1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 20:56:16.55 ID:sdLUtL0N0
支援
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 20:56:26.01 ID:2gNQwVDh0
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 20:59:03.53 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o「ねえ、モララー。もうすぐ一学期が終わるね」
( ・∀・)「……ああ」
o川*゚ー゚)o「いろんな事があったね」
( ‐∀‐)「……ああ」
o川*゚ー゚)o「……これからも助けてくれる?」
( ‐∀‐)「……」
o川*゚ー゚)o「……なんで黙るの?」
( ‐∀‐)「……仕方ないだろ」
o川 − )o「言ってよぉ……」
( ∀ )「……言えない」
o川*;д;)o「キューちゃんに期末試験の勉強教えてあげるって言ってよぉ!!!」
(#・∀・)「シリアスな感じで頼んでもダメに決まってんだろおおおおおお!」
梅雨も過ぎて、もうすぐ夏休み。
それと同時に、期末試験一週間前でもあった。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:02:16.66 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)oは残像のようです
第四話 第六感でときめいて
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:02:42.74 ID:ga5JzQH30
キューちゃんは今日も絶好調ですね
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:04:06.60 ID:2gNQwVDh0
o川*;д;)o「なんでぇ!? こんなに真面目に頼んでるのにぃ!」
(#・∀・)「普段から勉強してないのが悪いんだろうが!」
涙目になりながら、キュートは制服の袖にしがみついてくる。
せっかくの昼休みなのに、休む事すらままならない。
(#・∀・)「大体な、僕にこうしてる時間を勉強の時間に使えばいいだろ!?」
o川*;д;)o「それが出来たらとっくにやってるもんっ!
モララーはキューちゃんの頭の悪さナメてるの!?」
(;・∀・)「なんてひどい逆ギレ……」
ここ数日、キュートにこうして付きまとわれっ放しだ。
だけど、ついにキュートの中で何かがはじけたのだろうか。
半ばヤケクソ気味に僕に勉強を教えてくれと頼んでくる。
(;‐∀‐)「ていうかさ、中間試験の時に言った事覚えてるか?」
o川*;д;)o「……え?」
――――――
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:05:45.15 ID:jJIVoqZ90
キュートかわいいよキュート
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:06:04.68 ID:2gNQwVDh0
o川*゚д゚)o『ふはははは! もうすぐ中間試験だ!』
(;・∀・)『……なにそのキャラ』
o川*゚д゚)o『テストで勝負だ、モララー!』
(;・∀・)『……ああ、そういう事か』
o川*゚д゚)o『今からテストが終わるまでは敵同士だよ!
だから、今までのような仲良しこよしはナシ!』
( ‐∀‐)『あー、はいはい。勉強教えてくれって言われても教えないからな』
o川*゚д゚)o『そのセリフ、そのまま返させてもらおうから!
モララーが泣いて頼んでも教えてあげないっ!』
( ‐∀‐)『僕も泣いて頼まれたって教えません。これでいい?』
o川*゚д゚)o『そんなどうでもよさそうな態度でいられるのも今だけだよ!
テストが終わった頃にはキューちゃんに土下座してるんだからっ!』
( ・∀・)『はいはい、そうですね。さーて、予習予習』
o川*゚ー゚)o『さてさて、まずは授業に備えて仮眠でも取ろうっと』
〜〜〜〜〜〜
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:08:06.15 ID:2gNQwVDh0
(゚、゚トソン『えー、それではテストの返却をします。
今回の平均点は56点、最高点は88点、最低点は21点でした。
名前を呼ばれた人から取りに来てください』
o川*゚ー゚)o『ふふふ、ついにこの時が来ましたよ奥さん』
(;・∀・)『いつから僕は人妻になったんだよ』
o川*゚ー゚)o『そんな事言ってられるのも今だけなんだから!
土下座の練習はしてき……はーい』
(;・∀・)『やけに自信満々で怖いな……』
o川*゚ー゚)o『ただいまー。むふふふふふ、ふふっ、ふっふふふふふふ』
(;・∀・)『なんだよその気持ち悪い笑い方……あ、はーい』
o川*゚ー゚)o『地獄への片道切符を貰ってきちゃったね。
それじゃあいっせーのせ、で見せ合いっこね』
( ・∀・)『分かった、んじゃ……』
o川*゚ー゚)o『いっせーのせ!』(・∀・ )
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:10:07.05 ID:V6Tx0IZM0
これは……ww
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:10:11.03 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o『ふははははは! キューちゃん見事に平均超えの64点!
対するモララーは……』
( ・∀・)『……』
o川;゚д゚)o『』
o川;゚д゚)o『は……88点……だと……?』
( ・∀・)『……で、誰 が 土 下 座 だ っ て?』
o川;゚ー゚)o『ま、まだ勝負はついてないもん! 五教科の合計で勝負だもん!』
(;・∀・)『あ、汚いぞ!』
o川;゚ー゚)o『き、キューちゃんオールラウンダーだし!
マリオ顔負けだし! これぐらい痛くも痒くもないもん!』
(;・∀・)『仕方ないな……名誉挽回の機会くらいは与えてやるよ』
o川*゚ー゚)o『言ったね!? 五回勝負認めたね!?
もちろんこれでキューちゃんが勝ったら土下座だからね!?』
(#・∀・)『人が情けをかけてやったら調子に乗りやがって……
まあいい、全てはテストで決着を付けようじゃないか』
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:12:06.71 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o『ふははははは! キューちゃん見事に平均超えの64点!
対するモララーは……』
( ・∀・)『……』
o川;゚д゚)o『』
o川;゚д゚)o『は……88点……だと……?』
( ・∀・)『……で、誰 が 土 下 座 だ っ て?』
o川;゚ー゚)o『ま、まだ勝負はついてないもん! 五教科の合計で勝負だもん!』
(;・∀・)『あ、汚いぞ!』
o川;゚ー゚)o『き、キューちゃんオールラウンダーだし!
マリオ顔負けだし! これぐらい痛くも痒くもないもん!』
(;・∀・)『仕方ないな……名誉挽回の機会くらいは与えてやるよ』
o川*゚ー゚)o『言ったね!? 五回勝負認めたね!?
