( ^ω^)がどこまでも駆けるようです

このエントリーをはてなブックマークに追加
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:49:22.12 ID:VcEdnFIW0
いまツンのことをクソ女よばわりしようとしたな
支援
157 ◆COOK./Fzzo :2010/07/04(日) 23:50:51.55 ID:M9rbxiAPP
/ ゚、。 /『…久し振りだな。7年振りか』

川 ゚ -゚)『いや、6年だ。最後に顔を会わせたのは、私がニイト王となった年だからな』

くもぐった響きの声を、クーが訂正する。

/ ゚、。 /『…あの頃は、このような形で再会するとは夢にも思わなかった。だが、これも宿命というべきなんだろうな』

川 ゚ -゚)『あぁ。当時、王の座にあった私は一介の臣となり、一介の臣であった貴様は王の座にある。運命とは分からぬものだ』

/ ゚、。 /『…再会は戦場だと信じて疑わなかったよ。不思議なもんだな』

と、そこでクーは仮面の王の意識が、自身に向かっているようでその実は、己の背後に向けられている事に気付いた。
果たして振り返れば、そこにはただ呆然と立つ実弟の姿がある。

川 ゚ -゚)『ホライゾン……ダイオードを知っているのか? 幼い頃、一度だけ王都で会った事がある筈なのだが……』

(;^ω^)『…………。いや、初めて会う……筈ですお』

姉の問い掛けに、青年は平坦な声で答えた。

しかし、だ。
不思議と何かが懐かしいのだ。心が何かを叫ぶのだ。
それが、何なのかは分からない。
しかし、その“何か”が全身を氷のように冷やし、血を熱く滾らせ、何かを告げようとしている。

(;^ω^)『でも……僕は……ネグローニで兵奴の訓練を受けたから……何処かですれ違ってるかもしれませんお』

が、それでも、その“何か”の正体が分からない。
故に彼には、自身を無理矢理に納得させるような、重い呟きを漏らす事しか出来なかった。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:51:18.50 ID:mPPEQ6yi0
そういえば34章ってブログだと「猟犬と黒犬」だったか……
支援
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:51:30.56 ID:1d2dAtCp0
支援
160 ◆COOK./Fzzo :2010/07/04(日) 23:53:15.97 ID:M9rbxiAPP
/ ゚、。 /『…それで良いさ。今はまだ、相応しい時じゃないからな』

(;^ω^)『……?』

言葉の真意がつかめず、青年が口を開こうとしたのを制するように、ダイオードがスッと片手を挙げる。
おそらく、それが合図であると前もって決められていたのだろう。
背後に控えていた狩人風の少女が、前に出ようと馬の腹に合図を入れた。
が、馬は相変わらず首を振るって抵抗し、やむなく彼女はその背から飛び降りる。
慌てたふうに両の手を胸の前で組み、頭を下げた。
それを見届けてから、ダイオードは口を開く。

/ ゚、。 /『…本題に入ろうか。戦には出られそうに無いが、糧道の守備は任せてもらおう。
      約束の兵5000と10万本の矢は既にバーボンへ向かわせた。現地で合流するが良い。
      それと……兵を率いる将がいるだろう?』

ヽiリ,,゚ヮ゚ノi『スパムと申しますです。モテナイでは遊撃部隊の千歩将を任されておりますです。
       どうぞ、宜しくお願いいたしますです』

(;^ω^)『……?』

姉に向けて語る口調が、何処か硬くなったのは、青年の思い過ごしであろうか?

/ ゚、。 /『…喜べ、無限陣。ニイト=ホライゾン。スパムの父は【勝利の剣】モララー。
      つまり、貴様ら2人の妹と言うことになる』

川;゚ -゚)『なっ!?』

(;^ω^)『おっ!?』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『ダ、ダイオード様っ!!』
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:54:47.84 ID:mPPEQ6yi0
モララーw
支援
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:55:33.32 ID:1d2dAtCp0
支援
163 ◆COOK./Fzzo :2010/07/04(日) 23:55:53.72 ID:M9rbxiAPP
爪;゚ー゚)『……まさか、本当にモララー様の……』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『あ、いや、それはですね……』

(;´_ゝ`)『モララーは各地に妻を持っていたと言われるが……』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『あの、そのですね……話を聞いてもらえませんです……か?』

