く動揺しながら一旦外へと飛び出した。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:21:53.71 ID:BwaRQdiT0
爪;'ー`)y‐「はぁ…っ、はぁ…っ」
静まれ心臓よ。変だぞ俺、引かれるぞ俺!
『……見……ケタ…』
突然、どこからか声が聞こえた。明か人間の声ではない。 とりあえず剣を取りに戻ろう。
もし戦うとなれば、こんな丸腰ではただ殺されるだけだ。 俺は周りを警戒しながら宿に戻った。
部屋に入るなり急いで剣を持ち、外に出ようとした。
ζ(゚ー゚*ζ「フォックス?どうかされました?」
さすがに変に思ったのか、デレが声をかけてきた。
爪'ー`)y‐「分からない。だがさっき外に出た時、変な声が聞こえた」
ζ(゚、゚*ζ「変な声…?」
爪'ー`)y‐「とりあえず何か居ないか捜索してくる。二人はここにいろ」
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃん!」
⌒*リ´・-・リ 「気をつけて…」
爪'ー`)y‐「…あぁ、大丈夫だよ」
俺は二人を宿に残し、また外に出た。
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:29:13.07 ID:BwaRQdiT0
外に出た瞬間、
「キャアアアァーーッ!!!!」
女の叫び声が一軒の民家から聞こえた。俺はすぐその民家に走る。
バンッ!!
爪#'ー`)y‐「どうした!」
ノリ,; ^ー^)li「あ…っ、化け、物…が…っ!」
入った瞬間、扉のすぐ傍には若い女が震えて、座り込んでいた。若い女は家に入って来た俺に縋(すが)り付き、奥の部屋を指差す。
爪'ー`)y‐「すぐ逃げろ。どこか安全な場所で匿(かくま)ってもらえ」
若い女は俺の言葉を聞くと、コクコクと頷き、そっと外に出て行った。
俺はそのまま奥へと入って行き、剣を抜いた。するとそこには、
『グガアアァッ!!!』
(; ´ー`) 「ひいぃいぃーーっ!助けてくれえぇ…っ、俺は食ってらどうなるかしらねーよ!!」
中年男の胸倉を掴み、雄叫びを上げて脅している化け物がいた。
化け物は全身真っ黒でさらに真っ黒な鎧を身に付け、トカゲを巨大化させたような容姿だった。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:31:47.67 ID:BwaRQdiT0
爪;'ー`)y‐「なん…だ、コイツは…っ!」
『!!』
トカゲはこちらに気付き、掴んでいた中年男を放した。
(; ´ー`) 「ひ、ひいいぃいぃ〜っ!」
中年男は自由になったと同時にすぐさま逃げ出した。
『オ前ガ…ッ、フォックス・ヴァルセリアかっ!』
爪;'ー`)y‐「何故俺の名を…っ」
『殺ス…ッ!主ノ命令…ッ、絶対!!!』
トカゲは床を這いずり回り、俺の下へと向かって来た。
こんな狭い所で戦うのは困難だ。俺は家の扉まで全速力で走った。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:36:06.08 ID:BwaRQdiT0
俺が扉を破って外に出たと同時に、トカゲも扉がある壁を壊してまで外に出て来た。
『逃ガスモノカッ!!』
トカゲは背中に背負っていた馬鹿デカイ斧を取り出し、腕に取り付けてある腕輪を盾に変換した。
こんな化け物、俺一人で倒せるか…?いや、やってみるしかない!
爪#'ー`)y‐「はああぁあぁっ!!!!」
俺は剣を構え、トカゲに向かって斬りかかる。だが!思っていた通り、攻撃はトカゲの盾で跳ね返された。
『ソノ程度カ…ッ!ナラバ次ハコチラカラ行クゾ!!!』
トカゲは馬鹿デカイ斧を構え、今度は俺に斬りかかる。
マズイ…。あんな斧で来られたら、攻撃を剣で防げても剣が折れてしまう…っ。
避けるしか他に方法は無いのか…っ!
剣が無くなれば攻撃も出来なくなる。俺は避けるを選択した。
だが攻撃をしてもあの盾で邪魔をされる。
クソ…ッ!どうすればいいんだ…っ。
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:36:17.79 ID:LBSsczVV0
しえん
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:40:01.61 ID:BwaRQdiT0
トカゲはまた斧を俺に振り回す。避けるしか方法が無いので、トカゲの攻撃を避けた。
爪;'ー`)y‐「…!」
攻撃が来る時に、少しだが隙がある。この隙に攻撃すれば、もしかすると勝てるかもしれない…っ!
だが…、こんな近距離で迫って来ているのに攻撃なんて…、俺の方もやられかねない。
『ドウシタ小僧!!避ケテバカリデハ何モナランゾ!!!!』
爪;'ー`)y‐「それぐらい分かってるよ、このトカゲ野郎」
『貴様アアァアッ!!』
トカゲがこっちに向かって全力疾走してくる。チャンスは一回だ…っ!
