1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:49:24.96 ID:+7ZrFK920
まってた
3 :
>>1代理ありがとうございました ◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:50:16.35 ID:GzznSKH0O
4 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:51:32.32 ID:GzznSKH0O
〜これまでの主な登場人物&精霊〜
(,,゚Д゚) ギコ=モナルド 人
元素 風 19歳
装備 ロングソード 銀の胸当て ダガー
・ツッコミ担当タフネス主人公
技:疾風 ブーメラン 風布 癒しの風 つむじ風 竜巻 圧風 隼斬り 剣ノ舞 風籠
( ^ω^) ブーン 精霊
元素 風
装備 淡緑色のツナギ 風の宝玉の欠片
・ギコの精霊。癒し系白豚型精霊
ノパ听) ヒート=スナオ 人
元素 火 19歳
装備 ハルバード 鋼の胸当て
・元気熱血爆発少女。バカ一号
技:火弾 火炎弾 火炎 炎牙 炎爆 肉斬骨断
从 ゚∀从 ハインリッヒ 精霊
元素 火
装備 レザーコート
・ヒートの精霊。男勝りだけどビビり
5 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:52:23.69 ID:GzznSKH0O
( ・∀・) モララー=S=ファウス 人
元素 水 22歳
装備 ダガー 白い服
・脱力系ニート男
技:氷柱 氷塊 氷粒 液化 水蛇 霧蜘蛛 氷結 水壁 凍結 ヒール ダイヤモンドダスト 兜割り
シンクロ 『mode-氷帝』
川 ゚ -゚) クール 精霊
元素 水
装備 水色のドレス
・モララーの精霊。キャラ崩壊注意なヒロイン
('A`) ドクオ=マダチェリー 人(?)
元素 光 30歳
装備 ロングボウ ただの服 不細工な顔
・アスパラ童貞
技:隼 影縫い セイントアロー 癒しの光
ξ゚听)ξ ツン 精霊
元素 光
装備 白のワンピース
・ドクオの精霊。ツンデレ
6 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:53:40.05 ID:GzznSKH0O
(´<_` ) オトジャ=サスガ 人
元素 無 25歳
装備 魔銃『青龍』 革の鎧
・真面目クール
技:炎砲、氷砲、土砲、雷砲、風砲
( ´_ゝ`) アニジャ=サスガ 人
元素 無 25歳
装備 魔銃『白虎』 革の鎧
・変態お兄さん
技:
( ΦωΦ) ロマネスク=スギウラ 人 33歳
元素 風
装備 大剣 皮の服
・ロリコン筋肉ダルマ
技:疾風 鬼牙斬 鎌鼬 つむじ風 風斬りノ刃
シンクロ 『mode-緑翼』 『mode-風刃』 『mode-そよ風』 『mode-風神』
从'ー'从 ワタナベ 精霊
元素 風
装備 白のワンピース
・キレる時はキレる天然
7 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:54:44.13 ID:GzznSKH0O
(゚、゚トソン トソン=ツムラ 人
元素 雷 29歳
装備 レイピア トライデント ラウンジの兵服
・毒舌絶壁女
技:迅雷 雷撃 稲妻 磁変 トールの雷
シンクロ 『mode-雷神』
<_プー゚)フ エクスト 精霊
元素 雷
装備 なし
・トソンの精霊。バカ二号
( ><) ビロード=F=ラウナジア 人 16歳
元素 ???
装備 ???
王子。詳細不明
技:
(*‘ω‘*) ちんぽっぽ 精霊
元素 ???
装備 ???
ぽっぽ!詳細不明
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:55:32.19 ID:i41WkXQw0
支援
9 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:56:00.63 ID:GzznSKH0O
前編のあらすじまとめ
☆ チン
☆ チン 〃 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\\ノパ听)<ハインまだー?
\_/⊂ ⊂_)_ \_______
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
|  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
| .|/
从;゚∀从「もう帰るよ」
('A`)(あーオナニーしてぇ……)
( ´_ゝ`)「おおゆうしゃよ しんでしまうとはなさけない」
/ ,' 3「モナー殺す」
10 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 21:59:03.93 ID:GzznSKH0O
第三話 〜おかえりとただいま 後編〜
〜VIP村 モナーの家〜
('A`)「ちわーっす」
( ´∀`)「おお、ドクオくん。相変わらずくたびれた顔をしとるのー」
('A`)「悪かったなくたびれた顔してて」
ドクオはモナーの家にやって来ていた。
まず、精霊使いになったという報告をするため。
そして、自分がこれからどうするかを決めるために。
( ´∀`)「おや、隣にいるのはドクオくんの精霊かな?」
ξ゚听)ξ「ツンよ。よろしく」
( ´∀`)「……と、いうことはようやくドクオくんも精霊使いになれたということか」
('A`)「えぇ、やっと精霊使いになれました」
11 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:00:24.43 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「それで、これからはどうするんじゃ?」
('A`)「その事なんすけど……」
ドクオはポリポリと頬を掻いた。
これからどうするかなんて決まってないからだ。
( ´∀`)「その様子だと、決まってないみたいじゃな」
('A`)「恥ずかしながら……」
( ´∀`)「いや、ちょうどいい。ちょっと頼みがあるんじゃが……聞いてくれるか?」
('A`)「ええ、構わないっすよ」
( ´∀`)「そうか」
モナーは一瞬安堵の表情を浮かべたかと思うと、突然立ち上がり、
部屋の奥に行って何かを探し始めた。
12 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:02:04.49 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「ドクオくん。ギコが精霊界を目指しているのは知ってるかな?」
ガサガサと何か探す音に混じってモナーの声が聞こえた。
('A`)「ああ、昔から言ってたっすね」
( ´∀`)「実は……それがかなり危険な事なんじゃ」
('A`)「精霊界は危険なところなんすか?」
( ´∀`)「そんなことはない。危険なのはギコだけじゃ。
……お、あったあった」
モナーが埃まみれの大きな何かを抱えて戻ってきた。
白い布に包まれているからそれが一体何なのかはわからない。
('A`)「……危険なのはギコだけってどういう事っすか」
( ´∀`)「……いずれわかる」
13 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:04:26.37 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「して、頼みなんじゃが、君にギコを護って貰いたいのじゃ」
('A`)「俺に……?」
(;'A`)「いやいやいや、無理っすよ!俺、ギコよりも弱いし……それに、魔物とか相手に戦った事ないし……」
( ´∀`)「……頼む。君しかいないんじゃ」
(;'A`)「無理ですって!俺は森のイノシシ狩るくらいしかできない男ですから……」
( ´∀`)「今の君は少なくとも昔の君じゃないじゃろうて」
('A`)「あ……」
ドクオがちら、と自分の足元を見ると、
そこではツンが腕を組んでふて腐れていた。
('A`)(そうだった……。俺はもう精霊使いなんだ……)
14 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:05:58.30 ID:GzznSKH0O
精霊使いになると身体能力が格段に上昇する。
ドクオもその事はよく知っていた。
('A`)「……俺は、ギコを護る事が出来るんでしょうか」
真剣な表情でドクオがモナーに問う。
モナーがどう答えようが、それは根拠のないデタラメになりうるのだが、
今のドクオにはそんなこと関係ない。
( ´∀`)「もちろん。君ならば出来る」
モナーの言葉が、ドクオを突き動かす原動力になるのだから。
('A`)「……わかりました。俺に任せて下さい」
15 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:07:31.87 ID:GzznSKH0O
('A`)「でも、教えて下さい。どうして精霊界に行くとギコの身が危ないんですか」
( ´∀`)「知る必要はないじゃろうて」
('A`)「教えて下さい」
ドクオが口調を強める。
その目はいつになく真剣だ。
ギコはドクオに取って数少ない友人であり、弟のような存在であった。
もし、精霊界がギコにとって本当に危険な場所ならば
ギコを精霊界に行かせるわけにはいかない。
モナーは観念したように深い溜め息をつくと、重々しい口調で話始めた。
( ´∀`)「……ドクオくん。精霊界は昔なんと呼ばれていたか知っているか?」
('A`)「いえ……」
16 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:08:47.69 ID:GzznSKH0O
ドクオがツンの方に目をやるが、ツンは肩を竦めて首を振った。
どうやらツンも知らないようだ。
( ´∀`)「……魔界。悪魔の住む世界。……そう呼ばれておった」
ξ#゚听)ξ「はぁ!?そんな話聞いたことないわよ!デタラメ言わないで!」
(;'A`)「ツン、人間が勝手に言ってた事だから……落ち着いて……」
( ´∀`)「その頃精霊界では悪魔と精霊が対立していたんじゃ。
そして大規模な戦争が起こった。一部の人間を巻き添えにしてな」
ドクオがまたツンに視線をやる。
ツンはまだ腹の虫が治まっていない様子だったが、ドクオに頷き返した。
戦争があった事はツンも知っているようだ。
('A`)「……で、これとギコとどんな関係が?」
17 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:10:11.40 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「戦争の時に、ある重大な事件が起こったのじゃ。
精霊にとっても、悪魔にとってもあってはならない事件がな。
その事件に巻き込まれてしまったのが……ギコなんじゃ」
(;'A`)「は……?その事件が起こったのいつなんすか?」
( ´∀`)「そうじゃな……20年くらい前だったかのぉ?」
(;'A`)「まだギコは生まれてないじゃないっすか!!
なんでギコはその事件に巻き込まれたんだ……?」
ξ;゚听)ξ「待って、ちょっと待ってよ!
