1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
よければどうぞ
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:22:37.70 ID:3kJRx17S0
続けるんだ
死ね これだからけいおん厨は
絶対続けるなよ また全体に迷惑がかかるぞ
またかよ。スレ埋められたこっちの身にもなれ
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:25:26.83 ID:+Jannh0vP
スレストってドラクエ風にしてふざけてるのはわかるけど、ストップさせる理由は明らかにしてないから不信感というか理不尽な気持ちになるな
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:25:36.01 ID:lDR/ecUqO
止めたいから宣伝してるんでしょ
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:25:50.99 ID:3kJRx17S0
創作板いけよ ここでオナニーするな
スクリプト荒しを招くからみんなの迷惑 消えてくれ
10 :
マネ老師 ◆FwgYLcavRc :2010/04/29(木) 04:26:43.78 ID:5ee24BdrO
ていうか、書き手側に
今のVIPでSSを書き続けるメリットあんのか?
スクリプト荒しが悪いんだから早く通報しとけや
叩かれたくないんだったらせめてもうちっと間を空けてから立てろよ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:27:27.92 ID:FLAPJVS0O
製作にでも行けよ鬱陶しい
>>9 マルチポストに正義ありみたいな言い方ですねw
立てた奴にそんな思考は存在しない
いい加減にしろ。クソ野郎
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:28:16.21 ID:azw3zYCO0
じゃんりゅーもんやってた俺にはまったくわからないんで
六行でお願いします。
どうしてこのスレだけ狙い撃ちなんだろう
いままでSSスレやけいアニメ信者に悪いイメージを持っていなかったが
スクリプト荒しの原因になって他のスレが迷惑するのわかっていながら煽り続ける行動を見て
いっきに嫌いになったわ。
この元アニメはけいおんって奴なのか?
他のスレに迷惑かけるのはヤメレ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:30:01.20 ID:lDR/ecUqO
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:30:09.88 ID:hVSSHupB0
>>19 元ネタは「けいおん!」
このSS(笑)は有名な「こころ」のパクリ
__
 ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
-=ニニニニ=-
♪ ∧,_∧ _,,-''"
( ´・ω・) )) ♪-''"; ;,
(( ( つ ヽ_,,-''"'; ', :' ;; ;,'
♪ 〉 とノ'", ;,; ' ; ;; ': ,'
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' ┼ヽ ヽ/ レ |
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' d⌒) (__ __ノ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:30:39.14 ID:azw3zYCO0
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:30:41.92 ID:3kJRx17S0
くっそ、規制きた・・
ちょっと通りますよ
!vip2:stop:
---
見習い戦士のふつうの攻撃
MP353使ってへっぽこの呪文を唱えた。
★ミ (スレのダメージ 0)
このスレは1回目のダメージを受けた (150/1000)
>>21 キチガイを煽ってるんだから同罪だろ
素直に創作板にいけばいい しばらくしたら戻るとかいくらでも方法はあったはず。
これで多くの人が規制される
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:32:37.19 ID:lDR/ecUqO
アンチの狙った通りの流れっすなぁ
>>10 人が多いから見る人が多い
デメリット
アンチが多い SS自体嫌ってるやつも多いがけいおんのSSは特に狙われたように荒らされる
アンチが多いんだろうな
>>18 アンチだから
他でやれって言ってるやつも含め大部分が自演
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:32:47.18 ID:3kJRx17S0
スレスト帰れ
なんなんだこの被害妄想みたいのは
迷惑がってるのをみんなアンチ扱いとか死ねよ
こっちはアニメ自体よくわからんのに
>>31 ヽ | | | |/
三 す 三 /\___/\
三 ま 三 / / ,、 \ :: \
三 ぬ 三. | (●), 、(●)、 | ヽ | | | |/
/| | | |ヽ . | | |ノ(、_, )ヽ| | :: | 三 す 三
| | |〃-==‐ヽ| | .::::| 三 ま 三
\ | | `ニニ´. | |::/ 三 ぬ 三
/`ー‐--‐‐―´´\ /| | | |ヽ
!vip2:stop:
---
見習い戦士のふつうの攻撃
すかった。
SS厨気持ちわるっ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:37:05.79 ID:3kJRx17S0
>>33 やっぱ誰も書かないんで
いいです。
落としてください。
36 :
マネ老師 ◆FwgYLcavRc :2010/04/29(木) 04:37:10.24 ID:5ee24BdrO
心情的には書き手側に同情するが
諦めて書き溜めしとくか、製作速報あたりでやるのが吉
SSに対する風当たりの厳しさといったら
ここでやらなきゃいい話
あほでしょ何回言えばわかるの?
39 :
◆Void00Vrcc :2010/04/29(木) 04:38:50.47 ID:KI1PuZL/0
やっと追いついたのに荒らされてるのか…
他のSSスレは被害無し
不思議だな
>>35 \ ヽ ! | /
\ ヽ ヽ / / /
お断りだああああああああああぁぁぁ!!
\ | / /
,イ
 ̄ -- = _ / | --'''''''
,,, ,r‐、λノ ゙i、_,、ノゝ -  ̄
゙l ゙、_
.j´ . .ハ_, ,_ハ (.
─ _ ─ { (゚ω゚ ) /─ _ ─
). c/ ,つ ,l~
´y { ,、 { <
ゝ lノ ヽ,) ,
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:40:43.75 ID:azw3zYCO0
なにやったのかそろそろ教えてくれ
44 :
マネ老師 ◆FwgYLcavRc :2010/04/29(木) 04:40:44.45 ID:5ee24BdrO
今は書けないよな
この状態で普通に書いてる奴の精神力って、イチロー並だと思うよ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:41:39.24 ID:yj8jUXNZ0
ここから濃厚なくもじいスレになります?
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:41:54.55 ID:ZvahG+gF0
>>41 やっぱりけいおん!が題材だから
元々アンチが多い作品だからその作品の二次創作のネガキャンをすれば一瞬で潰せるしね
>>41 ○○君もやってるじゃん!って事?
小学生ですか?