ここだっ!!!
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:43:27.20 ID:BwaRQdiT0
俺はトカゲの隙を見て、トカゲの腹に全体重をかけて剣を刺した。
『ガ…ッ!!馬鹿…ナ…ッ!!』
爪;'ー`)y‐「く…っ」
俺は剣を抜いた。それと同時に大量の血が、刺した傷口から流れ出た。
『グ…ッ、オノ…レェ…ッ!!主…ノ命令…ッ、絶対……ッ!』
トカゲはまだ立ち上がろうとする。
爪'ー`)y‐「コイツ…ッ、まだ動けるのかっ」
だがすぐに倒れ、息絶えた。助かった。
しかし考えは甘かった、世の中そううまく事は進まないのだ。
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 01:48:59.96 ID:BwaRQdiT0
『グガアアアァッ!!!』
「キャアアアァアァーーッ!!!」
『クククク…ッ、美味ソウナ人間達ダッ!!!』
「誰かっ、た、助けてくれええぇーーっ!!!」
トカゲは一体だけではなかった。今俺の目に見えている数で、5体程いる。
5体共俺が先程倒したトカゲと同じトカゲだった。
5体も同時に来られたらいくらなんでも勝てるわけがない。
爪;'ー`)y‐「どうすれば…っ」
ふと、頭に過ぎったのはブーンだった。
アイツ、確か長老の所で居候させてもらってるんだったよな…?
俺はすぐさま長老の家へと向かった。
長老の家は民家から離れて街の一番奥にある。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:02:34.30 ID:BwaRQdiT0
てs
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:05:10.67 ID:BwaRQdiT0
爪#'ー`)y‐「ブーンッ!!」
(゜3゜)「おや、これは旅のお方ではないですか。どうされた?」
爪;'ー`)y‐「長老っ、街が大変なことになってる!今すぐここを非難するか、戦える者を集めて戦うか…っ、選択はこの二つしかない…っ!」
(;゜3゜)「なんじゃと…っ?街は…っ、街はどうなっとるんじゃ!?」
爪#'ー`)y‐「とりあえずブーンを呼ぶ!出て来いっ!!!」
( うω^)「なんだお…、何か用……?」
寝ていたのか、目を擦りながら現れた。
爪#'ー`)y‐「いいから来い!!」
俺はブーンの腕を掴み、無理矢理外へ出した。
( ^ω^)「なっ、何なんだおっ!!」
そして民家がある場所まで行く。するとそこには、
爪;'ー`)y‐「!!!…どう、な…ってんだ……っ?」
もう数十名が殺されて、トカゲに食われているところだった。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:09:42.34 ID:BwaRQdiT0
爪;'ー`)y‐「はっ…」
そうだ…っ!リリとデレが…っ!!
爪#'ー`)y‐「俺が行って戻って来るまでに考えておけ!!今すぐ街の住民を集めて非難するか、
戦える者を集めて化け物共と戦うか!さっきも言った通り、選択はこの二つだけだ!!!」
それだけ言い終えると同時に、俺は全速力で宿に向かった。
リリ…ッ…、
俺が守らなきゃ…。
守らなきゃいけないんだ…っ!
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:14:47.42 ID:BwaRQdiT0
爪#'ー`)y‐「リリッ!!!」
⌒*リ;´・-・リ 「お兄ちゃんっ!?」
荒い呼吸をしながら部屋の周りを見渡すが、あのトカゲは居なかった。
ζ(゚ー゚*;ζ「フォックスッ!あぁよかった…っ。外で悲鳴が多々聞こえるので心配しました」
爪;'ー`)y‐「…はぁ…っ、ここにはまだ来てないみたいだな……っ」
ζ(゚ー゚*ζ「まだ来てない…?どういう意味ですか…?」
デレは不思議そうに首を傾げる。
爪; ー )y‐「変な化け物が街を襲ってやがんだっ…。もう数10人もの住民が食われた……。デレ、お前戦えるか?」
ζ(゚ー゚*ζ「波術(ループ)なら得意ですけど…、まだ実戦は一度もしたことがありません…」
そりゃそうだろうな…。国の王女とあろう人が実戦経験ありだったらビックリだ。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:16:11.27 ID:+3nxHfaU0
てs
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:18:11.31 ID:BwaRQdiT0
爪'ー`)y‐「それでもいい、援護してくれ。リリは俺の後ろに隠れてればそれでいいから」
ζ(゚ー゚*ζ「わかりました!」
⌒*リ´・-・リ 「お兄ちゃん、私も援護するよ?おじさんからもらった武器もあるし」
リリは…、戦ってはいけない…。
爪'ー`)y‐「それはお守りだろ…?それに街長も言ってたじゃないか。
『もし守ってくれる人が居なくて、自分の身が危なくなった時は、これを使いなさい』
ってさ。だから、自分が身に危険が及んだ時だけ、武器を使え。……だけど、お前は俺が守るから」
⌒*リ´・-・リ 「わかった…。お兄ちゃんの後ろから離れないよ」
爪'ー`)y‐「ん、いい子だ」
そっと、リリの頭を優しく撫でて、俺達三人は人々の悲鳴が鳴り止まない宿の外へ出た。
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:19:18.46 ID:BwaRQdiT0
四 【過去を見るな、今を見ろ】 了
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:22:13.30 ID:BwaRQdiT0
