1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
美琴「はぁ……」
美琴「会って、なんて言えばいいんだろ……」
御坂妹「お姉様」
美琴「ひゃっ!?」
御坂妹「何をビクビクしているのでしょうか、とミサカは白々しく尋ねてみます」
御坂妹「そしてその手に持っている物は何でしょうか、とミサカは重ねて追求してみます」
美琴「なっなな何でもないわよ!」
御坂妹「この香り……。なるほどやはり、とミサカは内心勝ち誇り軽くガッツポーズします」
御坂妹「それでは失礼します。お姉様のご健闘をお祈りしています、とミサカは余裕の女をアピールしてみます」
美琴「……」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 07:40:17.87 ID:7PxpPTIc0
美琴「えーと、あ。あそこがあいつの病室ね」
美琴「でも……あああああっもう、どんな顔して会えばいいってのよ!」
美琴「その場の勢いであんなこと言っちゃって……考えなしの自分が恨めしいわ」
美琴「後悔……か。あいつは、そんなものとは無縁なんでしょうね、きっと……」
最後に会ったのは、第二二学区だった。少年は酷い怪我を負っていた。
数日後、妹達の一人から連絡があった。あの少年が転院してきたらしい。
可愛らしいリボンのついた紙袋を軽く握りしめる。
中身はクッキーだ。家庭科の授業で作ったもので、お見舞いの品として持ってきたのだ。
ルームメイトの後輩に見つかると面倒なことになりそうなので、焼きあがったそばからラッピングし、
寮へ帰らずにそのまま病院へとやってきた。
美琴「うぅ〜〜、そうだサッと渡してサッと帰っちゃえばいいのよ、そうよそれがいいわうん」
意を決して病室のドアをノックし、間髪入れずに踏み込む。結局は勢いに任せることを選択した。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 07:42:50.15 ID:7PxpPTIc0
美琴「お見舞いに来てあげたわよ感謝しなさい! まぁったくアンタはよっぽど病院が好き……」
当麻「ふぉ!」
美琴「ん?」
当麻「んんっ……ごふっ……ふぅ。なんだビリビリか……急に大声出すなよ」
美琴「なんだとはゴアイサツね。なにそれ、クッキー? 誰かのお見舞いの品よね」
当麻「ん、ああ。御坂妹だよ。ここんとこ毎日来てくれるんだ」
美琴(やられた……!)
当麻「あの、御坂さん?」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 07:53:25.69 ID:7PxpPTIc0
美琴「ん、ああ何でもないわ」
御坂妹(……イェス!)ボソッ
美琴「覗ッ!?」
当麻「あの〜?」
美琴「くっ……げ、元気そうで何よりね。私忙しいからもう帰るわね!顔を見に来ただけだからじゃあねさよならっ」
当麻「なんだ、あいつ」
支援
なんで上条じゃないの
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 08:14:09.76 ID:7PxpPTIc0
美琴「はぁ。結局、渡せなかったな」
肩を落としながら帰路につく。既に日は沈み始めており、空はうっすらと紫に染りつつある。
美琴「クッキー、どうしよう。また明日にでも……」
美琴「ん?」
袖を引っ張られる感触があった。
何事かと振り向くと、そこには見覚えのある少女が物欲しそうな目でこちらを見つめている。
打ち止め「……」
美琴「……」
打ち止め「……」
美琴「あーあはいはい、わかったわよ」
打ち止め「!」
美琴「喫茶店は……と、この近くにはなかったわね。そこのファミレスにしましょ」
打ち止め「勝ったァ! ってミサカはミサカは勝利宣言!」
支援
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 08:39:27.65 ID:7PxpPTIc0
打ち止め「……」ボソボソ
美琴「で、どう? 美味しい?」
打ち止め「ふぉいひぃぉ、っふぇふぃふぁかふぁ」
美琴「飲み込んでから」
打ち止め「ん……すごく美味しいよ! ってミサカはミサカは大人な気遣いを込めてみる!」
美琴「なんだか釈然としないけどありがとう」
自分よりもずっと幼い少女の、小さな手。
じっと見ていると、胸の奥に小さな痛みを自覚する。
打ち止め「ふぉ……ところで」
