1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
4月中旬。
岬ちゃんの自殺騒動と、俺とNHKとの戦いから一ヶ月が経った。
岬ちゃんは俺との勉強会のかいもあってか、大検をパスし、さらには俺が中退した大学に合格した。
彼女もいまや押しも押されぬ大学生である。
俺が合格した大学だから偏差値はたかがしれているとはいえ、それを差し引いてもたいしたものだった。
自殺騒動でおじさんに迷惑をかけたことをバネに、必死に頑張った成果だろう
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 00:59:01.35 ID:FmAIVVHx0
期待
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:00:57.24 ID:y43QGfHOO
大学に入学して2週間ほどが経つ。
最近の岬ちゃんは大学の友人のことをよく話す。
頑張っているのだろう。
俺のほうは特に変わることもなく、ダメだダメだと言いながらも警備のアルバイトをなんとか続けている。
一つ変わったことといえば、岬ちゃんとの勉強会が、「就職セミナー」に名前を変えたことくらいだ。
そこで俺は以前のカウンセリングと同じように、ちょっとズレた岬ちゃんの講義を拝聴している。
この講義が一体どの程度役に立つかはわからないが、俺のために頑張ろうとしてくれる岬ちゃんを止める理由なんて無い。
ともかく、一ヶ月前のあの事件が嘘みたいに穏やかな毎日だった。
つC
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:03:37.12 ID:y43QGfHOO
岬「おそーい。ご飯を食べたらすぐに・・・。」
佐藤「だから俺は今食べたばっかなの。」
この日も俺はいつものようにアルバイトを終え、いつものように公園にやってきた。
しかし、いつものようにベンチに座る岬ちゃんは、こころなしかいつもより元気が無いように見える。
大学に合格してからはずっと上機嫌な様子だったはずなんだけど・・・。
・・・もしかしてあの日かな?なんておっさんみたいな想像をしながらベンチに座る俺に彼女は言った。
岬「今日は『友人の作り方』について講義をします。」
なんだかいつもと少し毛色が違う内容だ。
佐藤「なんだか就職とは関係ない気がするんだけど。」
岬「佐藤君は元引きこもりだけあってコミュニケーションがあまり上手ではないでしょう?
このままでは実際に就職できたとしても人間関係に悩んですぐに辞めてしまうことになってしまいます。
だから今日は『友人の作り方』についてです。」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:05:18.05 ID:XttLTS9QO
NHKは珍しいな
俺得
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:05:57.78 ID:y43QGfHOO
決め付けたような口調に俺は少しむっとした。
いくらそれが事実とはいえ、何か言い返しておかないことには年上のプライドが許さなかった。
佐藤「そんなことあるわけないだろ!俺は中学時代は『悪そうな奴とはだいたい友達な佐藤君』として有名だったんだぞ!携帯のアドレス帳には入りきらなくてな・・・」
岬「・・・職場の人と今日は何を話したの?」
佐藤「・・・き、近年の地球温暖化と季節の変遷との間における整合性について、とか?」
今日の会話らしい会話といえば、『温暖化、温暖化っていう割には春になっても寒いですねー』ということだけであった。
岬「・・・。」
少し困ったような彼女の視線が痛い・・・。
岬「とにかく、今日はこのテーマについて勉強します。良いですね?」
『秘密ノート』を取り出しながらそう言う彼女に対して、俺は拒否権を持ち合わせていなかった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:07:45.51 ID:onwVMYsq0
岬ちゃんに友達ができてしまったのか
なんか遠くへ行ってしまった感がある
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:08:28.68 ID:/P2a69XKP
滝本仕事しろ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:08:36.06 ID:y43QGfHOO
岬「そもそも友人とは一体何なのでしょうか?まずは昔の偉い人たちの言葉を借りて考えてみましょう。」
なんだかデジャブである。
岬「『空気と光と友人の愛。これだけ残っていれば、気を落とすことはない。』
これはゲーテさんの言葉です。生きるのに不可欠な物と比べるくらいだから、
よっぽど大事だったんだろうね。」
なるほど。さすがは著名な詩人だ。立派なことを言う。
岬「次は孟子さんです。『君子の交わりは淡きこと水の若く・・・』、
水が若いってどういうこと?新鮮てことかな?」
佐藤「若い?・・・もしかして、『ごとく』じゃないのか?」
岬「・・・あぁ、そっか!そうだよね、水に年があるわけないよね。」
岬ちゃんは謎が解けてうれしそうだ。これもなんだかデジャブである。
裏口入学っていくら積んだらできるものなんだろうか?
今度岬ちゃんのおじさんに聞いてみよう。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:10:20.53 ID:73CQvPz0O
今ちょうどNHKのアニメ見てて8話終わったわ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:10:46.44 ID:qeNgR+g00
佐藤君!
