唯「中学生のころの話しようよ!」和「じゃあ、最後は唯ね」
1 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :
私は 私が――
私が 私を――
私を 私に――
私に 私は――
どうして こんなことをしてしまったんだろう
たくさんのひとを きずつけて
たくさんのひとを 悲しませて
たくさんのひとを 泣かせてきて
そうして 私はここにいる
それに なんの意味があるというのか――
ブログでやれ
3 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 18:17:49.23 ID:cojKnDqC0 BE:692807982-2BP(2050)
音楽準備室には、いつものように5人の少女がいる。
私の、平沢唯の大切な人たちだ。
この人たちがいなかったら、私は今も……。
「唯ちゃん。お砂糖いくつ?」
「え? あ、2つでお願い」
変なことを、考えていた。
この人たちと出会わなかったら、なんて、そんな馬鹿な例え話は在り得ない。だという
のに、私はそんなことを一瞬、考えてしまった。
思わず、溜め息が漏れる。
私は馬鹿だ、と。
「どうしたんですか? 唯先輩」
梓が私を案じて声をかける。
大丈夫、なんでもないよと答える。
大丈夫なんかじゃないことは、私が一番よくわかっているのに。
4 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 18:28:17.53 ID:cojKnDqC0 BE:1948523459-2BP(2050)
私の隣には、田井中律が座っている。
2年も同じ部活動をしていると(梓は一年だが)こういった席というものにも決まりが
生まれる。いつの間にか、律の席は私の隣になっていて、私の向かい側に座るのは紬
になっているのだ。
いつからだったか。
――それは、いいか。
また今度の機会に考えよう。
「唯、疲れてないか?」
「……そう見える?」
そう、見えるのだろうか。
私が疲れているように。
……ああ。そうか。
私は、少しはマトモになれたのかもしれない。
だったら。
だったら、私だって話さなくてはならない。
みんなが話してくれたように。
「みんなが話してくれた昔話。私もするけど、いい?」
5 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 18:37:09.94 ID:cojKnDqC0 BE:3507341099-2BP(2050)
みんなの視線が私に注がれる。
何故か、心配したような顔をしている。
どうしてかはわからない。
でも、そんな顔をされると少し、昔を思い出して苦しくなる。
「……」
誰も言葉を紡がない。
口を閉ざして、私を見ている。
ぼんやりと。
私も、そんな顔をされるのは嫌いだった。
だから。
私も、下を向いた。
そうして、話し出す。
私が、なにも考えない子供だった頃の話を。
6 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 18:43:50.83 ID:cojKnDqC0 BE:1515517875-2BP(2050)
――平沢唯は普通な子供だった。
周りからどう思われているのかは別として、少なくとも、自分ではそう思っていた。
平凡で。
凡庸で。
中庸で。
そんな子供なんだと、私は幼稚園児の頃から考えていた。
周りからは、呆としている子供と思われていたのだろう。
だが、それは普通の許容範囲だ。
人は、行動に依って人格を決定付ける。故に行動していない私は周りから見ても、
決して変わった子供ではなくて、少し抜けた子ていどの評価だったのだ。
一般的に考えた場合、平沢唯という女の子はどこにでもいる子供だったのだ。
「ゆいちゃん。カスタネット上手だねー」
「うん! わたし、カスタネットだいすき! うんたん、うんたん」
こうして、友達と話している時も。
「おねーちゃーん!」
「あ、ういー」
妹と話している時も。
――私は、努めて呆とをしているようにしていた気がする。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 18:56:57.19 ID:EmIa4wmm0
文キモ過ぎてクソ笑ったwwwwwwwwwww
8 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 18:59:07.01 ID:cojKnDqC0 BE:1818621667-2BP(2050)
どうしてそんなことをしているのか。
私にもわからない。
ただ、みんなに対しての違和感があった。
――どうして、みんなはこんなに簡単なことができないのだろう。
そんなことを思い始めていた。
無論、私だって初めてやることを完璧にはこなせない。
それはどうにもならない。知らないことを知っている人間はいない。
ただ、私の場合はほんの少し。一日だけそれに触れてしまえば、一定の水準まで達
することができた。
だから、私の友達たちが馬鹿に思えた。
なんて覚えが悪いのだろうと見下した。
無意識の中で思っていた。
そんなことを。
幼稚園児の私は、自分と他人の差を知らなかった。
自分ができることは他人にもできて、それが当り前なのだと思っていたのだ。
それが間違っているということを知ったのは、いつだっただろうか。
9 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 19:11:40.93 ID:cojKnDqC0 BE:1732020858-2BP(2050)
幼稚園の砂場で、女の子が暴れている。
どうやら、男の子に砂のお城が壊されたようだった。
女の子は拳を振り上げて、男の子に襲いかかる。
……それを、少し離れたところから眺めているのは私。
隣には砂の山を作って遊んでいる、幼馴染の姿。
幼馴染の和は、私を時折チラリと見ている。
「ゆいちゃん? どうしたの?」
「んーん。なんでもなーい」
私は、あの子のように怒ったり、感情をあらわにしたことがなかったと思う。
だからだろう。
その、元気な女の子が妙に輝いて見えたのは。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 19:25:02.76 ID:GLb+aLmh0
これは今までで一番つまらなそう
11 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 19:30:09.62 ID:cojKnDqC0 BE:346404342-2BP(2050)