美琴「なに?」
打ち止め「窓に張り付いているおねーさんはあなたのお友達? ってミサカはミサカは少し不安げに尋ねてみる」
黒子「……」
美琴「ぶふぉっ!?」
打ち止め「ひゃわっ!?」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 08:48:16.39 ID:oioSynkBO
黒子にだけは打ち止めの存在を知られちゃいかんな
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 09:09:55.99 ID:7PxpPTIc0
美琴「黒子……アンタの先輩やってると時々猛烈に恥ずかしいわ」
黒子「何を今更。羞恥に悶えるお姉様が見たいがため敢えての行動ですわ」
黒子「ところでお姉様、この見るからに……ジュルリ……お姉様の近縁にあたりそうなお嬢様はどなたですの?」
打ち止め「〜〜ッ!?」
美琴「え? ああ、その……従妹よ」
黒子「あらあらあらあらそうですのそうですの……なるほど道理ですの……グヒッ」
美琴「打ち止め、ちょっとそいつから離れて。私の隣に座りなさい」
打ち止め「イエッサ! ってミサカはミサカは即断即決で応じてみる!」
黒子「打ち止め? 変わったあだ名ですのね……」
美琴「うっ……」
打ち止め「あのねあのね、その腕章、もしかしておねーさんは風紀委員? ってミサカはミサカは質問してみたり」
黒子「ええ、そうですが……どうしたのです?」
打ち止め「人を探してるの! ってミサカはミサカは怯えながらも打ち明けてみる!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 10:07:00.90 ID:7PxpPTIc0
黒子「どのような方ですの?」
打ち止め「高校生くらいの男の人で、白くて細くてモヤシみたいな人、ってミサカはミサカはわかりやすそうな特徴をあげてみる」
美琴「……」
打ち止め「それでねそれでね、とっても優しくて、いつも強がってるけど、とっても寂しがり屋さんなの、ってミサカはミサカは言いたい放題言ってみたり」
黒子「なんだか要領を得ませんわね……。その方のお名前は? あなたとはどのようなご関係ですの?」
打ち止め「うんー、名前?」
黒子「?」
打ち止め「本当の名前はわからないけれど、とっても大切なひと、ってミサカはミサカは期待を込めた目で見つめてみる」
黒子「ムホッ……失礼、電話ですの」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 10:08:40.02 ID:7PxpPTIc0
美琴「……」
事情はわからないが、打ち止めはあの男……一方通行を探しているらしい。
他の妹たちからそれとなく彼のその後≠聞いてはいても、危険を感じないわけではなかった。
しかし、この少女があの男の話をしている時の、優しさを湛えた横顔。
暗い感情の一切がないことが窺い知れた。あの男を、子犬のように信頼しきっているようだった。
黒子「お姉様、緊急のお仕事が入りましたので、黒子はここで失礼いたします」
黒子「あら? そちらのお嬢様、眠ってしまいましたのねフヒッ」
美琴「あ……」
黒子「尋ね人の件ですが、風紀委員の方で手配しておきますの。連絡はお姉様を介して、でよろしいですの?」
美琴「ええ。そうしてちょうだい」
黒子「それではお姉様、ご機嫌よう」
いいわよ
上条さんとくっつか無かったら、この美琴はとても良い美琴
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 10:12:19.58 ID:7PxpPTIc0
超遅筆すみません
謝る暇があるなら書いてくれ
これはもしや一方さんルートか?
ほうほうこれは期待できそうだ
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 10:48:19.69 ID:7PxpPTIc0
自分の肩に頭を預けて寝息を立てる少女を見遣りながら、ふと考える。
この娘たちが生まれたこと、生きていること。それ自体はおそらく手放しで喜ぶべきことなのだ。
それは誰にも否定はできないし、誰にも否定はさせない。
でも、生きることを許されなかった娘たちがいた。
絶望的に短い余命を予め定められていた彼女たちには、もう何もしてあげられない。
償うこともできない……いや、そもそも償うなどと傲慢の極みなのではないだろうか?
