和「やめて!やめて!!やめてぇ!お願い!やめてエエエェェ!」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
の続きから。すまん鯖移転とか知らんかった。
最初から貼り付けるのはさすがにしんどいので、区切りのいい、
りっちゃん・ローレンス編からまた貼り付けます。

今までのお話↓

http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1280644669/
ttp://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1280644669-0.html

のくす牧場さんありがとう!

>>前スレ181
分かって貰えて嬉しい。
元ネタのドン・ミンチ役に適役がいなかったんで頑張って考えた。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:07:43.78 ID:qwPiyGUU0
じゃあ私、生徒会いくね
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:09:35.99 ID:SRM2IB5d0
――げんざい!

都会の喧騒から少し離れたある荒野、黒いコートに身を包んだ一人の殺し屋がそこに居た。

殺し屋「今回のターゲット、田井中律…ヤツについての噂は二つ…」

その手にはただの一度も標的を撃ち漏らした事の無い自慢のスナイパーライフルが握られている。

殺し屋「…乱打乱撃のドラミング…正確無比のリズムキープ……」チャキッ
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:10:22.08 ID:SRM2IB5d0
殺し屋は静かにライフルを構えた。
スコープ越しの目には一つの空き瓶が移っている。
肉眼では豆粒程の大きさにしか映らない、はるか彼方にある空き瓶だった。
そしてモノ言わぬ標的に向いライフルの引き金を絞る。

パァンッ!
パリィン

ライフルの発射音の刹那、空き瓶の割れる音がかすかに響いた。

殺し屋「真実はどっちだ?」
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:11:14.81 ID:SRM2IB5d0
――――

ガチャ
ギィ

とある深夜のバー。
その入口の扉を開ける一人の女が居た。

律「うぃーっす」

バンド男1「あ!律さん、ちぃーっす!」

バンド男2「律さん、おつかれーっす!」

マスター「いらっしゃい、りっちゃん」
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:12:57.09 ID:2uKOpZwk0
おっ、再開してる
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:13:05.31 ID:SRM2IB5d0
律「マスター、いつものやつねー!」

マスター「はいはい、りっちゃんはいつもファンタのオレンジだったね」

いつも通りの注文に応えたマスターはキンキンに冷えたファンタのオレンジジュースを律に差し出す。

ゴキュゴキュッゴキュッゴキュン
律「くぁー!これこれっ!ライブの後はやっぱコレだよなぁー!生き返るぅー!」ダンッ

バンド男2「律さぁん、有名なんだし金持ってんだからさぁ…シャレた酒でも飲みましょうよぉ」

律「未成年に酒なんか勧めんなっつの!私はまだ花も恥じらう『ジョシコーセー』なんだぜぇ?」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:13:59.98 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「またまたぁ!あの放課後ティータイムのドラマー、ドラムの神様とまで言われた田井中律が花も恥じらうだなんて冗談キツイっすよ!」

律「………フンッ」ボグッ

軽口を叩くバンド男1の鳩尾に律はキツーイ一発をお見舞いした。

バンド男1「げふっ…こ、こんなだからあんた……」

律「なんか言ったかぁ?」

バンド男1「な、なんも言ってないっす!」ブンブンッ

マスター「ホントりっちゃんは相変わらずだねぇ」ニコニコ
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:15:28.93 ID:SRM2IB5d0
バンド男2「しっかしまぁ!未だに信じらんねーよなぁ!あの放課後ティータイムのドラマーがウチのバンドに入ってくれるなんてさ!おかげで今日のライブも大成功だったし!」

バンド男1「だよなぁ!俺、放課後ティータイムのメンバー全員に憧れてたもん!みんな可愛くてカッコ良くてさぁ!あの伝説の武道館ライブは思い出すだけで鳥肌が立つぜ!」

律「………昔の話だって!大体入ったっつっても助っ人としてだからなっ、マスター!オレンジジュースおかわり!」

マスター「はいはい♪」

バンド男2「…昔って、まだ1年も経って無いじゃないですかぁ?」

バンド男1「そーっすよぉ!なんかババ臭いっすよ律さぁん!今日のライブで燃え尽きちまったんすか?まっ白な灰になるまで!?」

律「……あーもう!いちいちうるさいんだよ!お前は!」ボカッ
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:16:28.71 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「イ、イデー!イデーっすよ!律さん!!もーいっつも俺ばっかブン殴らないで下さいよぉ」グスッ

律「シャーラップ!昔はあたしの方が殴られ役だったんだ!ブン殴られるのはいつも一言多いせいだってお前を見てて気づいたぜ!」

バンド男1「……」グス

バンド男2「…そんな事より…やっぱ色んなトコで噂になってますよ。律さんが狙われてるって話」

バンド男1「……グスリ…なんだよそれ?」

バンド男2「もう泣くなって…なんでも律さんの事を殺そうとしている人間がいるらしいんですよ」

律「…ふーん」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:17:31.47 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「おいおい、このご時世に殺し屋でもいるってのか!?寒すぎて笑えねえよ!」

バンド男2「こんなご時世だからこそ殺し屋が居たっておかしくねえよ…何せ俺達パンピーでさえこんな物が簡単に手に入っちまう世の中なんだからな」チャキッ

そう言って男2は懐から黒光りする物体を取り出す。

バンド男1「ちょっ!おま…っ!それって拳銃……」ブルブル

バンド男2「1年ぐらい前からこの国の治安は悪くなる一方だ…、こんなもんでも持ってなきゃ自分の身が危ねえ」

バンド男1「……ゴクリ」

バンド男2「お前も持っといた方がいいかもな…まぁお前じゃ別の意味で危ねえかもしれねえけど」
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:18:52.89 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「…ぅ……ちょっ律さぁん!こいつこんな事言ってますよ!?なんとか言ってくださいよぉ!」

律「…ん…あぁ………まぁあたしは男2には賛成だな」

バンド男1「んな!律さんまでっ!?俺が銃を持ったら見境いなく乱射するキチガイだとでも思ってるんすか!それとも自分で自分の頭を撃っちまうようなアホだとでも思ってるんすかぁ!?」

律「いや違うって、そうじゃなくて、それぐらい自衛しとかなきゃ危ないって事だよ。特にお前なんかすぐやられそうだし銃の一つぐらい持っといた方がいいぞ」

バンド男1「…まぁ…律さんがそう言うなら…でも俺、自分を守るために銃は使わないっす!男は惚れた女を守るために銃を撃つもんっす!」

律「あー、はいはい頑張れ頑張れ」

バンド男2「…まぁともかく気を付けて下さいよ?さっきも言ったけど律さんが狙われてるって話…結構デカイ噂なんですから」
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:19:57.48 ID:SRM2IB5d0
コンッコロコロ…ガコンッ!

律「……」

バンド男2が改めて注意した途端、球の転がり落ちる音が律の耳に届いた。
振り返るとビリヤードをプレイしている男の姿がある。
一回のショットで一つづつ球をポケットに落としていく堅実な男のプレイだった。

殺し屋「…」コンッコロコロ コッ カコンッ

律「………」

バンド男2「…律さん?」

バンド男2を無視し律は席を立ちあがる。

律「………1つずつじっくり確実に、ですか?」ヒョイッ
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:20:53.19 ID:SRM2IB5d0
殺し屋「…っ!」

律「…ねぇねぇ?それってマイキューでしょぉ?ちょっとあたしにもやらせてよぉ〜♪」

殺し屋の肩から律が顔を覗かし、ややブった態度で話しかける。
一瞬戸惑うものの殺し屋は素直に手に持っていたキューを律に手渡した。

律「よっ!」コッ コロコロ

律「ほっ!」カッ コロコロ

殺し屋からプレイ場所を奪ったものの律がショットする球は一つもポケットに落ちず、
ただコロコロと転がるだけたった。

律「あちゃ〜」
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:22:14.09 ID:SRM2IB5d0
バンド男2「はははっ」

バンド男1「律さ〜ん!まじめにやってくださいよぉ」ニヤニヤ

律「うるせー!仕切り直しだぁ!一つづつじっくりなんて、りっちゃんの性には合わーんっ!!」

殺し屋「…(田井中律……ただのビッチだな)」

律「さぁゲーム開始だ、あたしから弾いてもいいんだろ?」

殺し屋「……」スタスタ
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:23:26.89 ID:SRM2IB5d0
殺し屋は勝手にゲーム開始の宣言をする律を無視してカウンターの方に歩いて行く。
そして勘定を済ませバーを出て行き殺し屋は立ち去っていった。

マスター「ありがとうございました。またいらして下さいね」ニコニコ

バンド男1「あ〜あ、フラれちまいましたね、律さぁん」ニヤニヤ

律「…ふん……」

相手が居なくなったのにも構わず律はブレイクショットの態勢に入る。
構える手には通常のキューではなくドラムスティックが握られていた。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:24:45.17 ID:SRM2IB5d0
律「…(スタイル……生き様が出るんだよ、玉突きってのはさっ)」カッ!

ガコン ゴン ゴコン ガコン ゴン ガコン ゴォン ゴコン ゴトッ

律のドラムスティックでのブレイクショットは、あろうことか手玉以外の球を残さず全てポケットへ落とし切った。

バンド男1、2「「おーーーっ!!」」

律「ヤるなら全部まとめてド派手にだっ!これがドラマーの…あたしのスタイルってもんよ!」
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:26:07.33 ID:SRM2IB5d0
――――

後日、とあるライブハウス。

バンド男1「みんなー!今日は俺達のライブに来てくれてありがとう!愛してるぜ!ベイビーッ!!」

ワー!ワーー!!

観客「きゃー!りっちゃーん!!りつさまー!!マイク持ったブ男どきなさいよ!りっちゃんが見えないでしょー!うおー!!りつーー!!!」

リーツ!リーツ!リーツ!リーツ!リーツ!!
リーツ!リーツ!リーツ!リーツ!リーツ!!
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:28:09.31 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「やっぱ目当ては律さんかよ…俺、一応ボーカルなのに……」グス

バンド男2「……」ポンポン

バンドの顔であるはずの男1が声援を浴びるどころかブ男呼ばわりされる現実にガックリと肩を落とす。
その気持ちを汲み取った男2が慰めるように男1の肩を叩いた。

律「だれが目当てか、なんて関係ねえ!あたしたちは来てくれたお客さんのために全力で演奏して応えるだけだ!始めるぜ!!」カンカンッ♪

バンド男1,2「「うっっす!!」」

律の気合の一声からライブは始まった。
ドラムの神とまで言われた律の演奏とカリスマ性から観客は一気にヒートアップする。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:29:48.18 ID:SRM2IB5d0
キャー!リッチャンステキー!ワー!ワー!

観客の中には律の弟、聡と黒いスーツに身を包んだ男の姿があった。

聡「姉ちゃん頑張れーっ!!」

殺し屋「……(密集した人ごみと半端な音などかき消してしまう程の騒音…暗殺にこれほど適したシチュエーションも他に無い)」

演奏も佳境に入り観客のテンションは最好調に達する。

リッチャン!カッコヨスギー!
キャー!リツサマー!!
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:30:39.04 ID:SRM2IB5d0
殺し屋「……(狙うは演奏終了間際、ヤツがソロでドラミングを始めるタイミング、ドラムチェアーに座ったまま動かないヤツを撃ち抜くなど容易っ!)」スッ

律のドラムソロが始まり殺し屋は携帯していたライフルをそっと構える。
他の観客はみな律のソロ演奏により興奮の極みに達し、誰も殺し屋の挙動に気がつかない。

ワー!ワー!
リツー!スキダー!
キャー!キャー!
ケッコンシテクレー!ウオーッ!!
リーツ!リーツ!リーツ!リーツ!リーツ!!

殺し屋「……(私はキサマのようなビッチに対しても入念な下調べを行ってきた。日々の行動から演奏の細かな構成に至るまで…その私が仕損じる筈がない、死ねっ!)」カチャ
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:30:55.39 ID:A0yuTVUpP
結構巻き戻ったな
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:31:36.87 ID:SRM2IB5d0
殺し屋が今まさにライフルの引き金を絞ろうとした瞬間

律「…………っ!」ズダダダダダダッ♪ダダダ♪ ヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッ

バァン!
殺し屋「…ぐぁっ…」プシューッ

殺し屋の脳天にドラムスティックの先端が突き刺さる。
律がステージ上から投げつけたドラムスティックだった。
演奏終了直前に投げつけた5本のうち1本のスティックが殺し屋の脳天から血を噴き出させていた。

殺し屋「……(乱打乱撃のドラミング…まぐれあたりに敗北するとは…)」バタリ

殺し屋はライフルの引き金を絞る事なくその場で息絶える。
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:33:03.18 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「律さん!!」

演奏を終えた直後、観客に向かってスティックを投げつけた律に男1が声を上げた。

律「なんでもないって…あたしを殺るのにたったの『5』人…ったく舐められたもんだねぃ」

殺し屋以外に4人の観客の死体があった。
その4人の死体はみな銃を携帯しており、脳天にスティックが突き刺さっている。
全員、律を狙っていた殺し屋だった。
5人の殺し屋たちは演奏終了と共にその命も終えていた。
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:35:11.52 ID:SRM2IB5d0
投下一休み
前スレ保守、支援してくれた人マジすまんかった。
書き溜めはまだまだ残ってるので、また途中で途切れた時は規制食らってると思って下さいす。
すんませんが、その時はまたよろしくお願いします。
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:36:17.75 ID:ho/ZU7VC0
みてるよーがんばー
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:38:35.47 ID:qUBur73u0
楽しみにしてるよ、頑張れー
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:48:47.47 ID:SRM2IB5d0
――――

ミーハー女1「りっちゃん、おつかれさま〜!」

ミーハー女2「今日もかっこよかったよ♪りっちゃん!」

ミーハー女3「りっちゃんつかれたでしょ?肩もんであげるね♪」モミモミ

ライブ終了後、律とバンドのメンバーはいつものバーで打ち上げを行っていた。
律の周りには親しいファンの女の子たちが集まりライブの労をねぎらっている。
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:50:16.75 ID:SRM2IB5d0
律「わははは♪くるしゅうない!くるしゅうないぞぉ!」

バンド男1「相変わらず律さんはモテモテっすねぇ。ファンの1人ぐらいくれたって罰は当たらないっすよ?」

ミーハー女に囲まれた律のテーブル席にバンド男1が割って入ってくる。
ファンにチヤホヤされる所か労いの言葉すら掛けてもらえない彼は今までカウンター席で飲んでいた。
それがさすがに寂しくなったのか自分からミーハー女達に声を掛ける。

バンド男1「あ、そうそう君たち!今日の俺のボーカルどうだった?けっこうイけてたと思うんだけどー?」
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:51:56.95 ID:SRM2IB5d0
ミーハー女1「いきなり割って入ってくんじゃないわよ!ブサイクボーカル!!」

ミーハー女2「うざーい!私たちりっちゃんの演奏しか聞こえてなかったんですけどー?」

ミーハー女3「誰か歌ってたのー?っていうかーおまえ洗ってない犬の匂いがすんだよ!」

バンド男1「ひ、ひでえ…」グス

バンド男2「だからやめとけって言ったのに…」ポンポン

律「うははは!私が良くても女の子たちが嫌だってよー!でもまぁそんなに言ってやるなよー?こいつにだって良いトコあるんだからさ!」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:52:18.50 ID:UP0e4wx1P
紫煙
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:53:16.68 ID:SRM2IB5d0
ミーハー女1「キャ〜!りっちゃんやさしー!」

ミーハー女2「いやーん!またほれなおしちゃう〜!」

ミーハー女3「もっともっとはりきって肩もんじゃうね!!!」モミモミモミモミモミモミモミモミモミモミ!!

バンド男1「はぁ〜あ、ミーハーな女なんてこんなもんだよなぁ、やっぱ俺は律さん以外は…ボソボソ」

バンド男2「分かった分かった。戻って飲み直そうぜ」スタスタ

果敢なアタックがものの見事に玉砕したバンド男1は相棒のバンド男2に連れられ元のへのカウンター席へと戻っていった。
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:55:04.52 ID:SRM2IB5d0
ミーハー女3「次は手揉んであげるね〜♪あ、りっちゃん手もキレー!きゃ〜!」

律「キレーなだけじゃないぜー!あたしの手はこんな事もできちゃうんだぜー!!」

ミーハー女2「え〜?なになに〜??」

律「面白いモン見せてやるよ!…っと耳は塞いどけよー?ちょっと危ないからな」

言われた通りミーハー女達は耳を両手で塞ぎ、律は右腕をすぅっと頭上に上げる。

ミーハー女1「ドキドキ♪」

律「……ほっ」ブンッ
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:56:39.12 ID:SRM2IB5d0
律が掲げた右腕を宙に振った瞬間、カップに注がれていた液体は大きく波打ち波紋を描いた。
そしてテーブル中央の花瓶に活けてあった花が弾け、その花びらは四散し散っていく。

ミーハー女1「キャー!!りっちゃんすごーい!!!」

ミーハー女2「りっちゃんってこんなこともできちゃうんだー!」

律「ははっ!ビックリ?面白いだろォー!本気出せばまだまだこんなもんじゃないんだぜー!」

ミーハー女3「ねぇ!どうやってやったの!?おしえて!おしえてー!」

律の言葉に従い耳を塞いでいたミーハー女たちは素直に驚嘆の声を上げるだけだったが、
何も知らずに少し離れたカウンター席で飲み直していた男二人はそうはいかなかった。
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 23:58:09.59 ID:SRM2IB5d0
バンド男1「み、耳がぁ!耳がぁ〜〜〜!!!」ブクブク

バンド男2「ちょっ!律さぁん!?やるならやるって言ってくださいよっ鼓膜ぶっ飛んだかと思いましたよ!」

バンド男2が頭を押さえカウンターに突っ伏しながらクレームの声を上げる。。
そのバンド男2より律がいるテーブルに近い位置に座っていたバンド男1は泡を吹いてのたうち回っていた。

律「いやーわりーわりー!そこぐらい離れた位置なら大丈夫だと思ってさー!」

バンド男2「ぜんっぜん大丈夫じゃないですよ!ったく」

バンド男1「うー、耳が…」

ミーハー女3「…うーむ、このタトゥがあやしい」
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:00:03.01 ID:kD2L8MbN0
さきほどの芸当のタネを探ろうと、ミーハー女3が律の腕をまじまじと見る。
律の両肘から先には黒い直線が網目模様になったサイバーチックなタトゥが施されていた。

律「ちょっといい柄だろォ?」

ミーハー女1「うん、前からきれいだなって思ってた」

律「だろォ!あたしは全身に入れてもいいと思ってる!」

ミーハー女2「りっちゃ〜ん!そんなコトよりカラオケ〜〜〜早くいこォよォ」

律「あたしったら今日のライブで張り切りすぎちった!また明日にしましょ」

ミーハー女1「え〜〜っ」
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:01:17.58 ID:kD2L8MbN0
マスター「りっちゃんっ!!大変だ!!!」

今まで店の奥に居たらしいマスターが慌ただしく現れ叫んだ。

律「どぉしたのマスター?そんな血相変えてぇ」

マスター「聡くんが攫われた…さっきJファイブのエムジェイのヤツから電話があって、弟を預かっているから姉に向かえに来させろ、って…」

律「っ!!」バッ!

バンド男2「…数あつめますか?」
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:02:55.48 ID:kD2L8MbN0
律「いらねぇ!」ダダダッ

マスターからの報告を聞くやいなや律はすぐさま立ち上がり、その場を駈け出して行った。

バンド男1「…調子に乗りすぎたな」

ミーハー女2「……りっちゃん…どうなっちゃうの?殺されちゃうの?」

バンド男1「殺られるのは……相手の方だよ」
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:04:17.87 ID:kD2L8MbN0
――――

Jファイブと呼ばれるバンド御用達のライブハウス
そこの最上階に捕らわれの身の聡がいた。

聡「姉ちゃんを呼び出してどうするつもりだ!?」

エムジェイ「なーニ、ちょっと話を聞いて貰いたいだけだヨ。君のお姉さんは僕の事が嫌いらしくてネ、こうでもしないと聞く耳すら持って貰えないのサ」

聡「…どーせロクでもない話なんだろ!姉ちゃんが怖いからこんな手段しか取れないんだろ!?俺だってお前がキライだよ!バーカ!!」

エムジェイ「怖がってなんかないヨ、でも君に嫌われたのは残念だネ。僕としては…とても個人的な理由で君にも興味を持っていたのだけれド……ポゥッ♪♪」
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:05:59.56 ID:kD2L8MbN0
聡「う…(なんだコイツ、なんだか猛烈に嫌な予感が…)」ゾクリ

バァン!!