なんなの事件って。アタシそんなの知らないわ!」
(;´∀`)「まぁ二人とも落ち着きなさい。二人同時に話掛けられてもわしは答えられんぞ」
モナーに制され、黙り込む二人。
モナーは咳ばらいを一つすると、順番に質問に答えていった。
18 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:12:26.12 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「まず、ギコについてじゃが……、ギコ自身は事件とほとんど関係がないんじゃ。
ただ事件が起こった『結果』としてギコが問題なってくるんじゃな」
(;'A`)「えっ?えっ?わ、わかりやすくお願いします」
( ´∀`)「そのまんまの意味じゃ。ちょっとは考えい。
それと事件の事は精霊達や悪魔達の中でも上位に位置する者達にしか知られておらん。
事件が起こったのがほぼ休戦状態の時じゃったから、余計な混乱を避けたかったのじゃろう」
ξ゚听)ξ「……その情報をなんであなたが知っているの?」
( ´∀`)「はっはっはっ。ノーコメントじゃ。
さて、もう質問はいいじゃろう?」
モナーが満面の笑みで二人に言った。
ドクオもツンも不満げな表情だったが、これ以上モナーに何か言っても無駄だと悟り、
しぶしぶ首を縦に振るのだった。
( ´∀`)「よし、じゃあドクオくん。君にこれをあげよう」
19 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:14:05.75 ID:GzznSKH0O
そう言ってモナーがドクオに手渡したのは先ほどの布に包まれた何か。
その大きさに似合わず、それは羽根のように軽かった。
(;'A`)「これは……?」
恐る恐る布を取ると、不思議な形状をした弓が顔を出した。
透き通る様な白い色をした弓幹に蜘蛛の糸のような弦がピンと張っている。
そして何よりもその弓からは異様な何かが発せられていた。
( ´∀`)「『エルフィンボウ』。エルフと呼ばれる種族が作った魔法の弓じゃ」
ξ;゚听)ξ「エルフ……って、数千年前に絶滅した種族じゃないの!?」
( ´∀`)「そうじゃよ。よく知っとるのぅ」
20 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:17:45.85 ID:GzznSKH0O
エルフの話ならドクオも聞いた事があった。
まだ人間達がこの世界に生まれてくる前に存在した種族で、
狩りをしたり、果物を取って暮らしていた妖精のような種族だったとか。
( ´∀`)「エルフの造った『誰かを護る為の弓』じゃ。
恐らくこの世界に残存しているエルフの弓はもうこれだけじゃろう。
君なら使いこなせると信じておるぞ」
((((;'A`))))「そそそそそそんなたたた大層な物ももももも貰えませんよ!」
( ´∀`)「いいんじゃよ。どうせワシには扱えん代物じゃ」
ξ゚听)ξ「……」
((((;'A`))))「ででででも……」
ξ゚听)ξ「わかったわ。貰っておきましょう。ドクオ」
((((;'A`))))「ええぇっ!?」
21 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:20:04.78 ID:GzznSKH0O
ξ゚听)ξ「エルフの弓は特別な弓で、使う人を選ぶって聞いたことがあるわ。
この人が使えないなら、あんたが使うしかないじゃない」
((((;'A`))))「そそそそんな……」
( ´∀`)「この子の言う通りじゃ。これは『誰かを護る為の弓』
護るもんなどないワシには必要の無いものじゃ」
((((;'A`))))「えええええ……」
ξ#゚听)ξ「ああもう!!いつまでプルプル震えてんのよ!!意気地無し!!
ギコって人を護るんじゃないの?さっきの威勢はどうしたのよ!!」
(;'A`)「そ……そうだね……。俺……頑張らないといけないんだよね……」
ドクオが震える左手で弓を掴んだ。
やはり、軽い。
中が空洞になっているわけではないのに、羽根の様に……いや、それよりも軽く感じられた。
(;'A`)「すげぇ……。初めて触ったのに、嘘みたいに手になじんでる……」
初めてみたまとめよんでくる支援
あらすじカオスwww
23 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:21:48.02 ID:GzznSKH0O
さっきまでビビりまくってはいたが、ドクオも狩人。
こんな素晴らしい弓を貰ったら試し撃ちをしたくなるのは当然だろう。
(*'A`)「ちょ、ちょっといいっすか?」
( ´∀`)「構わんぞ」
ドクオは弓を抱えて外に出て行った。
まるで新しい玩具を手に入れた子供のような表情で。
肩から下げた矢筒の中から一本の矢を取り出し、右手に持つ。
狙いはすぐ近くにある大きな木だ。
( ´∀`)「じゃが……」
矢をつがえ、強く弦を引く。
否、引こうとした。
(;'A`)「あれ……」
ξ゚听)ξ「ちょっと何やってるのよ。早くしなさいよ」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:22:41.31 ID:tG504jzr0
本当に厨二ブーン小説が書きたくて書いてるって感じ
俺は好感を持つよ、この作品に
前回までは読んだことがないが、支援しようかな
25 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:23:49.14 ID:GzznSKH0O
矢をつがえて強く引くのだが、弦はぴくりとも動いてくれない。
弓が壊れてしまうのではないかと思うほどの力を加えても弓を引く事はできなかった。
( ´∀`)「試し撃ちしたくても、弓が言うことを聞いてくれるとは限らんぞ?」
(;'A`)「そ、そんな……」
( ´∀`)「大丈夫じゃ。君ならすぐに使いこなせるようになる」
(;'A`)「……だといいっすけど」
トボトボと、若干落ち込み気味のドクオが戻ってきた。
やはりエルフの造った弓を扱うのは一筋縄ではいかないようだ。
( ´∀`)「くどいようじゃがもう一度言っておくぞ。それは『誰かを護るための弓』じゃと」
('A`)「誰かを護るための……」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:24:24.90 ID:tG504jzr0
支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:25:28.77 ID:tG504jzr0
支援
28 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:25:30.58 ID:GzznSKH0O
ξ゚听)ξ「なんでアンタにこの弓が渡されたのか……わかってるでしょうね」
('A`)「うん……。この弓で……ギコを護る……」
('A`)「いや、ギコだけじゃなくて、ギコの仲間も、俺の護りたい人も護るためだ」
この弓を手にした時点で、護るべきなのはギコだけでは無くなった。
エルフ達は誰か一個人を護るためにこの弓を造ったのではないだろう。
ドクオは弓を強く握り、もう一度決意を固めた。
自分の護るべき者すべてをこの弓で護ってみせよう、と。
( ´∀`)「さぁ、二人ともそろそろ行きなさい」
('A`)「え、もうっすか……?」
( ´∀`)「思い立ったが吉日じゃ。それに早く行かないとギコの足取りを追うのも大変じゃろう?」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:26:59.02 ID:tG504jzr0
し支援
30 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:27:41.00 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「さあ、行った行った」
(;'A`)「は……はぁ……」
モナーに追い出されるようにして家を出るドクオ。
長くなる旅の門出だ。
もう少し名残を惜しむ間も欲しかったであろう。
そんなドクオの気もしらず、モナーはさっさと二人を送り出す。
( ´∀`)「辛い旅になるじゃろうが、達者でな」
('A`)「あ……はい。あの、今までお世話になりました」
( ´∀`)「なに、そんな辛気臭い顔するでない。今生の別れじゃないのじゃから。
それに、旅立ちの時は笑顔で行くものじゃぞ!」
('∀`)「は、はい!」
( ´∀`)(きめぇ……)
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:28:17.47 ID:tG504jzr0
支援
32 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:29:16.32 ID:GzznSKH0O
('∀`)「じゃあ、行ってきます」
( ´∀`)「ほいほい。さらばじゃ」
不気味な笑みを浮かべたまま、ドクオはモナーの家を後にした。
背中にかけたエルフィンボウはその存在を感じさせないほど軽い。
そして、新しい世界への第一歩を踏み出したドクオの足取りも軽かった。
そんなドクオの後ろを、ツンは呆れ顔でついていく。
だが、嬉しそうなドクオを見て、少し満足げな表情であった。
ξ;゚听)ξゾワッ「!?」
('∀`)「どうしたの?ツン」
ξ゚听)ξ「ああ……。殺気に満ちた気配を感じたんだけど……アンタの顔見たら納得したわ」
(;'A`)「どういう意味だよ……」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:30:03.54 ID:GQxTSQJj0
支援
こういう作品をなんて言うか知ってるか?
ただのオナニーっていうんだよ^^
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:31:32.66 ID:GQxTSQJj0
支援
36 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:32:00.04 ID:GzznSKH0O
( ´∀`)「……」
( ´∀`)「行ったみたいじゃぞ。そろそろ出てきたらどうじゃ?」
視線はドクオ達の方に向けたまま、モナーが言う。
すると木の陰から一人の男が姿を現した。
/ ,' 3「……いつから、気づいていたのですか?」
( ´∀`)「おぬしがここに来た時からじゃ。そんなに殺気を出してたらわかるわい」
/ ,' 3「出来るだけ殺気を消したつもりでしたが……老いには勝てませんか」
( ´∀`)「アラマキ……生きておったか」
/ ,' 3「それはこっちのセリフです。モナー」
37 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:33:20.41 ID:GzznSKH0O
/ ,' 3「あなたの事を忘れた事は一度もありませんでした……。
私の精霊、ナカジマの仇は討たせてもらいます!!」
( ´∀`)「まだそんなことを言っておるのか……。
今は休戦状態じゃ。悪魔と精霊の中にも戦争に反対する者達が多くいたようじゃからな。
それにいつまでも過去に囚われていては前に進めんぞ」
/ ,' 3「黙りなさい!私はあなたのせいで全てを失いました……。
あの時、種族が違うというだけで妻と離れ離れになってしまい、
私にはもうナカジマしかいなかったのです。
そのナカジマを殺した貴方を殺すまでは私も死にきれないのです」
( ´∀`)「……あの時は殺らねばわしがやられていたのじゃ。
それが戦争じゃろう?おぬしもよくわかっているじゃろうに」
/ ,' 3「言い訳は聞きたくありません。アラマキ=スカルチノフ、この命に代えてでもあなたを倒します!!」
( ´∀`)「……昔、ラウンジ王国で『魔人』と呼ばれ敬われていた男が復讐のために修羅になるか……」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:33:46.14 ID:GQxTSQJj0
モナーを殺したいアラマキさんじゃないですか!