やはり
>>1の文章がいけなかったみたいですね・・・
これからは気をつけます。
>>140 すいません、妄想が止まらないんです
厨臭さは本当に勘弁してください
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:55:21.48 ID:4LFVIU4E0
せっかくだし続けたまえ
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 02:56:04.88 ID:A+TE8zKa0
ほし
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 07:23:51.90 ID:CcEwwpWl0
ほ
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 08:06:16.81 ID:6CVOQFGm0
ほ
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 09:39:38.71 ID:3q4Um5YI0
確かに文章力は稚拙だし、展開もちと無理があるけど、読ませる勢いはある
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 12:11:01.22 ID:QvxSVj4R0
ぶっちゃっけ面白い
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 12:32:13.19 ID:TQWOA5AK0
支援
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 12:55:20.39 ID:pBjw7oQ70
厨二もここまでこじらせると逆に清々しい
面白くはないけど
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 14:23:39.48 ID:Bedye7fS0
保守
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 16:10:11.46 ID:6CVOQFGm0
保守
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 17:30:31.67 ID:wweYdWPJ0
続きが読みたいです
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 18:36:30.06 ID:BwaRQdiT0
皆さん、長期での保守ありがとうございます
皆さんの期待に応える為にも作者は精進していきたいと思います
さて、投下なんですが夜8時から9時を予定しております
あと投下前にいろいろこの作品に対しての補足や説明をしていきたいと思います。
(多少ネタバレが入るので、まだ読み切ってない方はスルーお願いします)
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 18:51:09.67 ID:Dzz/wUum0
ほ
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 19:04:08.30 ID:nTJm/98h0
作品内容は劣化ニーイチって感じだけど
作者はニーイチみたいに痛くないから好感もてるな
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:12:01.48 ID:0IQNHy+E0
ho
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:29:26.20 ID:BwaRQdiT0
用語紹介
■兵士飼育所 -ヘイシシイクジョ-
5歳〜10歳ぐらいの子供(主に男)を無理矢理両親と離し、戦争の兵士として活躍させる為に建てられた施設。
国家機密の為、世界のほとんどの者がこの施設を知らない。
■フェストル -フェストル-
東大陸にある国の名前。フェストルの国の王の名はモララ・アルバ・バルロイト。フォックスが育った兵士飼育所を設立した人間。
■波術(ループ) -ループ-この世界の人間の身体に流れる波動で術を放つことを波術(ループ)という。
波術(ループ)には三つの種類がある。まず一つ目が『波撃』(ルーパード)。普通の術のように攻撃系の種類。
二つ目が『波護』(ルプセス)。守護の術で味方を守る種類。
三つ目が『波癒』(ルケア)。治癒の術で味方を回復する種類。
■機械都市リヴァイベル -キカイトシ リヴァイベル-世界で二番目に大きな街で、
さらに一番発達している街。機械研究はもちろんのこと、医療研究や様々な研究がされている。
■術機武器(ルプディアス) -ルプディアス-波動を機械に流し込み、攻撃を発することが出来る武器。戦争などに非常に役立っている。
波術(ループ)と術機武器(ルプディアス)とで威力は全然違う。
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:33:53.31 ID:BwaRQdiT0
■ペスト -ペスト-この世界のお金。1ペストだったら1円。2ペストだったら2円、と、ただ円をペストに変えただけと思って頂ければそれでいいです
■ルヴィンド -ルヴィンド-この世界の馬。実際の馬と全然容姿が違いますのでイメージを膨らましてご想像ください
■王都ゲンドール -オウト ゲンドール-
フェストルの王都。街の周りは頑丈な塀で囲まれている。貴族だけではなく、貧しい住民も暮らしている。デレの故郷。
