唯「眠いんだが」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
澪「そうか」
唯「眠い」
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 03:47:19.82 ID:BXYjrnQW0
1時間半もレスつかなかった今の気持ちは?
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:03:09.36 ID:wIQFrHow0

ぶしつ!

澪「悪いけどこの後、用事あるんだ。今日は早く上がらせてもらうわ」

律「んー、用事って何ー?」

澪「そ、それは、あの、じょ、女子高生ともなれば、いろいろとあるんだよ!」

律「あーまあ、いいか。どうせ今日も、お茶のむだけだしな」

唯「じゃねー、みおちゃん。お土産よろしくー」

澪「いや、旅行行くわけじゃないんだから……、まあ、じゃあな。また明日」

足早に部室を出て行く澪。

律「うーん、怪しい」

唯「え、何が?」

律「澪だよ、はや引きなんて、一度も無かったぜ」
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:04:25.55 ID:wIQFrHow0
梓「そういえばそうですね」

律「だろ?こりゃ、彼氏でも出来たかな」

唯「ほ、本当ですか?りっちゃん隊長!?」

律「いや、真偽の程はわからないが、かなり怪しいのは確かだ。あの、挙動不審な態度……」

唯「よし、澪ちゃんをストーキングしてみよう!」

律「おー、面白そうだな、やってみるか!どうせ練習もないしな!」

梓(こんなんで大丈夫なのかなぁ、夏の大会)

5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:05:09.78 ID:wIQFrHow0
紬「面白そうねー。私もやらせてもらうわ〜」

梓「え、でも、澪先輩にもプライバシーってものが……」

律「こまけぇことは(ry」

紬「こまけ(ry」

唯「こ(ry」

梓「先輩方がそういうんでしたら、じゃあ、私も……」

唯「よぅし、決まりだね!さぁ、皆のもの、ストーキングしに行くぞー」

律&紬「おー!」

6 ◆TTt1P6HN1I :2010/07/14(水) 04:05:24.62 ID:lbnm/+LS0
支援
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:05:54.56 ID:wIQFrHow0
まちなか!

唯「みおちゃんどこー?」

梓「先輩、大きな声を出したら見つかっちゃいますよ!」

律「おーノリノリだな、梓」

梓「そ、そんなことありません!先輩の勘違いですよぉ」

紬「律ちゃん、見つかった?」

律「いいや。唯ー、そっちにいたかー?」

唯「いません、りっちゃん隊長!」

梓「こっちにもいまs……あ、いた!」

梓「いましたよ、律先輩!」

律「マジか梓!?どこに?」

梓「あそこのキムチ専門店『きむーにょ』の店頭に、ほら!」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:06:13.22 ID:3RZv9XxSO
つまんねーから今すぐやめろ
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:06:32.45 ID:wIQFrHow0
唯「あ、本当だー」

律「おお、いたいた。でかした梓!」

唯(キムチ専門店……やっぱみおちゃん、やっぱキムチ好き?だから毎日キムチ臭かったのかな)

梓「あ、店の中に入っていきました!」

唯「よぅし、追うぞー」

律「待て、唯!ストーキングがバレたら怒られる!」

梓「ですね。もう少し慎重に……」

唯「じゃ、私だけ行って来るよー!のりこめー!」

律「いや、そういうことじゃなくでだな………ちょ、待て唯!」

唯はたたた、と走って、きむーにょにむかってしまった。

律「あーもう!私達も行くぞ!」
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:06:49.27 ID:P/IiF5Fy0
つまんねーから今すぐkiss me
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:07:15.14 ID:wIQFrHow0
きむーにょ、店内!