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:43:02.76 ID:3kJRx17S0
ざまぁww
抽出 ID:5/mynEsl0 (5回)
401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 03:47:05.99 ID:5/mynEsl0 [1/5] (PC)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1272472746/ ここが宣伝しまくってすごい迷惑
なぜか勝手に私がvip警察の人で自演してるような事いわれるし 意味わからん
410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 03:59:06.79 ID:5/mynEsl0 [2/5] (PC)
おい vip警察が宣伝してるってSSスレの奴らが言ってるけど どう考えてもいい訳だよな? スレストしてくれ
これだけ迷惑なスレで スレストしないなら警察の存在意義がない
439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 04:24:19.55 ID:5/mynEsl0 [3/5] (PC)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1272482506/ SSスレ立てる奴を創作板にもどせないの・・?
455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 04:36:40.67 ID:5/mynEsl0 [4/5] (PC)
>>450 >>452 2度と帰ってくるなカス
465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 04:42:02.51 ID:5/mynEsl0 [5/5] (PC)
>>455 しねwwww
>>47 396 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage 2010/04/29(木) 03:43:01.89 ID:chC5qYMB0
SSはどうでもいい
だがけいおんは許さない
ふーん
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:46:48.03 ID:3kJRx17S0
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:47:23.67 ID:ZvahG+gF0
ここは肥溜めとして再利用すべき
ニコ厨氏ね
>>51 他にもSSいっぱいあるじゃん!ってこと?
リアル小学生でしたか
>>55 396 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage 2010/04/29(木) 03:43:01.89 ID:chC5qYMB0
SSはどうでもいい
だがけいおんは許さない
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:49:15.93 ID:NwlFX6A50
ぶっちゃけるとこういう事が起こるのもVIP
なんでもありだからこそだ
SSでも全レスでもなんでもこいや
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:50:03.34 ID:ZvahG+gF0
ID真っ赤でレス抽出して煽ってるあたり
実にこの板らしいな
>>58 あ 逃げた
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:51:36.60 ID:3kJRx17S0
嫌いならスルーすればいいじゃないと思うんだが
なんでいちいち口に出さなきゃ気が済まないのやら理解に苦しむのう
こんな状況でこの板に執着した書き手もアレだが
∩___∩ |
| ノ\ ヽ |
/ ●゛ ● | |
| ∪ ( _●_) ミ j
彡、 |∪| | J
/ ∩ノ ⊃ ヽ
>>60 ( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:54:29.51 ID:Nkc9w7O30
SSはどうでも良いけど自治厨は嫌いだから死ね
おやすみー
>>63 472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 04:46:51.54 ID:nK/5TEPpP
>>469 あ 逃げた
∩___∩
. \ | ノ ヽ
\ / ● ● |
\| ( _●_) ミ
彡、 |∪| ,/..
ヽ ヽ丿/ /⌒|
/ \__ノ゙_/ / =====
〈 _ノ ====
\ \_ \
\___) \ ====== (´⌒
\ ___ \__ (´⌒;;(´⌒;;
\___)___)(´;;⌒ (´⌒;;
アニメをそこまで嫌いになれるって、ちょっと理解できないな
性に合わないってのは解るけど
>>62 警察潰そうとした奴にけいおん嫌いが釣られて
燃え上がったんじゃないかなあ、と
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:58:17.26 ID:gjT22Q3cP
-───- 、
,. : :´ : : : : : !: : : : : : : :\
/: : : : : :/: : : |: : : : : : : :ヽ::\
/::/ : : : :イノ:i: : : :ト、 \: : : : :.ヽ: ヽ
/::/ : : : /:/ l:|: : : :l \: ヽ: : ヽ: ';: :.ヽ
.: ::{: `ヾ/ ,. -l:ト、: : :| ´¨\} : :::l::| : l
,': :::l: : : :l/ _`l \:| r ヽ:.::|: :|:l : |
ノ!:: 八 弌| x;=ミ \ 斧ミx Y: :リ :|:|
|: : .::ト、: :!〃ん:ハ ト辷} }}厶イ: :|:l
l: : .::i:::ヽ| 弋tり . ゞ-' ハ:::.:l.: :リ
|:.::::::|: .::::ト、 xwx __ xwxi:: : : |:: :|
n: |:.::::{|: :::::}∧ {7⌒Y} ∧:. : |:: :l n:
|| ヽ从: : :|::::ゝ _ `ー‐´ イ::::|: :.八::| ||
|| レ ト、: |、:::::::::`;┬--‐ }ト、::/|: /:/`| ||
f「||^ト | ゝ|丁 ̄イ \__/ }`ー'|/r┴ 、 「||^|`|
|::: !} / {` l /父ハ 「 _,」 |! :::}
ヽ ,イ / 「 Y/;介ヾW | ヽ ,イ
| l{ | | 《_イ ト、》 `| / l |
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 04:59:34.58 ID:1e7PmJ990
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 05:07:17.40 ID:q3MSr3E00
むしろ何でもありのVIPで何故SSが叩かれるのか分からない
考察なんざ要らんからほっとけ
オマエまだいたのかよwwwwwwwwwwww
あのSS書いてるカスはリアルタイムで見てる人に読ませるために書いてるんじゃないからね
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 05:19:33.20 ID:q3MSr3E00
太もも
あと半年は糞SSスレが乱立するのか・・・
VIPがますます廃れるな・・・
――チーン
――チーン
鈴の甲高い音が窓から差し込む夕日に溶けていった。
供養の作法などは身につけていない。そもそもそれについて深く考えたこともなかった。
しかし、撥で鈴を数回叩いて手を合わせた後は、決まって仏壇に語りかけていた。
律「なにも死ぬ必要なんてなかっただろ……?」
問い掛けに対して、いらえは静寂だけだった。
もっとも返答など最初から望んでいない。
――もう彼女はとっくにこの世から去っているのだから。
♪
その家を後にした後、律は決まって秋山澪の部屋を訪れることにしていた。
勝手知ったる澪の家だったが、彼女の部屋には入らず、代わりにドアをノックした。
律「澪……いるか?」
返事は無かったが、澪が自分の部屋で息を潜めて
いることは既に判りきっていることだったので、構わずノックを繰り返した。
どれくらいそうしていただろうか。
不意にドアが開いた。
律「み……――!」
視界に何かが飛び込んで来る。
その何かが目覚まし時計だと気づいた時には、額を
襲った強い衝撃と鋭い痛みに思わず上半身をのけ反らせていた。
澪「うるさいだああああよおおぉ!!!」
澪の奇声ともとれる怒声はドアが閉められたにも関わらず律の鼓膜を激しく震わせた。
額を苛む鈍痛を堪えてもう一度ドアの向こうに呼びかける。
律「澪、き――」
澪「うるさいうるさいいぃうるさああああいいっっ!!!!」
何かに取り憑かれたかのように
喚き立てる金切り声に律の言葉はかき消された。
律「澪、頼むから……ほんのちょっとでいいから――」
澪「帰れかえれカエレええええええっっ!!」
最早こうなってしまっては為す術など無かった。
諦めるしかない。
律「……また明日も来るよ」
悲鳴は既に止んでいる。代わりに荒々しい息遣いが扉から漏れていた。
律は結局帰宅することにした。
♪
全てが全て上手くいくはずなんてそうそう無いの
だろうが、それでも全てが全て上手くいかないなんてことも、
ほとんど無いのでは、と少なくとも律は常日頃から心の片隅で考えていた。
実際、軽音部としての活動や学校生活は充実していた。
学生の本分であるはずの勉強こそ芳しいとは言え
なかったが、それでも今の日々に不満は無かった。思いつきもしなかった。
今日の次には明日があって、明日の次には明後日が
あって――そのどれもが輝きに満ち溢れていることを信じて疑わなかった。
けれども当たり前だと思っていた日常は気づけば崩壊しかけていた。
終わりを告げようとしていた。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
いつの間にここまで悲惨なものに成り果ててしまったのだろう。
――私はどこで間違ってしまったんだろう?