ダイオードの告白に諸将が色めきだった。
【勝利の剣】モララーが“その分野”においても類稀な英雄であった事は広く知られている。
そして、彼が幼馴染であるクルウとの間に生した子は長じて【無限陣】クーとなり、
王妹ペニサスに産ませた子は【王家の猟犬】ホライゾンとしてヴィップの重鎮の座に就いているのだ。

スパムがモララーの落とし種であるとしたら、彼女もまた父より偉大なる才を継いでいる可能性が高い。
いや、そうでないとしても、人々は彼女を崇め、奉るだろう。
彼の残した数多くの伝説と功績は、それ程の価値を持つ。
北の大英雄の子と言う肩書きは、それのみでこの島の力関係を左右してしまえるまでに危険な魅力を秘めているのだ。
ちなみに現在。
モララーの子孫は“御三家”と呼ばれる直系を除き、殆ど残っていない。
それは、後の人々があまりにも“モララーが御落胤の末裔”を自称した為、そのありがたみが薄れてしまったからである。

爪*゚∀゚)『やは〜。あちこちに種を撒き散らして……タンポポみたいな人だったんですネ?』

川;゚ -゚)『…………』

堪らず顔を見合わせあう将官に囲まれ、クーはただひたすらに絶句していた。
そして、銀髪の青年はただ1人、平静を崩さずダイオードの次なる言葉を待つ。
何故なら、仮面の下に覗く瞳が、どこかイタズラな輝きを湛えているのを見てしまったからだ。

/ ゚、。 /『…戯れだ。どうやら柄にもなく気が昂ぶっているらしい。許せ』
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:58:33.56 ID:mPPEQ6yi0
支援
165 ◆COOK./Fzzo :2010/07/04(日) 23:59:26.92 ID:M9rbxiAPP
ル∀゚*;パ⌒『は?』

川;゚ -゚)『……戯……れ?』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『は、はいです!! あたしの父様はモララー様と言うか、モララー様だったらいいなぁ……とか』

川  ー )『……は……はは……そうか、戯れか……。はは……これは、なかなかに傑作だ』

俯き加減に下を向き、肩を震わせる。
そして刹那。
空気がざわめき、諸将はぎょっと目を見開いた。
がしゃん、と重い鉄の音を響かせ、クーが立ち上がる。

川#゚ -゚)『この私が許せぬ物が、この世には3つある。
     一つが、不味い飯!!
     一つが、食料を粗末にする行為!!
     最後が、我が同胞と家族を嘲る行いだ!!
     貴様はこの【無限陣】の逆鱗に触れた!!
     その理由如何を問わず、今すぐこの場で肉片に変えてくれよう』

爪;゚∀゚)『3つのうち2つがご飯の話ってどうなんですかネッ?』

爪;゚ー゚)『そ、そんな事どうでも良いのよっ!! 手伝いなさいっ!!』

黒髪の戦術家が仮面の王に蹴りかかろうとしたところを、左右から二組の双子が飛びかかり、四輪車に押し戻した。
それでもクーは隙あらば彼らをはねのけて黒犬の喉笛を喰い千切らんと、瞳を爛々と輝かせている。
そんな中、1人状況を見守っていた青年が、ダイオードに向けて歩を踏み出した。

( ^ω^)『……どういう事だお? 父様を馬鹿にすればどうなるか……分かっていたんじゃないのかお?』
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/04(日) 23:59:46.34 ID:5A9VB593O
ヤリチン支援
167たねしま ◆POPURA//6Q :2010/07/05(月) 00:01:07.51 ID:157t7QZZO
支援だよっ!
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:01:41.69 ID:7+hfT1kO0
支援
169 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:02:46.10 ID:4GjOAcWpP
/ ゚、。 /『…言っただろ? 冗談さ』

( ^ω^)『言って良い冗談と悪い冗談があるお。
       もし、喧嘩を売るつもりなら……』

/ ゚、。 /『…やるか? まぁ……それも悪くない』

言うや、ダイオードは腰に差していた2本の短槍を引き抜いた。
振るえば必ず敵の心の臓を貫くと言われる呪いの槍と、子を間引く際に使われたと言う魔の槍。
青年もまた、背負っていた聖剣を包む布を払い捨て、身構える。