エムジェイ「!?」

律「よぉエムジェイ、弟を迎えに来てやったぜ」

最上階の扉が蹴破られ律がその場に姿を現す。
その手には血に塗れたドラムスティックが握られていた。

聡「ね、姉ちゃ〜〜んっ!」
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:07:27.09 ID:kD2L8MbN0
律「……しっかし殺し屋雇った次は誘拐かよ?順序が逆なんじゃねーか!?おい!」

エムジェイ「フフ…さすがだネ、僕が彼らを雇った事は既にお見通しだったワケダ。まぁあの程度の殺し屋連中にやられるようじゃ交渉の価値すら無いと思っただけサ」

律「………」

エムジェイ「それに誘拐じゃないヨ。預かっているって伝えただろ?ここは僕の夢の国サ!そこに聡君をご招待しただけだヨ」

律「……いや、完全に誘拐だろ?っつか殺し屋のくだりは否定しないんだな、そこはあっさり認めるのかよ」

エムジェイ「僕は嘘がキライなんだヨ。嘘をつくとロクな大人になれないからネェ」
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:09:10.27 ID:kD2L8MbN0
律「…もう既にいい年したオッサンだろアンタ……しかも充分ロクでもねえ!」

エムジェイ「オッサンだなんて言うナ!!僕はピーターパンなんダッ!オッサンになんかならないんだヨ!」

律「分かった分かった、とりあえず聡返せ」

エムジェイ「それはこれからする僕の話に対しての君の返答次第ダ………しかし不思議だネ」

律「あぁ?」

エムジェイ「聡君と二人きりのスウィートな時間を満喫するため、腕利きのガードマン達にあと2〜3時間は君にお待ち頂くよう伝えておいた筈なんだガ?」
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:11:15.53 ID:kD2L8MbN0
聡「……(2〜3時間って…こいつ何するつもりだったんだよっ!?)」

律「めんどくせーから全部ぶっ飛ばしてきた、さっさと聡返せ!」

エムジェイ「OH!さすがは田井中律だネ!オーケー!時間が惜しいようだから単刀直入に言おウ」

律「…」イライラ

エムジェイ「Jファイブに入りたまエ。前にも言った筈だヨ?ドラムをやるなら僕のバンドでやレ、ト」

律「……私の名前にJはついてないぜ、お前らの兄弟になるなんてゴメンだね」

エムジェイ「ブラザーになるのは、そこにいる聡君だけで充分だヨ。僕はネ…何を差し置いてでも君が欲しいのサ」
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:13:13.03 ID:kD2L8MbN0
律「…今度は愛の告白かい?悪いけど、それもお断りだぜ?」

エムジェイ「違ウ、そういうのは聡君だけで充分だと言っただろ!?おぞましい事を言うナ!………僕は君の腕が欲しいんだヨ」

聡「……(ブラザーってやっぱそういう意味かよっ!)」

エムジェイ「僕のアルバム売上のギネス記録を超えた唯一のバンド、放課後ティータイムのメンバーだっタ田井中律。そのドラマーとしての腕ガッ!」

律「……しつこいぜっエムジェイ!何度聞かれても答えは同じだっ!」
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:15:05.63 ID:kD2L8MbN0
エムジェイ「…なら仕方がないナ、本当に残念だが君にはここで死んでもらうしかなイ……」

律「………っ!」

その言葉を聴いた瞬間、
律はすかさず手に持ったドラムスティックを掲げ構えようとするが、

エムジェイ「オット!妙な動きはするなヨ?君ならもう気付いているだろうガ、聡君の背中には銃口を突き付けていル。それ以上近づけば BANG! ダ」チャキッ

そう警告してエムジェイは律をその場に足止めする。
律からは見えない死角だったが、エムジェイはそれ特有の金属音を鳴らし聡の背中につけつけた拳銃の存在をアピールした。

聡「ひぃっ!」
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:17:09.84 ID:kD2L8MbN0
エムジェイ「…まずは身に付けているドラムスティックを全て捨てて貰おうカ、君にとってそれが拳銃以上の凶器になるのはもう分かっているんだヨ?それから両手を上に上げろッ」

律「……チッこうなりゃ仕方ないか」ヒョイッバラバラバラバラバラバラ スッ

要求に従い律は手に持ったドラムスティックを投げ捨てる、更には服の中に仕込んでいた隠しスティックも残らず床へと落とす。
足元に数十本に及ぶスティックが転がった後、律はゆっくりと両手を頭上に上げた。

聡「ね、姉ちゃぁん……」

エムジェイ「フフッ可哀想ニ…お姉さんが素直なら君もこんな目に合わずに済んだのにネェ…」グリグリ

歪んだ笑みを浮かべるエムジェイは聡の背筋に銃口を食い込ませる。

聡「ぅうっ…」
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:18:33.07 ID:kD2L8MbN0
エムジェイ「心配しなくていいからネ。お姉さんが死んでも僕が聡君の面倒をちゃぁんと見てあげるヨ…大丈夫、僕はピーターパンなんダ。優しくしてあげるヨ…」

聡「ひ、ひぃぃぃぃっっぃぃっ!姉ちゃぁぁああぁんっ!!!」

耐え切れなくなった聡は半狂乱になって叫び声を上げる。
取り乱す弟に対し姉は微笑みを浮かべながらゆっくりと応える。

律「そんな悲しい顔するなよ聡ぃ…今から仕方なしに」

頭上に上げた律の左腕、そこに彩られた網目模様のタトゥが淡く光った。

律「面白いモン見せてやるからさ」
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:20:09.87 ID:R9e9oWAv0
移転したのね…
面白いから支援

ムギ待ちです
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:20:16.35 ID:kD2L8MbN0
律の左腕が淡い光を帯びたまま機械的な音を響かせる。
タトゥを中心にその左腕の構造をルービックキューブの如く組み換えだし新たに構築し始めた。

ガコン ガシュ イイイィィイイン

エムジェイ「………」

カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ

聡「………」

カシャカシャカシャ
カシャァン
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:22:14.46 ID:kD2L8MbN0
構築作業が完了した律の左腕は腕では無くなっていた。
左肘から先は肉感が完全に失われており無機質かつ硬質なモノへと変貌している。
左腕の代わりに誕生したそれは一本のドラムスティックだった。

律「たいして面白くもねえかっ」

エムジェイ「な…なんだい?それは??」

聡「ね、姉ちゃん……?」

律「……中々上等そうな床だなぁ?良い音で響きそうだぜっ!!」ブンッ
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:23:59.27 ID:kD2L8MbN0
新たに誕生したスティック型の左腕を律は頭上から思い切り床に叩きつける。

ドォン!

エムジェイ「ウワ…ワワ…っ!なんダァ?地震かァっ!?」

聡「ひ、ひぃっ」

律がそのスティック腕を叩きつけた瞬間、落雷のような轟音がとどろいた。
揺れを感じたエムジェイと聡は足元を掬われバランスを崩す。
結果、聡の拘束状態が一瞬解放された。
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:24:51.17 ID:/6U1Hf910
しえ
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:25:27.43 ID:kD2L8MbN0
律「シュッ!」

その一瞬を逃さず律はすかさずエムジェイとの距離を詰める。
その動きに対応することもままならないエムジェイは目の前で律が振りかざすスティック腕にも反応が出来ず、

ボゴォン!
エムジェイ「ぷぎゃっ!」

スティック腕がエムジェイの脳天に直撃し、スイカ割りのようにその頭は弾け即死した。
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:27:05.94 ID:kD2L8MbN0
――

律「聡には…家族にだけはさ…見せたくはなかった……けど、見せなきゃならないとも思ってた」

聡「姉ちゃん………その腕は……」

律「あたしの事……嫌いになったか?」

不安気に見つめる姉に対し弟はその体を抱きしめる事で応えた。

聡「……なるわけねーよっ!」ギュッ

律「………」ギュッ

姉もそれに応え弟を抱きしめる。
とあるライブハウスの最上階、抱擁しお互いの絆を確認する姉弟の姿があった。
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:29:16.05 ID:kD2L8MbN0
全スレ分+1まで投下完了
ここまで前スレ分含めやっとテキストのスクロールバーやっと半分いったかなってとこ
またちょっと一休みします。支援あざっす!
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:32:08.16 ID:Yhjv/HLy0
しーえん
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:46:05.52 ID:kD2L8MbN0
――――

老人「どうした、お嬢ちゃん?眠っとったんじゃないのか?大声出して…」

ある廃墟の一室。
そこに悪夢から目が覚めたばかりの女がいた。
傍らにいる老人の声が聞こえているのかいないのか、女はキョロキョロと辺りを見回す。

和「うぅ…久々に夢で見てしまったわ…」

老人「どんな夢を見りゃぁ、あんな酷いうなされかたをするのかのぉ…しまいには叫んで起きてくるもんだからビックリしたでな」
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:48:07.35 ID:kD2L8MbN0
和「…すみません、それに勝手に上がりこんでしまって…ご迷惑をお掛けしてしまいました」

そう言って和は黒塗りのカバンを手に持ち荷物をまとめようとする。

老人「気にせんでええよ、こんな廃屋だれのモンでもないし、文句を言う隣人もおらん」

和「…」

老人「あんたみたいなお嬢ちゃんがこんな寂れた場所に住み着くのは関心せんがね…まぁお嬢ちゃんにはお嬢ちゃんの事情があるんじゃろ?」

和「……」
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:50:10.16 ID:kD2L8MbN0
老人「でっかいカバン持って…家出でもしたかね……まぁ若いうちは色々あるでな、別に聞いたりゃせんけどね」

無言のままの和に対し老人は深く詮索せず辺りの掃除を始める。
老人はおそらく定期的にこの地区を清掃しているボランティアか、もしくはそれを仕事とした人間なのだろう。

しばらくして老人が清掃作業を切り上げようとした頃、機を見計らったかのように和が口を開いた。

和「………ねぇお爺さん…この中に…見知った顔はいませんか?」ピラッ

そう言って和は一枚の写真を老人に差し出した。
写真には和にとって生涯忘れ得ないであろう五人の姿が映っている。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:51:33.56 ID:/6U1Hf910
C
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:52:11.36 ID:kD2L8MbN0
老人「おぉ!こりゃ放課後ティータイムの子たちじゃないかい!有名だでな、わしのようなジジイでも知っとるぞ!」

和「…この近くで見たことは?」

老人「う〜ん…あぁ!このデコッパチの子っ!名前はなんと言ったかのぉ・・・まぁこの子ならここらの通りで見たことあるわい」

和「そう…」
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:54:29.47 ID:kD2L8MbN0
写真に写った律の姿を親指でなぞった和は、そのまま写真を懐に収めた。
そして立ち去ろうとする和に老人が声をかける。

老人「あんたぁ…そんな有名人になんぞ用かね?サインでも貰いに行くのかい?」

和「………殺す。先輩のカタキよ」

復讐の決意を言葉に変え、和はその場を後にした。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:56:23.08 ID:kD2L8MbN0
――――

―町の片隅にある小さい飲食店

店主「どうです!お客さん?美味いメシでしょう?」

和「ええ」

そこに昼食を取る和の姿があった。
こんがり焼かれた肉を和は一口大に切り分け丁寧に口の中に運んで行く。

和「…」モニュ モニュ
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:58:15.82 ID:kD2L8MbN0
店主「でしょう?小さいけど通の人には有名なんですよ!」

ザワザワ
「確かに有名だわな…」
「…違う意味でだけどな」
ザワザワ

別の客席から客同士の会話が和の耳に入ってくる。
それと同時に店主の舌打ちも和には聞こえたような気がした。

和「…?」モニュ
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:59:25.36 ID:/6U1Hf910
バキ思い出す食事音
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:00:19.57 ID:kD2L8MbN0
カランカラァン

和が別の客同士の会話を気にしていると一人の少年が扉を開け店の中に入ってきた。
先にテーブルに座っていたガラの悪そうな3人組の一人が少年に対し声をかける。

DQN1「よぉ聡!こっちこっち」

聡「…あ……うん」

聡と呼ばれた少年はガラの悪そうな三人組みのテーブルに座る。
座ってから聡を含めた4人はテーブルに身を寄せ合いヒソヒソと密談を始めた。
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:02:32.84 ID:kD2L8MbN0
DQN1「…でな、そこでメシ食ってる女いるだろ?」

聡「…う、うん」

DQN1「今日はあの女だ、狙いはあのデカいカバン…上手くやれよ?」

聡「…あの、DQN1君」

DQN1「あぁん?」

聡「…こういうの…もうヤメにしない?それに女の人だし…可哀想っていうか…」
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:04:19.12 ID:kD2L8MbN0
DQN1「ヤメにしない?だぁ!?」ビキビキッ

DQN2「オメ何言ってんだぁ…DQN1君オコってるべ!?オレらに上等コイてんのか?コラ!」

DQN3「聡のクセにチョーシこいてんべ!コイツっ!」

聡「ひ…っ!いや…あの…」

DQN1「聡よぉ」ビキビキビキィ

聡「ひ、ごめっ俺っ!(殴られるっ!)」
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:07:13.31 ID:kD2L8MbN0
DQN1「…」ニコッ!

聡「え?」

DQN1「分かる!分かるぜぇ〜!聡は優しいもんなぁ〜、お前が良くないって思う気持ち…俺には良く分かるっ!」ニコニコッ

聡「……DQN1君?」

DQN1「でもよぉ〜、俺達もひもじいんだっ!そういう事しなきゃなんねえほどな〜、優しい聡ならこれも分かってくれるよな?なっ?」ニコニコニコッ

聡「え…あ…いや…その…」

DQN1「…分かってくれるよな?」ピキッ

聡「……うん」
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:09:07.20 ID:kD2L8MbN0
DQN1「だろ?俺達もひもじいんだよっ、でも良くない事は良くない事だってお前は言いたいワケだ。だから考え方をチョイっと変えりゃいい」

聡「…考え方って?」

DQN1「恵んでもらう、って考えろ!見ろよ?あの女の持ってるカバン、デカくていかにも金目のモノが入ってそうだ」

聡「……」

DQN1「ああいうカバンを持ってる女は元々金持ちなんだよ、その中のちっとを俺達に分けたって屁でもねえ、だから恵んでもらうって考えろ」

聡「…でも、やる事は今までと同じだよね?」
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:11:14.64 ID:kD2L8MbN0
DQN1「いやいや、そんあとの対応もちゃんと変えるぜー、バッグの中の金目の物を盗った…あぁいや分けてもらったら、あとのモノは全部持ち主に返す」

聡「……」

DQN1「なっ?そうすりゃ俺達のフトコロは潤ってハッピー!あの女も失くしたカバンが戻ってきてハッピー!世界は良い事づくめだぜっ!」

聡「…でも、やっぱり……」

DQN1「…はぁ……あーっ!分かったっ!お前がそこまで言うならよーっこういうのはもう今日で最後にしていいっ!」
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:13:13.19 ID:kD2L8MbN0
聡「ホント!?」

DQN1「おう!男に二言はねえっ!だから今日だけっ!なっ?頼むぜ聡!」

聡「……分かった。ホントにこれで最後だからね?」ガタッ

そう言って聡は席を立つ。
テーブルにはDQNの三人組が残った。
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:15:25.92 ID:kD2L8MbN0
DQN2「なぁDQN1君…いいの?あんな事言っちゃって…」

DQN1「あー…?あんまり良くねえかなぁ〜?」

DQN3「ならボゴにでもして無理やり言うコト聞かせりゃいいじゃん?」

DQN1「…バっカッ!あいつにゃ、あの姉キがいるんだぞ?あいつが喋らなくてもボゴした傷を見りゃ姉キが黙っちゃいねえよ」

DQN3「あーそっか!」

DQN1「ったくよー、だから友達面して上手い事やってんだろ?ちっとは頭使え」

DQN3「さっすが!DQN1君っ!マジすげーわっ!!」
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:17:36.01 ID:kD2L8MbN0
DQN1「へへ…っそれにその姉キも、もしかしたら言う事聞かせられるようにできるかもしんねーっ」

DQN2「マジ?」

DQN1「おう!ひょっとしたら今日中にもな」

DQN3「すげー!あの田井中律に言う事聞かせられんのかよ!?そしたらオレ色んな事やっちゃうぜーッゲヘッゲヘヘッ」

DQN1「まぁ楽しみにしとけや、っと、そろそろ聡がヤる頃だな、俺達はいつもの所で待つとすっかっ」ガタッ

DQN1、2「「おう」」ガタッ

密談を終えたDQN3人組は席を立ち店を出て行った。
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:19:22.69 ID:kD2L8MbN0
和「ごちそうさま、お勘定を」

店主「まいどっ!いやーお嬢さん、いい喰いっぷりでしたね!どうです?勘定の前に食後のコーヒーでも?サービスしときますよ!」

そう言って店主はコーヒーポットを和の前にチラつかせる。

和「…そうね、いただこうかしら」

聡「……」

和の少し離れた席に先ほどの聡と呼ばれた少年が和の様子を窺うように座っている。
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:21:19.95 ID:kD2L8MbN0
店主「ヘヘ…ちょっくら待っててくださいよっいま美味いのを入れまっと…ととっととっ」

バシャァンッ

手元が滑ったのか店主は注いでいたコーヒーを和のテーブルの前にぶちまけた。

和「…」

聡「…」スッ

店主「あら…あららららっ!す、すいやせんね、お客さん、つい手元が滑っちまいまして…どっか濡れたり火傷したりしてやせんか?」
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:23:19.50 ID:kD2L8MbN0
ザワザワ
「始まった…」
「よくやるよ…」
ザワザワ

ザワめきと同時に先ほどの客の会話が再び和の耳に入ってくる。

和「…いえ大丈夫、どこも濡れてないし火傷もしてないわ」

店主「そうですかぁ…いやよかった、ホントすいやせんね、年取ってきたせいか最近こういう事が多くてねぇ、すぐにコーヒー注ぎ直しますんで」

和「いえ、コーヒーはもう結構よ、お勘定―ッ!?」
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:25:10.99 ID:kD2L8MbN0
店主「どうしました、お客さん?」

和「…」キョロキョロ

ふいに和は店内の様子を確かめる。
いつのまにか足元に置いていたカバンが忽然と消えていた。
同時に先ほどまで店内に居た聡と呼ばれていた少年の姿も消えていた。

和「……カバンを盗られたみたい…さっきまでそこに居た男の子…知らない?」

店主「さぁてねぇ…どこの子ですかねぇ」
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:27:13.35 ID:kD2L8MbN0
ザワザワ
「どこの子だってよ」
「グルのくせしやがってよ」
ザワザワ

和「…」

ヒソヒソと話すものの、その内容が丸聞こえの客席に向かい店主は慌てて弁解する。

店主「何を…!?いいかげんなコトを!」

和「本当に……」スッ

言いながら和は人差し指を一本立てて店内の壁に触れる。
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:29:22.95 ID:kD2L8MbN0
店主「?」

和「知らないのね?」

店主「知りませんよぉ」

和「…」グ

グボォッ!