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:10:58.90 ID:y43QGfHOO
岬「・・・コ、コホン。と、とにかく!いくら友人とは言っても、
あまりベタベタしすぎない方が良いですよ、ってことみたいです。参考になりましたね。」
岬「では次です。『俺のものはお前のもの、お前のものは俺のもの』。さて、これは誰の言葉でしょうか?」
今度はクイズか。これは簡単だ。
佐藤「有名なガキ大将の言葉じゃないのか?」
俺がそう言うと、岬ちゃんはいたずらがうまくいった子供のような表情をした。
岬「ぶっぶ〜。はずれです。正解はシェイクスピアでした。」
佐藤「え!嘘だろ!?」
岬「本当です。ちゃんとこの本に書いてありました。」
・・・そう言って本の表紙を示す彼女の自慢げな顔が少し腹立たしい。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:11:26.82 ID:WujXLmH+O
おらワクワクしてきたぞ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:11:51.75 ID:6aUO/AcaO
これは珍しい
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:12:55.37 ID:W4Db98QVO
期待期待期待期待期待期待期待期待
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:14:49.30 ID:y43QGfHOO
俺は大人をなめた娘っ子を少し痛めつけてやることにした。
佐藤「ふーん。そうなんだ。
・・・ところで岬ちゃんは友人について色々知識があるみたいだけど、
岬ちゃんの友達は本当の友達なのかなー?というか、そもそも本当に友達がいるのかな?」
前々から思っていたことではあった。
いくらか立ち直ってきたとはいえ、つい最近までお世辞にも普通とは言えない行動を取っていた彼女である。
そう簡単に周りに合わせることができるようになるものなのだろうか。
とは言っても、彼女は楽しそうに大学生活の話をしてくれていたから、
そんな心配も俺の杞憂に過ぎなかったんだと思っていた。
だからこの質問は彼女をちょっと動揺させるだけで、すぐに「冗談だ」と言って終わらせるつもりだった。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:18:04.84 ID:y43QGfHOO
そんな軽い気持ちだったから、彼女が顔を伏せて押し黙ってしまったのを見て、俺はオロオロするしかなかった。
どうやら大きな失敗をしてしまったようである。
岬「・・・。」
な、何か気の利いたことを言え、俺!
佐藤「・・・ど、どうしたのかな、岬ちゃん?あ、もしかしてお腹痛い?
そういえばなんか今日は元気なかったしねー。
ひょっとして便秘かな?いやー、実は最近俺も便秘気味なんだよー。
やっぱりコンビニ弁当とか外食ばっかりじゃ食物繊維取れないよねー。
岬ちゃんは食物繊維ちゃんと取ってる?キャベツが繊維豊富らしいよ。
ところでなんでトンカツには必ずキャベツがついてくるんだろうね?不思議だね?」
・・・さすがは元引きこもりだった。よく考えたらそんな気の利いたセリフをかけるような相手さえろくにいなかった俺が、
こんな時だけ都合よく良いカッコができるわけがない。
岬ちゃんは依然として顔を伏せたままだった。その表情はこちらからは見えない。
もうとりあえず黙っておこう。
これ以上口を開いても、さらに状況が悪化してしまうことしか想像できない。
こんなことだからいまだに同じ職場の同僚と天気の話しかできないんだろうな・・・。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:21:44.63 ID:Rpku/NNm0
これは期待
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:22:29.23 ID:y43QGfHOO
お互いが押し黙って数分後、二人の間の停滞した空気は、
岬ちゃんの、カバンの中の何かを探す動作によって破られた。
彼女は、講義に関する本が何冊か入ったカバンの中から、一枚の紙を差し出した。
気まずい沈黙が破られたことに安堵しつつ、俺はその紙に目を通した。
この内容には見覚えがあった。これはNHK(日本人質交換会)の契約書である。
岬ちゃんは以前、この契約書の内容を、『あんたが死ぬと俺も死ぬぞコラ!』ということだと説明してくれた。
要するに俺が死ねば岬ちゃんも死ぬ、その逆もまたしかり。
お互いの命が、お互いの命を粗末にさせないための抑止力になっているのである。
しかし、契約書の内容は理解できても、このタイミングでこの紙を出してくる彼女の真意はさっぱりだ。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:25:07.27 ID:y43QGfHOO
岬「・・・この契約書に、あなたの名前がはっきりと書いてあるのが見えますか?」
ずっとだんまりをきめこんでいた彼女はようやく、しかし弱弱しい、小さな声で言った。
佐藤「あ、あぁ・・・。」
岬「・・・シェイクスピア。」
佐藤「え?」
岬「だからシェイクスピア!さっき話したでしょ?」
佐藤「あ、ああそういえば。たしか、お前のものは俺のもの、俺のものはお前のもの、だったっけ?
それがどうかしたのか?」
・・・彼女は本当に何を言うつもりなんだろうか?