美琴(結局、何をやったところで自己満足でしかない。要は……)
美琴(私がどうしたいか、なのよね……)
美琴(わからない、なぁ)
既に気疲れしてヘトヘトになっているため、心地良い眠気に誘われる。
そっと、小さな少女の肩を抱く。
美琴(ねぇ、アンタたちは……少しでも、後悔しているの?)
――生まれ落ちたことに。
そのまま、深い眠りに落ちてゆく。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 10:58:51.90 ID:OaVuetLGP
こいつは支援だ
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 11:20:54.86 ID:7PxpPTIc0
陽炎のような街で、その少女は目を覚ました。
記憶を辿り、自分が何者であるかを確認してみるが、それは叶わなかった。
何かを思い出そうとしても、あと少しで届かない。
大事なことを忘れているのはわかるのだが、それだけだ。具体的な内容まで辿り着けない。
代わりに溢れてくるのは、怒りとも悲しみともつかない、得体の知れない感情だった。
それが猛烈な吹雪のように身を苛む。
一体どうすれば、この感情から逃れられるのか。
いてもたってもいられなくなり、少女は歩き出す。
幽かに残された記憶の残滓を頼りに、暖かい場所へと。
上条「う〜ん……ん?」
上条(今、誰かが傍にいたような)
イン「すかー」
上条「うあ、またか。インデックスのやつ、お見舞いに来てくれるのは有り難いんだが……」
上条「いつもお見舞い品を食べ散らかしてはすぐに眠るよなぁ」
げんなりしつつ、病室を見渡す。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 11:52:22.39 ID:7PxpPTIc0
病室の壁から扉へ、扉からまた壁へ、視線を這わせる。
目を覚ます直前、誰かに顔をのぞき込まれているような、独特の生暖かさを感じたはずだった。
上条「やっぱり、誰もいないよなぁ」
再びベッドの右手で呑気に寝ているインデックスへと視線を戻そうとした途端、
上条「おわぁあ!?」
見知った少女がそこに佇んでいた。
上条「ビリビリ……?」
まるで虚空から突然現れたように感じた。さっきまでは、そこには確かに誰もいなかったはずなのだ。
不思議に思ったが、それより気になることがあった。
彼女の表情は、明らかに平常のそれではない。
寒さに凍えたような、痛みを我慢するような……一見して、まともではない体調であることが明白だった。
上条「お、おい、お前どこか悪いのか?」
美琴?「……」
何かを呟いたようだが、あまりに小さな声で、上条の耳までは届かなかった。
しえんぬ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 12:04:01.96 ID:7PxpPTIc0
上条「御坂?」
右手を伸ばし、彼女の手を取ろうとしたが、
美琴?「!」
彼女は慌てて離れる。何かに怯えているように。
上条「あっ……悪い」
美琴?「??」
どうして咄嗟に離れたのか、自分自身でもよくわからない、といった風情で少女は首を傾げる。
上条「御坂、本当にどこか具合が悪いんじゃないのか?」
美琴?「……」
少女は黙って首を振る。
不意に、病室の扉をノックする音が聞こえた。
御坂妹「失礼! 入ってもよろしいですか? 入ってもよろしいですね? 入りますよ! とミサカは焦りを隠さずに強引にお邪魔します」
美琴?「!」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 12:11:22.52 ID:7PxpPTIc0
少し寝ますのでもしスレが残っていたら続き書きます。落ちたらたてます。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 12:14:03.19 ID:VIqUqDTqO
なんだよーいいとこでー支援なんだよ
si
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 13:04:58.35 ID:YkMgBJbh0
し
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:03:05.19 ID:xbuprpNW0
保守
ほ
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:53:31.94 ID:zIf1TV5n0
も
ほ
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:21:15.16 ID:rdDB+UUvO
さ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:22:24.88 ID:Uqzs/sLs0
ほ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:02:30.94 ID:7PxpPTIc0
がちゃり、と扉を開ける音が聞こえた直後、少女は身を翻し、窓の鍵に手をかける。
御坂妹が室内へ一方踏み出した時には、少女は既に窓から飛び出していた。
御坂妹に気を取られた隙に起きた、一瞬の出来事。止める暇はなかった。
上条「あっ……おい!」
御坂妹「っ!」
ベッドの上の少年を一瞥してから、慌てて窓から飛び出した少女の影を追う御坂妹。
御坂妹「失礼また後ほど!」
上条「って、お前もかよ!」
上条「まったく、なんだってんだ? 二人とも」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:03:35.68 ID:VIqUqDTqO
やっときた
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:11:54.57 ID:7PxpPTIc0
美琴「……ん、んぅ」
美琴(着信……?)