夕方になると、母が迎えに来てくれる。
妹の憂は、いつだって母にくっついていて、私はお姉さんだからという理由で母に対
して甘えられずにいた。
それでも、母は優しく言ってくれる。
「唯は、今日の晩御飯なにが食べたい?」
憂は母に甘えているけれど、晩御飯の話をされるのはいつだって私だ。
夕日に染まった道。
それに照らされる、母と妹。
何故か、幸せな気持ちになる。
「わたしは……アイス!」
「アイスはご飯食べてからね。それじゃあ、カレーにしようか?」
そう言うと、母はその右手で私の左手を握る。
憂も笑って私を見ている。
なら、私も笑っていよう。
だって――それは本当に、嬉しいのだから。
12 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 19:41:13.06 ID:cojKnDqC0 BE:1732020858-2BP(2050)
家に帰ると、私は決まって居間で寝転がる。
もちろん制服から普段着に着替えてからだが、このゴロゴロタイムが、私の一日の楽
しみなのである。
「ういー。ういもゴロゴロしよーよー」
「ええ! わ、わたしはいいよぉ! おねえちゃん見てる!」
憂はそう言って、ソファに座って私を眺めている。
ならば仕方ない。
見られているのなら、尚更ゴロゴロするほかない。
まるでアザラシかセイウチのようにだらける。疲れるようなことなどしていないが、こう
していると妙に安らぐ。
きっと、私は元来、怠けることに特化していたのだろう。
だから、なにかに真剣に取り組むことなんてなかったのだ。
だから――誰も私を見てくれないのだ。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 19:54:03.24 ID:a47RQ1IvO
見てる
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 19:54:23.34 ID:1prLpJC80
期待
15 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 19:58:29.56 ID:cojKnDqC0 BE:1039213038-2BP(2050)
――頑張ること――
それは、古来から美学とされてきた。
努力することで、それを周りに見せつけることで、人は人を認める。
結果は二の次なのだと。
たとえ、結果がついてこなくとも、努力は裏切らないと。
そういって、彼らは自分をごまかしてきた。
自らの無力さを。
つまるところ、それは『才能』への当てつけなのだ。
努力をせずとも、これといった頑張りを見せずとも結果を出してしまうものへの、嫌悪
に他ならなかった。
なんて、理不尽な不等号。
100の結果を出したものよりも、70の不完全な結果を残したものが認められる。そ
んな、そんなおかしなことがあるか。
だって、『私』にとってその結果というものは。
――ほんの少し、指を動かすだけで出てしまうのだから。
16 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:07:22.99 ID:cojKnDqC0 BE:779408892-2BP(2050)
私は、なんとなくわかっていた。
憂は私よりもカスタネットが下手なのに、両親からは私以上に褒められていた。
和は私よりもザリガニを獲るのが下手なのに、皆から私以上に褒められていた。
それは、私がなんの努力もなしに結果を出してしまったからだ。
カスタネットだって、殆ど練習なんてしなかった。
ザリガニ捕りだって、なんとなく糸を垂らしていただけだ。
だから、人は私を見てなどくれない。
一生懸命がんばった二人ばかりに視線が行き、私はその視界には決して入らない。
入れてくれない。それが、なんとなく悲しいから、私は少しだけ頑張ってみようと思っ
た。
頑張れば。認めてくれると。子供ながらに感じてしまったからだろうか。
気がつけば、私は川に糸を垂らした。
「……いっぱいだ」
バケツにザリガニが蠢く。
――なにか、厭だ。
それでも、私はザリガニを釣る。
バケツには、真っ赤なザリガニがたくさん。
それでも、私はザリガニを釣る。
それでも、私はザリガニを釣った――
>>35 釣り乙wwwwww
味噌汁にバナナ入れる奴なんて居るわけねーだろwwwwwwwwwwww
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 20:20:17.76 ID:JzTvD6VU0
久しぶりだな
19 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:21:55.64 ID:cojKnDqC0 BE:1732020858-2BP(2050)
気がつくと、私の目の前には浴槽があった。
真っ赤な、浴槽。
うじゃ――うじゃ――うじゃ。
……気持ちが悪い。
どうして、こうなっているのか。
わからない。
でも、きっと私の所為なのだろう。
隣には和の姿。
泣いているのか、怯えているのか。
当然だ。自分の家の浴槽に、数え切れないほどに、夥しいまでのザリガニがひしめ
いているのだ。これは、一種のホラーだ。
なのに――
どうしてか。
親友が隣で震えているのに。
私の頬は――不気味に吊り上っていた。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 20:25:07.95 ID:lNdsM3xCP
前に見たって書こうとしたら同じ人だったでござる
21 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:33:37.58 ID:cojKnDqC0 BE:649508235-2BP(2050)
幼稚園を卒園する頃になると、私の世界は少しだけ、否。大きく広がっていた。
なにかに熱中すること。
というよりも、固執することにした私は周りからどういう目で見られていたのかはわか
らない。わからないけれど、私にとってその行為はきっと間違いではなかったのであ
る。
「唯ちゃん。砂のお城を作ってくれない?」
そんなことを先生は言った。
だから、私は他には何も考えなかった。
否否、考える必要がなかったのである。
私には、砂のお城を作るという固執するべき対象が与えられた。
だったら、それを実行するまでだ。
自分が納得のいくまで?
