立つかな
それはある日の放課後の事でした。
唯「ムギちゃん、今日のお菓子って何?」
紬「今日はチョコケーキよ」
唯「チョコケーキ!?私、大好物だよ!!」
唯「うっれしいな〜〜♪」
律「唯、階段でふざけると危ないぞ」
唯「だって嬉しいんだも〜ん♪」タンッ、タンッ
律「まったく……」
紬「あらあら」
その時でした。
―――グキッ!!!
唯「えっ?」
ズダダダダッ!!!!
ダァァァン!!!!
唯「あいたたた〜〜!!」
律「唯ッッッ!!!」
紬「唯ちゃん!!!」
どうやら私は階段から落ちてしまったみたいです。
律ちゃんとムギちゃんが慌てて私に駆けよってきました。
律「おい、唯!!!大丈夫か!!!」
紬「きゅ、救急車!!救急車呼ばなくちゃ!!!」
唯「大丈夫だよムギちゃん。ちょっと頭打っただけだし」
唯「って、あれ……?」
唯「なんで、私の足元に私が寝てるんだろう……?」
なんとも不思議な光景でした。私の足元に私が倒れています。
律ちゃんとムギちゃんは倒れている私に向かって呼びかけていました。
律「おい、唯!!しっかりしろ!!」ユサユサ
紬「律ちゃん、動かしちゃダメよ!!」
紬「私は先生を呼んでくるから律ちゃんは救急車を呼んで!!」
律「わ、分かった!!」
律「え、え、ええと……」
律「ム、ムギ、119番って何番だっけ!?」アタフタ
紬「119番は119番よ!!落ち着いて!!じゃあ私は先生を呼んでくるから!!!」
唯「あはは〜、律ちゃんベタだね〜」
まぁ頑張れや
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 02:18:54.87 ID:MpIJnCiV0
唯「というか、私が二人……?」
唯「ねぇ、律ちゃん、これってどういうことなのかな?」
律「ええ、はい、階段から落ちて……!!」
唯「お〜い、律ちゃ〜ん」パタパタ
電話をしている律ちゃんの目の前で手を降ってみましたが、律ちゃんは私に全然気づきません。
唯「もしかして、私のこと見えてないのかな……?」
唯「あれ……?手が透けてる……?」
ふわ〜〜〜〜
唯「わっ、体が浮き始めた!!!」
唯「あわわわわ!!!!!」
天国!
唯「ここどこなんだろう……?」
梓「どうもこんにちは。私は天使の竹達と申します」
唯「あれ?あずにゃん?」
梓「平沢唯さんですよね?よろしくお願いします」ニコッ
唯「あずにゃん、こんなところで何してるの?というかここってどこなの?」
梓「あずにゃん……?私の名前は竹達です!」
梓「ここは天国ですよ。平沢さんは死んで天国に来たんです」
唯「天国?またまた〜。あずにゃん、冗談がうまいね〜〜」
唯「それより、その天使のコスプレ可愛いね!羽とか輪っかとか本物の天使みたいだよ!」
唯「あずにゃん、可愛い〜〜!!」ダキッ
梓「だっ、抱きつかないで下さい!!」
梓「それに私は本物の天使です!!」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 02:23:17.79 ID:m2f0aJJU0
本物の天使は寿美菜子ちゃんだろうが
もう間違えんなよ
唯「そんなこと言っちゃうあずにゃんも可愛いね〜〜♪」
梓「は、離して下さい!!」バッ!
梓「と、とにかく、自分の名前が呼ばれるまであそこの待合室で待ってて下さい!!」
唯「う〜ん、何だかよく分からないけどあそこで待ってればいいんだよね?」
梓「そうです!それじゃあちゃんと待ってて下さいね」スタスタ
唯「行っちゃった……」
アナウンス「平沢さ〜ん、平沢唯さ〜ん。三番窓口までお越しくださ〜い」
唯「あっ、私の名前だ」
唯「えっと、三番窓口は……、あそこだね」
窓口!