店主「っ!!」

店主の答えに対し、和は壁に触れていた人差し指を根元まで一気に埋め込み刺し貫いた。
床にパラパラと壁の破片が崩れ落ちる。
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:31:13.10 ID:kD2L8MbN0
和「…」グ

そして今度は店主の胸に、和は壁を刺し貫いた人差し指を立てる。

和「知らないのね?」

店主「…あ……いや…あ…たぶん……その通りの…先の建設現場に…ハイ……」

その言葉を聞いて和は律儀に勘定を済ませた後、店を出て行った。

ザワザワ
「すげえ女がいたもんだなぁ…」
「あれじゃね?北斗神拳ってヤツ」
ザワザワ
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:32:14.01 ID:kD2L8MbN0
投下一休み。
支援あざっす!
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:33:26.42 ID:4BtjhaD80
ずっと見てるぞ

支援
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:34:57.19 ID:oUJ66SnVQ
わファンとしてはたまらないですな
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:35:05.27 ID:Yhjv/HLy0
面白いぞ
頑張れ
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:46:36.40 ID:zNh6D3qf0
見てるんでがんばってくれぃ!
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:54:20.01 ID:d00HXPvW0
支援
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:02:55.22 ID:kD2L8MbN0
――

聡「はぁっはぁっはぁっ」

夕方に迫ろうとしていた時刻、
黒塗りのカバンを持った聡はいつも通りの建設現場に向かい息を切らせ走っていた。

聡「はっはっ…」

DQN1「よぉー!聡くぅんっ待ちわびたぜ〜!どうだったかね?成果の程は?」

聡「はぁはぁ…これ…っ」スッ

呼吸を整えながら聡は黒塗りのカバンをDQN1に手渡す。
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:04:23.18 ID:kD2L8MbN0
DQN1「おぉ!でかしたぁ!!さすが聡だぜっ!」

DQN達は聡が盗んできた黒塗りのカバンに歓喜の声を上げる。

聡「…」

DQN2「ん〜?…DQN1くぅん…これどうやって開けるんだろうね?」

DQN1「あぁ?いつも通りピッキングでも何でもしてこじ開けりゃいいだろ?」

DQN3「それがさぁ…鍵穴がどこにもついてねーんだよなぁ…これじゃこじ開けようにも…おわっ!」ビクゥ
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:06:07.90 ID:kD2L8MbN0
バカンッ

DQN3がカバンの外装を適当に触っているとカバンが突然に開きだした。
どうやら適当に触っている内に開閉スイッチでも押してしまったらしい。

DQN1「あ〜ん?なんだよ鍵なんか付いてなかったのかよ?ったくっ!金持ちは不用心でありがたいねぇ」

DQN3「ビックリしたなぁもうっどれどれ…どんなお宝が入ってるのかなっと」

カバンを開けたDQN3が浮き足気味に中身を覗きこむ。
しかしそこに彼が望むお宝は入っていなかった。
代わりに3対の『腕』がカバンの中に詰め込まれていた。
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:06:53.08 ID:/6U1Hf910
しえ
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:08:09.22 ID:kD2L8MbN0
DQN3「うわっ!うわぁぁぁぁぁぁああっ!!」

DQN2「な、なんだ!?どうしたっ!?何が入ってたんだべ!?」

DQN3「う、腕がっ!!人間のっ!人の腕がぁ〜〜!!ひぃぃぃ〜〜っ!!」

DQN1、2「「ひ、人の腕ぇ??」」

腰を抜かすDQN3の横からDQN1、2の二人がカバンの中身を覗きこんだ。
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:10:14.82 ID:kD2L8MbN0
DQN1「……このボケェッ!こりゃニセモンだっ!義手だっ!良く出来ちゃいるがモノホンの腕じゃねーよっ!!ビビらせやがって!」

DQN3「え…ニセモノ?……マジ??」

DQN2「DQN1くぅん…この腕の中身…鉄だわ!ちょーおもてーっ間接も本物みてーに動くしスゲーよコレ…でもコレって金になんのかなぁ?」

DQN1「…わかんねぇ……行くトコ行けば金になっかもしんねえけど…ぶっちゃけメンドくさそーだなぁ」

聡「…あの……」

DQN1「まぁ高く売れそーなトコしらみつぶしに当たってみっかぁ…二束三文にはなるだろ?」

聡「あのっ!」
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:12:31.55 ID:kD2L8MbN0
DQN達「「あぁっ!?」」グル

聡「ひっ!」

割って入ろうとする聡に対し鉄の腕に熱中していたDQN達はグルリと聡に顔を向けた。

DQN1「……なんだよ聡ぃ?分け前か?二束三文でも分け前はキッチリやる!心配すんなっ」

聡「いや、DQN1君…そうじゃなくって…約束……したよね?」

DQN1「約束ぅ?」

聡「盗みはコレで最後だってっ!あとカバンは持ち主に返すって!!」
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:14:26.55 ID:kD2L8MbN0
DQN1「約束…約束ねぇ…あぁっ!そうだ約束だよっ!!でな聡っ!おめーによ!も一回やってもらいたい事があんだよっ?」

聡「…いやっ俺の話聞いてた!?約束だろっ?これで最後だろ!?」

DQN1「ん〜、あぁ、聞いてたぜ、約束だろ?俺は約束は守る。だが『これ』で最後って約束じゃあなかっただろぉ…え?聡ぃ…」

聡「え?」
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:16:31.04 ID:kD2L8MbN0
DQN1「俺は『今日』で最後って言ったんだぜぇ?まだ『今日』は終わっちゃいねぇ〜〜〜っ」

聡「そ、そんな……」

DQN1「それをお前があと一回やりゃ終わりって勘違いしただけだっ勘違いしたのはおめーの勝手だっ!そんなもん俺の知ったこっちゃねえ!」

聡「そんな…そんなの…っそんなのタダの言葉遊びじゃないかっ!?…俺は本当にこれで最後だって思って…っ」グス
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:18:17.53 ID:kD2L8MbN0
DQN1「落ちつけ聡…そもそも今からおめーにやってもらおーと思ってた事は盗みじゃねえんだ。だから何も問題はねぇ」

聡「…ぬ、盗みじゃないって……なんだよっ?」グス

DQN1「それはな………ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ」

聡「…っ!!」

DQN1が聡に耳打ちをする。
その内容を聡が聞いた時、全身に旋律が走った。
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:19:14.97 ID:Yhjv/HLy0
しえーん
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:20:21.81 ID:kD2L8MbN0
聡「よ……よく…聞こえなかった…な…も、もう…1回…」フルフル

全身を震わせながら聡は口を動かす。
聞こえなかったワケではない、ただ囁かれた内容が信じられなかった。
もう一度DQN1にリピートして、もしまた同じ内容をこの男が喋ったら自分はこいつを殺してしまうかもしれない。
そんな衝動に駆られ全身の震えを押さえつけながら聡は目の前のDQN1を睨んだ。

DQN1「あ?しょうがねえなぁ〜〜〜っじゃあもっとデッケー声で言ってやんよっ!」

聡「……っ」フルフルフル
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:24:00.07 ID:kD2L8MbN0
DQN1「田井中律の写真をっ!映像をっ!撮ってこいっつってんだよっ!!寝起きから始まって着替えの姿っ!メシ食ってる姿っ!シャワーシーンっ!入浴シーンは言うまでもねえっ!
ヘアヌードっ!セミヌードっ!!ちゃんと2種類分けるよーに撮れよっ!!トイレにゃ盗撮カメラと盗聴器をしっかりセッティングしとけっ!生理中の排卵シーンなんざマニアックなヤツに高く売れるからなぁっ!
それとあの女の部屋にゃ四方八方全部の角度で撮れるようにカメラをセッティングしとけっ!男をたらし込んだ時にちゃんと撮れるようにだっ!!部屋ん中は暗くするだろーからカメラの明度は高くしとけよ!?
あの女がケツとアソコにブチ込まれてよがる姿をバッチリ撮ってやんだっ!一日中ヤりまくる変態かもしれねーから電池には充分気を付けとけっ!!
あぁっおめーが姉キと出歩く時は靴の中にカメラを仕込んどけよなっ!パンチラショットとかソフトなヤツも必要だからなっ!!」

聡「………〜〜っ!!」ギリッフルフルフルフルッ

己が身を斬られるより耐えがたい姉の侮辱に対して聡は今にも爆発しそうだった。
全身が小刻みに震えギリギリと歯を鳴らし思いきり噛みしめている下唇から血が垂れ落ちる。
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:27:28.29 ID:kD2L8MbN0
DQN1「ヒヒッあの田井中律のプライベートショットだぁ…こぞって高値で売れるぜぇ…ヒヒャッ」

聡「……(こいつっこいツっこイつっこイツっコイツゥーッッ!!)」ギリギリッフルフルフルフルフルッ

DQN1「あぁ、あとこのカバンも売っぱらうからな?義手なんかよりゃ捌きやすそーだっ」

聡「……………っな」ボソ

DQN1「お前の分け前も増えるんだっ嬉しいだろ?聡ぃ」

聡「…っけんなっ」

DQN1「あ?」
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:29:31.89 ID:kD2L8MbN0
聡「っふざっけんなぁアアあぁァっーーーーーーっッ!!!!」

ついに爆発し激昂した聡がDQN1に殴りかかった。

DQN3「ひぃっ」ビクゥ

DQN2「うお…っ!こいつキレやがったべっ」

聡「っふざけんなっ!フザけんなぁっ!フザッッけんなぁーーーーっ!!!!!」

ポコッポコッ
DQN1「イデ!イデデッ」

感情を丸出しにした聡はDQN1に掴みかかり何度もその顔を殴りつける
しかし元々非力な聡のそれは加えて身長差のあるDQN1に対して怒りを買う以外然程の効果もなかった。
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 02:58:28.88 ID:vHVxrbMm0
落ちたと思ったらこっちか。乙
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:00:29.91 ID:kD2L8MbN0
DQN1「こ、くぉのガキがぁぁーーーーっ!!!」バシィ

聡「あぎゃっ」

DQN1の裏拳一発で聡は形勢を逆転され地面に倒される。

DQN1「聡ぃ…てめえ……いま自分が誰に対して何をやったか分かってんのかぁ?」

聡「…ぅ…っ」

地面に倒れたままの聡に対し見下ろしながらDQN1が吐き捨てる。
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:02:09.39 ID:kD2L8MbN0
DQN1「友達のいねえおめえによぉ…最初に声をかけてやったのは誰だぁっ!?」

ドゴォ

聡「っうげ……っ」

倒れている聡にDQN1は容赦なく蹴りを浴びせる。

DQN1「仲間にしてやってよぉ…てめえに居場所をくれてやったのは誰だぁっっ!!?」

ボゴォ

聡「っっあぐっ…ぁ」
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:04:09.29 ID:kD2L8MbN0
続けざまに足を振り上げ先ほどと同じ箇所に蹴りをクリーンヒットさせる

DQN1「一人でシコシコ自分を慰める事しかできねえオナニー野郎によぉっ!今まで目をかけてやったのはどこの誰だぁっ!?」

ドゴォ
ドゴォッ
ボグォッ
バゴォッ

聡「あがっぐぁっげぼっぎぃっ!」

執拗なDQN1の蹴りの連打に聡は悶絶する。
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:06:23.38 ID:kD2L8MbN0
DQN2「ヤ、ヤベぇ!DQN1君もマジギレしちまったっ!」

DQN3「アワワワワワワワワッ」ガタガタガタッ

DQN1「あぁっ!?誰なんだよっ!?言ってみろぉーーーーっっ!?あぁーっ!?」

バキィッ!!

DQN1は最後に聡の顔面を思い切り踏みつけ辺りに鈍い音が響いた。
それきり聡は動かなくなり、辺りに静寂が訪れる。
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:08:17.18 ID:kD2L8MbN0
DQN1「っ……はぁっ!はぁっ!はぁっ!」

DQN2「お、おい…今の音やべえんじゃねえか……?」

DQN3「ど、どうすんだよぉ……やばいよぉ」ガタガタッ

DQN1「心配すんな…死んじゃいねえよっ!」

DQN2「で、でもよぉ…聡をこんなにしちまって……姉キの方が黙っちゃいないんじゃ?」

DQN3「そ、そうだよぉ…俺襲うのは好きだけど、襲われるのはやだよぉっ」
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:10:14.66 ID:kD2L8MbN0
DQN1「……こうなったらしょうがねえな」

DQN2「なんかあんのか?」

DQN1「最初はよぉ…こいつ(聡)に写真やら何やら撮らせて、それをネタに脅すつもりだったんだがよぉ…それが効かなかった時の最終手段だったんだがよぉ……」

DQN2「…DQN1君、まさか……」

DQN3「え?え?」
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:12:47.65 ID:kD2L8MbN0
DQN1「ああ…こいつ(聡)使って脅すっ!」

DQN3「ええっ!?」

DQN2「で、でも大丈夫なのかよっ!?こいつ(聡)つい最近も攫われたばっかで、その時も姉キがすぐさま助け出したって聞くぜ?」

DQN3「そ、そうだよ!DQN1君っ!その時さらった相手は頭が木端微塵になって死んだって聞くよ!?」

DQN1「…その攫ったヤツってのは交渉が目的だったらしい、交渉が目的だから誘拐した聡を姉キの目の前に晒した」

DQN2「あ、あぁ…」
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:14:50.48 ID:kD2L8MbN0
DQN1「俺達の目的は交渉じゃねえ!一方的に言う事を聞かせる事だっ!」

DQN2「……」ゴクリ

DQN3「……」ブルブルガタガタッ

DQN1「『無事に返して欲しかったら言う事を聞け』じゃねえ!『五体満足でいさせたかったら言う事を聞け』だっ!!だから問題ねえっ!問題ねえんだよっ!!」

DQN2「そ、それは…いくらなんでもやりすぎじゃ……?」

DQN1「あぁっ!?」ビキビキィ

DQN3「ひぃっ!!(目が血走ってる〜〜〜っ)」ガタブルッ

DQN2「…い、いや……なんでも…(ヤベエ、DQN1君にはもうついていけねえかも)」
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:16:20.66 ID:kD2L8MbN0
聡「ぅ…ぁ…」

DQN達「「!!」」

短い失神から聡が目を覚ます。
予想外に早く起き上った聡にDQN達は視線を集中させた。

DQN1「よぉ聡ぃ…お目覚めかい」

聡「か…感謝…して…る……」フラフラ

DQN1「あ?」
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:18:44.56 ID:kD2L8MbN0
聡「感謝…してるよ…あんたたちには…友達のいない俺に…声かけてくれて…あの時は…本当に……嬉しかったんだっ」

DQN1「…」

DQN2「(さ、聡……っ)」

聡「仲間になろうって…言われた時も…本当に…嬉しかったっ…その事には今だって感謝してるっ!」

DQN1「…つまりぃ…おめーはこれからも一生俺達とツルんでいくって事だな?」
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:30:08.76 ID:R7wG9WXMP
紫煙
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:31:32.50 ID:7jqzhQX60
  Cl
  │
Cl-C-Cl
  │
  Cl
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 03:52:31.81 ID:0r2s8ZuA0
しえん
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:00:50.84 ID:kD2L8MbN0
聡「違うっ!俺が…っ俺がバカだったんだっ!俺…あんたたちの仲間になってから楽しい事なんて一つもなかったっ!」

DQN1「……」ホジホジ

聡が今までの心の内を独白し始める。
それに対しDQN1は耳をほじりながら聞いていた。

DQN2「……(ちゃんと聞けよアンタ…)」

聡「でも、それでも…みんな喜んでたから…盗みとか本当に嫌で嫌でしょうがなかったけど…それでも皆喜んでたから…だから仲間のためなら俺一人嫌な思いするぐらい我慢しようってっ」

DQN1「……ふぁ〜〜ネム…」

DQN2「…(だからアンタっ!)」
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:02:39.73 ID:kD2L8MbN0
聡「でもそれが間違いだったんだっ!俺が嫌だって事はそれはつまり間違ってると思ってたって事なんだっ!仲間なら間違ってるって思った事は正さなきゃいけないのにっ!俺はあんた達の顔色ばかり見て調子を合わせてるだけだったっ!」

DQN1「……アー…」ホジホジ

DQN2「…(聡…お前そこまで…っ!)」

聡「だから俺はこのグループから抜けるっ!あんた達とはもう行動しないっ!行動したくないっ!行動する資格もないっ!!」

DQN2「…ねぇ…DQN1君…聡もここまで言ってんだからさ…もう勘弁してやってもいいんじゃ……?」

DQN1「聡ぃ!!」

DQM2「……(シカトかよっ!)」
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:04:15.82 ID:kD2L8MbN0
DQN1「おめーはゴチャゴチャゴチャゴチャめんどくせ〜ヤツだなぁぁ〜!オイッ!!」

聡「…」キッ

DQN1が聡に向けて言葉混じりに威圧する。
しかし聡は以前のようにそれには動じない、逆にDQN1の眼光を強く睨み返した。

DQN1「行動したくないだの!資格だの!んなもんどーでもいいんだよっ!お前は俺達と一緒に来るしかないのっ!これはもう決まった事なんだよっ!」

聡「イヤだっ!」

DQN1「イヤだも糞もねーよっ!オラッ聞こえてたんだろっ!?さっさと姉キの写真と映像撮ってこい!そしたらさっき言ってた最終手段はとりあえず無しにしてやるっ!!」

聡「イヤだっ!俺はもう決めたんだっ!もうあんた達とは行動しないっ!自分の意思で自分のやる事を決めるっ!だから…だからっ!」ダダダッ

DQN1「あ?」
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:06:05.86 ID:kD2L8MbN0
聡がDQN1に向かっていく。
いや、向かっていったのではない、聡はDQN1を通り過ぎ、その後方にあるカバンをかすめ取っていった。

聡「だからこのカバンもあの人に返すっ!!姉ちゃんの写真なんかも撮ったりしないっ!!もうあんた達とはこれっきりだぁっ!!!」

DQN1「聡ぃぃ〜〜〜〜っテメェェェ〜〜〜っっ裏切る気かぁっッ!?!?」ビキビキビキビキィ

DQN2「…(今更アンタがそれを言うんかいっ)」

聡「俺は…俺はもう悪い事したくないんだっ!自分の意思で行動したいだけなんだっ!そんな俺に裏切り者ってなんだよぉっ!?」

断固として頑な態度を見せる聡。
それに対しDQN1は一変して諦めガチな態度を見せ始める。

DQN1「…はぁ……もーいい…もーいいよ…分かったよ…聡ぃ……」
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:08:09.86 ID:kD2L8MbN0
聡「DQN1君………」

そんなDQN1を見て説得が通じたかと思い聡はホっとする。
のも束の間。

DQN1「ぶっ殺してやるっ」キラッ

そう言ってDQN1は懐からナイフを取り出した。

聡「……うっ」

DQN2「…っ!(やべえ、逃げろ聡ぃっ!)」

その時、沈みこもうとしている夕日をバックに聡の横から一つの人影が現れた。

和「ねえ…カバンを返して貰いたいのだけれど?」
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:13:24.63 ID:kD2L8MbN0
投下完了
途中2回ほど規制食らった。支援してくれた人あざっす!
まだ書き溜めは全然あるんだけど、眠気がそろそろ…次投下したらすんませんが寝かせて下さい。

>>48
すまん、ムギはまだ先なんだ、ってかまだ書いてすらいないんす、
おおよそは考えてるんだけど…とりあえずりっちゃん編がまだまだ続きます。
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:25:29.78 ID:/6U1Hf910
C
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 04:49:13.90 ID:kD2L8MbN0
すんません、もっかい投下するって言ったんですがやっぱ今日はもう寝ます。
0時前後にはまた続きを大量に投下するので、保守にご協力して頂ければありがたいっす。
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 05:02:25.44 ID:4BtjhaD80
支援
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 07:26:23.08 ID:kD2L8MbN0
ほしゅ
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 07:46:26.10 ID:kD2L8MbN0
保守、仕事いってきま
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 07:47:19.38 ID:NrOI0Pxp0
おちんちんサイボーグは怒っています!!


     ,イ
     / |
  ,r、λノ ゙i,、ノゝ
 ゙l       ゙、_
.j´ ヽ('υ`)ノ  (
{   (  )  /
`)   ノω|  ,l~
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 07:50:05.18 ID:69KgkrVjP
のくす牧場って人の手じゃなくて自動でまとめてるやつだろ?
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 08:29:45.45 ID:c85fOROp0
面白い
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 09:09:41.87 ID:c85fOROp0
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 09:13:42.49 ID:8EyqDkbG0
>>130
原作とその原作も面白いよ
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 09:58:09.94 ID:fXlA7TJ9O
>>132
読んでみるわ
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 10:26:19.50 ID:5EtOd4xW0
保守
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 11:12:13.88 ID:5EtOd4xW0
保守
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 11:59:23.13 ID:5EtOd4xW0
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 12:36:50.35 ID:Qa4L85mj0
保守
138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 13:01:06.39 ID:Qa4L85mj0
保守
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 13:32:12.62 ID:5EtOd4xW0
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:03:16.26 ID:5EtOd4xW0
ほっしゅ
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:45:08.26 ID:oWDOFLyv0
ほしゅ
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:50:21.70 ID:e6whHV7E0
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:50:43.57 ID:Yhjv/HLy0
ほすう
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 15:26:38.06 ID:5EtOd4xW0
145!omikuji:2010/08/02(月) 15:47:15.95 ID:93OCJJJYP
まだ残ってんのか

              保守
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 16:12:01.53 ID:5EtOd4xW0
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 16:48:48.92 ID:5EtOd4xW0
ほす
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 17:13:20.51 ID:4BtjhaD80
ほす
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 17:32:34.46 ID:Ltzp4rl20
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 18:00:10.52 ID:5EtOd4xW0
ほー
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 18:01:52.58 ID:vHVxrbMm0
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 18:32:18.12 ID:5EtOd4xW0
ほっほ
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 18:54:47.39 ID:R9e9oWAv0
ムギはないのか

りっちゃん編面白いから問題ない保守
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 19:21:47.63 ID:5EtOd4xW0
ほしゅ〜
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 19:21:51.84 ID:XJPeSOUN0
ほう
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 19:45:29.39 ID:oWDOFLyv0
憂の出番に期待ほしゅ
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 20:04:52.15 ID:zNh6D3qf0
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 20:15:02.23 ID:5EtOd4xW0
ほしゅ
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 20:20:20.06 ID:wd6232hH0
これって博士のところからの続き?
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:16:06.86 ID:PztYTb//P
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:33:01.06 ID:kD2L8MbN0
保守
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:44:11.41 ID:kD2L8MbN0
――

DQN1「あ…?なんだてめえはっ?」

突如、現れた来訪者にDQN1は手に持ったナイフを向け威嚇し質問する。

DQN2「…DQN1君……ほら、カバンの持ち主だよ?(もう忘れてんのかよっ)」

DQN1「あー!」

思い出し、なるほど!と言った感じでDQN1はポンッと手を叩いた。
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:45:36.13 ID:/6U1Hf910
うむ
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:45:44.09 ID:c85fOROp0
おかえりー
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:46:05.57 ID:kD2L8MbN0
和「……はぁ」

それを見て和は相手をするのも面倒そうだという感じでため息をつく。
事実そう思っていた。

聡「…あ、あの……」

おずおずと聡は手に持ったカバンを和に手渡そうとする。

和「…最初から聞いていたワケじゃないけれど……なんとなく事情は分かったわ」ヒョイ

聡から差し出されたカバンを和は遠慮なく受け取った。

和「まぁ私はカバンさえ取り戻せればそれでいいし」スタスタ

そしてそのカバンをブラ下げ和はその場をさっさと立ち去っていく。
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:47:52.46 ID:kD2L8MbN0
DQN1「待てやコラァッ!?」

和「…」

―前に、背後からDQN1が威圧的に和を引き留めた。

DQN1「てめえ…っこのクソアマっ!あんな意味ありげに登場しておきながら、さっさと帰ろうってか?舐めんじゃねえぞ!!」

和「……程ほどにしといた方がいいと思うけど?」

振り向きざま和はDQN1に答える。

DQN1「あ?」

和「……火遊びも過ぎると大火傷をするって事、特にあなたみたいな…三下もいい所のような人間はね」
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:49:39.79 ID:kD2L8MbN0
DQN1「…っ…舐めやがってっ!このクサレアマ…っ!っつーかテメエがここに来たって事は……あのオヤジっ!ゲロりやがったのかぁ!?」

和「ええ、素直な良いオヤジさんだったわ」

DQN1「クソがぁっ!もうあの店は使えねえっ!こうなったらトコトン落とし前つけてやるぜっ!おい!DQN3っ!!」

DQN3「う?」

DQN2「…(そういえば、こいつ居たっけ)」

DQN1「あの女をやっちまえっ!!」
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:51:07.25 ID:kD2L8MbN0
DQN3「おうっ!!」ズイッ

DQN1に呼び出されDQN3はその大きな巨体を震わせ前に出た。

DQN1「ただしなるべく傷はつけるなよ?知名度はねーしムカつくが田井中律に負けず劣らずの上物素材だからなぁ!丁寧にいたぶってやれ!」

DQN3「おうっ!……ねぇDQN1君?」クルッ

DQN1「あ?」

DQN3「なるべくって…どれぐらいまでやっていいの?傷がつかなかったら、それはつまりヤっちゃっても良いって事?」
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:52:38.94 ID:/6U1Hf910
しえ
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:53:03.53 ID:kD2L8MbN0
DQN1「あ、あー……とりあえず目立つ傷が付きさえしなけりゃ何してもいいっ!!お前の好きにしちまえっ!!」

DQN3「マジっ!?グフフッ!好きにしていいんだぁ〜〜っグフッグフフフッ」ドスドスドスッ

お許しの言葉を貰ったDQN3は和に向き直り地響きを鳴らすような足音で突進していった。
その口元からは涎がこれでもかという程に溢れている。

和「…はぁ…あなた達……一度保育園からやり直す事をお勧めするわ。情操教育からやり直した方がいいわね」

二度目の溜め息を付きながら和は突進してくるDQN3に対し右腕を一本、前に突き出し構えた。
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:55:08.91 ID:kD2L8MbN0
DQN1「ばぁかがぁっ!DQN3の突進を女の細腕一本で止めようってのかぁ!?」

DQN3「グフッグフフフフッグフフフッ!!」ドスドスドスドスドスッ

足音に勢いをつけDQN3が和へ突撃してくる。

和「……」

ドォン!