♪
――最初に自分の間の悪さに毒づきたくなった。
次に猛烈な後ろめたさと羞恥心に消えたくなった。
最後に回れ右をして家に帰りたくなった。
――放課後。
体育の授業が五、六限と続いたせいか、身体が疲労を訴えていた。
早くムギの煎れた紅茶が飲みたい。
美味しいスイーツを心行くまで堪能したい。
欲求のおもむくまま、いつもどおり、
ティータイムを楽しみに音楽準備室に入ろうとして扉に手をかけた。
律「……っ!」
扉にかけられた律の手が止まった。止めてしまっていた。
僅かな隙間から伺えた。
唯と澪がキスをしていたのが。
並んで椅子に座って。
向かい合って。
目どころか網膜も角膜も虹彩も水晶体も視神経も全部を全部疑った。
いやいやいやいやいやいや、部室で何ヤってんだ
コイツら!?――全身全霊でツッコもうとして、後ろから声がした。
「何してんですか、律先輩?」
気づかないうちに中腰になっていて、
気づいたら覗きでもするかのように扉と扉の僅かな隙間から中を
必死に窺っていたため、その声の主が自分の背後に立っているのに気がつけなかった。
律「……梓か」
突き出していたお尻を引っ込めてそっと音を立てないように扉を閉める。
梓「そうですけど、なんで部室に入らないんですか?」
律「うん?うん、入ろっか?」
梓「聞かないで下さい」
律「入るぞー」
そう行って無意識のうちに扉をノックしていた。
『はいはーい』
返事は平生の唯と何ら変わりのないものだった。
穿った聞き方をすればそれは
どこか無理矢理落ち着かせているようにも聞こえなくもなかったが。
扉を開けて部屋に入れば唯と澪が既に席に着いていた。
唯「あれ?りっちゃん?」
律「ん?どした?」
澪「ノックして入って来るもんだからてっきり和あたりが来たのかと思ったんだよ。
そうだろ、唯?」
唯「うん」
律「そういう気分だったんだよっ」
ようやく普通に会話できる程度にまで冷静さを取り戻して、ふと唯と澪の顔を見比べてみる。
唯は心なしか頬が上気してるようにも思えたが、
基本的にハイテンションな唯にはそれほど珍しいことでもない。
梓「澪先輩、顔が赤いですけど風邪でも引いたんですか?」
澪「え?そ、そう?顔赤い、かな……?」
こちらは一目で異常がわかる程度には赤い。
この寒い季節には澪の赤くなった頬はカイロの代わりくらいにはなるかもしれない。
唯「ほっぺ冷ましてあげるね」
澪「ゆ、唯っ。いいよ別に……」
唯「私の手冷たいでしょ?」
唯の手が冷たいかどうかはともかく澪の頬は余計に赤くなった。
澪「……うん」
見ているこちらの背中が痒くなってきて目を逸らした。
……この気持ちはなんだろう?
紬「ごめんなさい、先生に呼び出されてて遅くなっちゃった」
律の胸にほの暗い感情が訪れたのと、紬が扉を開いたのはほとんど同時だった。
唯「ムギちゃん、今日のお菓子はなあに?」
紬「ふふ、今日はチーズフォンデュよ」
唯「やったー!」
梓「唯先輩、お菓子もいいですけど今日こそは練習もしっかりしましょうよ」
見慣れた日常の光景だった。けれども違和を感じずにはいられなかった。
この光景にではない。
自分に、だった。
♪
自分の心というのは、実は一番自分が理解できていないのではないだろうか。
厚い雲の層によって星一つ見えない夜の空を見上げながら律は心の中で独りごちた。
紬「元気ないけれど、大丈夫?」
律「何言ってんだよ、ムギ。私は元気のカタマリだぜ?」
律は紬と珍しいことに二人っきりで夜空の下を歩いていた。
澪は、唯と二人だけの用事がある、と学校から出てすぐ別れた。
梓は梓で用事がある、と言って一人早めに部活を切り上げて帰宅していた。
紬「りっちゃん……本当に大丈夫?」
紬の心遣いは嬉しかった。
できることなら相談したかったが、自分で自分の胸の内の
わだかまりが何なのかもわかっていないのに、どう相談すればいいのだろう?