■聖霊 -セイレイ-自然そのものの存在。3000年前までは聖霊も沢山居て、人の前に姿を見せる程だったが、穢(けが)れた空気を嫌う聖霊は、戦争が起こってから半分以上も死んでいってしまった。
今はほんの少ししかおらず、戦争が始まってから人の前に姿を見せたことなど一度も無い。
■シュールント -シュールント-世界で一番自然が残っている街。街、というか村のような場所で、住民もあまり居ない。
■ダグ -ダグ-トカゲのような容姿をした化物。武器は大きな斧と、盾にも変形する腕輪。自分の主人と認めた者には絶対服従する。
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:37:47.14 ID:0IQNHy+E0
ちょっと誤字とかいろいろ
非難の字を間違えている。
>>143 「リアはまだ小さいですねぇ」
それとカッコの間違いいくつか。
>>48 ( #・∀・)「!!貴様っ、このマントは俺様のお気に入りだぞ!!!それを汚い靴などで蹴るなど断じて許さんっ!!!」
モララはリリを振り回し、投げ捨てた。
⌒*リ´>-<リ「きゃっ!!」
地面に叩きつけられるところをなんとか受け止め、リリは怪我をせずに済んだ。」
>>110 「フハハハハッ!!!馬鹿だねぇ…、自分自身の大切な人間まで手にかけるとは…っ』
>>111 ⌒*リ;´・-・リ 「っ!!な、何っ!?」「
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:43:47.35 ID:BwaRQdiT0
『ホウ…、自ラ出テ来タカ…ッコノ街ノ人間共ヲ食ッタ後ニ、オ前達も食イニ行ッテヤロウト思ッタモノヲ…ッ』
宿屋の外、いきなりゾロゾロと5体ものトカゲが俺達の周りに集った。
『ゲヘヘヘ…ッ、子供…ッ、子供ガイルゾ…ッ!美味ソウナ肉ヲシテイル…ッ』
⌒*リ;´・-・リ 「う…っ、わた…し…っ、食べても美味しくないもん……っ」
リリは俺の言われた通り、後ろに隠れて汚らわしいトカゲ達を見つめていた。怖いのか、俺の裾を握ったまま離そうとしない。
『イヤァ…ッ、イクラ見テモ美味ソウナ肉ダァ…ッ』
爪;'ー`)y‐「デレ、リリ。俺が囮になって奴らを引き付けるから、デレは波撃(ルーパード)で攻撃しろ。
そうすれば俺も攻撃出来る。リリはデレから離れるな、わかったか?」
ζ(゚ー゚*ζ「波撃(ルーパード)はあまり得意ではないんですけど…、分かりました!」
⌒*リ´・-・リ 「うん!デレお姉ちゃんが危なくなった時は私が守るっ」
爪;'ー`)y‐「馬鹿、お前が守られなきゃいけないんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですよリア。そのお気持ちだけ受け取っておきます。さ、後ろに隠れてっ!」
リリは少し残念そうな表情をしたが、大人しくデレの言う通りに、後ろに隠れた。
爪#'ー`)y‐「さぁ…、行くぞっ!!!」
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:51:58.22 ID:BwaRQdiT0
『生意気ヲ言イオッテ、小僧メガ…っ!!』
『マズ貴様カラ食ッテヤルッ!!!』
よし、全員俺に食いついた!5体のトカゲは全員背中に背負っている馬鹿デカイ斧を取り出し、腕輪を盾に変換させた。
爪#'ー`)y‐「(さっきの奴と全員同じか。なら都合がいい…っ!こいつ等の弱点はもう知っている!!)」
ζ(゚ー゚*#ζ「フォックス!!退いてくださいっ!!!!」
爪#'ー`)y‐「(もう術を放てるのか)わかったっ!!!」
ズザザザザッ!!!俺は転んで、群れていたトカゲ達から離れた。
爪#ー )y‐「今だ!!!」
ζ(゚ー゚*#ζ「はいっ!!…炎よっ!燃え盛れ!!『フレイム』!!!」
トカゲ達の地面から、炎の渦が出て来、トカゲ達を巻き込んだ。
『ウガアァッ!!?ナ、何ダコノ炎ハッ!!!』
『熱イッ、熱イイィイィッ!!!!』
当然、巻き込まれたトカゲは物凄く熱がっている。このチャンスを逃すわけにはいかない。
爪 ー )y‐「奥儀…っ、全てを破滅に導け!爆炎断(ばくえんだん)!!!!」
剣に炎の力を溜めれば、剣は炎を纏った。 炎の渦の中もがき苦しむトカゲ共に、力が溜まった剣で離れた場所から思い切り剣を振った。
すれば、剣に溜まった炎の力は音速でトカゲ共に辿り着きそこで大爆発。
まるで導火線に火を点け、爆発させたように。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:54:40.06 ID:3q4Um5YI0
ファンタジーC
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 20:56:12.80 ID:BwaRQdiT0
トカゲは丸焦げになって地に落とされ、5体共死んだ。
爪;'ー`)y‐「ふー…っ、なんとか勝てたな…」
ζ(゚ー゚*;ζ「驚きましたフォックス…。貴方『波皇ゲルカンテス』の奥儀が使えるのですね?」
爪;'ー`)y‐「……は?『波皇ゲルガンテス』?誰だそりゃ」
またこの女は…。ヒッキーの時と同じじゃないかこの場面は。
ζ(゚ー゚*;ζ「ご存知ないのですかっ!?存じ上げないのに…、どうして奥儀が使えるのですか…っ?」
爪'ー`)y‐「どうしてって…、この奥儀は代々家に伝わるものだ。……って言っても、俺が知っている奥儀はこれだけだがな」
ζ(゚、゚*ζ「代々家に伝わるもの……?…もしかして……」
爪;'ー`)y‐「何だよ?言いたいことがあるならハッキリ言え」
ζ(゚ー゚*ζ「…いえ、何でもありません。確証が持てないままこんなこと口にしたくありません」
その時のデレの目はいつもと違う目をしていた。なんというか…、『疑いの目』…?