和の3倍はあろうかというその巨体が備える腹と和の右腕がついに衝突を迎えた。
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:57:00.52 ID:kD2L8MbN0
DQN1「そのまま押し倒されぇ!押し潰されちまえぇーっ!!」

しかしその巨体は差し出された右手以上、前に出ることは無かった。

DQN1「…は?」

DQN3「あ、あれ?あれっ?」グッグッ

突進の勢いが完全に失われたDQN3はなおも自力で前に進もうとする。
しかし動かない動けない、まるで固定された杭に対して無駄な圧力を掛けにいくような感触だった。
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 21:59:15.72 ID:kD2L8MbN0
和「……」ムンズ

和はDQN3の前進を喰いとめている右手でその腹の肉を掴む。

DQN3「いでっ!お、俺の腹がっ!俺の肉がぁぁ〜〜〜っ!いでえっ!いでえええええよぉぉぉ〜〜〜っ!!」

和「…別に引き千切ったりしないから安心なさい」

そして和は肉を掴んだままDQN3の巨体をリフトのように、その右腕一本で持ち上げる。

DQN1「な、なんだぁ…?」

DQN2「…マジかよっ!!」

聡「す、すっげ〜〜〜っ」
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:01:02.15 ID:kD2L8MbN0
DQN3「ア、アワワアワワワワッ!」ガクガクブルブルッ

その体を丸ごと、右腕一本で持ち上げられたDQN3はうろたえる事しかできない。

和「……」ブンッ

そして和は持ち上げた右腕を一気に地面まで急降下させた。

ドォンッ!

DQN3「ひでぶっ!」
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:02:30.98 ID:kD2L8MbN0
激突した地面からDQN3を中心に土煙りが巻き起こる。
和の右腕により、その巨体の全身余すとこなく地面に叩きつけられたDQN3は気を失った。

DQN1「…………」

DQN2「…………」

和「…………」

DQN1「………DQN2ーッーーッッ!!」

DQN2「え!?俺?」
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:05:12.28 ID:kD2L8MbN0
リーダーからご指名を受けたDQN2が和を観察する。
見た目は普通の女にしか見えない、正直な所DQN2の好みのタイプでもある。
しかしその女の足元にはDQN3の巨体が転がっている。
見た目がいくら可愛くても、あの女がDQN3を一瞬でぶっ飛ばした事実は動かない。

DQN2「…っ!!(あんなバケモン女と戦うなんてジョーダンじゃねえぞっ!?)」
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:07:07.38 ID:kD2L8MbN0
そう思いDQN2がちらり振り返ると、
危ない笑みを浮かべ手に持ったナイフをちらつかせている我らのリーダーがいた。
DQN2を見つつアゴで和をクイクイっと指している。
無言の『お前行け』のサイン

DQN2「………くっ…(かといって尻尾巻けばDQN1君にブッ殺されちまう…比喩じゃなくマジでっ!)」
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:07:12.29 ID:zNh6D3qf0
C
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:08:26.04 ID:kD2L8MbN0
和「……どうしたの…来るの?来ないの?」

DQN2「…チィ!こうなりゃ仕方ねえか」キラッ

舌打ちをしつつDQN2が懐からバタフライナイフを取り出し構えた。
構えたままジリジリと和との距離を詰める。

DQN2「……(ヒカリモン振り回しゃさすがに腰が引けるだろ?)」

巧みな手捌きでDQN2はナイフを振り回し始める。
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:10:13.02 ID:kD2L8MbN0
DQN2「シュッシュッシュッシュッシュ」ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンッ

バタフライナイフが風切り音を唸らせる。

DQN2「シュッシュッシュッシュ(…俺はその隙にとんずらさせてもらうぜ!DQN1君ともこれっきりだっ!)」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ

そしてそのまま和へ向けDQN2は走った。

和「……」

ナイフを振りまわし和が一瞬怯んだ隙をついて、そのまま逃げ出す。
そのDQN2の目論見は見事にアテが外れた。
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:11:50.98 ID:kD2L8MbN0
和「…」スゥ

和はナイフを振り回しながら走ってくるDQN2に対し怯むどころか逆にその左手を前に差し出す。

DQN2「…シュッシュっ!?ちょっバカっ!!(なんで腕を前に出してくるんだよっ!?)」

勢いのついた刃はもう止められない。
このまま刃が進めば確実に動脈を超え神経まで斬る勢いがついていた。
運が悪ければそのまま腕部切断である。
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:13:08.50 ID:kD2L8MbN0
ガッ

しかしDQN2の予測とは違う結果がそこにあった。
肉の奥深くまで食い込む筈の刃は皮膚をわずかに裂くだけにとどまっている。
その刃は和の左腕によって浅く喰い込ませられていた。

DQN2「…っ!(こ、この感触…っ!まるで鉄にでも刃を当てたみてーなっ!?)」。

和「……」

皮膚を僅かに裂いただけの刃を引き抜こうとDQN2は力を込める。
しかし刃はビクともしない。
押しても進まず引いても戻らず、まるで金属に挟まれ固定されているかのようだった。
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:14:53.68 ID:kD2L8MbN0
DQN1「ザックリやっちまえよぉ〜〜〜〜っ!」

DQN2「ザックリささらねえんだよぉっ!」グッグッ

和「…」ゴスッ

ナイフの押し引き作業に夢中になっているDQN2のアゴに向け和は右腕で軽い裏拳を放つ。

DQN2「あごっ!」ドサリ

DQN1「!!」

失神したDQN2はDQN3と共に和の足元に転がった。
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:16:03.63 ID:kD2L8MbN0
和「……もう気は済んだかしら?」

和は目の前のDQN1を見据える。

DQN1「ふ…っふフ…フヒッ!いやぁ〜〜〜!まさかDQN2とDQN3がぶっ倒されちまうたぁな……さすがに予想してなかったぜ!」

聡「DQN1君……もういいだろ?ツケが回ってきたんだよ。悪い事してたバチが当たったんだ」

DQN1「あ?」

聡「だからもうこれからは…」
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:53:30.12 ID:37EvMncq0
支援
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 23:00:40.73 ID:kD2L8MbN0
DQN1「聡ぃ〜っ!おめっ随分偉くなったもんだなぁ!?ツケが回ってきただぁっ!?バチが当たっただぁっ!?」

聡「……」

DQN1「実行犯だったおめえがよぉ!よく言うぜ!?そんならおめえもそれ相応の報いってやつぁ受けなきゃなんねーんじゃねえのかぁ!?」

聡「そうだ…そうだよ…俺が一番酷い事やってきたんだ…だから俺は…今まであんた達とやってきた事…全部警察に言うよ」

DQN1「バーカッ!盗ってきたモンは全部俺が売っぱらってんだっ俺しか知らねえルートでなっ!現品がねえのに今の警察がまともに相手すっかよっ!?殺しですらまともに対応できねえ今の警察がよぉ」

聡「…でも…悪い事やってきた罪は…ちゃんと償わないと…」
187 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:02:03.21 ID:kD2L8MbN0
DQN1「あぁ〜そうだなぁ…だからよぉ…今から俺がその償いってやつをさせてやるぜ聡ぃ……オイッバケモン女ぁっ!?」

おもむろに視線を切り替えDQN1は聡の横にいる和を睨んだ。

和「…なに?」

DQN1「俺がよぉ…なんでここを溜まり場にしてると思う?こんなうす汚ねえ建設現場でよぉ…かっぱらってきたモンの品定めをしてると思う?」

和「…人目に付きにくいからでしょ?あとは…あなたみたいなクズは薄汚れた場所を好む、ぐらいしか思いつかないわ」

DQN1「ヒヒッ言ってくれるねぇ…『人目につきにくい』確かにそれもあるっ」

そう言ってDQN1は一歩一歩後ずさる。
DQN1の後方には一台のクレーン車があった。
188 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:03:31.18 ID:kD2L8MbN0
DQN1「だがなぁ一番の理由はテメエみてえなバカがしゃしゃり出てきた時にいつでも対応できるようにだっ!」

クレーン車の傍まで寄ったDQN1はその運転席に片腕を伸ばす。

DQN1「償いをさせてやるぜ聡ぃ……つまりこういう事だァーーーッッ!!」

ガチャン

クレーン車の運転席から操作音が鳴る。
その一瞬後、和たちの真上、クレーン車が吊るしてある建材用の巨大ブロックが落ちてきた。

和「…っ!?」

聡「う、うわっ!わぁぁああぁーーっ!」
189 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:04:57.45 ID:kD2L8MbN0
ドドォン
ズシィン

巨大な質量のブロックが落下した衝撃で辺りに派手な土煙が巻き起こる。

DQN1「ヒヒッグヒヒッ!見たかぁーっ!下敷きだぁー!生き埋めだぁー!ペシャンコだぁーっ!!」

クレーン車を操作して巨大ブロックを落下させたDQN1
和と聡、その傍で倒れていた仲間である筈のDQN2、3もまとめてブロックの下敷きになったにも関わらず彼は歓喜の雄叫びを上げた。
190 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:07:12.72 ID:kD2L8MbN0
DQN1「ヒヒッヒヒャッ!グチャグチャになっちまっただろうがよぉーっまぁしょうがねえかぁ…もったいなかったがよぉ」

本来、生け捕りにする予定だった和に対しての言葉だった。
他に下敷きになった仲間の事などDQN1は気にも留めない。

ギギィ
ギギギギギギィ

たった今落下させたブロックからDQN1は金属が擦れるような重い音を聞いた。

DQN1「ん?」
191 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:08:37.56 ID:kD2L8MbN0
見ると巨大ブロックが上方にゆっくり競り上がっていた。
その下の土煙、段々と薄れてきたそこから巨大ブロックを支える人間のシルエットが浮かびあがる。

和「…」ギギ ギギギィ

DQN1「ブッ!!」

土煙が完全に晴れたそこからは巨大ブロックを両腕で支える和の姿があった。
金属が擦れるような重い音はその両腕が巨大ブロックを競り上げる度、響いてくる。
192 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:10:00.30 ID:kD2L8MbN0
和「…」ブンッ

ドシャァ

そして持ち上げていた巨大ブロックを和はその両腕で放り捨てた。

DQN1「……」ポカーン

DQN1が目の前の光景に呆けている中、
和は足元で気絶している聡の安否を確認する。

和「……(傷はない…気を失っただけみたい…他の二人も…まぁ無事ね)」
193 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:11:15.49 ID:kD2L8MbN0
DQN1「……」ソロ〜

和が足元で気絶している3人の状態を確認している中、
DQN1はそろり足を動かし気づかれないようゆっくりとその場から離れようとしていた。

和「待ちなさい」

DQN1「ハ、ハイィィッ!!」ビクゥッ

和「……まさかこの期に及んでタダで帰ろうだなんて思ってないわよね?」

和は一人逃げ出そうとするDQN1を呼びとめ目の前まで歩み寄る。
194 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:13:02.17 ID:kD2L8MbN0
DQN1「あ…いや…えっと、そのぉ〜……エヘッエヘヘッ」

目の前の和の詰問に対してDQN1は苦笑いを浮かべごまかそうとする。

和「……」ガシィ

DQN1「ウガッ!」

そんなDQN1に対し、おもむろに首根っこを右手で掴んだ和は質問を変えた。
195 ◆XWfZDDttsM :2010/08/02(月) 23:14:53.90 ID:kD2L8MbN0
和「…本当はここに居る全員に聞いておきたかったんだけど、あなた以外寝ちゃってるし今の内に聞いておくわ」

DQN1「ウ、ウガッ!ウガガッ…く、くるぴぃ…(い、今のうち??)」

左手で懐から一枚の写真を取り出した和はDQN1の首根っこを掴んだままそれを見せる。
そしてその写真に写るカチューシャを付けた女を指差した。

和「…この近くに、この女がいるみたいなんだけど…あなた知ってる?」

DQN1「ウガッ…なんだよっ田井中律じゃねえか、こんな有名人誰でも知ってらぁ!」

和「どこにいるかを知ってる?って聞いてるんだけど…」ググ

右手に力を入れ和はDQN1の首根っこを更に強く掴む。
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 23:28:15.47 ID:37EvMncq0
支援
197 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:00:47.72 ID:PdS5hMVc0
DQN1「あが、あががががっ!し、知ってるっこんな事しなくても教える!教えますって!」

和「…」

それを聞いた和はDQN1が喋りやすくなるよう右手の力を緩めた。

DQN1「ゲホッ…すぐそこの裏通りにあるバーだよ!いつもそこを溜まり場にしてるっ」

和「そう…」
198 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:02:34.54 ID:PdS5hMVc0
和「そう…」

写真を懐にしまった和は最後にDQN1に声をかける。

和「…良い情報ね、お礼にこれで勘弁してあげる」ガンッ

首根っこを掴みながら和は手加減しつつも気持ち強めにDQN1の頭を傍にあるクレーン車に叩きつけた。

DQN1「ひ、ひでえ…」バタリ
199 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:04:18.48 ID:PdS5hMVc0
――

聡「……はっ!」

しばらくして気を失っていた聡は目を覚ました。

聡「…え…?あれ…?俺…どうして…?」

和「……」

巨大ブロックの下敷きになった筈なのに生きている。
自問自答を繰り返す聡の横には何も答えず座っている和が居た。
200 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:05:59.39 ID:PdS5hMVc0
聡「…そうだ……あいつらはっ?」

和「…目障りだったから川にでも捨ててきたわ」

聡「捨ててきたって……そ、そうだっ!あの…ありがとうっ!あの…俺……」

和「…目が覚めたのなら私はもう行くわ」スッ

そう言って和はカバンを手に持ち立ち上がった。
201 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:06:48.86 ID:PdS5hMVc0
和「…聡君……だったかしら?」

聡「は、はいっ」

和「…私も裏切り者よ……いいじゃない裏切り物で、自分に嘘をつくよりかはマシな生き方よ」

そして和は歩き、その場から去っていく。
その和の背中を見送る聡は、ありがとう、と何度も礼を述べていた。
202 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:09:56.54 ID:PdS5hMVc0
投下一区切り
規制中の支援ありがとです。保守してくれた人ありがとです。

>>156
憂さんはまだまだ出番待ちです。

>>159
続き。
博士のところから旅立つまでは長い回想シーンだったと思ってくださいす。
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 00:15:41.98 ID:OMbdNM5y0
支援
204 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:21:09.18 ID:PdS5hMVc0
――――

和「田井中律はどこ?」

裏通りにある寂れた昼間のバー。
そこの店主に問う和がいた。

マスター「……あんた誰だい?ファンの人には見えないねぇ」

和「……昔の友人よ。ここを溜まり場にしていると聞いたわ、あいつはどこにいるの?」

和の質問に対してマスターはいぶかしげな表情をしつつ重たそうに口を動かす。
205 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:22:35.94 ID:PdS5hMVc0
マスター「………りっちゃんは―」

バンド男1「律さんは今ここにはいないぜ!」

カウンター席で飲んでいた男の一人がマスターの言葉を遮るように声を出した。

マスター「お、おい!」

バンド男1「いいから、いいから、ここは俺達に任せとけってマスター」

バンド男2「律さんの友人が訪ねて来てくれたんだ、嬉しいねぇ」
206 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:23:37.47 ID:PdS5hMVc0
和「…貴方たちは……?」

バンド男1「俺達二人は律さんと同じバンドのメンバーだよ」

バンド男2「律さんに会いたいんだろ?ついてきてくれ、車で案内するからさ」

割って入った男二人に誘われるまま、和は外に駐車されていた車に乗せられる。
和の横にはバンド男1が腰を下ろし運転席に座ったバンド男2が車を走らせた。
207 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 00:25:06.53 ID:PdS5hMVc0
ブロロロロッ

バンド男2「ところで…何の用で律さんに会いたいんだ?わざわざ訪ねてきたんだ、何かあるんだろ?」

ハンドルを握りながらバンド男2は後部座席に座っている和に質問する。

和「……友人に会うのに理由が必要かしら?」

バンド男2「……」

バックミラー越しに、バンド男2は質問をかわす和を見る。
ミラーには口調そのままに面倒そうな表情をしている和が映っていた。
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 00:47:13.16 ID:OMbdNM5y0
支援
209 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:01:42.57 ID:PdS5hMVc0
バンド男2「…ここらでは見ない顔だなぁ…それにその大きなカバン…あんた旅行者?」

和「そんなところね」

バンド男1「いいトコっしょー?ちょっと治安は悪いけどメシは美味いし娯楽もある!来て良かったって思うだろ?」

和「ええ」

バンド男1「…その割には楽しんでるようには見えないなー。って思うのは俺の気のせい?」

和「気のせいね」
210 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:02:34.22 ID:PdS5hMVc0
バンド男1「ふーん…それにしても、でっけーカバンっすねぇ。それにこの黒塗りの高級感っ」サワサワ

横に置いてある黒塗りのカバンをバンド男1が不作法に触りだす。

和「…あまり触らないでもらえる?」

バンド男1「っと、すんませんっす、高級そうなもん見るとつい触っちまうタチなもんで…気を悪くしないでくれよ?律さんの『友人』さん」

和「……」

バンド男2「ついたぜ?」

キッ
211 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:03:49.77 ID:PdS5hMVc0
走っていた車が適当な路上で停められる。
着いた場所はまるで人の気配が無さそうな荒地だった。

バンド男2「こっちだ」

車から降りた男二人が更に人の気配が無さそうな場所へと歩いていく。
しばらくは黙ってついていった和だったが、案内人の不穏な空気を感じて口を挟んだ。

和「本当に…ここに律はいるの?」
212 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:04:57.46 ID:PdS5hMVc0
バンド男2「……最近、黒塗りのでかいカバンを持った女が律さんを探し歩いていると聞く…」

和「…」

バンド男2「その女はあの人を、殺す、とかほざいているらしい…その女」

和の前を歩いていたバンド男2が懐に手を入れ振り返る。

バンド男2「あんただろ?」チャキ

懐から出したそれは黒光りする拳銃だった。
その銃口は和へと向けられている。
213 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:06:09.69 ID:PdS5hMVc0
和「…律の命令?」

バンド男1「律さんは俺達にこんな事させたりしない」チャキ

相方に続くようにバンド男1も拳銃を構えていた。

バンド男1「あの人を守るのは俺達の意思だ」

男二人が引き金に指を掛け和を睨みつける。

和「……覚悟はあるの?」

バンド男2「丸越しで何をカッコつけてやがる、命乞いでもするべきだと思うがね」
214 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:07:14.14 ID:PdS5hMVc0
和「…素手で来るなら遊びのうちよ、刃物ならそれなりに対応してあげる」

ドサッ
和が手に持ったカバンを足元に置き、向けられた銃口に対し応える。

和「銃を弾くなら覚悟しなさい、私も死ぬ気はないっ」

バンド男2「……覚悟するのはてめえだぁっ!」パァン

降伏の姿勢を見せない和に対しバンド男2は容赦なく引き金を絞った。

キンッ

バンド男2「っ!?」
215 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:08:30.02 ID:PdS5hMVc0
弾丸が和を貫通する事はなかった。
鉄板に撃ち込んだような音が鳴り弾丸は軌道を曲げあらぬ方向に飛んで行く。
金属音を響かせ弾丸を弾いたそれは和の腕だった。

下半身をカバンで隠し、上半身を両腕で包み、和は向けられた銃口から自身を覆い隠す。

バンド男2「おぉぉぉぉおおぉっ!!」パンパンパンパァンパンパンパンパァンッ

叫びながらバンド男2は次々と発砲音を響かせる。
生身にしか見えない腕によって弾丸が弾かれた。
あまつさえ弾丸を弾いたその女は意味不明の腕と足元のカバンで全身を覆いつつジリジリと近づいてくる。
バンド男2はその事実に半ば混乱しながら和に対し銃を乱射した。
216 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:10:13.87 ID:PdS5hMVc0
キンキンキンカァンキンキィンッ
和「……」ジリ ジリ

しかし乱射された弾丸は、その腕によって、そのカバンによって、全てが弾き返され和を貫く事はなかった。

バンド男2「なんなんだっ…なんなんだよ!その腕はぁ!?」カチカチカチッ

撃ち尽くし弾倉が空になった銃の引き金を空しく引きながらバンド男2は和の腕に怯える。
無数の銃弾を弾き返した和の腕の皮膚はボロボロに剥がれ骨格が露出している。
そこからは大量に流れる筈の血は一滴も流れておらず、露出した骨は乳白色ではなく銀の光沢を帯びていた。

バンド男2が生身の腕だと思っていた、それは生身の腕ではなかった。
それは鉄製の腕だった。
217 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:11:05.68 ID:PdS5hMVc0
バンド男1「…鉄の…腕……」

和「っ!」バシィ

バンド男2「ひぃっ」ペタン

弾丸の嵐から解放された和は既に手が届く距離までバンド男2に近づいていた。
バンド男2は鉄の腕によって手に持った銃を払われ腰を抜かし、その場にへたり込む。

バンド男1「くっそぉ!」チャキ

今まで銃撃には参加せず横で見ているだけだったバンド男1が和に向け発砲しようとする。
と同時に和の鉄の腕がバンド男1の顔へ伸びた。
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 01:12:12.81 ID:E8KR13C7Q
しえ
219 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 01:12:13.99 ID:PdS5hMVc0
和「…っ」ガシィ

バンド男1「…あぐ…っ」

引き金を絞られるより早く、和はその鉄の腕でバンド男1の顔面を掴み制する。

バンド男1「な、舐めんじゃねえ…っ俺は…あの人を…律さんを守るんだよ…っ!この程度で…っ」

顔面を鉄の腕で掴まれたままバンド男1の足元は地面から浮き上がり宙ぶらりんにされる。
その状態からバンド男1はなおも銃口を和に向け、その引き金を絞ろうとするが、

和「……」

バンド男1「っ!!」
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 01:12:51.87 ID:5ikiOLA3O
しえ
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 01:19:48.63 ID:bLAlrp/A0
ずっと見てるぞ!

