「証言をしてくれたのは秋山さんだけだわ。琴吹さんも秋山さんには寛大な処置を下すそうよ。学校としても秋山さんの不利にならないよう配慮するわ」
梓は澪がまさか自分たちを売るような真似をするとは思わなかった。これは全て事実だった。澪が出ていく前、そして戻ってきたときに音楽室にいたのは確かに紬と唯と梓だけだった。
それは事実だが、それを伝えれば唯と梓が圧倒的に不利な状況に追い込まれる事くらい想像できるはずだった。
「うーん。琴吹さんの力は大きいのだよ。彼らが私達の学校について悪い噂を流せば、来年から生徒は誰も来なくなる」
「だが我々が事件の真相を解明して彼らに報告すれば、彼らはそのような事をしないのだそうだ」
古典教師が独り言のように呟いた。