2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 13:31:47.84 ID:8XnQXpSJ0
画像はお前?
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 13:32:17.62 ID:hO37yaDa0
どんな伸ばし方でも良いなら、伸ばしてやっても良いが
worldcupでググると、一番下のGoooooogle!が!
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 13:32:39.03 ID:STYzplIV0
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 13:33:01.82 ID:/YeCZYYy0
おとといくらいに見た気がする
Photo by Rocket News24 Staff / 本誌記者撮影
画像は記者か
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 13:33:48.17 ID:STYzplIV0
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/09(水) 13:34:48.29 ID:y082VAKD0
新学期が始まり1ヶ月程たったある日。下駄箱に何か入っている。
誰かに見られていないか周りを確認した後、いつものようにトイレに駆け込んだ。
可愛らしい兎のようなキャラクターの絵が挿入された封筒の中には、一枚の手紙が入っていた。
「お昼休みに裏庭まで来てください。」
手紙には可愛らしい文字でただ一行そう書いてあった。
今まで下駄箱に入っていた手紙を思い出しながら、送り主を考える。
そう、手紙には名前が書いていないのだ。
手紙をもらったのは2人。そのうち朝比奈さん(大)の線は消えた。
朝比奈さん(大)ならば必ず名前が書いているからだ。
次に浮かんだのは今は懐かしい朝倉のこと。
朝倉が消えてから1年経ったか経たないぐらいのはずなのに何年も前の気がした。
あの時のような適当なノートの切れ端ではないし、なにより奴は消えたはずだ。
次に浮かんだのは誰かのいたずらか。だがその線もなんとなくだが消えた。
なんとなく、というのは手紙には何度も書き直したような後があったからだ。
いたずらならばそんな手の込んだことをしてまできれいに書こうとは思わないだろう。
つまり結論から言うとこれはラブレターっということになる。
名前も顔も分からないとはいえ、自分にこんな手紙が来れば他意がなくても自然に顔がにやけてくる。
こんなニヤケずら誰かに見られたら、さらにそれがハルヒなら色々とめんどうなことになる。
ニヤケようとする頬の筋肉に力をいれ、普段どおりの顔で教室に向かった。
教室に入り、谷口や国木田、クラスの奴らに簡単に挨拶をする。
最後に自分の席に座りながら後ろの奴に挨拶する。
ハルヒはとくに興味なさそうに一瞥だけくれるとすぐに外に向き直った。
しばらくの沈黙の後、ハルヒが口を開いた。
「あんた今日お昼どうするの?」
今日は昨日から親がいないため弁当がない。その事はハルヒも知っていたような気がするが。
「ああ、適当に学食かな」
さっきの事で頭がいっぱいで飯のことなど忘れていたため、てきとうに返事を返す。
「そう」答えるともう興味がなくなったのか外を向いた。
同時に先生が入ってきて朝のHRの時間が始まった。
浮かれいた俺はハルヒが妙におとなしい事に気がつかなかった。
ただ、前の小説の時のようにポケットに入れたままにして、
いつぼろを出すかわからなかったので机の奥に手紙を押し込んだ。
昼休みに入り俺は席を立った。手紙の相手に会うためだ。
今朝からずっと頭の中は手紙のことでいっぱいで授業もろくに覚えていない。
「あのさ、キョン」
まぁ普段から授業をまともに聞いた事など滅多にないのだが。
ハルヒが何か言っているが、ハルヒの相手をしている暇は俺にはない。
「悪い、ちょっと急用があるんでな」
ハルヒの方に顔だけ向けてそういうと教室の出口に向かった。
ハルヒから教室の出口に顔向ける時、一瞬だけハルヒの悲しそうな顔が見えた気がした。
今日はなにかよく勘が働く日だ。あっているかの確証はないがな。
・・・裏庭に出るための角が見える。さあ、何が出るやら。
角を曲がると女の子が1人居た。この学校にはもう1年以上いるがみた事がない顔。
さらに朝比奈さん並みに幼い感じの顔つきからしてたぶん新入生だろう。
もじもじとしたような態度で下を向いていて、上目遣いにこちらを見ながら、
何事か言おうとして口を開けたり閉めたりしている。
とりあえず挨拶してみる。「こんにちは、手紙の差出人は君であってるのかな?」
向こうも慌てた様に、「あ、こんにちは。えと、そうです」
可愛らしい声でそう返事を返した。要件を聞いてみると、
ほのかに顔を朱色に変えながら、相変わらずもじもじとしていて、
何か言おうとするが声が出ないようで口を開けたり閉じたりしている。
う〜ん、初々しい。なんともいえない感覚が頭の中で拡がっていた。
それからどれぐらい時間が経っただろうか、実際には5分程だったかそれ以上に長く感じた。
「好きです。もしよろしければ付き合ってくれませんか」早口にそういうと顔を真っ赤にさせて下を向いた。
ついに決心をつけたのか、小さく「よし」と呟くと俺の顔を見つめ、
頭の中が真っ白になった。何を言ったのか理解するのに数秒かかった。
理解できた後に脳天に稲妻を受けたような感じになった。
俺がどう答えようか、悩んでいると後ろの方、ちょうど角になっている方で、
何かを落としたような音が聞こえた。
振り返るとそこには・・ハルヒがいた。逃げるように走り出すハルヒ。
気がつけば「悪い」と一言言うと、俺はハルヒを追いかけて走り出していた。
前方に見えるハルヒ。流石に運動神経がいいだけに足も速い。
前方に見えるハルヒ。流石に運動神経がいいだけに足も速い。
なんとか追いついてその手を掴む。
「待てよ、なんで逃げるんだよ」俺が言うとハルヒは振り向いた。
「うるさいわね。あんたこそなにしてるのよ。早くあの娘のところに戻りなさいよ。」
俺が黙っていると、ハルヒが続けて言う。
「なによ、馬鹿みたいにデレデレしてさ。結構可愛かったじゃないの良かったわね。」
俺の顔を睨みつけながら淡々とそういう。
「黙れ!」自分でも驚く程の怒声が口から出た。体をビクッとさせるハルヒ。
「急に大声出すんじゃないわよ!馬鹿!もう勝手にすればいいでしょ!!」
持っていた小さな袋を俺に投げつける。
袋が地面に落ちるか落ちないぐらいの時間の間にハルヒは走り去っていた。
振り返る際に泣いていたような気がする・・。
ハルヒが投げつけた袋を拾い上げ中を見ると、
衝撃で原型をなくしたおにぎりとおかずが詰まったタッパが入っていた。
おにぎりのラップの包みをめくり一口かじる。
世界中に評判の5つ星レストランであろうともこのおにぎりには勝てないだろう。そんな味がした。
裏庭にはまだあの娘がいたかもしれないが戻る気にはならなかった。
俺は1人でそんなことを思いながら教室に戻った。
・・・結局ハルヒはその後教室には戻ってこず、とうとう今日の授業が終わった。
授業終了の鐘をぼんやりと聞きながら、帰る準備をしていた。
部室に行く気がしなかった。なによりハルヒと会って何を話せばいいのかわからなかった。
その時、教室の扉が開き、長門が入ってきた。
傍からみればいつもの無表情顔だが、俺にはどこか真剣な怒ったような顔をしているように見えた。
俺の横まで来ると「すぐに旧体育館倉庫に行って、手遅れになる前に・・」そう言った。
俺が戸惑っていると「早く!」普段絶対に出さないような大声で俺に言った。
教室にまだ残っていた奴らの視線が俺と長門に集中する。だが、そんな事にかまっている暇はなかった。
俺は長門を教室に残しまま、走り出していた。階段を飛ぶ様に降り、旧体育館倉庫に全速力で向かった。
目的の場所に着く。心臓が異常なほどに脈打ち、足が悲鳴をあげているがそんなもの知るか。
扉を思い切り蹴破る。古い木で出来た扉は簡単に壊れ、倒れた。
薄暗い倉庫の中に3人の男が見えた。一番手前にいた奴が何か言っているが、そんなものはどうでもいい。
一番奥に目をやると・・そこにハルヒがいた。セーラー服が無残に破かれ、半裸の状態だった。
目の前が真っ赤になった。口から何か怒声を出していた気がする、が何を言ったのかは覚えていない。
一番近くにいた小柄の男に殴りかかる。続いてその横にいた太目の男を蹴り飛ばした。
が、そこまでで俺の勢いは終わる。ただでさえ全力疾走で体はぼろぼろな上に3対1。
しばらくして、リーダー格っぽい長身の男が、動けなくなった俺をみて
最初に殴った奴に後ろから羽交い絞めにされ、そこからは一方的に殴られ蹴られた。
「興ざめだ、いくぞ」と吐き捨てるように言うと、残り2人と共に出て行った。
俺はそこらじゅう痛む体を引きずるようにしてハルヒの傍に歩み寄ると、
来ているブレザーを脱ぎ、半裸状態で放心しているハルヒに掛けた。
本心に戻ったのか、ハルヒがはっとすると俺の方を見る。
「何しに来たのよ馬鹿」怒ったような顔のハルヒが言う。そのまま続けて
「別にあんたがこなくてもあれから反撃しようとしていたのよ!」
「あんな奴ら、あたし1人でも十分なんとかなるんだからね!」
「それよりあの娘はどうしたのよ。デレデレしちゃって情けないったらありゃしない」
俺はただ黙って聞いていた。
「あんたなんかもうSOS団にはいらないわ!どこへでも行きなさいよ!」
「もう2度とあたしの前に顔を出すんじゃないわよ!!」
そこまで一気にたてしまくると、ハルヒが肩で息をしながら黙った。
