1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
人の世は縁と申します
結んだ糸が絡みつき、脆く哀れな彼岸花
怒り、悲しみ、涙に暮れて……
午前零時の戸張の向こう
晴らせぬ怨み、晴らします
VSぬ〜べ〜
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:02:02.43 ID:132BiyoYO
―午前0時―
八島様「端午の節句に見る月夜。風情があって良いものです」
ザッザッ
みこ「……」
八島様「おや、あれはみこさん。こんな夜更けに一体?」
みこ「…これで、良いんだよね」
ザッザッザッ
八島様「夜の散歩、にしてはただならぬ雰囲気でしたが」
カランッ
八島様「黒い絵馬。これは…何とも禍禍しい」
ヒュッ
八島様「消えた…!」
八島様「…今のが何だったのか、少し調べておいた方が良さそうですね」
NOTO VS MAKO
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:04:03.65 ID:132BiyoYO
みこ「ここは…」
???「来たよ」
みこ「!」
あい「私は閻魔あい」
みこ「…貴女が、地獄少女」
あい「山童」
山童「はい、お嬢」
あい「…受け取りなさい。あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けばいい。糸を解けば…私と正式に、契約を交わした事になる。怨みの相手は、すみやかに地獄へ流されるわ」
あい「ただし…怨みを晴らしたら、あなた自身にも代償を支払って貰う」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:06:08.03 ID:57Ve0XLpO
あい「人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に堕ちる」
みこ「地獄……」
あい「死んだあとの話だけどね。極楽浄土へは行けず、あなたの魂は、痛みと苦しみを味わいながら、永遠に彷徨う事になるわ」
みこ「……」
あい「あとは、あなたが決めることよ…」
みこ「私の、部屋」
ガサッ
みこ「藁人形……全部本当の事なんだ」
ギュッ
みこ「……お姉ちゃん」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:08:44.96 ID:57Ve0XLpO
祀「全く、ゴールデンウィークだからってだぁ〜れもお参り一つ来ないなんて。我が家の家計は火の車よ」
ゆりえ「……」
光恵「そりゃあ皆、遊びに行ったりしてるから仕方ないんじゃない」
ゆりえ「……」
祀「ゆりえ、さっきから黙ってどうしたの」
ゆりえ「私も行きたかった」
祀「へ?」
光恵「ああ、ゴールデンウィークは二宮君とデートしようと思ってたら」
健児(俺はもっとビッグになる!!)
光恵「それで、武者修業の旅に出ちゃったんだって」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:10:02.65 ID:57Ve0XLpO
祀「はぁ〜、健ちゃんらしいと言うか何と言うか」
ゆりえ「ん、でもね」
健児(ゆりえちゃんにもっと相応しい男になって来るから、それまで待っててね)
ゆりえ「私の事を想ってくれてたから、それはそれで嬉しいかも♪」
祀「はいはい、ご馳走様」
ゆりえ「えへへへ♪」
光恵「私も潤い、欲しいなぁ……」
一目連「あれが、今回のターゲットか」
骨女「三枝祀、神社の跡取り娘で依頼人の姉。好かれはしても、怨まれる様な子には見えないがねぇ」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:12:31.02 ID:57Ve0XLpO
一目連「姉妹とは云え、色々有るんだろうさ」
輪入道「しっかし、この町はちぃっと俺らにゃ居づらい所だな」
骨女「まぁね。右を見れば神様、左を見ても神様」
一目連「妖怪も神様の括りなんだろうが、俺達はまた別だし」
輪入道「外道に生きる羅刹なり、ってか」
骨女「カッコつけ過ぎだよ輪入道」
一目連「ま、敵意は感じないし…気にしなければ問題ないだろ」
骨女「それより、肝心の依頼人はまだ糸を解かないのかい」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:14:11.92 ID:57Ve0XLpO
一目連「きくりの奴が見張ってるが、進展無しだと」
輪入道「また余計な事を仕出かしてんじゃねえだろうな」
骨女「……心配になって来た」
一目連「右に同じく」
輪入道「これも、保護者の務めってやつか」
みこ「こんにちわ、皆さん」
ゆりえ「あ、お邪魔してます」
光恵「折角の休みなのに、神社の掃除なんて偉いわ。それに引き換え……ねぇ」
祀「あたしだってちゃんとやったわよ、八島様の神棚だけだけど」
