そんな細かい工作をしていると、俺は本気でノンちゃんが好きになってしまっていた。
どうやら俺は一度思い込むと突っ走ってしまうタイプらしい。
そのせいでこれからも色恋沙汰以外でも多くの災害がつきまとうわけなのだが。
キサちゃんは最後の大会の為に部活に打ち込んでおり、春休みのように時間は取れなかった。
学校推薦で専門学校に行くことから大会が終わっても秋の大会まで練習参加しなければならなかったので
1か月に会えるか会えないかといった状況が続いた。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:13:34.02 ID:f61zwrmW0
そして夏が来る。
夏には体育大会があり、体育大会は三年生こそ一番盛り上がるイベントなのだ。
そして三年生時はクラスの1/3程度が団リーダーに就任するので、投票ではなく、立候補制なのだ。
ノンちゃんはバイト先に元彼がいる為、いづらくなってバイトを辞めていた。
そんなノンちゃんに団リーダー面白いからやってみなよと俺はさかんにすすめていた。
さすがにノンちゃんとて鬼ではない、その頃には敵意も和らいでおり、
普通の会話くらいは普通にしてくれるようになっていた。
「じゃあやってみようかな」
そう言った瞬間から俺はトレーニングを開始していた。
少しでもリレーor100mでいいとこ見せる為じゃい!
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:14:27.40 ID:f61zwrmW0
団リーダーが決まった。
メンツは男はかなり面白い奴ばかりで、俺から見たら女はノンちゃん以外オールブスという奇跡の布陣になった。
いや、いい子ばっかりだったんですけどね。
ノンちゃんはあまり喋るタイプではない。
なので俺がノンちゃんの意思を翻訳して代弁をすることがままあった。
深まる絆!なんて調子こいてると練習中に彼氏が迎えにきやがったりする。ちきしょう[ピーーー]。
でもノンちゃんは頑張り屋さんで彼氏に遅くなるからまた今度ねとか言って断ることが多かった。エラい!
ハァ・・・俺本当にクズだわ。
そんな中事件が起こった。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:15:11.63 ID:f61zwrmW0
進学校では「俺って悪だぜぇ〜」みたいのがかっこいいという風潮があるのだ。
普通の喫煙者はバレないようにタバコを吸うのに団リーダーの一人が練習中やチャリに乗ってる時にタバコを吸うのである。
俺達は全員それを咎めていたのだが、そいつは
「これはタバコ吸う奴しか分からんと思うけどないとしんどいんよ」
なんて言ってやがる。(そいつは喫煙者は自分だけだと思っていた)
バージニアスリムライトみたいな女子供が吸うようなタバコ吸ってアホか!
こっちゃショートホープ我慢しとんねや![ピーーー]!なんて思ってた。
すると、そいつは案の定補導された。
そして巻き添え食って学校外での体育大会の練習は規制されることになった。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:15:55.36 ID:f61zwrmW0
実際練習何回しようがたいして変わるものではない。
単純にみんなでワイワイやりたいだけなのだ。サークルみたいなものだ。
それが学校のみになると面白さ半減てか消滅。途端に皆やる気を無くした。
最低限の振り付けを合わせ、即帰るという最悪の流れが出来上がってしまった。
俺がショボーンとしているとノンちゃんは
「練習できる時間少ないけど頑張るしかないよ」なんて言ってた。
いやいやそういうことじゃないんだよ。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:21:24.18 ID:F9HxJ6420
この話かなり前に読んだ気がするけど気のせい?
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:25:51.91 ID:wZck7T8oO
さるさん喰らったか
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:37:37.51 ID:1JPFNpvV0
新キャラ出るたびに食ってんなwww
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:45:41.76 ID:JlyxIDxB0
つづきまだー?
