1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
老紳士は悔いる
ふとしたことから渡してしまった その未来の兵器
女子高生が持つものでは・・・
―――――――――――――――――――――
じめじめした梅雨が過ぎて あったかい初夏がやってきました
夏休みも近づき 心もぽかぽか浮かび上がるこの季節
私と軽音部のみんなは、学校の中庭に集合しています
「んで、・・なんだっけソレ?」
律っちゃんは私の持ってるストローを見つめて言う
この前道で助けたお爺さんに貰ったストロー
見た目じゃどこが凄いのかわかんないよね
「ぐんよーすいほーへきせいせーストロー・・だよ!」
「ぐ・・軍用・・?」
その単語を聞いた澪ちゃんは ブルブル震えてうずくまる
怖がり過ぎな気もするけど、子犬さんみたいで可愛いよぉ
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:23:11.27 ID:ApXBGwOv0
「これに息を吹き込むと、凄いおっきなシャボン玉が作れるんだよ!」
ストローを咥えたまま ぷーっと息を吐くと
先っぽに透明のシャボン玉・・みたいのが現れて
少しづつ大きくなっていく
「・・・・・・えー」
でも、それを見てるあずにゃんとりっちゃんの視線は・・
なんというか・・・ 馬鹿にしてる・・!?
「それだけですか・・?」
「ただのシャボン玉ストローじゃん」
違うよあずにゃん!これは凄いんだよ!
「そ、そうなのか・・・?」
あぁ 澪ちゃんまで安心しだしたよぉ・・
「唯ちゃん・・私、シャボン玉見るの初めてなの!凄いわ!」
「むぅ・・・」
シャボン玉はどんどん大きくなっていきます
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:25:17.68 ID:PtN12HOZO
律っちゃんのおしりにストローで息を吹き込みたい
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:29:21.42 ID:ApXBGwOv0
足元に広がる 踏み心地抜群の芝生には私達5人の影が写ってて
透けてるシャボン玉の影が 私の影の半分程の大きさになったところで吹くのをやめました
「おぉ・・これ かなりでかいな・・」
「ほら、スゴイでしょ?いくらでも大きくなるんだよ!」
えっへん でもまだスゴイとこがあるんだよねぇ
「このシャボン玉 浮かばないんですか?」
「地面に置いても割れてない・・」
ほぉ と関心してる澪ちゃんを尻目に
私はヘアピンを一つ外して シャボン玉に押し込みます
ヘアピンはシャボン玉の中心にふわふわと漂って
なんだかお魚みたいです
「って・・なんだよそれ!?」
みんなが驚いてる・・へっへへー
だから言ったじゃん 凄いシャボン玉だって
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:30:24.23 ID:OjCqzfhcO
第四段か
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:35:13.53 ID:ApXBGwOv0
―――――――――――――――――――
未来の戦争中 猛威を奮ったのは特殊水泡壁だった
一兵士でも容易に精製できるそれは まず兵器の運搬に役立った
大量の凶悪な無人兵器を水泡で包み
敵地へ放つ
水泡は 銃弾では決して割れない
レーダーにも写らず 夜間は視認も難しい
老紳士は悔いる
「あぁ恐ろしい・・あんな凶悪なものを持ったら、彼女たちは何を包むことやら・・」
――――――――――――――――――――――
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:38:50.36 ID:ApXBGwOv0
「これは色んな物をふわふわできるふわふわシャボン玉なのです!」
そして更に! 巨大シャボン玉を軽く下から突き上げると!