もちろんこれでキューちゃんが勝ったら土下座だからね!?』
(#・∀・)『人が情けをかけてやったら調子に乗りやがって……
まあいい、全てはテストで決着を付けようじゃないか』
14 :
ミスった……死にたい:2010/07/20(火) 21:13:47.27 ID:2gNQwVDh0
――数学――
o川*゚ー゚)o『難問揃いで平均49点の中、キューちゃんはなんと60点!
どうだー! まいったかー!』
( ・∀・)『ところが、僕はなんと72点でしたとさ』
o川;゚ー゚)o『……つまり、どういうこと?』
( ・∀・)『キュートが僕に負けて、僕の2勝目って事です。
これで僕が次も勝ったら、勝ち越しで終わりでしょ?』
o川;゚ー゚)o『ちちち、違うよ! 五教科の合計得点で勝負だもん!
勝ち越したって終わらないよ! 終わらせないよ!』
(;・∀・)『こう言えばああ言って、ああ言えばこう言うな……』
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:16:04.10 ID:2gNQwVDh0
――英語――
o川*゚ー゚)o『見たか! 最高点の80点だ!
キューちゃんの得意教科に勝てるとでも思って……』
( ・∀・)『最高点がひとりだけなんて誰も言ってないぞ?』
o川;゚ー゚)o『モララーも80点……だと……?』
( ・∀・)『さて、あと社会と理科を残して僕の36点リードな訳だけど……』
o川;゚ー゚)o『まだキューちゃんが高得点取れていれば……
いや、モララーがミスをたくさんしていれば……』
(;・∀・)『だんだん発現が弱気になってきたな……』
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:17:07.63 ID:ga5JzQH30
ワロスwwww
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:18:04.65 ID:2gNQwVDh0
――社会――
o川;゚ー゚)o『よ……46点……』
(;・∀・)『一応勝ったけど……54点か』
o川;゚ー゚)o『うう……せっかくチャンスだったのに……』
(;・∀・)『いや……正直、今回は難しすぎたと思う……』
o川;゚ー゚)o『シュー先生ったら容赦無さ過ぎだよぉ……』
(;・∀・)『最後の一問の配点が30点って……
しかもコシヒカリの出来るまでの歴史って……』
o川;゚ー゚)o『それは出来たんだけど他が全然……』
(;・∀・)『そっち!? ていうか70点中16点って!?』
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:18:51.77 ID:sdLUtL0N0
支援w
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:20:11.57 ID:2gNQwVDh0
――理科――
o川*゚ー゚)o『はーい、50点でーす。モララーが6点以下とかありえませーん。
どう見てもキューちゃんの負けですよねー』
(;・∀・)『急に投げやりになったな!? 75点だけどさ!』
o川#>д<)o『大体さ、モララーずるいよ! 普段から勉強なんかしちゃってさ!
この卑怯者! インテリ! クラス順位3位! 学年19位!」
(;・∀・)『そっちから勝負ふっかけてきたんじゃん!
ていうか最初以外悪口になってないぞ!?』
o川#>д<)o「知らない知らない! もうモララーなんてずっと敵だもん!
二度と口聞いてあげない! ぜぇぇぇぇったいずぇぇぇったい聞いてあげないっ!』
(;・∀・)そ『あっ! どこ行くんだよ!』
(-@∀@)『キュートさーん、授業中ですよー……先生の存在忘れないでくださーい……』
――――――
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:23:03.31 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「っていう事がありました」
o川;゚ぺ)o「えー……あったっけ……」
僕が話し終わると、頭を抱えてキュートは唸りだした。
口を開けば、自問自答の言葉ばかりが出て来ている。
o川;゚ぺ)o「うーん、そんな事覚えてないよー。
大体さ、それと勉強教えてくれない事のどこに関係が……」
考えに考え抜いた末に、キュートはギブアップ宣言をした。
汗をかいたのか、手で前髪をほんの少しいじってから僕に問いかける。
( ‐∀‐)「次の日には何もなかったかのような顔で、
『おっはよー! キューちゃん今日も可愛いでしょ?』
なんて挨拶してきたからな……覚えてないと思ったよ」
o川*゚ー゚)o「あ、それは覚えてる!」
(;・∀・)「えええ……」
どうやら、相変わらず素敵な思考回路をしているようだ。
一旦仕切り直して、話を続ける。
( ・∀・)「キュートはこう言ったんだ。『ずっと敵だもん!』ってね」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:25:06.78 ID:2gNQwVDh0
o川;゚ー゚)oそ「はっ!!!」
大きく目を見開いて、両手で口元を押さえる。
気付いちゃいました、とでも言わんばかりの反応だ。
( ・∀・)「もう分かったよな? 言ってごらん」
o川;゚ー゚)o「わ、分かんない! キューちゃん可愛いけど頭残念だし!」
そう言いながらも、視線は定まらずに宙を泳いでいる。
不自然な笑顔を浮かべ、乾いた笑い声を出す姿は不気味だ。
( ・∀・)「分からないならとりあえず言ってごらん?」
o川;゚ー゚)o「えーと……あのー……」
普段なら素っ頓狂な答えが飛び出すはずなのに、言い淀む。
これは完全に分かっているな。分かってて言わないな。
o川;゚ー゚)o「……まだ敵対関係って感じ?」
( ・∀・)「正解、だから勉強を教える義理もありません」
o川*;д;)o「うわぁぁぁぁぁん!! 待ってぇぇぇぇ!!」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:27:03.71 ID:2gNQwVDh0
( ‐∀‐)(ま、本当はこじつけで言ってるだけなんだけどさ)
僕との対決ではボロ負けだったけど、キュートの成績も悪くはなかった。
多少点数が落ちたとしても、進級に関わるほどでもないだろう。
それに、今回は自業自得だ。キュートにとっていい薬になるに違いない。
o川*;д;)o「モララーごめんなさい! 謝るから勉強教えてぇ!」
(;・∀・)「だからさぁ……」
o川*;д;)o「ちゃんと言う事聞くからぁ!」
「キューちゃんが言う事を聞く……?」
「なん……だと?」
( ・∀・)「ん?」
もはやしがみつくような格好でキュートは僕を引き止めようとする。
そんな時、キュートの騒がしさにも慣れたはずのクラスメイトが、ざわつきだした。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:29:47.42 ID:2gNQwVDh0
o川*;д;)o「お願い、キューちゃんに色々教えてよぉ!」
「い、色々……ハアハア」
「キューちゃんに色々……まさかモララーの野郎……」
(;・∀・)(あれ、これなんかまずくない?)