少しの沈黙、の後ハルヒが再び口を開ける。
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」
ハルヒの言葉に割り込むように俺は言い、同時に両手でハルヒの肩を掴んだ。
それでもハルヒの言葉をさえぎり、ハルヒは黙った。
昼間とは違い、怒りを含むような声ではなく、いつもの俺の言葉だった。
俺の両手で掴んでいるハルヒの小さな肩が小刻みに震えている。
まるで叱られた犬の様な顔で俺の顔を見るハルヒ。
両腕に力を入れて肩を掴んだままハルヒを抱き寄せた。そのまま耳元でそっと囁いた。
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」
時間が止まったんじゃないかと思った程辺りは静まり返っていた。
ハルヒは肩を震わせている。嗚咽混じりの声で、
「ごめんなさい」何度もそう呟いていた。何度も。何度も。
どれぐらい時間が経っただろうかハルヒの震えは止まって嗚咽も聞こえなくなっていた。
ずっと力を入れていた腕から力を抜き、ハルヒを離す。
ハルヒと見詰め合う。「ハルヒ」「キョン」お互いに名前を呼びつつ、その顔が少しずつ近づく。
っと「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」
入り口に突然現れた闖入者にハルヒも俺も同時に振り返る。
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉はそういうと引っ込んだ。
再びお互いの顔を見て、同時に笑い出した。
そしてどちらからともなく顔を近づけた。
軽いほんの数秒、キスをする。俺はお約束の目を瞑っている為、ハルヒの顔は見えない。
顔を離し、立ち上がる。ついさっきまで忘れいた痛みが蘇ってふらつくのをハルヒが支えてくれた。
顔を離し、立ち上がる。ついさっきまで忘れいた痛みが蘇ってふらつくのをハルヒが支えてくれた。
だが、なんとなくだけどハルヒも目を瞑っている気がした。
朝比奈さんが泣きながらハルヒに抱きつく。長門はいつもの無表情だがどこか微笑んでいる気がした。
古泉はいつもどおりニコニコした顔で「さっきはすみませんでした」と謝る気がなさそうな顔で言った。
後から気がついたことだがあれも古泉の差し金だったような気がする。
それならば簡単に出て行った理由も分かるし、なによりあの3人を今まで見かけたことがなかったのも合点がいく。
なんにせよ、また迷惑を掛けてしまったようだな・・。
次の日
昨日、弁当をいらないと告げていたので、今日も弁当はなしだった。
学校に着くとたまたまか待っていたのか昨日の娘が居た。
そのまま裏門に行き、昨日の俺の返事を告げる。
と、深く溜息をつくと「やっぱりかぁ」と少し悲しそうなどこかすっきりした顔で言う。
俺が頭に?を浮かべていると、
「涼宮ハルヒ先輩は私から見ても可愛いし、カッコいいし、やっぱりかなわないです」
俺は黙ったまま笑顔で頷いた。
その後彼女はたまに見かけるぐらいの関係になった。
教室に戻ると、ハルヒがニヤニヤしている。
「なんだよ?」「別に」よく分からないやり取りをしつつ席に着く。
ハルヒは上機嫌のようだ。
昼飯の時間が待ち遠しいな・・と思いながら、俺は窓の外の青く晴れた空を見た。
新学期も始まり一ヶ月程たったある日のこと。
いつものように自分の席に座り、外を見ているとキョンの奴が入ってきた。
クラスの連中に挨拶を一通り終えた後、いつものあたしの前の席に座る。
「よう」と一言。キョンの方を見る。がすぐに外の方に向いた。
「あんた今日お昼どうするの?」
やれやれといつものしぐさのキョン。
答えは知っている。昨日部室で朝比奈さんと会話していたのを聞いていたから。
「ああ、適当に学食にするかな」答えるキョン。
あたしは適当に返事すると外を見る。でも実際は窓の外はどうでもよかった。
かばんの中に入っている作ってきたおにぎりのことを考えていた。
鈍感のアホキョンのことだからどうせ気がついてはいないだろう。
前のバレンタインの日すら忘れていたぐらいなんだから。
どこか普段よりぼけっとしているキョンの後ろ姿を眺めながら、昼の時間になった。
何か慌てているように教室に出ようとするキョンに声を掛ける。
「悪い、ちょっと急用があるんでな」そういうと出口の方に振り向き、出て行った。
かばんからおにぎりの入った袋を取り出し、ふとキョンの机を見ると奥に何か封筒のようなものが見えた。
なによあいつ。せっかく作ってきてやったのになくなっても知らないからね。
キョンの机からは、どこかで見たことのある兎のキャラクターの挿絵の封筒が出てきた。
中には一通の手紙が入っていた。「お昼休みに裏庭まで来てください。」
あたしはおにぎりに入った袋を手に提げていたの忘れたまま裏庭に向かった。
なによこれ、こんな面白そうな事をあたしに黙っているなんて許さないわよキョン!
裏庭に行くために通る最後の角を曲がるとキョンが見えた。・・そしてもう1人。
反射的に角に隠れてしまう。何をしているのか聞き耳を立てながらそっと覗く。
女の子の方は見たことがない娘だった。たぶん新入生ってところかな。
何かもじもじとしていている。あーもう、じれったいわね。
あたしが我慢しきれず出て行こうとしたときだった。
耳を疑うような言葉が聞こえてきた。「好きです。もしよろしければ付き合ってくれませんか」
一瞬目の前が真っ白になった。立ちくらみのような感じがする。
キョンの顔はこちらからは見えない。力の入らない手からおにぎりとタッパの入った袋が落ちた。
ドサッ音がして慌てて袋を拾い上げる。向こうを見るとキョンと目があった。気がついたら走り出していた。
逃げるように走る。足がもつれてうまく走れない。後ろから追いついてきたキョンに腕を掴まれた。
「待てよ、なんで逃げるんだよ」息を切らせながらキョンが言う。
頭の中が真っ白になった。気がつくとあたしの口はキョンに罵声を浴びせていた。
「うるさいわね。あんたこそなにしてるのよ。早くあの娘のところに戻りなさいよ。」
口は勝手に動く。キョンは何も言わない。
「なによ、馬鹿みたいにデレデレしてさ。結構可愛かったじゃないの良かったわね。」
「黙れ!」いきなりキョンが見たことのないような怒った顔でそういった。
体が反応してビクっとなる。声の大きさに反応したのか、初めて見たキョンの顔に反応したのはわからない。
「急に大声出すんじゃないわよ!馬鹿!もう勝手にすればいいでしょ!!」
また口が勝手に動いていた。しかも今度は口だけじゃなくて体も動いていた。
持っていた袋をキョンに投げつけていた。
中身ひどい事になっているだろうなぁ。どこか頭の隅にいる冷静なあたしはそんなことを考えていた。
目頭が熱くなってくるのが分かる。キョンにこんな顔、見られたくない・・。
また走り出していた。今度はキョンは追っては来なかった。
気がつくと、今は使われていない旧体育倉庫の辺りに居た。倉庫に近くにしゃがみこんだ。
どれぐらいそうしていたんだろう。気がつけば放課後を知らせる鐘が鳴っていた。
なにも考えたくなかった。また目頭が熱くなってきた。ここなら誰も来ないよね・・。
立ち上がり、教室に戻ろうと歩いていると前からガラの悪そうな3人組が歩いてくる。
いつまでもここにいるわけにもいかない。
キョンには後で謝ろう。きっと許してくれるよね・・。
無視して通り過ぎようとすると肩を掴まれる。
リーダー格っぽい長身の男が何か言っている。
「こんなところで1人でうろついてるとあぶないぜ、特に俺らみたいなのはな」
時代遅れのチンピラのようなセリフを恥ずかしげもなく吐いている。
他の小柄の男と太目の男も「へっへっへっへ」などと時代遅れの以下略
「何よあんた達、離しなさいよ」
肩の手を振りほどこうと腕を暴れさせ、ついでに殴りかかろうとすると腕を掴まれた。
「こいつ見たことありますぜ。バニーの格好したりしてましたよ」
「きっと誘ってるんですよ」
子分臭い2人の男が口々に何か勝手な事を言っている。
「あんた達みたいな奴誘惑するわけないでしょ。訳分からない事いってないでさっさと離しなさいよ!」
長身の男が2人に何か言っている。ニヤケ面した気持ち悪い顔でこっち見るんじゃないわよ。
2人があたしの後ろに回り片方ずつ腕を掴んできた。
3対1しかも男の腕力ならいくらあたしでも振り切れそうにない。
そのまま引きずられる様に旧倉庫の中に連れて行かれる。中は薄暗く埃臭い。
奥の方まで引きずられていき、壁に背を向ける形で開放される。
相変わらず雑魚2人が気持ち悪い笑みを浮かべている。
「騒いでも無駄だぜ。こんなところに滅多に人は来ないからな」
何か嫌な汗が背中を流れた。何言ってるのこいつら・・・。
頭の中が真っ白になる。混乱する頭で自分の置かれている立場をようやく理解する。
男の手がこちらに伸びてくる。「いやっ」反射的に胸を腕で隠す。
「おとなしくしやがれ、このアマ!」思い切り顔をはたかれた。
痛い。何も考えられない。頭の中でキョンの顔が浮かんできた。
キョン。タスケテ。キョン。
へたり込み座り込んでいるあたしの方に手が伸びてくる。
服が裂ける音が聞こえる。セーラー服を破かれ、白いブラがあらわにされる。
「あ・・」自分でも情けないくらい力の篭らない声が口から漏れる。
いや・・助けて。誰か・・・キョン。頭の中で叫ぶ。体は動かない。
突然扉が勢いよく倒れた。逆光でよく顔は見えない。でもなんとなく分かった。キョンが来てくれた。
キョンがあたしの名前を叫びながら小柄の男に殴りかかった。
続いて太目の男を蹴り飛ばす。でも後ろから羽交い絞めにされて・・。
男達はそれで満足していったのか出て行った。キョンとあたしだけが薄暗い倉庫の中に取り残される。
キョンがゆっくりと立ち上がり、体を引きずるようにしてあたしの傍に来た。