(;,^Д^)『ちょwwww大将、あんたまで何やってんすかwwww』

(# ^ω^)『プギャー……父様を冗談のネタにされて面白くないのは、僕も同じだお』

“勝利の剣”をゆらりと天へ掲げるように構えるブーンと、
双の手にした短槍をだらりと下げたダイオード。
【王家の猟犬】と【魔犬の末裔】は静かに。だが、激しく火花を散らせて睨み合う。
やがて、青の聖剣と朱の魔槍。白を纏った青年と黒に包まれた騎士、
両雄に挟まれた空気が軋みをあげるかと思われた瞬間、ダイオードがふぅと息を吐き出した。

(# ^ω^)『お?』

/ ゚、。 /『…やめよう。さっきも言ったが……今はまだ時が来ていない』

1人、さっさと短槍を腰に戻し、降参とばかりに両手を軽く上げて見せる。
戦意を削がれた青年が少し戸惑いの表情を浮かべるのを余所に、剣気で乱れたフードを整えた。

/ ゚、。 /『…だが、俺は嘘だけは言ってないぜ。スパム、お前の口から説明してやれ』
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:02:52.36 ID:vkuBQ/SX0
支援
ああああああいああああああああああ
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:03:14.93 ID:7+hfT1kO0
支援
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:04:21.26 ID:vkuBQ/SX0
支援
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:05:35.88 ID:5aRbmN2a0
支援
174 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:05:39.78 ID:4GjOAcWpP
ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『ひゃ……はい、です!!』

いきなり声をかけられ、どうしていいものかマゴついていた少女が、素っ頓狂な声をあげる。
予告も無しに群衆の前で演説を命じられた者がするように、
軽く咳払いをしてから、慎重に言葉を紡ぎ出した。

ヽiリ,,゚ヮ゚ノi『あの……あたしはカルア村……昔のネグローニとニイトの領境にある村の出身です。
       父さんはいなくて……母さんも、あたしを産んですぐに死んでしまいました』

少女の説明は、そう長い物ではなかった。
彼女を育てた祖父は、両親の顔も知らぬスパムを哀れと思ったのだろう。
父は北の大英雄モララーであると聞かせて少女を育て、彼女もまたそれを信じて成長したと言う。
長じた今となれば、それが自身を慰める為の罪の無い嘘だと理解できるが、
だからと言ってその全てを否定してしまう事など、出来よう筈もない。

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『多分……あたしの本当の父さんは異名も無い兵隊さんか、行商人だと思いますです。
        でも、やっぱり……モララー様が父さんだったら素敵だなってのは変わらなくて……。
        あの、心の中だけで良いんです!! モララー様を父さんと呼ばせていただけないでしょうか!?』

/ ゚、。 /『…あざけられたと思うなら、それは詫びよう。
      だが、スパムは祖父の言葉を信じ、モララーこそが己の父であると思い焦がれて生きてきた。
      血の繋がりはなくとも、モララーをまだ見ぬ父と信じて、心の中でそう呼び続けてきたのだ。
      ならば、俺の言葉の全てが嘘とも言い切れんだろう?』

川#゚ -゚)『…………ち』

その言葉に一応は納得をしたのだろう。
が、一度噴き上がった怒りをどうやって処理すれば良いのか分からず、クーは聞こえよがしに舌を打つ。
感情的になりやすいと言う彼女の欠点は一向に治っていないのだ。
しかしそれでも、なんとか流血沙汰だけは回避されたから、一同はとりあえずホッと胸を撫で下ろした。
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:07:08.02 ID:7+hfT1kO0
支援
176 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:08:13.45 ID:4GjOAcWpP
/ ゚、。 /『…それでどうする、ナイト=ホライゾン? まだ納得できないと言うなら、今度こそ相手になってやるぜ?』

(;^ω^)『お……おぉっ?』

と、そこで青年は自分が聖剣を構えたまま、立ち尽くしているのに気がついた。
慌てて蒼の大剣を引き戻す。
それを見てから、仮面の王はやや残念そうに言葉を続けた。

/ ゚、。 /『…異名を【天光弓】。モテナイでは祖父殿の情と【勝利の剣】モララーに敬意を表して、天光弓姫とか、姫と呼んでいる』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『あの……あたし、ただの村娘ですので……本当は姫って呼ばれるのは勘弁して欲しいです』

/ ゚、。 /『…弓の腕前だけは俺が保証しよう。鍛えてやってくれ』

( ^ω^)『……』

チラ、と姉に視線を向けると、クーは薄い唇を子供のように尖らせながらも首を縦に振った。
ブーンとしてもダイオードが父モララーを愚弄したのではないとさえ分かれば、何一つ異論はない。