今や廊下にいた人まで含めた周りの視線は、僕達に集中していた。
途中から聞き始めたからか、どうやら内容が歪んで伝わっているようだ。
o川*;д;)o「こんな事頼める人、モララーしか知らないのぉ!」
「……俺ちょっとトイレ」
「……ふう……ふう」
「実技ってか!? 実技で色々教えましたってか!?」
(;・∀・)「キュート、なんか周りがアレだからやめよう……」
o川*;д;)o「いいって言ってくれるまでやめないもんっ!」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:31:00.60 ID:V6Tx0IZM0
これは危険だww
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:32:06.95 ID:2gNQwVDh0
「おーい、こないだの黒魔術俺も手伝っていい?」
「ああ、助かるよ。たくさんの人とやると呪いが強くなるんだ」
「俺だってキューちゃんに保健体育を実技で教えてえよおおおおおおおお!!」
気付けば僕とキュートを中心に輪が出来上がっていた。
そして、様々な感情が渦巻いていた。主に僕への怨みが。
(;・∀・)「分かった分かった! 教えてやるから離せ!」
o川*;д;)o「ありがどぉおおおお!! もららぁあああびがぼおおお!!」
早くここから逃げ出したい一心で、つい折れてしまった。
キュートがお礼らしき言葉を言っているけど、もはや何を言っているか分からない。
o川*;д;)o「あどでぇ、ぎゅーぢゃんねぇ」
(;・∀・)「後で聞くから! だから今すぐここから離れよう!」
o川*;д;)o「よぐわがんないけどわがったぁぁ!」
そう言ってキュートの手を引いて、行く宛ては無いけど教室を飛び出した。
背中に氷柱の様に刺さる視線と、怨念のこもった声が痛かった。
〜〜〜〜〜〜
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:33:07.19 ID:ga5JzQH30
(;´Д`)ハァハァ
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:34:03.61 ID:2gNQwVDh0
あの後、僕は殺気に晒されながら一日を過ごした。
なんとか襲われないで済み、日が延びて明るくなった夕暮れ時の今に至る。
ようやく得る事の出来た平和な時間の中、僕はキュートと一緒に下校していた。
( ‐∀‐)「……ひとつ質問していいか?」
o川*゚ー゚)o「なになに? キューちゃんが気になっちゃってる系?」
陽の光に当たってきらめく色素の薄い髪をたなびかせて、キュートは答える。
自転車に乗ってさえいなければ、思わず魅入ってしまうほどに綺麗だ。
( ・∀・)「なんで付いてきてるの?」
o川*゚ー゚)o「え? 今日から勉強教えてくれるんじゃないの?」
いつも別れる道を通り過ぎても、キュートは僕の隣から離れなかった。
更に言うなら僕は今、坂を自転車で下っている真っ最中だ。
その隣を、平然とした顔で同じスピードで走りながら付いてきている。
(;・∀・)「僕がいつそんな事言ったんだよ!?」
o川*゚ー゚)o「言ってないけど?」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:36:03.45 ID:2gNQwVDh0
さらりとキュートは重要事項を言ってのけてみせた。
まさか、このまま僕の家まで付いて来るつもりだろうか。
(;・∀・)「なあ……どこで勉強するつもりだ?」
o川*゚ー゚)o「モララーの家だけど?」
そのまさかだった。漏れたため息が景色と共に後ろへと流れていった。
今になって帰れと言っても、聞く気なんてさらさらないだろう。
(;・∀・)「ちょっと待て、家に連絡とかしないでいいのか?」
坂を下りきって、自転車を止めるから尋ねる。
変質者に出会ったとしても逃げ切れるだろうけど、キュートも女の子だ。
帰りが遅くなれば、当然キュートの両親だって心配するに違いない。
o川*゚ー゚)o「ふふふ……忘れてた!」
何故か自慢げに笑ってみせてから答えた。
(;・∀・)「さっさと連絡しろおおおおおおおおおお!!」
o川*゚ー゚)o「りょーかいりょーかい。コール!!!」
悪魔でも呼び出しそうな感じで電話をかける。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:37:47.78 ID:ga5JzQH30
家で色々教えるのか…ゴクリ
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:38:03.50 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o「もしもしー、お母さーん?」
数瞬の沈黙の後、電話にキュートのお母さんが出たようだ。
この距離からでは当たり前だけど、声はキュートの声しか聞こえない。
o川*゚ー゚)o「今日ね、モララーの家で勉強するから遅くなるね。
うん、そうだよ。モララーだよ。お母さんに話した事あるじゃん。
え? うん、分かった。ちょっと待ってて」
そう言うと、キュートは自分の携帯を僕の前に差し出した。
o川*゚ー゚)o「お母さんがモララーと話したいんだって」
(;・∀・)「え……ああ、分かった」
突然の申し出に、緊張しながらも携帯を受け取る。
耳にあてがってこんばんは、と挨拶すると声が聞こえて来た。
「こんばんわ、そして初めましてだな。モララー君」
(;・∀・)「は、初めまして」
「ふふふ、そんなに緊張しなくてもいい。結婚の挨拶でもあるまい」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:40:13.64 ID:2gNQwVDh0
声は思っていたよりずっと若々しく、とても落ち着いたものだった。
横で聞き耳を立てているキュートとは、似ても似つかない印象を受ける。
実はドッキリでお姉ちゃんでしたー、なんて事でも驚かないくらいだ。
「あんな子で色々と迷惑をかけるかもしれないが、なにとぞ頼むよ」
(;・∀・)「い、いえ……そんな事は……」
「私が母親だからって、遠慮して言わなくても別にいい。
家でキュートは君の事ばかり話しているんだ。実に楽しそうにね。
あの子が楽しんでる時は、周りは大体振り回されてる。君もそうだろう?」
o川*//ー/)o「ちょっ、お母さん!!!」
赤い顔でキュートが割り込んでくるのを押しのけて、話を続ける。