唯「あれーここの中入っていったのに。みおちゃんどこー?」

店員「いらっしゃいませ、お客様。どのようなキムチをお探しですか?」

唯「みおちゃん、来ませんでしたか?」

店員「みおちゃん……さあ、存じ上げませんが」

唯「そうですか……」

                  *

そのころ、関係者以外立ち入り禁止の部屋には、一人怯える少女がいた。

澪「な、何で唯がここに来てるんだ……?」

澪はきむーにょの店員の服を着ていた。

澪「ま、まあいい。店員の田中さんが何も言わない限り、ばれないからな」
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:07:53.47 ID:BXYjrnQW0
つまんねーから今すぐDIVE ON
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:08:17.99 ID:wIQFrHow0
                *

そこに一足遅れて、梓、律、紬が入ってきた。

店員「いらっしゃいませ」

唯「みんなー、ここに澪ちゃん来てないってー」

梓「そ、そんなはずないですっ。私ここに入っていくの見ましたもん!」

律「ああ、私も見た」

紬「あのー、店員さん。黒のストレートでやや釣り目の女の子、来てませんか?」

紬「秋山澪って言うんですけど」

店員「ああ、秋山なら―――」

店員が言うが早いか、関係者以外立ち入り禁止の扉が少しだけ開いて、そこから腕が伸びてきた。
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:09:02.95 ID:wIQFrHow0
店員「あ、秋山。この子達が―――」

その言葉を遮るがごとく、手は店員を捉えた後、関係者以外立ち入り禁止とかかれた部屋の中に引きずり込まれた。

店員「くぁwせdrftgyふじこlp」

?「いいですか?私がここに勤めていること、言っちゃ駄目ですよ」

店員「え、何で 亜qswでfrgthyじゅきぉ;p」

?「駄目ですよ!」

そして、関係者以外立ち入り禁止の扉が再び開き、焦点の合ってないうつろな眼をした店員が出てきた。

店員「そのような名前は一切存知あげません」

唯達「………」

棒読みの口調なのが、唯達の確信を一層深くした。
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:09:48.26 ID:wIQFrHow0
まちなか!

唯「これは、うん……」

律「まあ、大したことじゃなかったな……」

紬「私はもっと、ブラックなことを想像してたんだけどな〜」

梓「想定の範囲内ですね」

律「……、そうだな」

唯「このまま解散しようか?」

梓「そうですね。皆荷物も持ってますし」

律「よし、じゃあ今日のけいおん部、しゅーりょー」

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:10:35.80 ID:wIQFrHow0
よくじつ!

唯「あー、今日は土曜日かー」

憂「お姉ちゃん、おはよう」

時刻は正午。唯は寝巻き姿のまま、のそのそとベッドから這い出る。

唯「おはういー」

憂「じゃあ、お昼ご飯作るからまっててね」

唯「うんー。今日はチャーハンがいいなー」

憂「わかった。そうするよ」

17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:11:17.44 ID:wIQFrHow0
唯(あー、暇だなー)

唯(そうだ……きむーにょ行ってみようかな)

唯(今日もみおちゃん、働いているのかな)

唯(でも、何であそこで働いてるんだろ?)

唯(キャバ嬢とかにもなれそうだし、ソープもいけそうなのに)

唯(もしかして、本当に在日?)

唯(いやいやまさかね。第一、みおちゃんがそうだとしても、私との友情は崩れないよ!)

窓の外では、太陽がさんさんと輝いていた。

こういう日は、外に出てみるのも悪くない、と唯は思った。

18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:12:03.68 ID:wIQFrHow0
まちなか!

唯(あー、暑いなー)

唯(ういも誘えばよかったかなー)

唯(えーと、ここをこう行って、んーと)

唯(あれ、どこだっけ?)

澪「お、唯じゃないか!」

突然かけられた声に、唯はきゃっ、と驚いてしまった。

唯「み、みおちゃん!」

澪「やほー」

唯「や、やほー。澪ちゃんどこ行くの?」

澪「私?きむーにょに………はっ!あ、あれだよ、楽器屋だよ。レフティモデルのバーゲンやってるんだ」

澪「唯は?」

唯「わ、私はちょっとそこの本屋まで…」

澪「そっか、じゃ、私こっちだから。じゃあなー」

唯の記憶が正しければ、澪の指差した方向には一軒も楽器屋が無いはずだ。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:12:50.38 ID:wIQFrHow0
唯「じゃあねー、みおちゃん」

そう言って、澪の背中を見送り続けて、数秒後。

唯「追跡開始するぞー。おー!」

一人小さく、天に握りこぶしを振り上げた。

唯(ああ、そうそう。この道筋だった)

唯(この道と言うことは、後もう少しで…)

唯(よし、ビンゴ!)