紬「勝手な憶測で言うけど、ひょっとして澪ちゃんのことと関係ある?」
一瞬顔が強張るのを感じた。
紬「やっぱり関係あるのね?」
紬が人の感情の機微に決して鈍くないことを知っていた律は正直に話すことにした。
律「……はっきりとはわかんないんだけど、
なんかこう胸やけでもしたみたいにこう、イライラ、じゃなくてモヤモヤするんだよ」
あの二人がキスしたところを見た時から……とはさすがに続けることができなかった。
そもそも自分の悩みの類を言葉に
することが、不得手である律にとってこの告白はなかなかどうして至難なことだった。
紬「焦らずにゆっくり話してくれればいいから」
律「うん……」
そうは言ったものの、言葉はいつまでたっても出て来なかった。
♪
まどろみの湖は唐突に蒸発した。
鉛を仕込んだかのように重い瞼を持ち上げて、
周りをたっぷり三十秒は窺う。
律「…………」
ようやく律は、自分がいる場所が教室で、今が現代文の授業の最中だということを悟った。
どうやら相当熟睡していたらしい。唇の端を涎が伝っているのに気づいて慌てて拭った。
紬「『Kはなかなか奥さんとお嬢さんの話をやめませんでした。
しまいには私も答えられないような立ち入ったことまできくのです。』」
夏目漱石の『こゝろ』の
文章を紬が淀みなく読んでいくのを聞きつつ、教科書の文に目を通す。
現国の授業の好き嫌いは専ら扱っている話によって決まると思っている。
実際『中島敦』の『山月記』の授業では普段あまり
読書に関心のない律も、それなりに意欲を持って授業に挑むことができていた。
しかし……この話はいったい全体何が面白いのかよくわからない。
主人公である『私』――いや、『先生』だったか?――が恋敵である『K』を
延々と観察して勝手に苦悩しているという、そんな解釈しかできなかった。
しかも恋敵である『K』の
描写が絶えず続くものだから、うっかりボーイズラブ小説かと勘繰ってしまった。
これに比べたら中学生の頃に読んだ
『ご家庭でできる手軽な殺人』という単行本の方がよっぽど面白かった。
うん?ボーイズラブ?
ホモ?同性愛?バイ?レズビアン?
授業をそっちのけて矢継ぎ早に脳裏を掠めるいかがわしい言葉たちに律は一瞬眉を顰めた。
律「……!」
出し抜けに「あの光景」を思い出した。顔に血が上っていくのが自分でもわかった。
林檎のように紅潮した顔容を立てていた教科書に慌てて隠す。
私は生娘かっ!――自分で自分にツッコんだ。
……うんまあ、生娘と言えば生娘か。
律は無意識の内に授業の内容から離れて、あの二人のことについて思考を巡らせていた。
――女が女を好きになる。この気持ちは、わからなくもなかった。
種類こそ違うが律にしたって唯や澪のことは好きだ。さすがにキスしたい
なんてことは思ったこともないし考えたこともないが。
それに正直、唯と澪がキスしていたのを目撃した時は気持ち悪いとさえ思った。
気持ち悪い……あの瞬間、律が抱いたのは嫌悪感以外の何物でもなかった。
しかし、あの光景を見てからの二日間、時折去来する感情は
それだけではなかった。嫌悪感と同等、或いはそれ異常に胸を掻き乱す感情が
あった。だが、律はその曖昧模糊な感情が何なのかを明確に判断できないでいた。
相談しようにもこんな判然としない悩み
をどう相談すればいいというのか。そもそもこのことで相談を持ちかける
ということは、イコール、唯と澪の関係を打ち明けるということになってしまう。
――――――――
堂々巡りの思考はチャイムの音によって切断された。
とうとう授業内には結論は出なかった。
紬「りっちゃん、部活行きましょ」
律「ん?そうだな……」
喉から出た声は酷く辟易としていた。
紬「ねえ、りっちゃん……やっぱり何か悩んでるんじゃないの?」
三日前。
律は最終的に自らの悩みを口にする
ことはなかったが、どうだろう。このまま一人で悶々とするよりは
やはり、誰にでもいいからこの胸のわだかまりについて聞いてもらうべきでは。
律「ムギ、少しだけ教室に残ってくれない?」
ほんの僅か逡巡して、結局律は話してみることにした。
♪
律「…………」
いざ話そうとして、けれども何も話せないで時間は過ぎていった。
頭の中をどんよりと漂う文字を律は文章にできず二人しかいない教室は沈黙が支配していた。
紬「りっちゃんの悩みって澪ちゃんと唯ちゃんのことでしょ?」
紬の指摘はまさに不意打ちだった。律は零れんばかりに双眸を見開く。
紬「やっぱり。りっちゃんも知ってたのね……」
律「りっちゃんも?ムギもあの二人の関係を知ってるのか?」
紬「うん。前から、ね」
律「どういうこと?」
紬「二週間くらい前に澪ちゃんから相談されたの」
律「相談?」
紬「唯ちゃんから告白されたけど、どうすればいいのかって。澪ちゃんすごく悩んでたの」
気づいていなかったの、と紬は意外そうな顔をした。
律「…………知らなかったよ……うん、何も知らなかったんだ私」
その時――律の瞳に昏々とした陰が落ちたのに果たして紬は気づいただろうか。
律「そっか、あの二人付き合ってんだな。何か急に二人が遠くに行っちゃったみたいだ」
紬「……りっちゃん」
律「澪とはさ。ずっとずっと一緒にいたんだ。それこそ知らないことなんてないって
ぐらいにさ。でも知らないことがないなんてそんなワケないよな。あるわけがない。
知らないことだらけだ。今回のことも何もわかっちゃいなかったし。そんでもって……
自分のことまでよくわからなくなった。私、澪に嫉妬してんのかな?」
或いは――
律「ムギ、部活行ったほうがいいんじゃない?今頃三人とも
首長くしてムギが持ってきてくれるお菓子待ってるだろうしさ」
紬「りっちゃんも部活行くでしょ?」
律「悪い。今日は休むわ。一人になりたい。勝手にムギに相談しといてそのくせ
一人にしてくれなんて身勝手だとは思うけど……今は一人になりたいんだ」
紬「うん、でも一人で抱えこまないで。
また、話を聞いてほしくなったら言ってね。いつでも相談に乗るから」
律「ありがとう。みんなには体調が悪いから休む、って言っておいて」
♪
自分しかいない教室で、もしかしたら、と律は思う。
自分が体調不良を理由に部活を休めば、澪が心配してくれるのではないか、と。
♪
それから一週間。
律が軽音部の活動を休んだのは週初めの月曜日だけで、その日以外はきちんと出席した。
端から見れば、何ら変わりのない学校生活の日常がただただ、過ぎていっただけの
一週間だった。少なくとも律にはそう映っていた。平々凡々とした日々が特筆
すべきこともなく終わっていったようにしか思えなかった。
もっとも律が軽音部のことを
本当に大切に思っているならもっと注意しておくべきだったのかもしれない。
静かに、しかし確かに日常に異常をもたらす変化の兆候は既に訪れていたのだから。
♪
今日も例によって例のごとく、軽音部は
音楽準備室で紬の用意してくれたお菓子と紅茶を片手に、会話に花を咲かせていた。
いつも通りの光景だったが、律は密かに澪と唯の様子が奇妙だということに気がついていた。
♪
部活後。
律と澪が一緒に帰ることじたいは全くと言っていいほど珍しいことではない。
だが、二人の間に一切会話が無いというのは本当に珍しいことだった。
無論ケンカしたわけではない。
澪「……はぁ」
澪の唇から陰鬱な溜息が零れた。
律「どうしたんだ、澪?」
ようやく律も口を開いた。
澪「何でもないよ」
律「……澪はホントにウソつくのが下手だよな」
澪「う、うそじゃないっ」
律「ウソだよ」
知ってる。
澪が嘘をつく時の癖くらい。
ほんの少しだけ話し相手から目をそらして、ほんのちょっぴり唇を尖らせる。
澪が嘘を言う時に絶対にしてしまう仕草だった。
律「私の方こそゴメン……たくっ、私ってば何考えてんだろうな?