ほす
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 01:41:05.82 ID:ah8gXgPC0
保守
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 02:27:05.39 ID:OMbdNM5y0
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 03:02:14.57 ID:PEyOiA8E0
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 03:44:55.64 ID:OMbdNM5y0
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 04:07:00.44 ID:ah8gXgPC0
保守
227 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:22:54.99 ID:PdS5hMVc0
バンド男2「撃てぇ!撃っちまえぇ!!」

武器を失ったバンド男2が相棒に発破をかける。
しかしバンド男1が引き金を絞ることはなかった。
代わりに口を動かし和に語りかける。

バンド男1「……あの人は俺の…俺達の憧れだ…一人でどんな事だって切り抜ける強さ…ワイルドな生き様っ」

和「…」ミシィ

バンド男1「…ってめえなんかに律さんはやられねえ!殺させねえ!!俺の女神だあっ!!!」

鉄の腕で吊るされながらバンド男1は思いの丈をブチ捲けた。
それに対し和はバンド男1を更に天高く吊り上げ応える。
228 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:24:20.29 ID:PdS5hMVc0
和「その女神はねぇ…」ギリ ミシィ

掴んだ顔面から骨の軋む音を鳴らせ、和は吠えた。

和「私の先輩をォォォーーーーーーーっ!!」

激昂しながら和はバンド男1を掴んだ鉄の腕を地面に向け急降下させ、

バンド男1「っ!!」

ピタリッ
229 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:25:22.06 ID:PdS5hMVc0
バンド男1「くはっ」

あわや激突寸前、バンド男1の後頭部と地面がスレスレのところで、和はその動きを急停止させる。
鉄の腕の急制動により首の筋肉が吊りそうになるバンド男1に和はゆっくりと伝えた。

和「…帰って律に伝えなさい……真鍋和が殺しに来たって…!」

それだけを伝え和はその場を立ち去った。
後に残されたのは鉄の腕の驚異に晒されながらも結局は無傷で解放された男二人だった。
230 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:26:20.24 ID:PdS5hMVc0
バンド男2「……なんで撃たなかったんだよ?」

バンド男1「…銃は…あの女の腕が……」

そう言ってバンド男1は横にいる相方に『撃たなかった』銃を見せる。

バンド男2「っ!…マジかよ……」

バンド男1が見せた銃は、その銃身がひしゃげていた。
ひしゃげた銃身には五本の指の跡がクッキリとついており、握り潰されたような形をしていた。

バンド男1「何なんだ…あの腕はよぉ……」
231 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:27:10.73 ID:PdS5hMVc0
投下区切り
ごめ、規制解除待ってる間、居眠りこいちった。
232 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:40:04.16 ID:PdS5hMVc0
――――

聡「ねーちゃん!起きろーー!」

ある日の昼下がり、弟に叩き起こされ、田井中律の一日は始まった。

律「ん〜……ライブで疲れてるんだよぉ〜、もうちょっと寝かせてくれよ〜〜」

律は寝巻き姿のまま、もぞもぞと丸まり布団から出る事を拒否する。

聡「いま何時だと思ってんだよ?もう昼飯の時間も終っちゃうぞ!大体今日は……まぁ別にいいけどさ」
233 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:40:41.89 ID:PdS5hMVc0
律「ん〜〜〜……『大体今日は…』なんだよ?気になるなぁ」ニヤニヤ

寝ぼけ眼で布団から起き上った律は、ニヤけながら聡に問いただした。

聡「…別に……なんでもないよ!ほらっ起きたらさっさと顔洗って来いよ!メシ出来てるぞ!!」

律「……聡ぃ」ヒョイッ

律は布団から包装紙に包まれた物を掴み、おもむろに聡に投げ渡した。
234 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:41:29.84 ID:PdS5hMVc0
聡「なんだよコレ?」

律「開けてみな」

ビリビリ

聡は手渡された物に包まれた包装紙を破き中身を取り出す。

聡「こ、これ!俺が前から欲しかったゲームじゃん!!」

律「それっお前にやる」

聡「えぇ〜〜……」
235 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:42:22.31 ID:PdS5hMVc0
律「なんだよ、その反応…いらないってのかー!?」

聡「だって、また『代わりに一生アイス奢れ!』とか言うんじゃ…姉ちゃんだし」

律「お前なぁ……、あーあ!せっかく手書きのカードまで用意したのになぁ!あーあっ!」

聡「カード?」

聡がゲームを取り出した箱を見る。
中には一枚のカードが入っている、カードにはこう書かれていた。
236 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 04:43:18.44 ID:PdS5hMVc0
♪Happy Birthday to SATOSHI♪

聡「ね、姉ちゃん……」

律「ったくぅ、自分の誕生日だろぉ?ちょっとは勘づけよなー」

聡「だって姉ちゃん、いっつも忙しいし…俺の誕生日なんて絶対忘れてるって思ってたから…」

律「たった一人の弟の誕生日だぞっ、忘れるワケないだろ?」

聡「姉ちゃん…ありがとう…っ!」

律「おぅっそれとケーキも店に注文してあるんだ、メシ食ったら一緒に取りに行こうぜっ」

聡「うん!」
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 04:44:29.54 ID:OMbdNM5y0
支援
238 ◆XWfZDDttsM :2010/08/03(火) 05:00:07.35 ID:PdS5hMVc0
投下完了。
最後の最後でまた規制に巻き込まれ。
今日はとりあえずここまでで。。。寝ます!

支援、保守してくれてあざっした!
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 05:05:50.77 ID:D6pK1UPm0
おつほしゅ
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 05:52:44.12 ID:D6pK1UPm0
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 07:52:49.64 ID:M8TVpKsy0
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 09:05:18.49 ID:mOadFZzbP
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 10:02:11.08 ID:LpSPHZ5j0
ほしゅ
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 10:25:08.38 ID:Vui9Ze9V0
憂の出番があると聞いて
ほっしゅ
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 11:03:09.71 ID:5ikiOLA3O
246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 11:22:51.66 ID:exGTz01O0
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 11:39:19.17 ID:/swe1zdaP
保守間隔短すぎだアホ
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 12:15:16.08 ID:LpSPHZ5j0
ほしゅ
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 13:04:34.29 ID:LpSPHZ5j0
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 13:05:37.01 ID:ah8gXgPC0
保守
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 13:45:38.19 ID:LpSPHZ5j0
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 14:37:33.87 ID:LpSPHZ5j0
ほしゅ
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 14:40:56.08 ID:Zq+1g9UK0
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 14:42:33.24 ID:6QyA8M1Q0
ほっしゅ
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 14:43:29.23 ID:U1Sm8PRJ0
それじゃキャンペーンいってきます
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 15:18:55.53 ID:vFKGPlsNP
ほっす
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 15:41:30.22 ID:pmWk98Ni0
ほしゅ
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 16:19:06.47 ID:8LrQQ9S40
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 16:58:58.15 ID:LpSPHZ5j0
ほすん
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 17:03:40.18 ID:Zq+1g9UK0
ほしゅう
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 17:34:38.04 ID:LpSPHZ5j0
ホーシューホーシュー
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 18:01:26.43 ID:8LrQQ9S40
ほっほっ
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 18:24:41.27 ID:ah8gXgPC0
保守
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 19:06:37.34 ID:LpSPHZ5j0
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 19:24:49.15 ID:LpSPHZ5j0
ho
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 19:45:56.73 ID:vrG3VjaI0
ほわぁっ!?
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 20:13:37.93 ID:8LrQQ9S40
ほい
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 20:18:51.41 ID:pmmLJLH90
規制民用掲示板出来たwwwwwwww

http://jbbs.livedoor.jp/computer/42791/  
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 20:29:00.10 ID:QrbKWLK60
.  |___
. /    (^p^ )  朝だよご飯できたよ髪の毛寝癖ってるよどうしてかな可愛くてほっとけない
/    /    \
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___/ /__.| |___
   //   //
   (Ξ´  ‘ミ)


.   |^ω^ )ういーアイs・・・・・・
.   と ノ
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. /    (^  )彡  すっきすっきだいすk・・・・・・!?
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     / |    , / ))
____/ /| _/ /___
     ̄(⌒__/
       ̄

.   |   
.  |彡サッ
.  |__ 
 /  (    )  おっ姉っちゃんだっいっすっきwwwwwwwwww
/    γ⌒\
7``)  / /  \
.`ヽヽ / X  ミ ヽ
  ヽ___ノミ\   \  
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
270 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 20:56:06.42 ID:PdS5hMVc0
――

人ごみで賑わう午後の町
その中心におぼつかない足取りでフラフラと歩く男がいた。

DQN1「ゆ、許さねぇ…俺を舐めやがって…あの女…ゼッタイ許さねえ…っ俺を裏切りやがった聡も許さねえっその姉キの田井中律も許さねえっ!」

かつての屈辱を呪詛の言葉へ変え、DQN1は独り言を吐きながら歩く。
聡がDQN1の元から去った後、連鎖的に他の仲間もDQN1から去っていった。
そんなDQN1には頼る人間も共に遊ぶ人間も最早いなくなり孤独と絶望と屈辱感のみが彼の心を支配していた。
271 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 20:57:12.02 ID:PdS5hMVc0
異常な雰囲気のDQN1を見た周りの人間が次第にザワめき始める。

ザワザワザワ
ナニ?アノヒト?
ヒトリ テ ゙ブツブツ
ヨッパライ?
ナンカ コワーイ
ザワザワザワザワ
272 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 20:58:41.52 ID:PdS5hMVc0
DQN1「フヒッフヒヒッ…ッあぁん?なんだぁ?い〜いモンがあるじゃねえかぁ…」

自分を見てザワめく周囲を気にも留めないDQN1の気を引いたのは1台のトラックだった。
相変わらず危なげな足取りでDQN1は駐車されたトラックへフラフラ近づいて行く。

トラックのおっさん「お、おい、どうした?にいちゃんフラフラして…大丈夫かい?」

トラックの持ち主が運転席から降りDQN1へと近づく。
純粋な親切心でDQN1へ声をかけたトラックの持ち主だったが、彼にとってそれは最悪のアダとなって返ってきた。
273 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:00:31.12 ID:PdS5hMVc0
DQN1「………」ザクッ

トラックのおっさん「…え……?…」

DQN1「…ヒヒッ」グリグリ

近づいてきたトラックの持ち主の腹をめがけDQN1は一切の躊躇なしに隠し持っていたナイフを突き付けた。
その腹部から溢れる大量の返り血にも気を留めず、DQN1はナイフをひねり更に肉の奥深くへと突き刺す。
274 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:02:17.82 ID:PdS5hMVc0
細かいすが↑訂正

ナイフを突き付けた

ナイフを突き刺した
275 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:03:31.53 ID:PdS5hMVc0
見ていた女「キャ〜〜〜〜〜ッ!!」

トラックのおっさん「…あっあぁぅぁぁぅあぁぁ…ぅ」

刺された箇所が悪かったのかトラックの持ち主は若干の呻き声を発した後、死亡した。

イヤー!!
ヒトゴロシ ダー!
ケイサツ ヲ ヨベー!

往来の街中で人殺しが行われた事実に周囲の人間が騒ぎ出す。
276 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:05:19.08 ID:PdS5hMVc0
DQN1「グヒッ!ヒヒャッ!グヒャハハハハハッ!!」

たった今殺したばかりの本来の持ち主を投げ捨て、DQN1はトラックへ乗り込みアクセルを吹かす。

ブロォブロロォ
ドル ドルルルルンドルルン!!

DQN1「しっしッシしっ死、シネ!しネ!死ね!しね!シね!全員死ンじまえーーーっ!!」

狂った咆哮と共にトラックは走り出した。
DQN1が運転するトラックは老若男女関係無しに次々と人間を跳ね飛ばす。
277 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:06:47.90 ID:PdS5hMVc0
キャー!
タスケテーッ
コッチ ニ クルナーッ
ダレカー!
ママー!

車道も歩道も区別なく暴走するトラックのタイヤ痕には絶えず赤黒い色が引かれている。
しかしDQN1がそのアクセルを緩める事はない。
278 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:08:29.14 ID:PdS5hMVc0
DQN1「どっどうだ!どーだっ!!ドーダァァ〜っ!見たかクズどもっ!!俺はつええ!オレはコンナにツエエんだゾォォォッ!?」

凶悪な意思を持って仮初めの力を誇示するDQN1
彼が駆るトラックは目的なく明後日の方向へと走り出していった。

DQN1「こ、殺す!コロす!コロスっ!殺してやる…っ!みんな、み〜〜〜んなブっ殺してやんぜぇ!ヒヒッヒヒヒヒヒッ!」
279 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 21:12:11.51 ID:PdS5hMVc0
投下区切り
22時ごろにまた投下するす。

保守、支援あざっした!
ところでちょっと気になってたんですが、
これ読んでくれてる人で元ネタ知ってる人と知らない人って大体どれぐらいいるのかなぁと。
元ネタ知らない人でも読んで貰えればと思って書いてるんで、そのあたり気になってたりするす。
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 21:15:45.19 ID:+sE6TUpo0
知らない
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 21:17:34.09 ID:fgXNMVPGO
知らんがな
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 21:26:03.19 ID:Vui9Ze9V0
知らないなー
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 21:32:18.58 ID:8LrQQ9S40
シラネ
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 22:02:46.46 ID:vFKGPlsNP
ほす
285 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:23:39.87 ID:PdS5hMVc0
――

遅めの昼食後。
律と聡は予定通り注文したケーキを取りに街へと繰り出していた。

律「え〜っと、確かこの辺りだったと思うんだけど…おぉっあった!あった!」

律が指差す方向には街一番と評判高いケーキ屋の看板があった。

聡「へ〜、姉ちゃん奮発したね。あの店すっげー高くて有名なんだぜ」

律「ふっふっふ!なんせ年に一度の誕生日だからな!」
286 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:25:41.50 ID:PdS5hMVc0
聡「姉ちゃん…」

律「世界一美しくて優しいお姉さま、と見直せ!我が弟よーっ!」

聡「…見直そうと思ったけどやっぱやめた(…あの店3か月前から予約しないと間に合わないのに…そんなに前から俺の誕生日を計画して…姉ちゃん)」

律「なんだよっそれー、ん?」イーJUMP♪イーJUMP♪

ポケットに入れてあった律の携帯が鳴りだした。

律「なんだよ、こんな時にー」ノリノリ デ イイジャナイ♪
287 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:26:59.34 ID:PdS5hMVc0
聡「…俺、ケーキ取ってくるからさ、姉ちゃんはここで待っててよ」

律「おいおい」happy ハ イツダッテネ♪ イマ カンジル モノ♪

聡「大事な電話かも知れないだろ?ケーキ取ってくるぐらい俺にやらせてよ」

律「一人で大丈夫かー?また攫われても助けてやんないぞっ」ダイスキ♪ダイスキ♪

聡「取って戻ってくるだけじゃんっ子供じゃないんだから大丈夫だって、じゃ行ってくるからっ」タッタッタ

そう言って聡は車道の向かい側にあるケーキ屋へと走り出して行った。
288 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:28:12.77 ID:PdS5hMVc0
律「……ゲームのプレゼントなんかで喜んじゃう子供だろに…やれやれ」ダイスキ ヲ ア リ ガ ト♪ ピッ

聡を見送ってから律はかかってきた携帯に応答する。

律「もしもーしっ律どぇーす!」

ザワザワザワ

携帯に出て少ししてから周囲がザワめき出す音が律の耳に届いた。
289 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:29:15.95 ID:PdS5hMVc0
ナニアレー
アブナクネ?
オイオイオイ

律「んん?なに!?『ウデ』?腕がなんだよ?」

ザワザワザワ
オイ チカヅイテキテルゾ
ヤバクネーカ
ニゲタ ホウ ガ
マジ ヤバイ ッテ
ザワザワザワザワ
290 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:30:50.07 ID:PdS5hMVc0
律「え?『テツ』てつの腕??あーっもうっ!外がうるさくてよく聞こえないんだって!」

段々周囲の騒ぎ声が大きくなっていく。
それに連れて携帯の声もますます聞き取り辛くなる。

律「あー『オンナ』…女が来て、うん…」

ザワザワザワザワ
オイ アレ ヒイテナイカ?
ッテカ ヒイテルッテ!
オイ コッチ クルッテ コッチクルッ!
マジヤバイ マジヤバイッ
ニゲロー ニゲロー
ワーワーワーワーワーッ!!
291 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:32:07.80 ID:PdS5hMVc0
DQN1「ゲヒ、ッグヒュハッ!コろスっコロしテやッ…ッ!あっ!?あアっっ!アアアアーーーッッ!!?」

律「……『まなべのどか が ころしにきた』なんだそりゃ?」

キキィッ!!
ド オ ォ ン

律「!?」クルッ

律の後方から爆発したかのような衝撃音が轟いた。
振り返ると車道の向かい側にある建物に突っ込み煙を上げ炎上しているトラックが律の目に映った。
292 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:33:26.22 ID:PdS5hMVc0

ワーワーワー!
「ケーキ屋に突っ込んだぞーっ!」
「事故だぁーーっ!」
「バカ!事件だっ!」
「店の中に居た人間は無事かー!?」
「運転してたヤツは即死だな」
「頭潰れちまってるぜ…ミンチよりひでえや」
ワーワーワーワー!