紬「平沢唯さんですね?」
唯「ムギちゃん!!こんなところで何してるの?」
紬「ムギちゃん……?私の名前は寿ですけど」
唯「(あれ?さっきのあずにゃんの時と一緒だなぁ。それにムギちゃんも天使の恰好してるし)」
紬「えっと、平沢唯さん……死因は事故で、行き先は地獄ですね」
唯「えっ?地獄?」
紬「はい、地獄です」ニコッ
唯「なっ、なんで!?私何も悪いことしてないよ!?」
紬「そう言われましても……。書類には地獄行きとありますので……」
北アあああああああああああああああ
美菜チャ嗚呼ああああああああああああああん
唯「私、地獄なんて嫌だよ……!!ムギちゃん、何とか出来ない……?」
紬「申し訳ありませんが、私にそういった権限は無いので……」
唯「そんな〜〜〜」
紬「それでは、この書類をお持ちになってあちらの地獄行きのエレベーターにお乗り下さい」
紬「直通になっておりますので」
唯「は〜い……」シブシブ
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 02:42:12.01 ID:dXXloD6rO
(Д´ヽ) . フ
(`Д´ヽ ル
ヽ(`Д´)ノ ボ
.ヽ`Д´) ッ
(ヽ`Д). キ
( ヽ`) ア
( ヽ ゲ
ヽ( )ノ. ス
.ヽ ) ペ
(ヽ ) シ
(Д´ヽ) . ャ
(`Д´ヽ ル
ヽ(`Д´)ノ ト
.ヽ`Д´) ル
(ヽ`Д). ネ
( ヽ`) l
( ヽ ド
ヽ( )ノ. サ
.ヽ ) イ
(ヽ ) ク
(Д´ヽ) . ロ
(`Д´ヽ ン
ヽ(`Д´)ノ ! !
地獄!
唯「ここが、地獄か〜〜」
唯「なんか思ってたのと違う……」
唯「それにしても私、本当に死んじゃったのかな……?」
澪「平沢唯だな?」
唯「澪ちゃん!!なんでここにいるの!?」
澪「澪ちゃん……?私の名前は日笠だ!!」
澪「私は鬼なんだから地獄にいるのは当たり前だろう」
唯「へぇ〜、鬼なんだ〜」ジロジロ
澪「なっ、何!?あんまりジロジロ見るなよ!!」
唯「うん……、ごめんね……」
澪「なんだよ!!言いたい事があるならはっきり言ったらどうなんだ!?」
唯「じゃあ、言うけど……」
唯「その鬼のコスプレ、恥ずかしくないの?」
澪「………!!」カァァァ
澪「だ、だってしょうがないだろ!!閻魔さまが鬼の衣装はこうでなくちゃとか言って無理矢理着せたんだから!!!」
澪「私だって、こんな恥ずかしい衣装……!!」
唯「ふ〜〜ん」ニヤニヤ
澪「くっ……!!」
澪「とにかく、こっちへ来い!!」
唯「どこに行くの?」
澪「閻魔さまのところだ。その若さで地獄に来るってことはそうとう悪い奴なんだろう?」
澪「せいぜい、覚悟しておくんだな」
唯「私、悪いことなんてしてないよ〜〜」
そうして、私は澪ちゃんそっくりの鬼に閻魔さまのところまで連れていかれました。
澪「閻魔さま、罪人を連れてきました」
さわ子「ご苦労様、日笠さん」
唯「(さわちゃん先生そっくりだ……)」
さわ子「あら、可愛いわね〜〜。あなた、鬼になってみる気はない?」
さわ子「給料はずむわよ。鬼の恰好がとても似合いそうね」
澪「閻魔さま!!スカウトしてどうするんですか!?」
澪「今はこいつの罰を決めるために私に連れてこさせたんですよね!?」
さわ子「冗談よ、冗談。じゃあ、この子の罰は例のやつをお願いね」
澪「例のやつって……まさか、あれですか……!?」
さわ子「そう、あれよ。日笠さん、後は頼むわね」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 02:57:40.38 ID:snxm6ChjO
真田さんだったか
澪「わ、分かりました!!お前、こっちに来い。あとこのアイマスクをつけろ」
そうして私はアイマスクをつけたまま手を引かれ、別の場所へ連れていかれました。
唯「ねぇ、澪ちゃん、例のやつってどんな罰なの?」
澪「ふっ……、この罰は鬼の私でも耐えきれないくらい辛いものなんだ」
澪「覚悟するんだな……!!」
唯「そんなぁ……」
唯「(もしかして、釜茹で地獄とか、針の山地獄とかなのかな……」
唯「(うぅ……、いやだよぉ……)」
澪「よし、ここでいいな」
澪「お前、これを持て」
唯「(なんだろうこれ……?重いなぁ……)」
唯「(でも前にも持った事あるような……)」
澪「それを肩にかけろ」
唯「(あれ……?これってもしかして……?)」
澪「アイマスクを外して」
唯「う、うん……」
私がアイマスクを外すと辺りは真っ暗でした。隣にいる澪ちゃんでさえまったく見えません。
澪「それじゃあ今から平沢唯の罰を始めます!!!」
澪「スタート!!!」
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
唯「まぶしいっ……!!」
澪ちゃんの合図の声とともに照明が着きました。
ウオオオオオオ!!!ウオオオオオオ!!!