ごそごそとポケットから携帯を取り出し、発信元を確認する。
美琴「あわわわわわわわわわわ、すーはーすーはー……はい、もしもしゅ」
上条『御坂!? よかった無事か……心配したんだぞ!』
美琴(噛んじゃった……)
美琴「ええと、何? 無事かと訊かれても……よくわからないけど。し、心配って……その、ありがと」
上条『ん……? やっぱり違ったか?』
美琴「なにがよ?」
上条『え? あれ……えーと、ん?』
美琴「ちょっとちょっと、落ち着いて最初から話してみなさい」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:18:24.00 ID:7PxpPTIc0
美琴「それ、妹達じゃないの?」
上条『いや俺も自信があるわけじゃないけど。どうも雰囲気があいつらとは違ったし。それに……』
美琴「何」
上条『短パンだったし』
美琴「ほぅ」
上条「美琴さん? なにかミシミシ言ってるんですが……!?」
美琴「アンタは病室で、私とそっくりな女の子を相手にななナニをいたしていたのかしら?」
上条『違うのです窓から飛び出した時にチラリと見えただけでして上条さんは決してナニをいたしてなど! っていうかナニって何!?』
美琴「……。はぁ」
美琴(まぁ、こいつのことだから、どうせまた何かに巻き込まれているんでしょうね……っても今回は私も当事者なのかしら)
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:21:59.60 ID:xbuprpNW0
支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:35:32.71 ID:7PxpPTIc0
美琴「とりあえず、私の方で心当たりを探って……って」
窓の外。二つの人影が疾走しているのを視界の端に捉える。
少し送れてもう一人、馴染みのあるツインテールのシルエットだが、先行する二つの影を追っている。
美琴「ごめん、また後で連絡する!」
上条『ちょっ』
携帯電話の通話を切って腰を浮かしたところで、はたと思い出し、隣の少女へと視線を移す。
少女は既に目を覚ましていたようで、愛くるしい瞳をじっとこちらへ向けている。
打ち止め『大事なお話があるの。ってミサカはミサカは引き留める』
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:49:50.68 ID:Ih0XFxmH0
C
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 18:13:53.41 ID:MGa4m/p90
ほ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 18:24:11.37 ID:7PxpPTIc0
御坂妹(さて……その場の勢いで後を追ってみたものの、ミサカはいったいどうすべきなのでしょうか、とミサカは自問してみます)
御坂妹(このように考えなしでは、お姉様のことを言えた義理ではありませんね、とミサカは軽く自分にガッカリです)
御坂妹(先ほどのあの感覚は……)
御坂妹(極めて微弱ではあったものの、あの時のものと動揺……いえ、類似していました)
そして、眼前の事実。少し先を逃げ惑う少女。
御坂妹(でも、だとすると……と御坂は深く思案します)
御坂妹(それにしても……)チラッ
黒子「ドゥフッ、ドゥフフ」
御坂妹(……)ゾワッ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 18:49:36.79 ID:7PxpPTIc0
黒子「ドゥフ……はっ、電話ですの……えっ?お姉様?」
美琴『もしもし黒子? アンタ今どこにいるの?』
黒子「ハァハァ……○×通りですわ! お姉様こそ……えっと。わたくしも状況がよくわからないのですが」
美琴『お願い何も訊かないで。そこに私にそっくりなのが二人いるわよね』
黒子「ハァハァ……ええ。可愛らしいお尻をフリフリさせてわたくしを誘っておりますわよ? ハァハァ……」
美琴『ってアンタ、テレポートは使わないの?』
黒子「水色の……ハァハァ、ストライプデュフッ」
美琴『……』