律「………」ポロッ

携帯を落とし目の前の出来事を律は呆然と眺めていた。
落とした携帯から必死に律を呼び掛ける声が聞こえる。
293 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:35:13.96 ID:PdS5hMVc0
律「あ…あ……」タッ

破壊された建物のスキマから律は茫然自失のまま中へ入っていった。

律「あぁあああぁああっ」

店の中には聡が倒れていた。
駆けより律は弟を、その手で抱き抱える。

律「さと…し……」

倒れている聡に目立った外傷はない。
しかし瞳孔が開き、呼吸は止まり、心臓の鼓動は停止している。
触れずとも見る者が見れば明らかに分かる命を終えた者の姿だった。
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 22:35:50.18 ID:+K9NJzKE0
ぎゃあああああああああああああああああ
295 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 22:36:11.62 ID:PdS5hMVc0
律「…しっかりしろ聡ぃ……びっくりしただろぉ…大丈夫…大丈夫さ」

モノ言わぬ弟を抱きしめ律は店の外へ出る。

律「ケ…ケーキはさ、明日でいいよ…なっ?そぉしよう…病院っ…とりあえず病院へ行こう」

群がる通行人を押しのけ律は弟を抱き抱えたまま足を動かす。

律「どいて…どいて…っ聡を病院に…早く…っどいてくれぇっ!」
296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 22:55:43.72 ID:XR7stGtuP
支援
297 ◆HZn49RRfHY :2010/08/03(火) 23:00:27.13 ID:PdS5hMVc0
投下完了。。。でちょうど規制されたす。
そろそろ終盤、律編も終わりが近いす。
後の展開を推敲したいので、しばらく間を空けるす。
落ち着いたら寝る前に投下するかも。

さっきのアンケートのお答えありがとです。
知らない人の方が多数?ってか知らない人しか読んでない?
知らない人にも読んで貰う事を前提で書いてるので嬉しいのですが、それだけ元ネタ知られてないと思うとちょっぴり悲しいす。
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:38:29.21 ID:ah8gXgPC0
保守
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:52:45.30 ID:HlXe8Ten0
で元ネタなに?
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 00:33:56.72 ID:BhgFBKsHP
保守
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 01:11:48.72 ID:gmfkaAlR0
>>299
最初からこのスレ嫁
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 01:34:04.91 ID:NYLoGNsu0
保守
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 02:03:45.40 ID:9RbiaoSCO
しゅ
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 02:06:57.31 ID:/vM95hGY0
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VIP列島@けいおん!! ーVIPPERで街を作るー
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305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 04:39:13.00 ID:Rkw2hSME0
ほs
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 06:32:22.46 ID:TOcHjZKN0
ho
307 ◆HZn49RRfHY :2010/08/04(水) 07:24:49.06 ID:hdUKREtI0
保守
ねちった。また夜投下するす。
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 08:57:25.59 ID:sKoI56xP0
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 10:08:17.38 ID:66l7cEKK0
ほす
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 10:41:26.06 ID:zpcmqhBd0
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 11:41:56.01 ID:66l7cEKK0
hosyu
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 12:15:56.19 ID:NYLoGNsu0
保守
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 12:30:23.36 ID:66l7cEKK0
ho
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 13:16:05.51 ID:NYLoGNsu0
保守
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 14:04:18.98 ID:66l7cEKK0
ほっす
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 14:46:44.17 ID:66l7cEKK0
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 15:50:02.96 ID:NYLoGNsu0
保守
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 16:38:30.12 ID:66l7cEKK0
ほsy
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 17:32:11.79 ID:gmfkaAlR0
ほす
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 18:23:11.56 ID:ZzwnOEKw0
ho
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 19:13:08.61 ID:66l7cEKK0
ほー
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 20:14:18.32 ID:66l7cEKK0
ほす
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 21:00:29.70 ID:66l7cEKK0
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 21:44:36.46 ID:PWDPvzG+0
ずさー
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 22:23:35.98 ID:66l7cEKK0
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 22:51:24.42 ID:BGa/I8ci0
そろそろ続きがくるかねぇ・・・
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 23:36:53.36 ID:srpmBBqs0
ほす
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 00:03:07.39 ID:5zPPZ0Fd0
保守
329 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:44:03.15 ID:5a1sE6H50
――――

律たちがいつも溜まり場にしているバー。
しかし今そこに律の姿はなかった。

マスター「どうなんだい?りっちゃんの様子は…」

バンド男2「聡君が死んでから誰とも口を聞かない…俺達だけじゃない、誰とも口を聞かない…ずっとその調子だよ」

マスター「そうかい……」
330 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:46:05.72 ID:5a1sE6H50
バンド男1「…うるせえよっ」ゴキュッゴキュッ

カウンター席でバンド男1は浴びるように酒を飲んでいた。
マスターが止めるにも関わらず、もう何本ボトルを開けたのか分からない。

バンド男2「うるせえってなんだよ…それにお前飲みすぎだぞ?…俺は律さんの事が心配で…」

ダンッ

叩きつけるようにバンド男1は空になったグラスをテーブルに置いた。
331 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:48:02.02 ID:5a1sE6H50
マスター「……」

バンド男1「…あの人は…律さんはもう終わりだよ」

バンド男2「…なんだよっそりゃ…律さんが死んだワケじゃねえんだぞっ!?大体お前、律さんの事っ!」

バンド男1「っ聡君はあの人の、たった一人の弟だったんだよ!あの人の全てだ!全てを失ったんだよっ!!」

マスター「……」グス

バンド男2「…お前……」

バンド男1「田井中律の何もかもが終わっちまったんだよぉっ!!」

叫ぶバンド男1の目には涙が浮かんでいた。
332 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:49:50.67 ID:5a1sE6H50
――

灯りを付けずカーテンを閉め切った薄暗い部屋。
その部屋には姉弟二人が写っている写真が散乱している。

律「……(なんで…なんであたしは…あの時…聡を一人で……)」

そこは律の自室だった。
辺りには散乱した写真の数々。
それに写る姉の顔にのみ漏れなくドラムスティックが打ち付けられ全ての写真には穴が開いている。
333 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:51:36.75 ID:5a1sE6H50
律「逢いたいよぉ…聡ぃ……」

自室に一人篭った律はテーブルに置いた写真を見る。
その一枚に写る弟の姿が瞳に映っていた。

律「…死ねば…逢えるのか?死んじまえば…逢えるのかなぁ……」

そして律はおぼつかない足取りで篭りきりだった部屋から外へ出て行った。
334 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:53:31.17 ID:5a1sE6H50
――

律「……」

久方振りに拝んだ太陽の光はやけに眩しかった。
路上に出た律は車道に走る車のそれぞれを見ながら片手を挙げる。

キッ

しばらくして一台のタクシーが律の前に止まった。
後部座席のドアが開けられタクシーに乗る。
335 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:55:01.81 ID:5a1sE6H50
運ちゃん「どちらまで?」

律「……人のいない…どこか…遠いところまで…」

運ちゃん「はぁ?あぁ〜要するにテキトーでいいって事だな?ヨッシャ!テキトー任せろ!テキトーサイコーー!!」

いかにも無精者といった感じの運転手がタバコを銜えながらアクセルを踏む。
ヘビースモーカーなのだろうか運転席の灰皿には山盛りという言葉でも足りない程の吸殻が大量に積まれていた。
336 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:57:02.98 ID:5a1sE6H50
ブロロロロロッ
キュキキッ

バイクに乗った男「危ねえな!この野郎!!」

乱暴な運転で周りの罵声を買いながら律が乗ったタクシーは走る。

運ちゃん「ダーッシャシャシャシャシャっ!テキトーサイコー!シャッシャッシャッ!」
337 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 00:58:59.54 ID:5a1sE6H50
奇声に近い笑い声を上げながら運転手はハンドルを握り縦横無尽にタクシーを走らせる。

律「……」

そんな運転手に対し律は何も言わない。
バカなタクシーを拾ってしまったな、とは思ったが、
この危険運転で死んでしまうのならそれもいいか、とも思っていた。

運ちゃん「んん?なんだぁ張り付きやがって、このタコ!」

律「……?」
338 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 01:00:20.51 ID:5a1sE6H50
律が横を見ると一台の原付が張り付き平行して走っている。
原付に乗っているのは女だった。
女はヘルメットを被っているが、その顔は確認できた。
見覚えのある顔だった。
実に一年ぶりに見る顔だった。

律「…のど…か…?」
339 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 01:01:19.82 ID:5a1sE6H50
投下終了
今日はここまでで。

遅い時は大体これぐらいの時間帯に投下するす。
340 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 01:01:53.38 ID:5a1sE6H50
あ、それと遅い時間まで保守してもらってあざっした!
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 01:14:15.24 ID:6tt3mTTW0
終わるのにあと何日掛かるんだよ!
342 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 01:18:03.96 ID:5a1sE6H50
わからんw
とりあえずりっちゃん編はマジもうすぐ終わらせます。
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 01:21:50.90 ID:UesBAAufO
このスレのせいで今週の和が怖く感じた
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:03:07.12 ID:XMo8pG660
大鉄出てんのか
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:13:54.17 ID:ttQklfEB0
乙!

大鉄は連載誌繋がりかwww
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 03:30:57.14 ID:5a1sE6H50
保守っと
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 04:58:18.09 ID:6tt3mTTW0
保守
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 06:40:17.76 ID:ZxswLFuX0
保守だぜ
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 08:34:13.50 ID:5a1sE6H50
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 10:25:09.04 ID:UesBAAufO
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 10:34:22.30 ID:63dXX9vT0
352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 10:59:55.29 ID:6tt3mTTW0
保守
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 11:53:54.52 ID:5a1sE6H50
保守
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 12:39:17.18 ID:qCkgPG4h0
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 13:16:54.07 ID:KqOCOZ8Y0
356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 14:10:53.23 ID:5a1sE6H50
保守
357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 15:21:34.11 ID:5a1sE6H50
ho
358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 16:06:12.54 ID:Set7e+7X0
359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 16:31:34.43 ID:/sgvlJ/q0
保守
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 17:22:18.12 ID:Set7e+7X0
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 18:04:36.20 ID:5a1sE6H50
保守
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 18:46:58.42 ID:/sgvlJ/q0
ほっすん
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 19:35:19.69 ID:5a1sE6H50
保守
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 20:21:57.31 ID:5a1sE6H50
保守
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 21:14:40.79 ID:5a1sE6H50
ほっしゅ
366 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:06:25.93 ID:5a1sE6H50
――

律「あぁ…そういや…誰かが言ってたな…鉄の腕をつけた和が、あたしを殺しにきたと…」

絶えず並行して走る原付。
それに乗っている女を律はじっと見る。

律「有り得ねえよ…和の両腕はあたし達が粉々にして引きちぎってさぁ…」

言いながら律は懐に手を入れる。

律「先輩の生徒会長も水槽に沈めて殺した…和は絶望の中で死んだんだよ」

原付に乗った女はサイドガラス越しの律の挙動を注意深く観察している。
367 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:07:47.15 ID:5a1sE6H50
律「いる筈のない和…いなきゃならない聡…」

律が懐から手を出す。
その手にはドラムスティックが握られている。

律「いつも笑っていた聡……そう…聡がいないんだよっ」

手に持ったドラムスティックを律は原付の女に向ける。

律「やっぱさぁ…有り得ねえよ…全て悪夢だ…悪い夢だったのさ…」

握ったスティックの先端を女の顔面へ向けサイドガラス越しに照準を合わせた。

律「だったらさぁ………消えて失せろぉっ!!」ビュオッ
368 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:09:14.73 ID:5a1sE6H50
バリィン

律は原付の女に向けドラムスティックを投げつけた。
発射されたスティックは間に挟んだサイドガラスを突き破りガラス片が車内に降りそそぐ。

しかし、スティックが原付の女に命中する事はなかった。
女は投げつけられたスティックを原付を走らせながら左手で掴み止めていた。

律「…っ!!」

運ちゃん「おめー!なにやってんだーー!?」プルプルプル
369 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:10:03.18 ID:5a1sE6H50
愛車のサイドガラスを叩き割られた運転手が振り向きざま後部座席にいる律に怒りの声を上げた。
その当人、律は叩き割ったガラス片の一部が頬にかすり、そこから一滴の血を流している。

律「…血……痛いじゃん…なんだ…夢じゃないのかよ……ってことはさぁ……」

サイドガラスが無くなった車内窓から風が届く。
それと共に原付に乗った女の言葉が律の耳に届いた。

和「やっと会えたわね、田井中律」
370 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:11:14.13 ID:5a1sE6H50
――

和の乗る原付がタクシーと平行移動しながらやや前進する。
タクシーのフロントサイド、和の乗る原付はその位置に陣取った。
そして和の左手には先ほど律が投擲したドラムスティックが握られている。

律「……(何する気だ?)」

和「っ」ドスゥ!

平行しながら走る和がタクシーのフロントに向けて左手で掴んでいたドラムスティックを突き刺した。

律「っ!?」

運ちゃん「はーーーん!?」
371 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:12:19.55 ID:5a1sE6H50
フロントに突き刺したスティックから左手を離し、今度はおもむろにボンネットを掴む。

和「…っ」ベキィ メリメリメリィ

掴んだ手で和はボンネットを強引に剥がし始める。
皮を剥くように反り返るボンネットからは、和がそれを掴む手を引く度メリメリと軋む音が響いてくる。

和「っ!」

ボォン

そして完全に引き剥がしたボンネットを和は原付で走行しながら投げ捨てる。
単純な力技で剥がされ、ひしゃげたボンネットは時速60Kmのスピードで後方へと飛んで行った。
372 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:13:18.66 ID:5a1sE6H50
律「…マジか?」

運ちゃん「おめーら!映画の撮影でもやってんのか!?他でやれ!ハゲーーー!!」プルプルプル

和「…っ!」ズボォッ

外装を剥がし剥き出しになったフロントに左腕を突っ込んだ和はバッテリーを掴み無理やりに引きずり出す。
左手で掴むバッテリーはプラグがついたままバチバチと火花が散っている。

ボォアッ

火花が散るバッテリーを中心に、それを掴んでいた和の左腕が燃え上がった。
炎上する左腕の皮膚が焼け爛れていく。
焼け爛れ露出した左腕からは『鋼鉄』が覗いていた。
373 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:14:18.52 ID:5a1sE6H50
律「…鉄の腕……復讐……」

和「終わりよ律」

鋼鉄の左腕を掲げ、和は宣告する。
律に向けた和の顔、それは怒りとも歓喜ともつかない表情だった。

運ちゃん「怖ぇーーー!」ポチ

和の表情に恐怖したのか、この場の状況に恐怖したのか、あるいはその両方か。
耐え切れなくなった運転手はハンドルの横にあった『緊急脱出』と書かれたスイッチを反射的に押す。
374 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:15:40.46 ID:5a1sE6H50
運ちゃん「ボリショイ!!!」ボシュッ

瞬間、運転席がさながらジェット噴射の如く真上へと推進し、その勢いで運転手の頭がタクシーの天井を突き破る。
そして運転手はそのまま空高く飛んでいき星となった。

空へ飛んだ運ちゃん「ダーッシャシャシャシャッくだらねーー!!」

律「っ客を置いたまま一人で逃げやがっ―!?おっおぉぉおおっ!?」

鉄の腕により壊滅的な損壊を受けたタクシーの前方には海が見えていた。
運転手がエスケープし元より制御不能なタクシーは律を乗せたままガードレールを飛び越え、
375 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 22:17:08.67 ID:5a1sE6H50

ドバシャア

海へとダイブ。
派手な水しぶきを上げ、タクシーは水没していく。
タクシーが完全に沈み切った後、海面から近くの埠頭へと手を伸ばす者の姿があった。

律「……ぷはぁっ!…はぁ…はぁ…和…あいつっ無茶苦茶しやがるっ!」

海から地上へ身を起こし、律はズブ濡れの状態で近くの建物へ身を潜める。
そこはいつかの場所によく似た倉庫だった。
376 ◆HZn49RRfHY :2010/08/05(木) 23:00:32.77 ID:5a1sE6H50
投下完了。。。でまたちょうど規制
今日はここまでで。保守あざっす!

大鉄を出したのは単になんか出してみたかったってのもあるすが、
並の運ちゃんだと巻き込まれてそのまま死亡パターンにしかなりそうにないなー
ってのが理由す。

すんませんが、これから明日の朝10時ぐらいまでネット見れる環境にないす。
というのも昨日は仕事場に泊って実はそこから投下してて、そんで今から家帰って寝るため。
なので自分では保守れないため、またこまめに保守頂けると非常に助かるです。
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 23:01:36.53 ID:NeybJWgo0
大鉄www
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 23:11:54.78 ID:kQMX0lqt0
テキトー
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 23:23:18.55 ID:W7dCh9bE0
投下短くね?
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 23:35:25.12 ID:Set7e+7X0
>>1はお前らみたいにいつもここにいるわけじゃないってことだな
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 00:01:37.32 ID:w7ENlXnf0
ほす
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 00:26:17.61 ID:KNC1vgj10
つい見入ってしまった・・・支援
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 01:39:26.61 ID:ydBeev1SO
384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 03:28:17.72 ID:gQaN1/N20
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 04:33:02.21 ID:wE7aG4Wk0
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 05:29:24.14 ID:ydBeev1SO
おやすみー
387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 06:56:54.53 ID:wE7aG4Wk0
おはほっしゅ
388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 08:17:40.38 ID:X4qkbysP0
 
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 09:23:08.59 ID:tHukMIXx0
で、原作なに?
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 09:54:49.19 ID:JkPL8SI10
391 ◆HZn49RRfHY :2010/08/06(金) 10:38:43.45 ID:1VbL6dO40
ho
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 11:42:08.45 ID:gQaN1/N20
ho
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 12:26:48.38 ID:KNC1vgj10
ho
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 14:41:37.35 ID:1VbL6dO40
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 15:32:22.59 ID:9VRfKqtO0
ほっしゅほっしゅ
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 16:36:00.06 ID:BeCvdsyY0
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 17:38:10.94 ID:W6GcX10E0
ほほ
398 ◆Void00Vrcc :2010/08/06(金) 17:49:00.26 ID:nQaHQAHEi
このスレも続いてるなァ
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 18:57:33.64 ID:1VbL6dO40
保守
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 19:35:53.36 ID:1VbL6dO40
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 20:01:37.60 ID:PVPIJCJc0
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 20:29:10.02 ID:X4qkbysP0
2位3位でした
403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 21:02:08.18 ID:1VbL6dO40
404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 22:22:29.02 ID:X4qkbysP0
さまうお!
405 ◆HZn49RRfHY :2010/08/06(金) 22:59:43.11 ID:1VbL6dO40
1す。
申し訳ないけど今夜中の投下は無理す。
っていうのも、この後の展開をたった今から書き始めるところだから。
たぶん朝頃には投下できると思うす。その間自力で保守しつつ作成するす。
保守してくれた人あざっした!

>>379
小出しですまん、。
もう書き溜め分が尽きているんだ。
休日を利用してまたドカっと書き溜めたいところ。

>>389
ダイモンズっていう漫画、面白いんだぜ!
406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 23:06:26.39 ID:vLWa5o+h0
何スレかかってもいいけど、ちゃんと終わらせろよ!
407 ◆HZn49RRfHY :2010/08/06(金) 23:07:07.28 ID:1VbL6dO40
今のところその気はあるす。今のところは。
408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 23:31:40.51 ID:yoKtvsuF0
おう、頑張ってくれぃ
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 00:01:45.17 ID:USqSgp700
保守っと。
410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 00:32:12.65 ID:USqSgp700
保守
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 01:06:32.95 ID:USqSgp700
保守
412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 01:31:01.49 ID:vZWnPtOXO
1日の楽しみが…
保守
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 02:12:16.33 ID:6AGJUfQP0
そういや元ネタちょっとだけ読んだことあるんだよな
この機会に単行本買って最初から読み直してみようかな
414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 03:06:32.50 ID:Xft9zTp+0
415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 06:47:57.62 ID:nMn8tINx0
ほしゅ
416 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 08:55:37.84 ID:USqSgp700
すまん、寝ちった。
まだ、もうちょっとかかります。保守
417以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 10:09:51.52 ID:USqSgp700
保守
418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 10:54:51.80 ID:USqSgp700
保守
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 11:47:19.05 ID:USqSgp700
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 12:32:06.43 ID:USqSgp700
ほしゅ
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 13:05:11.49 ID:USqSgp700
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 14:04:57.24 ID:USqSgp700
保守
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 14:49:44.55 ID:USqSgp700
ほっしゅ
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 15:34:43.60 ID:MxeafN5M0
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 16:01:46.23 ID:skmTC/SL0
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 16:44:48.56 ID:USqSgp700
ほしゅ
427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 16:46:19.03 ID:ku/qkbbc0
光り輝く和田「やめて!やめて!髪の毛引っ張るのやめてぇぇぇぇぇ!」
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 17:28:48.99 ID:USqSgp700
ほしゅ
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 18:00:41.71 ID:F3f5W/Ur0
430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 18:37:15.71 ID:ft4dsh+f0
431 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 18:55:08.03 ID:USqSgp700


律「はぁ…はぁ…あたしのドラムスティック…全部海の中かよ、くそ…」

避難した倉庫内、そこで息を整え律は身の回りを確認する。
絶えず護身用に携帯していたスティックは海へダイブした拍子に全て落としてしまったらしい。

律「なんなんだよ…あの鉄の腕……おかしーし…」フル フル

一年前に死んだ筈の真鍋和。
死んだ筈だった人間が突如目の前に現れた。
432 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 18:56:10.19 ID:USqSgp700
挙句そいつは鉄の腕というワケの分からぬモノを掲げ襲撃という形で自分に宣戦布告をしてきた。
その事実に律は戦慄する。
気がつくと体に震えが走っていた。

律「……嘘だろ…あたしが…怯えてる……!?」

震える体を押える様に律は両の手を強く握り締める。

律「…上等だぁ、あたしを…誰だと思ってるっ」

無人の倉庫内に律の一声が響き渡った。

律「和ぁ!探し出して今度こそ殺してやるよっ!!」
433 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 18:57:06.91 ID:USqSgp700
コツン

その声に応えるように一つの足音が響く。
律の背後から倉庫に入ってきた人間の足音。
次いで足音の持ち主は律に告げた。

和「死ぬのは、あなたよ」
434 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 18:58:21.33 ID:USqSgp700


太陽の光が開けた扉からしか差し込まない薄暗い倉庫内。
その扉の前でかつての旧友同士は対峙する。

律「…あたしが……死ぬ?和…お前があたしを殺すのか?お前なんかが?」

和「……」

律「笑える冗談を言うようになったもんだなぁ?…えぇっおい!優等生っ」

和「…あなたは死ぬのよ、今ここで」
435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 18:58:22.83 ID:F21WY1jb0
おかしくねーしwww