ヒッラサワッ!!!ヒッラサワ!!!ヒッラサワ!!!
唯「こっ、ここは……!?」
澪「お前の罰は、この観客が満員の横浜アリーナで歌を一曲歌いきることだ!!!」
唯「………へ?」
私は満員の横浜アリーナにギターを持って立っていました。
澪「くくく、驚いて声も出せないだろう?」
澪「この観客が満員の横浜アリーナ!!そしてその観客の前で歌を歌う!!」
澪「私でさえ、耐えられなくて途中で恥ずかしさのあまり気絶したんだ!!」
ヒッラサワ!!!ヒッラサワ!!!ヒッラサワ!!!
澪「そしてこの平沢コール!!恥ずかしいだろう!?」
唯「はぁ………」
唯「とりあえず、私は歌を歌えばいいんだよね?」
澪「ああ、歌いきれなかったらもう一回最初からだからな!!」
澪「最後まで歌えるまで永遠に続けるからな!!」
澪「(こいつ、なんでこんなに余裕なんだ……?」
澪「(まぁいい。歌が始まったら恥ずかしさのあまり、立っていられなくなるだろ)」
澪「それじゃあミュージック、スタート!!!」
♪(ふわふわ時間のイントロ)
ウオオオオオオオオ!!ウオオオオオオ!!
澪「(この観客の前で歌を歌う……!!なんて恥ずかしいんだ……!!)」
澪「(しかもこの大歓声……!!閻魔さまも人間をいじめるのが好きだな〜)」
唯「君をみてるといつもハートドキドキ〜♪」
澪「(って……、えっ……?)」
唯「揺れる思いはマシュマロみたいにふ〜わふわっ」
澪「普通に歌ってるーーーー!!!????」ガビーン
唯「あ〜あ、か〜みさ〜まおねがい、一度だ〜けの〜」
澪「なっ、なっ、うっ、嘘……!?」アワアワ
澪「(サビまで何の躊躇もなく……!!)」
澪「(こいつ、本当に人間か……!?)」
澪「(横に立ってるだけで倒れそうなくらい恥ずかしいのに……!!)」
唯「ふわっふわった〜いむ♪」
観客「ふわっふわった〜いむ!!!!」
唯「ふわっふわった〜いむ♪」
観客「ふわっふわった〜いむ!!!!」
澪「」
ワアアアアアアアア!!!!
唯「みんな、ありがと〜〜〜!!!」
澪「(一曲……歌いきっただと……!?)」
澪「そんな、バカな……!!」
アンコール!!アンコール!!アンコール!!
唯「え?アンコール?」
唯「え〜と、それじゃあもう一曲歌います!!」
澪「なん…だ…と…?」
唯「曲はギー太に首ったけ!!」
♪(ギー太に首ったけのイントロ)
ウオオオオオオオオ!!!ウオオオオオオオオ!!!
澪「」
そして私はその後2曲を歌い、大歓声を受けながら横浜アリーナから退場しました。
澪「そんな、馬鹿な……。人間のくせに……」ブツブツ
唯「ねぇ、罰ってこれで終わり?」
澪「えっ……?いっ、いや、まだ終わりじゃない!!」
澪「(次だ……!!次で挽回しよう……!!)」
私はある古ぼけた洋館の前に連れていかれました。
澪「お前にはここに入ってもらう!!」
唯「ここって?」
澪「ここは地獄一怖いとされるデビルナイトメアマンションだ」
澪「ここは鬼の私でさえ怖すぎて途中でリタイアするほどの場所だからな!!」
澪「しかし、お前には途中で怖すぎてリタイアした場合でも、もう一回入り口から入ってもらう」
澪「出口にたどり着くまでエンドレスだ!!」
唯「はぁ……」
唯「とにかく、入り口から入って出口から出てくればいいんだよね?」
澪「ああ、出られるもんならな」
唯「じゃあ、行ってくるね」
澪「リタイアしたらもう一回だからな!!」
澪「(ふっ……、その館には人間を怖がらせるためのありとあらゆる仕掛けが用意されている)」
澪「(余裕でいられるのも今のうちだけだからな……!!)」
30分後!!