みこ「……」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:16:07.02 ID:57Ve0XLpO
祀「ね、みこ」
みこ「……」
祀「みこ?」
みこ「えっ!?な、なに?」
祀「……」
祀「みこ、残りの分はあたしがやっとくからあんたは少し休んでなさい」
ゆりえ「祀ちゃん一人じゃ大変だよ、私も手伝うね」
光恵「後は任せて、みこちゃん」
祀「ありがと、やっぱり持つべき者は友だわ♪」
みこ「…それじゃ、お言葉に甘えさせて貰います。ご飯の買い物にも行かなきゃ行けないので」
祀「あ、丁度良かった」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:18:21.98 ID:57Ve0XLpO
祀「みこ、八島様のお供え物に柏餅も一緒に買って来て。賞味期限ギリギリの割引してる奴で十分だから」
みこ「…うん、解った」
光恵「相変わらずね、あんたは」
祀「節約家と言って頂戴」
ゆりえ「ねぇ、みこちゃん何かおかしくなかった?」
祀「ちょっと無理させ過ぎちゃったかもね。反省だわ」
ゆりえ「ううん、お掃除の事じゃなくって」
光恵「神様の力で何か感じたの?」
ゆりえ「良く解んないんだけど、みこちゃんの他にも誰かが居たような…」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:20:06.03 ID:57Ve0XLpO
光恵「え、何…怖い話とかやめてよね」
祀「神様が居るんだから、お化けだって居るでしょ。どっちも同じようなもんだって。気にしな〜い、気にしない」
光恵「あんたは、もうちょっと女子中学生らしい反応しなさいよ」
ゆりえ「…そうなのかなぁ」
祀「お化けと言えば…ゆりえ、八島様は?」
ゆりえ「八島様?う〜んと、近くには居ないみたい」
祀「自分の神社なんだから、一緒に手伝わせようかと思ったんだけど…何処行ったのよ、もう」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:22:16.04 ID:57Ve0XLpO
ギュッ
みこ「……」
きくり「流しちゃえ流しちゃえ!」
みこ「だ、誰!?」
きくり「憎いんでしょ、怨めしいんでしょ」
みこ「……」
きくり「……つまんなぁ〜い」
輪入道「見つけたぜ、きくり」
きくり「おわっ!は〜な〜せ、ハゲ!」
輪入道「困らせちまったみたいで悪かったな、嬢ちゃん」
みこ「あなた達は…神様?」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:24:04.31 ID:57Ve0XLpO
輪入道「一目でズバリ的中とは、こりゃ恐れ入ったぜ」
一目連「最近、この町に来たばかりでさ」
骨女「あたし達が見えるって事は、お嬢ちゃんは特別なんだ」
みこ「私はそんな…」
骨女「お嬢ちゃんの持ってる藁人形、ひょっとして地獄少女から貰ったのかい」
みこ「ご存じ何ですか?」
一目連「神様は何でもおみとおし、ってね」
輪入道「そいつは、怨みを晴らす為の物だと聞いたぜ。大事に持ってるだけじゃ、意味はねぇと思うがな」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:26:24.99 ID:57Ve0XLpO
みこ「…どうしたらいいのか、解らなくなっちゃったんです」
みこ「お姉ちゃんは何も悪い事をしてないのに、私の一方的な想いだけで地獄に流すのは、間違ってるんじゃないか…って」
輪入道「……」
みこ「ありのままを受け入れて、色んな想いに流されないような強い心を持てば……地獄少女に頼らなくても済む話、なんですよね」
一目連「……」
みこ「…それじゃ、お買い物の途中なので失礼します」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:28:15.80 ID:57Ve0XLpO
骨女「こりゃあ今回、お嬢の出番は無しかもね」
一目連「まだ解んねぇぜ」
輪入道「一度は芽生えた芽だ、咲くか枯れるかはそれこそ神様次第だろうさ」
きくり「いい加減、は〜な〜せ〜!」
祀「あ〜、疲れた」
光恵「ほんっと、みこちゃんを尊敬するわ」
ゆりえ「ぐでぐで〜〜」
八島様「ゆりえ様!」
ゆりえ「はぇ…?」
八島様「みこさんは今何処に!?」
ゆりえ「みこちゃん…?」
八島様「あぁ〜もうっ!光恵さん、失礼します」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:30:18.08 ID:57Ve0XLpO
光恵「うっ!」
祀「光恵、何変な声出してんのよ。あんたも女子中学生らしく…」
光恵様「祀さん、みこさんは!?」
祀「あれ、もしかして八島様?みこなら今は買い物に行ってるわよ」
光恵様「みこさんにおかしな所は無かったですか。こう、何かに思い詰めているとか」
祀「あ〜、ゆりえがそれっぽい事言ってたけどそれかな。ほらゆりえ、しゃきっとなさい!」
バチンッ!