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 01:56:46.14 ID:wZck7T8oO
さるさん喰らってるくさいな
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:05:30.28 ID:f61zwrmW0
体育大会前日
当日、団リーダーは皆より早く来て会場設営や最後の練習を行う。
一年前二人だけのデートをしていた時に戻ったみたいだ。
前日は男は友人の家に泊まることになった。
ここで面白い奴がほぼ全員来ていた為、翌日4時起きにも関わらず、
俺達は日本酒を飲みだした。結局寝たのは2時半だった。
当日
頭がグワングワンする中、学校へ向かう。全員顔が土気色だ。
会場設営の際、5メートルくらいの高さから落ちそうになる。アブネーアブネー。
応援の際、バク転5回転くらいしながらはけていく場面があるのだが、
終わると全員吐きそうになっている。
こんなんで走れんのか?俺。
100メートル予選が始まる。
なんとか一位で決勝に進むことが決定した。
おうおう団席沸いとる沸いとる。
リレーが始まる。
サッカー部は抜けたが、陸上部はやっぱはえーでも離されもしなかったぞ。
100メートル決勝が始まる。
その頃は体調も戻り好調!でも三位だった。ま、いっか点数入るし。
そんな感じで淡々と体育大会は終わった。
本当はもっといいとこ見せたかったけど頑張った方だし、いっか。
問題は夜の体育大会である。
夜の体育大会には全員が参加した。
俺はハナからノンちゃんにスッポンディフェンスをかます気満々だった。
というか極端に人見知りなノンちゃんも友達があんまりいないというか話せる奴が俺くらいなので
自然とそんな感じになるのだ。
酒も入り、俺は酔ってもいないが酔ったフリをしてノンちゃんに聞いていた。
「あのさ、高杉(彼氏)と付き合ってるよね?」
ノンちゃんは「そうだよ」と答えた。
「どういうところが好きなん?」
と聞くと「うーん・・・」と考えこみだした。
ノンちゃんはかなり酔ってそうな感じなんで普通に受け答えができなかっただけかも知れない。
そしてしばらく考えた後に「私を好きなことかな」なんて答えた。
俺は頚椎くらいまで(俺もお前好きだし!)と出かけたが、
ノンちゃんは「誰かさんと違って」なんて嫌味たっぷりで言った。
俺は苦笑いをするしかなかった。
俺は「いい奴なん?」と聞いた。
その頃は酔った演技をするのも忘れていた。
するとノンちゃんは「分からない」と答えた。
ハァ?とでかかったが、女なんて皆そんなモンなんかねと思い。
俺は「ふーん」と言うだけだった。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:07:35.59 ID:f61zwrmW0
酒はオーケーでも人ンチなので、タバコはNGだ。
俺はタバコを吸う為に外に出て、月を見ていた。
綺麗な満月だった。
当時バイブルだった難波金融道で、
「三日月より満月よね、だって満月は人の心に刺さらないもの」
みたいな感じのことを市村朱美さんが言っていたが、それが分かる気がした。
すると向こうで話す人がいなかったのか、ノンちゃんがトコトコやってきた。
満月の下で見るノンちゃんは一段と可愛かった。
俺は市村朱美さんの言葉をまんまパクって言った。
「そうかもね」とノンちゃんは言った。
「私を月に例えたら満月?三日月?」なんて聞いてきた。
そこで俺は、どっちでもないと言った。
「じゃあ何?」と聞いたノンちゃんに
「月は俺の方。月って言うのは太陽に照らされてるデクノボウに過ぎんからね。ノンちゃんは太陽だったよ」
なんてことを言い出した。実はこれも難波金融道で金畑社長ってのが言った台詞なのだ。
うわー俺クセー。しかも引用元が漫画ってサミー。
なんて思ってたらノンちゃんはポカンとしてた。
は、はずしたぁ〜〜〜〜。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:08:59.95 ID:f61zwrmW0
タバコも吸い終わったし、戻ろうと思ったらノンちゃんが後ろから抱き付いてきた。
ここでノンちゃんが「私をあなたを太陽にして!」とか言ってそれが今の奥さんです。
ってなったらうまくオチもついたけど、そうじゃなかった。
ノンちゃんは泣いてた。
俺はどうしていいか分からず沈黙。
「いっつも無責任なことばっか言って」みたいなことをチアノーゼを起こすかの如く
ひっくひっく言いながら泣いてた。
何か人の気持ちを弄んだみたいで自己嫌悪に陥った。
泣きはしなかったが泣きたい気持ちだった。