ブレザーを脱いであたしに羽織らせる。あたしはそこでようやく我に返った。
けれど口から出たのは感謝の言葉ではなく、罵声だった・・。
「何しに来たのよ馬鹿」違う。
「別にあんたがこなくてもあれから反撃しようとしていたのよ!」こんなことを言いたいんじゃない。
「それよりあの娘はどうしたのよ。デレデレしちゃって情けないったらありゃしない」
「あんな奴ら、あたし1人でも十分なんとかなるんだからね!」なんで素直になれないんだろう。
キョンは黙って聞いている。何か言ってよ・・。
「あんたなんかもうSOS団にはいらないわ!どこへでも行きなさいよ!」
「もう2度とあたしの前に顔を出すんじゃないわよ!!」
なんでこんなことを言うんだろう。それ以上言っちゃいけない・・。
頭の片隅の冷静なあたしが泣いている。けれど体は、口はやめようとはしない。
・・・。終わった・・もうきっとキョンも飽きれているに違いない。まともにキョンの顔が見れない。
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」そこで初めてキョンが口を開いた。
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」そこで初めてキョンが口を開いた。
あたしの両肩を掴んで、やさしい声であたしの名前を呼んでいる。ゆっくりとキョンの顔を見た。
そのまま、まるで壊れ物を扱うようにやさしくキョンに抱きしめられた。
耳元で聞いたこともないような優しい声でキョンが囁く。
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」
あたしの中で何かが音を立てて崩れていった。
何を言われたのか、理解するのに時間がかかった。そしてそれを理解した時。
「ごめんなさい」何度もそう呟いた。呟くたびにあたしの中の何かが洗い流されていくような気がした。
どれくらい時間がたったのかはわからない。あたしはもう何も言っていない。涙ももう止まっている。
キョンの腕から力が抜けていき、あたしはキョンの体から顔を離した。目の前にキョンの顔がある。
「ハルヒ」キョンがさっきと変わらないやさしい声であたしの名前を呼ぶ。
「キョン」あたしもキョンの顔を見ながら名前を呼んだ。キョンの顔が近づいてくる。
「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」
入り口に突然現れた闖入者にキョンとあたしは同時に振り返る。
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉君はそういうと引っ込んだ。
まさかわざとやってんじゃないでしょうね・・。再びお互いの顔を見て、同時に笑った。
あたしは目を瞑っているので、キョンの顔は見えなかった。
どちらからともなく顔を近づける。ほんの数秒だけど唇が触れ合った。
けれど、なんとなくだけど、キョンも目を瞑っている気がした。
顔を離し、立ち上がる。キョンがバランスを崩して倒れそうになるのを支える。
薄暗い倉庫の外は太陽が眩しかった。SOS団の3人がそこに集まっていた。
みくるちゃんが泣きながら抱きついてきた。みくるちゃんの背を片手で抱く。
本当は両手で抱きしめてあげたかったけれど・・もう片方の手はキョンと握り合っていた。
次の日のお昼休み
あたしとキョンは中庭にいた。横でキョンがあたしの作ってきたおにぎりにむさぼりついている。
別に教室でもよかったけれど、キョンが嫌がったのとすごく天気がよかったので中庭で食べる事にした。
うまい、という言葉を言う代わりのように次々とあたしの作ったおにぎりを食べる。
それを見るだけで十分分かってはいたけれど、あえて聞きたくなった。
「おいしい?」キョンが食べる手を止め、こちらを向く。
「ああ、うまいよ。最高だ」あたしはその言葉で満足してこう返した。
「当たり前でしょ。あたしが作ったんだから!」今、自分が出来ると思う最高の笑みと一緒に。
俺の記憶を司る大脳細胞は全神経を酷使して、足の運動神経に緊急停止命令を
俺の足が言うことを聞かない。
出しているが、俺の自転車は、いつもの駅に向かって暴走を続けている。
約束の時間まで、まだ一時間ある。そんなに急いでどうするつもりだ?
だが、たまには、我が団長様の鼻をあかしてやるのもいいかもしれないな。
今日こそはおごって貰うぜハルヒ。
なぜか、いつもよりペダルが軽い気もするがそんなに、焦ることもないだろ?
My右足くん、左足くん。
しかし、その考えはチョコを砂糖でコートし大福餅に入れたくらい甘かったようで、
我が団長様は、例の場所でいつものように腕組みをし仁王立ちで待っていたのだ。
「遅い! 罰金! 大体あんたが誘ったんでしょ?
それを待たせるなんて、どういう神経してんのよ!まったく」
しかし何だ?その格好は?どこかのいいとこのお嬢様みたいだぞ。
それにその髪型がだな……いや、まあいい。
何となく予想はしてたけどな、約束の時間の一時間前だ。俺は遅刻はしていない。
「ん? なに? もう一度言ってみて?」
2回も言わん。しかしいつの間にそんなに髪が伸びたんだ?
昨日までいつものショートカットにカチューシャだったはずだ。
「付け髪よ。こう言うのもあるの。でも自然な感じにするのに手間がかかんのよね。
どう、似合う? ね?」
そう言うとハルヒは、うなじを見せつけるように体をひねってポーズをとった。
馬のしっぽがふわりと揺れる。
あーもう二度と言わないと言ったが、もうやけだ、あらん限りの装飾語を付けて
何度でも言ってやるぜこんちくしょう。
ところで、いまのこの状況を詳しく説明しておこう。
俺とハルヒは二人きりで、不思議探索特別パトロール市外編を敢行しようとしている。
こういう状況になった元凶は、数日前、谷口、国木田、それとニヤケ面の古泉が
告白させられるという、かつて無い恥辱的かつ屈辱的な真似をさせられ、はれて
なぜか共同戦線を張り、生徒会を巻き込んだ大波乱の末、全校生徒の前でハルヒに
全校公認のカップルという永劫地獄行きの烙印を押しつけさせられたためなのだ。
全校というか、おそらくは全世界、全宇宙、全時空公認なんだろうが、とにかく
思い出しただけでも顔から火が出る。どこかの宇宙人対策チームから記憶消去装置を
この話はまた別の機会にするとして、その日の夜に古泉が突然俺の家に訪ねてきた。
借りたいくらいだ。忌々しい、ああ忌々しい忌々しい。
「まさかあなたが本当に告白するとは思いませんでしたよ。
しかし、恋人同士なら、出来るだけ二人きりの時間を持ちたいと考えるのは当然の
事です。涼宮さんがあなたと二人きりで休日を過ごし甘い時間を得たいと考え、
それを もしあなたが無視するような事があれば、僕のアルバイトの時間が増えて
今月の 給料がアップしそうなんですよ。
とニヤニヤしながら忠告してきた。
できれば、そうならないように、あなたにも協力して欲しいのですが」
俺としてはお前が過労死して機関が労働基準局に訴えられる事になってくれた方が
ありがたいがな。
しかしなんだかんだと言っても、特製閉鎖空間にまた二人きりで閉じこめられるより、
ごく普通にこの世界で二人きりでいられる方がまだましだと考えた俺は、
ハルヒに不思議探索特別パトロール市外編を提案したというわけだ。
ハルヒへの告白込みで、これもすべて世界の平和のためなのだ。仕方がない事だ。
断じて、デートなんかではないことをあらかじめ強調しておく。
それから俺とハルヒは、某映画テーマパークに電車で向かう事にした。
予定より1時間ほど早いが、開園前に並んでいた方が、人気のアトラクションに
すぐに入れると考えたからだ。
しかし、ごく普通のテーマパーク行きをハルヒがあっさり了承するとは思わなかった。
いったい、どういう心境の変化だ?
「キョンがそこに行きたいって言うなら、あたしはどこでもいいわよ。」
なんて言う幻聴も聞こえたが、気のせいだ。たぶん。
電車内はいつもなら通勤客でごったがえしている時間だが、そんなに込んではいない。
俺たち二人は車両の真ん中の出口付近に位置していたのだが、次の駅で突然車内は満員に
なり、俺とハルヒは窓際に押しつけられたのだ。
甚だ不本意だが、我が団長様がまったく知らない男に、準痴漢行為のごとく体を密着
させる事など許されるはずがない。団員の雑用係として俺がそれを身を挺して守って
やろうとしているために、ハルヒを抱きしめているような格好になっているのだが、
あくまでも事故である。俺が望んでこうしているのではない事をさらに強調しておく。
「ちょっ、ちょっとキョン……何でそんなにくっつくのよ!離れなさい!」
俺はまったくもって悪くない。全面的に悪くない。
仕方がないだろ。これは事故だ。文句を言うなら他の乗客に言ってくれ。
「もう、バカ……」
ハルヒは小さく呟いて、俺の胸に自分の頭を押しつけてきた。
ほのかなシャンプーの香りで何か血迷った一言を言った気もするが幻聴だ。
ハルヒが真っ赤になってジタバタしているがこれは幻覚だ。眼科も追加しよう。
それからしばらくして、某大都市の銀河鉄道終着駅を思わせる巨大な駅のホームに
今日は幻聴が良く聞こえる。耳鼻科か、精神科に行った方がいいかもしれない。
降り立った俺たちは、休日の朝早い時間のくせに辟易する程の人通りの多さに、
ハルヒと離ればなれになってはいけないので、渋々嫌々ながらにあいつの手を
ばかりのその電車に乗り込んだ。
ハルヒと離ればなれになってはいけないので、渋々嫌々ながらにあいつの手を
電車の中でも迷子になったら困るので手を離してはいない。突如として次元断層
とかそういう超宇宙的現象が起こり二人が引き裂かれるかもしれないからな。
俺たちはそう言う関係ではないのでくれぐれも誤解のないように!