よほど家での様子を暴露されたのが恥ずかしかったんだろう。
(;・∀・)「まあ、振り回されてますけど……僕もなんだかんだ楽しいんで」
「そうか……それじゃあ、これからもあの子を頼むよ。
仕事もあって、なかなかあの子に構ってやれないからね」
その一言は、僕の耳へ寂しげに響いて届いた。
家の手伝い、というのに関係があるんだろう。
聞いてみたかったけど、触れない方がいいような気がした。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:42:11.49 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「分かりました。あ、なるべく早く帰らせますね」
「色々と気を使わせてすまないね、モララー君。
仕事があるから、悪いけどこれで切らせてもらうよ。
ああ、そうだ。素敵な彼氏じゃないか、キュート。今度は家に来てもらいなさい」
( //∀/)「あっ、いやべべべ別にそういう関係では」
o川*//ー/)o「おおおおおおお母さんったらななな何を」
「ふふふ、冗談だよ。それではこれで」
その言葉を最後に、電話は切れた。
僕達の間に、なんともいえない空気を残して。
o川*//ー/)o「ごごご、ごめんね! お母さん人をからかうの好きなんだ!」
( //∀/)「あ、ああ……そうだよね……からかってるに決まってるよね」
僕から携帯を取り上げるようにした後、キュートはそう謝ってきた。
そんな風に言われると、キュートに合わせるしかなくなるじゃないか。
( //∀/)「さっさと家に行こうか……」
o川*//ー/)o「そうしよう! うん、それがいい!」
いつの間にか、空はオレンジ色を帯びていた。
〜〜〜〜〜〜
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:43:10.46 ID:dTmGRUUp0
なんだ夢か
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:43:43.74 ID:ga5JzQH30
リア充しね
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:44:04.24 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「はい、到着」
o川*゚ー゚)o「おじゃましまーす……あれ、開かない」
(;・∀・)「当たり前だろ! 自分の家じゃないんだぞ!!」
家に着くなり、早々と入っていこうとするキュート。
無理矢理ドアを開けようと、ドアノブをガチャガチャと動かしている。
(;・∀・)「とりあえず、親にキュートの事を話しに行ってくるから。
その間絶対入ってくるなよ!? 絶対だぞ!?」
o川*゚ー゚)o「ハチ公並みに待ってる! まあキューちゃんの方が可愛いけどねっ!」
ドアの鍵を開けて中に入り、居間へと向かう。
いつもなら母さんが夕飯の支度をしているはずだ。
( ・∀・)「ただいまー」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、おかえりなさいモララー。
誰かと話してたみたいだけど……お友達かしら?」
居間に入ると、キッチンから出てきた母さんが出迎えてくれた。
声が大きかったのか、外の話し声も聞こえていたらしい。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:46:31.41 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「ああ、その事なんだけど……」
母さんにキュートの事を伝えようとした時、トイレから水音が聞こえた。
そして、
( ^ω^)「おっお、おかえりだおモララー」
いつもは会社にいるはずの父さんが出て来た。
(;・∀・)「あれ、なんで父さん家にいるの?」
( ^ω^)「いやあ、今日はちょうど母さんとの240ヶ月目の記念日なんだお。
だから有給取って蜜月の時間を過ごそうと思って」
( ・∀・)「なるほどね……」
息子が言うのもなんだけど、この夫婦は今でも仲がいい。
夫婦というよりはバカップルに近いものを感じる。
羨ましい反面、ちょっと恥ずかしいからこうなるのは遠慮したいと思う。
( ・∀・)「でもすごいじゃん、20年目だよ。 父さん、母さん、おめでとう」
( ^ω^)「ありがとうだお、こうして息子に祝ってもらえるなんて幸せ者だお」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですね……感慨深いものがありますよね……」
o川*゚ー゚)o「おふたりったらラブラブじゃないですか、このこのー!」
( ・∀・)「」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:47:59.42 ID:jJIVoqZ90
ちょwwwww
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:48:04.35 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o「よっ! 日本一の幸せ者!」
(#・∀・)「い つ は い っ て き た」
o川;゚ー゚)oそ「うぇぇっ!!」
いつの間にか会話にキュートが入って来ていた。
すかさず両頬をつねり上げて問いただす。
o川;゚ー゚)o「らっふぇふぃまだからひょっほげんかんにはいっへみふぁの。
ほひたら、おでべふぁいふぁらいがきこえふぇきふぇ……ふい」
(#・∀・)「『だって暇だからちょっと玄関に入ってみたの。
そしたら、おめでたい話題が聞こえてきて……つい』
で、済んだら警察いらないんだよおおおおおおおおおお!!」
o川;゚ー゚)o「んむぅえぇぇぇ!!」
追撃にそのまま頬をこねくり回し尽くす。
おかげでキュートはさっきからまともに言葉を発せてない。
ζ(゚ー゚*ζ「あら……その子が外にいたお友達?
うちに来るのはじめてかしら?」
その状況を打破したのは、母さんの一言だった。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:50:06.75 ID:2gNQwVDh0
(;・∀・)「あ、えーとこいつは……あっ」
o川;゚ー゚)o「やっと抜けれた! 初めまして、わたし素直キュートっていいます!