ゆりえ「ひゅいっ!も〜、背中叩かないでよ〜」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:32:15.40 ID:57Ve0XLpO
光恵様「ゆりえ様、これは非常に重要な事なんです」
ゆりえ「え〜っと…みこちゃんの側に、誰かが居たような気がしたの」
光恵様「それは黒いセーラ服を着た少女ではなかったですか」
ゆりえ「うぅん」
光恵様「では、ゆりえ様が感じたのは藁人形…?」
祀「ちょっとちょっと、全然話が見えて来ないんだけど。八島様、一体何の話をしてるの?」
光恵様「…そうですね、これは皆さんにも関わる事なのでご説明します。始まりは、今日の午前0時でした」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:34:19.15 ID:57Ve0XLpO
祀「…つまり何。みこがその地獄通信とかいうのを使って、誰かを呪い殺そうとしてる……って言うのね」
光恵様「はい」
祀「あのね、いくらあたしでも我慢出来る事と出来ない事がある訳。みこの事を悪く言うようなら、例え八島様だろうとひっぱたくわよ!」
光恵様「私もみこさんを信じたい。しかし、黒い絵馬の事を様々な神様達に尋ねた結果、地獄通信を使ったのは間違いありません」
光恵様「そして、地獄少女から呪いの藁人形を受け取った筈」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:36:15.25 ID:57Ve0XLpO
光恵様「糸を解く前に、一刻も早くみこさんを見つけて藁人形をどうにかしないと…誰かが地獄に流されてしまう」
ゆりえ「そんな……」
祀「…まだ信じ難いとこは有るけど、取り敢えず本人に聞くのが一番ね。八島様は先回りして、見つけたら足止めお願い」
光恵様「解りました」
光恵「ふぅ…これは一大事だわ」
祀「みこ……みこ……」
ゆりえ「祀ちゃん、石段!」
祀「え?」
ズルッ!
祀「きゃあっ!?」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:40:51.58 ID:57Ve0XLpO
ガシッ!
光恵様「…間一髪でしたね」
ゆりえ「良かった…」
祀「……八島、様」
光恵様「いくらみこさんの事が心配でも、それで祀さんが怪我してしまったら…それこそ一大事ですよ」
祀「う、うん。…ありがと」
ドサッ
みこ「やっぱり……そうなんだ」
祀「みこ!」
八島様「みこさん!」
みこ「……」
祀「ほらほらもう、折角買った物落としちゃってるじゃない。…ねぇ、少し話したい事があるんだけど」
みこ「来ないで!」
バッ!
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:45:08.31 ID:57Ve0XLpO
八島様「藁人形…!」
祀「あんた、まさか…」
みこ「……」
光恵「みこちゃん。急に変な事聞くかもなんだけど、その……地獄通信って知らないよね?」
みこ「…知ってます。この藁人形は地獄少女に貰いました」
ゆりえ「…どうして地獄通信なんかに?」
みこ「どうして?決まってるじゃないですか、地獄に流したい人がいるからです」
祀「…みこ」
みこ「…お姉ちゃん」
祀「それをこっちに渡しなさい」
みこ「…嫌」
祀「みこ!!」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:51:39.77 ID:57Ve0XLpO
みこ「…お姉ちゃんはいつもそう。どれだけ想われてるかなんて、気づきもしない」
祀「何を言って……とにかく、八島様の言う通りなら藁人形の糸を絶対解いちゃ駄目。誰かを地獄に流すのなんて以ってのほかだわ」
みこ「…八島様、八島様。さっきだって、光恵さんを使ってまで…」
みこ「…もう見ていられない。じゃないと、一生私の想いは叶わないの!」
八島様「いけませんみこさん!」
シュルッ…!!
山童「怨み、聞き届けたり」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:56:32.56 ID:57Ve0XLpO
祀「ここは…」
きくり「わんわん!ここ掘れわんわん!」
ドバーーーッ!!
輪入道「温泉か。こいつは一儲け出来そうだ」
ザザアアアッ!