唯「う〜〜ん、楽しかった〜〜!!」
澪「な、な、何だと!?お前、本当に入ってきたのか!?」
唯「え?ちゃんと入ったよ?てゆうか私、今出口から出てきたじゃん」
澪「(そんな馬鹿な……!!私は最初の仕掛けでリタイアしたのに……!!)」チラッ
唯「?」
澪「(……そうか!!この館はもしかして、今は全然怖くないんじゃないのか?)」
澪「(そういえばこの前、私が怖すぎるって閻魔さまに言ったら
さわ子「そう?じゃあちょっと修正しておくわね」
って言ってたからな……)」
澪「ちょっと待て、平沢」
唯「なに?」
澪「私がこの館に入るからちょっとここで待ってろ」
唯「………?分かった、待ってるよ」
澪「あそこに屋台があるからそこのベンチで待っててくれ」
唯「うん」
澪「(そうだよ、あんな怖いもの、人間に耐えられるはずがないんだからな)」
澪「(絶対今は怖くなくなってるはず……!!)」
澪「(くっ、私とした事が……ちゃんと確認しておけばよかった)」
そうして澪ちゃんは館の中に入って行きました。
唯「(地獄にも屋台があるんだな〜)」
唯「すいませ〜ん」
憂「あ、いらっしゃいませ」
唯「憂!?なんでここにいるの?」
憂「憂……?お客さん、誰かと勘違いしてませんか?私の名前は米澤っていうんです」
唯「(あっ、そうか。憂が地獄にいるはずないもんね。それにしても似てるな〜〜)」
唯「すいません、知り合いによく似てて……」
憂「そうなんですか〜。それよりもお客さん、何にしますか?」
唯「えーと、じゃあこのインフェルノポップコーンと閻魔の特製団子とダークネスドリンク下さい」
憂「はい、今用意しますね」
しえん
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 03:15:03.31 ID:snxm6ChjO
見てる
一時間後!
唯「澪ちゃん、遅いな〜〜」ポリポリ
唯「あっ、やっと出て来た!!でも、誰かと一緒にいる……?」
唯「あれは……、和ちゃん?」
澪ちゃんは和ちゃんに付き添われて館から出てきました。
澪「うっ、うっ……、怖かったよぉ……」
澪ちゃんは泣いていました。
和「よしよし、もう大丈夫だからね」
澪「なんでっ、ヒック、私が、ヒック、前に来た時より、ヒック、怖く、ヒック、なってるの……?」
和「閻魔さまが
さわ子「日笠さんが怖いってくらいじゃ他の人には全然大したことないわね……。もっと怖くしないと」
って言って館を改造したのよ」
澪「そっ、そんな、ウグッ、ひっ、ひどいよぉ、うぅ……」
唯「あの〜」
澪「」ビクッ!!
澪「」ササッ
私が声をかけると澪ちゃんは和ちゃんの後ろに隠れてしまいました。
澪「お、お前、なんで平気なんだ……?」
澪「本当に人間なのか……?」
唯「はぁ……、まぁ……」
和「日笠、あなたこの人間のことを閻魔さまに頼まれてるんでしょう?」
和「ほら、隠れてないで」
澪「いっ、いやだ!こいつ、横浜アリーナの罰もデビルナイトメアマンションの罰も平気な顔して耐えたんだ……!!」
澪「絶対に人間じゃないよ……!!私はもう嫌だ……!!」
和「しょうがないわね……。どうしようかしら」
唯「あの、ちょっといい?」
和「なに?」
唯「ここって地獄だよね?どうして釜茹で地獄とか針の山地獄とかはないの?」
澪「ひぃっ!!」
澪「見えない聞こえない見えない聞こえない……」ブルブル
和「それは、この子がそういうのを見ちゃうとショックで気絶しちゃうから全部撤去しちゃったのよ」
和「あと時代遅れっていうのも大きかったわね、維持費も結構かかるし」
唯「そうだったんだ……」
ピンポンパンポーン
唯「何の音?」
アナウンス「平沢唯さん、平沢唯さん、閻魔さまがお呼びです。至急、地獄の三丁目本部までお越しください。繰り返します……」
和「あら、ちょうどよかった」
和「閻魔さまがあなたのことを呼んでるみたいね」
和「本部まではこの道をまっすぐ歩いていけば5分くらいでつくわ」
澪「うぐっ、うぅ………、ぐすっ……」
和「私はこの子の面倒をみなくちゃいけないから、悪いけど一人で行ってくれないかしら?」
唯「うん、分かったよ和ちゃん」
和「和ちゃん……?」
唯「それじゃあまたね、澪ちゃん」
澪「」ビクゥッ!