落ち着くまで部屋には戻れないので夜の道を散歩することになった。
ノンちゃんはずっと泣きやまなかった。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:09:41.40 ID:f61zwrmW0
公園があったのでブランコに乗った。
俺は乗り物酔いが極端にひどく、あらゆる乗り物で酔うのだ。
ブランコとて例外ではなく、バッチリ酔った。
「ブランコ酔いした」と俺が言うとノンちゃんはようやく笑顔を見せてくれた。
落ち着いて話をしだした。
ノンちゃんは最初ほとぼりが冷めたら俺に謝ろうとしてたらしい。
でもそう思ってる時に俺とキサちゃんが一緒に帰ってるとことか見てたらしい。
そんで超やきもち焼いてたんだそうだ。しかも美人だったしムカついたんだそうだ。
それで高杉ってのにちょうど告られてたしOKだしたそうだ。
最初は冴えん奴だと思ってたんだけど案外男気もあって優しくて自分を好いてくれるから
好きになったんだけど、俺がノンちゃんチャチャ入れだしてから心が揺れだしたらしい。
こんな私ヤダとか言ってた。
俺こそそんな思いさせてゴメンと思った。
ハァ、マジで思い出す度に自分が嫌になる。
「じゃあこれからは友達になろう、これは友達からの意見、
よく知らんけどその高杉って奴を大事にしてやってくれ」
なんて言った。どんな奴でも俺よりゃマシだろ。
ノンちゃんは「ハイ」とか言ってた。なんで敬語やねん。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:10:23.51 ID:f61zwrmW0
夜の体育大会も終わって気持ちの整理もついて、気分新たに受験モード。
なんせノンちゃんのことばっかり考えてたんで塾ずっとお留守だった俺。
自分で設定したカリキュラムをこなす為に一日18時間勉強を繰り返すことになった。
そうこうして1か月、キサちゃんの部活強制が解けた。
そこで俺本当に最悪だけど、これだけは話しておかなきゃならん!と思って、
キサちゃんに聞きたくないかも知れんけど聞いてくれと
クイズとかリサさんとかユウコとかノンちゃんのことを話すことにした。
娘十八番茶も出花って言うじゃん。
そんな大事な時間をこんなクズみたいな奴と過ごしていいのかい?と。
しかもキサちゃんと付き合ってたのにノンちゃんの気ひこうとしたりしてたよと。
まぁ馬鹿だったね、てか若かった。
「大事なのは過去じゃなくて現在と未来よ!」とか言って欲しかったわけさ。女々しいことに。
当然キサちゃんは聞きたくなかったわけで、その場では怒ってなかったけど
目に見えて凹んでた。帰った後にすぐにメールが来た。
「これからエッチしてる時も○○が他の人とエッチしてる姿想像しそうで怖い。別れよう」
みたいな感じだった。悲しくてみぞおちにボディブローを喰らったみたいだったけど
俺もこうなることも覚悟して言ったわけで別れることになった。
ただ最後は「ごめんね」じゃなくて「ありがとう」で締めました。
これが精一杯の誠意。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:11:04.38 ID:f61zwrmW0
残すはいよいよ受験のみ。
高校の三年間はこの為だけにあると言っても過言ではない。
と自分に言い聞かせて、ひたすら勉強した。
今はセンター試験900点満点らしいが、俺の時は800点満点だった。
俺の志望校に受かる為には680点以上は欲しいとこだった。
しかし俺は○○大OPみたいな模試は得意でAかB判定だったが
センター形式の試験が滅法苦手でいつもはかったかのように640点程度だった。
二次試験の配点が高いから今思えば大したことないトリビアルだけど
受験生は物凄くナイーブなのだ。
うわー落ちる落ちるこえー。とか思ってた。
そんな中、キサちゃんからメールがあった。
「お久しぶりです。今何してる?」みたいな軽〜いメールだった。
「受験勉強だよ」とか返すと、「もし今度暇だったら勉強教えてもらってもいい?」とか来た。
キサちゃんは推薦だし、本気で何を考えているか分からなかったけど、
いくら自分が受験でしんどいからって昔彼女だった子の頼みを断るなんて日本男児として断じてできんったい!
「いいよ、じゃあ日曜ね」とか送っておいた。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:11:45.13 ID:f61zwrmW0
ちなみにキサちゃんと別れてから二ヶ月後くらい。その間双方向からの連絡一切無し。
日曜ウチに来ることになった。
教えて欲しいってのは簿記のレポートだった。
いやいや、俺簿記とかやったことねーっすから!