澪が言いたくないって言ってんだから聞いちゃダメだよなぁ……」
頭の芯が熱くなっていく。肩が震えるのを必死で堪える。
律「さっさと帰ろ帰ろっ。早く帰らないと私みたいな美少女は襲われちゃうからな」
顔面神経痛患者のように引き攣った笑顔を浮かべているであろう自分を見られた
くなくて、律は踵を返して、そそくさと澪の前を歩いていった。
言葉を交わすことは無かった。五分もしないうちに澪の家の前にたどり着いた。
澪「律、じゃあ……また明日」
別れの挨拶を告げる時でさえ、律は澪の顔を直視できなかった。
律「また明日な」
律の遥か上にある三日月にまもなく雲がかかろうとしていた。
♪
自分の部屋に入って電気もつけずに、律はベッドに飛び込んだ。
自分がわからなかった。
自分のことなのにまるで赤の他人のことのように理解できなかった。
胸の奥が滾った熔岩のように奔流する感情に襲われ、涙が頬を伝い落ちる。
どうして――どうしてこんなに涙が溢れて止まらないのか明白な理由が思いつかない。
澪が自分から離れてしまったから?もしくは、澪を自分から奪いさった唯が憎いのか。
どこかで働いていた理性が決壊しようとしている。そんな気がした。
――スカートのポケットに入っていた携帯が不意に鳴った。
枕に押し付けていた顔を慌てて上げ、律は携帯を取り出し画面を見た。
澪からメールが来ていた。
律「澪……!」
急いでメールを開こうとして……やめた。
どうして、澪に、自分の感情に、こんなにも振り回され続けなければいけない?
ふとそんな疑問が頭をもたげた。
徐々に熱に浮された思考が冷えていく。正常に回転し始めた脳みそが新鮮な空気を求める。
律は空気を入れ換えるために窓を開けようと身体を起こして、窓の前に立った。
窓ガラスに淡く映った律の目は赤く潤んでいた。
律「ふふ……」
三日月の形に割れた唇から小さな笑声が漏れた。
何を悩んでいるのだろう。懊悩などに意味が無いことくらい、わかりきっているのに。
律「そうだよ。私は何を悩んでんだ?私はハッピー百パーセントの田井中律だ。
悩む暇があるなら行動しなきゃな」
雲間から覗いた月がひっそりと律を照らし出した。
♪
それからまた一週間が経過した。
その間の律は第三者から見れば、今までと何ら変化の無いように思われた。
軽音部の皆とは普段と同じように接することができていた。
澪と話す時でさえ平生と変わらぬ接し方をすることができた。
澪がそのことに対してどのような思いを抱いていたのかは、
律にはわからなかったし先週のことについて、彼女がどのような
結論に至ったのかについても思いつかなかった。
――しかし、小さな変化が起きた。
律と澪が一緒に帰らなくなった。
澪『これからは部活の後は図書館で勉強することにする。もうすぐ三年生になるしな』
澪はその宣言以来、部活後は図書館で勉強するため一人で帰っていた。
それについて律は何も言わなかった。
ただ、いつもと同じようにからかって、ガンバレと言ってやっただけだった。
そして金曜日の今日。
そんなマジメな彼女が珍しいことに学校を欠席した。
まさか、サボタージュをする度胸は澪には無いはずなので、何か欠席には理由があるはず。
律「まあとりあえず、りっちゃん隊員としては澪ちゅわんに会いに行くべきだよな」
様子が見たいというのもあるが、単純に澪に会いたかった。
会って何でもいいから話がしたかった。
そういうわけで、現在、部活を終えた律は澪の家へ向かっている最中だった。
ただし、澪の家に向かっているのは律一人ではない。
唯「澪ちゃん大丈夫かな?」
わたしのケータイにもメール来ないし――律の隣を
歩く唯が、心配げに携帯電話の画面を見つめながら呟いた。
律「ケータイしながら歩いてると危ないぞ」
普段ならおそらく言わないであろうことを、
口にして、そのことに無意識に眉を顰めた。
唯「そうだね、危ないよね」
そう言って唯は携帯電話を閉じた。歩くペースが速くなる。
律「……」
前を歩く唯の背中を眺めながら律は黙考する。
――何を自分は苛立っているのだろう?
唯が澪に会いに行くことは、予想できたはずだ。
唯と澪は女同士でありながら、お互いに好意を抱いて付き合っているのだから。
――恋人が恋人のもとへ見舞いに行くのは当たり前のことだろ?