実を言えば、総将ブーンや軍師クー。白面副長プギャーを除けば、第二軍の将は指揮経験が些か乏しい者で構成されている。
意外なほど何でも卆なくこなす兄者は例外として、専門的な将といえばリーゼ1人と言うのが現実なのだ。
彼らの進む先はフッサール派の拠点たるスピリタスであり、その活動内容も直接戦闘より敗残兵の吸収や
潜入による内部との呼応など搦め手が多くなると読んでの事である。
国教会軍との直接戦闘はジョルジュ率いる第一軍や、ニダー率いるリーマン本隊が多く受け持つ事になるだろう。
が、補佐的活動が多いであろうとは言え、やはり何が起こるか分からないのが戦場だ。
専門的な将が増えるというのは、ありがたい話であった。

( ^ω^)『分かりましたお。こちらこそ宜しくだお、スパム姫』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『……あうあうぅ』
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:09:43.41 ID:7+hfT1kO0
支援
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:09:47.86 ID:5aRbmN2a0
ナイト?
支援
179 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:10:21.14 ID:4GjOAcWpP
それで、野上の会談は終わった。
その事を意思表示するかのように、ダイオードの背後に控えていた黒騎士が手にしていた大傘を閉じる。
全く言う事を聞こうとしなかったスパムの愛馬は、プギャーの手にかかると嘘のように従順になり、
狩人はひたすらに平身低頭している。
仮面の王は漆黒の巨馬の腹に軽く蹴りを入れ、クーもまた兄者に四輪車の向きを変えるよう命じた。
だが。

(;^ω^)『ちょ、ちょっと待ってくださいお!!』

/ ゚、。 /『…なんだ? まだ、何か用があるのか?』

すれ違ったダイオードの背に向けて、慌てたふうに叫ぶ。
青年には、どうしても確かめねばならぬ事が一つだけあった。
失地の民が平穏の地となったモテナイ王国。
彼の地には、かつて己を裏切り、袂を分けた男が身を置いているという。
以来、自身の出生の秘密やニイト・ヴィップの連合化、ネグローニの独立など様々な出来事があった。
しかし、口に出さねど、その者の事を忘れた事など一度もない。

(;^ω^)『モテナイには僕の友達がいる筈なんですお』

/ ゚、。 /『………友達?』

そう。
7年間、捜し求めていた友なのだ。
7年前に姿を消して以来、微かに伝え聞く噂以外に消息のつかめなかった友なのだ。
ならば今、手を伸ばさずにいつ手を伸ばせと言うのだろう。

(;^ω^)『ドクオって名前ですお!! ドクオは……元気でいるのかお!?』

/ ゚、。 /『………』
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:11:36.56 ID:7+hfT1kO0
支援
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:11:43.41 ID:5aRbmN2a0
dkdk
182 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:12:46.87 ID:4GjOAcWpP
巨馬の鞍上で、青年に背を向けたままダイオードは微動だにしなかった。
ただ、沈黙だけが流れる。
かつて、ブーンから“友達”の話を耳が苔生すほど聞かされていたプギャーが、
少しだけ複雑そうな顔で2人を見つめていた。

(;^ω^)『おっ?』

やがて、ダイオードがゆっくりと首だけで青年に振り返る。
その仮面の下の眼光は、少しだけ嬉しそうで、少しだけ悲しそうに、青年には思えた。

/ ゚、。 /『…元気さ。いずれ戦場で合間見える事もあるだろう』

(;^ω^)『!! それじゃ、それじゃ……ドクオは今、何処n』

/ ゚、。 /『…だが!! その男はお前を裏切ったんだろう!? 刃を交え、道を違えたんだろう!?
      それでも……それでも、お前は友と呼ぶのか!?』

ここにきて、これ以上は感情を抑えきれぬとばかりにダイオードが声を荒げた。
激昂したクーやブーンを前にしても淡々としていた男の突然の豹変に、諸将は目を丸くする。
しかし、その問いは自身の中でも幾度となく反芻しつくしてきた物であったから、銀髪の青年は静かに首を縦に振った。

( ^ω^)『そうだお。ドクオは僕を裏切って……ツンを殺そうとしたお。
      あれから何年もたって……多分、お互いにあまりにも変わり過ぎてしまっている筈ですお。
      もう…………昔には戻れない。それは分かっているつもりですお』

