1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ミーンミーンミンミン……
唯「わー!すごーい!」
律「ま、まさに絶景ってやつだな……」
紬「もう少しで着く予定だから、頑張ってね!」
ミーンミンミンミンミン……
夏と言えばもうお馴染みになった、軽音部の夏合宿。
今回の合宿場所は
豊富な緑に囲まれ、未だ手つかずの自然が多く残る素晴らしい島、
屋久島に決定し、軽音部一行は別荘へと歩を進めているところである。
澪「山の中だって言うのに、後ろには海も見えるぞ!」
紬「別の道を通って行けば、海まで5分かからないから、荷物を置いたら行きましょうね!」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:24:01.51 ID:wLvofG1f0
数ある琴吹家の別荘の中でも屋久島のそれは、
大きさも去ることながら立地の良さも抜群。
一体いくらの工費がかかっているのかと考えると身の毛もよだつ。
紬「着いたわ!」
梓「お、大きいです……!」
唯「すごーい!大きーい!」
地元民からは琴吹屋敷と呼ばれるその別荘。
正面から見ると落ち着きがあり、自然との調和がとられつつも威圧感があり…
流石に一流の建築士が仕上げただけのことはある と言わせる造りである。
紬「とりあえず入って、部屋に荷物を置きましょう!部屋はこっち。大きい部屋を用意しておいたから、ここで寝泊まりできるわよ。」
唯「でっかーい!すごーい!」
澪「ムギ、本当にありがとうな。ムギのお陰で合宿ができるんだ。感謝してるよ。」
紬「そう言ってもらえると嬉しいわ!」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:25:23.55 ID:wLvofG1f0
ここ屋久島。
限りない自然と山と海の中で、生き物は力を得る。
人間も、鳥も魚も、それ以外も例外ではない。
男「ねぇ。本当にここであってんの?」
女「しらないわよ!日菜佳のデータベースによると、この辺に出没するみたいなの!」
軽音部一行の所在地から、島の真逆に位置する山奥。
キャンプを設置し、何やらディスクのようなものを持つ男女の影があった。
女「湿度、気温、地質から考えても、この辺だと思うんだけどなぁ…。」
男「お、来た来た。」
バウッ!バウッ!バウッ!バウッ! バッ! シュイーン!
狼のような形をした、プラスチックとも鉄とも取れる玩具のようなものが、
とび跳ねたと思いきやディスク型に変形して男の手に収まった。
ミュージカル分も盛り込めよ
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:26:53.70 ID:wLvofG1f0
男「(パシッ)さて、コイツはどうかな?」
キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル……
男「ハズレみたいだ。」
女「今のところ残ってるディスクは5枚。凄い移動してるのかなぁ?」
男「そうかもな。一応他の連中に助けをお願いしておく?」
女「今シフトが空いてるのは…裁鬼さんと轟鬼君、息吹鬼君かな?」
男「あとこの辺に猛士の支部あったよね?」
女「ああ、琴吹さんの所?島の裏側だったっけ?」
男「じゃあ、彼らにも連絡しておいてちょーだい。俺はちょっと、自分の足で探してみるよ。ディスクが来たら電話してね。」
女「あ、じゃあ気をつけてね!」
火打石を鳴らす女。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:29:07.24 ID:wLvofG1f0
キャンプをするわけでもなく、学問に打ち込んでいる様子でもないこの男女。
特に恋仲にも見えず、傍から見れば何をしているのか全く分からない。
しかしながら、彼らがこの島に居るということは島に危険が迫っているという事と同義である。
唯「あははははは!そーれ!」
律「やったな唯ー!おらぁー!」
紬「ウフフフフ。」
そんな事は知る由もない軽音部一行。
今は水着に着替え、練習もせずに遊びに興じている様子。
澪「まったく…練習はどうしたんだ!」
梓「そうです!私たちは練習しにきたんですよ!」
律「とか言って二人とも、しっかり水着に着替えてるじゃないかよー。そらっ!」
澪「うわっぷ!水かけるな!このやろぉー!」
梓「ちょっと澪先輩まで……。はぁ、この先が思いやられるです。」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:31:05.33 ID:wLvofG1f0
ヤレヤレとため息をつく梓。
と、一行が遊んでいる砂浜とは違う方向を見た梓の目に、
岩場が写りこんだ。
何故だか分からないが、やけにその岩場に惹かれた梓は、
自分でも気がつかないうちに歩き出していた。
岩場に入って少し進んだ所で、梓は異変に気づく。
梓「あれ……?この岩場……なんだか溶けているような……」
右の岩を見て、左の岩を見て、足元の岩を見て。
やはりなんだかおかしい。表面が溶けているのだ。酸でも流したかのように。
梓「変です……。ん……?」
前を向き直した梓の目に写ったのは、
溶けかかった岩場ではなく、
一組の男女だった。
梓「こ、こんにちわー。地元の方ですか……?」
梓は男女に話しかけたが、返事は無い。
梓「(変な人達です……気味が悪い……です。)」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:32:31.82 ID:wLvofG1f0
しばしの沈黙。双方黙ったまま少しの時間が過ぎたが、
静寂を破ったのは男女の方割れの男だった。
謎の男「ちょっと嫌か?ここで終わるのが。」
梓「は?ここで終わる?」
「(というか、なんです?この男の人の声。まるで女の人のように高い声でした…。)」
続いて女が語りかける。
謎の女「ちょっと溶かさせてもらう。ちょっと痛いぞ?」
梓「へ?溶かす?痛い……?」
「(この女の人の声も変です……。男の人の声みたいに低いです……。)」
梓が、怪訝そうな顔をしながら思案を巡らせている間に、
目の前で信じられない事が起き始めた。
グチャ……グ……グググ……!