とか思いながらも一緒に参考書を読みながら問題を解いていった。
いや、はて、しかしおかしいな。
勉強はできる子だったし、学校の課題程度で根を上げる子じゃなかったはずだが・・・
さてはこいつ、俺がまだ好きだなしめしめ。とかブラック俺が思い出した。
本当こういうところ直したい。
そんな妄想をしているとキサちゃんは携帯メールを打っていた。
俺はサッと携帯を取り上げて「誰?彼氏?見せて見せて」とか言ってた。
するとキサちゃんは超嫌がってバスケのヘルドボールの携帯版みたいな感じになりだした。
やべー、俺のことまだ好きなんかと勘違いしたけどこの反応ガチで彼氏じゃん!
いや、しかし彼氏だったら別に「ウン、彼氏だよ」でもよくね?
てか普通女の子はメール見られんの嫌がるよなぁ・・・うわぁ俺マジで最悪・・・
でもここまで来たら後にはひけんのじゃい!
「いやいや、携帯壊れるよ。彼氏だとしてもじゃあ勉強教えんよ
なんて言ったりせんし、怒ったり不機嫌なったりせんよ」
とか言って交渉をしだした俺。
面白いから続き読ませてくれ
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:43:57.45 ID:q6iVmCKO0
まだかよ
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 02:48:42.87 ID:wZck7T8oO
さるさんだか寝たんだかわからんな
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:13:26.60 ID:StjM+p1e0
そんなネゴシエーター俺の獅子奮迅の活躍もあり、
「じゃあ送信メールは見ないでね、受信メールだけならいいよ」
という確約を結んだ。
二人で顔をくっつけあってキサちゃん監視の元、粛々とメールを見ることになった。
今返そうとしていたメールは「今何してるの?」みたいなメールだった。
メールの送信者名は「○○豊」(どう見ても男の名前)だった。
その瞬間ふしゅーと空気が抜けていくような感覚に陥った。
そりゃ、キサちゃんもてるもんな、当然だよなアハハ・・・アハ・・
みたいな感じだった。最悪のアハ体験かも知れん。
メールを遡る内に雲行きがおかしい。
なんか「そっかーじゃあしゃーないなー」みたいのが多いのだ。
俺はもう辛抱たまらなくなって送信ボックスを見ようとした。
すると、絶対ダメ!とまた全力で止めにかかってきた。当然だ。
でもその顔がまたかわいくて麻薬絶対ダメ!のポスターに使いたいくらいだった。
さるさんきつす・・・・
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:15:13.97 ID:StjM+p1e0
ネゴシエーター本領発揮である。
この交渉術が大学で大いに役に立って行く或いは足を引っ張ることになるのだが、それはまた別の話。
とりあえず、時間をかけて誠意を見せることで見せてもらうことになった。
でもキサちゃんはちょっと泣いていた。ウワァーこいつマジさいってぇーと思った人も多いだろうが、
そうです、最低なんです。生まれてきてすいません。
送信メールと受信メールを繰り返して見ると、どうやら○○豊が付き合ってみたいなこと送って
最初はキサちゃんがOK出したけど、その翌日に断っているみたいな感じだったことが分かった。
その瞬間全てを悟った俺は、精一杯ニヤけるのを堪えながら泣いているキサちゃんに
「こいつどういう奴?」「付き合ったってことは気に入ったってことだよね?」
「やっぱ俺なんかよりかっこよくて、優しくて、キサちゃん大事にする奴なんやろ?」
とか言いまくってキサちゃんを精神的に追い込みまくった。
うわーこうして文字にすると俺最低のクズだな。しなくてもだけど。
キサちゃんは泣きながら首を振ったりするだけだった。
そこで最後に「でも、なんで振ったん?」と助け舟を出すと
「○○が忘れられなかったから」
ニヤリ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:16:16.14 ID:StjM+p1e0
俺はもっと好きだよ!とか言って押し倒しそのままセックスをした。
事終わった後に、「改めて言います。付き合ってくれますか?」と聞くと
キサちゃんはまた泣いて首をブンブン縦に振った。
こんな感情を表に出す子じゃなかったけどなぁ、ようやく俺に心開いてくれたんかな?
なんてぼんやりと思っていた。
ひとしきり泣き終ったキサちゃんはかわいかった。いや、泣いてる時もかわいかったけど
なんかスッキリした顔で今まで以上に魅力的に見えた。
残すは受験のみ!