そんなブレーキ(もの)は存在せず。
ただ、止められるまで。
ただ、制止されるまで。
常軌を逸していると言われても。
私は、砂のお城を作り続けた。
22 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:40:02.30 ID:cojKnDqC0 BE:1169113493-2BP(2050)
人は、私をこう言った。
「――平沢さんところのお姉ちゃん。少しヘンよ」
「そうよね。間違えても間違えても同じことしてるし、できるようになると、今度は見境な
く続けるのよ」
「まるで、ブレーキのないクルマみたいね」
ブレーキのないクルマ。
――ああ。言い得て妙だ。実に的を射ている。
ブレーキがない、ということはマトモに走らないということだ。
それでも、マトモに近づけようと走り続けて、ある程度はマトモに走れるようになった
ら、今度はスピードを出し始める。止まれないのだから、行きつく先は破滅か、どちらに
せよ求めた結果(マトモ)には程遠くなる。
それが私だ。
小学校に上がっても、それは変わらず。
呆としていても、やれと言われたことにはロボットのように固執した。
23 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:43:22.45 ID:cojKnDqC0 BE:1818621667-2BP(2050)
私の家は5人家族だ。
私と、妹の憂と両親と祖母の5人。
小学校に入る際に必要な『ランドセル』は、祖母から買ってもらったものだ。入学式
の一日前、私はそのランドセルことラン子と一緒に寝た。それくらいに、大事なものだ
ったのだ。
……思えば、私が名前を付けたモノは、それが初めてだった気がする。
「唯、ゆいー」
「なあに? おばあちゃん」
私は、祖母が大好きだった。
変な目で私を見ないし、私の頭を優しく撫でてくれる。
その手は暖かくて、
その手は優しくて、
その手は私を包んでくれた――
「唯は小学校にあがったら、友達をたくさん作るんだよ」
「うん! 私、友達100人作る!」
そうだ。
私は――トモダチを100人作るんだ。
24 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:52:26.25 ID:cojKnDqC0 BE:1948523459-2BP(2050)
……それから、私は学校でたくさんの友達を作った。
どうやら私は、人と話したりすることが得意な性格らしく、人見知りもしなかった。そう
なれば、周りの子供たちは私に寄ってくる。それが、なんとなくだけれど誇らしかった。
私は好かれているのだ、と。
存在を認められ、こうしてこの場にたくさんの人に囲まれて生きているのだ、と。
そう考えると、胸が熱くなって、妙に嬉しかった。
――そう。
私には、友達がいたのだ。
たくさんの友達が。
私の、そばに。
25 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 20:53:09.93 ID:cojKnDqC0 BE:259803623-2BP(2050)
少し席をはずす。
物書き気取り?
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 21:03:29.45 ID:Cd69/01RP
例によって叩いてるやつ多いけど支援
>>27 駄レスで作者さんの邪魔すんな
ROMってろカス
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 21:07:00.09 ID:GLb+aLmh0
唯のシリアスな語りは違和感ありまくりだな
期待してる
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 21:39:43.99 ID:FfbJT51C0
支援
>>28 どう見てもネタスレなのでこういうぶち壊しなレスはやめてください死ね 俺が言うことじゃないけど
なんかもう常套手段ッスね
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:00:57.05 ID:iR4lbTxh0
キモい
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:12:07.39 ID:gRpVrv750
やっと続きか
36 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 22:16:27.79 ID:cojKnDqC0 BE:779409263-2BP(2050)
ただいま。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:18:11.83 ID:RgCN/Skx0
>>36 なんかオナニー過ぎて気持ち悪いから止めて律紬書いて
これもういい
ただいまとかそういう構って言葉は求めてないの
39 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 22:23:07.07 ID:cojKnDqC0 BE:909311437-2BP(2050)
「和ちゃーん」
小学4年生になった。
そんなある日のことだった。
学校での昼休み、それは小学生にとってしてみれば友達との時間に他ならない。30
分ほどの時間を如何にして過ごせるのか、それを養い、友人とのコミュニケーションを
とる時間が、昼休みなのだ。私にとって、この昼休みは和との時間なのである。
友達が何人できても、私は和との時間を大切にした。
どうしてか。
それを問われると、答えられない。
ただ、私は昔からの友人を大切にしたかったのだと思う。
和という、私にとって初めての友達との時間は、きっと特別だったのだ。
「図書室行こうよ!」
「唯が図書室なんて珍しいね。読みたい本でもあるの?」
「うーん。なんだろ。あるかな?」
「知らないわよ」
和は、昔からかっこよかった。
勉強もできるし、人当たりもいいし、運動もできるしと、私は彼女に一種の憧れを抱
いていた。
というよりも、その感情は畏敬の念に近かった。
彼女はまぶしくて、だから一緒にいたのかもしれない。
光源に近ければ、その恩恵を受けやすいから。
……彼女は、私にとって最も『褒められる』人間だったからだ。
続きなのこれ?