祀「きゃあああっ!?」
ヒュッ
祀「…げほっ!げほっ!」
きくり「わんわん!こっちも掘るんだわん!」
ガキンッ!
一目連「大判小判がざっくざく。大金持ち確定じゃん」
ザララララッ!
祀「た、助け……埋もれちゃう…!」
ヒュッ
祀「はぁっ、はぁっ…」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:03:02.77 ID:57Ve0XLpO
骨女「おや、あんたにとっちゃ本望だろ」
祀「そんな訳無いでしょ!あんた達誰!?これは一体何なの!?」
山童「あなたは、地獄に流されたんです」
祀「じ、地獄?」
骨女「鈍感過ぎるってのも罪なんだよ」
祀「ち、ちょっと待って。誰があたしを地獄になんて流すの…?」
一目連「あんたの妹さ」
祀「みこが……私、を……」
輪入道「優しいだけじゃ、収まりきらない事だってあるんだぜ」
祀「……」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:05:16.60 ID:IFcra4MuO
地獄少女なんて珍しい
あいはもらって行きますね
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:10:21.08 ID:57Ve0XLpO
山童「自分の罪に気が付きましたか」
祀「…良かった」
輪入道「何?」
祀「地獄通信の事を聞いて、そんな事は絶対止めさなきゃと思った」
輪入道「……」
祀「その相手が私で良かったの。だって、みこが怨みを抱えながら誰かを地獄に流す……そんなのは耐えられない」
一目連「……」
祀「はぁ〜、肩の荷がおりたわ」
骨女「実の妹に怨まれて、地獄にまで流されたんだよ。悲しみこそすれ、喜ぶだなんて…」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:16:35.96 ID:57Ve0XLpO
祀「勿論、悲しいに決まってるじゃない。ショックでどうにかなっちゃいそう」
祀「でもね…それ以上にみこが大好き。あの子の為なら、自分はどうなっても良いと思ってる」
きくり「嘘だ嘘だ、そんな人間がいるもんか!」
一目連「黙れきくり。この子の想いは本物だ」
祀「何となくは解ってるけど、もう帰れないんでしょ?」
一目連「あぁ」
祀「だったら地獄に行く前に、お別れを言わせて」
山童「残念ですが」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:24:34.24 ID:57Ve0XLpO
祀「…そう。伝えたい事があったんだけど、厳しいわね」
祀「それじゃ、とっととやって頂戴。これ以上話してたら……泣いちゃいそうだもん」
輪入道「…だとよ、お嬢」
あい「闇に惑いし哀れな影よ。人を傷つけ貶めて、罪に溺れし業の魂」
祀「……」
あい「イッペン、死ンデミル?」
祀「……ごめんね、みこ」
ゆりえ「ダメーーーーッッッ!!!」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:26:14.26 ID:2+amd4dIO
閻魔さんの決めゼリフってなんだっけ?
闇に惑いしなんたらかんたら
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:31:51.83 ID:57Ve0XLpO
あい「…!」
祀「ゆりえ!?」
輪入道「馬鹿な!有り得ねえ!」
一目連「どうやってここに」
八島様「死神様のお力、と言えば解りますかね」
祀「八島様まで……」
骨女「死神の奴か…納得」
八島様「地獄少女の話をお聞きした時、地獄流しの際には是非邪魔をしたいからと、おっしゃっていましてね。刈る筈だった魂を横取りされる事が、多々あるとか」
八島様「自分は管轄が違うので一緒には行けないからと、路だけ開いて頂きました」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:36:51.66 ID:57Ve0XLpO
あい「…何しに来たの」
ゆりえ「じ、地獄少女…さん」
ゆりえ「祀ちゃんを、助けに来ました」
あい「…糸を解いた時、契約は結ばれた。私にはその子を地獄に流す義務がある」
ゆりえ「…うぅ〜〜」
八島様「ならば、少々強引な手段を取らせて貰います」
きくら「お前らだけで、私達に勝てるとでも思ってんのか〜?」
八島様「…あなた方を調伏し、祀さんを救う。私とゆりえ様のみでは、敵わぬ事かもしれません」
八島様「ですが…」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:41:20.83 ID:57Ve0XLpO
ズドンッ!