無事に目的地に到着した。
おいそこ!このバカップルがというような目で睨んでいるお前。
電車はその後約10分ほどで、不可思議な現象にも巻き込まれることなく
さすがに連休の初日と言うこともあって、開園までまだ1時間近くあるというのに
「ね、ね、キョン!あのでっかい地球儀の前で写真撮らない?!」
ハルヒが煌々とした瞳で俺に訴えかけてくる。
入場ゲート前は、人、人、人でごった返している。
そうだな、心霊写真が写るかもしれないからな、たまたま持ってきているデジカメで
写真を撮ってみるとしよう。
ハルヒは適当な男を拉致し、俺のデジカメで二人を写すように脅迫する。
拉致された男が、俺を視線だけで殺そうと努力しているようだが気のせいだ。
男に礼を言い、ちゃんと取れたか確認してみると、残念ながら心霊写真は撮れず、
なんか知らんが、俺のニヤケ面と見たことがないハルヒの表情とが液晶画面に表示された。
心霊写真よりこっちの方が怖いぜ。
おれは見ないふりをして、俺たちは入場待ちの列に並らぶのだった。
並びながら待ち時間を活かして同じくあらかじめ購入してある公式ガイドブックで
おれは見ないふりをして、俺たちは入場待ちの列に並らぶのだった。
どのアトラクションに向かうか二人で計画を立てはじめる。
宇宙人と自転車に乗ったりするアトラクションとか、未来人が立体映画で暴れ回る
そう言えば緑色の異世界人の4Dアドベンチャーなんてのもあるな。
ハルヒ……ここのは本物じゃないけどな、お前の会いたがっていたやつらに、
アトラクションとか、超能力蜘蛛男のアトラクションとか。
ここなら会えるんだ。とびきりのバツゲームを思いついたときの、あのキラキラした
瞳を見せている今のお前を見れば、俺と同じくらいワクワクしているのは解るけどな。
「あたしはね、やっぱり基本としては『蜘蛛男』ね。『宇宙人』も捨てがたいんだけど」
だが、ここで本物の宇宙人、未来人、超能力者を出すのはやめてくれよ。
俺も『蜘蛛男』は見たいが、やっぱ『未来へ帰れ』だな。
「『宇宙人』はやめておけ期待はずれという噂だ。
それと『終端機2』は抑えておきたい。」
ふと、朝比奈(大)さんが革ジャンにサングラスをかけ機関銃をぶっ放して
「あとね、『水世界』も面白いって聞いたわ。『恐竜園』も。
「I'llbeback」と言うところが脳裏に浮かんだが無かったことにする。
もうどれにしようか迷っちゃうわ!あーもう、並ばないで全部まわって見てみたーい!!」
そうこうしているうちに、開園のアナウンスがはじまり、ゲートが開いて人々が前に進み始める。
俺たちも前に前に押されるように歩を進め、ゲートをくぐると、
手をつないで走り出す俺とハルヒ。
突如として走り出す人々につられるように俺たちも走り出していた。
だが今はそんな緊迫した場面じゃない。
あの閉鎖空間で《神人》からにげだしたあのときの事が一瞬、フラッシュバックした。
だが俺は、あのときみたいに急に手をふりほどかれないように俺はぎゅっとハルヒの
手を握りしめた。
しかしその行為は、この混雑で離れないようにするためだ。誤解の無いように!
「よーし!次行ってみましょー!」
俺は、ハルヒに手を引っ張られながら、9つめのアトラクションに向かっている。
待ち時間0分という驚異のスケジュールによって、午前中にもうすでに8つのアトラクションを
奇跡的というか、変態的能力のおかげというか、俺たちはなぜか、どんな人気アトラクションでも
こなしているわけだ。
ただ問題が次々と発生している。
『蜘蛛男』では、なぜか俺の頭に蜘蛛の巣が付いていたり、
『巨大鮫』では、水の中からやたらとリアルな血しぶきが上がったり、
『恐竜園』では、恐竜の唾液らしきものが俺の膝の上にべったり落ちていたり、
『宇宙人』では、どう考えてもレールが無いところでリアルな無重力を経験したり
『終端機2』では、気が付けば俺の席の背もたれに弾痕があったり、
『未来に帰れ』では、実際に感電したりもした。
そのたびに俺はハルヒに
「いいな!ハルヒ!これは映画の中の世界をリアルに再現したあくまでも”偽物”の
テーマパークだ!これは現実じゃないんだぞ!」
と言い聞かせ
「なにいってんの。当たり前じゃない」
とハルヒが言い返す。
「次は、『水世界』がいいわね!いくわよキョン!」
まさかハルヒでも……と安易に考えていたいたんだが、俺は無事に生きて帰れるのだろうか?
だが、どう考えても時々映画の中の世界に無意識にトリップしているようだ。
まさか、『水世界』では観客席を含めて水没したりしないよな?
それとも、大爆発に巻き込まれて漫画的に頭髪がパンチパーマになったりするのか?
俺はそう考え身震いすると、おれは、少しでも俺の命が生き長らえるようにハルヒに提案してみた。
俺はそう考え身震いすると、おれは、少しでも俺の命が生き長らえるようにハルヒに提案してみた。
「なあ、ハルヒ、そろそろお昼だ。
「それもそうね」
どこかで昼飯にしないか?当然俺のおごりだ。」
とあっさり、承諾したハルヒと、そのあと30分にわたってどこで食べるかもめることになるのだが……。
結局、ハルヒが選んだ所で昼食を取り、午後からも本来のアトラクションと違うスリルを
俺が、さんざん楽しんだあと、二人で場内のショップ巡りをしている。
ハルヒがぬいぐるみを物色している間に、外のベンチでマターリとして体力を回復させ
休日にここの全てのアトラクションを楽しんだのは俺たちだけだろうな。
ながらぼんやりと考えていた。
しかし、なんだこの違和感は?ハルヒの能力とは違う別の違和感。
俺は咄嗟に、そして何気なしに後ろを振り向いたとき「きゃうん」という声とともに
ずっここけたらしき人の足が一瞬ちらっと見えた。
それを引き込むジャケットの片腕と、さんざん見飽きた例の服の裾も。
まさかあいつらが居たりしないよな……
「あーーー!ほんと!すっごくたのしかったわ!
こんな近くにこんな楽しいところがあるなんて、ホント灯台もと暗しね。」
ハルヒは、俺に無理矢理買わせた白と黒のツートンカラーの犬のぬいぐるみを、
たぶん、普通に来た人たちはお前の半分以下しか楽しめてないような気がするぜ。
その笑顔があまりにもめずらしかったので、また写真に撮っておく。あとでハルヒに
妹がシャミを抱きかかえるように、うれしそうに抱いたままニコニコしている。
見せて「あたしこんな顔していないわ!」と嫌がるところを見てやるか。
そのあと、俺は、山盛りの荷物を抱えて、名残惜しそうなハルヒと外に出たのだが……
やはり、あの3人は付いてきている。気のせいじゃない。
古泉に超能力者として機関に推薦して貰ってもいいくらいの鋭い俺の勘が、妙に
とぎすまされている。あの3人がそんなことをするのだろうか?
いやしかし、ハルヒが観察対象と言っていた事を考えるのなら上からの命令で仕方が無く
ここにいる可能性もある。
ついに本物の宇宙人、未来人、超能力者たちのおでましなのか……やれやれ。
3人ののぞき行為を朝比奈さんと長門は許すとして、古泉お前だけはゆるさんぞ。
古泉が俺たちを見失ったことを上司らしい森さんに報告しこっぴどくしかられているところ
を想像した。さて、どうやって3人を巻いてやろうか。
「ねえ、キョン?さっきからなんだかへんよ?
ひょっとして、私と一緒じゃ面白くなかった?」
不安そうにハルヒは俺に訪ねてくる。
あーそうだな、後ろにいる長門や朝比奈さんと一緒の方が少なくとも命が縮む思いを
しなくてよかったかもな。
「ふん……バカキョン。そんなセリフあんたらしくないわよ!」
会話がかみ合っていないような気がするのは気のせいだ。
どうしても気になるなら眼科に行くことをおすすめする。
悪態を付いたつもりだったのだが、ハルヒは真っ赤になって俺の腕に絡んできやがった。
荷物もあるんだ、重い。出来れば離れてくれ。しかも3人が見ている。
ハルヒの柔らかい何かの感触がすごく気になるが、とにかく、なんとか3人を
振り切る方法を考えねば。
何となく刺すような二つ――いや三つか?――の視線を感じながら、俺は考えを巡らせた。
「なあハルヒ。今から言うことをだまって聞いてくれ。これは冗談じゃない。まじめな話だ。」
「なあハルヒ。今から言うことをだまって聞いてくれ。これは冗談じゃない。まじめな話だ。」
絡んでいるハルヒの両手の力がかすかに強くなった。
「実はな、今俺たち二人を狙っている悪の3つの組織が俺たちを尾行しているっぽいんだ。」
「はぁ……?なによそれ……ンーモグモゴ……」
「はぁ……?なによそれ……ンーモグモゴ……」
後半は俺が口手でふさいだ。
たぶん勘違いさせて期待を裏切ったんだろうがすまない。今はそれどころじゃない。
「だから黙ってそのままで聞いてくれ。やつらに気取られるわけにはいかない。」
ハルヒが事情を理解したのかコクコクとうなずいた。
若干違うがまあいい。そのまま勘違いしててくれ。
「わかった。スパイごっこね?」
ならば、出来るだけ油断させて少しでも引き離し、人通りの多い雑踏で二手に分かれて一気に巻けばいい。
俺は、尾行をまくプランをハルヒに説明した。
やつらはまだ、俺たちが尾行に気づいていることを知らない。
機関のメンバーがこの件に絡んでいたとしても確実に巻く自信はある。
「じゃあね!!キョン!また会いましょ!」
展望台からは一階からの直通エレベーターしかない。それ以上あとについて来れないって訳だ。
大都市の某駅に着くまで出来るだけ平静を装い、そして出来るだけ人通りの多そうな地下街の
通路を選んだ俺たちは、その地下街の雑踏で突如として駆けだした。
展望台からは一階からの直通エレベーターしかない。それ以上あとについて来れないって訳だ。
そして待ち合わせ場所は、あるビルの屋上の展望台なんてどうだ?
ハルヒの声が、地下街に響いた。
ああ!今度は遅刻しないぜ!ハルヒ!