前受けたのか知らんがスゲーつまらん
コテだから自己主張強いんだろうが駄目だこれは
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:27:24.13 ID:6frJ1JuLO
書いてる途中で抜ける奴は総じてカス
保守(笑)でレス数かせいでんの?
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:27:41.15 ID:BEyiHJWyP
Be丸出しでスレ立てとはsakuられたいの?
ポイント下さいってことなんだろ?
素直に言っちゃえよ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:29:57.74 ID:ndhlM+CF0
↓以下からスレスト開始
45 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 22:31:01.12 ID:cojKnDqC0 BE:1039212364-2BP(2050)
私が通う小学校『桜ケ丘第一小学校』の図書館は、少し広めで設備もしっかりして
いるらしい。
司書のような役割の先生もいるし、図書委員はこの学校でも最も大変な、ある意味
学級委員よりも仕事量が多いとされる委員会だった。
私は、あまり本を読むことが得意ではなかったのであまりここには来ていなかった
が、和は、まるで自分の家のように歩き出し、本棚から本をとる。私もそれを真似て、
隣の本をとって見てみる。
……まったく、意味がわからない本。
なにか偉い人の伝記のようだが、私にはその人がどれだけ偉い人なのかはわからな
い。ただ、和の真似をしているだけなのだから。
「和ちゃん。この人だれ?」
「……えと。野口英世ね。黄熱病の人って覚えておけばいいよ」
なるほど。さっぱりわからない。
勉強ができる上に、ものもよく知っている和は私の誇りだ。彼女の友人になって本当
によかった。
それはそうと、この人がなにをしたかに関してはすでに忘れてしまった。というよりも、
割とどうでもいい。
和は手に取った本を持って椅子に座る。もちろん、私も同じく隣に座って子供百科を開く。
――気がつくと1時10分の予鈴が鳴っていた。
子供百科には涎がついていた。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:31:43.64 ID:ymK+bCTJ0
>>40 こいつはブログで宣言してからスレ立ててSS書いてる他に類を見ないほど自己顕示欲が強いコテ
誰も待ってないのに「ただいま」とか平気で言うから、多分俺らには見えない信者が沢山見えてるんだろう
いくら叩かれても平静を装っているから、ある意味精神力は強いけど、それゆえに厄介
だいたい書き出しが―の多用で深刻ぶった内容にするのが特徴
作家になりたいけどなれないから、しかたなくSSに縋ってるって感じだな
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:36:11.88 ID:RgCN/Skx0
こういうどうでもいいSSは順調に書いて
読みたい律のレズSSは書き手が逃げやがる
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 22:37:05.31 ID:cojKnDqC0 BE:519606634-2BP(2050)
――授業の時間は退屈だ。
国語の時間も算数の時間も、なにもかも。
学校とは、友達を作るために来るものだ。だって、祖母は私にそう言ったのだから。
目の前には黒板。一番前の席に座っている私は、先生からいつも見られている。見
られているのだ。
「――」
今の時間は、なんだったか。
ああ、そうだ。今は理科の時間だ。
醤油の瓶に、どうして二つの穴があいているのか。それについて、先生は一生懸命
私たちに話してくれている。
……あまり、興味がなかった。
「ようするに、空気が入ることで穴から醤油が出るわけです。どうしたの? 平沢さん」
「……」
みんなの視線が私に集まる。
……わからない。
どうしてだろう。
どうして、みんなは私を見ているのだろう。
「唯!」
次いで、和の声がする。
床には、水が滴っていた。
>>46 そのブログも都合の悪いコメは削除してるよね
自己顕示欲が強いのは構わんが自分に都合の良い言葉にしか耳を傾けず、未熟さを省みない奴が
面白い物など書ける訳がない
だからいつまでたっても成長しないつまらない
コテとかはどうでもいいけどVIPで続き物かくなよ
51 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 22:43:32.04 ID:cojKnDqC0 BE:779410229-2BP(2050)
どうやら、私はお漏らしをしてしまったようだ。
気がつけば、スカートは濡れていて、パンツはびしゃびしゃになってしまっていた。
そうなってしまったのは、いつからだろう。
思い出せない。
ただ、周りの同級生は私を非難しなかったのを覚えている。
保健室から帰ってきた私を、みんなは素直に心配してくれた。
これも、普段の行動が影響していた。
普段から、私は周りには優しくしていた。
友達を作るためには、これが一番いい方法だからだ。
遠回りなんて必要ない。
私にとって、友達を作るという行動は祖母から与えられた『存在理由』だからだ。こう
していれば、私は私でいられるという条件じみたものだったのだ。
故に――
故に私は、無意識の中であるが『人に好かれるように』行動していた。
だって、そうでもしないと周りは私に優しくなんてしてくれないと思ったから。
52 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 22:55:24.48 ID:cojKnDqC0 BE:519606926-2BP(2050)
その反面、私は勉強が苦手だった。
というよりも、やる必要がなかったのだ。
なにせ、私には友達を作る以外の必要性を学校という場所に感じなかった。ならば、
勉強なんてしたって意味はない。そう思ったからだ。
「唯、テスト何点だった?」
「えへへー。30点だったー」
本能的に理解していた。
人が、人の結果を訊く理由はつまるところ『優越感』を得たいがためだ。
だから、私が悪い点数をとったところで友達たちは私に対して失望したりはしない。な
にせ、自分よりも下の人間なのだから、歯牙にかける必要はないからだ。警戒する必
要がある要素のない人間に対して、人はある程度は優しくなれる。もとより、私にはそ
ういった要素がなかったので、敵を作る理由もなかった。無害というものは、なによりも
強力な武器となりえる。
53 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 22:57:27.49 ID:cojKnDqC0 BE:1818621476-2BP(2050)
「和ちゃんは100点かー。すごいなー」
そして、相手を褒める。
これで完了だ。これで、自分と対象との友好な関係は継続される。自分を、必要程
度に自虐することで、対象はさらに優越感を感じる。