爪'ー`)y‐「そうかよ、だったらもういい」
あまり問い詰めても仕方なさそうなので、俺は問うのを止めた。
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:02:36.43 ID:BwaRQdiT0
⌒*リ;´・-・リ 「はあぁ〜…っ」
爪'ー`)y‐「リリ?」
突然、リリが地面にペタンと座り込んだ。
爪'ー`)y‐「どうしたリリ、大丈夫か?」
俺が駆け寄ると、リリは俺の手をぎゅっと握り締め、「怖かった…っ」と、震えた声で言った。
無理も無い。戦った経験などない人間が、ましてや子供があんな化け物を見ただけで恐怖を感じるのは当たり前だ。
爪'ー`)y‐「…怖かったな、でももう大丈夫だ。悪い化け物は退治した」
⌒*リ´・-・リ 「へへ、お兄ちゃんヒーローみたいだね」
まだ震えながらも、俺に笑顔を見せてくれた。そんなリリを見て俺は笑みを浮かべ、ポンポンと二回頭を軽く叩いた。
そして腰を抜かして立てないリリをおぶさった。
爪'ー`)y‐「なんとか一件落着、だな」
ζ(゚ー゚*ζ「これでホライゾンさんがフォックスのこと、許して下されば良いのですが…」
爪'ー`)y‐「さぁ、どうだか。でも、誤解は必ず解くさ」
何気ない会話をしながら、俺達は一旦長老の家へと向かった。
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:07:45.75 ID:BwaRQdiT0
長老の家にて
(゜3゜)「いやぁ、助かりました!」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ…。お礼を言われるのは私ではありません…、彼、フォックスに言ってください」
と、デレは俺を前へ出るよう呼んだ。
(゜3゜)「ありがとうございました、フォックスさん」
爪 ー )y‐「…とんでもない……。もっと早く気付いていれば、こんな多くの犠牲を出さずに済んだかもしれない…。
俺がしたことは、とっても小っぽけなことです…」
(゜3゜)「…それでも、これだけの人数を助けて下さった。わしらはこのご恩を忘れませぬぞ」
長老は一応微笑んでは答えた。街の人々も、俺達のことを見て礼をしている。
だが、
( ^ω^)「…………」
ブーンだけは、ずっとそっぽを向いてこっちに見向きもしようとしなかった。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:15:22.79 ID:BwaRQdiT0
それから犠牲者の葬儀を終え俺達は宿へ戻った。
デレとリリは涙を流していた、けれど、俺は。
疲れた身体を癒す為、また風呂に入って就寝することに。
爪'ー`)y‐「それじゃ、明日8時にな」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、おやすみなさいフォックス」
⌒*リ´・-・リ 「おやすみお兄ちゃん」
しん…、と静まった空間。一人なんて慣れていたが、やっぱりなんだか少しだけ寂しい気もする。
爪'ー`)y‐「……寝るか…」
そんな気持ちは心の奥底に抑え込んで、そろそろ寝るとしよう。
明るい電気を消し、ベッドに横たわる。目をつむると、暗闇が広がった。
でも、最初の頃とはだいぶ違う夜だ…。
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:22:35.48 ID:BwaRQdiT0
――午前6時頃。『聖大都市グラマベルム』
地下。暗く、大きなモニターの光だけが部屋を少し照らすだけの部屋。
(#`・ω・´)『フォックス・ヴァルセリアはまだ殺せんのかっ!!!』
モニターの中ではシャキンと呼ばれる男が目の前の机を思い切り叩いていた。
(#`・ω・´)『ダグを捜索に出したのだろうっ!!?何故殺せんのだ!!!』
( ^Д^) 「はっ、申し訳ございません…っ!!」
部下のプギャーと呼ばれる若者は跪いて謝罪していた。
( ФωФ)『謝って済む問題ではないのじゃよ、プギャー将軍。奴は【兵士飼育所】に入っていた者。
このまま生かしておけば、国家機密である【兵士飼育所】を世間にばらすやもしれんのだ』
( ^Д^) 「私の部隊も出動させて即刻に排除致しま从 ゚∀从『アホ、んなことすりゃあ目立つだろうよ』
(`・ω・´)『とにかく!!いち早く奴を殺すのだ!!!わかったかっ!!!』
( ^Д^) 「御意…っ、失礼致します!」
ビッ、と敬礼をしてプギャーは慌しく部屋を出て行った。
(`・ω・´)『ゴホッ…、ゲホッ…!』
从 ゚∀从『おいおい、大丈夫かよ。だから言ったろー、興奮すんなって』
(;`・ω・´)『黙れ…っ。ゲホッ!ゴホッ!!』
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:29:29.55 ID:BwaRQdiT0
( ФωФ)『医者を呼んだ方が良いかの』
ロマネスクと呼ばれる老人が、手元にある電話を取ろうとしたが、
(;`・ω・´)『いい…。薬で抑える…っ』
と、ロマネスク行動を阻止し、ポケットから薬を取り出して水も無いのに何錠もの薬を一気に飲み込んだ。
その時、
('、`*川「失礼するけどいいかしら?」
スタイルがいい白衣を着た女性が部屋に入って来た。
( ФωФ)『どうしたんじゃ?ベニサス』
('、`*川「ダグの強化が終了したの。フォックス・ヴァルセリア暗殺への出動を許可願いまーす」
( ФωФ)『おおそうか!すぐ出動させよ!』
('、`*川「御意♪」
ベニサスは用件を言うとすぐ部屋を出て行った。
(`・ω・´)『はぁ…っ、少し落ち着いてきた…』