展望台からみる大都会の夜空は、満天の星空とは全く無縁だが、きれいな満月が浮かんでいた。
展望台からみる大都会の夜空は、満天の星空とは全く無縁だが、きれいな満月が浮かんでいた。
周りはカップルだらけでやたらいちゃいちゃしているが、俺は全く気にならない。
月にはウサギが居るのかかぐや姫が居るのか前世では宇宙人が居たのか、そんなことは
俺にはわからないが、やたら大きく見える地球の唯一の衛星『月』を一人眺めていた。
ふと振り返ると、ハルヒがたっていた。
「遅いぜ。ハルヒ。罰金だ。」
なぜかおとなしいハルヒは、そのまま黙っておれに近づき腕にしがみついてきた。
ふくれっ面で俺をみているが、かまうもんか。
眼前には100万ドルとはいわないが、今までみたことのないくらいのたくさんの小さな光が
きらめいている。
あの光一つ一つに人それぞれの生き様がありドラマがある。
楽しそうに笑いあう家族もいればその光の下で涙に泣き濡れる人も居るのだろう。
昔ハルヒが感じた、たくさんの人の中にいる自分というちっぽけな存在を
俺も今、感じているのかもな。
でもな、本当にちっぽけな自分でも俺は俺でハルヒはハルヒだ。
一生懸命自分なりに生きようとすればきっと、ほかの光に負けないくらいの明るく自分だけの
光を放つことが出来るんだぜ。
俺だけが、おまえの光に気づいてやれる。いままでも、これからもな。
おまえは自分の光に自信がなくなって、あがいてもがいて生きてきたんだろうけど、
俺はそう思っただけなんだが、何となくハルヒに伝わったようだ。
俺にはくさい台詞は似合わない。「やれやれまっったく」といっている方がお似合いだが、
何なんだろうね。急にハルヒを抱きしめたくなっちまった。
これは狼男が変身する際に必要な月の光に含まれる興奮作用がそうさせたのだろう。
ああそうだきっとそうだ。
俺たちはは現実世界で初めて、そっとふれあった……。
新学期が始まり1ヶ月程たったある日。下駄箱に何か入っている。
誰かに見られていないか周りを確認した後、いつものようにトイレに駆け込んだ。
可愛らしい兎のようなキャラクターの絵が挿入された封筒の中には、一枚の手紙が入っていた。
「お昼休みに裏庭まで来てください。」
手紙には可愛らしい文字でただ一行そう書いてあった。
今まで下駄箱に入っていた手紙を思い出しながら、送り主を考える。
そう、手紙には名前が書いていないのだ。
手紙をもらったのは2人。そのうち朝比奈さん(大)の線は消えた。
朝比奈さん(大)ならば必ず名前が書いているからだ。
次に浮かんだのは今は懐かしい朝倉のこと。
朝倉が消えてから1年経ったか経たないぐらいのはずなのに何年も前の気がした。
あの時のような適当なノートの切れ端ではないし、なにより奴は消えたはずだ。
次に浮かんだのは誰かのいたずらか。だがその線もなんとなくだが消えた。
なんとなく、というのは手紙には何度も書き直したような後があったからだ。
いたずらならばそんな手の込んだことをしてまできれいに書こうとは思わないだろう。
つまり結論から言うとこれはラブレターっということになる。
名前も顔も分からないとはいえ、自分にこんな手紙が来れば他意がなくても自然に顔がにやけてくる。
こんなニヤケずら誰かに見られたら、さらにそれがハルヒなら色々とめんどうなことになる。
最後に自分の席に座りながら後ろの奴に挨拶する。
教室に入り、谷口や国木田、クラスの奴らに簡単に挨拶をする。
ニヤケようとする頬の筋肉に力をいれ、普段どおりの顔で教室に向かった。
ハルヒはとくに興味なさそうに一瞥だけくれるとすぐに外に向き直った。
しばらくの沈黙の後、ハルヒが口を開いた。
今日は昨日から親がいないため弁当がない。その事はハルヒも知っていたような気がするが。
「ああ、適当に学食かな」
「あんた今日お昼どうするの?」
同時に先生が入ってきて朝のHRの時間が始まった。
ただ、前の小説の時のようにポケットに入れたままにして、
さっきの事で頭がいっぱいで飯のことなど忘れていたため、てきとうに返事を返す。
「そう」答えるともう興味がなくなったのか外を向いた。
浮かれいた俺はハルヒが妙におとなしい事に気がつかなかった。
いつぼろを出すかわからなかったので机の奥に手紙を押し込んだ。
「あのさ、キョン」
昼休みに入り俺は席を立った。手紙の相手に会うためだ。
ハルヒが何か言っているが、ハルヒの相手をしている暇は俺にはない。
今朝からずっと頭の中は手紙のことでいっぱいで授業もろくに覚えていない。
まぁ普段から授業をまともに聞いた事など滅多にないのだが。
ハルヒの方に顔だけ向けてそういうと教室の出口に向かった。
「悪い、ちょっと急用があるんでな」
今日はなにかよく勘が働く日だ。あっているかの確証はないがな。
角を曲がると女の子が1人居た。この学校にはもう1年以上いるがみた事がない顔。
ハルヒから教室の出口に顔向ける時、一瞬だけハルヒの悲しそうな顔が見えた気がした。
・・・裏庭に出るための角が見える。さあ、何が出るやら。
さらに朝比奈さん並みに幼い感じの顔つきからしてたぶん新入生だろう。
もじもじとしたような態度で下を向いていて、上目遣いにこちらを見ながら、
何事か言おうとして口を開けたり閉めたりしている。
とりあえず挨拶してみる。「こんにちは、手紙の差出人は君であってるのかな?」
向こうも慌てた様に、「あ、こんにちは。えと、そうです」
可愛らしい声でそう返事を返した。要件を聞いてみると、
う〜ん、初々しい。なんともいえない感覚が頭の中で拡がっていた。
何か言おうとするが声が出ないようで口を開けたり閉じたりしている。
ほのかに顔を朱色に変えながら、相変わらずもじもじとしていて、
それからどれぐらい時間が経っただろうか、実際には5分程だったかそれ以上に長く感じた。
「好きです。もしよろしければ付き合ってくれませんか」早口にそういうと顔を真っ赤にさせて下を向いた。
ついに決心をつけたのか、小さく「よし」と呟くと俺の顔を見つめ、
頭の中が真っ白になった。何を言ったのか理解するのに数秒かかった。
理解できた後に脳天に稲妻を受けたような感じになった。
何かを落としたような音が聞こえた。
振り返るとそこには・・ハルヒがいた。逃げるように走り出すハルヒ。
俺がどう答えようか、悩んでいると後ろの方、ちょうど角になっている方で、
気がつけば「悪い」と一言言うと、俺はハルヒを追いかけて走り出していた。
なんとか追いついてその手を掴む。
前方に見えるハルヒ。流石に運動神経がいいだけに足も速い。
「待てよ、なんで逃げるんだよ」俺が言うとハルヒは振り向いた。
「うるさいわね。あんたこそなにしてるのよ。早くあの娘のところに戻りなさいよ。」
俺が黙っていると、ハルヒが続けて言う。
「なによ、馬鹿みたいにデレデレしてさ。結構可愛かったじゃないの良かったわね。」
俺の顔を睨みつけながら淡々とそういう。
「黙れ!」自分でも驚く程の怒声が口から出た。体をビクッとさせるハルヒ。
「急に大声出すんじゃないわよ!馬鹿!もう勝手にすればいいでしょ!!」
持っていた小さな袋を俺に投げつける。
振り返る際に泣いていたような気がする・・。
袋が地面に落ちるか落ちないぐらいの時間の間にハルヒは走り去っていた。
ハルヒが投げつけた袋を拾い上げ中を見ると、
衝撃で原型をなくしたおにぎりとおかずが詰まったタッパが入っていた。
おにぎりのラップの包みをめくり一口かじる。
世界中に評判の5つ星レストランであろうともこのおにぎりには勝てないだろう。そんな味がした。
俺は1人でそんなことを思いながら教室に戻った。
裏庭にはまだあの娘がいたかもしれないが戻る気にはならなかった。
・・・結局ハルヒはその後教室には戻ってこず、とうとう今日の授業が終わった。
授業終了の鐘をぼんやりと聞きながら、帰る準備をしていた。
部室に行く気がしなかった。なによりハルヒと会って何を話せばいいのかわからなかった。
その時、教室の扉が開き、長門が入ってきた。
傍からみればいつもの無表情顔だが、俺にはどこか真剣な怒ったような顔をしているように見えた。
俺の横まで来ると「すぐに旧体育館倉庫に行って、手遅れになる前に・・」そう言った。
教室にまだ残っていた奴らの視線が俺と長門に集中する。だが、そんな事にかまっている暇はなかった。
俺が戸惑っていると「早く!」普段絶対に出さないような大声で俺に言った。
俺は長門を教室に残しまま、走り出していた。階段を飛ぶ様に降り、旧体育館倉庫に全速力で向かった。
目的の場所に着く。心臓が異常なほどに脈打ち、足が悲鳴をあげているがそんなもの知るか。
薄暗い倉庫の中に3人の男が見えた。一番手前にいた奴が何か言っているが、そんなものはどうでもいい。
扉を思い切り蹴破る。古い木で出来た扉は簡単に壊れ、倒れた。
一番奥に目をやると・・そこにハルヒがいた。セーラー服が無残に破かれ、半裸の状態だった。
目の前が真っ赤になった。口から何か怒声を出していた気がする、が何を言ったのかは覚えていない。
一番近くにいた小柄の男に殴りかかる。続いてその横にいた太目の男を蹴り飛ばした。
が、そこまでで俺の勢いは終わる。ただでさえ全力疾走で体はぼろぼろな上に3対1。
最初に殴った奴に後ろから羽交い絞めにされ、そこからは一方的に殴られ蹴られた。
しばらくして、リーダー格っぽい長身の男が、動けなくなった俺をみて
「興ざめだ、いくぞ」と吐き捨てるように言うと、残り2人と共に出て行った。
俺はそこらじゅう痛む体を引きずるようにしてハルヒの傍に歩み寄ると、
来ているブレザーを脱ぎ、半裸状態で放心しているハルヒに掛けた。
本心に戻ったのか、ハルヒがはっとすると俺の方を見る。
「何しに来たのよ馬鹿」怒ったような顔のハルヒが言う。そのまま続けて
「別にあんたがこなくてもあれから反撃しようとしていたのよ!」
「あんな奴ら、あたし1人でも十分なんとかなるんだからね!」
「それよりあの娘はどうしたのよ。デレデレしちゃって情けないったらありゃしない」
俺はただ黙って聞いていた。