/ ゚、。 /『…そうだ……その通りだ!! ならば、どうして……』

( ^ω^)『それは……僕達2人が、あの頃とは変わりすぎているからだお。
       あの頃のままだったら、きっと再会してもムズムズしてた筈だけど……今ならきっと、分かり合える。
       そんな気がしてならないんだお』
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:14:01.38 ID:vkuBQ/SX0
支援
目の前にいるのに
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:15:12.94 ID:5aRbmN2a0
複雑な心境だろうな……
支援
185 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:15:46.07 ID:4GjOAcWpP
/ ゚、。 /『………分かり合える……だと?』

( ^ω^)『だお』

絶句する仮面の王を前に、青年は己の言葉が足りていなかったと判断したのだろう。
ときほぐすように言葉を続ける。

( ^ω^)『何も分かり合えずに別れた、あの頃のままだったら……やっぱり、今も何も分かりあえませんお。
       でも、今はお互いに変わり過ぎてるから……あの頃より、分かり合えるはずですお』

/ ゚、。 /『…それでも……それでも、分かり合えなかったらどうする!?
      その時こそ、真に袂を分かつと言うのか!?』

ダイオードの絶叫は、どこか幼い抵抗のようで。
青年はニコリと笑うと、グッと握った拳を突き出して、口を開いた。

( ^ω^)『その時は……ぶん殴ってでも分からせてやるお。
      ドクオもきっと、同じ事をする筈で……僕達は、本当に大切な物が何なのか分からなかった、あの頃とは違いますお。
      今は歩く道が違っていたとしても、お互いに分かり合えれば……いつか必ず、もう一度肩を並べて歩ける日が来る。
      僕は、そう信じていますお』

/ ゚、。 /『……』

その言葉に、ダイオードは思わず天を仰ぎ見た。
静寂の中、何かを堪えるかのように拳を握る音が、ぎゅうと響く。
やがて仮面の王は、静かに青年へ視線を戻した。

/ ゚、。 /『…その言葉、一字一句違わず、必ずや伝えておこう。
      そして……ヤツに代わって礼を言う。ありがとう』
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:16:04.63 ID:7+hfT1kO0
支援
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:18:15.31 ID:5aRbmN2a0
支援
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:18:56.30 ID:vkuBQ/SX0
寝る
最後の支援
189 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:19:20.97 ID:4GjOAcWpP
/ ゚、。 /『…だが、勘違いするなよ!! これで違えた道が一つになる訳じゃねぇ!!
      既に語り合うは言葉じゃなく……刃を持って別れた宿命は、刃をして一つになる他ねぇんだ!!』

(=゚ω゚)ノ『我が君!!』

そこで初めて、沈黙を保っていた大傘の騎士が口を開いた。
その声に、ダイオードはハッと我に返る。
仮面の奥、金色に輝いていた瞳が、急速に熱を失い闇の色に戻っていった。

/ ゚、。 /『…無限陣よ。一つ、言い忘れていた事がある』

わざとらしく青年から視線を外し、怪訝そうな顔のクーに、ダイオードは言葉を紡げる。

/ ゚、。 /『…スピリタス西で抵抗を続けていた魔女は、敗れて囚われの身となったそうだ。
      貴様らの作戦に支障が無いと良いがな。兎も角、戦神の加護があらん事を祈っているぞ』

(;^ω^)『……ちょ、まだ聞きたい事が……!!』

しかし、青年の願いは聞き届けられなかった。
一方的に告げ終えると、仮面の王は漆黒の巨馬に鞭を入れ、振り返りもせずに駆け去って行く。
彼の忠臣もまた、銀髪の青年を鋭く一瞥すると、その後を追った。

爪;゚∀゚)『なんだか……大人子供みたいな人でしたネ?』

(´<_`;)『……あぁ。ダイオードと言えば、フィレンクトやフッサールと同世代の人間の筈なのだが……
       ヤツも、フォックスのように薬でも使っているのか?
       いや、どちらかと言えば、ガキが無理に背伸びしているかのような感じだったな』

ヽiリ;,゚ヮ゚ノi『あうあう〜。ダイオード様、どうしちゃったんでしょうかです……』
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:19:30.07 ID:jzdTqeNxP
仲直りしてほしい気持ちもあるけど、あそこまで言っといて説得されて心が変わりましたってのもな
やっぱり貫いてほしいね
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:20:32.43 ID:7+hfT1kO0
バレそう支援
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:21:28.26 ID:+gcRGWGeO
あれ…読み飛ばしてたか…?
193 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:21:33.24 ID:4GjOAcWpP
(;^ω^)『……』