律「……唯」
見慣れた背中が振り返った。
唯「どうしたの?」
律「唯は澪のこと、好き?」
唯の両目が不思議そうにしばたたく。
唯「何言ってんの?りっちゃん。
当たり前だよ。りっちゃんだって澪ちゃんのこと大好きでしょ?」
素直に頷くことができなかった。
唯の『好き』と律の『好き』は字面が一緒でも意味合いはまるで違う。
澪にとって、唯は恋人で、律は幼なじみなのだ。
恋愛感情と友情はまるで違うモノ。今だって澪が心配で、唯と律は彼女の家に向かって
いるのに、二人が澪に対して抱いている気持ちはまるで違う。違うはずなのだ。
でも……だとしたらこの胸の奥で燻っているドス黒い感情は一体全体何だというのか。
唯「りっちゃん、どうしたの?コワイ顔して」
律「……何にもだよ。それやり早く澪の家に行こうぜ」
答えは――まだ出てこない。
♪
澪「入って」
澪は、自分の見舞いに来た唯と律を部屋へと招いた。
律「お、今日はけっこう片づいてんじゃん」
軽口を叩いたが、それに対して今までならあったであろう、澪の合いの手はなかった。
澪「ベッドにでも座ってくれ」
言われて唯と律はベッドに腰をかける 。
実際、澪の部屋は綺麗に片付いていた。
最近は澪の家には来ていなかったせいなのか、妙に懐かしく感じられた。
昔はこうやってよくこのベッドに座って
澪と駄弁っていたな、と思い出して、律は頬を緩めかける。けれども、
澪の暗澹たる表情はそんな律の暖かな思い出をいともあっさり胡散霧消させた。
唯「澪ちゃん、大丈夫?」
聞くまでもなく、澪の表情は大丈夫からは程遠かった。
憔悴とまではいかないまでも、澪の顔に浮かんでいるのは紛れも無い心労だった。
唯「澪ちゃん、何があったの?」
澪「……」
どういうわけか、澪は質問に答えようとはしなかった。
律は澪の表情をじっくり窺ってみる。否、じっくり見るまでもなく、澪が何か悩みを
抱えているのは明白だった。
唯はおもむろに立ち上がると、ベッドの正面にある椅子に
腰を掛けた澪の前に、ひざまずいた。澪の手を優しく包み込んで、唯は澪を見上げた。
唯「澪ちゃん、わたし約束したよね?澪ちゃんが困ってたら絶対に助けるって」
澪「……」
唯「澪ちゃんを守ってみせる、って。澪ちゃんの悩みはわたしの悩みでもあるんだよ。
一人で抱えこまないで。わたしが側にいるから」
澪「唯……」
唯は柔らかな微笑みを湛えて、澪の頬を両手で優しく包んだ。
どこまでも暖かで真摯な言葉に澪の能面のような表情が崩れた。
澪「……っ」
嗚咽を漏らして肩を震わせる澪を唯は、優しくけれども力強く抱きしめた。
律はただ、二人を見守ることしかできなかった。
♪
澪「――先週からなんだ」
ようやく落ち着いたところで澪は改めて、唯と律に向き直った。
その瞳はまだ濡れていたが、それでも澪の表情は幾分か見れるものになった。
澪は机の隣に設置された引き出しを開けて、あるものを取り出した。
唯「これは……手紙?」
澪は小さく頷いた。
――澪いわく、何の前触れもなくその手紙は送られてきたらしい。
手紙の内容はずいぶんと汚い字での誹謗中傷、罵詈雑言であったそうだ。
もっとも内容はあるようでまるで存在せず、宛名も無いので、これが秋山家のポストに
入っていなければ、澪に対して向けられたものかどうかすら判断できなかっただろう。
ただ手紙は一枚には収まらなかった。
最初にその手紙が投函されてから二週間。手紙の合計は七枚にも及んだ。
そのどれもが、似たり寄ったりな内容では
あったが、送られる側としてはやはり不愉快極まりないものでしかなかった。
それに澪は繊細な少女だった。
正体不明の誰かから送られて来る手紙
なんてものに、恐怖心を感じずにいられるはずがなかった。
澪「それにこれだけじゃないんだ……」
――今週に入って更なる変化が起きた。
図書館に通い出してから今日で五日目。
澪は昨日までの四日間誰かにつけられていたそうだ。
最初、澪は気のせいだと思っていたが、
日にちが経つにつれて自分が誰かにストーキングされていると、確信を持つに至ったらしい。
澪「それで、恐さに耐え切れなくなって今日は学校を休んだんだ」
律「……なるほどな。そういう事情があったわけか……ってどうしたんだよ唯?」
なぜか、今度は唯が沈黙して青ざめだまま固まっていた。
心なしか白くなった頬は氷の膜でも張ったかのように硬くなっている。
唯「う、ううん何でもだよ」
明らかに動揺しているのを唯は隠そうとして、しかし全く隠せていなかった。
澪「唯……?」
澪の表情が不安に曇る。
唯「大丈夫だよっ澪ちゃん。私がついてるからね」
唯の言葉は奇妙な程頼りなかったが
それでも澪には心強く聞こえたのか、少しだけ安心したように胸を撫で下ろした。
澪はまるで唯の動揺に気づいていなかった。
自分のことで精一杯で気づくことができなかったのだろう。
律だけが、今この場で唯の小さな狼狽に気づいていた。
律「でも、誰が澪にそんな嫌がらせをしてるんだろうな?」
律は何気なくぼやいただけのつもりだったが、唯と澪は黙って何も言おうとはしなかった。
二人が黙ってしまったので、律も必然的に口を閉ざすことになった。
――霜が下りたかのような沈黙を打ち破ったのは、律の携帯電話の着信音だった。
律はポケットに突っ込んでいた、電話を取り出してメールを開いた。
紬からだった。メールの内容は――
『澪ちゃんの様子はどう?家にはいましたか?来週は皆で
揃ってティータイムができることを願っています』
♪
その週も次の週も表面上は比較的平穏無事に推移した。
澪に届けられる不吉な手紙は相変わらず、続いている。
変化も起きた。
澪が図書館に行くのをやめて皆と一緒に帰るようになった。
唯と律は放課後は澪の家にできるだけ足繁く通うことにした。
しかし澪は紬と梓には、自らが今置かれている状況について一切説明していない。
皆に心配をかけたくないと澪が、突っぱねたからだ。
とにかく澪は気丈に振る舞って、決して自分が陥っている状況を周りに悟らせなかった。
澪が今置かれている状況を知っている人間としては
奇妙な感想かもしれないが、正直言って律は感心していた。
いつの間にこんなに強くなったのだろう――そう思わずにはいられなかった。
昔の澪ならとっくに音を上げて、
律に縋り付いてたとしても全くおかしくなかったはずだ。
澪の変化の理由は、やはり唯に関係しているのだろうか?