「あんたなんかもうSOS団にはいらないわ!どこへでも行きなさいよ!」
そこまで一気にたてしまくると、ハルヒが肩で息をしながら黙った。
「もう2度とあたしの前に顔を出すんじゃないわよ!!」
少しの沈黙、の後ハルヒが再び口を開ける。
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」
ハルヒの言葉に割り込むように俺は言い、同時に両手でハルヒの肩を掴んだ。
昼間とは違い、怒りを含むような声ではなく、いつもの俺の言葉だった。
それでもハルヒの言葉をさえぎり、ハルヒは黙った。
俺の両手で掴んでいるハルヒの小さな肩が小刻みに震えている。
まるで叱られた犬の様な顔で俺の顔を見るハルヒ。
両腕に力を入れて肩を掴んだままハルヒを抱き寄せた。そのまま耳元でそっと囁いた。
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」
時間が止まったんじゃないかと思った程辺りは静まり返っていた。
「ごめんなさい」何度もそう呟いていた。何度も。何度も。
ハルヒは肩を震わせている。嗚咽混じりの声で、
どれぐらい時間が経っただろうかハルヒの震えは止まって嗚咽も聞こえなくなっていた。
ずっと力を入れていた腕から力を抜き、ハルヒを離す。
ハルヒと見詰め合う。「ハルヒ」「キョン」お互いに名前を呼びつつ、その顔が少しずつ近づく。
っと「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」
入り口に突然現れた闖入者にハルヒも俺も同時に振り返る。
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉はそういうと引っ込んだ。
再びお互いの顔を見て、同時に笑い出した。
そしてどちらからともなく顔を近づけた。
軽いほんの数秒、キスをする。俺はお約束の目を瞑っている為、ハルヒの顔は見えない。
顔を離し、立ち上がる。ついさっきまで忘れいた痛みが蘇ってふらつくのをハルヒが支えてくれた。
だが、なんとなくだけどハルヒも目を瞑っている気がした。
朝比奈さんが泣きながらハルヒに抱きつく。長門はいつもの無表情だがどこか微笑んでいる気がした。
古泉はいつもどおりニコニコした顔で「さっきはすみませんでした」と謝る気がなさそうな顔で言った。
薄暗い倉庫を出るといつものメンバーがいた。
それならば簡単に出て行った理由も分かるし、なによりあの3人を今まで見かけたことがなかったのも合点がいく。
後から気がついたことだがあれも古泉の差し金だったような気がする。
なんにせよ、また迷惑を掛けてしまったようだな・・。
次の日
昨日、弁当をいらないと告げていたので、今日も弁当はなしだった。
学校に着くとたまたまか待っていたのか昨日の娘が居た。
そのまま裏門に行き、昨日の俺の返事を告げる。
と、深く溜息をつくと「やっぱりかぁ」と少し悲しそうなどこかすっきりした顔で言う。
俺が頭に?を浮かべていると、
「涼宮ハルヒ先輩は私から見ても可愛いし、カッコいいし、やっぱりかなわないです」
俺は黙ったまま笑顔で頷いた。
その後彼女はたまに見かけるぐらいの関係になった。
「なんだよ?」「別に」よく分からないやり取りをしつつ席に着く。
教室に戻ると、ハルヒがニヤニヤしている。
ハルヒは上機嫌のようだ。
新学期も始まり一ヶ月程たったある日のこと。
昼飯の時間が待ち遠しいな・・と思いながら、俺は窓の外の青く晴れた空を見た。
いつものように自分の席に座り、外を見ているとキョンの奴が入ってきた。
クラスの連中に挨拶を一通り終えた後、いつものあたしの前の席に座る。
やれやれといつものしぐさのキョン。
答えは知っている。昨日部室で朝比奈さんと会話していたのを聞いていたから。
「よう」と一言。キョンの方を見る。がすぐに外の方に向いた。
「あんた今日お昼どうするの?」
「ああ、適当に学食にするかな」答えるキョン。
あたしは適当に返事すると外を見る。でも実際は窓の外はどうでもよかった。
かばんの中に入っている作ってきたおにぎりのことを考えていた。
鈍感のアホキョンのことだからどうせ気がついてはいないだろう。
前のバレンタインの日すら忘れていたぐらいなんだから。
何か慌てているように教室に出ようとするキョンに声を掛ける。
どこか普段よりぼけっとしているキョンの後ろ姿を眺めながら、昼の時間になった。
「悪い、ちょっと急用があるんでな」そういうと出口の方に振り向き、出て行った。
なによあいつ。せっかく作ってきてやったのになくなっても知らないからね。
かばんからおにぎりの入った袋を取り出し、ふとキョンの机を見ると奥に何か封筒のようなものが見えた。
キョンの机からは、どこかで見たことのある兎のキャラクターの挿絵の封筒が出てきた。
中には一通の手紙が入っていた。「お昼休みに裏庭まで来てください。」
裏庭に行くために通る最後の角を曲がるとキョンが見えた。・・そしてもう1人。
あたしはおにぎりに入った袋を手に提げていたの忘れたまま裏庭に向かった。
なによこれ、こんな面白そうな事をあたしに黙っているなんて許さないわよキョン!
反射的に角に隠れてしまう。何をしているのか聞き耳を立てながらそっと覗く。
女の子の方は見たことがない娘だった。たぶん新入生ってところかな。
何かもじもじとしていている。あーもう、じれったいわね。
あたしが我慢しきれず出て行こうとしたときだった。
耳を疑うような言葉が聞こえてきた。「好きです。もしよろしければ付き合ってくれませんか」
一瞬目の前が真っ白になった。立ちくらみのような感じがする。
キョンの顔はこちらからは見えない。力の入らない手からおにぎりとタッパの入った袋が落ちた。
ドサッ音がして慌てて袋を拾い上げる。向こうを見るとキョンと目があった。気がついたら走り出していた。
逃げるように走る。足がもつれてうまく走れない。後ろから追いついてきたキョンに腕を掴まれた。
頭の中が真っ白になった。気がつくとあたしの口はキョンに罵声を浴びせていた。
「うるさいわね。あんたこそなにしてるのよ。早くあの娘のところに戻りなさいよ。」
口は勝手に動く。キョンは何も言わない。
「待てよ、なんで逃げるんだよ」息を切らせながらキョンが言う。
「なによ、馬鹿みたいにデレデレしてさ。結構可愛かったじゃないの良かったわね。」
体が反応してビクっとなる。声の大きさに反応したのか、初めて見たキョンの顔に反応したのはわからない。
「黙れ!」いきなりキョンが見たことのないような怒った顔でそういった。
「急に大声出すんじゃないわよ!馬鹿!もう勝手にすればいいでしょ!!」
また口が勝手に動いていた。しかも今度は口だけじゃなくて体も動いていた。
持っていた袋をキョンに投げつけていた。
中身ひどい事になっているだろうなぁ。どこか頭の隅にいる冷静なあたしはそんなことを考えていた。
また走り出していた。今度はキョンは追っては来なかった。
気がつくと、今は使われていない旧体育倉庫の辺りに居た。倉庫に近くにしゃがみこんだ。
目頭が熱くなってくるのが分かる。キョンにこんな顔、見られたくない・・。
どれぐらいそうしていたんだろう。気がつけば放課後を知らせる鐘が鳴っていた。
なにも考えたくなかった。また目頭が熱くなってきた。ここなら誰も来ないよね・・。
いつまでもここにいるわけにもいかない。
キョンには後で謝ろう。きっと許してくれるよね・・。
立ち上がり、教室に戻ろうと歩いていると前からガラの悪そうな3人組が歩いてくる。
無視して通り過ぎようとすると肩を掴まれる。
「こんなところで1人でうろついてるとあぶないぜ、特に俺らみたいなのはな」
リーダー格っぽい長身の男が何か言っている。
「こんなところで1人でうろついてるとあぶないぜ、特に俺らみたいなのはな」
時代遅れのチンピラのようなセリフを恥ずかしげもなく吐いている。
他の小柄の男と太目の男も「へっへっへっへ」などと時代遅れの以下略
「何よあんた達、離しなさいよ」
肩の手を振りほどこうと腕を暴れさせ、ついでに殴りかかろうとすると腕を掴まれた。
「こいつ見たことありますぜ。バニーの格好したりしてましたよ」
「きっと誘ってるんですよ」
子分臭い2人の男が口々に何か勝手な事を言っている。
「あんた達みたいな奴誘惑するわけないでしょ。訳分からない事いってないでさっさと離しなさいよ!」
長身の男が2人に何か言っている。ニヤケ面した気持ち悪い顔でこっち見るんじゃないわよ。
2人があたしの後ろに回り片方ずつ腕を掴んできた。
3対1しかも男の腕力ならいくらあたしでも振り切れそうにない。
そのまま引きずられる様に旧倉庫の中に連れて行かれる。中は薄暗く埃臭い。
そのまま引きずられる様に旧倉庫の中に連れて行かれる。中は薄暗く埃臭い。
奥の方まで引きずられていき、壁に背を向ける形で開放される。
相変わらず雑魚2人が気持ち悪い笑みを浮かべている。
何か嫌な汗が背中を流れた。何言ってるのこいつら・・・。
「騒いでも無駄だぜ。こんなところに滅多に人は来ないからな」
頭の中が真っ白になる。混乱する頭で自分の置かれている立場をようやく理解する。
男の手がこちらに伸びてくる。「いやっ」反射的に胸を腕で隠す。
「おとなしくしやがれ、このアマ!」思い切り顔をはたかれた。
キョン。タスケテ。キョン。
痛い。何も考えられない。頭の中でキョンの顔が浮かんできた。
へたり込み座り込んでいるあたしの方に手が伸びてくる。
服が裂ける音が聞こえる。セーラー服を破かれ、白いブラがあらわにされる。
「あ・・」自分でも情けないくらい力の篭らない声が口から漏れる。
突然扉が勢いよく倒れた。逆光でよく顔は見えない。でもなんとなく分かった。キョンが来てくれた。
いや・・助けて。誰か・・・キョン。頭の中で叫ぶ。体は動かない。
キョンがあたしの名前を叫びながら小柄の男に殴りかかった。
続いて太目の男を蹴り飛ばす。でも後ろから羽交い絞めにされて・・。