唯(澪ちゃんはやっぱり、きむーにょに向かってたんだ!)

唯が追跡を始めてから一分ほどして、澪はきむーにょに着いた。

澪は唯に尾行されているとも露知らず、それどころが鼻歌まで歌いながら店内に入っていった

唯(ようし!みおちゃんをおどかしてやろう!)

澪が店の中に入って見えなくなってから数分後、唯はきむーにょへと向かった。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:14:47.32 ID:wIQFrHow0
店員「いらっしゃいませ、今日はどのようなキムチをお探しですか」

唯「え、あ、あのキムチってどんなキムチがあるんですか?」

店員「お客様のご要望に合わせたキムチが必ずあります。納豆キムチや漬けキムチ、発酵キムチや田楽キムチ。なんでもそろっております」

唯「え、あのじゃあ……」

唯がキムチの里ってありますか、と聞こうとしたと同時、関係者以外立ち入り禁止の扉が開いて、中から店員の服を着た澪が現れた。

澪「お客様、いらっしゃ、い、ま……せ(唯、なんでここに!)」

唯「みおちゃん!」
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:14:48.09 ID:Ky9uJuL70
さる
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:15:33.81 ID:wIQFrHow0
澪(やべー!こっちのこと完全にばれてる!)

澪(ここは白を切りとおすしか…)

澪「すいません、そのような名前は一切記憶に御座いません。人違いだ、でしょう」

澪(うわ、かんじゃった)

唯「うそだー。みおちゃんでしょ」

澪「お客様、店内では他のお客様に迷惑になるので、大きな声を出すのはご遠慮いただきたいのですが」

唯「ねえ、みおちゃん、どうしてこんなとこで働いてるのー?」

澪「ですからお客様……」
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:16:30.74 ID:wIQFrHow0
唯「ねえ、店員さん!この人秋山澪ですよね?」

店員「はあ、下の名は存じませんが、確かに彼女は秋y」

        とす(手刀の音)

どしゃり、と店員が地に崩れ落ちた。

澪「申し訳ありませんが、今日はこれにて閉店にさせていただきます」

唯「な、なんで?表に営業時間 9時〜18時までってかいてるよ」

澪(しっかりとそういうとこはみてやがる…)

澪「もう、やめてくれないか……」

唯「!?」
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:17:04.23 ID:wIQFrHow0
澪「悪かった、皆に隠れてバイトしてたことは謝る」

澪「だから、帰ってくれないか」

澪「言いふらしたっていい。私が在日だって噂も流していい。好き勝手したらいい」

澪「だから――帰ってくれないか、頼む」

唯「そ、そんなことしないよっ!見損なわないでっ!」

澪「じゃあ、昨日のは何だったんだよ」

25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:17:38.12 ID:wIQFrHow0
唯「昨日?」

澪「お前ら、来ただろ」

唯「そ、それは……好奇心が」

澪「っ!嘘つけ!」

唯「ホントだよぉ」

澪「……わかった、もうそれでいい。理由なんて聞かない。どうでもいい、だから」

唯「私は帰らないよっ!」
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:18:55.94 ID:ToRzrgzt0
あずにゃんのせいでマジで澪空気だな
澪そこまで好きじゃないが悲しくなってくる
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:19:20.91 ID:wIQFrHow0
澪「………いい加減にしないと、営業妨害で110番するぞ」

唯「それでも、いい」

唯「でも、信じて」

唯「私は、いや、私達は、そんなちっぽけなことで差別したりしない」

唯「―――絶対に、しない」

澪「………」

唯「みおちゃんのことストーキングしてたことは謝るよ、でもそれは、下卑た目的じゃない」

唯「今日だって、違う。純粋に、おどかそうと思っただけ」

唯「だから――」

澪「……もうやめてくれよ」

唯「!!」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:20:04.21 ID:wIQFrHow0
澪「私はな、今まで在日在日ってバカにされてきたんだ」