男の手が、まるで甲殻類のように変形し始めたのである。
形容するならばカニのはさみ。まさにそれだ。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:32:34.28 ID:ZLoF+PTO0
そういや昔ディケイドスレにけいおんスレの誘導が誤爆して祭になったことがあったなw
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:34:47.98 ID:wLvofG1f0
そのあまりにショッキングな出来事を目の当たりにした梓は、
尻もちをつくしか無かった。
梓「へ……ええ?? な……なんです?なんなんですかそれぇ!?」
謎の女「お前、ちょっとうまそうだな。ちょっとうちの子が喜びそうだ。」
梓「うちの子?うまそう???な、なんのことですかぁ……?」
そして女が、梓の二の腕をつかんだ。
梓は、瞬間的に連れて行かれる恐怖を覚え振り払おうとしたが、その異常なピンチ力に中々振り払うことができない。
梓「やめてくださいっ!離して下さいです!」
そして…
謎の女「ちょっと痛いぞ?」
女がそう言い終えると同時に、
梓の二の腕にちょっとどころではない痛みが走る。
梓「あっがあああ!?え…!?なんですか……こ……これぇ……!?」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:37:15.91 ID:wLvofG1f0
痛い。とにかく痛い。溶けるように痛い。
肉が溶けるように、骨が溶けるように痛い。熱い。
梓「痛い……!痛いです!!やめて……やめてください……!!」
梓が凄まじい痛みに悶える間に、
男の方が梓に歩み寄る。
その鋭利な腕を梓の方に向け、狙いを定めるようにしてゆっくりと。
謎の男「ちょっと早く殺してやるから、安心しろ。」
梓「やめ……やめてください……!死にたくない!死にたくないです……!」
バサッ!バサッ!バサッ!バサッ!キュイィィィイイイン!
必死にもがく梓の目に、プラスチックとも鉄とも取れる、玩具のようなものが写った。
それは鷹のような形をしたものが数体と、
鷲のような形をしたものが一体。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:40:01.29 ID:wLvofG1f0
謎の女「鬼か。」
謎の男「鬼か。」
鷹のようなものと鷲のようなものは、
男女を襲い出し、男女は応戦するように腕を振ってそれらをたたき落とす。
梓「はぁっ……!はぁっ!あ……!ちゃ、チャンスです……!」
男女がそれらに気をとられている隙をついて、
梓は元来た道を走った。
視界は痛みにぼやけ、足はもつれて倒れそうになるが、
ここで倒れる訳にはいかない。必死に走り、よろけて、なんとか元居た浜辺へと戻ることができた。
梓「はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ……!」
紬「あら?梓ちゃん今までどこに……。梓ちゃんっ!その怪我……!」
澪「梓!!どうしたんだその怪我!?」
梓「さっき……そこの岩場で……!」
梓は、改めて自分の傷口を見る。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:41:32.37 ID:wLvofG1f0
梓「うぷっ…!」
信じられない傷が、梓の腕には刻まれていた。
まさに溶かされたような、腕には青い泡が付着しており
未だに自らの腕を溶かしている。
律「と、とにかく早く応急処置だ!別荘まで歩けるか!?」
梓「な、なんとかなると思います。」
紬「皆!早く別荘に戻りましょう!」
唯「わ、わかった!」
梓を支えつつ、急いで別荘に戻ったが
常軌を逸したこの事態に、一行の顔には焦りと恐怖が顕著に表れていた。
しかし、一人だけ冷静な人間が居た。
紬「とにかく早くその泡を流さないと!お風呂へ急いで!」
梓「は、はいです!」
まさかの取り合わせだ
期待しよう
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:45:20.62 ID:wLvofG1f0
紬「床に寝てもらってもいい?その状態で洗い流すから。」
梓「こうですか?」
紬「そう。ちょっとしみるかもしれないけど、我慢してね?」シャーー
梓「うっ……!い、痛いですね。でも……楽になってきました。」
紬「よかった……。とりあえずこれで泡を全部流せば一安心よ。」
紬の言葉に胸をなでおろす一行。
しかし、紬を除く四人の心はすっかり落ち込み、
楽しかったはずの旅行が早くも恐怖と焦りの色に染まり始めていた。
シャワーの音と、ときどき漏れる梓の痛みへの喘ぎによって沈黙していた空間は、
紬の一言によって動きだした。
紬「梓ちゃん。何があったのか聞かせてもらってもいい?」
梓「え?あ、はい。岩場の方で変な男の人と女の人に会って、その人たちが変なことを言ったと思ったら