「浮いた・・・」
「へぇ・・・」
緑の香りを孕んだ
ふわふわな風に乗って ふわふわと飛んで行きました
「どう?どう?ねぇねぇ?」
ニヤニヤせずにはいられないんだよぉ
「不思議だけど、こんなものどうしたんだ?」
「えっへへー 内緒だよー」
「それより唯先輩、ヘアピンどうするんですか?」
「え」
しまった・・!何も考えずにヘアピン包んじゃったよぉ・・・
空を見ると 淡く光る太陽と 逞しそうな白い雲が ふわふわ浮いてて
遥か遠くに私のヘアピン入りシャボン玉も 呑気にふわふわしてるのでした・・・
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:44:10.59 ID:ApXBGwOv0
―――――――――――――――――
未来の戦争中 猛威を奮ったのは特殊水泡壁だった
一兵士でも容易に精製できるそれは まず歩兵の一掃に役立った
水泡は人間に触れると 全身の肉を破裂させ絶命させる
空一面を包む水泡は 兵士の畏怖の対象となった
老紳士は悔いる
「あぁ恐ろしい・・あんな空はもう見たくない・・」
―――――――――――――――――
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:46:57.46 ID:ApXBGwOv0
「これ遊べそうだな!」
律っちゃんがはしゃぎ始める
こういうのは三度のおやつよりも大好きなんだよね
「唯、ちょっと貸してくれないか?」
そんな律っちゃんを見て元気が出たのか
澪ちゃんは楽しそうにストローを吹き始めた
ほんの少し膨らませて ぽとりと掌にシャボン玉を落としたよ
「これでお花を入れてさ・・」
「あら素敵・・!」
風に乗って 小さなシャボンが飛んでいく
澪ちゃんとムギちゃんが 他にもいくつか飛ばしてみると
まるでお空に 花畑ができたみたい
「メルヘンだなー・・」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:51:59.83 ID:ApXBGwOv0
でも律っちゃんはそんな雰囲気が苦手みたいで
1つ提案をしたんだ
「これって超デッカイのつくって、人が入ったりできないかな?」
「あ、危なくないか・・?」
澪ちゃんが不安そうに言う
いつも元気な律っちゃんに励まされてるけど 心配もいっぱいしてるんだよね
でもでも 大丈夫なんだよ
「あ、これは生き物は入れないって言ってたよぉ」
「マジで・・?」
少し落ち込む律っちゃんと 少しホッとした澪ちゃん
おもろい・・
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 22:58:38.89 ID:ApXBGwOv0
―――――――――――――――――――
未来の戦争中 猛威を奮ったのは特殊水泡壁だった
一兵士でも容易に精製できるそれは まず超質量兵器として利用された
水泡は内側からの圧力には弱い
一定時間触れられなければ 内部の爆弾が炸裂する
水泡は 大きささえ合えば どんな質量の物体でも内包し浮遊する
時には山のような巨岩も浮遊していた
老紳士は悔いる
「あぁ恐ろしい・・・悪魔の水泡に何を詰め込むのだろうか・・」
―――――――――――――――――――
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:02:57.45 ID:ApXBGwOv0
「ま、いっか。私も何か入れてみよーっと」
何回か試してみて
1つのシャボンに 超いっぱい物が入ることがわかると
律っちゃんは鞄からいろんな物を取り出した
使いかけのリップ 食べかけのお菓子 飲みかけのペットボトル・・
「何してるんですか?」
「いやー 福袋的な・・」
「使いかけの物ばっかりじゃないですか・・」
というか入れ過ぎだよ律っちゃん・・!
なんだか不気味な福袋シャボンはふわふわと浮かんで行き
やがて見えなくなりました
「あー!?」
「どしたの律っちゃん!?」
「財布も入れちゃった・・・」
御愁傷様・・・
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:05:09.00 ID:ApXBGwOv0
律っちゃんはハッとしたように言う
「あれって地面に置いても割れないけど、ちゃんと割れるのかな」
「一回浮かんだあとは 生き物が触ると割れるようになるんだってー」
それ以外じゃ絶対割れないとかなんとか 凄いですなー
流石スーパーシャボン玉っ
その後もめいっぱい遊んで
お空が私達のプリクラだらけになったり
5人全員入ってしまいそうな大きなシャボンを作ったり
遊んで遊んで遊びました
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:14:07.04 ID:ApXBGwOv0
「いやー楽しかったなー」
「結構いろんなことやりましたね」
「あ!」
私がシャボンを膨らませていると ムギちゃんが突然叫んだ
「これって、生き物じゃなければ なんでも入るのよね・・?」
―――――――――――――――――――
未来の戦争中 猛威を奮ったのは特殊水泡壁だった
一兵士でも容易に精製できるそれは まず化学兵器として利用された
凶悪な無人兵器と共に 危険な毒ガスを詰め込み
有無を言わさず一気に敵地を制圧する
「あぁ恐ろしい・・・どんな毒ガスを詰め込むのだろう・・・」
―――――――――――――――――――
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:17:57.67 ID:PYSHUQw+O
ふむ
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:22:24.00 ID:ApXBGwOv0
老紳士はタイムマシンに乗り 唯達の時代へ戻る
やはりあのような戦争の遺物は 礼に困っても渡すべきではなかったのだ
取り返さねば
そう思って学校へ向かっていると 老紳士は空に無数の水泡を見た
戦争の恐怖が思い出される
しかし 身構えたその時
中に見えたのは小さなコスモス
老紳士は拍子抜けする
「・・・?」
しかし空を包む花畑は
何でも揃う未来でも見たことの無い程 美しかった
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:28:11.16 ID:ApXBGwOv0
空を眺めながら その華やかさに感心しながらも
老紳士は警戒を怠ることなく道を行く
触れると命はないのだ
その時 前方で遊んでいる子供たちを見付けた
空の水泡に興味を示しているようだ
老紳士の背筋が凍る
それに触れてはいけない
制止しようと近づく間もなく 子供は水泡に飛び付いた
思わず目を背けたが 何の悲鳴も音も無い
何かおかしい
「・・・・?」
子供は笑いながら中のコスモスを取り出している
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:30:47.56 ID:s14hvmsIO
そろそろ
律っちゃんってなんだよ!りっちゃんだろーが!にわか氏ね!