澪「でもな、それを知らない子達は、私の友達、いや、親友になってくれた」

澪「だが、その子達ですら、私の秘密を聞くと、唯の今言った台詞と同じような言葉を言いながら、距離をとってくんだ」

澪「だから、もう、わかるんだよ」

澪「その言葉に隠された、意味がさ」

澪「ワタシニチカヅカナイデって、言ってるようにしか、聞こえないんだ」

澪「だからもう、いいから」
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:21:37.59 ID:wIQFrHow0
澪「私のことは、気にしないで」

澪「四人で、夏の大会に出てくれよ」

澪「どうしても足りないってなら、ほら、唯の妹の憂ちゃんなんか、入部させたらどうだ?」

澪「あの子、結構音楽のセンスありそうだしな」



ぱしん、と音がした。

それは、澪の頬を張る音だった。

唯の平手打ちが、炸裂した。

澪は頬を押さえて、――ゆっくりと、唯の顔を見据えた。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:21:47.03 ID:lgY0gdcU0
曲はテイルズオブリバース「good night」でお送りします
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:24:51.27 ID:wIQFrHow0
澪は頬を押さえて、――ゆっくりと、唯の顔を見据えた。

瞳に涙をためた、唯を。


澪「 」

澪はその時、思った。

唯の言ったことは、本心なのではないか。

しかし、それに気付くのは、あまりにも遅かった。

唯「わかったよ、みおちゃんが普段、私達をどんな目で見ていたのか」

唯「―――最低」
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:25:33.36 ID:wIQFrHow0
唯は駆け足で店を出た。

澪の制止の声が聞こえたが、それすらも無視して。

来るときは晴れていたのに、いつの間にか、雨が降っていた。

しとしとと降る6月の雨は、唯の憂鬱に拍車をかけた
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:26:53.24 ID:wIQFrHow0
                              *
あの日から、五日たった。

澪は部活に来ていない。それはおろか、学校にも来ていなかった。

ぶしつ!

律「今日も澪は、来てないか」

唯「……うん」

土曜日の出来事は、週があけた月曜に打ち明けていた。

唯は怒りの持続するほうではないので、休みが終わる頃には、怒りは心配に代わっていた。

だから、それからというもの、せっかくのティータイムも、空気が重い。
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:27:43.95 ID:wIQFrHow0
梓「心配ですね」

紬「そうね〜、そうだ、行って見ましょうよ。澪ちゃんの家」

律「ああ、昨日も行ったけどな」

昨日行ったときは、インターホンから澪の声がしたのだ。

帰ってくれと言う、拒絶の声が。

律(でも、今日は……今日なら)

律「まあ、行くだけ行ってみるか」

唯「ようし、行くぞー!」

明るく言った声は、しかし重い沈黙に打ち消されてしまった。

梓「じゃあ、私も」

梓(澪先輩、早く帰ってきてくださいよ)

そして4人は、部室を後にして、澪宅へと向かった。
                          *
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:29:23.15 ID:wIQFrHow0
律「おーい澪ー」

外からまた、律の声が聞こえた。

澪は自室に引きこもり続けていた。

澪(唯はあんなに怒ってたしな、うう)

澪(律も怒ってるに違いない)

澪(仮に皆、許してくれたとしても)

澪(でも悪いのは総て私なんだ)

澪(勝手に誤解して、被害妄想……)

澪(どんな顔で皆に逢えばいいんだ?)