唯の姿が脳裏に浮かんだ時、不意に肺腑が熱くなって、律は考えるのをやめた。
どんなに思案しても、自分を苛む問題に対する解答は出ないのだ。考えるだけ無駄だ。
律「うわ……雨降りそうじゃん」
見上げた空には、分厚い雲が立ち込めていた。
雨なんてクソくらえ、と、まもなく泣き出すだろう空に毒づきつつ、律は澪の家へ急いだ。
♪
朝、律が寝坊をして澪を待たせてしまうことはそれほど珍しい
ことではなかったが、逆のパターンというのはなかなかどうして新鮮だった。
五分程待って、ようやく澪が玄関から出てきた。
澪「おはよう」
寝不足のせいなのか澪の目は充血していた。ここのところ、
澪はずっとこんな調子だ。睡眠時間が足りていないのは誰が見ても明らかだろう。
律「澪、大丈夫か?」
澪「大丈夫だよ。ちょっと寝不足なだけだから」
これに似たような会話は既に何回かしていた。
しかし、律がどんなに案配を確認したところで澪は同じことしか言わなかった。
♪
律の不安は的中した。
澪は休み時間に保健室に行ったらしい。熱を測ると三十八度六分もあって昼前
に帰宅した――という話を放課後、たまたま廊下ですれ違った和から聞くことになった。
和「それと、もう一つ唯のことで話があるんだけど……時間あるかしら?」
律「唯のこと?何の話?」
和「悪いけど、ここじゃ話せない。生徒会室に行きましょ」
♪
放課後、病欠した澪の家を唯と律は訪ねた。
もっとも澪の熱は昨日から全然下がっていなかったので、
ほとんどまともにしゃべることはできなかった。律としては昨日の
放課後に澪の家を訪問していなかったので、少しでも話をしたかったが、
それで風邪に苦しむ彼女を余計に苦しめるのは嫌だったので何とか我慢した。
澪へのお見舞いを早々に済ませ、唯と律は昨日と同じ曇り空の下を二人一緒に歩いていた。
普段通りであれば、唯と律は澪の家から
帰る時はそれぞれの家に真っ直ぐ帰宅するところであったが、今日は違っていた。
律はぼんやりと昨日の和と交わした会話の内容を反芻していた。
和『これは私の勝手な思い込みかもしれないっていうのをあらかじめ言っておくわ』
和はそう前置きをしてから話を始めた。
和『二週間くらい前……ちょうど澪が休んだ日あたりかしら。
……その日から唯の様子がおかしい気がするの。
はっきりとはわからないけど、一緒に登校する時とか妙に後ろを振り返ったりとかするし。
それに本人は自覚してないかもしれないけど、
日が経つごとに疲れた顔をしてることが増えてる気がするの。
なのに私が何を聞いても唯は何にもないよ、の一点張りだし。
あの娘が何かに悩んでるのをただ黙って見ているなんてできない。
律は何か唯のことで知らない?
何でもいいの。何か知ってるなら教えて』
和はそう捲し立てたが、律は首を振ることしかしなかった。
ただ、唯のことは気になった。
その日は唯には何も言わなかったが、
結局次の日になって部活が終わった後、二人だけの音楽室で思い切って尋ねてみた。
律『唯……最近何か悩んでない?』
唯『……どうしてそう思うの?』
律『見てればわかる』
真っ暗な音楽準備室に二人の声だけが、ひっそりと木霊した。実際、唯の表情が
自分の知っているものよりも暗く見えるのは明かりが灯ってないせいだけではあるまい。
唯『そっか。うん、そうだね。りっちゃんにだけは話そうかな……』
唯は訥々と語り出した。
――送られて来る嫌がらせの手紙以外にも、もう一つ澪を悩ませているものがあった。
正体不明の誰かによるストーキング行為。もっともこれは、
律と唯の二人と一緒に下校することによって回避することができていた。
だが――ストーキングされていたのは澪一人ではなかった。
唯もまた、その被害者の一人だった。
唯『澪ちゃんが誰かにつけられてるって聞いた時、わたし、驚いたんだ。
だって澪ちゃんまで、そんな目にあっているなんて思わなかったから』
酷く力の抜けた声が律の耳朶を撫でた。
続けて唯は律に言った。その声もやっぱり何かが欠けていた。
唯『今日だけでいいから……今日だけ、
澪ちゃんの家から帰る時、りっちゃんに着いてきてほしいな』
――そんな流れで、曇天の下を律は唯の隣で彼女に歩調を合わせて歩いていた。
唯「ねえ、りっちゃんは澪ちゃんのこと好き?」
不意に投げかけられた唯のその質問はいつか二人で、
澪の家へ向かっている時にも彼女が律にしたものだった。
あの時、律は頷くことができなかった。
でも今は、はっきりと頷くことができた。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 08:27:24.33 ID:3eI3yHbd0
つまんね
またもどってきてたのか・・・
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 08:49:52.95 ID:qRm/UPL4O
別にこのSSを擁護するわけじゃないけど、vipしかやる事ないニートやキチガイは死ねばいいと思うよ
vipなんて最初から終わってるのに乱立ごときで廃れるとか笑わせるな
唯「そっか……りっちゃんも澪ちゃんのことが大好きなんだね」
唯の呟きに混じって背後から足音が聞こえてきた。
唯「わたしも澪ちゃんのことが大好きだから
澪ちゃんにもわたしのことを好きでいてほしいんだ」
律「……そっか。私も澪には私のことを好きでいてほしい。
いや……私のことだけを好きでいてほしい」
喉が熱い何かを嚥下するかのように震える。気づけば律は宣言していた。
律「ううん……私のことだけを好きでいてほしい」
僅かに俯いた唯の表情に影が差した。
しかし、それは本当に一瞬のことだった。
今度は唯の耳にも届いたらしい。二人の背後で何かが音を立てて道路に落ちた。
唯が振り返ったのを見て、律も初めて自分の背後を振り返った。
傘が丁度曲がり角のあたりで横臥していた。持ち主らしき人間はいない。
律「誰かいるのか!?」
もちろん反応はなかった。あたりを十分に見回した後で、律は傘を回収した。
律「……!」
手に取ってみて、律はこの傘に見覚えのあることに気づく。いや、
見覚えがあるどころではない。今朝だってこの傘を持って登校した姿を見たではないか――
唯「りっちゃん、早く帰ろ」
まるで何もなかったかのように唯は踵を帰して、先へ進んでいた。律は慌てて後を追った。
五分も経たないうちに、唯の家の前まで来ていた。
唯「りっちゃん、ありがとう」
突然の唯の場違いな一言に律は思わず、眉を顰めた。
律「何言ってんだ……?」
唯「りっちゃんはわたしの相談に乗ってくれたでしょ?」
律「相談って言ったって、ほとんど何もしてないだろ」
唯「そんなことないよ。本当にありがとう」
なぜだろう。
この時の唯の表情を形容する言葉が律には出てこなかった。