それは、決して不快になるほどのものではない。運動も、限界に近くなるとつらく感じ
るように、こういったプラスの感情も度が過ぎると不快になる。
だから、私は褒めすぎないし自虐しすぎない。
「でも、お母さんに怒られちゃうかもなー。この点数じゃ」
「大丈夫だよ。唯は他にもいいところがたくさんあるんだから」
そうすれば、私に味方してくれる人だって増えるのだから。
54 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 23:04:13.26 ID:cojKnDqC0 BE:346404724-2BP(2050)
しかし、問題はあった。
確かに問題は存在していたのだ。
「唯―。もう少し、勉強しなさいね」
ほんの少しだけ、咎められる程度なのだが、母に叱られる。
小学生にとって、両親というのは優しいものなのであるが最も畏怖するべき存在でも
ある。
なまじ傍にいるから、評価が低かったり機嫌が悪かったりするとどうにもいい気持ち
はしないからだ。月に一度会う程度の人間相手には在り得ない感情が存在する。
「唯、ちょっと来なさい」
自分の部屋でゴロゴロしていると、祖母がドアを開けて私を呼ぶ。
憂は友達の家に遊びに行っている。
祖母は最近、憂に色んなことを教えていて、そのことに私は少しだけやきもちを妬い
ていたのだが、久しぶりに祖母が私になにかを教えてくれるようだ。なんとなく嬉しい気
持ちになって祖母の部屋へと向かう。
――この家の唯一の和室。そこが、祖母の部屋だった。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 23:14:37.27 ID:7mUQEQMbO
自己主張とかはどうでもいいけど純粋につまらない
悪い意味でけいおんの雰囲気ぶちこわし
笑み社「一瞬外野が静かになった! 今のシーン、自分でも面白いと思ってたんだよな〜♪」
57 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 23:24:08.92 ID:cojKnDqC0 BE:2424828487-2BP(2050)
――和室、というよりも私は祖母の部屋の匂いが大好きだった。
なにか、やさしい。
私を、心まで包んでくれそうな気持ちになる。
そんな部屋が、私は昔から大好きだった。
「唯、ちょっとここに座って」
祖母が優しく笑って手招きする。
それに倣って、座布団に正座する。
この部屋に来ると、なんとなく引き締まった気持ちになる。
どうしてだろうか。
「どうしたの? おばあちゃん」
「うん。唯は、学校楽しいかい?」
やんわりと祖母は話し出す。
それに対して、私は大きく頷く。
楽しいと、答える。
58 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 23:25:56.39 ID:cojKnDqC0 BE:1299015656-2BP(2050)
「そうかい。よかったねえ」
皺だらけの顔に、さらに皺が増える。
祖母は満面の笑みで、また皺だらけの手を私の頭に乗せる。
それは、私が大好きな行動(こと)だった。
でもね、と祖母は話を続ける。
「でもね、学校はそれだけじゃなくって。唯が大人になった時に困らないように、お勉強
する場所でもあるんだよ。だから、少しだけでもいいから、お勉強してほしいな」
――それが、私に与えられた新しい、存在理由だった。
支援
くそつまんねーからもう書くのやめろよゴミクズ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 23:34:10.55 ID:WJbFb7qB0
見てるよ
62 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 23:42:02.85 ID:cojKnDqC0 BE:1299015465-2BP(2050)
それからだ。
私は、また一つ変わった。
勉強をしてみることにした。
そうでなくては、周りが私に興味を持ってくれないような気がしたから。
以前とはまったく違ってしまった。
価値観も、
倫理観も、
優先順位も、
なにもかも。
「ねえ唯ちゃーん! 外で鬼ごっこしようよー」
「……私、図書室行くから、いい」
友達との関係、それがどうでもよくなっていた。
以前まではなによりも大事なのだと心から思っていたのにも関わらず、今の私はまる
でロボットのように学習という一つの行動に傾倒していた。
手には本が握られていて、なによりも優先するべきは知識を増やすことだった。
それが何を意味するのか、私にはわかってなどいなかった。
今まで築き上げてきたものを放棄してまで続けるということが、なにを意味しているのかを。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 23:42:52.72 ID:iR4lbTxh0
ブログ、せめてパー速
64 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 23:47:53.89 ID:cojKnDqC0 BE:173202522-2BP(2050)
――気がつけば、私は1番になっていた。
テストでは90点以下を獲ることはなくなった。
授業中も集中して先生の話を聞いていた。
休み時間は勉強して、次の授業に備えた。
昼休みは友達の誘いを断って図書室で本を読んだ。
私は楽しかった。
頑張った結果が出ることが、なによりも楽しかった。
周りは私の結果を褒めてくれる。
先生は私に良くできたと言ってくれた。
100点をとると、周りは私に注目してくれた。
でも――どうしてか。
どんどんと、友達はいなくなっていった。
そう。
誰も、私を遊びに誘ってなどくれなくなっていたのだ。
親友だった筈の、和も含めて。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/18(木) 23:49:57.21 ID:ymK+bCTJ0
笑み社って「理解されない文豪」を気取ってる感じがする
66 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/18(木) 23:53:38.71 ID:cojKnDqC0 BE:346404724-2BP(2050)
「唯って、変わったよね」
「うん。付き合い悪くなった」
「いつからだっけ? 4年のころからかな」
「そうだね。確かそれくらいだった気がする」
「6年になってから唯と遊んだ?」
「ううん。だって、ずっと勉強してるか本読んでるんだもん」
「唯って、変わったよね。和」
「ホントに。昔は、あんな子じゃなかったのに」
教室の端から、声がする。
私の話をしている。
でも。
どうでもいい。
私は私。
彼女たちは彼女たち。
だから、私はこのままでもいいと思う。
まだ駄文垂れ流してたのかカス
何日もかけて書き溜めてやっと自信をもって投下したのがこれならマジで才能ないわ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 00:02:55.67 ID:O04yCNzMO
SSしか本気で取り組めるものがないんじゃない?