岬「だから!それは人質交換会と一緒なの!」
岬「私の命は佐藤君の命でもあって、佐藤君の命は私の命でもあるってことなの!」
いわんとすることは何とか理解できた。それは理解できたものの、肝心の話の焦点が見えてこない。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:29:26.52 ID:y43QGfHOO
佐藤「で、つまり俺にどうしろと?」
少しイライラしてきた俺はぶっきらぼうに言った。
岬「つまり私と佐藤君は立派な、・・・友達、
そう、少なくとも友達であることは間違いないということができるでしょう。」
岬「さらに言えば、命まで差し出しているんだから友達以上の、もっとすごい仲だと言うことができます。
わかりますか?」
彼女は続けた。
岬「友人というのは相手が困っているときはお互い助け合うものです。友達以上ならばなおさらのことです。」
・・・なるほど。つまりは俺に何か手伝って欲しいことがあるらしかった。
それにしてもひどく持って回った言い方をする女である。俺はため息を一つ付いた。
佐藤「・・・わかったよ。手伝えば良いんだろ。でも何もそんな回りくどい言い方しなくても良いだろうに。」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:32:51.99 ID:y43QGfHOO
岬ちゃんは俺の返答に少しほっとした、しかし言いにくそうな様子で答えた。
岬「だって佐藤君に頼みごとなんて、ちょっと屈辱的なんだもん・・・。」
佐藤「どういう意味だよ!」
岬「佐藤君は大学中退。現役大学生の私と比べたらどっちが偉いかわかるでしょ?」
彼女は首を少し傾けて、笑みを浮かべながらそう言った。
俺が以前勉強会で言ったセリフをそのまま返されてしまった。言い返せない自分がなんとももどかしい。
岬ちゃんに主導権を握られっぱなしであることに気付いた俺は、なんとか自分のペースにするために話を戻そうとする。
佐藤「と、とにかくその話は置いといて!岬ちゃんの困ってることって、つまるところ人間関係?」
俺のその言葉に、岬ちゃんは表情をさっと戻し、さっきまでと同じようにうつむいてしまった。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:36:06.28 ID:y43QGfHOO
岬「・・・実は、大学で友達がうまくできなくて。」
岬ちゃんはこれもまたさきほどと同じように、小さな声でささやくように言った。
佐藤「・・・大学の友達の話をよく俺にしてくれてたじゃないか。」
岬「・・・あれは嘘。」
その気持ちは俺にもよく理解できた。俺も学生時代、親に心配をかけまいとして、
いもしない友人の話をよく食卓で披露したものである。
俺は、不用意な言葉で彼女を傷つけてしまった無神経さ、
そして彼女のSOSに気付いてやれなかった自分に腹が立った。
佐藤「俺は・・・、どうすれば良い?」
なんとか手助けをしてやりたいと思った。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:38:25.52 ID:y43QGfHOO
俺の言葉に岬ちゃんは表情を少し明るくしながら、遠慮がちに言った。
岬「一緒に、大学に来て欲しいの。」
佐藤「・・・は?」
岬「えっと・・・、だからね、明日私と一緒に大学に来て欲しいの。」
彼女は一体何を言っているのだろうか。
俺が、岬ちゃんと、彼女の通う大学に一緒に行く?
その大学を除籍された俺が?
佐藤「じ、冗談じゃない!俺を退学にした大学に行くなんて、
なんというか・・・、そ、そうだ、プライドが許さない!」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:40:04.00 ID:/luGksjE0
滝本さんVIPで何やってんすか^^;
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:40:21.31 ID:y43QGfHOO
・・・嘘である。
大学が俺を除籍したのは、俺が出席しなかったからで、
つまり俺が引きこもってしまったことが原因だ。
大学側は全く悪くないし、俺も自業自得だとすでに納得している。
実のところを言うと、大学なんていう一箇所に人が集まるところに行くのが怖いだけだった。
俺はいまだに人ごみでは挙動不審になってしまうことを自覚していた。
アルバイトをしていく中で徐々にそれも緩和されてきてはいたが、
いきなりそんな場所に放り込まれたら一体どうなってしまうのか想像もしたくない。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:40:46.72 ID:WujXLmH+O
なんかニヤニヤしてきた
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:44:31.73 ID:y43QGfHOO
佐藤「そもそも何で俺が一緒に大学に行かなくちゃいけないんだよ!」
俺はとにかく必死だった。なんとしても人ごみは避けたい。
岬ちゃんは俺から視線をゆっくりと外しながら言った。
岬「私がみんなと仲良くできないのは、私がみんなと普通にお話できないからだと思う。もちろん悪い神様のせいでもあるんだけど・・・。
でも佐藤君が近くにいてくれたら、きっと落ち着いて、みんなとお話ができると思うの。」
佐藤「なんでだよ!俺がその場にいる必要あるのかよ!」
岬「それは、えっと・・・、自分に自信をつけるためのテクニックの応用編です。」
またも彼女の言葉は歯切れが悪い。
佐藤「応用編?」
岬「そうです。自分に自信が無いなら相手を駄目人間だと思い込めば良い、というテクニックは前に話したよね。
でも、どうしても相手を駄目人間だと思えないときだってあります・・・。
そんなときこそ、発想のコペルニクス的大転換です!会話の相手を駄目人間だと思えないときは、
その人とは別の人を駄目人間だと思い込めば良いんです!
そうすればきっと落ち着きます。和みます。」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:47:02.05 ID:y43QGfHOO
佐藤「・・・それはつまり、俺をその駄目人間役にしようってことか?」
岬「・・・駄目?」
佐藤「駄目に決まってるだろうが!」
一体だれが好き好んで馬鹿にされるために大学くんだりまで行くだろうか。
岬「さっきは手伝ってくれるって言ったのに・・・。一度言ったことをすぐに変えるなんてずるいよ。
」
・・・それを言われると痛いものがある。俺は仕方なく本音を話すことにした。
佐藤「さっきは中退のプライドがどうとか見栄を張ったけどな、実を言うと、俺、まだ人ごみに慣れてないんだ。
だからさ、大学なんて人が多いところに行ったらどうなっちゃうか・・・。」
漫画しか読んでないんだけど、
佐藤がイケメンなんだよね。お洒落だし
俺も大学1年目サボって6単位
2年で72単位取って留年回避した
友達いないと辛い
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:49:20.84 ID:y43QGfHOO
その言葉に彼女は一瞬考えるそぶりをした後、
なにかを思いついたような表情になった。
岬「それならちょうど良いよ。佐藤君は人ごみに慣れる練習。私は普通に人と話す練習。
ね、お互い平等でしょ?ギブアンドテイクだよ!」
佐藤「いや、でも俺本当にどうなっちゃうか不安で・・・」
岬「佐藤君ならきっと大丈夫!引きこもりだって克服できたでしょ?」
佐藤「そ、それはそうだけど・・・。」
俺としてはもっと段階を踏んで成長したい。
岬「それに私がついてるよ。つらくなったらすぐに帰っても良いから。ね?」
岬ちゃんは優しく言った。
33 :
さとうきび列車 ◆xvndEVA/8E :2010/04/12(月) 01:51:32.18 ID:oe/8W7GhP
ばっちり牧野ボイスで脳内再生されます♪
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:52:18.91 ID:y43QGfHOO
佐藤「で、でも・・・。」
『でも』、何だ?