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:17:22.84 ID:StjM+p1e0
俺の行ってる塾は取り敢えず俺のようなクズみたいな奴ばっか集まっていた。
皆は屋上でタバコ吸って談笑してる時間とカラオケ行ってる時間のが長かった。
俺はカラオケとかに行きながらもセコく結構シコシコ勉強をしていた。
第一志望の大学に受かると思っていたので私立はセンター受験とICUのみにした。
そしてセンター試験、数学Bやってしまった。
忘れもしない大問2の(1)連立方程式立てて直線求めるだけみたいな問題だったのに
何故か解けず、更にファンヒーターの横という最悪のポジションだった俺は
熱さから汗がダラダラかいて30分くらい費やしてしまった。飛ばした時にはもう遅い。
半分もマークできなかった・・・俺理系なのに・・・。
自己採点貫禄の32点。多分俺の部屋で最低点だったと思われる。
しかし日本史と物理の満点、国語の高得点に助けられ採点が終わると640点程度だった。
とりあえず足切りにはあわないはず!
しかし強気になりきれない俺は後期の試験を数学の配点が少ない大学の学科を受験することにした。
前期試験・・・落ちました。
私立が決まっていた為、若干の余裕があったが、
それでもできれば折角全科目勉強したし、無駄にしたくないので国立に行きたかった俺は
後期を受けることにした。しかしランクを落としたことから若干イライラしていた。
さらにその国立に受かったとしても俺の県から遠いのだ。
当然キサちゃんは地元の専門だったので俺はそれが不満でしょうがなかった。
キサちゃんは「全然いいよ、○○が行きたいところ行ってくれたら」と言ってくれたが
第一志望落ちた時点でどっちも行きたいところではないのだ。
うーん、片道3時間余りかけて遠距離の大学生って大丈夫かよ。
受かってもいないくせにそんな心配をし出す有様であった。
ランクを落としたことと、俺の受けた時の試験問題が満点目指せるような後期試験だった為、
センターの傾斜配点勝負になり、後期試験は受かりました。
しかし時既に三月下旬、自分に一つの答えを出さねば・・・
俺は結局国立を選んだ。
様々な要因を考慮した結果だ。
きっとキサちゃんも分かってくれるだろう。
そして旅立ちの前日
そんな思いを胸に俺はキサちゃんに電話をした。
「俺、国立にした」
「じゃあ私四年間待ってる」
「いや、理系だし、多分大学院行くから6年だよ」
「え・・・」
ん?なんか雰囲気おかしいぞ?
「でもその間こっちちょくちょく帰って来るんでしょ?」
「そうだね、GWとか正月とかお盆なら」
「・・・」
俺はなんたる馬鹿だ。二つ返事で待っててくれるなんて思ってた自分が恥ずかしい。
しかも俺みたいな浮気っぽいクズが6年間も都会に出て何も無いと思わないはずがないではないか。
それは他ならぬ俺の口からキサちゃんに伝えたのだ。
長い沈黙。
俺は思った。このままではキサちゃんは確実に不幸になる。
その原因は他ならぬ俺なのだ。もー本当俺死にたくなる。
「遠距離はやっぱきついよね?」
「分かんない」
「そうだね、今までありがとう」
「・・・」
「俺はキサちゃんに会えて良かったよ」
「・・・うん」
「俺が大人になって奇跡的にキサちゃんに見合う男になってて、
これまた奇跡的にキサちゃんに旦那候補いなかった時、俺飛んで来るから」
「・・・・・・うん」
「ありがとう」
「こっちこそありがとう」
クズ野郎のグレートフルデイズ 第一部 完
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:23:23.20 ID:q6iVmCKO0
復活したか
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:23:39.93 ID:StjM+p1e0
キサちゃんと別れ、寂しさを感じながらも俺は新天地関西へと向かった。
行きの飛行機の中ではミッチーこと及川光博の「展望デッキー夜間飛行ー」を中耳炎になるほど聞いていた。
今みたいにMP3プレイヤーなんてものは無い。時代はMDだ。
やりかけの恋を残して 生まれた国へ飛ぶ翼
別れ際の言葉 意味が分からないまま
切りすぎた髪の分だけ 幸せになればいい
よく似合うよ とてもよく・・・似合うよ・・・
ちょっと歌詞書いてて思ったけど、コレって地元帰る時の歌だよなぁ。
まぁ細かいことはどうでもいいのだ。
俺は大学に行くにあたってストイックにも自分に次の三つの戒律をつくっていた。
1.サークルには入らない
2.勉強はキッチリやる
3.本気で女を好きにならない
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:24:21.28 ID:StjM+p1e0
戒律をつくりながらも新天地にワクワクしている俺もいた。
関西と言えば都会だ。ど田舎出身の俺からすれば別世界に違いない。
きっと俺の知らないような楽しいことや気持ちいいことが待っているに違いない。グヘヘ。
それに加えて代ゼミの荻野先生(ぉーんの人)は
「大学なんて遊園地みたいなもんなんだからぁー、ぉーん」と言っていたのを俺は記憶していた。
俺はその言葉を鵜呑みにして後に痛い目に遭うのだが、それはまた後の話。
俺は絶対に関西で遊び倒してやる!と決意していた。
参考URL:オギノラップ(
ttp://www.geocities.jp/mozi1129/flash/ogino-l.html)
初めての一人暮らしが始まる。
後期入学の為、到着してすぐに入学式が始まるが、まずはバイトを探さねば・・・
俺はバイトを探すことにした。
地元に居る時は、バイトを探す時は募集してそうな店の貼り紙を見て電話をかけるか、
地元密着型情報誌(有料)を買うしかなかった。
しかし、こっちに来るとタウンワークがあるじゃないか!しかも無料。
これはおいしいおいし・・・ってエーッ!募集してるバイト多っ!