39 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:34:57.38 ID:GzznSKH0O
アラマキが銀色に輝くサーベルを構えた。
対するモナーは武器らしき物を持っていない。
どうみてもモナーが不利な状況であるが、モナーは余裕の表情を崩さないでいた。
/ ,' 3「……参る!!」
アラマキが一歩踏み込む。
その瞬間にアラマキの姿が消えた。
そして、一秒も立たぬうちにモナーの背後に現れた。
( ´∀`)「おや」
モナーが振り返る。
アラマキがサーベルを振り下ろす。
何かが切り落とされる音がした。
* * * * * * * *
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:34:59.14 ID:GQxTSQJj0
支援
41 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:36:18.80 ID:GzznSKH0O
ウロウロ
ノハ;゚听)「うー……」
ウロウロ
ノハ;゚听)「あー……」
一方その頃、ヒートはある家の扉の前で右往左往していた。
ヒートの実家である。
ウロウロ
ノハ;゚听)「おー……」
家にはちゃんと人のいる気配があった。
しかしなかなか中に入る勇気が出ない。
その原因は三年前の出来事にある。
三年前、家を追い出されたヒートが四年振りに家に戻った時の事だ。
ヒートを迎えた母親は、四年間姿を眩ましたヒートを心配する様子は一切無く、
それどころかヒートを冷たくあしらったのだ。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:36:24.59 ID:GQxTSQJj0
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:37:19.61 ID:GQxTSQJj0
支援
44 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:37:27.62 ID:GzznSKH0O
そんな事があったため、ヒートはそこから歩を進める事がなかなか出来ないのだった。
ウロウロ
ノハ;゚听)「えー……」
怖い。
また母親に冷たい言葉を投げ掛けられたらどうしようと思う。
ノハ;゚听)(いや、酷いことを言われるに決まってるんだから覚悟しとかないと……)
深呼吸をする。
これで、自分の心の中に置いてきた辛い過去を清算するのだ。
母親に何と言われようが関係ない。
今の自分には、ちゃんと居場所があるのだから……。
そう自分に言い聞かせ、覚悟を決めた。
まっすぐ家の扉まで歩いて行き、ドアノブに手を触れた。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:38:16.42 ID:GQxTSQJj0
支援
46 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:38:50.93 ID:GzznSKH0O
《ガチャ……》
ノハ;゚听)「!?」
ヒートがドアを開けようとした時、勝手にドアノブが動いた。
正確に言えば、内側から誰かがドアを開けようとしただけだが。
とにかく、突然の事だったのでヒートはパニックに陥った。
頭の中が真っ白になり、先ほど築いた覚悟がガラガラと崩れていく。
而して中から現れたのは
(゜д゜@「あらやだ」
ノハ;゚听)「……」
ノハ;゚听)「だ……誰だ?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:39:10.46 ID:GQxTSQJj0
あれ? 作者、携帯だ?
頑張るねぇ
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:40:03.22 ID:GQxTSQJj0
あやらだwww
49 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:40:06.59 ID:GzznSKH0O
(゜д゜@「あらやだ、失礼な子ね」
ノハ;゚听)「おー……ごめんなさい……。
あの……ここに住んでたスナオさんは?」
(゜д゜@「あらやだ。ここは去年から空き家よ。誰も住んでなかったと思うわ」
ノパ听)「え……?空き家……?」
ノハ;゚听)「そんな!母さんとねーちゃんがいたはずだ!」
(゜д゜;@「あらやだ。そんなこと私に言われても知らないわよ」
ノハ;゚听)「そ、そんな……」
(゜д゜@「知らないものは知らないからね。さあ、早くどっか行ってちょうだい」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:41:38.00 ID:GQxTSQJj0
支援
51 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:42:16.47 ID:GzznSKH0O
ノハ;--)゙「おー……。ご、ごめんなさいでした」
ぺこりと一礼して、ヒートは元、自分の家を後にした。
しかし他に行くあてもない。
とりあえず子供の頃によく遊びに行った公園に向かった。
ノパ听)「……母さんも、姉ちゃんもどこ行ったんだよ……」
せっかくギコ達と別れてはるばるここまでやってきたのに、母も姉もいないとは。
なんだかみじめな気分になり、自然と溜め息が漏れる。
公園に到着しても、ブルーな気分は晴れなかった。
今、公園には誰もいない。
その光景がより一層ヒートの心を寂しくした。
ノパ听)「この公園は、私が初めてアラマキと出会った場所なんだよな」
確かその日は雨だった。
なんとなしに空を見てみる。
……黒雲がいっぱいに広がり、今にも雨が降り出しそうな雲行きだ。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:42:22.58 ID:GQxTSQJj0
支援
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:43:22.93 ID:GQxTSQJj0
支援
54 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:43:38.69 ID:GzznSKH0O
ノパ听)(雨が降る前に孤児院に戻ろう)
母も姉もいなかったのは仕方がない。
また今度いろんな人に聞き込みをして、二人がどこに行ったか探しに行こう。
そんな事を考えながらヒートが振り返った。
ノパ听)
ハハ ロ -ロ)ハ
そして、目があった。
漆黒の衣装を身に纏った姉、ハローと。
いつからそこにいたかわからない。
しかし、確かに姉はそこにいた。
他の些細な疑問点なんかどうでもよかった。
55 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:45:03.48 ID:GzznSKH0O
ノハ;゚听)「姉……ちゃん……?」
ハハ ロ -ロ)ハ「久しぶりね。ヒート」
最初に驚きがあった。
次いで恐怖、嫌悪感が身を包み、それでも最終的には喜びと嬉しさが胸から溢れ出てきた。
ノハ;;)「ねーちゃん……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「な、何泣いてるのよ……」
≡≡ノハノ;;)ノ「ねぇぢゃぁぁぁぁぁん!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ちょ、泣きながら抱きつかないでよ!鼻水つく!鼻水ついた!!」
幼子のように泣きじゃくりながら、ヒートがハローに抱きついた。
ハローは最初こそヒートを無理矢理引っ剥がそうとしていたが、
すぐに諦めヒートの背中に手を回した。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:46:08.72 ID:Ed0ADo5l0
支援
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:47:02.69 ID:Ed0ADo5l0
支援
58 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:47:12.06 ID:GzznSKH0O
ノハ;;)「うぐっ……ぐすっ……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ほら、ヒート。顔を拭きなさい。酷いことになってるわよ」
ノハ;;)「あい……」
ハローがヒートに手渡したのは薄い桃色のハンカチだった。
小さい頃からハローが大事にしていたハンカチだ。
ヒートがそれを使って顔を拭く姿を、ハローは母親のような優しい瞳で見つめていた。
ノハぅ听)「……ねーちゃん。母さんはどうしてる?」
ようやく落ち着いたらしいヒートがハローに問う。
これでわざわざ探す手間が省けたなどと思いながら。
しかし、返ってきた返事はあまりにも残酷な物だった。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:47:53.84 ID:Ed0ADo5l0
支援
60 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:48:46.67 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「母さん……?……ああ、あの女なら死んだわよ」
ノハ;゚听)「え……?死ん……だ……?」
ハハ ロ -ロ)ハ「ええ。なんでも自分が作った生物兵器に食い殺されたとか。
……まぁ、自分の研究の事しか頭になかったあの女にはお似合いの最期ね」
ノハ;゚听)「そんな……母さんが……?」
自分の母親が死んだ。
それは十分過ぎる程の衝撃をヒートに与えた。
しかし、涙が出ない。
悲しいはずなのに涙が出てこない。
ハハ ロ -ロ)ハ「いいのよ?思い切り喜んでも。あなたもあの女に酷いことをされてたんだし」
ノハ;゚听)「そんな!喜ぶなんてありえない!確かに酷いことされたけど……
それでも私のたった1人のお母さんだったんだぞ!」
ノハ;゚听)「……ねーちゃんは、悲しくないのか……?」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:48:47.30 ID:Ed0ADo5l0
支援
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:49:34.79 ID:Ed0ADo5l0
重いな
支援
63 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:50:30.80 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「悲しむわけないでしょ。あんな女、死んで当然よ」
ヒートの問いに、ハローは顔色一つ変えずに答える。
しかし、その体からはどす黒い憤怒のオーラが溢れ出ていた。
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたは知らないものね。あなたが出て行ってから私がどんな目にあっていたか」
ノハ;゚听)ゾワッ…
ハローの発する負のオーラが更に強くなる。
人間の発するそれとはあまりにもかけ離れた、邪なオーラだ。
ハハ ロ -ロ)ハ「あの女がずっとあなたがされていたような事を、私にしてきたわ。
あなたはよく耐えてたと思うわ。本当に」
ノハ;゚听)「ね、ねーちゃん……?」
ハハ ロ -ロ)ハ「ねぇ、憎いでしょ?あの女が……」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:50:36.83 ID:Ed0ADo5l0
支援
65 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:52:18.31 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「私は憎い。殺してしまいたいほど憎い。
……死んでしまったからもう殺せないんだけどね」
ふふっ、とハローが笑う。
そうしている間にも、ハローの放つ負のオーラはどんどん大きくなって行った。
ハハ ロ -ロ)ハ「そんな母を世の人々は天才だとか
次代を担う素晴らしい科学者だとか誉め讃えるのよ。笑っちゃうわ」
ハハ ロ -ロ)ハ「知ってた?あの女、この世界で三本の指に入る、有能な科学者だったらしいわ」
知ってる訳ないわよね、とハローが苦笑い。
実際ヒートは母親の仕事の話は一度も聞いた覚えがなかった。
ハハ ロ -ロ)ハ「核を壊してもすぐに再生、再構築する細胞、『P細胞』を作り出し、
そのP細胞を元に新たな生物を創り出す『プロジェクトP』のリーダー。
世界の科学者達の目標で、次代を担う存在。……ふざけてるわ」
ハハ ロ -ロ)ハ「そうよ。ふざけてるのよ、この社会は。
家では自分の子供に虐待に近い嫌がらせをするような女を天才に奉りあげてるんだから」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:52:32.84 ID:Ed0ADo5l0
支援
最初から呼んでくる
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:54:33.29 ID:Ed0ADo5l0
剣と魔法の世界と思ってたらまさかの科学が登場
支援
69 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:54:58.99 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「そんな社会は……粛正されるべきよね」
ヒートの頬に冷たい水が当たった。
雨だ。
ハハ ロ -ロ)ハ「だから私はこの感情を力に変えてもらったの。第三の大罪『憤怒』をね」
ノハ;゚听)「大罪……?憤怒を力に……?」
憤怒。
強く憤り怒ること。
人間の感情の1つだ。
その感情を力に変えたとハローは言った。
確かに人間は怒りや悔しさのような感情をバネに強くなることもある。
だが、ハローの言った言葉はそのような意味では受け取れなかった。
ヒートの背中に嫌な汗が浮かぶ。
雨足もだんだんと速くなってきた。
ハハ ロ -ロ)ハ「『闇』に入りなさい、ヒート。一緒にこの腐った社会を粛正しましょう?