続きwktk
436 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 18:59:19.27 ID:USqSgp700
手に持ったカバンを下ろし、和は右腕を掲げ、その存在を強調する。
右手の指を折りたたむ度、キリキリと金属の擦れるような音が響く。
それは言葉よりも明確な殺意として律に伝わった。

律「……本気であたしを殺す気かよ…その腕で殺ろうってのか?ナノテクノロジーがどうたら言ってあたし達を裏切った優等生がさぁ」

殺意の象徴である和のその腕に対し律は指をさす。

律「その凶暴な鉄の腕ぇ!どうせそいつもナノテクノロジーとやらで動いてんだろぉっ!?」

和「…違うわ、この腕はナノテクノロジーじゃない。私はナノテクノロジーをこんな事には使わない」

律「…そりゃあたし達の『楽器』の事を言ってんのか?…あぁ〜そうか、そうだったよなぁ」

和「……」
437 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:00:52.66 ID:USqSgp700
律「憂ちゃんとの合作だもんなぁ…ナノテクを開発したのがお前で、それを『楽器』へと転用したのが憂ちゃんだ」

和「…憂が勝手にやった事よ、私が作ったものじゃない。合作でも何でもないわ」

律「今更そんな事どうでもいいっての。その腕…ナノテクノロジーじゃないなら何だよ?電気仕掛けか?そんなガラクタであたしと殺り合おうってのか?」

その言葉に対し和は掲げた鉄の腕から金属の擦れる音を響かせ応える。

和「…この腕を…動かしているのは…あなた達に奪われた両腕の怒り…先輩を殺したあなた達への憎しみ……」

鉄の腕と共に律に鋭い眼光を向け、次いで和は答えた。

和「この腕を、私自身をも動かしているのは」

律「……」
438 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:02:43.08 ID:USqSgp700
和「執念よっ」ガッ

そして和は傍らに設置されてあった配管を掴んだ。
対面する律は、空手の左腕を和に向ける。

律「執念?」

律の左腕に彩られたタトゥが淡く光った。

律「そんなモンであたしを殺せるかよぉ!!」

ガコン ガシュ イイイィィイイン

タトゥを中心にその左腕の構造がルービックキューブの如く組み換わり始める。
439 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:04:11.34 ID:USqSgp700
和「…っ」ベキィ ビキ バキャ

和は掴んだ配管を力づくで引きちぎる。
倉庫に設置されていたその配管の一部は、和の手元で一本の槍へと変わった。

和「っ!」ブンッ

そしてちぎった配管を槍投げの如く対面の律に向けて投擲する。

律「くっ」ヒョイッ

カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ

新たな左腕を構築している最中の律は、それをすんでの所で回避する。
和が投げた配管は律の後方、ダンボール資材が積まれている場所へと飛んで行った。
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 19:05:30.10 ID:HmA+FrLH0
代理スレ立て誰かお願いできる?
441 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:06:36.37 ID:USqSgp700
律「!?」

律が投げつけられた配管から目を離し前を見る。
そこにはすでに眼前にまで迫り、右の拳を振り上げている和の姿が、

律「くらうかよっ!!」

和「っ」ブン

すかさず律は体を沈めダッキングする形で和の右拳を空振りさせる。
しかし、それを予測していたかのように和は次いで左の拳を下から突き上げた。

和「っ!!」バキャァ

律「!?」
442 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:07:56.04 ID:USqSgp700
構築途中の左腕を前に出し律は和の殴打をガードする。
律の左腕は既にほとんどが『腕』ではなく『ドラムスティック』へと変貌していた。

律「おぉおぉぉっ」

そのまま律は吹き飛ばされ、
先ほど和が配管を投げつけたダンボール資材が積まれている場所へと飛んで行く。

和「っ」ダダダッ

追い打ちをかけるべく和は律が飛んで行った方向へと駈ける。
律の姿は崩れた資材に阻まれ見えない。

ドォン!

突如、落雷のような轟音が轟いた。
443 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:10:02.90 ID:USqSgp700
和「な…なにっ?地震っ!?」

駈ける足が止まり、和はその場でバランスを崩す。
前方には律が埋もれているであろう崩れた資材群。
そこから一つの人影が飛び上がった。

律「和ぁーーーっ!!」

和「律っ!」

和が視線を上に向けると、左腕をスティックに変えそれを振りかざす律の姿があった。
宙に飛び上り強襲する律。
律は落下する勢いと共に左のスティック腕を和の鉄の右腕へと叩きつける。

バチィン!
444 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:11:23.61 ID:USqSgp700
律「お前に鉄の腕があるなら、あたしにはこの腕が…このドラムスティックがあるっ!お前が開発したものだぜ?和ぁ…」

鉄の右腕と左のスティック腕がギリギリと音を立て唾競り合いが交錯する。

和「…何度も言わせないで、私はそんなモノは作らないっ」

ガァンッ

和が鉄の右腕で律のスティック腕を払う。
唾競り合いの拮抗が破れ、律の体が後方に飛ぶ。

和「っ!」ダダダッ

再び追い打ちをかけるべく、和は律に向かって駈ける。
前方の律は左腕を頭上に上げ、振りかぶる動作を取っていた。
445 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:12:45.63 ID:USqSgp700
律「シュッ!」

ドォン!

律が振りかざした左のスティック腕を地面に叩きつける。
再び倉庫内に先ほどの落雷のような轟音が鳴り響いた。

和「…ま、またっ!?」

揺れを感じた和は先ほどと同じような形でバランスを崩し足を止めてしまう。
その一瞬の嘘を突き、律は和の懐まで一気に間を詰めより、

律「っらぁっ!」

和の頭部へ向け、その凶悪なスティック腕を叩きつけようと、

和「!?」

ドギャァッ
446 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:14:18.99 ID:USqSgp700
辺りに鈍い音が響き渡った。
迫りくるスティック腕から頭を守るため、代わりに右肩で受け止めた和は後方へと吹き飛び倒れていた。

律「…その鉄の腕……やたらと頑丈みてーだけど、接合部分はそれほどでもないみたいだな?」

律が和の右肩口を見る。
倒れた和の右肩から先は何も付いておらず、足元には鉄の右腕が転がっていた。

和「…はぁ…はぁ…律、あなたのそれは…その腕は…」

和は息を整えながら、今は鉄の腕が外れた右肩の接合部分を手で押さえて律を見る。

律「イカした腕だろぉ?この腕で地震を起こせるなんて開発者のお前でも知らなかった事だろ?」

倒れた和を見下ろす姿勢で、律は左のスティック腕を見せびらかすように掲げる。
それに対し和は否定の言葉を表した。
447 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 19:17:44.99 ID:USqSgp700
和「違う、あなたはバランスを崩した私に対し真っ直ぐ向かってきた。地震なら私だけバランスを崩すのはおかしい」

律「…察しがいいなぁ優等生……その通りだ、地震なんかじゃない。そんな事が出来てたまるかよ」

自分を殺しに死の淵から追ってきた和への敬意か、それとも絶対の自信の表れか。
律はスティック腕の正体を自ら明かし始める。

律「…指向性を持った音の衝撃破ってヤツさ、そいつが地面を伝ってお前の足を掬ったんだ」

和「……」

律「そう…音の衝撃破だ…あたしの腕の前では地球上にある全てのモノがドラムとなる、ドラムとなって音を出すっ!」

言いながら律は左のスティック腕を宙に振りかざす。

律「何もかもがドラムとなって、だ。地面だろうが…空気だろうが…何もかも…」

和「…(マズいっ!?)」
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 19:24:32.82 ID:l6T49lmy0
sie
449 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:01:25.70 ID:USqSgp700
律のその挙動に身の危険を感じた和は倒れた状態からすかさず身を起こす。
そして和は後方へとバックステップ。
瞬間、律の左腕は何も無い虚空を叩いた。

パ ァ ン

辺りに炸裂音のような乾いた音が鳴り響く。
それと同時に和の近くにあった倉庫内の窓ガラスが次々と割れる。
辺りにガラス片が降りそそぐ。

和「っあぁぁぁっぁあああぁっ!」

次いで和の絶叫が響き渡った。
片方しか無い、その左腕で左耳を押さえ和はのたうち回る。
脳内を掻き毟られるような感覚が開けた右耳から侵入していた。
450 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:02:46.65 ID:USqSgp700
和「っあぁうあぁっっ!」

後方へ退き、頭を抱えのたうち回る和を見て律が口を動かす。

律「良い判断してるぜっ優等生!前に出たままだったらお前の鼓膜は両方ともぶっ潰れてたっ!」

和「…くぅ…っ」

頭を抱えながら和は散らばったガラス片を踏みしめ走り、その場から離れる。
そして和は近くにあった資材置場に身を隠した。

律「なんだなんだぁ!?逃げる気かよ和ぁっ?お前の復讐ってのはそんなモンかぁ!?」

すかさず律は和を追いかける。
しかし入り組んだ倉庫内のどこかに身を潜めたのか和の姿は見当たらない。
451 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:04:02.50 ID:USqSgp700
律「和…あいつどこに隠れたっ!?」

資材に背を預け律はキョロキョロと辺りを窺う。
和が出てくる様子は無い。

律「…コソコソしやがってっ!また『やめてやめて〜』なんて言って見逃して貰おうとでも考えてんのかぁ?」

挑発混じりに律は姿を見せない和に対し言葉を掛ける。

律「…なぁ和…思い出さないか?裏切り者のお前を処刑した時もさぁ…こんな倉庫の中だったよなぁ?」

喋りながら律は慎重にあたりに気を配る。
視界内には見当たらないが和の気配を感じていた。
和はすぐ近くにいる。
452 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:05:52.98 ID:USqSgp700
律「あたしのこの腕で…お前の右腕を粉々になるまでぶっ叩いてさぁ…そんなあたしに復讐しに来たんだろ?隠れてないで出て来いよっ!」

コツン

律「っ!?」スッ

律のすぐ横から物音が響いた。
左腕を掲げ目を向けると毟り取られたような資材の欠片が転がっている。
和の姿は見当たらない。

律「…古典的な手を……っ」

ズボォア

律「!?」

律が注意を取られた一瞬、背を預けていた資材が突き破られた。
資材を突き破って出てきたモノは鉄の左腕だった。
その鉄の左腕は資材を突き破った瞬間、スティック型の律の左腕を掴んでいた。
453 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:07:50.11 ID:USqSgp700
律「…ぅあ…和ぁ…っ!」

和「…っ!」ギリ ギリ

律が背を預ける資材がバラバラと崩れ背後から和が姿を現す。
和はそのまま握りつぶすような勢いで律のスティック腕を掴む左手に万力の如く力を込める。

律「…このっ!」ボグゥ

和「ぁぐっ」ギリ ギリ ギリ

律の自由な右腕から和の鳩尾に肘鉄が入る。
しかしそれでも和は左手の力を寸分も緩めない。

律「…この程度であたしを押さえつけたつもりかよ?左腕を押さえつけたぐらいでさぁ…っ」

和「……っ」ギリ ギリ
454 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:09:27.43 ID:USqSgp700
律「…和ぁ…お前は片腕しか無いよなぁ…だけどあたしには両腕があるっ…そして今お前が押さえていないあたしの右腕もなぁ…」

左腕を和に拘束されたまま律の右腕に彩られたタトゥが淡く光った。

ガコン ガシュ イイイィィイイン

律の右腕が淡い光を帯びたまま機械的な音を響かせる。

和「…っ!」グ グ グ

それと同時に和は掴んでいた律の左腕を頭上に上げ始めた。
スティック型の左腕が律の意思に反して高々と上げられる。

律「……お、おいっ?待て!何してるっ!?」

カシャカシャカシャカシャ
…ピタリ

律の新しい右腕の構築作業が、その動揺のためかピタリと止まる。
455 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:11:38.76 ID:USqSgp700
律「…っまさか『振る』気か?やめろ…っ!この位置…この角度でスティックを『振った』ら、あたしもっ…お前も…っ!?」

和「っ!」ブンッ

ハ ゚ァ ンッ

眼前で炸裂音が轟いた。
律の背後から和が左のスティック腕を掴んだままそれで宙を叩いたのだ。
その衝撃で辺りのガラスが割れる。
辺りにガラス片が散らばる。

律「っあぁぁああぁぁぁっっ!」

和「…ぅっあぁぁうぅっ!」

和と律、両者とも左耳からは血が流れ落ち、地面を転げ回るように悶える。
456 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:13:15.92 ID:USqSgp700
和「…くぅっ律ーーっ!」

三半規管が揺れ、まともな態勢を取れない状態で和はのたうち回る律の首に左腕を掛けようと、

律「っぁあっ!このぉっ!!」ガキィン

その鉄の左腕を、律は同じく態勢もままならないまま左のスティック腕で迎撃し和から距離を取る。
スティック腕で撃墜された和の左腕の指はグシャグシャに折れ曲がっていた。

和「逃がさないっ!」

律の反撃を意に介さず、和は開けた距離を詰めようとする。
その刹那、律は左腕を振りかぶり、
457 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:14:34.53 ID:USqSgp700
律「っ!」ブンッ

ドォン

和「っ!?」

スティック型の左腕を律は地面に叩きつけた。
辺りに轟音が響く。
音が地面を伝って和の足を救う、そして和はバランスを崩す。
その隙に律は辺りに散らばったガラス片を踏めしめ走り倉庫内のどこかへと身を隠した。
458 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 20:16:03.09 ID:USqSgp700


律「…はぁ…はぁ…っくそっ!和…あいつ完璧にイカれてるっ!!」

倉庫内の物影に身を潜め、腰を下ろした状態で律は毒づく。
スティック腕の破壊力は自分が一番良く知っている。
眼前で宙を叩くスティック腕は、脳みそが弾けてもおかしくはない威力を秘めている。
開発者である和がその威力を予測できない筈がない。
そのスティック腕を自爆覚悟で振ってきた和。
“あいつはイカれている”
そう思う律の左耳からはポタリポタリと血が滴り、その奥にある鼓膜は破れていた。

律「……もういい、ヤメだ…」

言いながら律は立ち上がる。
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 20:18:06.29 ID:l6T49lmy0
sien
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 20:50:08.65 ID:vZWnPtOXO
む?
461 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 21:02:28.10 ID:USqSgp700
カシャカシャカシャ

律の右腕から機械的な音が響く。
構築途中だった律の右腕は再び蠢き、その構造を有機物から無機物へと変換していく。

カシャカシャカシャカシャ
カシャァン

構築作業が完了した律の右腕は、左腕と同じく凶悪なドラムスティックへと変貌していた。
両腕のドラムスティックを掲げ、律は吠える。

律「8ビートはもうヤメだっ!16ビートのリズムを刻んでやるぜっ!和ぁ!!」
462 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 21:04:22.60 ID:USqSgp700
投下区切り、2回規制くらっちった。
また仕事場から投下しているので、続きは帰ってから投下するす。
大体今夜の0時過ぎ。そんでりっちゃん編は終了。
463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 21:05:04.77 ID:Ae8VaW3KP
そういや、この和もヘイトと同じく白髪になったりしてるのか?
464 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 21:05:24.20 ID:USqSgp700
あ、すんませんが、その間保守をお願い出来れば…
休日はすぐ落ちるんで怖い。
465 ◆HZn49RRfHY :2010/08/07(土) 21:16:16.29 ID:USqSgp700
出る前に保守。

>>463
そこらへんは細かく決めてないす。
1はなんとなく黒髪のままのイメージでわちゃんを書いてますが、
まぁご想像にお任せという事で。
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 22:08:10.38 ID:nMn8tINx0
つづき・・・まだ・・・
467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 22:40:46.20 ID:/5C25CLy0
ほしゅ
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 22:53:30.70 ID:skmTC/SL0
hosyu
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 23:37:23.01 ID:F21WY1jb0
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 23:37:41.25 ID:h32BPq7M0
保守
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/07(土) 23:55:53.02 ID:cCkuTbsl0
472 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:13:08.15 ID:zzwQ2cU30


すんでの所で律を取り逃がした和はガラス片がまかれた場所に留まっていた。
和の左耳からは血が流れ出ている。
律と同様に、和の左の鼓膜も破れていた。
辺りに気を配りつつ和は左腕の感触を確かめる。
473 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:14:13.32 ID:zzwQ2cU30
和「…はぁ…はっ…(左腕もロクに動かない)」

息を整え和は自身の左腕を見る。
律の一撃により鉄で作られた左腕の指はひしゃげ、小指と人差し指が欠けていた。

和「……(だけど私の腕は付け替える事が出来る)」

スペアの腕が入ったカバンは倉庫の扉付近に置いてきた。
そこまで行けば新しい腕に付け替える事ができる。
そう思った和は目的の場所に歩を進めようとする。
474 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:15:43.30 ID:zzwQ2cU30
ガシャン

一歩、足を踏みしめた時に何かが割れる音が響いた。
律のスティック腕によって叩き割られたガラス片の一部。
それを踏んで割れる音だった。

和「……ガラス?」

散らばったガラス片を踏みしめながら和は倉庫の扉を目指す。
薄暗い倉庫内で唯一日光が差し込む場所には黒塗りのカバンがあった。
475 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:17:10.26 ID:zzwQ2cU30
和「…(腕はあの中に)」ダッ

目的のカバンを目で捉えた和は、
ガシャガシャとガラスを踏んで割らす音を鳴らしながら、その位置まで急ぐ。

ダンッ

和「っ!?」

しかしそこには既に先客がいた。
和より先に、その場所に居たそいつは和に見せつけるようにカバンを踏みつけていた。
476 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:18:24.25 ID:zzwQ2cU30
律「このカバンの中に腕のスペアが入っている……か?」

和「……」

律「だったらあたしはここを動くワケにはいかねーなぁ…」

カバンを踏めつけたまま律は右のスティック腕を和に向ける。

律「なぁ和…お前には感謝してるんだぜ?」

和に話しかけ、気を向けながら律は考えを巡らせる。
477 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:19:41.76 ID:zzwQ2cU30
律「お前に襲撃喰らってさぁ…正直あたしは恐怖した」

和の左耳から血が流れ落ちている。
その事実から自分と同様、和の左の鼓膜が破れているであろう事を律は確信する。

律「だけどなっ…その恐怖があたしを蘇らせたっ!軽音部のドラマーとして生きていた、あたしの熱い魂をっ!」

その状態で、和の鼓膜が破壊されている状態で、
両腕でのドラミングを行えば、多少距離は離れていても次は中耳を破壊できる。
つまりは脳みそを破壊できる。

律「……」

その思考中に弟の事がふと頭によぎり、律は少しの間、考えるのをやめた。
478 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:21:36.83 ID:zzwQ2cU30
律「聡を失った事でさ……魂が死にかけていた…」

和「…律……私の苦しみが分かったかしら?」

律は和に向けていた右腕をダラリと下げた。
そして和のその言葉の意味を考える。

律「お前の………苦しみ?」

和「……」

律「先輩を失ったお前と…聡を失ったあたし……同じ…苦しみ、か…」

そう呟いた後、一度下げた右腕を再び和に向け律は答えた。
479 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:23:10.59 ID:zzwQ2cU30
律「一緒にするな」

和「…律…あなた……」

律「聡はなぁ…あたしの弟なんだぜぇ?まるで違うんだよっ!!」

そして律は先ほどの思考を再開させる。
多少距離は離れていても両腕でのドラミングは脳みそを破壊できる。
しかし今はまだやらない、出来ない。

律「お前の先輩なんかとはなぁっまるで価値が違うんだよっ!お前もその先輩もムシケラだぁっ!!」

和の居る位置から距離が離れすぎている。
両腕のドラミングを持ってしても、まだ確実な距離ではない。
480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 00:25:01.59 ID:v3jbwF7W0
sien
481 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:25:12.31 ID:zzwQ2cU30
律「ゴミみてーな生徒会!安っぽい友情!!そんなモンに満足しやがるっ!」

和を指差し律は挑発を繰り返す。
和が自ら近寄ってくるように、自分から距離を詰めてくるように。
確実な死へ歩ませるため。

律「お前ら生徒会はそんなムシケラだろがぁ!?」

和「……何が分かるのよ?」ズシャッ

ガラス片を踏めしめ和は律に向かい一歩、足を動かした。
482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 00:25:57.41 ID:v3jbwF7W0
さるよけ
483 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 00:26:49.47 ID:zzwQ2cU30
和「律……あなたに私たちの…私と先輩の何が分かるの?」ズシャ

また一歩、和が律に近づくたびにガラス片の割れる音が響く。
それは和が気づかぬ死へのカウントダウンの音。

律「分かるかよ、ムシケラ共のママゴト遊びなんてさぁ(…いいぞ、あと3歩だ)」

和「…律……絶対に許さない」ズシャ

和が歩を進めガラス片の割れる音が響く。
484 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:00:36.55 ID:zzwQ2cU30
律「和……最後に一つ教えてやるよ(…あと2歩っ)」

ガラス片が割れる音を聞く度、ほくそ笑む律が和に声をかける。
更に自分の元に、死へ近寄らせるために。

律「お前の先輩…生徒会長を誰が水槽に沈めたか……知りたいだろ?」

和「…曽我部…先輩……」ズシャッ

ガラス片の割れる音が響く。
485 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:03:26.31 ID:zzwQ2cU30
律「部の責任者として一番信頼を置かれていた部長が…生徒会長を水槽に沈めたんだよ(…あと1歩っ!)」