澪(皆に合わせる顔なんて、ない)
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:30:08.00 ID:wIQFrHow0
後ろ向きな発想が、インターホン越しにいる律達に向かって、拒絶する言葉を言わせてしまう。

澪「私のことは気にしないで、お願い、帰って」

澪(本当は、皆と一緒に、けいおん部で駄弁ったりしたいのに)

律「お、おい、澪!皆心配してるぞ!」

澪(心配……、どうせ、哀れまれているだけかもしれない。きっと、居場所なんてなくなってるんだ)
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:30:43.84 ID:wIQFrHow0
「おい!澪!頼むから!来てくれよ、けいおん部に!」

律「夏の大会だって近いんだ、ベースがいなくて、何が出来るってんだよ!」

律「おい、澪!お願いだから!」

涙ながらの律の声は、しかし。

澪「ごめんね」

静かな拒絶によって、届くことは無かった。
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:31:37.80 ID:wIQFrHow0
澪(わたしがいなくたって、誰か別にいるでしょ)

澪(我がままばっかり。どんどん私、嫌われてるんだろうな)

澪(自分で居場所なくしてるのかもしれないけど)

澪(やっぱり、怖い)

澪(皆に、ひかれることが)

幼初期のトラウマが、澪の心を捉えて放さない。

在日と言うだけで受けた差別は、いまでも心の奥底に記憶として残っている。
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:32:30.21 ID:wIQFrHow0
澪(そうだ、クラス中がみんな、冷たい目で私を見てきたんだ)

澪(でも只一人、私の見方だった人がいたんだよな)

澪(律だけが、私にも平等に接してくれたんだ)

澪(その律なら、私を見放さないで、ずっと親友でいてくれるかもしれない)

澪(唯もきっと認めてくれる。けいおん部の一員として)

澪(でも、紬は、梓は?)

澪(もし、来てなかったことを許してもらえなかったら?また、差別されたら?)

澪(駄目、私はきっと、もう二度と立ち上がれなくなる)

まだ玄関の向こうで、律たちが何事かを言っていたが、澪の耳には届かなかった。
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:34:16.63 ID:wIQFrHow0
                       *
毎日毎日、律たちは澪の家を訪ねてきた。

澪の家には、何通もの手紙が送られてきた。

メールが何通も送られてきた。

そのどれもが、早く学校に来てくれ、と言う内容だった。

だがそれでも、澪は学校に行くことを拒んだ。

被害妄想が膨らんで、募っていくばかりだった。

その状態が、二週間ほど続いて。

7月がやってきた。
              *
スレすいません、もう寝ます
おとしといてください
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:36:36.39 ID:ToRzrgzt0
.┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。

       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:37:10.09 ID:lgY0gdcU0
まてええええええ
寝るなあアアアアアアアア
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:37:19.76 ID:X1nBZFJT0
>>41
    /\___/ヽ
   //~    ~\:::::\
  . |  (・)   (・)   .:|
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::|
   \  `ニニ´  .:::::/
   /`ー‐--‐‐―´\
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:43:36.80 ID:oZk40OwL0
ホント、在日設定好きだね
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:46:55.97 ID:vyabgLIX0
急展開ワロタwww
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 04:59:49.56 ID:wIQFrHow0
唯「もう、2週間か…」

梓「そうですね……」

部室の窓の外からは、一週間の命を認められたセミ達が、みーんみーんと合唱会を開いている。

澪が来なくなって、もう半月。

夏の大会は7月の中旬にある。

しかし、ベースがいないため、出場を認められていなかった。代理を、と言うことで探していたが、誰一人見つけられない。

梓(純ちゃんもやってくれないし、憂も無理、か)

梓(先輩達にとって、最後の大会なのに)

梓(こんなんで、いいの?)

いいや、良くない。と梓は心の中で否定する。

こんなんじゃ、誰も得しない。

ならば、どうする?