从 ゚∀从『休んでろよ。ついでに医者に点滴してもらっとけ』
(`・ω・´)『……わかった…。この後の会議は任せたぞ』
モニターの電源は消され、また部屋は暗闇と化した。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:34:28.87 ID:BwaRQdiT0
五 【蘇る故郷の街】
翌日の朝7時半頃。
爪うー`)y‐「……ん…っ」
カーテンから漏れた日光が顔に直射し、起床。
爪'ー`)y‐「んー…っ、はぁー……っ」
起き上がって大きな伸びをし、俺はカーテンを開けた。
以前まで日光なんてただ眩しいだけだったけど、今は日光に当たっていると、心地良い…。
爪'ー`)y‐「……さてと、顔でも洗うか」
部屋にある洗面所で、顔を洗うことに。
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:36:53.80 ID:BwaRQdiT0
――コンコン。
「フォックスー?入りますよー?」
爪'ー`)y‐「あぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「ホライゾンさんが呼んでますよ?」
爪'ー`)y‐「…え?俺?」
「他に誰がいるんですか」と、クスクス笑いながら言うデレ。
ζ(゚ー゚*ζ「『話がある。一人で来い』とのことです」
爪'ー`)y‐「わかった」
なんだろう。またなんか言われる気がする…。
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:43:17.16 ID:BwaRQdiT0
宿の外に出ると、すぐブーンが待っていた。街の外を見ながらじっとしている。
爪'ー`)y‐「話ってなんだよ、ブーン」
( ω )「……まず、街を助けてくれてありがとう…」
驚いたことに、ブーンは憎んでいる俺に礼をした。
( ;ω;)「それから……、分かったんだ…。お前が家から出て行ったあと……、ずっと…、……僕…っ、ホントは寂しかったんだお…っ」
頭を上げたブーンは、顔を崩して大泣きしていた。
爪'ー`)y‐「ブーン…」
( ;ω;)「僕…、僕…っ、いつの間にかその寂しさが怒りに変わってたおっ。でも本当は…っ、
ずっとずっと…っ!寂しかったんだ…っ。ごめ…っ、ごめんだおっ!」
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:48:07.77 ID:BwaRQdiT0
次から次へと出て来る涙を拭うブーン。
爪 ー )y‐「……いいんだ、そんなこと…。俺こそごめんな…」
俺はブーンに近づいて頭を撫でてやった。
( ;ω;)「また『兄ちゃん』って…っ、呼んでいい…?」
爪;ー;)y‐「当たり前だろ?だって血の繋がった本当の兄弟なんだからさ」
( ;ω;)「うん…っ、うん…っ!ありがとう…、兄ちゃん…っ」
爪;ー;)y‐「また、幼い頃みたいにブーンって呼んでいいか?」
( ;ω;)「もちろんだお!」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 21:57:56.38 ID:BwaRQdiT0
それからお互いに泣きやんだ後、久しぶりに兄弟としての会話が弾んだ。
( ^ω^)「兄ちゃん、僕も旅に連れて行って欲しい」
爪'ー`)y‐「…いいのか?」
( ^ω^)「僕…、すごくお世話になりっぱなしの皆の街なのに…、いざとなると怖くて…っ、何も出来なかったお…っ。
だから自分を強く鍛えたい。それに…、もう兄ちゃんと離れたくないんだ…。だって…、僕の、たった一人の家族だから…」
また家族と思って貰えて、すごく嬉しかった。
爪'ー`)y‐「わかった。俺はいいが、長老にもちゃんと許可を取ってもらえよ」
( ^ω^)「うん、早速行って来るお!もう今日で行っちまうんだお?」
爪'ー`)y‐「あぁ。でもお前が来るまで待ってるから。いいよな?リリ、デレ」
⌒*リ;´・-・リ 「ギクっ!」 ζ(゚ー゚*;ζ
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:05:17.68 ID:BwaRQdiT0
大げさに茂みからガサガサと音が聞こえ、観念したのかいそいそと姿を現した。
ζ(゚ー゚;*ζ「ばれてたのね」
⌒*リ;´・-・リ 「ごめんなさい」
爪'ー`)y‐「まぁいいさ、ブーン、早くいってこい」
( ^ω^)「ありがとう!すぐ戻って来るおっ」
ブーンが去った後ありがとな、と言葉にせず口だけ動かしてデレとリリに伝えた。
リリもデレもニッコリと微笑んで、頷いた。
爪'ー`)y‐「さて、と…、待ってる間旅に役立ちそうな道具でも買っておくか」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ペストなら旅に必要不可欠だと思って結構持って来ましたっ」
爪'ー`)y‐「おぉ、さすが王女様。気が利くな」
⌒*リ´・-・リ 「お金持ち〜♪」
ζ(゚ー゚*;ζ「か、からかわないでくださいーっ」
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:11:13.58 ID:BwaRQdiT0
数分後。
( ^ω^)「兄ちゃーんっ!じいちゃん…、じゃなかった……。長老OKしてくれたお!」
ブーンは叫びながら俺達の元へと駆け寄って来る。
爪'ー`)y‐「以外と早かったな」
( ^ω^)「うんっ。後今晩、僕のお別れ会みたいなの開いてくれるらしいから、旅立つの明日にしないかお?