俺はその後に何を続けるんだ?
俺はできる限り頑張るって引きこもりを脱出するとき決めたじゃないか。
俺は今のままで満足なのか?
それに岬ちゃんだってここまで優しく言ってくれてるんだぞ。
ここで行かなかったら男じゃない!!
ここで大学に行けたなら、俺は本当の意味で引きこもり卒業なんだ!
俺はいまだに何も成し遂げていないにもかかわらず、
想像上のみの達成感と、おかしな高揚感で満たされていた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:54:18.25 ID:y43QGfHOO
佐藤「わかった!俺行くよ!岬ちゃんと一緒に大学に行く!!」
岬「本当?!」
岬ちゃんは顔を輝かせた。
ああ、そんなに俺が社会復帰していく様がうれしいのか。かわいいやつめ。
佐藤「もちろんだ。俺は一度言った事は曲げない男だ!」
そして俺たちは翌日の集合時間を確認し、岬ちゃんは『来ないと罰金百万円!』と言い残してうれしそうに帰って行った。
俺がおかしなテンションから覚めて、籍も置いていない大学に馬鹿にされるために行くのだということを思い出したのは、
眠りにつこうとして布団の中に入った後のことであった。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 01:57:39.91 ID:y43QGfHOO
チャーチャーチャーチャラッチャーチャラチャラッチャン♪
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:05:00.81 ID:qKfsBtnqO
支援
続きまだあ?
支援
CM中
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:08:46.94 ID:UfY/BECdO
寝落ちしてもいいけど、ちゃんと最後まで読みたいな
けいおんとか超電磁砲とかばっかだとつまらん
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:09:06.19 ID:r9nAl9nZO
頑張れ
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:11:55.11 ID:7PLk51CMO
そういや滝本って谷川以上に仕事してない気がする
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:12:35.85 ID:FmAIVVHx0
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V{..:.::::::::::::: i:::::::::::::::::.:.:.:.', .:|:::::::::イ
从..:..::::::::::八:::::::::::::::::.:.:.:.'. ` ‐- .. _ /.:::!:::/ハ
V从{Vlハヽ:::::::::::::.:.: トヽ /ハjノノ∨ j/レ′
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/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` ヽ、
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:21:08.82 ID:y43QGfHOO
申し訳ございません。
SSなんて書かせてもらったのはこれが初めてだったので、
皆さんの反応が見たくて書き溜めも中途半端なままスレを立ててしまいました。
今書き溜め中ですが、話の筋はできているので、内容はともかく、明日には続きが書けると思います。
もし明日スレが落ちてたら、すでに結構満足してるんであきらめます。
中途半端なことをしてすみません。
46 :
さとうきび列車 ◆xvndEVA/8E :2010/04/12(月) 02:21:55.65 ID:oe/8W7GhP
ほ
>>45 楽しめたし、品質にも満足した。
気が向いたら頼むわ。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 02:42:38.61 ID:ODLf4qal0
ここ最近で一番面白いSSスレだわ。
期待age
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 03:11:27.98 ID:KzosTCeTO
保
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 04:10:16.55 ID:qKfsBtnqO
ほし
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 06:28:01.98 ID:qKfsBtnqO
あ
内容はいいのに作者気取り過ぎて読む気失せるわ
書かせていただくって何だよ
テメーが書きたいから書く。それだけだろうが
それに内容がいいって評価されてるのは
この作品のおかげだぞ
お前自体は特に文才もない普通だよ
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 08:12:48.87 ID:zZABv605O
ほ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 09:05:31.31 ID:KzosTCeTO
し
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 09:32:40.64 ID:uE+QZW7EO
貴重だな保守
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:08:09.16 ID:wPvib0lhO
ぎゆ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 10:15:53.54 ID:dmBc5f++0
苗字が佐藤だと感情移入できるか?
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 11:31:43.33 ID:Uf0zmYBUO
ほ
62 :
さとうきび列車 ◆xvndEVA/8E :2010/04/12(月) 11:35:27.03 ID:oe/8W7GhP
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 12:56:59.70 ID:NApoE7qBO
☆
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 13:21:20.13 ID:SnZkMNm30
後で読むから残しておいてくれ
ほしゅ
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 14:25:41.86 ID:M+KlXKX3O
ほ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:05:01.73 ID:oKdgBuc8O
しゅ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 15:54:42.24 ID:6w/4wKua0
期待してる
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 16:17:14.62 ID:NgbXKagg0
まだー?