そこらの書き手は単なる暇つぶしやちょっとした自己満足だろうが、笑み社には狂気を感じるわ
それで面白ければいいんだが、内容も文体も痛い中学生が必死にカッコつけてシリアスぶってるようにしか見えない
69 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:03:53.43 ID:+ruT3tdk0 BE:649508235-2BP(2050)
小学6年生ともなると、『異質なもの』に気づく。
自分とは違うもの。
否、自分たち、コミュニティとも言っていいそれとは違うもの。
道を違えたもの。
異端。
そういったものに気がつき、排除しようとする。
子供というものは素直故に残酷だ。
捉えたものは捉えたもの。自分の価値観を絶対としているがために決して曲げな
い。
自分がオカシイと決めたモノには容赦なく烙印を押す。
もとより、動物とは群れで行動するものが多いのだから、人間もそれに該当してもお
かしくない。
だから人は群れる。
コミュニティを作って、部外者との線引きをする。
自分を抹殺せしめんとする天敵に対して、これ以上なく残酷な振る舞いを見せる。
だからこそ、子供は恐ろしい。
ただ、私も自分の価値観を絶対として、それを行動基準として動いているのだから、
文句は言えないのだが。
周りの子供たちにとって、突如、一心不乱に勉強に打ち込みだした私は異質なもの
でしかなかった。
だって、私は彼らに対してあまりにも存外な態度だったのだから。
彼らも、私に対してそういった態度をとったって、おかしくはないのだ。
70 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:10:15.16 ID:+ruT3tdk0 BE:909311437-2BP(2050)
なら、私にとってそれは同じものだ。
因果応報ともいえた。
自分がやってきたものが、自分に対して跳ね返ってきても文句は言えない。というよ
りも、文句を言う相手なんて存在しない。
狂気じみた行動は、たちまち敵を増やしていった。
群れるための行動は味方しか生まないが、孤立するための行動は際限なく敵を生
む。
「今日クレープ食べに行かない?」
「行く行く! 羊の斎藤でしょ?」
声が聞こえても、感じない。
私にとっての存在理由というものは勉強以外に在り得ないからだ。
定められたことをただひたすらに固執する。
それが平沢唯という存在なのだから、仕方がないというものだ。
喩え、大事な誰かのアイデンティティを奪っていたとしても、これを止めることはできな
い。私はブレーキのないクルマ。止めようとするには壊すしかない。
「……ねえ、唯」
そんな私に、かつての親友は話しかけた。
何故か、悲しそうな目をして、だ。
批判してるくせにブログまで読んでる奴がいて吹いたwwwwww
ていうか何回もレスして必死に叩いてる奴は何なの?嫌ならスレ閉じろよ・・・
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 00:16:23.66 ID:dG5ZIItt0
とりあえず完結はさせて欲しい
完結させず落とす奴が一番のクソだ
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 00:16:30.30 ID:6C4sJ7mk0
SSなんて書き手が叩かれてなんぼだろ
叩かれたからって書くのを辞める書き手はクソ
74 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:17:22.87 ID:+ruT3tdk0 BE:519606443-2BP(2050)
「――」
私はなにも答えない。
ちらり、と和の顔を見てからはもう一度本に目を落とすだけだ。
和は私のその態度に怒ったのか、手をとって引っ張る。
……少し、痛い。
「クレープ。食べに行こうよ。唯」
静かに、和は言った。
周りの和の友達は『そんな奴なんかに構わないで早く行こう』といった顔をしている。
なんて、冷たい表情だ。
本を机にしまって、もう一度和の顔を見る。
「――あ」
泣いていた。
その目には、涙が光っていた。
顔を赤くして、肩を震わせて、泣いていた。
あの日とは違う。
私が泣かせてしまった恐怖と怯えの涙とは違う。
――私を、心底心配する涙だった。
支援
見てるよ
で、自演で書くのやめた作者って誰のことだったんだ?