男達はそれで満足していったのか出て行った。キョンとあたしだけが薄暗い倉庫の中に取り残される。
ブレザーを脱いであたしに羽織らせる。あたしはそこでようやく我に返った。
キョンがゆっくりと立ち上がり、体を引きずるようにしてあたしの傍に来た。
けれど口から出たのは感謝の言葉ではなく、罵声だった・・。
「何しに来たのよ馬鹿」違う。
「別にあんたがこなくてもあれから反撃しようとしていたのよ!」こんなことを言いたいんじゃない。
「あんな奴ら、あたし1人でも十分なんとかなるんだからね!」なんで素直になれないんだろう。
「それよりあの娘はどうしたのよ。デレデレしちゃって情けないったらありゃしない」
キョンは黙って聞いている。何か言ってよ・・。
なんでこんなことを言うんだろう。それ以上言っちゃいけない・・。
「あんたなんかもうSOS団にはいらないわ!どこへでも行きなさいよ!」
「もう2度とあたしの前に顔を出すんじゃないわよ!!」
・・・。終わった・・もうきっとキョンも飽きれているに違いない。まともにキョンの顔が見れない。
頭の片隅の冷静なあたしが泣いている。けれど体は、口はやめようとはしない。
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」そこで初めてキョンが口を開いた。
あたしの両肩を掴んで、やさしい声であたしの名前を呼んでいる。ゆっくりとキョンの顔を見た。
そのまま、まるで壊れ物を扱うようにやさしくキョンに抱きしめられた。
耳元で聞いたこともないような優しい声でキョンが囁く。
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」
何を言われたのか、理解するのに時間がかかった。そしてそれを理解した時。
あたしの中で何かが音を立てて崩れていった。
「ごめんなさい」何度もそう呟いた。呟くたびにあたしの中の何かが洗い流されていくような気がした。
どれくらい時間がたったのかはわからない。あたしはもう何も言っていない。涙ももう止まっている。
キョンの腕から力が抜けていき、あたしはキョンの体から顔を離した。目の前にキョンの顔がある。
「ハルヒ」キョンがさっきと変わらないやさしい声であたしの名前を呼ぶ。
「キョン」あたしもキョンの顔を見ながら名前を呼んだ。キョンの顔が近づいてくる。
「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」
入り口に突然現れた闖入者にキョンとあたしは同時に振り返る。
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉君はそういうと引っ込んだ。
まさかわざとやってんじゃないでしょうね・・。再びお互いの顔を見て、同時に笑った。
どちらからともなく顔を近づける。ほんの数秒だけど唇が触れ合った。
あたしは目を瞑っているので、キョンの顔は見えなかった。
けれど、なんとなくだけど、キョンも目を瞑っている気がした。
薄暗い倉庫の外は太陽が眩しかった。SOS団の3人がそこに集まっていた。
顔を離し、立ち上がる。キョンがバランスを崩して倒れそうになるのを支える。
みくるちゃんが泣きながら抱きついてきた。みくるちゃんの背を片手で抱く。
本当は両手で抱きしめてあげたかったけれど・・もう片方の手はキョンと握り合っていた。
みくるちゃんが泣きながら抱きついてきた。みくるちゃんの背を片手で抱く。
あたしとキョンは中庭にいた。横でキョンがあたしの作ってきたおにぎりにむさぼりついている。
次の日のお昼休み
別に教室でもよかったけれど、キョンが嫌がったのとすごく天気がよかったので中庭で食べる事にした。
それを見るだけで十分分かってはいたけれど、あえて聞きたくなった。
「おいしい?」キョンが食べる手を止め、こちらを向く。
うまい、という言葉を言う代わりのように次々とあたしの作ったおにぎりを食べる。
「当たり前でしょ。あたしが作ったんだから!」今、自分が出来ると思う最高の笑みと一緒に。
「ああ、うまいよ。最高だ」あたしはその言葉で満足してこう返した。
俺の足が言うことを聞かない。
俺の記憶を司る大脳細胞は全神経を酷使して、足の運動神経に緊急停止命令を
出しているが、俺の自転車は、いつもの駅に向かって暴走を続けている。
約束の時間まで、まだ一時間ある。そんなに急いでどうするつもりだ?
なぜか、いつもよりペダルが軽い気もするがそんなに、焦ることもないだろ?
だが、たまには、我が団長様の鼻をあかしてやるのもいいかもしれないな。
今日こそはおごって貰うぜハルヒ。
My右足くん、左足くん。
しかし、その考えはチョコを砂糖でコートし大福餅に入れたくらい甘かったようで、
我が団長様は、例の場所でいつものように腕組みをし仁王立ちで待っていたのだ。
「遅い! 罰金! 大体あんたが誘ったんでしょ?
それを待たせるなんて、どういう神経してんのよ!まったく」
何となく予想はしてたけどな、約束の時間の一時間前だ。俺は遅刻はしていない。
しかし何だ?その格好は?どこかのいいとこのお嬢様みたいだぞ。
それにその髪型がだな……いや、まあいい。
「ん? なに? もう一度言ってみて?」
2回も言わん。しかしいつの間にそんなに髪が伸びたんだ?
昨日までいつものショートカットにカチューシャだったはずだ。
「付け髪よ。こう言うのもあるの。でも自然な感じにするのに手間がかかんのよね。
どう、似合う? ね?」
そう言うとハルヒは、うなじを見せつけるように体をひねってポーズをとった。
あーもう二度と言わないと言ったが、もうやけだ、あらん限りの装飾語を付けて
何度でも言ってやるぜこんちくしょう。
ところで、いまのこの状況を詳しく説明しておこう。
俺とハルヒは二人きりで、不思議探索特別パトロール市外編を敢行しようとしている。
なぜか共同戦線を張り、生徒会を巻き込んだ大波乱の末、全校生徒の前でハルヒに
告白させられるという、かつて無い恥辱的かつ屈辱的な真似をさせられ、はれて
こういう状況になった元凶は、数日前、谷口、国木田、それとニヤケ面の古泉が
全校公認のカップルという永劫地獄行きの烙印を押しつけさせられたためなのだ。
借りたいくらいだ。忌々しい、ああ忌々しい忌々しい。
全校というか、おそらくは全世界、全宇宙、全時空公認なんだろうが、とにかく
この話はまた別の機会にするとして、その日の夜に古泉が突然俺の家に訪ねてきた。
思い出しただけでも顔から火が出る。どこかの宇宙人対策チームから記憶消去装置を
「まさかあなたが本当に告白するとは思いませんでしたよ。
しかし、恋人同士なら、出来るだけ二人きりの時間を持ちたいと考えるのは当然の
馬のしっぽがふわりと揺れる。
事です。涼宮さんがあなたと二人きりで休日を過ごし甘い時間を得たいと考え、
今月の 給料がアップしそうなんですよ。
それを もしあなたが無視するような事があれば、僕のアルバイトの時間が増えて
できれば、そうならないように、あなたにも協力して欲しいのですが」
とニヤニヤしながら忠告してきた。
俺としてはお前が過労死して機関が労働基準局に訴えられる事になってくれた方が
ありがたいがな。
ごく普通にこの世界で二人きりでいられる方がまだましだと考えた俺は、
しかしなんだかんだと言っても、特製閉鎖空間にまた二人きりで閉じこめられるより、
ハルヒに不思議探索特別パトロール市外編を提案したというわけだ。
ハルヒへの告白込みで、これもすべて世界の平和のためなのだ。仕方がない事だ。
断じて、デートなんかではないことをあらかじめ強調しておく。
予定より1時間ほど早いが、開園前に並んでいた方が、人気のアトラクションに
それから俺とハルヒは、某映画テーマパークに電車で向かう事にした。
いったい、どういう心境の変化だ?
「キョンがそこに行きたいって言うなら、あたしはどこでもいいわよ。」
しかし、ごく普通のテーマパーク行きをハルヒがあっさり了承するとは思わなかった。
すぐに入れると考えたからだ。
なんて言う幻聴も聞こえたが、気のせいだ。たぶん。
電車内はいつもなら通勤客でごったがえしている時間だが、そんなに込んではいない。
俺たち二人は車両の真ん中の出口付近に位置していたのだが、次の駅で突然車内は満員に
甚だ不本意だが、我が団長様がまったく知らない男に、準痴漢行為のごとく体を密着
なり、俺とハルヒは窓際に押しつけられたのだ。
させる事など許されるはずがない。団員の雑用係として俺がそれを身を挺して守って
やろうとしているために、ハルヒを抱きしめているような格好になっているのだが、
あくまでも事故である。俺が望んでこうしているのではない事をさらに強調しておく。
仕方がないだろ。これは事故だ。文句を言うなら他の乗客に言ってくれ。
「ちょっ、ちょっとキョン……何でそんなにくっつくのよ!離れなさい!」
「もう、バカ……」
俺はまったくもって悪くない。全面的に悪くない。
ハルヒは小さく呟いて、俺の胸に自分の頭を押しつけてきた。
ほのかなシャンプーの香りで何か血迷った一言を言った気もするが幻聴だ。
今日は幻聴が良く聞こえる。耳鼻科か、精神科に行った方がいいかもしれない。
ハルヒが真っ赤になってジタバタしているがこれは幻覚だ。眼科も追加しよう。
降り立った俺たちは、休日の朝早い時間のくせに辟易する程の人通りの多さに、
それからしばらくして、某大都市の銀河鉄道終着駅を思わせる巨大な駅のホームに
引っ張って、テーマパーク直通の電車がある別の駅に向かい、ちょうどやってきた
ハルヒと離ればなれになってはいけないので、渋々嫌々ながらにあいつの手を
ばかりのその電車に乗り込んだ。
電車の中でも迷子になったら困るので手を離してはいない。突如として次元断層
とかそういう超宇宙的現象が起こり二人が引き裂かれるかもしれないからな。
おいそこ!このバカップルがというような目で睨んでいるお前。
俺たちはそう言う関係ではないのでくれぐれも誤解のないように!