モララーとは同じクラスで今日は勉強教えに来てもらいました!」
僕の一瞬の隙をついて、ほっぺたロックからキュートが抜けだす。
そして、いつもの様子からは想像もつかない丁寧な自己紹介をした。
( ^ω^)「……母さん」
ζ(゚ー゚*ζ「……ええ」
(;・∀・)「なにこの空気……」
さっきまでの賑やかさが嘘のように、静まり返る。
父さんと母さんはふたりとも神妙な顔つきになっていた。
( ^ω^)「「モララー……」」ζ(゚ー゚*ζ
僕の方へ向き直って、父さんと母さんはゆっくりと語りかけて来た。
生唾を飲み込んで、ふたりの口から語られる言葉を待ち構える。
(;・∀・)「な、なに?」
( ;ω;)「「ようやく家に彼女を連れて来た(おね)のね……」」ζ(;ー;*ζ
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:50:12.02 ID:jJIVoqZ90
モララーあれを解読できるのかよww
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:52:10.80 ID:2gNQwVDh0
(;・∀・)「え、えええええええええ!?」
( ;ω;)「いつ連れてくるかと待ち続けて早15年……」
ζ(;ー;*ζ「女の子に興味がないのかと思った時もあったけど……待っててよかったわ」
大粒の涙を流しながら、しみじみとふたりは語る。
親からしたらそこまでのイベントなんだろうか。
(;・∀・)「ち、違うよ! キュートはただのクラスメイトだよ!」
o川;゚ー゚)o「そうですよ! 友達っていうか味方っていうか……」
キュートと分担してふたりの誤解を解きにかかる。
本日二回目ともなれば、幾分か冷静だ。
( ;ω;)「こんな可愛い女の子連れて来て、ひどい冗談だお」
ζ(;ー;*ζ「いいのよ、今は嘘を付いてても。いつか本当の事を話してくれれば」
(;‐∀‐)「駄目だこりゃ……聞く耳持たないや。
まあいいや、今日一緒に勉強したいんだけど上げていい?」
こんな調子では本当の事なんて分かってくれそうもない。
とりあえずこの問題は置いといて、用件を先に済ませる事にした。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:54:03.44 ID:2gNQwVDh0
ζ(゚ー゚*ζ「愛する息子が連れて来た子を追い払ったりなんてしないわよ。
ましてやそれが彼女ならなおさら、ね」
( ^ω^)「そうだお、こんな可愛くておっぱいの大きい子を……」
ζ(゚ー゚#ζ「なんでキュートちゃんを見た後に私を見たのかしら?」
(;゜ω゜)「いや、つい出来心で……ちょっかあさnアッー!」
誤解したままだけど了承してくれて、勝手に夫婦喧嘩を始めた。
余所から見たらかなりカオスな家庭に見えるだろう。
( ・∀・)「よし、許可も出たし部屋に行くとするか」
o川;゚ー゚)o「ちょっ、あれ放っておいていいの!?」
キュートが指差した先では、母さんが包丁を持って父さんに迫っていた。
部屋の隅に追い込まれた父さんは、為す術もなく震えている。
( ・∀・)「母さんのヤキモチは異常だからいつもあんなんだよ。
そして、いつもすぐに仲直りするんだ。日常茶飯事さ」
o川;゚ー゚)o「なんかすごいお母さんだね……」
それは常々思っていたけど、キュートがそう言うって事はよっぽどすごいんだろうな。
そんな事をぼんやりと考えながら、階段を上がって自分の部屋へと向かった。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:56:02.11 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o「うおー、男の子の部屋だー!」
(;・∀・)「盛り上がる要素がどこにあるんだよ……」
部屋に入るなり、キュートははしゃぎながらベッドに座り込んだ。
きょろきょろと室内を見渡しながら、目を輝かせている。
( ・∀・)「なんか飲み物持ってくるからちょっと待ってて」
o川*゚ー゚)o「分かった、こないだ見た外人の主人をずっと待ってる犬並みに待ってる!」
それもハチ公だよ、と心の中でツッコミながら一階へ降りた。
〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)「かあさーん、なんか飲み物無い?」
ζ(^ー^*ζ「この間おいしいオレンジジュース貰ったのよ。
あれ持ってっていいわよ、うふふふふ」
居間に入ると、母さんがいつもより上機嫌で迎えてくれた。
さっきの喧嘩は無事に仲直りしたらしい。
( ^ω^)「やっぱりデレが一番可愛いお。さっきはごめんだお」
ζ(^ー^*ζ「やぁん、ブーンったらもう」
その証拠に、母さんを膝に乗せた父さんとお互いを名前で呼び合っている。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:56:03.71 ID:eMPo+Z5J0
モララーリア充過ぎるぜ…
支援
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 21:58:03.93 ID:2gNQwVDh0
(;・∀・)「僕も大人になったらああなるのかな……」
オレンジジュースをコップに注ぎながら呟く。
自分がまだ見ぬ最愛の人とああしてる光景を想像してみた。
そして、もっと違う愛し方をする事を決意した。
ζ(^ー^*ζ「モララー、棚のクッキーもいいわよ。
なんてったって彼女なんだから、うふふ」
居間を出ようとした時、母さんに呼び止められた。
一旦机にコップの乗ったお盆を置いて、クッキーを取ってくる。
(;‐∀‐)「彼女じゃないってば……言っても分かってくれないだろうけど」
ζ(^ー^*ζ「あら、あの時母さん達はなんて言ってるか分からなかったのよ?
それを難なく聞き取れるほど通じ合ってるのに……彼女じゃないの?」
相変わらずにこにこしながら、母さんは僕に尋ねてくる。
あの時、というのは僕がキュートの頬をつねっていた時だろう。
(;‐∀‐)「通じ合ってたら彼女じゃないといけないの……?