黒子「あら、ゴーグルを頭に掛けている方が、道を逸れましたわね。来た道を戻って行くようですの」
黒子「どうしますの?」
美琴『そのまま追ってちょうだい! 短パンの方!』
黒子「了解いたしましたの」
黒子さんパネェっすwww
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:16:18.20 ID:7PxpPTIc0
黒子(あのお姉様のような女性……逃げているというより)
黒子「もしもし、お姉様。黒子ですの」
美琴『ええ。何かあった?』
黒子「わかった、というほどではありませんけれど。まるでどこかを探している風ですの」
美琴『探している?』
黒子「今、○×通りから外れて、南西の方角へ向かっているのですけれど!」
美琴(南西っていうと)
足を止め、しばし思い返す。
ほんの少し迷い、やがて確信する。力強く地面を踏みしめ、再び走り出す。
操車場へ。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:49:00.26 ID:7PxpPTIc0
黒子(さてさて)
積み上げられた貨物コンテナの上から、黒子は辺りを睥睨する。
黒子(ここが目的地ですの? デートスポットにしちゃ殺風景すぎますわね)
眼下にはぽつん、と見知った顔の少女が佇んでいる。
特に何をするでもなく、先ほどからじっと俯き、動かない。
黒子(でも……何か様子がおかしいですの)
突然、美琴風の少女がぐらりと揺れ、膝をついた。
黒子「ちょっと貴女、どうしましたの!?」
黒子は反射的にその少女の傍へテレポートし、肩へ手を伸ばす。
が、その瞬間。
少女の背中から輝く力の本流が吹き上がり、黒子は意識を失った。
ふむ、支援だ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:24:06.03 ID:7PxpPTIc0
疾走する美琴は、立ち昇り蠢くそれを目にし、焦燥に駆られる。
――えーあいえむかくさん力場? っていうのかな?
――ミサカたちは、その力場の集合体を現出させるために創られたみたいなの
ってミサカはミサカは打ち明けてみる
九月三〇日。あの日、何があったのか。何を見たのか。
あの少年や銀髪のシスターとのやりとりを通し、おぼろげながらも、少しは理解していた。
――あのときは、ウィルスを流し込まれていて意識がほとんどなかったけれど
――あのコは、ミサカたちが生み出してしまったようなものなの
ってミサカはミサカは申し訳なさそうに説明してみる
掛けたピースが埋められてゆく。
彼らは、助けたいと言っていた。友達だと言っていた。
――たぶん今は、「上書き」のような状態だと思う。
――イレギュラーだから、時間が経てばすぐに元に戻るはずなのだけれど、行ってあげてほしいの。
――ううん。あなたのためにあなたが行くべきなの
ってミサカはミサカは懇願してみる
また、私は生み出してしまった。今度は他人を巻き込む形で。
「最低だ……私っ」
息を切らせながら、美琴はもう一度見上げる。
夜空を覆う、天使の翼。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:25:22.30 ID:7PxpPTIc0
きゅうけいしま
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:28:57.32 ID:JVB42fb00
ho
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:56:29.09 ID:JVB42fb00
支援保守
あ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:36:56.96 ID:7PxpPTIc0
「……黒子」
歯噛みする。大事な後輩と連絡がつかない。
信頼しているとはいえ、あの事件の痛々しい痕跡を思うと、最悪の予感が頭を過ぎる。
失敗した。咄嗟のこととはいえ、追跡は中断させるべきだっただろうか。
と、何十回目かのコール音で、ようやく電話が繋がった。
「黒子っ! 無事なのっ!?」
「……」
「黒子! 返事をしてちょうだい!!」
『……チッ。大声で喚くンじゃねェよ』