仮面の王が去った後、諸将が身勝手に囁きあうのを、青年はどこか遠くの景色を眺めるかのような気持ちで聞いていた。
しかし、彼らの行動は無理もないと思う。
何故なら、ダイオードの行動は、まるでこの場から逃げ出そうとしていたかのようだったからである。

そして、確実に言える事が2つあった。
まず一つが、己と仮面の王は過去に何らかの接触を持っていると言う事。
それは、自身に向ける言葉と姉に向ける言葉の響きに、隠しきれない違いがあった事からも明らかであるし、
おそらく最後に激昂した姿こそが、ダイオードと言う男の本質なのだろう。

が、どうしても彼の声に覚えがないのだ。
青年が過去の記憶を失っていると言っても、それは幼少期の頃の事。
もし、仮面の王と接触を持っているとなれば、【戦士の街】ネグローニにおいてを他に考えられない。
どこか懐かしい声触り。
けれど、予め口に綿でも含んでいるのか、素顔を包む仮面のせいか、もしくはその両方か。
もしくは……長い年月が壁となっているのか、どうしても思い出せぬのだ。
故に、青年は言う。

( ^ω^)『姉様。今日はここに陣を敷こうと思いますお』

川 ゚ -゚)『……いいのか、ホライゾン?』

姉の問いに、ブーンはニコリと笑って頷いた。
もし、思い出せぬとしたら、それはきっと“まだ相応しい時ではない”のだろう。
ならば、相応しい時は必ずやって来る。
仮面の黒犬と、かつての親友。
彼らと対峙する日が必ず来る。
それはどこか確信めいた予感であった。
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:22:59.75 ID:5aRbmN2a0
支援
195 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:24:13.48 ID:4GjOAcWpP









─────そして、青年の予感は、正にその通りの物となる。

【王家の猟犬】ニイト=ホライゾンと【黒犬王】ダイオード。
猟犬を継ぐ者と、魔犬の末裔。
白衣白面と漆黒の騎士。
聖剣の担い手と魔槍の使い手。

あまりにも対照的な両者の運命は、この日を境に強く深く結びついていく事となるのだ。
2人はいずれ、戦場で再会する宿命にある。
泥濘の中、刃を交える定めにある。

だが……今はまだ“相応しい時”に非ず。
その時が来るまで、しばしの月日を挟まなければならなかった。







196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:25:34.18 ID:7+hfT1kO0
支援
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:25:54.28 ID:5aRbmN2a0
支援
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:29:13.15 ID:oe/GysJ3O
支援
199 ◆COOK./Fzzo :2010/07/05(月) 00:35:05.93 ID:4GjOAcWpP
以上、第34章でございました。
本日も沢山の支援ありがとうございます。

今後の予定ですが……書き溜め自体は6000行ほど残っております。
が、率直に言いまして肝臓と胃の何割かを取ったりしてまして、
体調ががが。
体調次第で投下するよ、って感じでごめんなさい。
自分でも、何でこんな長く書いたのか恨めしい次第でございます。

本来ならば質問にもお答えしたいのですが、申し訳ない。
勘弁です。
が、スレに書いて頂ければ倉庫で確認しまして、次回お答えさせて頂きますです。
/ ゚、。 /については……まぁ、うん。

作中で『』を使っているのは、単に( ^ω^)『』と、『』まで登録してるからです。
今更「」にするのもなんだかなぁ、と不便ながら使ってますです。

第35章 魔術師 還らず
第36章 最後の神将
第37章 常勝将シャキン

今後はこんな感じです。
今回は第3部の前フリ済ませて満足。

申し訳ありませんがちょっと休ませてください。
それでは皆様。
今宵も良い烏龍茶を。
200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:36:44.39 ID:5aRbmN2a0
乙!
首を長くして待ってるよ!
ほんと身体に気をつけて……
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:37:15.48 ID:OLk2TwMH0
おっつおつう!
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:37:39.16 ID:YOURipb7O
乙!体調だけはほんとに気をつけて!
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:40:14.25 ID:7+hfT1kO0
乙。お大事に
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/05(月) 00:40:49.83 ID:+gcRGWGeO
乙!煙草はよせよ!
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
なにそれ怖い。無理しないでね
乙でした!