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 16:58:50.70 ID:y43QGfHOO
翌日。俺はひどく憂鬱な気分で朝を迎えた。いつもならば騒がしい目覚まし時計のアラームに、
「ダメだ、ダメだ、ダメだ・・・」と言いながら、布団の中を転げまわる程度の精神的な余裕があった。
しかし今日はとてもじゃないがそんな気分にはなれなかった。
「これから人ごみに行かなければならない」という事実は、俺の食欲までも奪ってしまったようである。
俺はため息を一つついて、皿の上に置かれた手付かずのトーストをそのままに、牛乳を一気飲みし、身支度を整えた。
最近はあまり使うことの無かった伊達メガネと帽子を目深に被り、何度か深呼吸した後、意を決して、なぜかいつもより重く感じるドアを開いた。
集合場所であるいつもの公園に着くと、すでに岬ちゃんはいつものベンチに座って俺を待っていた。
岬「もしかしたら来てくれないかと思った。」
俺は心中を悟られまいと必死に虚勢を張った。
佐藤「・・・罰金百万円はいやだからな。」
岬「じゃあ、行こっか。」
佐藤「・・・ああ。」
俺たちは駅に向かい、電車に乗り、大学へ向かった。道中、俺たちは無言だった。
俺にとってだけでなく、岬ちゃんにとっても、
今日は勝負をかけた重要な日であるようだった。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:00:18.12 ID:Rpku/NNm0
きた!
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:01:30.92 ID:y43QGfHOO
ふと道を歩く人の年齢層が自分と同年代であることが増えてきたことに気付いた。
いつの間にか目的地に到着していたようだ。
緊張のあまり周りが全く見えていなかったらしい。俺の目の前には大学名の書かれた門があった。
岬ちゃんは足を止めて心の準備をしているようだ。
校門の奥を見るとなんだか見覚えのある光景が広がっている。
友人と、あるいは恋人と談笑しながら歩く者、ベンチに座って何かの本を読んでいる者、なにやらビラのようなものを配っている者・・・。
行動はそれぞれ異なっていたが、それぞれの青春を満喫しているようだ。
なんだか活気に満ちている。なにやらとても楽しそうだ。
まだまだこの時期は大学に慣れていない新入生が落ち着かない様子で登校している。なんともほほえましい気分だ。
俺にもあんな頃があったことを思い出す。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:03:48.85 ID:y43QGfHOO
・・・なんだか緊張を通り越して楽しくなってきた。
人間、緊張しすぎるとハイになるとはよく言われることだが、
こんな青春真っ盛りな光景を見ていると、俺はまるで自分が大学生に戻ったかのような高揚した気分になっていた。
この大学を除籍されたなんていういやな思い出はどこへやらである。
佐藤「・・・岬ちゃん!こんなところでボーッとしてないで早く講義に行こうじゃないか!」
岬「えっ?ど、どうしたの急に?」
岬ちゃんは俺の態度が急変したことに戸惑っているようだ。無理もない。だが今の俺の気分は花の大学生である。
佐藤「青春は待ってはくれないぜ!大学生活は短いんだからな!」
岬「えっ、えっ。ちょ、ちょっと待っ・・。」
俺は何か言おうとする岬ちゃんの手を取って勢いよく校門をくぐった。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:05:35.58 ID:y43QGfHOO
岬ちゃんは心理学部である。なにやら自分の経験から思うところがあったらしい。
しかし今の俺にそんなことは関係なかった。
俺は大学の全体図をおぼろげな記憶の奥底から引っ張り出し、それを頼りに早足で心理学部棟に向かった。
俺に手を握られたままの岬ちゃんは俺について来るので必死だ。何かを俺に伝えようとする彼女の声も、今の俺の耳には届かない。
そんなおかしな二人組みを見る周りの視線が痛いが、そんなことも気にならない。
なぜなら今の俺はフリーターでも、ましてや引きこもりでもない。立派な大学生なのだ。何をおびえる必要があるのだろうか!
今朝までの俺はどうかしていた。今の俺が本当のおれなんだ!ああ、世界はなんて美しいんだ!
岬「佐藤君!」
なんだい、岬ちゃん?今俺は生の喜びをかみ締めている最中なんだ。邪魔しないでくれないかな。
岬「・・・私たちが受ける講義はこの棟じゃないの。」
佐藤「・・・え?」
彼女は言う。
岬「だから、次の講義は一般教養だから教養棟で開かれるの。ここは心理学部棟で、ゼミとかの専門の講義しか開かれないんだよ。」
今までの高揚感がサッと音を立ててどこかへ行ってしまった気がした。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:09:19.78 ID:zZABv605O
来てた!これでかつる!
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:09:21.91 ID:Yz4+wPsw0
支援
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:09:57.97 ID:y43QGfHOO
俺たちは教養棟のある教室の扉の前にいた。どうやらここで目的の講義が開かれるらしい。
同じ講義を受けるらしき学生が、扉の前に立ったままの俺たちを少し怪訝そうなまなざしで眺めている。
出鼻をくじかれて再び緊張感でいっぱいな俺は、「あっ」だか「うぇっ」だかいう間抜けな声を出して扉の前から体を除けた。
学生は俺をちらっと見た後、教室に入って行った。
こんな調子でこれからの講義は大丈夫なんだろうか。・・・そういえばこれから何の講義なのか聞いていたっけ?