今日はそのためにここに来たのよ?」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:56:23.49 ID:Ed0ADo5l0
支援
71 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:56:57.07 ID:GzznSKH0O
ハローは、『闇』の人間だった。
ヒートは『闇』の話はモララーやギコから聞いていた。
危険な存在だと、そう言われた。
そんな集団に姉であるハローが所属しているのだ。
ショックを受けるのは当然である。
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたも、力が欲しいでしょう?あなたの持つその『憎悪』や『怒り』の念が力になるのよ?」
ノハ;゚听)「ねーちゃん……」
今までヒート見たことのないような優しい笑顔でハローが誘う。
しかしこれは……いや、今まで見せてきたあの笑顔は、悪魔の笑みだったのだ。
そう考えるとヒートはまた途端に悲しくなってきた。
さっきまでの姉の笑顔を見て、ヒートはある希望を抱いていたのだ。
……もしかしたら、自分たちがずっと幼かった頃のように、二人仲良くなれるのかもしれないと。
そんな希望を今、壊された。
さっきまでの姉の優しい笑顔や、振る舞いは全て演技だったのだ。
ヒートを『闇』に引き入れるための……。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:57:55.86 ID:Ed0ADo5l0
やべぇ、この厨二力はただ事じゃない、、、
支援
73 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 22:58:25.59 ID:GzznSKH0O
ノハ )「……人を傷つける力なんて、いらない。私は、関係ない人を傷つけたくない……」
絞るように声をだす。
いつの間にか土砂降りになった雨のせいで、その声はほとんどかき消されてしまっていた。
ハハ ロ -ロ)ハ「関係ないですって?そんなことないわよ。
あいつらは、私達を傷つけたあの女を崇め、権威と名声を与えた。
その時点で同罪だわ」
ノハ )「違う……違うよ、ねーちゃん……。
ねーちゃんは母さんが死んで、自分の不満をぶつける相手がいないから、
関係ない人に八つ当たりしようとしてるだけだよ……。
そんなのは、ただのエゴだよ……?」
絞るように、しかし今度は強くはっきりと言った。
姉の間違いを、姉の愚かさを。
ハハ ロ -ロ)ハ「……じゃあ、返事は‘NO’でいいのかしら?」
ハローが指を鳴らすと、辺りの茂みから悪魔が三匹、姿を現した。
それを確認したヒートは背中のハルバード手をかける。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:59:13.81 ID:Ed0ADo5l0
『闇』ってそのまま組織名なのか、凄いセンスだな
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:00:29.70 ID:CgqE1Cab0
エゴだよそれは
76 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:00:52.86 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「……もしかしたら……また一緒に笑い合えるようになれるかなって思ったのに……」
ハローが小さな声で呟く。
だが、その声は雨にかき消されて誰の耳にも届かない。
ハハ ロ -ロ)ハ「……さよなら。ヒート」
パチン、と再び指を鳴らした。
それを合図にして二匹の悪魔が一斉にヒートに飛びかかる。
ノハ )「……ねーちゃんは間違ってるよ……」
ハルバードを前方に振るい、悪魔達に牽制る。
そしてバックステップで悪魔達と距離を取り、戦闘体勢を整えた。
ノハ#゚听)「ねーちゃんは間違ってるよ!!バカやろぉぉぉぉ!!」
爆発した感情に任せ、ヒートが吠えた。
ちょうどその頃、町のあちこちで悪魔が発見されていた。
* * * * * * * *
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:01:24.20 ID:CgqE1Cab0
支援
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:02:24.09 ID:CgqE1Cab0
ん? 二匹?
支援
79 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:02:49.96 ID:GzznSKH0O
('A`)「で」
ξ゚听)ξ「で?」
(;'A`)「どこ行こう……」
ξ゚听)ξ「そのギコって人のところでしょ?」
(;'A`)「いや、そうだけど……そうじゃなくて……」
モナーの家を後にしたドクオは、なんとなく町へ向かって歩いていた。
これからどうするかの計画はまだ立っていない。
('A`)「とりあえずヒートちゃんにギコの居場所でも聞こうかと思ったけど……どこかに行っちゃったしなぁ」
ξ゚听)ξ「なら孤児院で待たせてもらいましょうよ。
多分夜には戻ってくるでしょうから」
('A`)「うん。それがいいね」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:03:47.59 ID:CgqE1Cab0
支援
81 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:04:19.81 ID:GzznSKH0O
二人は少し早足で孤児院へと向かう。
すでに雨もパラつき始め、いつ本降りになるかわからない状態だ。
('A`)「……嫌な天気だな」
ξ゚听)ξ「そうね……」
(;'A`)「なんだかすごい嫌な予感がするんだけど……気のせいかな」
ξ゚听)ξ「あら、奇遇ね。アタシもよ」
(;'A`)「なんだろう……この、心の奥から不安になってくる感じは……。
さっきまでこんな事なかったのに……」
ξ゚听)ξ「……何が起きるかわからないけど、準備はしておくことね」
(;'A`)「おいおい……まるでこれから悪いことが起きるような口振りだな……」
ξ゚听)ξ「知らない?アタシ達光の精霊は危険を察知する勘に長けてるのよ」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:04:59.99 ID:CgqE1Cab0
支援
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:06:04.08 ID:CgqE1Cab0
支援
84 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:06:09.30 ID:GzznSKH0O
(;'A`)「えぇぇ……」
ξ゚听)ξ「とりあえず、死んじゃダメよ?」
(;゚A゚)「怖いこと言うのやめて!?」
ξ゚听)ξ「大丈夫よ。内臓の1個や2個壊れただけじゃ死なない体になってるし」
(;゚A゚)「だから怖いことをサラッと言わないでって!!」
ツンは真剣な表情で、ドクオは少しビビりながら町への歩をさらに早める。
雨は段々強くなり、町を襲う黒い『何か』の姿がわかった頃にはどしゃ降りになっていた
(;'A`)「ねぇ……ツン。あれは……?」
ξ--)ξ「下級悪魔ね」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:06:48.79 ID:CgqE1Cab0
共闘かな
支援
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:07:45.58 ID:CgqE1Cab0
支援
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:08:30.53 ID:CgqE1Cab0
支援
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:08:51.17 ID:Jihw+cFW0
支援
89 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:08:59.10 ID:GzznSKH0O
(;'A`)「悪魔……ってやっぱりあの悪魔だよね」
ξ゚听)ξ「あなたが悪魔をどう見てるかは知らないけど、あの悪魔よ」
そうだよね、とドクオが肩を落とした。
相手は悪魔。
いつも相手にしている動物達とは余りにもかけ離れた敵だ。
ξ゚听)ξ「なに泣きそうな顔してるのよ、気持ち悪い」
(;'A`)「うん……短い一生だったなあ……って」
ξ゚听)ξ「何言ってるのよ。下級悪魔無勢に殺されてたまるもんですか」
(;'A`)「でもさ、あいつら魔法使うし、イノシシより頭いいし……」
ξ#゚听)ξ「もう!あんたはさっきからウジウジウジウジして!!
もっとシャキッとしなさい!シャキッと!!」
(;'A`)「ご、ごめん……」
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:09:11.59 ID:CgqE1Cab0
支援
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:10:36.16 ID:CgqE1Cab0
風情
支援
92 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:10:48.65 ID:GzznSKH0O
ドクオがツンに怒られていると、数匹の悪魔がこちらに向かって飛んできた。
(;'A`)「うおおお!?来た!!」
ドクオは慌ててエルフィンボウを構えようとするが、
半分パニックになっていたせいか弓を落としてしまった。
すぐにそれを拾い上げ、立ち上がる。
その時には一匹の悪魔がドクオの眼前まで迫っていた。
「ギギャギャギャギャギャ!!」
(;゚A゚)「いやあああああああああああああ!!」
ξ;゚听)ξ「ドクオ!!」
悪魔が右腕を振り上げる。
血のように真っ赤で鋭い爪がいやにハッキリと見えた。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:11:41.81 ID:CgqE1Cab0
ドクオはどんだけイノシシが好きなんだ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:12:49.30 ID:CgqE1Cab0
支援
95 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:13:53.22 ID:GzznSKH0O
(;'A`)(ダメだ!避けられない!)