決まっていた。澪先輩を、けいおん部に復帰させるのだ。

やっぱ開始しようとしたら、母親が起きてきたので、マジで一旦やめます。
落ちても構いませんが、もしよければ保守しといてください
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 05:10:51.52 ID:Ky9uJuL70
ちょっとキムチ食ってくる
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:32:21.18 ID:wIQFrHow0
               *
6月28日。

律は生徒会に直談判に行っていた。

律「頼む!和!放送部の権力を私にわけてくれ!」

和「は、何?」

律「私は、澪のやつを助けたいんだ!」

和「話が飛躍しすぎてて、分けがわからないわ」

律「今、澪は学校に来てないだろ?」

和「そうね、でもそんなこと、生徒会の関与するとこじゃないわ」

律「澪がいないと、大会に出れないんだよ!」

和「……わかるけど、顧問の先生に言ったら?」

律「だめだ、あいつは今頃、職員室で涼んでやがる」


49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:33:39.41 ID:wIQFrHow0
和「それで、私に何をしてほしいの?」

律「さっきも言っただろ」

和「1日放送部部長にさせろって?」

律「ああ!」

和「これは、両者の合意の上だからなんとも……」

律「じゃあ、放送部の部長に、直訴すりゃいいんだな」

和「え、ちょっと待っ」

和が制止すると同時、律は駆け出していた。
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:34:38.19 ID:wIQFrHow0
6月29日。

ぶしつ!

律「やったぞ、みんな!」

唯「なにをやったのー?」

律「放送部と手を組めたんだ!」

律「一日だけ放送器具を使う権利を受諾させ……もとい、認めてもらったぞ!」

紬(律ちゃん、昨日部活に来ないと思ったら、そんなことを……私に言えば、一日じゃなく永遠に私達のものに出来るのに……)

梓「それで、どうするんですか?」

律「え、どうするって」

梓「いや、何か目的があって、それを行動に移したんでしょう?」

律「いや、皆で励ましに行こうって放送かけたら、みんな来てくれるかなーって」
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:35:37.17 ID:wIQFrHow0
唯「おおーりっちゃん、私と発想が同じ!」

律「だろ?普通そうだよな」

梓は絶句した。

この二人の先輩の、発想に。無計画さに。大胆さに。

梓(そんなんで来る人いませんよ!)

と叫びたかったが、いかんせん唯先輩も律先輩もやる気だったため、言いづらかった。

最後の希望とばかりに、梓は紬に声をかけようと――。

紬「私、その発想に賛成だわ〜」

紬はそれと同時に、口を開いていた。

紬「でもね、それだけじゃ足りないと思うわ」

律「じゃあ、他に何かあr」

律が語を継ぐよりも早く、紬は席を立って携帯電話で電話し始めた。
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:36:56.43 ID:wIQFrHow0
prrrrrr、prrrrrrr・・・

紬「お父様?いや、あの件では御座いませ………はい、承知しています」

紬「は?ケビン氏が?そんなことよりもこっちの方が重大……」

紬「お言葉ですがお父様、私にとって………は家族も同然。それを足蹴にするなど、言語道断です」

紬「今はケビン氏よりも、こちらが優先事項です。お父様、どうか……」

紬「え、ほ、本当ですか?あ、有難う御座います」

紬「お力添え、感謝いたします」

紬「みんな、もう大丈夫よ」

律「……何が?」

紬「澪ちゃん、必ず帰って来させ………もとい、帰って来られるわ」

紬「それじゃあ、いきましょ」

梓「行くって、どこに行くんですか?」

紬「TV局よ、収録しに行くの」

その翌日、6月30日の夜、6時から9時まで。

全国ネットで、『放課後ティータイム』の演奏が、放送された。
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:39:53.17 ID:wIQFrHow0
全国にけいおん部の演奏が流れる6月30日。

放映時間の二時間前、けいおん部には澪を除く四人が集結していた。

紬「今日は、昨日の収録分プラス私達が一年のときの学祭の演奏テープが全国で放送されるからね〜」

梓「先輩達が一年……ああ、あのパンチラの年ですか」

紬「そうよ〜」

律「へえ、よくやるなあ」

紬「澪ちゃんのためだもの。それに」

紬「まだ一緒に、けいおん、やりたいじゃない」

紬のその言葉に、反対の意を示すものはいなかった。
                       *
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:41:48.58 ID:wIQFrHow0
そして、今日。7月1日。

梓と唯は、セミの鳴き声に耳を澄ませながら、部室で律と紬が来るのを待っていた。

律と紬。二人が帰ってきたときは、きっと一緒に、澪も帰ってくるから。

梓「暇ですねえ」

唯「んー。どうせなら、一緒について行けばよかった」

梓「同感です」

セミの鳴き声に紛れて、ふと、声が聞こえた。

聞き覚えのある声。

軽音楽部、部長―――田井中律の声だった。
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:43:26.57 ID:wIQFrHow0
『昨日の特番、放課後ティータイムの演奏を聴きましたでしょうか!