料理とかいっぱい出してくれると思うお。なっ?頼むおー、兄ちゃん」
爪'ー`)y‐「うーん……」
ζ(゚ー゚*ζ「…フォックス、いいんじゃないですか?突然決まったことですから、
きっと街の皆さんまだホライゾンさんと別れる為の心の準備が出来ていなかったんですよ」
爪'ー`)y‐「…そうだな。いいよ、今晩だけな?」
(*^ω^)「やったーっ!!ありがとだお!!兄ちゃん!!」
両腕を広げて大げさに喜ぶブーン。本当は素直でいい子なんだよな…。
( ^ω^)「んじゃあ僕、そのこと長老に知らせてくるから、兄ちゃん達は宿に戻ってて。準備が出来次第、また呼びに行くから」
爪'ー`)y‐「あぁ、わかった」
ブーンはそういい終わると、また走って長老の家へと向かって行った。
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:14:05.22 ID:BwaRQdiT0
爪'ー`)y‐「…ま、そういうことみたいだから、俺達はアイツの言う通り宿に戻ろう」
ζ(^ー^*ζ「そうですね」
爪'ー`)y‐「…何だよ、何嬉しそうにしてんだ?」
ζ(^ー^*ζ「いえ、人の幸せそうな表情を見ると、私も嬉しくなる癖があるので…、つい」
⌒*リ´^ー^リ 「あ、それ私もだよ!よかったねお兄ちゃん、仲直りが出来て」
二人共満面の笑みでこちらを見つめている。なんだか恥ずかしい……。
爪;'ー`)y‐「や、宿に戻るぞお前ら!」
って…、何を照れているんだ俺は……。
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:19:38.05 ID:BwaRQdiT0
夜。
「入るお、兄ちゃん」
爪'ー`)y‐「あぁ、どうぞ」
入って来たブーンの顔は、凄く嬉しそうだ。
…確かに、人が嬉しそうな顔をしているとそれが自分に伝染るな。俺も今なんだか嬉しい。
( ^ω^)「準備出来たよ。ご馳走がいっぱい並べられてすっごいことになってんだお」
爪'ー`)y‐「分かった。すぐ行く」
( ^ω^)「待ってるお!」
ブーンは笑って部屋を出て行った。
爪'ー`)y‐「さーてと、俺達も行くか」
⌒*リ´・-・リ 「ご馳走だってェ、楽しみだな〜」
ζ(゚ー゚*ζ「ホント、楽しみですねっ」
爪'ー`)y‐「デレ…、お前の家の料理よりはご馳走ではないと思うぞ…?」
ζ(゚ー゚*#ζ「そんなことありません!どんな料理でも、人が丹精込めて作った料理がご馳走なんです。
私の家のシェフ達はそんな心は込めてないと思います…。ただ仕事で作るだけ、
そんな思いが詰まった料理なんて美味しくありません!」
爪'ー`)y‐「…そうだな」
ホント、セレンは時々だがまともなことを言ってくれる。いつもは天然っぽいけど。
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:25:44.94 ID:BwaRQdiT0
外に出ると、大きなダイニングテーブルが並べられて、街の住民全員と俺達が座る椅子が置かれている。
テーブルの上には、ブーンが言っていた通り、物凄いご馳走ばかりだ。
街の住民達は皆ワイワイと騒いでいた。
(゜3゜)「さぁさ、デレティナさん達もたんと食べてってくださいな」
ζ(゚ー゚*ζ「では、お言葉に甘えて、いただきます」
「「いただいきます」」
――
爪'ー`)y‐「あー…っ、食った食った。もう腹いっぱい」
ζ(゚ー゚*ζ「ホント、どれも全て美味しかったです」
⌒*リ;´・-・リ 「もう食べられない…っ」
リリはお腹を抑えて苦しんでいた。
爪'ー`)y‐「無理して食べなくていいぞ、リリ…」
⌒*リ´・-・リ 「へ…?そうなの?」
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:31:13.29 ID:BwaRQdiT0
(*゜3゜)「ゥオッホン!それでは、最後にホライゾンからの言葉でシメたいと思います!」
酔っ払った長老が台の上に立ち、マイクも無いのに小指を立てて、マイクを握っているかのような手をしていた。
(; ^ω^)「えー!?そんなの聞いてないおー!」
(* ・3・) 「いいぞー!ホライゾンーッ!!」
( ∴)「何か言えーーっ!!」
酔っ払った街の住民達が次々とブーンにプレッシャーを与えていく。
(; ^ω^)「えぇー…、もー、しょうがないなぁ…」
ブーンは長老を台から降ろして、自分が台に立った。
ブーンが台に立った瞬間、住民達は皆ブーンの方を向き、黙り込んだ。