イノ「ゆりえ様〜!」
ゆりえ「イノ君!」
チョウ「私もいますよ〜!」
ゆりえ「チョウちゃん♪」
シカ「あんまり関わりたくないんだけどな〜」
タマ「何言ってんの、ゆりえちゃんのお友達が大変なのよ!」
ゆりえ「シカ君にタマも…」
八島様「それだけではありませんよ」
犬和尚「よっ!」
戦艦大和「お久しぶりです、ゆりえ様」
三つ葉丸「どうもその節はお世話になりました」
「「「ゆりえ様〜〜〜〜っっ!!」」」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:44:57.82 ID:57Ve0XLpO
ゆりえ「凄い数の神様…!」
八島様「祀さんをお助け頂くよう、私の神通力を使い全ての神様方にお伝えしたんです」
祀「私の為……こんなに」
輪入道「こいつは…」
一目連「…参ったな」
骨女「目眩が起こりそうだよ」
きくり「おらおら、かかってこい〜!」
山童「姫、煽らないで下さい」
あい「……」
骨女「どうすんだい、お嬢」
あい「私の役目を果たすまで。邪魔はさせない」
きくり「お、珍しく気が合ったな♪」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:48:17.70 ID:IFcra4MuO
私怨
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:49:34.96 ID:57Ve0XLpO
一目連「お嬢がそう言うなら」
輪入道「従うのが俺達の務め」
あい「やるよ」
きくり「ぼっこぼこじゃ〜!」
犬和尚「向こうさんもやる気みたいだぜ」
貧乏神「タマさん、ここは私にお任せ下さい。貧乏神だって役に立つって所をご覧いれますからぁ」
タマ「(びんちゃん、私の体なんだからあんまり無茶しないでよ)」
戦艦大和「この高揚感、まるで現役の頃に戻ったようです」
三つ葉丸「お供します、大和さん!」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:53:18.36 ID:57Ve0XLpO
弁天様「バックミュージックはあたし達七福神が盛り上げるよ!魂が震えるようなガンガンのナンバーを聴かせてあげるからね、オッケーーーー!?」
「「「うお〜〜〜〜っ!!」」」
八島様「弁天様〜〜♪」
ゆりえ「…皆さん、私の話を聞いて!」
八島様「ゆりえ様?」
ゆりえ「私達は祀ちゃんを返して欲しいだけで、争いに来た訳じゃないんだよ」
八島様「それは…そうなのですが」
犬和尚「ここまで来たら、後はもう戦うしか解決法はないと思うけどな」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:56:59.83 ID:57Ve0XLpO
ゆりえ「それで祀ちゃんを助けられても、きっと悲しい。祀ちゃんだって、そんなのは望んで無いと思う」
チョウ「ゆりえ様、どうされるおつもりです?」
ゆりえ「地獄少女さんが解ってくれるように、説得してみる」
シカ「無駄なんじゃないかな〜」
イノ「お前はまた余計な事を!」
八島様「……解りました。しかし、それでも駄目な時は…」
ゆりえ「大丈夫。私を信じて」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:00:33.98 ID:57Ve0XLpO
ゆりえ「地獄少女さん」
あい「……」
ゆりえ「どうして祀ちゃんを、地獄に連れて行くの」
あい「さっきも言ったでしょ。契約が結ばれた以上、私は…」
ゆりえ「そうじゃない。嫌いな人、憎い人がいるから地獄に流すなんて…間違ってる」
あい「依頼人が望んだ事よ」
ゆりえ「それが勘違いからだとか、ちゃんと話せばお互いが分かり合えるかもしれない事を、そのままにしたまま?」
あい「…そうね」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:04:10.31 ID:57Ve0XLpO
ゆりえ「そんなのおかしいよ。地獄に行っちゃったら…一緒に遊んで笑いあったり、たまには喧嘩して泣いちゃったり……何にも出来なくなっちゃう」
ゆりえ「みこちゃんは祀ちゃんが大好き。祀ちゃんもみこちゃんが大好き」
ゆりえ「私や光恵ちゃんに八島様だって…みんなみんな、二人が大好きなの!」
ゆりえ「だから、きっと仲直り出来るんだもん」
ゆりえ「…地獄少女さん」
あい「……」
ゆりえ「祀ちゃんを……返して」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:08:02.26 ID:57Ve0XLpO