さすがは都会。俺は来て早々関西の洗礼を受けた気分だった。
若い人間が興味を示すのは高時給バイトである。
俺は人にモノを教えるのが結構好きで、先生になりたいと言う願望が密かにあったので、
家庭教師、塾講師バイトの面接を受けに行くことにした。一石二鳥でしょ?
しかし、これらのバイトは超時間勤務が不可能である。
超時間いけそうな奴なんか一個やっとこーと思った俺の目についたのは
「プロバイダ営業」であった。
なんと時給2000円。
勤務時間とか業務内容とか全く見ずに、
俺は携帯に向かって「タウンワーク見てお電話させて頂いたんですけど」とか言っていた。
イケメン リア充
自分で志望校決めて一日十何時間も勉強できる
コミュ力抜群
こいつに比べたら俺なんてゴミだ
女子から責められてる描写とかいい気味だけど、そもそも生きてる次元が違うと思った
秒速を見た時の感じがする
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:42:00.07 ID:wZck7T8oO
>>103 イケメン⇒本人一応否定
自分で志望校⇒第一志望落ちる
コミュ力抜群⇒友達少ない帰宅部?
まぁいいところ見すぎってことだ。お前も負けてないぞ、きっと。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 03:48:07.16 ID:j1EvXUvJ0
悔しい
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:02:30.96 ID:StjM+p1e0
「今から面接大丈夫ですか?」と聞こえて来る。
益々怪しくて、今の俺なら迷わず通話を切っていたが、
田舎モンの俺は怪しいと露ほども思わず、むしろ、
うっひゃー!話がはえぇや!さすが都会!
とか思っていた。
実家から送った原チャに乗って、その会社に面接を受けに行くことにした。
面接に行くと、もう既に一人がその場で面接を受けていた。
採用担当の人は二人いたが、ハンターハンターのグリードアイランド編のベラム兄弟ってのにそっくりだった。
俺は、(あいつに決まって俺採用されんかったらどうしよ・・・)とか思っていた。
しかし、そんな心配は全く必要無かった。
俺はそいつの隣の席に案内され、座ると、採用担当の人はいきなり業務内容を説明しだした。
俺は都会ってみんなこんな感じなのかもと思い取り敢えず内容を聞いていた。
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:03:16.87 ID:StjM+p1e0
ベラム兄が説明をし、ベラム弟は終始黙っていた。
ごちゃごちゃと長かったが、説明を要約すると、
「街頭で話しかけてインターネット接続の契約を取り付けろ」
ってことだった。昔ヤフーとかやってたのとは違う聞いたことないようなプロバイダだった。
俺は内心、それだけでいいの?それで時給制?ラッキー。
とか思っていたが、ベラム兄は続けて言った。
「ちなみに一日一件も契約がなかった場合時給の80%カット、一件だったら60%、二件だったら40%、
三件だったら時給通り支払って、更に交通費を支給します。五件達成した場合は特別賞与一万円をつけます」
今思うと労働基準法とか大丈夫なのか?ってシステムだが、当時の俺は
「さらに一万円ももらっていいんですか?」とかマジで言っていた。
ベラム兄は苦笑いで「なかなか五件は難しいからね」と言っていた。
もう一人の男は「やっぱり今回はやめときます」とか言って帰って行った。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:04:00.72 ID:StjM+p1e0
俺は早速翌日からバイトを始めることになった。本当に話が早い。
一日でマニュアルをなんとか頭に叩き込んだ。
マニュアルにはこういう言葉は使ったらダメとか、こういった勧誘の仕方はダメみたいなことが山ほど書いてあった。
さらにキャンペーン内容など覚えることは腐るほどあった。
