律『唯……最近何か悩んでない?』
唯『……どうしてそう思うの?』
律『見てればわかる』
真っ暗な音楽準備室に二人の声だけが、ひっそりと木霊した。実際、唯の表情が
自分の知っているものよりも暗く見えるのは明かりが灯ってないせいだけではあるまい。
唯『そっか。うん、そうだね。りっちゃんにだけは話そうかな……』
唯は訥々と語り出した。
――送られて来る嫌がらせの手紙以外にも、もう一つ澪を悩ませているものがあった。
正体不明の誰かによるストーキング行為。もっともこれは、
律と唯の二人と一緒に下校することによって回避することができていた。
だが――ストーキングされていたのは澪一人ではなかった。
唯もまた、その被害者の一人だった。