この位置から、避けるのは不可能。
下手に動いてもあの爪の餌食になるのがオチだろう。
命の危険に直面して、ようやく冷静になったドクオは、悪魔の懐へと踏み込んだ。
そして、矢筒から矢を一本取り出し、悪魔の右肘辺りに突き刺す。
「ギャァァャァ!?」
関節が固定され、懐のドクオに爪は届かない。
ドクオは更にもう一本矢を取り出し、それを悪魔の心臓に突き刺した。
(#'A`)「まだまだ!」
心臓に一本だけでは足りないのか、悪魔はまだ死にそうな雰囲気を見せない。
ドクオは矢筒から更に矢を取り出し、喉、腹、股間に一本づつ刺し込んだ。
「ギァアャァヤァァァアャ!!?」
さすがにこれは効いたのか悪魔が叫び声を上げ、後ろによろめいた。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:13:59.04 ID:CgqE1Cab0
支援
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:15:42.89 ID:ijGwSAXa0
刺すんだ、そりゃあ撃てないんだろうけど
支援
98 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:16:13.45 ID:GzznSKH0O
(#'A`)「ツン!!」
ドクオがツンの名を叫び、エルフィンボウに矢をつがえて引こうとした。
が、やはり弦はぴくりとも動かない。
(#'A`)(こんな時ですら言うことを聞いてくれないのかよ!!)
エルフィンボウを乱暴に投げ捨てて、使い慣れたロングボウを構える。
悪魔は自分の体に刺さった矢を抜いて、再びドクオに襲いかかって来た。
(#'A`)「これで終わりだ!」
ギリギリまで引いた矢が強い光を放つ。
ドクオの視線は真っ直ぐ、悪魔の方を向いていた。
(#'A`)「『セイントアロー』!!」
「ギャゥァェァァァァ!?」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:16:15.47 ID:Jihw+cFW0
支援
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:17:30.68 ID:ijGwSAXa0
ん?
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:19:07.04 ID:ijGwSAXa0
支援
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:19:07.58 ID:Jihw+cFW0
支援
103 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:19:29.88 ID:GzznSKH0O
('A`)「……あれ?他の悪魔は?」
ξ゚听)ξ「そういえば……」
二人が辺りを見回すが、さっきまでいたはずの他の悪魔の姿が見えない。
今のドクオの戦いを見て逃げたのかあるいは……。
(;'A`)「ツン……。確かこの先にあるのは……」
ξ;゚听)ξ「アラマキさんの孤児院ね……」
(;'A`)「急ぐぞ!ツン!」
ξ;゚听)ξ「えぇ!」
街に向かって二人が駆け出した。
どしゃ降りの雨のせいでなかなか足が進んでくれない。
ようやく孤児院が見えた時、2人は愕然とした。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:21:05.68 ID:ijGwSAXa0
なぜツンの名を叫んだ?
支援
105 :
すいません。>>98と>>103の間にこれが入ります ◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:22:25.48 ID:GzznSKH0O
ドクオの放った矢は一筋の光となり、悪魔の頭を貫いた。
頭を失い、機能を失った身体がその場に崩れ落ち、
塵となって虚空へ消えていった。
(#'A`)「……」
('A`)「ふぅ」
ξ;゚听)ξ「……なに、今の?」
ツンがポカンとした表情でドクオを見た。
相変わらず酷い顔だ。
そんなことより、驚いたのはさっきのドクオの動き。
悪魔が迫ってきた時、ドクオは死んだと思った。
ところがどうだ。
素早い動きで悪魔の右腕を封じ、
その上追撃を入れることで悪魔から距離を取り、
結果的に悪魔を倒すまでに至ったのだ。
ξ;゚听)ξ(何なのよ……。ただの弱虫だと思ったら……)
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:22:44.30 ID:ijGwSAXa0
何だか人物の関係がややこしいな
支援
107 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:24:47.38 ID:GzznSKH0O
孤児院を囲む、黒い塊。
それが全て悪魔なのかと思うとゾッとする。
(;'A`)「100……じゃ少ないな」
ξ;゚听)ξ「その十倍くらいいるんじゃない?」
(;'A`)「なんでここにこんなに集まっちゃったかなぁ……」
ξ;゚听)ξ「ほら、悪魔って子供の肉が好きだから……」
溜め息をつきながらドクオがロングボウを構える。
エルフィンボウは使えないだろうから、背にかけたままだ。
悪魔達に気づかれないよう、ゆっくりと射程圏まで近づく。
その時、ドクオの頬を何かが掠めた。
(;'A`)「っつ!……なんだ?」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:25:22.21 ID:ijGwSAXa0
支援
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:27:07.89 ID:ijGwSAXa0
支援
110 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:27:33.23 ID:GzznSKH0O
「『光弾』」
(;゚A゚)「おおっ!?」
眼前へと迫る光の玉。
あと反応がコンマ1秒遅れていたら、というところでなんとか回避できた。
(;´_ゝ`)「おい弟者!あの醜い肉の塊は悪魔じゃなくてドクオだぞ!」
(´<_`;)「ホントだ。ドクオだった。しかし兄者、今の兄者の説明ではドクオと悪魔の違いがないぞ」
(;'A`)「アニジャとオトジャ……?……ってか、お前ら死ね!!マジで死ね!!」
孤児院の庭で悪魔と対峙していたのは流石兄弟。
この数相手に二人で挑んでいたあたりはさすがだ。
(´<_` )「まぁいい。ドクオ、手伝ってくれ。
いくらなんでもこの数はキツすぎる」
(;'A`)「まぁいいで片付けられた!殺されかけたのに!」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:27:54.02 ID:ijGwSAXa0
支援
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:28:55.18 ID:ijGwSAXa0
流石だ
支援
113 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:29:26.01 ID:GzznSKH0O
オトジャは涼しい顔をして悪魔を撃ち落としていく。
先ほどドクオにも飛んできた『光弾』というのはどうやら光の属性を持っているようだ。
ξ;゚听)ξ「ドクオ!来たわよ!」
('A`)「わかってる!」
三方向から悪魔が襲いかかって来る。
ドクオは右手で矢を三本掴み、素早く構えた。
(#'A`)「纏めてやっつけてやる!」
(#'A`)「『光隼』!!」
三方向に伸びる光の筋。
それぞれの光は悪魔の心臓を正確に射抜いていく。
(´<_` )「お。やるな、ドクオ」
( ´_ゝ`)「俺達も負けてられないな」
114 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:31:37.60 ID:GzznSKH0O
(´<_` )「『水砲』」
( ´_ゝ`)「『雷砲』」
オトジャが円弧状に大量の水を放出、
その水にアニジャが雷砲を放った。
たちまち水には数億ボルトの電流が流れ、水に触れた悪魔達を焦がしてゆく。
(;'A`)「すげー……。息ピッタリ……」
ξ;゚听)ξ「ドクオ!よそ見してちゃダメよ!」
ドクオが振り返ると、悪魔が五匹程こちらに向かってきていた。
幸い、まだ距離は十分あるので、余裕を持って対処できる。
(#'A`)「五匹……か。『光隼』じゃ無理だな……」
呟きながら、矢を五本握った。
そのうちの一本をつがえ、悪魔に狙いを定める。
115 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:33:37.70 ID:GzznSKH0O
(#'A`)「『飛燕』!!」
一本目の矢を撃ち終わった瞬間に二本目の矢を引き、それを撃つ。
そしてまた三本目の矢を引き、撃ち終わったら四本目、五本目の矢を放った。
この間約三秒。
こんな短時間であるにも関わらず、一本一本の矢の威力は高く、命中精度も抜群だった。
(#'A`)「狩人なめんな!」
ドクオが高らかに叫ぶ。
その声が悪魔達に何かしらの影響を与えたのか、
流石兄弟と戦闘していた悪魔達の一部がドクオに照準を定めたようだ。
(;'A`)「え、ちょ、一度に来すぎだろこれ。あ、アニジャ!オトジャ!」
( ´_ゝ`)「よっしゃ。数が減った」
(´<_` )「ドクオが死ぬまでに出来るだけ数を減らさないとな、兄者」
(;'A`)「お前ら死ね!6回くらい死ね!!」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:34:50.05 ID:Utxyzay+0
下級悪魔弱いな
支援
117 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:35:07.31 ID:GzznSKH0O
(;'A`)「ちくしょう……薄情な奴らめ……」
ξ゚听)ξ「それだけ信頼されてるって事じゃないの?」
(;'A`)「全くそうは思えないけどなぁ……」
雨に濡れた右手を軽く衣服で拭い、弓を構える。
矢筒の中の矢も随分減ってしまった。
敵の数が多いと不利になるのは誰もがわかっているだろう。
しかもドクオの場合、ただの一匹も自分の間合いに入れてはならない。
接近戦になると、対処できるのは一匹だけ。
つまり、もし一匹でも自分の間合いに入られてしまったら、その一匹を相手している間に
他の大勢からの恰好の的になってしまうのだ。
(;'A`)(『飛燕』でも10匹倒すのが限度……。
明らかにその倍以上いるよなぁ……これ)
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:35:35.58 ID:D13O5az80
支援
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:36:16.14 ID:Utxyzay+0
す、数億ボルト、、、
支援
120 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:37:05.38 ID:GzznSKH0O
と、その時、
孤児院の中から一つの影が飛び出した。
( ・`ー・´)「俺、参上!」
( ・`ー・´)+ キリッ
頭に鍋を被り、その蓋を盾代わりにし、長い棒を構えたまさしが姿を現した。
声に反応した悪魔達は一斉にまさしの方を見た。
オトジャ達も一瞬悪魔の事を忘れ、まさしの方を見た。
( ・`ー・´)「さぁ悪魔ども覚悟しろ!」
まさしが棒を振るい、悪魔達を挑発した。
(´<_`;)「バカ!お前が敵う相手じゃ……!」
数匹の悪魔がまさしの方へと飛んでいく。
オトジャはまさしに襲いかかろうとする悪魔を撃ち落とそうと一発弾丸を放った。
121 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:39:58.24 ID:GzznSKH0O
その弾丸は命中したが、まさしを狙う悪魔はまだ三匹いる。
別の悪魔に狙いを定めようとすると、他の悪魔がオトジャの視界を遮った。
(´<_`#)「邪魔だ!」
前方に現れた悪魔達をどんどん撃ち落として行くが、次から次へと沸いてくる悪魔のせいで
まさしを狙う悪魔の姿が見えなかった。
本人がどう思っているかは知らないが、まさしが悪魔に敵うはずなどない。
(;'A`)「くっ!悪魔が邪魔で狙いが定められない!」
(;'A`)「ツン!あの子を助けてあげて!!」
ξ゚听)ξ「まかせ……」
「ギェァァァァァ!!」
ξ;゚听)ξ「!?」
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:40:27.20 ID:Utxyzay+0
ま、まさし?