あい「…言いたい事はそれだけ?」
ゆりえ「え…?」
あい「地獄へ流す運命は変えられない。地獄少女とはそういう者」
ゆりえ「……」
貧乏神「ゆりえ様…」
タマ「(ゆりえちゃん…)」
犬和尚「…やっぱりこうなっちまったか」
八島様「ゆりえ様は、誠心誠意尽くされました」
祀「…ありがとう、ゆりえ。地獄に行く前なのに、私…今とっても嬉しい」
祀「ねぇ、帰ったらみこに伝えて。こんなお姉ちゃんでごめんね……って」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:11:33.41 ID:57Ve0XLpO
ゆりえ「……った」
祀「ゆりえ…?」
ゆりえ「あれだけ話しても、解って貰えないなんて…石頭の分からず屋!」
輪入道「てめぇ!お嬢に向かって何て口を」
ゆりえ「私、本当の本当に本気で怒ったんだから!!」
きくり「じゃあ、どうするってんだよ」
ゆりえ「お仕置き、しちゃいます!」
ゆりえ「か〜〜〜〜」
一目連「なんだ、ありゃ」
ゆりえ「み〜〜〜〜」
骨女「ちょいと…あの子の周り、様子がおかしくないかい」
これはまた珍しいコラボ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:14:38.00 ID:57Ve0XLpO
貧乏神「き、来ます!」
犬和尚「こいつはヤバそうだ…!」
イノ「何かに掴まれ!」
シカ「あわわわわわ…」
チョウ「わ、私に掴まらないでよ!」
八島様「皆さん、伏せて!」
ゆりえ「ちゅーーーーーーー!!!!」
ゴオオオオオオオッ!!!
あい「これは……!?」
きくり「飛ばされるーー!!」
山童「姫!」
輪入道「うおおおっ!」
一目連「駄目だ、流れに逆らえねぇ!」
骨女「一体全体、何が起こってるのさ!?」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:20:23.09 ID:57Ve0XLpO
光恵「皆……お願い」
みこ「……」
ぱああああっ!
光恵「ゆりえ、祀!」
祀「…ただいま」
みこ「そんな…!」
ゆりえ「…ちゃんと元通りになるよう、に……ね」
ゆりえ「……」
光恵「ゆりえ!?」
祀「あたしを助ける為に、力を使い尽くしてくれたみたい。今は休ませてあげましょ」
ゆりえ「すぅ〜、すぅ〜」
光恵「ひぐっ……良かった。本当に良かった……」
祀「なに、光恵。ひょっとして泣いてる?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:24:09.69 ID:57Ve0XLpO
光恵「あんたが地獄へ流されて、皆が助けに行くって時…私には何の力もないから、ゆりえ達を信じて待つ事しか出来無かった。その間、私がどれだけ心配したと思ってるの……」
祀「…茶化してごめん。ありがとう、光恵」
光恵「さ、最初っからそう言えば良いのよ。全く…」
祀「…さて」
みこ「……」
祀「……」
光恵「祀、確かにみこちゃんのした事はやっちゃいけない事よ。でも、こうして無事に帰って来たんだから…」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:27:04.65 ID:57Ve0XLpO
祀「意気地無し」
みこ「…な!?」
祀「卑怯者、罰当たり、恥知らず」
光恵「ま、祀!?」
祀「ちび、根暗、すっとこどっこい」
みこ「地獄に流されないで助かったら、今度は悪口!?だったら、もう一回地獄少女に…!」
パンッ!!
みこ「あ……?」
祀「この大馬鹿!!…憎いと思ったらね、そんなものに頼らないで、あんたのありのままの想いをぶつけなさい!それぐらい、私が受け止められないと思ってるの?」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:28:16.34 ID:57Ve0XLpO
祀「私だけじゃない…他の人達にだって、堂々と向かって行く事が大事」
みこ「……」
祀「ぶつかっても、憎み合ったままで……分かり合えないかもしれない。でもね、相手がいなくなったら仲直りする事も出来なくなるのよ。って、これはゆりえの受け売りだけど」
みこ「……」
祀「…あんたが、他の人を怨まないで良かった」
祀「もしそんな事になってたら…あたしが身代わりとして、地獄に流されても構わない」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:30:20.87 ID:57Ve0XLpO
みこ「わ、わた…し」
ギュッ…!