「……アンタ!!」
『心配すンな。コレの持ち主は無事だ』
「ありがとう」
そして、操車場へ。
暗闇を切り裂くように、光翼は震え、唸りを上げていた。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:48:17.63 ID:7PxpPTIc0
元々の彼女≠ェ、どのようにして生まれたかまでは定かではない。
命令文が集まったプログラムコードは、しかし所詮プログラムでしかない。
プログラムには能動性がない。目的をもってアプリケーションを動かすはずの、意志そのものが存在しないのだ。
知性、意識、クオリア……大昔から議論の余地が耐えることはなく、人類がその深部まで踏み込むことも能わず、
未だイデオロギーの論争の舞台となっている領域。有り体に言えば、心だ。
彼らが友達だと断言した元々の彼女≠ノは、確かにそれがあったように思える。
――もともと、人の脳は微弱な電磁波……脳波を発しているよね、ってミサカはミサカは少し確認してみる
しかし、元々の彼女≠ヘ、あの日を境に自らの心を閉ざしていたらしい。
――最強の電気使いであるあなたの脳波が、上位個体であるところのミサカの脳を通してミサカネットワークに流れ込み
混線≠引き起こしたの、ってミサカはミサカは推測だけで断言してみる。
脳波から具体的な思考を分析することはできないが、逆に言えば、曖昧な精神状態……感情図は容易に読み取るができる。
たとえば……怒り、悲しみ、そして、後悔。
では、それらの心≠ェ、器に流し込まれたら?
だったら、今にも泣きそうな顔をして蹲っている少女は?
――あのコは、今はあなたなの。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:09:21.97 ID:JClHkM4C0
C
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:25:14.26 ID:7PxpPTIc0
蹲る少女は、言い得ぬ感情に身を苛まれている。
その正体は、彼女自身にはわからない。
この気持ちを、きれいさっぱり拭ってしまえるようなそんな方法はないだろうか。
どうしたら、楽になれるだろうか。
こちらに向かってゆっくりと近づいて来るあの女の子は、その方法を知ってはいないだろうか。
ふと、何かに気付いたように、蹲る少女は顔を上げる。
その顔を私は知っている。
すべての、元凶。
曖昧な記憶を掘り起こし、そこから湧き出す感情に身を委ねる。
生まれたばかりの少女は、感情を制御するだけの術を備えていない。
そして、自分を苦しめているこの感情の、矛先を向けても良い相手を見つけた。
傍らで、心配そうな顔をしてこちらを見下ろしている少女。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:35:34.78 ID:7PxpPTIc0
眠い…
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:09:48.65 ID:7PxpPTIc0
「……どうしてよ」
「どうして、私《アンタ》が、のうのうと生きているのよっ!」
一〇〇〇〇人ぶんの重み。
あれから、幾度となく朝を迎え、夜を過ごしてきた。
日が沈み、夜が明ける。
日だまりの暖かさ。染みる夜気の心地よさ。
でも、そこには彼女たちはいない。
そんな当たり前の現実に、彼女たちはもう触れることができないのだ。
「答えてっ……!」
「……」
美琴は答えられない。
死ねば償えるのか? 違う。それはこの少女もわかっているはずだ。
そうでなければ、これほど苦しむことはない。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:32:50.96 ID:sulZvHH60
sien
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:37:35.90 ID:7PxpPTIc0
少女は翼を強引にねじ曲げ、美琴に向かって振り下ろす。
音もなく、高速で急降下する翼。
気付くのが一瞬遅れた美琴は、既に躱すタイミングを逸している。
(当たる――!?)