澪「おっ、お前になんか二度と会わないからな!!」
唯「じゃあね〜〜」タッタッ
和「……………」
和「私の名前は藤東なのに……」
唯「間違い?」
さわ子「ええ、書類に不備があってね。あなたは本当は天国に行くはずだったのよ」
さわ子「私もおかしいと思ったのよ。あなたはとても悪い人のようには見えなかったし」
唯「そうだったんだ……」
さわ子「だからとりあえず、日笠さんにあなたの事を頼んだのよ」
さわ子「あの子の罰は全然辛くなかったでしょ?」
唯「辛いっていうか、とても楽しかったです!!」
さわ子「それはよかったわ。やっぱり地獄にもああいう子は必要よね」
さわ子「コスプレのさせがいもあるし」
唯「(やっぱりあれはコスプレだったんだ……)」
さわ子「それじゃあそこの天国行きのエレベーターに乗ってちょうだい」
さわ子「話はついてるから」
唯「は〜い」
そうして私はエレベーターに乗り、天国に向かいました。
天国!
梓「申し訳ありません、私達の不手際で……」ペコペコ
唯「だ、大丈夫だよ、私は気にしてないよ」
梓「本当に申し訳ありませんでした……。それではこの書類を持って呼ばれるまで待合室で待っていてもらえますか?」
梓「後日、正式な形でお詫びさせていただきますので……」
唯「あんまり、気にしないでね?」
梓「はい、それでは失礼させていただきます」
アナウンス「平沢唯さん、三番窓口までお越しください」
唯「あっ、私だ」
窓口!
紬「先ほどは申し訳ありませんでした……」
唯「大丈夫だよ、全然気にしてないから!!」
紬「本当にすみませんでした……。それでは手続きに入らせていただきます」
紬「名前は平沢唯さん。死因は事故死で前科は無し」
紬「問題ないようなので1週間程度で天国の住民票が発行されますので」
唯「はぁ……」
紬「それでは、案内係のものが今来ますのでこちらの書類を持ってあちらの席でお待ちください」
唯「は〜い」
そして待つ事15分、案内係の人がやってきました。
律「おいっす!!案内係の佐藤です。よろしく!!」
唯「よ、よろしく……(うわぁ…律ちゃんそっくりだよ……)」
律「今から天国の案内をするけど、何か聞きたい事とかある?」
唯「ここって本当に天国なの?全然イメージと違うんだけど……」
律「ここは間違いなく天国だよ」
律「まぁ、天国のイメージなんて人間が勝手に考えたものだから実際とは違うよ」
唯「そうなんだ……。全然死んだ実感わかないよ……」
律「まぁまぁそんな辛気臭い話はやめて、私と一緒に遊びに行こうぜ!!」
唯「うん、そうだね!!」
律「その意気だ!!じゃあ最初はゲームセンターにでも行くか!!」
そうして私と律ちゃんは天国のゲームセンターに向かいました。
律「まずあれなんてどう?今日は私のおごりだから」
唯「天国の記念にプリクラかぁ〜、面白いかも」
律「プリクラ〜?これだから下界モンは困るなぁ〜」
唯「えっ?プリクラじゃないの?」
律「あれは心霊フォトショップっていうんだ」
律「人間界の写真を心霊写真にしちゃうっていう機械さ」
唯「へぇ〜、面白そうだね」
律「だろ!?じゃあ早速やってみよう」
律「希望のターゲットとかいる?」
唯「えっと、じゃあ澪ちゃんで」
律「フルネームは?」
唯「秋山澪だよ」
律「秋山澪……、よしこいつだな?」
唯「うん、そうだよ」
律「しっかし、地獄の日笠によく似てるなぁ〜。他人とは思えない」
唯「地獄の日笠さんのこと知ってるの?」
律「ん?ああ、日笠とは幼なじみなんだ。怖がりのくせに鬼になるなんてあいつも馬鹿だよな〜」
唯「この秋山澪ちゃんも怖がりなんだよ」
律「へぇ〜、じゃあうんと怖い写真を作らなきゃな」
律「丁度現像に出してるフィルムがあるみたいだな」
律「手とか顔とか素材を買って、好きな写真に貼り付けちまえ」
唯「ねぇ、チョキとか笑顔のパーツは無いの?」
唯「全部、怖い顔やパーとかばっかりじゃん」
律「あ〜、そういう珍しいのは高いんだよな〜」
律「だから私ら庶民には手が出しにくいんだよ」
唯「ふ〜ん、だから似たような心霊写真ばっかりになるんだね」