聴いた人はもちろん見たでしょう、聴いてない人はようつべで見てみてほしい。澪、ベース、モロ見えでぐぐってほしい!

そこにはマジモノのパンチラ画像が、動画があるはずです!そこに映ってる少女はなんと、なんと、この町内に住んでます!

しかもその子は、在日です!!そしてその子は、在日であることに劣等感を抱いて

今は自宅に引き篭もっています!

こんなに可愛い少女が!日本人形みたいな少女が!引き篭もっているのです!

勿体無いでは在りませんか!街で男を二桁は引っ掛けられそうなルックスを持ちながら!

ヒッキーに、社会の底辺になりかけているのです!それは総て、彼女の劣等感から!

在日で何が悪い!同じ人間ではないか!そう彼女に言っても、彼女は聞く耳を持ちません、だから―――』

律の演説は続く。梓には、姿を見なくても判る。きっと今頃、選挙カーの上からスピーカー片手に

熱弁を振るっているのだろう。
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:45:01.70 ID:wIQFrHow0
『だから、皆さんで助けてあげてほしいのです!今、彼女は頬を真っ赤に染めて布団の中にうずくまっているでしょう。

だから私達、4人の声は届きませんが、町内みんなの声ならどうでしょう?!

届くはずです!!届かないなら、前科覚悟で家に乗り込みましょう!

そして、助けてあげてほしい!

澪、絶対ベースやってもらうからなああああああああああ!

さあ、皆さん、今から言う住所を暗記してください!

〇〇町字☆☆、△■の※#!〇〇町字☆☆、△■の※#!〇〇町字☆☆、△■の※#!

これが彼女の住所です!さあ、彼女を救いましょう!

くだらないことに劣等感を抱いてる少女に、救済の手を差し伸べましょう!』
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:46:23.93 ID:wIQFrHow0
演説が終わって、一瞬の静寂。

けれどそれは、ほんとうに一瞬。

次いで、律の怒号のような咆哮が聞こえた。

「澪おおおおおおおおおおおおお、昔世話した恩を忘れたとは言わせねえぞおおおおお!」

その声に続くように、秋山澪ファンクラブの皆さんがが吼えたける。

会長「ブラクでも黒人でも在日でもいい!むしろその方がそそる!」
副会長「澪様は私が助けます!エロいことも考えてるの!」
書記「早く出てきてー、親が泣いてるわよー」
親衛隊第一幹部「M.I.O.澪!M.I.O.澪!M.I.O.澪!M.I.O.澪!M.I.O.澪!」
親衛隊第一副次官「I LOVE MIO! WE LOVE MIO!AII WE NEED IS MIO!」

澪の家を優に三桁を超える人数が、包囲した。
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:50:08.16 ID:wIQFrHow0
澪は自室で、その怒涛のような声を聞いた。

羞恥に頬を染めながら、彼女は布団にうずくまる。

澪(なんなのよ、これ……やめてよね、もう)

心の中で澪は思うも、口には喜びの象徴である笑みが浮かんでいる。

喜んでいるのか、恥ずかしいのか、辛いのか、澪には判らなくなってきた。

いろいろな感情がごちゃまぜになって、喜が怒が哀が楽が混濁して、飽和して、

澪は、立ち上がる。

澪は、覚醒するように気がついたのだ。

やらなくちゃいけないことがある、と。

受験も期末試験も夏の大会も学祭のフェスティバルも、まだ何も終わってないじゃないか。

居場所をなくしたら、作ればいい。

諦めないで、めげないで。

だから私の居場所はここじゃない。こんな暗い、部屋の中じゃない。

私の居場所は――――。
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:51:21.92 ID:wIQFrHow0
律「澪おおおおお、開けろおおおおおおお、このドアを開けろおおおおっ!」