佐藤「そ、それで、これから何の講義が始まるの?」
そう言う俺に向かって、岬ちゃんはさきほどまでの真剣な表情を崩し、眉をひそめて言った。
岬「英語だよ。昨日言ったじゃない。」
・・・聞いたっけ?まあ、良いか。英語なら得意とはいえないが、そこまで苦手なわけでもない。
それに大学の講義なんてただ座ってるだけで大丈夫だったはずだ。
佐藤「英語か。・・・もしかして二人組みで会話形式だったりしないよね?」
冗談めかして言ったが、『二人組み』という言葉にはあまり良い思い出はない。
岬「まだ一回しか出席したこと無いからわからないけど、その時は二人組みで会話する時間があったよ。」
俺はすぐさま帰ることにした。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:10:24.59 ID:N1WQiqsm0
俺がずっと待ち続けていたスレがこんなところに
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:11:56.07 ID:y43QGfHOO
きびすを返す俺に岬ちゃんはあわてて言った。
岬「ま、待って、佐藤君!・・・組む相手は自由なの。だから佐藤君と私で組めば良いんだよ。ね?」
・・・なるほど。冷静に考えるとそれだけの話じゃないか。何も問題は無い。
佐藤「でも、それじゃ岬ちゃんは友達作りができないんじゃ・・・。」
そもそも俺がここまで来たのは、岬ちゃんの友人作りの手伝いである。一対一での会話という絶好のチャンスを逃しても良いのだろうか?
岬「それは大丈夫。今日はとりあえず佐藤君と普通に会話できてるところをみんなにアピールできたら良いんだから。」
佐藤「そういうものか・・・。」
岬「そういうものだよ。」
友人作りなんていうものとはすっかりご無沙汰な俺には、よくわからない。そんなことを考えている俺はあることに気がついた。
佐藤「ちょっと待て。『今日は』ってことは、また俺は大学に来ないといけないってことか?」
岬「うん。そうだけど?」
そんなさも当然のことのような顔をされても困る。
佐藤「き、聞いてないぞ!俺はてっきり今日だけのつもりで・・・」
教授「君たち、もう講義を始めるから教室に入りなさい。」
いつの間にか、扉の前で言い争う俺たちの後ろに立っていた教授らしき人物は厳かに告げた。
どうやらもう講義が始まる時間のようだった。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:13:57.18 ID:y43QGfHOO
教室は高校のものと大して変わらない程度の大きさであった。
あの高校の教室に、よくドラマとかで見かける大学特有の長机が置いてあるといえば想像しやすいかもしれない。
大学に通っていたのはほんの少しの期間であるが、その間に得た経験則として、大学での講義とはえてして後ろの席から埋まっていくものである。
この講義もその例に漏れないようで、俺たちは唯一の空席だった教卓の目前、つまり中央最前列に腰を下ろした。
始めの内は文法や、単語についての講義のようで、俺は岬ちゃんに教科書を見せてもらいながら、周りの視線におびえていた。
中央最前列という席は、学生たちと教授とを繋ぐ視線の途上に位置する。
後ろの学生は、少なくとも俺の姿を意識せずとも視界の隅に捉えることだろう。
つまり俺は、この教室の中で教授の次に視線を集めている人間なのではないだろうか?
・・・そこまで考えたところで、俺は軽いめまいを感じた。このままでは過呼吸を起こしてしまいそうな気配さえした。
気を紛らわすために岬ちゃんを見る。大分落ち着いた様子だ。英語のテキストに視線を固定している。
俺がこんなに苦労しているのも知らないで、勉強か。いい気なものだ。
俺は、学生の本分をまっとうする岬ちゃんを心の中で非難した。
しかし、教授の話している内容と、岬ちゃんが食い入るように見つめている教科書のページが一致しないことに気付いた俺は、非難するのをやめた。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:15:49.39 ID:y43QGfHOO
教授「では次は、二人組みに分かれて英語で会話してみましょう。」
これまでであれば、聞くたびに背筋にヒヤリとしたものを感じていたその言葉も、
今日はすでに組む相手が決まっているため、それほどの脅威を感じない。
むしろ視線の恐怖から逃れられるという安心感の方がまさった。心なしか岬ちゃんもホッとしたような表情をしているように見える。
佐藤「よし、じゃあ岬ちゃん、一緒に・・・。」
教授「あ、今日はみなさんで自由にペアを組むのではなく、私がペアを決めます。いつもとは違う人と話すことも大切ですからね。」
・・・俺は自分の耳を疑った。
教授の指示でペアを作る?
つまり岬ちゃんと組めない?
ということは知らない人と会話?
・・・何で今日に限って!くそ!いつもは自由にペアが組めるんじゃないのかよ!!
・・・もしかして俺が学外の人間だって気付いてるのか?
もしやNHK(日本引きこもり協会)の手の者がこの中に?
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:17:46.97 ID:y43QGfHOO
俺ははっと気付いて周りを見回した。周りの学生もNHKの人間であることを疑ったのだ。
・・・くそっ!案の定だ!!
みんなが俺を見てこそこそ話している。あっ、あいつ今笑ったぞ!
こんなところにまでNHKの魔の手が広がっているとは・・・。
そうとわかればこんなところにいつまでもいる必要は無かった。
俺は静かに手を挙げた。
佐藤「す、すみません・・・。ちょっとお腹が痛いんで医務室に行っても良いですか?」
NHKの刺客に俺が気付いたことを悟られれば、奴らは実力行使にうってでる可能性があった。
そうなると俺はともかく、岬ちゃんの身の危険が案じられる。
岬ちゃんを一人にするのは気が引けるが、奴らのターゲットが俺であることを考えれば、俺が近くにいない方が彼女は安全である可能性は高い。
この腹痛作戦は、奴らに怪しまれずに教室を後にする最適な方法だった。
・・・ああ、岬ちゃん、そんな不安そうな目で俺を見ないでくれ。俺ならきっと大丈夫。この講義が終われば君だって自由の身だ。
俺は教授の許可を得て、一人教室から出て行った。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 17:30:18.25 ID:Yz4+wPsw0
支援
sien
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:20:46.63 ID:5z74hcDX0
岬ちゃんは天使支援
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:31:55.94 ID:ZZJzbYXbO
でも小説版では佐藤くんとやっちゃってるよ支援
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:45:01.98 ID:5z74hcDX0
>>86 小説は分かんないだろ
漫画ではしてしまったが・・・
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:47:29.79 ID:ItCnuPtn0
岬ちゃんLOVE
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:50:29.97 ID:ZZJzbYXbO
佐藤くんが中原さんの自殺止めようとして自殺しようとして失敗(なんだこれ)した晩にやっちゃってるよね?よね?