悲しそうでもあり、嬉しそうでもあり。
或いは、何かに束縛されていながら、
何かから解放されたかのようでもあり。
もしくは、儚げでありながら、どこかしたたかな印象を与え。
――そんなチグハグな表情を浮かべた唯に律は、何か予感めいたものを感じずにはいられなかった。
唯「―― 」
白い息が言葉を紡いだ。
それが――律にとって最期に耳にした唯の言葉だった。
♪
次の日。
放課後、いつもなら律が向かうのは音楽準備室だったが、この日は違っていた。
律は唯の家へ向かっていた。得体の知れない何か……強いて言うなら嫌な予感に
攻め立てられるように足早に彼女のもとへと向かった。
きっかけは昼休み、唯から送られてきた一通のメールだった。
『放課後、家に急いで来てほしい』
酷く無愛想なメールだったが、どういうわけか
律は胸騒ぎにも似たものを感じて、終礼が終わると同時に学校を飛び出した。
知らず知らずのうちに走っていたせいか、
唯の家に着くのにそれほどの時間は要さなかった。
インターホンを押す。
反応はなかった。もう一度押してみる。反応無し。もう一度押す。押す。押す。押す――
律「どうしてメールで来いって言ったくせに、出てこないんだよっ……くそっ」
胸を焦がすような焦燥感が律から冷静な判断力を奪っていた。
普段なら絶対にしないが、不法侵入などに構うことなく律はドアに手をかける。
律「うそ……」
――ドアが開いた。
♪
――唯の部屋の扉は閉まっていた。
唯の名を呼んでみてもドアをノックしても返事はない。
まさか寝ているのか……?
焦燥にかられていた律はドアノブを捻ってドアを開いた。
――律の予想は半分は当たっていた。
確かに唯は寝ていた。
俯せで。
赤い夕日が照らす血溜まりに身を沈めて。
一ヶ月近く前、唯と澪がキスをしていたのを
目撃した時と同じように脳の芯が痺れて、思考が麻痺する。
鼻孔を刺激する未知の血の臭いが、鼻から喉を通って吐き気を催した。
律「ああああぁぁぁ……」
喉を食い破って悲鳴が這い出ようとしていた。
今まで自分の中で維持してきたものが、音をたてて崩れていくのがわかる。
――取り返しのつかないことが起きてしまった。
それでも、律は誰かに暗示でもかけられたかのように、部屋の机に眼をつけた。
机の上には手紙が置いてあった。
何であんなに荒れてるんだ
ずっと待ってたのに
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 10:35:00.05 ID:rZ86yzEv0
このssなら創作板でやるべき
便所の落書きでここまで熱く語れちゃうお前等素敵!!
精神年齢気になっちゃうね!!
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 10:56:16.33 ID:rZ86yzEv0
過去の地の文たっぷりのssをコピペしてスレスト勘違いさせて金使わせようぜ
製作板いったら書きこめなかったorz
今のうちに投下するべし
律はそれに引き付けられた。夢中になってその手紙の封を切る。
手紙に並べられた丁寧な文字に目を通す。
量は決して少なくなかったが、内容自体は簡単なものだった。
――これは遺書なのだろうか?
内容は軽音部を始めとする皆や両親への感謝と、死ぬことに対する謝罪だった。
遺書と言うには、酷い違和感があった。
どちらかと言えばそれは日記の何気ない一頁のようなそんな印象を律に与えた。
しかし、手紙の裏面には続きがあった。
そこには律に対する礼の文章と澪のことを頼むという旨の文章が綴られていた。
ただ、最後の一文だけはそれまでの文字と違い乱暴に書かれていた。
――もっと早く死ぬべきだった。
たった一文でありながら、あまりにも痛切なそれは
律の肺腑を深く深くえぐって、ゆっくりと墨汁のように染み込んでいった。
震える手で手紙を再び封の中へ入れ、もとあった位置にそれを置く。
そうして振り返って、律は壁に迸っている唯の血潮を初めて見た。
a
!vip2:stop:
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見習い戦士のふつうの攻撃
ログインしてないです。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/29(木) 12:29:45.49 ID:kiKVeetNO
♪
ゆったりと進んできた日々は、見る影も無く崩壊した。
凄惨たる日常だけが壁にこびりついた血のように残った。
様々なことが一度に起きすぎて、
一介の女子高生に過ぎない律はただひたすらに状況に流されることしかできなかった。
怒涛の一週間に律はただ翻弄され続けられた。
それから更に一週間。周りの状況が鎮静化し始め、
ようやく律は澪のもとへと足を運ぶ余裕を時間的にも精神的にも持つことができた。
律「澪、いるか?」
久々に訪れた澪の部屋の扉は閉ざされていた。
――澪は唯の死以来学校に来ていなかった。
一応ノックをして、それからドアを開ける。
sageようぜ
くたばれ
z
!vip2:stop:
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見習い戦士のふつうの攻撃
MP423使ってへっぽこの呪文を唱えた。
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ぼうそうがはじまった!! さらにこのスレは2回目のダメージを受けた (300/1000)
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見習い戦士のふつうの攻撃
MP377使ってへっぽこの呪文を唱えた。
★ミ (スレのダメージ 0)
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ぼうそうがはじまった!! さらにこのスレは2回目のダメージを受けた (300/1000)
a
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グランドプリーストのかなりの攻撃
MP421使ってへっぽこの呪文を唱えた。
★ミ (スレのダメージ 600)
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こうかは ばつぐんだ!! さらにこのスレは6回目のダメージを受けた (900/1000)
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追加攻撃!! さらにこのスレは8回目のダメージを受けた (1065/1000)
このスレは・・・
停止しました。