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:39:06.95 ID:BwaRQdiT0
( ^ω^)「…えー…、何から言っていいのか分からないけど……、とにかくっ!!14年間お世話になりましたおっ!!!」
勢い良く深い礼をした後、すぐ頭を上げた。だが顔は俯いたままだ。
( ω )「お世話になりっぱなしで…、ホント…ッ、何てお礼を言っていいのか…っ」
ブーンはまた泣いていた。昔っから泣き虫なのは変わってないな…。
( ω )「でも僕…っ、絶対この街にいつかまた戻って来るから…っ!戻って来た時は、
そこのフォックスって言う俺の自慢の兄ちゃんと一緒にここに住むかもしれないお…っ!
今度は二倍世話かけると思うけど…っ、よろしくお願いしますっ!!!」
爪'ー`)y‐「…ブーン……」
ブーンは泣きながらまた礼をした。
( ・3・) 「…よろしくしなくたってな!お前はもうこの街の住民になってんだよっ!ホライゾンの兄ちゃんももちろん大歓迎さ!!」
(゜3゜)「そうじゃ、その通りじゃ…っ。ホライゾン…、それからフォックス…。ここが、お前さん達の家なんじゃよ」
爪'ー`)y‐「…!俺も…、いいんですか…?」
(゜3゜)「当たり前じゃよ。皆も歓迎してくれる」
爪 ー )y‐「あ…っ、ありが、とう…っ、ございます…っ…!」
その時が、俺とブーンの心から消えた故郷が蘇った瞬間だった。
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:43:12.44 ID:BwaRQdiT0
――翌日の早朝。俺達は街の住民達がまだ寝ている間に旅立つことにした。
爪'ー`)y‐「よかったのか?」
( ^ω^)「あぁ、これでいいんだ。また戻って来るって約束がしたかったから」
爪 'ー`)y‐「そうか…」
⌒*リ´^-^リ「「ふふっ」」ζ(゚ー゚*ζ
爪'ー`)y‐「な、何だよ、二人して…」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ、二人共嬉しそうにしてるなぁと思いまして…」
⌒*リ´・-・リ「うんうん♪」
爪'ー`)y‐「そりゃ嬉しいさ。消えた故郷がまた出来たんだから。な、ブーン」
( ^ω^)「そうだおね、兄ちゃん」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:48:25.33 ID:BwaRQdiT0
本当に、本当に俺は今までで一番嬉しい顔をしていたのかもしれない。
人の幸せは伝染するもの。
自分の幸せも大切だが、
人の幸せを手伝ってその人が幸せになれば、自分も幸せな気持ちになれる。
それが、人を思いやれる心を持つ為の第一歩になるかもしれない。
晴れた空の下。
早朝の空を見上げながら、俺達は歩いて行った。
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 22:49:47.08 ID:BwaRQdiT0
五 【蘇る故郷の街】 了
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 23:01:24.46 ID:BwaRQdiT0
かき溜めがつきたのでしばらく投下できません 本当に、支援、保守等ありがとうございました
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/27(金) 23:01:43.09 ID:uyB5j/Hw0
乙
乙
厨二だとかそういうのはいいんだよ
どうせ創作物、作り話なんだ
むしろ突き抜けたほうがいい
それよりも
>>1の前置きがいただけない
小賢しい予防線張るなよ
下手でもいいだろが
こんな場末の掲示板のアマチュアの創作物で細かい誤字なんか気にしねえよ
叩かれるのが嫌なら2chになんか投下すんなよ
総合にこういうテンプレあるの知ってるか?
Q.叩かれるのが怖いよ… (-_-)
A.( ^ω^) 卑下、自虐、謙遜は叩かれる元だお。 堂々と投下すればいいだお。
堂々と投下しろよ
読んでた人いるだろが
>>210 すいません、そうですね、もう卑下したりなんかしません!
反省は作品の向上で示したいと思います。
本当にすいませんでした
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
とりあえず、擬音を使うのだけは陳腐すぎてどんなシリアスでも様にならないからやめとくべき
文章で状況とかをしっかり表現すると良いんじゃないかな