その顔に笑みを浮かべ律は告白した。

律「つまり……このあたしだ」

和「…先輩……っ」ギリ

律「泣けよっ!喚けよっ!あん時みたいにさぁっ!!(…来い和っ!もっと前にっ!)」

しかし和は歩を止め、その場で打ち震える。
その和の左手には何かが握られていた。
486 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:05:00.37 ID:zzwQ2cU30
律「?」

和が握ったものの存在に律が気が付く。
和の左手は指が欠け落ち、ひしゃげているものの、それはしっかりと握られていた。

和「曽我部…先輩……」カチャン カチャ

律「……ガラス?」

握られていたのはガラス片だった。
握ったガラス片を取り付けるように和は右肩の接合部とガラス片を擦り合わせる。

律「…なにやってる?」

和の不審な動作に律は気を取られる。
487 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:05:58.46 ID:zzwQ2cU30
――触れずにものを動かす力…失ったモノを繋ぎ止める痛み…

かつてのベッケル博士の言葉が和の脳裏によぎった。

和「…(ゼスモスは……)」カチャカシャ

――切られたリボンを繋ぎとめる事もできよう

和が肩の接合部から手を離す。
そこにはガラス片が取り付けられていた。
488 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:07:35.42 ID:zzwQ2cU30
律「…なんだよ…なんだよっそれは!?」

そのガラス片がどうやって肩の接合部に取り付いているのか律には理解できない。
いや、ただ取り付いているのではない、浮遊しているようなガラス片まである。
和が握っていたガラス片だけで構成されているため、はっきりとは分からなかったが、
律にはそれが腕の輪郭を成しているように見えた。

和「…先輩…っ」ギリ ギリ

和が右肩を―右肩に取り付け浮遊しているガラス片を、手をつくように地面に向ける。
すると地面に散らばっていたガラス片が磁力で吸い寄せられたかのように次々と和の右肩から先に集約されていく。
散らばったガラス片が和の右肩に繋ぎ止められ、出来あがったモノの正体を律ははっきりと認識できた。
489 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:10:10.74 ID:zzwQ2cU30
律「…腕……ガラスの腕…」

和「…っ」

そのガラスの右腕を和は大きく振りかぶる。

律「…くっ!」

瞬間、律も踏みつけていたカバンから足を離し、両のスティック腕を振りかぶった。

律「和ぁーーっ!!(距離は?もう関係ねえっ!この位置からでもあたしならやれるっ!)」
490 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:11:50.59 ID:zzwQ2cU30
和「っ!」ブンッ

律がその両腕を宙に叩きつけようとする刹那、
和のガラスの腕が律の首に向かい真っ直ぐに伸びた、伸び上がった。

律「!?」

両腕を上げたまま律の首はガラスの腕に飲み込まれる。
ガラス片が律の首を通過する度、皮膚は裂けプツプツと首から血が噴き出す。

和「っ!!」グン

和は限界まで伸び上げたガラスの腕を、律の首を飲み込んだガラスの腕を、
体を捻り一気に引き寄せ、
491 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:13:15.14 ID:zzwQ2cU30
ズ バ ン

律の首筋から輪を描くような血が噴射された。
引き寄せられたガラスの腕は和の手元に戻る際、律の頸動脈を切断していた。


律「………(あの腕は…和のあの腕は何だ…?あいつはとんでもない力を手に入れ…)」

ドサリ
492 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:14:40.78 ID:zzwQ2cU30
地面にガラス片混じりの血溜まりを作り律はその場で息絶えた。
その場に残ったのは一つの復讐を終えた片腕の女だった。

和「あと…4人……!」

ガラス片が散らばった足元で和は鉄の左腕を見る。

“復讐”
それは地獄への旅立ち。
493 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 01:16:29.19 ID:zzwQ2cU30
――――

―かつて軽音部が使っていた音楽室

そこに一人の女がいた。

♪キミ ヲ ミテルト イツモ ハート DOKI☆DOKI☆♪

ピッ

女はかかってきた携帯を手に取り応答する。

「…殺されたって?…そんなハズないよ…一体誰に?」
「和ちゃん!?嘘だよ……」
「本当なんだね?…鉄の腕…何それ……」

ピッ

携帯での会話を終えた後、女は一人ほくそ笑んだ。

唯「ふふっ…生きてたんだね…和ちゃん」
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 01:17:35.90 ID:kwcDW+6NO
かっけぇ
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 01:24:50.38 ID:6Ruw7OoC0
おぉ!支援
496 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 02:02:04.70 ID:zzwQ2cU30
投下完了すってトコでまたちょうど規制。
最後二つに区切ろうかと思ったけど、区切らなくて良かった。
ちなみに元ネタでのとどめはガラスじゃなくって鎖腕す。

これにてりっちゃん編は終了。
あと4人、あと4人かぁ…

今日はここまでで、保守、支援してくれた人あざっした!
次はムギ編
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 02:24:47.40 ID:xlwrprLM0
おつ
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 02:34:33.51 ID:cM1kl8exP
次はムギ篇か...
名前忘れたけどムギ篇の子供とか、アールダー篇の女とか、アランとかどうすんの?
499 ◆HZn49RRfHY :2010/08/08(日) 02:43:13.14 ID:zzwQ2cU30
>>498
まだ言えないけど、一応はちゃんと考えてるす。
ただしムギ編の子供(レイ)だけは、かなり強引な配役になるす。
まずけいおんキャラじゃない。
500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 03:43:56.84 ID:xlwrprLM0
ほす
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 05:02:00.53 ID:cM1kl8exP
>>499
そうか楽しみにしてるぜ
502以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 07:26:44.34 ID:cM1kl8exP
ほsh
俺はもう寝る
503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 07:37:36.44 ID:1tcPksUh0
エムジェイのセリフがなんだかとてもおもしろいなあと思いました
504以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 08:51:56.22 ID:zzwQ2cU30
保守
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 09:35:10.75 ID:zzwQ2cU30
保守
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 12:41:01.68 ID:tx2d2CLQ0
ほしゅ
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 13:49:08.45 ID:mcmodAHLP
ほっしゅー
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 15:00:55.90 ID:kwcDW+6NO
おっと
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 16:07:02.20 ID:mcmodAHLP
おっとっと
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 16:50:26.66 ID:4SwaYSa50
☆ゅ
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 18:14:21.74 ID:L/FGULIG0
ほしゅ
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 18:52:25.40 ID:1Lq4fU+D0
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 19:59:35.77 ID:VkJV5Djc0
アールダー編まだ〜
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 20:11:16.65 ID:cM1kl8exP
>>513
次はラフィンだろ
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 20:57:18.54 ID:4SwaYSa50
干しゅ
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 21:33:35.40 ID:zzwQ2cU30
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 22:17:51.91 ID:zzwQ2cU30
ほしゅ
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 22:58:30.61 ID:zzwQ2cU30
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 23:35:38.48 ID:UwWu8RGU0
ほす
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 00:14:30.89 ID:XDlkfY6G0
521 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 00:57:59.84 ID:XDlkfY6G0
――――

――とある高層ビルの最上階
そこではある式典が行われていた。
式典には各界に名を馳せる著名人たちが列席している。
煌びやかな衣装に身を包んだ著名人達が用意された最上の食事に舌鼓を打つ。
その様は中世の世で例えるならば、貴族の晩餐会、といった所だろうか。
522 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 00:59:08.79 ID:XDlkfY6G0
その隅でドレスを着た一人の女が携帯を手に取り、声が漏れないようひっそりと喋っていた。

「…嫌だわ、復讐劇なんてクラシックの世界じゃ流行らない」
「ごめんなさい、私今忙しいの。ピアノが私を待っているのよ」
「鉄の腕…?…で…私に警戒が必要だと?ふふっ大丈夫よ〜」
「そんな事より今日はたくさんの人が集まってくれてるのっ琴吹財閥一世一代の式典だもの、私も頑張らなくっちゃっ!」

ピッ
523 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:00:14.19 ID:XDlkfY6G0
ひとしきり通話を終えた後、女は携帯の電源を切り懐にしまった。
そして女は出番待ちに備えてコンパクトミラーを手に持ち身だしなみを確認する。
少しクセのある長いブロンドヘアーの女だった。

貧乳少女「……」

その女の様子を一人の少女が遠巻きに見ていた。
式典の出席者が着ているようなドレスやスーツではなくメイド服を着た少女だった。
背も小さく胸も発達していない、
ピンっと1本クセッ毛が立った青いロングヘアーの幼い少女。
従業員側の人間なのだろうか、少女は手に持ったモップをバケツに浸し辺りの清掃作業を行っていた。
524 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:01:23.11 ID:XDlkfY6G0
貧乳少女「…(確かめるんだ)」ザパァ

貧乳少女「…(お父さんの…死んだ原因を)」ゴシゴシ

雇い主のおっさん「おいっバイトォっ!お前は客じゃねえんだぞっ!ボーっと見てねえでしっかり働けぃ!」

貧乳少女「は、はい!すみませーんっ」

雇い主のおっさん「ケッ…ガキは好かん」

余所見をしながら掃除をする貧乳少女に、その雇い主が一喝して注意を促した。
そして式典の壇上、食事を楽しむ出席者達の前に主催者が立ちスピーチを始める。
525 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:02:52.32 ID:XDlkfY6G0
「本日は、琴吹社創立100周年を祝う晴れの式典に列席の栄を賜り、厚く御礼申し上げます」

壇上に立った主催者が手を前に組み畏まった姿勢で話す。
そしてテンプレート通りのスピーチは進んでいく。

「……と同時に琴吹社がナノテクノロジー事業を手がけて以来、1年が経つワケでもあります。
 人類の新たな進歩と言って過言でないナノテクノロジー技術は、
 医療を中心に今や世界の至る箇所で普及の動きを見せ始めております。
 この段階に至るまでナノテクノロジー技術の体制を整えてこられた事は、
 研究員一同の筆舌に尽くせぬほどの努力と成果は元より、
 我が娘、紬の協力あってこその結実だったと言えるでしょう」
526 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:04:22.45 ID:XDlkfY6G0
壇上に立ってスピーチする主催者、紬の父親が横に手を広げる。
そして壇上の横でスタンバイしていた紬にスポットライトが当たった。

紬父「そんな誇れる我が愛娘、紬からささやかながらも一曲演奏をさせて頂きます。どうぞご拝聴下さい」

パチパチパチ

短い拍手の後、
スピーチを終えた紬父は壇上から退き、代わりに紬が壇上の中央へと立つ。
527 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:07:06.08 ID:XDlkfY6G0
紬「…」ペコリ

軽い一礼をした後、紬は用意されたピアノの前に座る。
そして演奏は開始された。

〜♪

曲目はクラシックだった。
紬が奏でるピアノの演奏を出席者たちは静かに聞き入る。
しばらくは楽譜通り順調に演奏していた紬だったが、突如異変が生じた。
528 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:08:08.13 ID:XDlkfY6G0
ジャジャンッ

紬「っ!?」


ザワザワ
「あら?今…」
「ふむ…」
ザワザワザワ
529 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:09:12.39 ID:XDlkfY6G0

優雅なクラシック曲が突如乱れた事により聞き入っていた出席者達が小声で騒ぎ出す。
紬が叩く鍵盤を間違えたのだ。

紬「…」

〜♪

ミスをしたものの紬は落ち着いて楽譜通りに指を動かす。
そして何事も無かったかのように演奏を続けた。
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:09:33.30 ID:0K9on1JD0
C
531 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:09:58.49 ID:XDlkfY6G0

クスクスクス
「あらあら何もなかったみたいにまた演奏して」
「所詮は箱入り娘ね」
「私なら恥ずかしくってこれ以上演奏なんて出来ないわ」
「まったく…聞くに堪えんわい」
「令嬢には誇りもないのか?ふらやましいよ」
クスクスクスクス


紬「…」

〜♪
532 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:11:32.76 ID:XDlkfY6G0
小声ながらも出席者達の嘲笑は演奏中の紬の耳にしっかりと届いていた。
しかし紬は表情を崩さず黙って演奏を続ける。

紬「…(厳しいわ…でも仕方がない…)」

〜♪
クスクスクスクス

出席者達の嘲笑が紬の耳に届く。

「おいっ!あんたらっ!!」

嘲笑を繰り返す出席者達に向かって、一人の男が立ち上がり声を荒げた。
533 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 01:12:44.48 ID:XDlkfY6G0
紬「…(……おじさま?)」

突如立ち上がり声を上げたのは紬の叔父だった。
紬叔父は立ち上がったまま、続けて声を上げる。

紬叔父「頑張って演奏してるんじゃないか!?それなのにちょっと間違えただけで笑ってバカにするなんて最低だと思わないのか!?」

紬「…(おじさま…やめて…)」
534以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:19:22.52 ID:JsbtHYi5Q
誰か代理スレ立て頼む
スレタイは
澪「ここはどこ?」
535以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:22:07.10 ID:TwV/jrnCP
536以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:23:37.44 ID:JsbtHYi5Q
>>535
ありがとう
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:32:04.23 ID:+iHYBy/w0
フジツボ
538以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:45:44.94 ID:mvTdieiEO
規制かな?
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 01:51:38.56 ID:mvTdieiEO
規制かからない間隔で投下できないもんかな
どれくらいかわからんけど
540 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:00:58.94 ID:XDlkfY6G0
紬叔父「あの子は私の姪なんだっあんた達だって自分の親戚が間違ったりしても笑ったりしないだろ?」

紬「…(お願い…やめて…)」

紬叔父「まだ高校生の女の子がこんな大勢の前で演奏してるんだ…間違えるのだってしょうがないさ!黙って聞いて上げてくれ」

紬叔父の言葉により、出席者達は黙り嘲笑は止んだ。
そして演奏が終わる。

パチパチパチ
541 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:02:58.94 ID:XDlkfY6G0
紬「…」ペコリ

社交辞令にしか過ぎない拍手の前で紬は立ち上がって一礼した。

紬「…」スタスタ

出席者達「?」

一礼した紬はそのまま奥に引っ込むのかと思いきや、
壇上を降りて、歩き出席者達の前に立った。
いや、正確には自分の叔父の前に立った。
542 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:04:56.41 ID:XDlkfY6G0
紬叔父「?」

紬「……」スゥ

叔父の前に立った紬はどこにしまっていたのか小型の携帯キーボードを取り出していた。
それを肩に下げ、紬は立ったまま演奏の準備に入る。

紬叔父「お?スタンディングパフォーマンスってヤツかい?よし!がんばれっ紬ちゃん!」

紬「…」ポロロ〜ン♪

紬が演奏を開始する。
紬叔父にとってそれは聞き覚えのある曲だった。
543 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:07:03.04 ID:XDlkfY6G0
貧乳少女「!?」

紬叔父「お?放課後ティータイムの曲だね?得意な曲で名誉挽回ってワケだ!頑張れっ!」

♪ひかり輝く軌跡なら ドキドキの向こうに♪

紬は声を出さずただキーボードを弾いているだけ。
しかしキーボードの奏でるフレーズと同時に、
その歌詞も何故だか叔父の脳内に再生されていた。

♪果敢に挑戦 日々は小さな荘厳の冒険♪

紬「おじさま…」ポロ〜ン♪

紬叔父「?」
544 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:10:10.67 ID:XDlkfY6G0
紬が叔父にしか聞こえないような小声で話す。
その間も演奏は続く、叔父の脳内にだけ歌詞が再生される。

♪羽根ひろげたら深呼吸♪

紬「嘲笑は仕方がありません…実力の世界ですもの…」

♪そして信じるだけ♪

紬「…でもね…でもね……」ポロロ〜ン♪

♪私はきっともっと遠く♪
545 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:13:24.00 ID:XDlkfY6G0
紬「憐れみは我慢ならないわ」

♪遥かな空へゆける♪

紬叔父「……」

そして紬の短い演奏は終わった。
演奏を聴いていた紬叔父は打って変わって呆けた表情となっていた。

貧乳少女「…(同じだ…お父さんの時と同じっ!)」

紬叔父「……っと………ける」スタスタ

呆けた表情のまま紬叔父はボソボソと呟きながら歩き出していった。
546 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:15:51.72 ID:XDlkfY6G0
紬「あら?帰ってしまうんですか?おじさま」クスクス

その叔父の背中をクスクスと笑いながら紬は見送った。

貧乳少女「…っ!(お父さんと同じならあのオジさんはっ)」ダダダッ

雇い主のオッサン「あっ!こら!バイトォー!まだ掃除終わってねーだろ!?」

遠巻きに見ていた貧乳少女はモップを放り出し、歩き出した紬叔父の後を追いかけていった。
547 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:18:49.51 ID:XDlkfY6G0
紬叔父「…わたしはきっともっととおく……」

呟きながら歩く叔父の前には窓が見えていた。
ふらふらと窓に向かう紬叔父は異常な雰囲気だった。
そんな紬叔父を不気味に思った周りの人間は関わらないよう小声でザワめきながら窓への道を空ける。

紬叔父「…はるかなそらへゆける……」

窓の前で紬叔父はピタリと足を止める。
しかし呆けた表情での呟きは止まらない。
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 02:18:59.92 ID:tX1ks2j90
しえん
549 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:21:07.59 ID:XDlkfY6G0
紬叔父「…そらへ…ゆける…ゆける…ゆける……」

窓ガラス越しの空を紬叔父はジっと見る。
そして紬叔父は窓の枠に手をかけ身を寄せる。
高層ビルの最上階に設置された窓は人間1人がくぐるには十分な枠の大きさ。
そして、

紬叔父「そらへゆけるっ!!」

ガシャァン

辺りにガラスの割れる音が響いた。
550 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 02:23:18.41 ID:XDlkfY6G0
キャー
ナニ ガ アッター
トビオリタゾー
ジサツ カー?
イヤー
ワーワーワーワー!

一部始終を見ていた周囲の人間が一気に騒ぎ始めた。
紬叔父が窓に手をかけ体を突っ込ませたのだ。
そして窓ガラスを割り最上階から空へとダイブ、そのまま紬叔父は地上へと転落していった。

貧乳少女「…あぁぁぁあぁぁ……」

貧乳少女が割れた窓から顔を出し、地上へ落ちた紬叔父を見る。
高層ビルの最上階から見る紬叔父は豆粒程の大きさにしか映らなかったが、
死んでいるであろうことは間違いなく分かった。
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 02:48:33.11 ID:tX1ks2j90
552 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 03:00:14.62 ID:XDlkfY6G0
紬「…斉藤」

斉藤「はっ」

飛び降りた叔父、騒ぐ人間には一瞥もくれず紬は執事に声を掛ける。

紬「…疲れました…今日はもう寝ます」

斉藤「…はっすぐに寝室のご用意を致します……」

一人の人間の飛び降り自殺ショーを持って式典は幕を閉じた。
553 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 03:07:22.43 ID:XDlkfY6G0
投下完了
というワケでムギ・アガマアガマ編す。
この導入部を書くためにスピーチの仕方とかググって見てみたんですが、
なんか色々間違ってるかもしれません、礼節とか言葉とか。

規制は00分には解除されるみたいす。
なので間が空いた時は00分頃に再投下すると思ってくださいす。

あと、ここから先の展開を書くのにちょっと教えて欲しいのですが、
紬が斉藤と喋る時って敬語だっけ?タメ口だっけ?
あと斉藤が紬を呼ぶときって紬さま?紬お嬢様?お嬢様?
ちょっとそこらへん資料が無いのでド忘れしちゃいました。
すんませんが覚えてる方いたらよろしくです。

>>534
投下間隔2〜3分ぐらい空けてみたけど無理だた。
どれぐらい空けりゃいいんだろ?
554 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 03:13:51.25 ID:XDlkfY6G0

ごめん534じゃなくって
>>539
す。
555以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 03:21:37.91 ID:mvTdieiEO
今日もおつ
556 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 04:15:56.19 ID:XDlkfY6G0
保守
557以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 04:59:18.38 ID:Bo3R+lmKP
>>556
お前は保守してないで続き書けよwww
558 ◆HZn49RRfHY :2010/08/09(月) 07:59:36.78 ID:XDlkfY6G0
寝る前だったので一応
そして出る前にも一応ほす
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 09:37:27.97 ID:BQRI/y+N0
ho
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 11:00:15.47 ID:92LR4j2c0
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 12:27:20.87 ID:TXflDciK0
ほす
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 13:35:57.42 ID:0K9on1JD0
☆彡
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 14:28:09.01 ID:dN2fh4otO
ムギちゃん来た!
保守
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 15:32:37.20 ID:6hh7NMSm0
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 16:47:33.87 ID:6hh7NMSm0

566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 17:06:03.98 ID:BKFv5cTF0
567以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 18:14:54.33 ID:92LR4j2c0
568以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 19:37:19.92 ID:92LR4j2c0
569以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 20:10:34.61 ID:qsGxlqo80
570以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 20:34:02.80 ID:QP/GuxHM0
571以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 21:40:54.46 ID:92LR4j2c0
572以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 22:32:02.75 ID:AstsQSC90
573以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/09(月) 23:15:53.11 ID:+iHYBy/w0
574以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 00:16:22.50 ID:hMLZwE4C0
575garu0757:2010/08/10(火) 00:20:57.43 ID:hMLZwE4C0
すんません、ちょっと続きがまとまんないので今日の投下は無理す。
気晴らしに書いてみたもの↓
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1281367147/l50
576 ◆HZn49RRfHY :2010/08/10(火) 00:22:26.38 ID:hMLZwE4C0
げ、トリバレしちった。
次から変えます。
577以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
保守