はあ……キュートのお母さんからも誤解されてるし大変だよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「あらあら、もう相手側のご両親に紹介されてるの?」
( ・∀・)「電話だけだけどね」
クッキーをいくつか適当に選んでお盆に乗せた。
暇にしているであろうハチ公の元へ向かう為、居間を出た。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:00:03.38 ID:2gNQwVDh0
ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、モララー」
( ・∀・)「何?」
階段を上がろうとした時、呼び止められた。
一段目に乗せていた足を下ろして、母さんの方を向く。
ζ(゚ー゚*ζ「早く見たいけど……孫はちゃんと養えるようになってからね?」
( ・∀・)「」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、聞いてる? ちょっとー、モララー?」
母さんの声を無視して、僕は階段を上がっていった。
(;・∀・)「まったく何考えてるんだか……」
ぼやいている間に部屋の前に辿り着く。
お盆を置いてからドアノブをひねってドアを開けた。
o川*゚ー゚)o「あっれー、おかしいなー。
ベッドの下ならえっちな本あると思ったのにー。
本棚にも無いし……はっ、まさかキューちゃんの体で……」
目に飛び込んできたのは、ベッドの下を漁っているキュートの姿だった。
〜〜〜〜〜〜
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:02:04.64 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「さて、気を取り直して勉強するか」
o川;゚ー゚)o「もう真面目にやるから首根っこ掴むのやめてぇ……」
( ・∀・)「本当に?」
o川;゚ー゚)o「ほんとほんと! 本気と書いてマジで!」
あの後、キュートの首根っこを捕まえて部屋を片付けさせた。
好き勝手荒らしてくれたおかげで、思ったより時間がかかってしまった。
( ・∀・)「じゃあ……はい」
o川*゚ー゚)o「はー、首周りすっきり! よーし、やるぞー!」
掴んでいた手を離すと、キュートは自分の鞄を漁りだした。
中から出て来たのは、パンパンに膨らんだ筆箱と淡いピンクのノート。
それと、水色の珠がふたつ付いたヘアゴム。
o川*゚ー゚)o「キューちゃん本気モード!」
そう言いながら真っ直ぐ下ろした髪を結っていく。
首の後ろにかかっていた髪を全て左右に持ってきて、ゴムでまとめる。
普段は隠れている白雪のようなうなじが、顔を覗かせた。
o川*゚ー゚)o「準備おっけーい!」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:04:05.35 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)(なんか……いつもと雰囲気違うな)
中身はともかく、キュートは美少女と言っても差し支えない容姿だ。
なんでも似合うんだろうけど、水色のヘアゴムがお似合いだと思う。
そして、いつもは見えないうなじがなんとも艶っぽい。
o川*゚ー゚)o「どーしたの? 早く勉強教えてよー」
(;・∀・)「ん、ああ……じゃあ社会から」
キュートの呼びかけてくる声にはっと我に帰る。
どうしたの、と言われても答えられる訳がない。
o川;゚ー゚)o「えー、社会キューちゃん苦手ー」
(;・∀・)「苦手だからやるんだろ……」
今日ばかりは、勉強という逃げ道を用意してくれたキュートに感謝しよう。
そう思いながら教科書のテスト範囲を開いた時、ふと思った。
( ・∀・)「そういえばさ、中間の時の点数そんなに悪くなかったよな?
なのに、なんで今回はこんなに必死なんだ?」
o川*゚ー゚)o「いやー、実はモララーに負けて以来やる気を無くしちゃって……
真面目に授業受けないでいたらこうなっちゃった」
(;‐∀‐)「やっぱ教えるの断ればよかったかも……」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:05:45.85 ID:eMPo+Z5J0
おさげ良いね
支援
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:06:07.49 ID:2gNQwVDh0
〜〜期末試験当日〜〜
o川*OーO)o「空気中の電子を波でも粒子でもない曖昧な状態に固定する事で、
「壁」として固定された電子は動かす事により圧倒的な破壊力を有する。
これは正式な分類上は流機波形高速砲と称され……」
_
(;゚∀゚)「……キューちゃんに何があったんだモララー」
(;・∀・)「最初は家でも少しずつ勉強しろって言ったんだ。
だけど段々テスト範囲を超えた所まで勉強し始めて……
ついにはどこから持って来たのか分からない眼鏡までかけだして……」
o川*OーO)o「違うよモララー、これは視力の補正や遮光を目的としない眼鏡。
一般的に装身具としてかけられている伊達眼鏡だよ。
「伊達」の語源は「立つ」で、これは「引き立つ」という意味で……」
そう言うと、キュートはくいっと眼鏡を指で持ち上げた。
さながら漫画やアニメに出てくる天才美少女のようだ。
違うとすれば、知識がかなり付け焼き刃なあたりだろう。
_
(;゚∀゚)「そのうち白衣とか着たりしそうだな……」
(;‐∀‐)「これ以上は死んでも阻止したいね……」
今までが今までだっただけに、違和感が半端じゃない。
とりあえずテストが終わったら元に戻ってくれるんだろうか。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:06:21.20 ID:jJIVoqZ90
キューちゃんかわいいよ支援
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:08:23.87 ID:2gNQwVDh0
〜〜〜〜〜〜
o川*゚ー゚)o「見て見てー、平均70点!」
そう言ってキュートは成績の書かれた紙を僕の机に広げる。
苦手だと言っていた社会も、平均点くらいにはなっていた。
( ・∀・)「おっ、よかったよかった。教えた甲斐があったよ」
o川*゚ー゚)o「これ勝っちゃったんじゃない?モララーに勝っちゃったんじゃない?」
( ‐∀‐)「キュートに勉強を教える事によって、僕も勉強になりましたとさ」
キュートはいつかに見せた自慢げな顔で僕ににじり寄ってくる。
負けじと僕もキュートの紙の上に、自分の紙を置いてみせた。
o川;゚д゚)o「クラス順位のところにきらきら光って見える1という文字は何ですかっ!?」
(*・∀・)「ふっふっふ、今回ばかりはキュートに感謝しないとな」
o川;゚ー゚)o「うぬぬ……じゃあ感謝のしるしとして今回は引き分けに……」
( ‐∀‐)「それはそれ、これはこれ、勝負は勝負。僕の完勝だ」
o川;゚ー゚)o「くそう……草食系な顔のくせに……」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:09:22.36 ID:eMPo+Z5J0
モララーは万能だな
支援
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:10:10.24 ID:2gNQwVDh0
一時はどうなる事かと思われたキュートの様子は、テスト終了と同時に元に戻った。
詰め込み過ぎた反動だろうか、知識が一気に頭から流れ出たようだ。
まだ伊達眼鏡は持っていて、リクエストがあると時々かけてみせている。
o川*゚ー゚)o「あ、そうだ。今日モララーの家行ってもいい?」
( ・∀・)「いいけど……なんで?」
僕の問いかけを聞くと、キュートは鞄からビニール袋に入った何かを取り出した。
o川*゚ー゚)o「お母さんがお礼にこれ持ってけって」
(;・∀・)「そんな……わざわざいいのに」
o川;゚ー゚)o「ちゃんと家まで行って渡してこいって言ってるんだよね。
お願い、これ持って帰ったらわたしお母さんに何されるか……」
困ったように語るキュートの顔に、暑さが原因じゃなさそうな汗がつたう。
(;・∀・)「なんか大変そうだな……分かった、それじゃあ受け取らせてもらうよ」
o川*^ー^)o「ほんとっ!? ありがとうモララー!!!