祀「こんなに追い込まれるまで、気づいてあげられなくて……出来の悪いお姉ちゃんでごめんね」
みこ「…お姉ちゃんは悪くなんてない。全部、私が弱かったからなの…。だから……」
祀「弱くなんてないわ、ただ優し過ぎただけ。何処に出しても恥ずかしくない、自慢の妹よ」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:31:27.32 ID:57Ve0XLpO
みこ「…ひぅっ、おねぇ…ちゃん。ごめん、なさい…!ごめんなさい……!うわあああぁぁんっっ!!!」
祀「よしよし、良い子良い子」
みこ「うわあああぁぁんっっっ……!!」
光恵「これで、一件落着かな」
ゆりえ「……お〜る、おっけぇ〜〜いっ……むにゃむにゃ」
光恵「ゆりえ、あんたはやっぱり神様だよ」
つんっつんっ
ゆりえ「…ふみゅう〜〜」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:33:13.94 ID:57Ve0XLpO
貧乏神「ゆりえ様は、凄いお方ですぅ」
八島様「そうですね。あの局面を、ゆりえ様お一人の力で解決してしまわれたのですから」
貧乏神「そういえばみこさんは、どうやって地獄少女の事を」
八島様「それがどうやら、来福神社の蔵に地獄少女について描かれた巻物がありまして。読んでしまったが為に存在を知り、怨みの強さから黒い絵馬を送られ……地獄少女に願ってしまったのではないかと」
貧乏神「左様でしたか…」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:35:01.35 ID:57Ve0XLpO
貧乏神「では結局、地獄少女は…」
八島様「あの後、彼らは忽然と消えていました」
八島様「何があったのかは解りませんが…結果的に祀さんは帰って来られ、みこさんも救われたのです」
タマ「(ゆりえちゃん様々ね!流石は私のご主人様♪)」
八島様「来福神社…いえ、一人の神様としてここに願います」
八島様「皆々様が健やかに育たれ、怨み怨まれる事の無い泰平なる世でありますように……」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:37:24.33 ID:57Ve0XLpO
輪入道「やれやれ、えらい目にあったぜ」
骨女「気がついたら現世だもんね」
一目連「俺なんて髪がボサボサ。結構セットが大変なんだけどな、これ」
山童「お嬢、もう一度地獄流しを行いますか?」
あい「…その必要はないわ」
あい「契約が解かれてる。恐らく、あの子の仕業」
一目連「ま、思い返すとあそこに来られたって事は、あのちびっこいのも神様だったって訳だ」
骨女「神様で中学生。珍しい子がいたもんさ」
きくり「略して、かみちゅだ!」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:39:47.45 ID:57Ve0XLpO
山童「素晴らしいネーミングセンスです、姫」
輪入道「おい山童、おめぇさんその袋は何でぃ」
山童「これですか?現世に戻った時、いつのまにか僕の手に握られていました。中身は柏餅です」
輪入道「柏餅だ?」
骨女「それも、あの子の仕業かい?」
一目連「手切れ金ならぬ、手切れ柏餅ねぇ。っておい、それ思いっきり半額のシール貼ってるじゃねえか」
山童「でも、お嬢は…」
あい「…美味しい」
三藁「……」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:41:22.65 ID:57Ve0XLpO
きくり「なら私は、葉っぱごと食べてやる〜!」
山童「意地汚いですよ、姫」
一目連「これからどうする、お嬢。また地獄通信にアクセスするかも知れないし、暫く見張ろうか」
あい「…無駄」
輪入道「あれを見れば二度目はない事くらい、俺でも解るぜ」
骨女「姉妹愛。あたしが言うのも筋じゃないけど、良いもんだね」
チリーン…!
かみちゅの圧勝
終わり
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:43:22.80 ID:57Ve0XLpO
あい「新しい依頼」
骨女「…何処の誰だか知らないけど」
輪入道「人間って奴はほんと、ままならねぇなぁ」
一目連「怨みの数だけ地獄はある、か」
きくり「おい、次はちゃんと流すんだぞ!」
あい「…行くよ」
一目連「OK、お嬢」
骨女「仰せのままに」
山童「お供します」
輪入道「はいよ、お嬢」
きくら「こら〜!無視するな〜〜!」
あなたの怨み 晴らします
−完−
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:47:50.38 ID:i0Vymz6B0
おちゅ!
まさかかみちゅ!のSSを見れるとはおもわなんだわ…
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:49:59.13 ID:57Ve0XLpO
読んでくれた人、ありがとう!
後は、雑談なり好きに使ってくれ
あぁ…BD-BOX、欲しいなぁ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
神アニメのかみちゅ最高だったな