唯「じゃあこの手でいいや」
唯「この写真のこの辺に……」
律「おお、怖っ!!」
唯「澪ちゃんびっくりするだろうな〜」
しえん
唯「これは何をする機械なの?」
律「それを使うと人間の夢の中に出ることが出来るんだ」
律「でも今は人間界は夕方だからまだ使えないんだよ、残念なことに」
唯「そっかぁ〜」
唯「あっ、あれは何?」
律「おっ、それに目をつけるとはなかなかやるな」
律「それは今天国で大人気のdevil beats!っていう悪魔と戦う格闘ゲームなんだ」
唯「面白そうだね!やってみようよ!!」
律「よし、やるか!!久々に腕が鳴るぜ……!!」
唯「やったーー!!私の勝ちだね!!」
律「素人がガードスキルを使いこなしているだと……!?」
律「なぁ、本当にこのゲームやるのは初めてなのか!?」
唯「うん、初めてだよ?」
律「(平沢唯……恐ろしい子……!)」
唯「そういえば、私の体がどうなったのか知りたいんだけど……」
律「じゃあ次はこれをやってみよう」
唯「なにこれ?」
律「これは人間界の様子を見れる望遠鏡だよ」
唯「どれどれ……」
そして私はその望遠鏡をのぞきこみました。
唯「とりあえず病院を見よう」
唯「あっ、お母さんとお父さんと憂だ。軽音部のみんなもいるよ」
病院!
唯母「じゃあ……、唯はもうずっと目を覚まさないんですか!?」
医者「申し上げにくいのですが……手の施しようがありません……」
唯父「そんな……。なんとかできないんですか……!?」
憂「…………」ダッ!!
唯「あれ?憂はどこに行くんだろう?」
唯「あそこは……、神社?」
憂「神様、お願いします、お姉ちゃんを返して下さい……!!!」
憂「私に出来ることならなんでもします……!!お姉ちゃんをまだ失いたくないんです……!!!」
唯「憂………」
唯「……次は律ちゃん達を見てみよう」
律「私がっ、ひっく、あの時、唯に、うぐっ、ちゃんとっ、注意してたらっ、うっ、あんなことにっ、はっ、ならなかったのに……!!」ボロボロ
澪「律のせいじゃない……」
澪「今は唯が目覚めるって信じて待つしかないよ……」
あずにゃんとムギちゃんは両手で顔を覆ったまま、泣いていました。
唯「あはは……」
唯「今までで一番心配かけちゃってるね……」
唯「これからはもう少し気を付けておっちょこちょいをなおすよ……」
律「……………」
唯「あ……、そうか……」
唯「私、もう死んじゃってるんだ……」
唯「だからもうこれからなんてないんだ……」ポロポロ
私の目から涙が溢れてきました。
唯「うっ……、うぅ……」
唯「私、まだ生きていたいよ……!!」
唯「死にたくない……!!またみんなに会いたいよ……!!」ポロポロ
律「……そう思えるってことは幸せなことだよ」
唯「え……?」
律「世の中には自殺とかいう馬鹿なことをして、自分からこっちに来る奴もいるんだから」
律「それに、こっちで待ってればいずれみんなに会える」
律「……それまで頑張れ」
唯「……………」
唯「そうだね………」
唯「分かったよ、律ちゃん。私、みんなが来るまで頑張るよ!!」
律「ああ、その意気だ!!あと、私の名前は佐藤だからな」
律「そうと決まれば職探しだな!!手伝うよ」
唯「職探し?」
律「ああ。天国にも通貨があって自分で金を稼がないといけないんだ」
唯「そうなんだ……」
律「エンジェルロードの清掃なんてどうだ?時給もいいし」
唯「他にはどんなのがあるの?」
律「あとは……ってちょっと待って、電話が来た」
律「はい、もしもし」
律「今案内中だよ。え?戻ってこい?なんでまた?」
律「分かった、急いで戻るよ」
唯「なんの電話?」
律「なんか急いで戻ってこいってさ」
唯「帰れる?」
紬「はい、そうです」
紬「あなたの場合人間界の体がほぼ無傷で残っていますよね?」
紬「事故で強打した脳の状態が奇跡的に回復したので希望するのであれば帰れるそうです」
唯「……本当に?」
紬「はい、本当です。よかったですね」ニコッ
律「やったな!!」
唯「うっ、うっ……」