ベラム兄は、最初は経験者の人とペアだから大丈夫と言っていた。
現地に行くとベラム弟がいた。
このベラム弟、歯が明らかにシンナーでごっそり溶けてるような感じで、滑舌が悪すぎてマジで何を言ってるか分からなかった。
それゆえ面接の日(とは言っても業務説明と給料の振込み口座書いただけ)は一切喋らなかったのだ。
滑舌の悪さを文字で表すならば、
「お前今日ちゃんと来たんか?」が
「ほふぁえほーひゃんとふぃふぁんふぁ?」
みたいな音声で出力されると思ってくれれば幸いである。
ベラム弟は続ける。
「ほーひほひほほうはひょうひゃひゅみふぁふぁらふぁふぁらんふぉほあっふぁふぁひぇんふぁ」
そして携帯を出していた。3回くらい聞きなおして分かった。
「もう一人の方は今日休みだから分からんことあったら電話(よこせ)」
そしてベラム弟は白いミニバンに乗り去っていった。
かくして俺一人の奮闘が始まったのである。
>>104 ありがとう
もててるのが妬ましくて書き込んだけど、こいつも結構駄目な所あるよな
104はナイスガイだから1より良い人生だ
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:04:51.28 ID:StjM+p1e0
「○○いかがですかー?」
と叫んでいても話を聞いてもらえるわけはない。
当時、ライバルだったヤフーBBならばそれでも話を聞く人間がいたが、
こっちは弱小プロバイダ、話を聞いてもらえるわけがない。
俺は積極的に話を聞いてもらえそうなオバサンやオッサンに声をかけていた。
「あ、お家でインターネット接続されてらっしゃいますか?」
「あら、どんなの?」
一人のオバハンがヒットした。
俺は叩き込まれたマニュアル知識をフル活用し、この紙に必要事項を書いてもらえば、
業者が家に工事に行くので、一週間程度でインターネットが可能になるという旨を伝えた。
しかし、当時の俺は髪が長く、さらにアッシュの入った明るい茶色。
そんな兄ちゃんがいう契約書にサインするなど当然怪しさ大爆発であり、オバハンはひいていた。
結局何人かに話は聞いてもらえたが、契約者は0のまま昼になった。
ヴーンヴーンヴーンヴーン
携帯だ。
「はい」
「ふぃふぃふぃふぁふぇふゅーふぇー」
一時まで休憩だそうだ。
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:05:43.08 ID:StjM+p1e0
休憩が終わる。
一件も契約をとっていない俺はちょっと焦っていた。
オッサンとオバハンからターゲットを青年とお姉さんに切り替えることにした。
俺は基本的に後ろからおっかけて声をかけていた。
スーツ姿の男性に後ろから声をかけると、振り向いたらどう見てもカタギじゃない顔の青年がこっちを向いた。
や、やってもたー。しかもその青年は話を聞く気満々で足を止めていた。
こうなった以上、後にはひけない。
プランの説明など等々を説明していると、超こっちを睨んで無言でどっかに去っていった。こえーこえー。
そんなプチハプニングが起こっている最中、ライバルヤフーBBが俺のすぐ横で
「ヤフーBBいかがですかー」とか言い出した。おい、場所を考えろ。
さらにヤフーBB側は「只今契約の方にこのパンダのヌイグルミをプレゼントします」とかやってやがる。
向こうは知名度の高いヤフー、さらにパンダのぬいぐるみ。こっちが勝てる要素が0になった。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:07:03.06 ID:StjM+p1e0
かなり凹んでいると、ヤフーBB側の責任者(?)ぽいオッサンを三人くらいのニーちゃんが囲みだした。
話の内容も聞こえてきて、「誰に断ってここでやっとんねん」とか言われていた。
ヤフーBB側は速攻移動の準備を始め、遥か彼方へ消えていった。
ヤフーBBは三人PTで責任者、バイト♂バイト♀みたいな感じだったが、俺は一人だ。
俺は内心超ビビりだした。
(俺んとこ来たらどうしよう)
すると、ニーちゃんの内の一人が、こちらに歩いて来た。
え?え?え?