78 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:26:18.23 ID:+ruT3tdk0 BE:519606634-2BP(2050)
「和ぁ……いいよ、こんな――」
「――そんなふうに言わないで! 私、唯が独りでいるのが寂しそうだと思ってたの!
小さいころから一緒に遊んでたのに、突然本を読みだして勉強しだして、テストだっ
て、私よりもできるようになって……。ホント言うと、邪魔だった……」
そうだ。
私は、和の居場所を奪ってしまった。
クラス、否。学年1の秀才という称号を、和から奪い取った。
だから、私は彼女に嫌われて当然だった。
嫌われるものなのだと、私は5年生のころに気がついたからだ。
「でも――! でも唯は私の親友なの。ほっとけなくて、変わってて、そんな唯が大好き
なの。それは……どうしても嘘をつけない……。嘘なんて、つけないの……」
和が私に抱きつく。
私よりも少し大きい彼女の体は震えていて、私に抱きつくというよりももたれかかって
いた。
――それでも、わからなかった。
これだけの言葉を聞いても。
これだけの言霊をぶつけられても。
ここまでの思いを知ったとしても。
私には、彼女の気持ちが理解できなかった。
79 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:35:50.38 ID:+ruT3tdk0 BE:433005252-2BP(2050)
「……」
どうして。
どうして、わからないのだろう。
それが厭だった。
親友だった人が泣いているのに、その気持ちを全く理解できない。
ただ『ああ、この人は悲しいんだなあ』程度にしか感じない。
肘の裏をつねられている感じだ。触られているのは分かっても、痛くも痒くもない。
人の気持ちがわからない。
それは、ほんの少しの恐怖に思えた。
足が、震えてくる。
寒気がする。
他者の痛みを感じないのは仕方がない。私は他者ではないのだから。ただ、理解で
きないというものは意味が違う。男は出産や生理の痛みを知ることはないが、痛いと
いう感覚はわかる。だが、私には悲しいという感情を理解しきれない。
和の顔を眺めていると――先生が焦ったような顔で、教室に入ってきた。
泣いている和のほうへと向かうのかと思った。先生とはそういうものだから。しかし、
先生は私に向かって――
「平沢さん! おばあちゃんが病院に運ばれたそうです。先生が送っていくから早く来
て、憂ちゃんはもう向かってるから」
そんなことを、言った。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 00:36:34.76 ID:BfYOs6QA0
夕方まで保守頼んだ
ねるほ
81 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:44:10.42 ID:+ruT3tdk0 BE:1169113493-2BP(2050)
病院へと向かうクルマのなかでは、なにも話さなかった。
先生も急いでいて、何も話さなかった。
どうして、この人は他人のために頑張れるのだろう。
そんなことを考えていた。
だって、祖母のことは先生には関係がないじゃないか。
なのに、こんなに真剣になって病院へと急いでくれている。
動機も理由もわからない。
でも、その行動は美しく思えた。
人のためになにかをすること。
それを素晴らしいことなのだと知っていても理解ができなかった私は初めて――
――その由縁を知ることができたのだ。
82 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:48:46.19 ID:+ruT3tdk0 BE:2727931897-2BP(2050)
病院に到着すると、先生は受付で祖母の病室を尋ねた。
323号室。それを聞くや否や先生は私の手をとって、走りだした。
その表情には切羽詰まったものを感じる。
「ここね。平沢さん、おばあちゃんはここにいるわよ」
「――うん」
ドアを開けて、愕然とした。
だって、私が見たのはいつも優しい、ほんわかとしたおばあちゃんではなくて――
皺だらけの手で、頭を撫でてくれるおばあちゃんではなくて――
笑顔が素敵な、私の生きる理由を与えてくれたおばあちゃんではなくて――
――機械につながれて、ようやく生きながらえている、ニンゲンだったのだから。
83 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 00:54:41.41 ID:+ruT3tdk0 BE:1039212364-2BP(2050)
手が震えた。
死、というものを連想させられた。
したくてしたんじゃない。これは、連想せざるを得ない状況なのだ。
ベッドの周りには父と母が悲しそうな顔で私を見ている。憂はすでに大粒の涙を零し
ている。
祖母の顔が、見える。
青白い。
体調が悪いとか、そういうレベルではなくて――もうこれは。
「唯、おばあちゃんに声かけてあげて」
母が私を祖母の側に座らせる。
私は、なにをしていいのかがわからなかった。
声をかける、ということも忘れていた。
あまりにもリアルで、あまりにも現実的に、死がある。
命を失ってしまう瞬間、私にもいつか来てしまうその瞬間がここにあった。
喉が、鳴る。
なにも、わからなくなった。
すると――
「ゆ、い――」
声がした。
それは他ならぬ、目の前にいる祖母その人からだった。
84 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 01:03:10.18 ID:+ruT3tdk0 BE:3117636498-2BP(2050)
「――おばあ、ちゃん?」
かすれた声に、耳を傾ける。
きっと、これが最後だと思うから。
死というものは、最後だから。
それを迎えれば、その人の存在は亡くなってしまう。
覚えている限り、人は生きているというけれど、そんなものは綺麗事だ。死ねば終わ
りだ。その人はその場にはいないのだから。
――故に、手を握った。
僅かばかりの体温。
これを、しっかりと。きっちりと克明に刻んでおかなくてはならない。
「唯は、頑張れる子だけれど……。新しいことを覚えると、他のことを忘れちゃう子だか
ら……今度は笑顔を振りまける人になりなさい。唯は、笑顔が一番可愛いんだから。