電車はその後約10分ほどで、不可思議な現象にも巻き込まれることなく
無事に目的地に到着した。
入場ゲート前は、人、人、人でごった返している。
「ね、ね、キョン!あのでっかい地球儀の前で写真撮らない?!」
さすがに連休の初日と言うこともあって、開園までまだ1時間近くあるというのに
そうだな、心霊写真が写るかもしれないからな、たまたま持ってきているデジカメで
ハルヒが煌々とした瞳で俺に訴えかけてくる。
ハルヒは適当な男を拉致し、俺のデジカメで二人を写すように脅迫する。
男に礼を言い、ちゃんと取れたか確認してみると、残念ながら心霊写真は撮れず、
なんか知らんが、俺のニヤケ面と見たことがないハルヒの表情とが液晶画面に表示された。
写真を撮ってみるとしよう。
拉致された男が、俺を視線だけで殺そうと努力しているようだが気のせいだ。
心霊写真よりこっちの方が怖いぜ。
どのアトラクションに向かうか二人で計画を立てはじめる。
おれは見ないふりをして、俺たちは入場待ちの列に並らぶのだった。
並びながら待ち時間を活かして同じくあらかじめ購入してある公式ガイドブックで
アトラクションとか、超能力蜘蛛男のアトラクションとか。
宇宙人と自転車に乗ったりするアトラクションとか、未来人が立体映画で暴れ回る
ハルヒ……ここのは本物じゃないけどな、お前の会いたがっていたやつらに、
そう言えば緑色の異世界人の4Dアドベンチャーなんてのもあるな。
ここなら会えるんだ。とびきりのバツゲームを思いついたときの、あのキラキラした
瞳を見せている今のお前を見れば、俺と同じくらいワクワクしているのは解るけどな。
だが、ここで本物の宇宙人、未来人、超能力者を出すのはやめてくれよ。
「あたしはね、やっぱり基本としては『蜘蛛男』ね。『宇宙人』も捨てがたいんだけど」
「『宇宙人』はやめておけ期待はずれという噂だ。
俺も『蜘蛛男』は見たいが、やっぱ『未来へ帰れ』だな。
それと『終端機2』は抑えておきたい。」
ふと、朝比奈(大)さんが革ジャンにサングラスをかけ機関銃をぶっ放して
「あとね、『水世界』も面白いって聞いたわ。『恐竜園』も。
そうこうしているうちに、開園のアナウンスがはじまり、ゲートが開いて人々が前に進み始める。
手をつないで走り出す俺とハルヒ。
だが俺は、あのときみたいに急に手をふりほどかれないように俺はぎゅっとハルヒの
しかしその行為は、この混雑で離れないようにするためだ。誤解の無いように!
「よーし!次行ってみましょー!」
俺は、ハルヒに手を引っ張られながら、9つめのアトラクションに向かっている。
奇跡的というか、変態的能力のおかげというか、俺たちはなぜか、どんな人気アトラクションでも
だが今はそんな緊迫した場面じゃない。
あの閉鎖空間で《神人》からにげだしたあのときの事が一瞬、フラッシュバックした。
手を握りしめた。
『蜘蛛男』では、なぜか俺の頭に蜘蛛の巣が付いていたり、
待ち時間0分という驚異のスケジュールによって、午前中にもうすでに8つのアトラクションを
『終端機2』では、気が付けば俺の席の背もたれに弾痕があったり、
もうどれにしようか迷っちゃうわ!あーもう、並ばないで全部まわって見てみたーい!!」
『宇宙人』では、どう考えてもレールが無いところでリアルな無重力を経験したり
俺たちも前に前に押されるように歩を進め、ゲートをくぐると、
『巨大鮫』では、水の中からやたらとリアルな血しぶきが上がったり、
『未来に帰れ』では、実際に感電したりもした。
こなしているわけだ。
あの閉鎖空間で《神人》からにげだしたあのときの事が一瞬、フラッシュバックした。
突如として走り出す人々につられるように俺たちも走り出していた。
そのたびに俺はハルヒに
「いいな!ハルヒ!これは映画の中の世界をリアルに再現したあくまでも”偽物”の
こなしているわけだ。
テーマパークだ!これは現実じゃないんだぞ!」
「I'llbeback」と言うところが脳裏に浮かんだが無かったことにする。
と言い聞かせ
「なにいってんの。当たり前じゃない」
とハルヒが言い返す。
だが、どう考えても時々映画の中の世界に無意識にトリップしているようだ。
まさかハルヒでも……と安易に考えていたいたんだが、俺は無事に生きて帰れるのだろうか?
「次は、『水世界』がいいわね!いくわよキョン!」
それとも、大爆発に巻き込まれて漫画的に頭髪がパンチパーマになったりするのか?
まさか、『水世界』では観客席を含めて水没したりしないよな?
俺はそう考え身震いすると、おれは、少しでも俺の命が生き長らえるようにハルヒに提案してみた。
「なあ、ハルヒ、そろそろお昼だ。
どこかで昼飯にしないか?当然俺のおごりだ。」
「それもそうね」
「それもそうね」
結局、ハルヒが選んだ所で昼食を取り、午後からも本来のアトラクションと違うスリルを
とあっさり、承諾したハルヒと、そのあと30分にわたってどこで食べるかもめることになるのだが……。
俺が、さんざん楽しんだあと、二人で場内のショップ巡りをしている。
休日にここの全てのアトラクションを楽しんだのは俺たちだけだろうな。
ハルヒがぬいぐるみを物色している間に、外のベンチでマターリとして体力を回復させ
ながらぼんやりと考えていた。
ながらぼんやりと考えていた。
俺は咄嗟に、そして何気なしに後ろを振り向いたとき「きゃうん」という声とともに
しかし、なんだこの違和感は?ハルヒの能力とは違う別の違和感。
まさかあいつらが居たりしないよな……
ずっここけたらしき人の足が一瞬ちらっと見えた。
それを引き込むジャケットの片腕と、さんざん見飽きた例の服の裾も。
「あーーー!ほんと!すっごくたのしかったわ!
こんな近くにこんな楽しいところがあるなんて、ホント灯台もと暗しね。」
たぶん、普通に来た人たちはお前の半分以下しか楽しめてないような気がするぜ。
ハルヒは、俺に無理矢理買わせた白と黒のツートンカラーの犬のぬいぐるみを、
妹がシャミを抱きかかえるように、うれしそうに抱いたままニコニコしている。
その笑顔があまりにもめずらしかったので、また写真に撮っておく。あとでハルヒに
そのあと、俺は、山盛りの荷物を抱えて、名残惜しそうなハルヒと外に出たのだが……
見せて「あたしこんな顔していないわ!」と嫌がるところを見てやるか。
やはり、あの3人は付いてきている。気のせいじゃない。
古泉に超能力者として機関に推薦して貰ってもいいくらいの鋭い俺の勘が、妙に
とぎすまされている。あの3人がそんなことをするのだろうか?
いやしかし、ハルヒが観察対象と言っていた事を考えるのなら上からの命令で仕方が無く
いやしかし、ハルヒが観察対象と言っていた事を考えるのなら上からの命令で仕方が無く
ついに本物の宇宙人、未来人、超能力者たちのおでましなのか……やれやれ。
3人ののぞき行為を朝比奈さんと長門は許すとして、古泉お前だけはゆるさんぞ。
古泉が俺たちを見失ったことを上司らしい森さんに報告しこっぴどくしかられているところ
を想像した。さて、どうやって3人を巻いてやろうか。
ひょっとして、私と一緒じゃ面白くなかった?」
「ねえ、キョン?さっきからなんだかへんよ?
あーそうだな、後ろにいる長門や朝比奈さんと一緒の方が少なくとも命が縮む思いを
不安そうにハルヒは俺に訪ねてくる。
しなくてよかったかもな。
「ふん……バカキョン。そんなセリフあんたらしくないわよ!」
会話がかみ合っていないような気がするのは気のせいだ。
どうしても気になるなら眼科に行くことをおすすめする。
悪態を付いたつもりだったのだが、ハルヒは真っ赤になって俺の腕に絡んできやがった。
荷物もあるんだ、重い。出来れば離れてくれ。しかも3人が見ている。
ハルヒの柔らかい何かの感触がすごく気になるが、とにかく、なんとか3人を
振り切る方法を考えねば。
何となく刺すような二つ――いや三つか?――の視線を感じながら、俺は考えを巡らせた。
「なあハルヒ。今から言うことをだまって聞いてくれ。これは冗談じゃない。まじめな話だ。」
絡んでいるハルヒの両手の力がかすかに強くなった。
「実はな、今俺たち二人を狙っている悪の3つの組織が俺たちを尾行しているっぽいんだ。」
「はぁ……?なによそれ……ンーモグモゴ……」
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>>5 2chって有料なんですか?
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>>6 え?俺マジ貧乏なんだけど
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>>8 お母さんに何て言えば
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化 / ノ | / ヽ ヽ、_/) (\ ) ゝ | 電車男 ミ タ
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