刊行:「戦争の経験を問う」刊行開始 研究者が執筆、全13冊のシリーズ
気鋭の研究者たちが執筆するシリーズ「戦争の経験を問う」(岩波書店)の刊行が始まった。
戦後65年、体験者が加速度的に減っていくなかで、さまざまなアプローチで戦争の現実に迫ろうとする企画だ。
全13冊のうち、成田龍一・日本女子大教授の『「戦争経験」の戦後史』と、河西英通・広島大教授の『せめぎあう地域と軍隊』、笠原十九司・都留文科大名誉教授の『日本軍の治安戦』が刊行された。
今後は『兵士たちの戦場』(山田朗)▽『兵士たちの戦後史』(吉田裕)▽『ネイションの模索』(リ・ナランゴア)▽『東南アジア占領と日本人』(中野聡)▽『抵抗と協力のはざま』(根本敬)
▽『資源の戦争』(倉沢愛子)▽『総力戦体制と「福祉国家」』(高岡裕之)▽『「銃後」の民衆経験』(大串潤児)
▽『<特攻隊>の系譜学』(中村秀之)▽『戦争のディスプレイ』(河田明久)が予定されている。
近年、当事者の生々しい体験を聞くことは難しくなっている。だが、成田教授は「戦争に人生を左右された人々が大多数を占めていた時代は、彼らやその子供たちの戦争観や歴史観が前面に出る。
しかし、第3、第4世代が中心になっていくと、より多極的に議論することができる」と話す。
執筆者のうち12人が戦後生まれで、60年代生まれが4人いる。成田教授は「これまでの研究で自明だと思われていることを揺さぶってもらいたい」と語っている。【栗原俊雄】
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