支援
123 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:41:29.82 ID:GzznSKH0O
ツンが悪魔の間を抜けようとしたが、数匹の悪魔によって阻まれた。
その隙間からかろうじて見えたのは、棒を振り上げたまさしの姿だった。
( -`д-´)「いくぞ!『超絶封龍一門破魔閃真乱舞神殺獄炎鳳凰……』」
(;´_ゝ`)「ネーミングセンスないなお前!」
(´<_`:)「兄者が言うな……てか技名長すぎる!隙だらけだぞ!!」
まさしがまだ技の名を言っている途中だが、悪魔が爪を振り上げる。
周辺の悪魔を無視して、オトジャがまさしに襲いかかる悪魔へと発砲する。
直後、数匹の悪魔がオトジャに襲いかかった。
オトジャの放った弾丸は真っ直ぐ悪魔に向かって飛んでいったが、
弾が到達するのよりも悪魔が爪を振り下ろす方が若干速い。
(;'A`)(ダメだ……!間に合わない!!)
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:42:07.00 ID:Utxyzay+0
支援
125 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:43:25.04 ID:GzznSKH0O
「『レイ』」
次の瞬間、まさしとオトジャを狙う悪魔が消し飛んだ。
オトジャの撃った弾丸が先ほどまで悪魔が居たはずの場所を通過し、壁に激突した。
( ・`д・´)「『火気厳禁微分積分円周率は3……』あれ?」
(;'A`)「な、なんだ……?」
(´<_`;)「今の声って……まさか……」
その場にいた全員が一体何が起こったのかわからないといった表情を浮かべていた。
もちろん、悪魔達も、だ。
126 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:44:58.17 ID:GzznSKH0O
(´・ω・`)「やぁ。ちょっと遅かったかな」
(;'A`)「ショ、ショボンくん!?」
そこには精霊使いの試験場で何度か見たことのある、垂れ眉が特徴的な精霊がいた。
右手を前方に突き出し、尚も悪魔に狙いを定めたまま。
(;`・ω・´)「あっぶねぇあぶねぇ。アラマキさんによろしく言われてたのに遅れちまったい」
(;'A`)「シャキンさんも!?」
(`・ω・´)「さぁ、俺が来たからにはもう大丈夫だ。俺が悪m(´・ω・`)「『レイ』『レイ』『レイ』『レイ』」
(;`・ω・´)「お、おいショボン!俺の出番を無くさないでくれ!」
(´・ω・`)「出番云々言ってる場合じゃないでしょ。すごい数だよ」
そんなことを言いながらも白い光線で的確に悪魔を撃ち落としていくショボン。
彼らの登場からものの10秒で数十の悪魔達が塵となって消えた。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:45:35.69 ID:j8cWiafE0
支援
128 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:46:16.08 ID:GzznSKH0O
(´・ω・`)「『スパイダー・レイ』」
ショボンの体を中心として、白い光線が放射状に伸びる。
まるで蜘蛛の巣のような形に広がったそれは、悪魔を次々と塵にしていった。
(´<_`;)「まさし!大丈夫だったか?」
( ・`ー・´)「よゆーよゆー!」
(´<_`#)「何が余裕だ!馬鹿!大体なぁ……」
( ´_ゝ`)「弟者、説教は後だ」
(´<_`#)「……そうだったな」
オトジャがまさしと悪魔の間に割って入り、青龍を構える。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:46:50.18 ID:j8cWiafE0
支援
130 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:47:37.23 ID:GzznSKH0O
数の差は依然としてあるものの、ショボンの介入で一気に形成が逆転した。
悪魔達は今まで流石兄弟とドクオの二方向のみ警戒していればよかったのが、
ショボンとシャキンが現れた事によって三方向に気を配らなくてはならなくなったのだ。
対峙する悪魔の数が減ったドクオ達も余裕を持って戦うことができる。
負けムードが一転し、一気に勝ちムードになった。
(´<_`#)「さっきまではよくもやってくれたな……悪魔ども!」
(´<_`#)「……いくぞ!!」
オトジャが青龍を剣の形に変え、悪魔の集団に突っ込んだ。
それを合図として、他のメンバーも一斉に反撃を開始した。
* * * * * * * *
131 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:49:00.36 ID:GzznSKH0O
「ギャァァォァァァ!!」
ノハ#゚听)「ふっ!」
横薙ぎに振られる爪をバックステップで回避。
その後に素早く突きを繰り出すが、悪魔はそれを上方向に回避した。
ノハ#゚听)「このやろー……。卑怯だぞ!下りてきて勝負しろ!!」
怒鳴りつけても悪魔は不気味な声で笑うだけ。
その声がどうにも腹立たしくて、頭に血が上る。
「ギェァァァァァ!!」
ノハ#゚听)「!」
今度は後ろから悪魔が突っ込んで来た。
すぐさま横に回避。
悪魔の爪が髪を掠める。
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:49:00.21 ID:j8cWiafE0
支援
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:49:55.19 ID:j8cWiafE0
支援
134 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:51:07.64 ID:GzznSKH0O
ノハ#゚听)「むぅー……」
さっきから悪魔の攻撃を躱してばかりでなかなか攻撃に移ることができない。
唯一の攻撃のタイミングは悪魔がこちらを攻撃してくる時だが、
まともにぶつかり合うのは危険すぎる。
悪魔の攻撃範囲はハルバードの届く範囲より狭い。
しかし相手のスピードの事を考慮するとリーチの差など問題にはならないのだ。
それに、問題はそれだけではない。
「『アイス』」
ノハ;゚听)「っ!?」
足元に冷気が集まる。
慌ててその場から離れると、先ほどまで自分が居た場所に巨大な氷筍が出来上がった。
ハレ゚⊥゚レリ「ちっ……。避けたか」
姉のすぐ隣に立っている一匹の悪魔。
他の悪魔と違って人間と同じ言葉を話すし、先ほどのように不思議な魔法を使ってくる。
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:51:29.12 ID:j8cWiafE0
支援
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:52:24.53 ID:j8cWiafE0
支援
137 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:53:11.81 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「どう?下級悪魔の内でもかなり上位ランクの二匹と上級悪魔を相手にした気分は」
ノハ#゚听)「うるせー馬鹿やろぉぉぉぉぉ!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ば、馬鹿とは何よ馬鹿とは!」
ハハ ロ -ロ)ハ「アプサラス!やっておしまい!」
ハレ゚⊥゚レリ「御意」
アプサラスと呼ばれた悪魔が呪文のような言葉を呟く。
すると、悪魔の眼前に魔法陣が展開された。
ハレ゚⊥゚レリ「『リキッドガン』」
魔法陣から大量の水の玉が勢いよく飛び出した。
水とはいえ、高速で放たれたそれの威力はなかなか高い。
ハルバードの斧部である程度は防いだが、
防ぎきれなかった分が腕や足を掠め、皮膚を浅く傷つけた。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:53:25.19 ID:j8cWiafE0
支援
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:54:07.50 ID:j8cWiafE0
どこのモビルアーマーだ
支援
140 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:54:26.31 ID:GzznSKH0O
ノハ;゚听)「くそぉ……」
ハインがいれば。
もう何度もそう思った。
だが今ここにハインはいない。
それは変えられない事実だ。
「ギィァァァァァ!」
ノハ;゚听)「!」
悪魔が右方向から滑空してきた。
身を沈めそれを躱すと、今度は足元に冷気が集まってくる。
ノハ;゚听)(やばい!)