だんだんだだん。律やファンクラブの光速ドアノックによって、玄関がみしみしと悲鳴を上げている。

律「ベースのお前がいないと、大会に参加できないんだよ!頼むから、あけてくれ!」

みしみしみし。

玄関が人の波により破壊されそうになる寸前、声がした。

その声に、玄関を押しつぶそうとしていた律たちは、動きを止める。

律「澪―――?」

その声があまりにも、懐かしく聞こえたから。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:52:35.59 ID:wIQFrHow0
澪「ごめんな、律」

澪は小さく、釈明の言葉を述べた。

澪「ちょっと、今回は我を通しすぎた」

律「いや、いいよ。澪が戻ってくるなら、それで」

澪「でも――」

律「デモもpvもovaもないよ。だって私達は……」

言うのはとても、気恥ずかしかった。

律「お前が無事なら、それでいいってやつらの集まりだからな。なあ、会長?」

会長「ええ。われわれファンクラブは澪様のために存在し、澪様のために朽ちるとをいとわない団体ですから」

澪「ここまで来て言うのもなんだが、本当に、許してくれるのか?」

律「ああ」
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:54:58.26 ID:wIQFrHow0
澪「キムチ食べるぞ?」

律「私にも分けてくれよ」

澪「大会にむけての練習も、私のせいでできなかったんだぞ?」

律「いいって。どうせ、練習しなかっただろうし」

澪「また、迷惑をかけるかもしれない」

律「私もかけるだろうから、そのときはよろしく」

澪「………」

律「いいぞ、誰も怒ってない」

澪「……在日だぞ?」

律「それがどうした?」

律「それ以前に私達は、親友だろ」

澪「親友か?」

律「親友だ」
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:56:30.46 ID:wIQFrHow0
澪「じゃあ……」

律「何だよ」

澪「ずっと、どんなことがあっても、親友でいてくれるか?」

律「――ああ、もちろんだ」

会長が、静かに拍手した。ドア越しの向こうにいる澪にも、聞こえるほど大きな音を立てて。

それにつられるように、副会長が拍手した。書記が、親衛隊第一部隊第十三小隊隊長が、近所の人々が、おそらく、町内全体の人々が、拍手した。

二人を祝福するような拍手が、大きな音となって、世界中に響いた、ような気がした。

どこまでも響き渡る拍手は、律と澪に嬉し泣きをさせた。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:57:31.38 ID:wIQFrHow0
律「なあ、澪。戻らないか?」

どこに、とは聴くまでも無く判る。

澪はうん、と頷いた。

夏の大会まで、もう余り時間は無いのだけれども。

何となく律は、優勝できそうだな、と思った。

紬「私、ここに来ていらないこ扱いですか〜」

紬の呟きは、いまだ続く拍手の五月雨に、かき消された。
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:59:06.82 ID:wIQFrHow0
7月2日。

唯「むぎちゃん、もっとケーキ!」

梓「先輩、がっつきすぎですよ」

唯「いいんだよ、あずにゃん。今日は特別な日だからねっ」

律「そうだぞ、梓。こういう日にはっちゃけないで、いつはっちゃる?」

梓「昨日さんざんはっちゃけたじゃないですか」

律「痛いところつかれた!」

今日は、パーティだった。誰の?もちろん、決まっている。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 08:59:36.20 ID:wIQFrHow0
紬「ほら、澪ちゃん。黙ってないで」

澪「あ、ああ。じゃあ皆」

澪はすうっと息を吸い込んで、思いっきり、コーラの入ったワイングラスを天に突き出した。

澪「乾杯っ!」

その声の合わせるようにして、けいおん部の皆が言った。

律、紬、梓、唯「乾杯!!!!!」

みおちゃんの復帰おめでとうパーティ(唯、命名)は、始まったばかりだった。


66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/14(水) 10:21:46.67 ID:wIQFrHow0
test
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ふんすっ