身を竦ませた瞬間、横合いからの轟風が美琴の身体を吹き飛ばした。
地面を転がると、反動を付けて飛び起きる。
(今の……)
第三者がいるのかと、周囲を見渡そうとするが、余所見している暇などなかった。
翼の鉄槌は、美琴の肉体を容赦なく砕き潰そうと、間断なく襲いかかる。
凌ぎきれないと感じ取った美琴は、頭上からの追撃をなんとか躱しながら、翼の少女と距離を取る。
不意に、翼の少女の頭上、三〇メートルほどの空間に輝く球体が出現した。
球体の周囲で轟々と風が唸りを上げている。
高電離気体《プラズマ》。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:44:51.74 ID:7PxpPTIc0
堆く積み上げられたコンテナの上。
白くて細くてモヤシのような男が、月を背にして佇んでいた。
「一方通行……」
美琴からは見えないが、足許には気を失ったツインテールの少女が横たわっている。
白い男はこちらを一瞥した。
(何をチンタラやってやがンだ)
狂気を孕んでいたはずの赤い瞳が、そう告げているようだった。
なんかよくわかんえ
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 00:08:26.50 ID:kzZ+0vWG0
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 00:10:16.38 ID:ybIrg0jO0
少女の翼を構成する羽根の半分ほどは、
丁度それと重なるように現れた巨大な高電離気体により
焼かれ、蒸発し、分解されてゆく。
だが、消える端から即座に新しい羽根が生み出される。拮抗状態だ。
美琴は即座に少女との距離を詰めようと走りだす。
やはり残りの羽根による攻撃が美琴を襲うが、一方通行の牽制もあり、
わずかだが回避行動に余裕が生まれている。
「お願い、聞いて!」
少しずつ、距離を詰めてゆく。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 00:14:03.37 ID:ybIrg0jO0
しかし――
(あと何分残ってやがンだ……!)
(正確にはわからねェが、あと一分もねェんじゃねェのか!?)
一方通行は仕事を終えたばかりのところを、足許に転がるこの風紀委員に見咎められ、追い回された。
仕事なのだろう、詳しい理由は何もわからないが、なぜだかしつこく食い下がってきた。
何しろ空間移動能力者だ。杖をついたままでは話にならない。
仕方なくチョーカーのスイッチを入れ、全力で逃亡にかかった。
だが、巻いたと思ったら、今度は風紀委員は妹達を追いかけていた。
不審に思い、跡を付けてみたらこの有り様だ。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 00:35:58.46 ID:5nRedZKl0
C
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 01:11:36.27 ID:QAZ63fSG0
支援
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 01:16:02.65 ID:y+4catlU0
氷華をMNWが上書きしてる状態なんだろうな
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 01:55:29.04 ID:y+4catlU0
ほしゅ
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 01:56:32.91 ID:/jyjEamBO
星
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 03:10:36.85 ID:uSYZmGaZ0
ほ
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 06:06:36.40 ID:ybIrg0jO0
寝落ちしました
今晩か週末か立て直すべきかな
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 06:17:38.26 ID:Sj83llbv0
続けるんだ
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 06:23:54.68 ID:ybIrg0jO0
書きたいけれど流石に会社はサボれmせん
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 06:26:51.77 ID:Sj83llbv0
じゃあ保守
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 06:30:24.67 ID:ybIrg0jO0
ではもし落ちていたら金曜の夜に立て直します、短いし最初から
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 07:26:31.91 ID:5s7vxAwy0
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 07:30:54.75 ID:ybIrg0jO0
その通りです。わかりづらくてすんません
では会社行ってきます
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 08:47:25.21 ID:c52d1ImGO
ムハァ
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 11:11:58.51 ID:hYDPFgRfO
オァァーッ!
ほ
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 12:43:20.44 ID:63jiwL1o0
今晩みたいから保守だこのやろう!
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 12:46:39.01 ID:s8X2YyUR0
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 13:10:03.77 ID:nakcjlDt0
お
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 14:06:53.62 ID:nakcjlDt0
い
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 15:22:32.34 ID:nydHaJFd0
落とすわけにはいかんぜよ
ほ
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 16:47:21.87 ID:URhJ9fFpP
ん
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 17:55:14.58 ID:5nRedZKl0
ほ
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 18:21:52.52 ID:63jiwL1o0
保守
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ぽ