バク宙の要領で後方に回避。
出来上がった氷筍の一部が鼻先を掠めた。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:55:14.81 ID:j8cWiafE0
支援
142 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:56:07.54 ID:GzznSKH0O
ハレ゚⊥゚レリ「しぶとい奴め……」
ノハ;゚听)「くそぉ……ひ、卑怯だぞ!4対1なんて!正々堂々サシで勝負しろ!」
ハハ ロ -ロ)ハ「あら、仲間を連れてないあなたが悪いんじゃない」
ハハ ロ -ロ)ハ「……まあ、仲間のいないあなたにこんな事言っても仕方ないわよね」
ノハ#゚听)「そんなことないぞ!」
ハハ ロ -ロ)ハ「そうなの?いつも一人ぼっちだったあなたに?」
ノハ#゚听)「私はもう一人ぼっちじゃない!」
ハハ ロ -ロ)ハ「本当に?」
ノハ;゚听)「えっ?」
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:56:18.39 ID:j8cWiafE0
支援
144 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:57:49.43 ID:GzznSKH0O
ハハ ロ -ロ)ハ「それは本当にあなたの仲間なの?って聞いたの。
あなたが勝手に仲間だと思い込んでるんじゃなくて、他の人達からあなたが仲間だと認められているのかしら?」
ノハ;゚听)「そ……れは、そうに決まってる!」
心の奥のモヤモヤが少し大きくなった。
いけない、今は悪魔と戦っているのに。
ハハ ロ -ロ)ハ「じゃあなんで今は一緒にいないのかしらね。
私達みたいに空間転移の魔法でいつでも好きな場所へ移動できるわけでもあるまいし」
ノハ;゚听)「だって、みんなには他にやることがあるから……」
ハハ ロ -ロ)ハ「ふーん。仲間を、しかも女の子を1人にするんだ。
最近は魔物の目撃例も多発してるのに」
ノハ;゚听)「私が勝手に1人になったんだ!」
私はギコ達の仲間の一員だ。
私は今は1人だけど、1人じゃない。
145 :
◆4br39AOU.g :2010/05/23(日) 23:59:36.55 ID:GzznSKH0O
私の帰りを待ってくれてる人達はいる。
ハインもいる。
もう一人ぼっちなんかじゃないって自分に何度も言い聞かせた。
それなのに姉の言葉で心が揺れる。
存在しないはずの『もしも』が心の奥のモヤモヤを大きくする。
ハレ゚⊥゚レリ「『アイス』』
ノハ;゚听)「っ!!」
そのせいで反応が遅れた。
その場から飛び退こうとした時には地面から氷筍がせり上がってきていて、
鋭く尖った氷の一部がふくらはぎを切り裂いた。
パックリと割れた傷口からは鮮血が溢れ、足元の水溜まりを朱に染める。
146 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:01:39.17 ID:y7czd8u9O
ノハ;-听)「いっ……つ……」
傷口を押さえて膝をついた。
傷は思ったよりも深そうだ。
ハハ ロ -ロ)ハ「あら、泣かないのね。昔はちょっとした事ですぐ泣く子だったのに」
ノハ;゚听)「私も……成長してるんだよ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「……そうね」
ハルバードを杖代わりに、なんとか立ち上がるが、
傷ついた右足に力が入らない。
こんな状態では、攻撃に転じるどころか、この先の悪魔達の攻撃を凌ぐ事すら難しそうだ。
ハハ ロ -ロ)ハ「……さぁ、ヒート。あなたに残された道は二つ。
この場でこのまま殺されるか、それとも私達の仲間になるか」
ハレ゚⊥゚レリ「ハロー様。このような奴、早く始末してしまいましょう。
無理に仲間にする必要など……」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:02:44.47 ID:v4RnqPLr0
支援
148 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:03:13.56 ID:y7czd8u9O
ハハ ロ -ロ)ハ「黙りなさい。アプサラス」
ハレ゚⊥゚レリ「……失礼致した」
ノハ;゚听)「……?」
悪魔が不満そうな表情で頭を下げる。
姉は何かを悪魔に命令すると、腰の短剣を抜き、1人でこちらに歩いてきた。
ハハ ロ -ロ)ハ「ほら、選びなさいよ。私達の仲間になるのか、ここで一人で死ぬのか」
短剣を私の喉に突きつけて姉が言った。
そんな冷たい言葉を、無表情で。
ノパ听)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「早く決めなさい」
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:03:38.32 ID:TCOJ1BnD0
支援
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:04:49.81 ID:v4RnqPLr0
支援
151 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:04:53.27 ID:y7czd8u9O
でも、そんな冷たい言葉の中には、
冷たい瞳の奧には暖かい何かがあった。
それが姉に残っている『優しさ』だと、私は気づかない訳がなかった。
ノパ听)「……ねーちゃん」
その優しさを垣間見た時、私は何だか嬉しかった。
けれども、同時にすごく悲しくなった。
ノパ听)「……ねーちゃんには悪いけど、ねーちゃん達の仲間にはなれない」
ハハ ロ -ロ)ハ「……それで死んでも構わないっていうの?」
ノパ听)「……死にたくはないよ。でも、ダメなんだ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ダメ……って何か理由があるのかしら?」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:05:40.34 ID:TCOJ1BnD0
支援
153 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:06:39.46 ID:y7czd8u9O
ノパ听)「……ねーちゃんは間違ってるんだ。
私はねーちゃんのエゴに付き合うのは嫌だ」
ハハ ロ -ロ)ハ「……そう、残念だわ」
短剣の刃が首にあてられた。
ヒヤリとした刀身が心地良く感じられた。
ハハ ロ -ロ)ハ「……死になさい」
姉からの最終勧告。
……そして姉が見せた最大の隙。
最後の優しさか、それともただの油断か、
姉が短剣を持ち直した。
咄嗟にハルバードを振り上げ、短剣を弾き飛ばす。
ハハ;ロ -ロ)ハ「えっ!?」
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:07:43.23 ID:TCOJ1BnD0
支援
155 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:08:19.46 ID:y7czd8u9O
ノパ听)(ねーちゃん、ごめん!)
振り上げた時の勢いを殺さず、ハルバードを半回転させて柄の部分で姉の鳩尾を突く。
思った通り姉は武術に関しては得意にしていないようで、
私の攻撃をノーガードで受けることになった。
ハハ;ロ -ロ)ハ「ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!……や、やったわね……」
右足を庇いながらゆっくりと後退。
お腹をおさえてうずくまる姉の後ろで、呪文を唱える悪魔の姿が見えた。
またあの氷筍を生やす魔法だろうか、
それとも水の弾丸を飛ばしてくる魔法だろうか。
いずれにせよ躱すのは厳しそうだ。
ハレ゚⊥゚レリ「『アイス』」
ノハ;゚听)(来た!)
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:08:47.88 ID:TCOJ1BnD0
支援
157 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:10:12.61 ID:y7czd8u9O
気持ち早めに回避行動に移った。
右方向へのローリング。
氷筍の一部が足を掠めたが、気にするような傷はつかなかった。
ノハ;゚听)「はぁ……はぁ……」
ちょっとの動きですぐに息が上がる。
少し血を流し過ぎたようだ。
それに、この雨もよくない。
体が冷えて、体温が徐々に奪われていく。
ノハ;゚听)「風邪引く程度じゃ済まないかな……」
次の攻撃がどこから来るか、
それだけに全神経を集中させる。
もはや私一人じゃ勝つのは不可能だ。
今は逃げることに徹するしかない。
ノハ;゚听)(それもいつまでもつか……)
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:10:26.80 ID:TCOJ1BnD0
なんつーか、人質に取るとか意識を奪う一撃を食らわせるとかあるだろ、、、
支援
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:11:17.60 ID:TCOJ1BnD0
支援
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:12:01.43 ID:TCOJ1BnD0
支援
161 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:12:16.67 ID:y7czd8u9O
「ギェェァァァェェェ!!」
下級悪魔が一匹突っ込んで来た。
動きは直線的だからこの足でも避けるのは容易いだろう。
だが、問題は避けた後だ。
ハレ゚⊥゚レリ
あの悪魔。
あいつはきっと、私がこの悪魔の攻撃を避けた瞬間に何か攻撃をしかけてくるはず。
この足では咄嗟の回避行動は出来ない。
あいつのいるせいで、私はこの悪魔の攻撃を躱す事が出来ないのだ。
ハルバードを強く握り、迎撃の姿勢を取る。
右足に力が入らないが、ハルバードを振るうのに問題はなさそうだ。
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:12:47.61 ID:TCOJ1BnD0
支援
163 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:13:55.59 ID:y7czd8u9O
残された問題は攻撃のタイミング。
攻撃するのがすこしでも早ければ、簡単に避けられてしまう。
ノパ听)(ギリギリまで……引きつけないと)
タイミングを見誤れば、攻撃を躱されて反撃を受けるか、
もしくはハルバードを振り上げるより早く猛毒の爪が私を切り裂くだろう。
ある種の博打にも似た感覚だった。
ノパ听)(……でも、これが私の戦闘スタイルだ!!)
