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「ねえ! ちょっと付き合いなさいよ!」
寝ている僕の頭に、怒号が響いた。
何事だ、と体を起こす。部屋の入口には僕の妹、風音がいた。
「ああ? 何にだよ」
眠い。僕は頭を掻きながら風音の顔を見る。
本気だ。ノーと答えさせない何かがそこにはあった。
「いいから来なさい!」
そう叫ぶ風音は、無理矢理僕の体を起き上がらせると、直ぐ様寝間着となっているジャージを脱がせた。
「な、何するんだよ!」
「うっさい!」
ペチン! と乾いた音が響く。背中を手のひらでダイレクトに叩かれた。
「いたっ!」
若干涙目になった僕は抵抗を辞めると、着替えの続きをされた。
「よし! オッケー!」
風音がそういうと、背中に衝撃が走る。
「ぐえ」
前のめりになって倒れ、後ろを見ると足を上げた風音の姿があった。
「早くいくわよ」
僕は涙目になりながら、風音の後ろを歩いた。
「どこ行くんだよ」
街中を歩きながら、そう僕はそう聞いた。
「楽しいところ。いいから黙って着いてきなさい」
「……わかった」
トボトボと僕は風音の後ろを歩いた。