憂を、守ってあげられるお姉ちゃんに――」
ああ。
そうする。
絶対に、笑顔を振りまける人間になる。
馬鹿みたいに、笑顔でいよう。
憂を、守ってあげられる姉になろう。
「――憂と一緒に、ね。唯」
――それを最後に、その人の体温は消えた。
85 :
廣田 ◆HIROTA/yU6 :2010/03/19(金) 01:05:08.34 ID:k5C33ZF/0 BE:1155696454-2BP(710)
唯の口調おかしい氏ね
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 01:08:53.21 ID:BWLrsmr20
しえん
87 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 01:11:24.67 ID:+ruT3tdk0 BE:1039212746-2BP(2050)
祖母の死。
それを実感したのは、棺に入った祖母を見たときではなかった。
周りの人たちは暗い顔をしていた。
憂はずっと母に抱かれて泣いていた。
それを見た時でもなくて。
火葬場から見た煙でもなくて。
祖母の、白い骨を見てしまった時だった。
それを見た瞬間、実感した。理解した。
――もう、おばあちゃんはいないんだなあ、と。
88 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 01:17:04.62 ID:+ruT3tdk0 BE:519606162-2BP(2050)
空っぽになってしまった和室に、私と和は座っていた。
なにも話さない。
座布団を敷いて、そこに正座していた。
お線香の匂いと、畳の匂いがする。
この部屋の匂いは、大好きだったのに。
今は、なにも感じない。
寂しいだけだ。
祖母がいないこの部屋には、なにも情感がわかない。
和も寂しそうな顔をして私を見ている。
目の前にあるのは、一つの箱。
木の箱だった。
「――唯、これ……」
「うん」
蓋に手を掛けて、開ける。
中には一枚の紙と、小さな紙袋が二つ入っていた。
唯へ。と書かれた紙袋と――
――憂へ。と書かれた紙袋が二つ、入っていた。
89 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 01:31:35.00 ID:+ruT3tdk0 BE:1169113493-2BP(2050)
自分の部屋で外を呆と見ていた憂を部屋に呼ぶ。
まずは紙を開いてみろと和は言う。
大切な友人の提案は聞き入れる他ない。故に、私たち姉妹はまずその一枚の紙を
開いてみた。
「あ」
それは、手紙だった。
祖母が私たちに遺した、手紙だった。
柔らかい字で、ゆっくりと書いてあったそれを読むと、目の前が見えなくなった。
滲んで、字が読めなくなる。
喉から声が溢れる。
これは嗚咽だ。
私たちのために――祖母は用意していたのだ。
いなくなってしまったときのために、私たちに遺してくれていたのだ。
自分の死なんていう、絶対に受け入れたくないものを受け入れて――
――私たちに、笑っていてほしいと手紙を遺してくれていたのだ。
そう思うと涙が止まらなくなって、鼻水も止めどなく溢れてきた。
11月26日と日付が書いてあるのを確認したとたん、私は半狂乱になって泣き崩れ
た。みっともなく、畳に顔をこすりつけて泣いた。
そして、紙袋を抱きしめた。
思えば、私が一番大きな声で泣いたのは、この日だった気がする。
きっと。いいや。絶対にそうだろう。
90 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 01:40:01.72 ID:+ruT3tdk0 BE:606207072-2BP(2050)
ちょっと休憩する。
支援
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 02:04:09.72 ID:qaLvCBEE0
唯の誕生日?
93 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2010/03/19(金) 02:04:25.51 ID:+ruT3tdk0 BE:2771232588-2BP(2050)
どうしても眠い。
私は眠ってしまうけれど、夕方まで保守をお願いしたい。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 02:10:05.90 ID:EzP2wtGG0
キャラ崩壊の度合いが俺の許容範囲をはるかに超えている
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 03:04:44.34 ID:fJOUdvVuO
本当に本当につまらない
キャラに魅力ないし言い回しも下手
主人公が最初からどんどん矛盾していく
なのに文豪気取り
本当に才能ないので気付いてやめろ
平沢家は全室洋室で和室は1室もないけどね。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 05:13:03.19 ID:LOG158mNO
あぶねえ
保守
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 07:35:35.34 ID:4Q27n6xV0
嫌なら見るな
保守
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 08:49:01.09 ID:WMCAoJTVO
保守あーんど支援
豚共見境い無さ過ぎだろ
けいおんSSなら何でもいいのかよ……
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 08:52:32.01 ID:iqI6MxBy0
なんつーか、ラノベしか読んでこなかったんだろうなこいつは
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/19(金) 08:54:30.40 ID:zutKLnUP0
終わった後に笑み社が何を言うかだけ気になる
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
※