律「どうした?」
唯「うわぁぁ〜〜ん!!!よかったよぉぉぉ〜〜〜!!!」
律「おいっ、こんなところで泣くなよ!!」
紬「あらあら」
唯「ごめんね律ちゃん、帰ることになっちゃって」
律「気にすんなよ。死んだ人間が生き返るってのはたまにあるんだ」
唯「私、律ちゃんのこと忘れないよ……」
律「残念だけど、天国での記憶は消えちゃうんだ」
唯「そうなんだ……。じゃあまた来た時よろしくね」
律「ああ、待ってるよ」
梓「それじゃあそろそろいきますよ」ポチッ
―――シュンッ!!
その瞬間私の体は消えてしまいました。
律「案内係なんていえば聞こえはいいけど」
律「実際は本人に死という現実を理解させる残酷な役回りだよ」
律「あいつが現世に戻れてよかった……」
梓「…………」
律「なぁ竹達……」
梓「なんですか?」
律「仕事が終わったら日笠に久しぶりに会いに行こうぜ」
律「寿もつれて」
梓「……そうですね」
律「今日は朝まで飲むぞーーー!!!」
――――パチッ
唯「(あれ……?ここは……?)」
憂「お姉ちゃん!!」
唯「憂……?ここどこ?」
憂「ここは病院だよ……!!今先生よんでくるね!!」
唯「うっ、うん……」
唯「なんか、変な夢を見てたような……?」
唯「うーん、思い出せない……」
その後、病室にお父さんとお母さんと憂が入ってきて、お母さんは私を見た途端泣いてしまいました。憂も私に抱きつきながら泣いています。
軽音部のみんなも急いで病室に駆けつけてくれました。
律ちゃんも澪ちゃんもムギちゃんもあずにゃんも私の事をとても心配してくれていたそうです。
みなさんも階段でふざけるのはやめましょう。
後日!
律「みーおー!!唯のお見舞い行こうぜーー!!」
澪「なんだ、律か……」ゲッソリ
律「!!」
律「どっ、どうしたんだよ、そんなにやつれて……」
律「何があったんだ……?」
澪「昨日、現像に出してた写真を取りに行ったんだ……」
澪「そしたら中にこんな写真が……」スッ
律「ん?この写真がどうしたんだ?」
澪「わっ、私の肩のところ……」
律「………」
律「なっ、なんだこれ…………」
律「怖ぁあああああああ!!!!」
完
sien
このSSはほぼそれ町のパクリです。支援してくれた皆様ありがとうございました。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 04:02:08.02 ID:PhfM5+rQ0
おつ!面白かったよ!
乙
天使姿のりっちゃん最高!!
乙
生きててよかった
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 05:10:26.23 ID:WFcUJ9aSO
鬼のコスプレした澪ちゃんか…ゴクリ
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 05:15:43.02 ID:NTJTOIXuO
乙でした!
あっさりしててけいおん!のssに
ぴったりだったね。面白かった!
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 09:56:51.94 ID:dXXloD6rO
面白かった
乙
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 10:12:53.80 ID:3RyYkGI50
乙
乙!
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 11:27:16.59 ID:AmsDPMJ+0
乙
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 11:55:33.46 ID:1zOlrLD6P
唯ちゃんがついにてんすになったのか…
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
そのまま死んでおけばよかったのに