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 18:56:16.71 ID:5z74hcDX0
>>90 岬ちゃんが明りは点けないで、とか言ったやつだろ?
あれはなんとなく言っただけだよ、ほんと、いやマジで。
黒光りする拳銃を…
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:11:36.30 ID:ItCnuPtn0
岬ちゃん愛してる
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 19:25:46.33 ID:GD5XHtOnO
NHKにようこそ!を描いてた人が今、とある(ryを書いてるってホント?
タッキーが仕事してるとか信じられん
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:03:20.70 ID:y43QGfHOO
書き溜めてきます
ここまできたら完結させたいので
お願いします保守
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:12:09.04 ID:uvU+3tTOO BE:651441762-PLT(13000)
引きこもり支援
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:23:49.84 ID:5z74hcDX0
保守
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 20:48:33.24 ID:qKfsBtnqO
ほしゆ
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:12:37.81 ID:WdiuTVa70
保守
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:28:17.08 ID:GD5XHtOnO
保守
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 21:44:49.26 ID:uvU+3tTOO BE:325721423-PLT(13000)
眠い
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:11:35.65 ID:KzosTCeTO
保守
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:24:36.77 ID:GD5XHtOnO
もう、書かないのかな
一応、保守
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:46:05.16 ID:oKdgBuc8O
ほ
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:05:18.05 ID:YTFZ5xlVO
ほ
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:33:53.78 ID:zZABv605O
日本保守協会へようこそ
もう少しで書けそうなんですが、ガチオナニー展開で黒歴史確定なレベルなんで、もうちょっと深夜のテンションになってから書き込むことにします
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:56:37.79 ID:oKdgBuc8O
VIPのSSなんて殆どオナニーだろ
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:57:03.45 ID:PG7cdmLyO
漫画版の岬ちゃんには一生友達出来る気がしない
原作は知らんけど
112 :
さとうきび列車 ◆xvndEVA/8E :2010/04/13(火) 00:01:24.37 ID:fuSZb2kgP
漫画の岬ちゃんがリスカブログ作ってぴょんって跳ぶとこ可愛い
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:05:13.37 ID:fc4+rAjtP
SSなんて大なり小なり書き手のオナニーで読み手の暇潰しに過ぎねえんだよ
変に作者ぶらないで黙って投下しろよ
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:17:39.95 ID:3NSkGUcm0
小説っぽい書き方なのに括弧の前に名前付ける時点で公開オナニーなのは明らかなんだからどうたらこうたら
・・・やってしまった。
俺は引きこもりだった時と何も変わっていなかった。いや、それよりなお悪いかもしれない。
俺は、理由はどうあれ俺を信じて、そして頼ってきてくれた年下の女の子を見捨ててしまったのである。
自分の中でNHKだの陰謀だのといった理由をつけて、自分以外のものに責任を転嫁して逃げ出してしまった俺は、本当にダメな奴だった。
佐藤「もうダメだ、もうダメだ、もうダメだ・・・。」
そうつぶやきながら廊下に立っている俺を周りの人間が遠巻きにして見ているのも、
俺が取り出したタバコを見て血相を変えて飛んできた掃除のおばさんが、俺から無理やりタバコを取り上げたのも、
全部俺がダメ人間なせいだった。
佐藤「もうダメだ、もうダメだ、もうダメだ・・・。」
俺は岬ちゃんに『ごめん。先に帰る。』とだけメールを打ち、予定より大幅に早く帰路についた。
その帰り道の途中、大学内の看板に書かれた『構内全面禁煙』の文字は俺の目には入らなかった。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:29:54.68 ID:gButUMdTO
窓の外の陽気に反して俺の心は晴れないままだ。俺が岬ちゃんと大学に行ってから数日が経つ。
俺はまたみじめな引きこもりに逆戻りしていた。アルバイトは無断欠勤である。
これまで働いて得たほんの少しの貯金でなんとか食いつないでいる。すぐに尽きてしまうだろうが。
俺はもう引きこもりに戻ってしまうことはおそらく無いと思っていた。そんな俺のささやかな自信はあっという間に壊されてしまった。
・・・正直なところ、こんな理由で引きこもるなんて、自分の弱さにかまけて、その悲劇に浸っているだけであるということはわかっていた。
結局のところ俺はナルシストなのだ。だから自分の身に起きることを、NHKとかいう架空の組織のせいにして、自分の保身を図っていたのだった。
大学でのできごとからこっち、俺の携帯電話は毎日鳴っていた。俺はその着信相手を一度も確認していない。
それが岬ちゃんからのものだとして、もし罵倒されたら俺はおそらく立ち直れないだろう。
逆に慰めるような内容だとしたら、俺はさらにショックを受けることは間違いない。俺が謝るべき人に慰められてしまうのは屈辱的だった。
この期に及んで安いプライドにしがみついている。俺は本当にどうしようもない人間だった。
・・・突然テレビの電源が点いた。
テレビ『君は本当にどうしようもない人間なのかい?』
ああ、そうだよ。俺は女の子一人との約束も果たせないダメ人間だ。
パソコン『どうしてそこから抜け出そうとしないんだい?』
抜け出せるんならとっくに抜け出してるさ!!それができないから・・・
ポット『佐藤君はそれに向かって何かしようとしたのかい?』
・・・・・・。人間そんな簡単に変われるわけ無いだろ!そんなことができたら奇跡だ!!