キューちゃん今なら質量を持った残像とか出せそうな気がする!!」
よく分からない例え方だけど、多分すごい嬉しいんだろう。
はしゃく動きに合わせて、あれ以来ヘアゴムでまとめられたふたつ結びの髪が揺れる。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:11:32.22 ID:jJIVoqZ90
化け物かっ……!? 支援
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:12:04.56 ID:2gNQwVDh0
(;・∀・)「僕はてっきり、そういうのも出せるもんだと思ってたんだけど」
o川*゚ー゚)o「えー、そんな漫画やゲームじゃあるまいし」
(;・∀・)「お前が言うなって誰もが思うだろうよ……」
他愛ない会話をしながら時間は過ぎていく。
僕も、キュートも、いつもと変わらないまま時間は過ぎていく。
それだけの事が、今は無性に楽しくて仕方なかった。
〜〜〜〜〜〜
o川*゚ー゚)o「あの、これ母がこの間のお礼にと」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、ありがとう。あら……サプリメントや健康食品がたくさん。
これだけの量、随分と高かったでしょう?」
o川*゚ー゚)o「いえ、母の仕事の関係でこういうのは余るくらいあって……」
居間の椅子に座りながら、ふたりのやり取りをぼんやりと眺める。
父さんが最近不摂生気味だから、母さんは内心大喜びだろう。
しかしながら、礼儀正しいキュートは眼鏡モードほどじゃないけど違和感たっぷりだ。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:14:07.55 ID:2gNQwVDh0
ζ(゚ー゚*ζ「せっかくだし、モララーと遊んでいったらどうかしら」
o川;゚ー゚)o「いえ、今日はこれを持ってきただけなんで……」
ζ(゚ー゚*ζ「いいじゃない、遅くなったら送らせるわ」
o川*゚ー゚)o「あー……それではお邪魔させて頂きます」
自然すぎて気付かなかったけど、僕を差し置いて話が進んで行っている。
それに気付いた時には、もう結論が出されてしまっていた。
(;・∀・)「ちょっ……ってもう手遅れか」
o川*゚ー゚)o「手遅れでーす! ていう訳でお邪魔しまーす!」
(#・∀・)「だったらもうちょい遠慮してる態度を見せろおおおお!」
一瞬でキャラが正反対になったキュートが、さっさと階段を上がっていく。
僕もキュートを追いかけて階段へと向かう。
視界の端に親指を突き立てる母さんの姿が見えたけど、見なかった事にした。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:16:04.08 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o「えいっ! えいっ!」
(;・∀・)「……何してんの?」
ドアを開けると、キュートがタンスに向かってジャンプしていた。
ジャンプする度にスカートの裾がひらり、と揺れる。
o川*゚ー゚)o「あの段ボールにっ、えっちなっ、本がっ、入ってるとっ、思ってっ!」
(;・∀・)「入ってないって……卒業アルバムだよ」
o川*´へ`)o「えー」
ジャンプをやめて不貞腐れるキュート。
そんな彼女を尻目に、学習机のそばから椅子を持ってくる。
( ・∀・)「ちゃんと押さえてろ、動くからな」
o川*゚ー゚)o「え? 何してんの?」
( ・∀・)「せっかくだし見てみようかなってね」
o川*゚ー゚)o「うーん……じゃあキューちゃんもモララーの黒歴史を見る!」
そう言うと、キュートは椅子の背をがっちりと抱え込む。
夜の海のような瞳は、新しいおもちゃを貰った子供みたいな輝きを帯びていた。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:18:09.51 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「……よっと」
段ボールをタンスの上から下ろして、慎重に椅子から降りる。
キュートが支えてくれているとはいえ、車輪の付いた椅子は不安定だ。
o川:゚ー゚)o「うえっ、埃が……」
(;・∀・)「貰ってからちょっと見たっきりだからな……」
段ボールを覆う大量の埃を払って、蓋を開く。
床に落ちた埃の塊を見て、ほんの少しだけ自分の行動を後悔した。
開き直って何冊か中に入っている卒業アルバムを取り出す。
o川*゚ー゚)o「おお、これが噂の卒業アルバム!」
(;・∀・)「どこで噂になってるんだよ……」
o川*゚ー゚)o「んー、キューちゃんの脳内限定で!」
(;‐∀‐)「野球中継の延長されない地域より限定的だな……」
ぼやきながらベッドに腰かけてアルバムを開く。
僕を追うようにキュートも左隣にちょこん、と座った。
アルバムをお互いに半分ずつ持つ格好になる。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:20:09.97 ID:2gNQwVDh0
( ・∀・)「えーっと……僕のクラスは……」
o川*゚ー゚)o「ストップストップ! せっかくだし最初から見てこうよ!」
( ・∀・)「でも先生とか校舎とか知ってるし……」
o川*゚ー゚)o「モララーは知っててもキューちゃんは知らないの!