悪魔の動きのみに集中する。
もう少しで私の間合いに入る。
そこからはコンマ何秒かの勝負だ。
164 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:15:19.02 ID:y7czd8u9O
悪魔が私の間合いに入る。
ハルバードを握る手に力が籠もる。
悪魔が爪を振り上げる。
ハルバードを悪魔目掛けて振り上げる。
悪魔の体を、氷の刃が貫く。
そしてその刃は、そのまま私の身体も貫いた。
ノハ; )「がはっ!?」
……私はその場に崩れ落ちた。
165 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:16:52.27 ID:y7czd8u9O
もし、アプサラスが魔法を使ったなら、いつでも回避をする準備は出来ていた。
魔法は連発出来ないようなので、回避したところで追撃の心配がないから。
しかしあの場面で、
私の集中が眼前の悪魔のみに向いていたあのタイミングで、
あいつは味方の悪魔ごと私を貫いたのだ。
ノハ; )「ふぐっ……はぁ……」
幸い、急所は外れている。
それでも大ダメージであることに変わりはないが。
ハレ゚⊥゚レリ「……ようやく仕留めたか」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ありがとう、アプサラス……ゲホッ」
このままでは確実に殺されてしまう。
けれども逃げる体力も残っていない。
166 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:18:34.55 ID:y7czd8u9O
ハハ ロ -ロ)ハ「さぁ、今度こそゲームオーバーよ、ヒート」
ハハ ロ -ロ)ハ「何か言い遺す事はあるかしら?」
ノハ )「……」
姉がゆっくりと近づいて来た。
ハルバードを掴むが、それを思い切り振り上げる気力はない。
ハハ ロ -ロ)ハ「何か言いなさいよ」
ノハ ー )「……へへ、へへへ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「何なのよ……気味が悪いわね」
訂正。
ハルバードを振り上げる気力がないと言うよりは、
振り上げる必要性がないと言った方が正しいだろう。
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:20:12.27 ID:h6Dlsusm0
支援
168 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:20:18.10 ID:y7czd8u9O
別にこの戦いに勝利する事を諦めたわけではない。
私はまだ勝つつもりでいる。
もちろん、私一人で勝つことはもう不可能だが。
ノハ ー )「へへ、よかった……」
ハハ ロ -ロ)ハ「どうした?死ぬのが怖くておかしくなっちゃったの?」
最初に『それ』に気づいたのは、右足を傷つけられた時だった。
その時は微かにしか感ぜられなかった気配が今はこうもはっきりと感じられている。
ノハ ー )「ねーちゃん……私は一人じゃないんだよ?」
ハハ ロ -ロ)ハ「?」
ハレ;゚⊥゚レリ「ハロー様!伏せて!!」
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:21:05.11 ID:h6Dlsusm0
支援
こんな糞みたいなSSが100レス超えるとか……
ブーン系終わったな
171 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:22:04.64 ID:y7czd8u9O
ハハ ロ -ロ)ハ「は?」
素っ頓狂な声を上げるハローの顔のすぐ側を火の玉が通過する。
そしてそれは生き残ったもう一匹の悪魔を焼き殺した。
ハハ;ロ -ロ)ハ「……は?」
「『火炎弾』!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「!!」
再び飛んできた火の玉にハローが尻餅をつく。
その隙に少し姉から距離を取った。
从;゚∀从「ヒート!!」
ノハ )「ハイン……」
从;゚∀从「ひでぇ怪我じゃねぇか……」
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:22:48.13 ID:h6Dlsusm0
支援
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:23:57.62 ID:h6Dlsusm0
支援
174 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:24:40.57 ID:y7czd8u9O
ハインが拳を強く握る。
口を真一文字に結び、悪魔の方を振り返った。
顔は見えないけど、怒っているのがよくわかった。
从 ∀从「辛いかもしんないけど、もうちょっとだけ辛抱してくれよ」
ノハ )「うん……」
初めての感覚だった。
ハインの考えてること、強い感情、見てる景色が手に取るように伝わってくる。
今、私はハインと一つになっているんだ。
ノハ# )「いくぞ……!ハイン!!」
残った力を振り絞って叫ぶ。
ハインはこちらを振り向かずに頷いた。
ノハ#゚听)「『召喚』っ!!」
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:25:52.91 ID:h6Dlsusm0
支援
176 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:26:33.98 ID:y7czd8u9O
刹那、ハインの体が眩く光った。
同時に私の体を強烈な倦怠感と疲労感が襲う。
でも、意識だけはしっかりしていた。
光が徐々に弱くなる。
降りしきる雨の中、ハインは一点の太陽のように光輝き、佇んでいた。
ノハ;-听)「『アマテラス』……」
全身に黄色い炎を纏うハインの姿を見て、そんな言葉が浮かんだ。
もちろん、この言葉が何を意味するのかはわからない。
ただ、これが召喚によって姿を変えたハインの名なのだろう。
从#゚∀从「てめぇら……ヒートにこんな事して、覚悟は出来てんだろうなぁ?」
177 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:27:23.10 ID:y7czd8u9O
ハレ;゚⊥゚レリ「くっ……精霊か……!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「な、何?あれは何なの?アプサラス!なんとかしなさい!」
ハレ;゚⊥゚レリ「『アイスニードル』!!」
さっき私を貫いた氷の刃がハインに迫る。
だが、ハインはそれを避けようとしない。
避ける必要がないのだ。
氷の刃はハインに触れた瞬間に溶けてしまうのだから。
ハレ;゚⊥゚レリ「く、くそっ!効かないだと!?」
从#゚∀从「てめぇか……ヒートをあんな目に遭わせたのは……」
ハインが右手を振り上げる。
すると、ハインを中心として空気がどんどんと熱くなっていく。
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:27:50.83 ID:h6Dlsusm0
支援
179 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:29:11.27 ID:y7czd8u9O
从#゚∀从「安心しろ。一瞬だ」
ハインの立っている辺りの水たまりが全て蒸発した。
ハインの体を覆う炎が、天に向かって突き出された右手に集中する。
从#゚∀从「『火之迦具土神』!!」
突き出された右腕から、巨大な蛇のような炎が飛び出した。
天高く上昇したその炎は雨雲を霧散させ、悪魔に向かって急降下する。
ハレ;゚⊥゚レリ「おおおおお!?」
爆音と共に地に降りた炎の蛇は悪魔を飲み込み、地面に巨大なクレーターを作り上げた。
姉はマントで咄嗟に身を守ったが、その時の衝撃で吹き飛ばされてしまった。
ハレ;゚⊥゚レ:..「ば、馬鹿な……!」
ハレ;゚⊥::...「この私が……!小娘無勢に……!」
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:30:42.68 ID:xXke1lVx0
支援
181 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:30:54.31 ID:y7czd8u9O
悪魔の身体がゆっくりと塵になって消えていく。
ハインは本当にこの戦いを一瞬で決めてくれたのだ。
ハレ;゚:::...「む……無念……」
ハ::::.....「ハロー様……申し訳ありま……せん……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ううっ……。そ、そんな……アプサラスが……?」
从#゚∀从「あとはてめぇだけだ。覚悟しろよ!!」
ハインが姉を睨みつけた。
今のハインにあの姉が敵うとは思えない。
勝負は既に決しているのだ。
ハハ;ロ -ロ)ハ「……くっ!覚えてなさい!」
姉が踵を返し、走り去った。
ハインはそれを追おうともせず、静かにただ眺めているだけだった。
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:31:53.41 ID:xXke1lVx0
支援
183 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:32:49.39 ID:y7czd8u9O
从;゚∀从「ヒート!」
身に纏う黄色い炎が消え、いつもの姿に戻ったハインが走り寄ってくる。
間違いない。
確かに、ハインだ。
ずっと会いたかった、私のただ一人の精霊。
从;゚∀从「ヒート、大丈夫か!?」
ノハ;--)「ん……。ちょっと辛いけど、多分大丈夫だ」
ハインの目には涙が浮かんでいる。
そういえば、ハインが泣いているのを見るのは初めてかもしれない。
从 ;∀从「ヒート……!!ごめんな……!ごめんな……!」
ノハ;-听)「ハイン……」
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:33:58.74 ID:xXke1lVx0
支援
185 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:34:26.43 ID:y7czd8u9O
从 ;∀从「怪我、早くなんとかしないと……!」
ノハ;--)「大丈夫、ギコから貰った薬があるから……それを塗っておけばいい」
なんでも、ギコのじいちゃんが作った特製の薬らしい。
旅に出る前に貰っておいてよかった。
从 ;∀从「あ、あのな、ヒート……俺……その……」
ノハ;-ー゚)「ハイン」
右手でそっとハインの涙を拭う。
やっぱり、ハインに涙は似合わないな。
そしてそのままハインの背中に手を回し、ぎゅうと抱き締めた。
ハインの体はとてもあたたかかった。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:35:49.90 ID:xXke1lVx0
支援
187 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:36:16.48 ID:y7czd8u9O
ノハ--)「あったかいぞー……」
从 ∀从「ヒート……ずぶ濡れじゃねぇか」
ノハ--)「さっきまで土砂降りだったからなー」
さっきのハインの炎により、雨雲は吹き飛ばされた。
おかげで今は雨は止んでいる。
从 ∀从「……寂しかったか?」
私の胸に顔を埋めたまま、ハインが呟いた。
ノハ--)「めちゃくちゃ寂しかったぞー……」
从 ∀从「……そっか」
その後、しばらくの間沈黙が流れた。
雲の切れ間から太陽の光が差し込み、私達2人を照らす。
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:36:58.58 ID:xXke1lVx0
支援
189 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:37:55.92 ID:y7czd8u9O
ノパ听)「ハイン」
从 ゚∀从「……ん?」
「おかえり」
「……ただいま」
第三話 〜完〜
190 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:40:13.94 ID:y7czd8u9O
これで第三話は終わりです
お付き合いありがとうございました
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:43:43.01 ID:xXke1lVx0
乙乙
なんつーか、こう、くじけるなよ?
192 :
◆4br39AOU.g :2010/05/24(月) 00:46:15.87 ID:y7czd8u9O
>>191 大丈夫です
支援も乙も無くなったとしても完結はさせるつもりですから
ありがとうございました
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:49:31.31 ID:SJmaqbj80
乙
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:50:39.94 ID:2NYY56hb0
乙
これからもがんばって
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 00:54:58.01 ID:l7nq9DC80
てめーら、読んでたなら支援してくれよ
俺、ただ支援してた読者なのに、二回もさるったんだぞ
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 01:15:26.04 ID:OMk1uRSN0
>>195 そういう時は頭ごなしに言うより、投下中に
「ROMってる人居たら支援手伝ってくれまいか 正直一人じゃ厳しいんだ」
とか言えばいいよ。結構手伝ってくれる人居るもんだぜ
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/24(月) 02:39:19.44 ID:OHv1p8EAQ
乙でした!また待ってるよ!
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
よむほ