パソコン『もうわかっているんだろう?』
うるさい!
テレビ『自分の弱さを受け入れるんだ。』
黙れ!!
デンワ『電話だよ。電話だよ。』
黙れって言ってるだろ!!
俺は備え付けの電話を台から落とした。受話器がその勢いで外れた。
岬『・・・もしもし?』
心臓が止まるかと思った。今もっとも聞きたくない声が床の上の受話器から聞こえた。
岬『佐藤君のお宅ですか・・・?』
俺は受話器を拾わない。何も答えない。
岬『・・・佐藤君、聞いてますか?聞いてるよね。』
岬ちゃんの声はなんだか弱弱しい。
岬『メールは見てくれましたか?最近セミナーに来てくれないので心配しています。私は全然怒っていないです。』
期待を裏切った俺を心配してくれるなんてなんて良い子なんだろう。俺とは全然違う。
岬『・・・嘘です。実はちょっとだけ怒っています。』
なんだそれは。
岬『・・・最後のセミナーで話したシェイクスピアの言葉を覚えていますか?』
なんだっただろうか。思い出せない。
岬『お前のものは俺のもの、俺のものはお前のもの、です。』
岬『私の悩みは佐藤君の悩み、同じように佐藤君の悩みは私の悩みでもあるんです。』
彼女は続ける。
岬『だから私は人間関係の悩みを佐藤君に話したよ。佐藤君も、ちゃんと話してよ。』
でも、俺は悩みを相談されても何も解決できなかったダメ人間だし・・・。
岬『・・・佐藤君はダメ人間なんかじゃないよ。』
いつの間にか俺は受話器を握りしめていた。
佐藤「だって俺は・・・!」
岬『佐藤君は私に奇跡を起こしてくれたじゃない!飛び降りようとした私を救ってくれたじゃない!神様を信じさせてくれたじゃない!』
俺も、受話器の向こうの岬ちゃんもすでに泣きじゃくっていた。
岬『奇跡は起きるんだよ・・・。信じてれば奇跡は起きるんだよ・・・。だから、佐藤君も、私を信じてよ・・・!』
俺の言葉は、涙のせいでちゃんとした言葉の体をなさなかった。
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:34:50.16 ID:qVPl6Aoq0
支援
岬『・・・落ち着いた?』
俺は返事をする。
佐藤「ああ・・・。なあ岬ちゃん聞いてくれないか。」
俺は彼女に思っていたことをすべて話した。
自分の弱さを受け入れるだけの強さが無いこと、その弱さを乗り越えるだけの必死さが足りないこと・・・。
岬ちゃんはその間、黙って聞いていてくれた。
佐藤「なあ、岬ちゃん。」
岬『何、佐藤君?』
佐藤「おれさ、日本引きこもり協会、NHKに対抗する組織を結成しようと思うんだ。
その名も日本本気協会!毎日を必死に生きていく人間の組織だ!もちろん会長は俺!」
岬『・・・じゃあ私は会員第1号だね。』
佐藤「え?」
岬『前の講義じゃ、誰かさんのせいでちゃんと友達できなかったからね。私も本気で友達を作ろうと思うの。』
佐藤「・・・すまん。」
岬『もう良いよ。そのかわり、明日の講義も一緒に来てね。来ないと罰金百万円だから!』
一日やそこらで人間は変われない。多分明日も俺はダメなところを岬ちゃんに見せてしまうのだろう。
それでも俺は本気になって生きていくんだ。それだけでも十分なんだ。ゆっくり変わっていけば良い。
そして明日岬ちゃんは、大学に来た俺をきっと笑顔でこう言って迎えてくれるのだろう。
『大学にようこそ!』
ちゃんちゃん
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:42:14.84 ID:VKSpG/iAO
アルバイト探そうかな…
いちもつ
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:55:17.66 ID:jDtCcz5S0
おつかれ
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:56:18.09 ID:3VXT3R/vO BE:1302883283-PLT(13000)
早く風呂入って寝たいんだよ
つまり支援
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:57:15.20 ID:3VXT3R/vO BE:2931487496-PLT(13000)
あれ?終わった感じですか?
なら風呂入って寝る
1OTSU
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:01:08.65 ID:EVGlTnzWO
乙でした
岬ちゃんは天使
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 02:12:28.37 ID:x+oGxRwwO
あ
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 02:15:15.23 ID:x0wPZrNiP
押しも押されぬってなんだよ
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 04:12:20.99 ID:qQOc8Sj4O
保守
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 04:46:30.72 ID:qQOc8Sj4O
滝本さんがVIPでウォーミングアップを始めたようです
なんて
妄想もうよそう
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 06:30:56.06 ID:gOouh3ibO
つぎはネガティブハッピーチェーンソーエッジ
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 07:37:53.67 ID:Y0/AW0RyO
おはおつ
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 07:38:02.47 ID:KCRLf9fY0
このスレのおかげで
今日一日頑張ろうって思えた
ありがとう
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ほし