おお、なんて綺麗な校舎! モララーにはもったいない!」
僕の言い分を遮って、キュートは食い入るようにアルバムを覗きこむ。
まるで初めて見たんじゃないかと思えるほどに興味津々だった。
〜〜〜〜〜〜
o川*^ー^)o『ぷぷっ、この先生の頭頂部まずくない!?』
( ・∀・)『よく怒る先生だったんだけどさ、すごい怒るとそこが噴火するって噂があったよ』
o川*^ー;)o『あははははははっは! お腹痛い……』
o川*゚ー゚)o『おー黒髪だけどジョルくんイッケメーン!』
( ・∀・)『あいつ髪染めたいからVIP高校にしたって言ってたしなあ……』
o川*゚ー゚)o『おっ……モララー変わってないじゃん、つまんない』
(;‐∀‐)「たかだか数ヶ月じゃ変わらないって……」
〜〜〜〜〜〜
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:22:04.92 ID:2gNQwVDh0
o川*>ー<)o「あー! 楽しかったぁー!」
大きく伸びをしてから、キュートはベッドに倒れこんだ。
それを見届けて、僕はアルバムをぱたん、と閉じる。
窓の外から射す夕日が、裏表紙を照らしていた。
( ・∀・)「それじゃあもうすぐ暗くなるし……帰るか?」
o川*゚ー゚)o「別に送ってもらわなくても大丈夫だけど……」
( ・∀・)「いいよ、夜道に女の子がひとりってのは色々危険だし」
段ボールにアルバムをしまって、キュートの方へ振り返って答える。
本当に大丈夫なんだろうけど、僕も一応男だ。
こういう時は送っていくのがエチケットという物だろう。
o川*゚ー゚)o「おうおう、モララーにしてはかっこいい事言っちゃってー!
でもせっかくだし……お言葉に甘えさせてもらおうかな」
茶化しながらもキュートは僕の提案を受け入れてくれた。
色素の薄い髪は夕日に透けてきらきらと光っている。
( ・∀・)「よし、これさっさと片付けるか」
中身を戻した段ボールを胸に抱えて、椅子へと向かう。
その間にキュートは椅子の背を持って僕を待っていた。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:24:05.36 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)o「支える班準備万端です!」
( ・∀・)「御苦労さまです、っと」
椅子に立ってタンスの上に段ボールを戻す。
置き終わった時、何かに気付いたようなキュートの声がした。
その直後、何故か足元がぐらつき始める。
o川*゚ー゚)o「危ない危ない、一冊入れ忘れてるよ」
揺れる視界に飛び込んできたのは、手を離してアルバムを取りに行くキュートの背中だった。
(;・∀・)「ちょっ、馬鹿やろ……」
o川;゚ー゚)o「ん……? あああっ!」
僕の声に反応したキュートが、慌てて椅子を支えに戻ってくる。
(;>∀<)「うわああああ!!」
o川*>ー<)o「きゃあっ!!!」
しかし、時すでに遅し。キュートめがけて僕はバランスを崩して倒れた。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:25:31.49 ID:V6Tx0IZM0
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:26:01.84 ID:eMPo+Z5J0
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:26:06.24 ID:2gNQwVDh0
(;>∀<)「いて……だ、大丈夫か……?」
少し床に打った場所は痛むが、それほどでもない。
それより、自分の下になってしまったキュートの方が心配だ。
一瞬でその思考に至って問いかけるが、返事はなかった。
(;>∀・)「……キュート?」
視線をキュートのいるであろう方へ移す。
そこでようやく状況に頭が追いついた。
o川*//ー/)o「……」
少しでも動けば触れるほど至近距離にある顔と、手に感じる柔らかい感触に。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:26:28.10 ID:ga5JzQH30
_
(*゚∀゚)
( )
| 彡つ
し∪J
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:28:06.61 ID:2gNQwVDh0
( //∀/)「……」
o川*//ー/)o「……」
いつまでも無音の時間が流れていく。
早くどかないといけないのに、体は一向に動く気配がなかった。
そして、キュートもそんな僕を拒む事はなかった。
( //∀/)「……」
o川*//ー/)o「……」
お互いの吐息が顔にかかる。絡み合う視線が離せない。
触れている手から、早く大きい鼓動が伝わってくる。
キュートの顔は夕日よりも鮮やかな赤に染まっていた。
o川*//ー/)o「……っ」
少しだけ視線を落としたキュートが、両手で僕のシャツの裾を掴んだ。
そして、弱弱しく僕の体を上へ押しのけると、頑なに動かなかった体はすんなりと離れた。
触れていた部分が、まるでまだそこにキュートがいるかのようにじんわりと熱い。
o川*//ー/)o「……っ!!」
まだ赤い顔のまま、キュートが勢いよく立ちあがる。
窓から入ってくるのとは別のぬるい風が吹いた次の瞬間。
その手には僕の後ろにあった鞄が握られていた。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:30:04.71 ID:2gNQwVDh0
「ざ、残念! キューちゃんのおっぱいは質量を持った残像でしたー!!!」
「……ああ、うん」
「そそ、そういう事だからっ! じゃあねっ!」
「あ、送り迎え……」
「大丈夫! ぜんっぜん大丈夫だから!」
「あ……」
「お邪魔しましたー!!!」
「……」
「……」
「やばい、顔が熱い……」
「……思ってたよりずっと体小さかったな」
「……やっぱキュートも女の子なんだな」
「……はあ」
「案外……可愛かったな」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:31:38.44 ID:2gNQwVDh0
o川*゚ー゚)oは残像のようです
第四話 第六感でときめいて
終わり
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:33:44.59 ID:2ACqQNX+0
乙
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:34:42.31 ID:2gNQwVDh0
以上で第四話は終わりです、支援ありがとうございました。
これから試験やネット環境のない実家帰省があるのでしばらく投下はない予定です。
最後に質問、感想、批評等ありましたら自由に書いていってください。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:35:02.92 ID:ga5JzQH30
乙
面白かった
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:35:49.56 ID:eMPo+Z5J0
乙・・・!
俺もこんな普通の青春を送りたかったぜ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:37:07.61 ID:jJIVoqZ90
乙!
モララーけしからんな、まったく……
乙乙
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:43:31.03 ID:2gNQwVDh0
忘れてた報告がひとつ。
最初の投下の時全9話の予定と言ってましたが、ノリで全10話になりました。
なんかキリよく終われそうです。
乙
乙!