とか言い出す凸厨が出る
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:35:35.53 ID:ApXBGwOv0
どうやら彼女達の肺活量では 協力な水泡を作るに至らなかったようだ
老紳士は拍子抜けする
しかし水泡で遊ぶ子供の顔は
何でも揃う未来でも見たことの無い程 幸せそうだった
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:37:34.35 ID:ApXBGwOv0
またしばらく歩いていると
老紳士は 自分が影に包まれるのがわかった
頭上に何か 巨大な物が浮遊している
割れたらそれまで
基地1つ壊滅させることだってあり得る 強力な質量兵器が
しかし おそるおそる上を見ると
ガラクタが詰まった水泡が浮かんでいるだけだった
老紳士は拍子抜けする
「・・・・?」
しかし水泡に詰まったガラクタの数々は
何でも揃う未来でも見たことの無い程 楽しそうだった
>>18 事実じゃん。
100l原作読んでないだろうし、けいおんで立てれば伸びると思ったんだろ
文章くどいし死ねばいいのに
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:45:37.69 ID:ApXBGwOv0
その後も 幾度となく水泡を見ることになったが
何一つ悲劇は起こらない
未来において 水泡を見ることは死を意味している
自身の抱いてきた不安と恐怖はなんだったのかと
呆れながら歩いていると
今度は何も入っていない水泡が飛んできた
ひょっとしたら 目に見えない危険な物質が入っているかもしれない
割れたら自分だけでなく、周りの人々もただでは済まない
老紳士は袋を取り出し それに水泡を誘導する
こうすれば安全に対処できる
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:45:47.98 ID:nFnK3aIoO
しえん
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:47:17.34 ID:gZHxR1VmO
しえん
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:49:36.82 ID:GnCJ8dduO
おお、老紳士シリーズか
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/18(日) 23:55:59.89 ID:ApXBGwOv0
空気より軽いこの物体は 時折予想だにしない動きを見せる
それがある種の強みであり、脅威の1つでもあった
風が吹き
軌道を変えた水泡が 老紳士の腕に触れる
「・・・!」
水泡が割れ 中から見えない何かが跳び出す
心臓がひっくり返りそうな恐怖に襲われたが
身体に大きな異常は無い
あるとすれば
耳に残るわずかな音だけだ
小さな音は次第に大きくなって 幾つも重なりながら
1つの曲になった
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:04:40.91 ID:m9RHMbvWO
おおっ
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:05:32.97 ID:Wic3szf+0
「・・・・・」
あぁそうか
水泡は一応 一応だが メッセージの伝達にも利用されていたのだ
占領が完了しただの 戦術を変えろだの
そんな指令が飛ぶとこはあったが
そんなもの無線ですればいいということで 音を入れるものは殆どいなかった
しかし水泡に詰まったその演奏は
何でも揃う未来でも聴いたことの無い程 素晴らしいものだ
老紳士は道を引き返す
酷く哀しくなったのだ
兵器を扱ってばかりの時代に生まれた自分が 何と哀れなことか
何をするにも 争いのことしか考えていない
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:09:08.40 ID:scm4KIgq0
完結編な雰囲気
つかここまでけいおん関係ないssもどうかと
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:15:51.89 ID:Wic3szf+0
未来へ変える直前に 老紳士はもう一度空を見た
やたら大きい水泡の中に
小さなヘアピンが入っている
無害だろうし 流しておこう
――――――――――――――――
財布を飛ばした律っちゃんをみんな慰める帰り道
今日したことを話し合った
「あのストロー、結局何処が軍用だったのかな・・?」
澪ちゃんは首を傾げる
「うーん・・ただの遊ぶ道具にしか思えなかったけど・・」
「むしろどうやったら軍用にできるのか さっぱりわからないよねぇ」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:27:17.96 ID:Wic3szf+0
茜色の空に
どこかで見たようなでっかいシャボン玉が浮いている
「あー!」
間違い無い 私のヘアピン・・!
「あーホントだ・・取りに行くか?」
「ぅーん・・ いいよ・・あのままで」
律っちゃんは不思議そうな顔で 私を見てる
でもいいんだ
あのままで
私のヘアピン入れたまま飛ばしておけば
きっとこのシャボン玉は
いつまでも シャボン玉のままでいられるんだ
終わり
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:29:48.81 ID:Wic3szf+0
いつもみたいに ごちゃごちゃしないのにしたかった
あと
原作は読んでるよ
和が一番
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:29:56.01 ID:m9RHMbvWO
乙
ほんわかした
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 00:55:11.65 ID:BzgT+mBDO
乙
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 01:32:28.12 ID:396vdln1O
乙
悲しくなるな
乙
ちょっとだけ星新一とかの短編SFのにほひがした
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 03:34:50.42 ID:2Dl2NlJf0
乙
最初怖かったけど最後は癒されたわ
最後にさっき某スレで律っちゃん使う奴はにわか(キリッ
とか言っちゃったけど撤回する
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙!
要するにモノは使いようって事か
勉強になった