ニーちゃんは俺に向かって話しかけてきた。
「おっちゃんのとこの人やろ?」
ニーちゃんは俺にそう言った。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:08:49.34 ID:StjM+p1e0
多分おっちゃんとはベラム弟のことだろう。俺は「ハイ」とか言っていた。
ニーちゃんは「見たことないけど今日初めての人?」と聞いてきた。
俺は「そうなんですよ、本当は先輩と一緒に入るはずだったんですけどその人が休んだんで僕一人なんです」
とか答えた。ニーちゃんは
「朝から見とったけど、初めてなのに頑張ってんなー」
とか言ってきた。俺も大分打ち解けてきて、
「いやー、まだ一件も契約とってないんですよ」
と言うと、ニーちゃんは
「いや、初めてで一人でこんだけできる奴は初めて見た、すごい」
とか言っていた。その後も30分程トークをしていたのだが、
俺はついつい調子に乗って、「何やってる人なんですか?」とか聞いてしまった。
聞いた瞬間、やってもた!と後悔した。
ヤクザ屋さんだったらどうしよ・・・。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:10:30.91 ID:StjM+p1e0
ニーちゃんは名刺を取り出して俺に渡した。
名刺には「ファッションエステ○○ 吉本○○(仮名)」と書いてあった。
「へー、吉本さんエステやってるんですか?」
と聞くと、吉本さんは
「いやいやキャッチ」と言っていた。
説明するまでも無いかも知れないが、キャッチとは道端で女の子に声をかけて
オチンチンマッサージのお店などで働かせるという仕事だ。
当時の俺は分からなかったので、吉本さんに聞いたのだが。
「今日はどんな感じですか?」と聞くと
「全然ダメ」と言っていた。その後もしばらく談笑し、吉本さんは仕事に戻った。
この人に比べればインターネッツの勧誘なぞチョロイもんではないか。
俺はターゲットを絞らず、声をかけまくることにした。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:11:44.07 ID:StjM+p1e0
さっき書き忘れたが、声をかけて足を止める人はめっちゃ少ないのだ。
体感で1/50くらい。そんな中、俺と同い年くらいに見える若いネーちゃん二人組が足を止めた。
俺はプランの説明とかしてると、
「大変やねー」とか言ってくれたので、俺も思わず
「本当大変なんですよ、僕今日始めてですし、本当はもう一人経験者の人来るはずだったんですけど、その人休みなんで」
とか言っていた。ネーちゃんは「学生さん?」とか聞いてきたのでそうだと答え、
「お二人は何されてるんですか?」と聞くと、二人も学生だと答えた。
しかし、彼女らは高校生だった。なんだよ、年下じゃねーか。
てか高校生やのにそんなメイクして巻っき巻きの金髪ってエーッ!
年下だと見るや否や途端にタメ口になった俺はしばらくネーちゃんと談笑することになった。
俺はモノマネのレパートリーが100近くあり、地元ではかなり好評価だったので、すかさずモノマネをかましたりしていた。
結構ウケていたので、調子に乗った俺は言い放った。
「ところで家でインターネットつないでる?」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/07(日) 04:12:44.26 ID:StjM+p1e0
二人ともインターネットはつないでないらしい。
これはイケる!と思った俺は、本来未成年は契約は無理なのだが、本契約は後日実家に送った書類の返送でやるし、
家の人が反対した場合はキャンセルもできるからと言う旨を伝え、契約をせまった。
本契約が無理で仮契約でも時給くらいは支払われるだろうと視野に入れた巧妙かつ斬新な作戦だ。
既にそいつらに時給システム等も話し、5件達成したらメシくらい奢るからと言うと
片方の女の子は仮契約してくれた。もう片方はしてくれなかった。
ようやく一件達成。
その日は結局その後契約はなかった。
こんだけやって時給800円ってコンビニのがええやんか。
しかし、一週間も経つと、俺は営業慣れしてきていた。
毎日入っていたのだが一日アベレージ二件は契約をこぎつけるようになっていた。
ちなみにその間ずっと一人だった。
バイトを始めてちょうど一週間、一度事務所に来るように言われた。
事務所に行くと、ベラム兄が俺に話した。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ほ