女の人が私の手を掴んで、そしたら溶け始めて……。」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:47:37.87 ID:wLvofG1f0
紬「そう……。ありがとう。包帯で応急処置をしたら、救急車が来るまでベッドで横になってましょう。それが一番いいわ。」
紬はそう言い終えると、他のメンバーの方を向き直してから
神妙な面持ちでこう言った。
紬「皆、外は危ないからあまり出ないで欲しいの。ちょっと不味い事になったみたいで……。」
唯「まずい事って……何?」
紬「ごめんなさい。あんまり詳しくは言えないんだけど、とにかく危ないってことだけは確か。気をつけてね。」
律「……。」
澪「……。」
唯「分かったよ。」
その後、紬は誰かに電話をかけ始め、
それ以外のメンバーは部屋で救急車を待つこととなった。
紬は、救急車に電話をしてからも色々なところに電話をかけているようだ。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:48:59.14 ID:ybulceOL0
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`ヽ_: : : :`ー‐‐‐ニ‐  ̄二/´ // _::::::::l:::::l:::l ヽヽ / /´ ニゝ, _,,,,,,, ィ´ニ rヾ,
_ / 二二/l___lヘ 'ヽフ ゝ='´_/_,,,,,,,,,----─=====,、r、lヘ_三三三三三|三三三三ニ弋丿
_, -‐'_´-''''`ー// ̄ ̄l 三三三三 || | | |三三三三三三三二ニニ-──‐l l ', ヽ`) ィ/`ソ-//-'
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18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:49:42.71 ID:3oPSuMiM0
琴吹鬼紬鬼とな
梓「すいません……私のせいで楽しい合宿が……」
唯「あずにゃんはなんにも悪くないよ!運が悪かっただけだよ。」
澪「そうだ。梓は何も悪くないから心配するな。」
梓「はい……うっ……すいませ……ぐすっ……。」
律「泣くなよ梓ー。こういう時こそ笑うのが一番なんだぞ!」
梓「はい……そう ですよね。わかりました。私、泣かないです!」
唯「そうだよ!その意気だよー!」
全員、強がって見せるものの、
心の中では弱気。表面だけでも明るくふるまえる律は、
無意識に部長としての意地を発揮しているのだろうか。
…
……
………
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:53:33.61 ID:wLvofG1f0
男「よっ!ほっ!」
リン!リン!
男「たぁー!」
リリン!
男「いないなぁ……どーこ行ったのかなぁ……?ほっ!」
リン!
森の中を人間とは思えない速度と身軽さで進んでいく、
先ほどキャンプを張っていた男。
彼が捜しているのは、ペットの犬でも、食料になりそうな野草やらきのこでもない。
男「ヨイショー!」
リン!
男「ふぅ…これだけ探して居ないってことは、この一帯じゃないのかねぇ。……ん?」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:55:37.79 ID:wLvofG1f0
シュッ!という音とともに、男の立っていた場所に大量の部品が突き刺さる。
男「危ないじゃないの!」
謎の男「ちょっと邪魔してくれたね?」
謎の女「ちょっと殺させてもらうよ。」
男「だからってディスクをこんなに壊す事は無いだろうよ!」
と、男が皮肉を吐いている間に
常人ならば驚愕で失神してしまいそうな事が起こる。
謎の男女の肌の色がみるみる内に変色し、
服が首に巻きつき、我々の知る人間とは全く別の生き物に変化してしまったのである。
皮膚は甲殻類のように硬く変化し、片腕はカニのハサミが付き、
顔はまさに化け物。
男「でもまぁ……やっと出てきてくれたんだから相手してやんないとね。」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 03:57:30.32 ID:wLvofG1f0
怪物二匹が見守る中、男は懐から音叉のような物を取り出して、
木に当てる。
キィィィイイイーーーーーン………
反響をし続けるその音叉を、額に持っていくと男の額にも同じ文様が浮かんだ。
男「おおおおおおおーーーーーーーーーーーー!!!」
低く叫び声を上げ、音叉の振動が大きくなると同時に、
男の体が紫色の炎に包まれだす。
勢いの強い炎につつまれ、完全に男の姿が見えなくなった所で、
辺りに強い光が差す。そして
男「タァーーーーー!!!」
男が腕を薙ぐと、男を纏っていた炎が消え、黒こげになった男が現れ…
と思いきやそこに立っていたのは男ではなく、
頭には二本の角、紫色に光沢する体、腰には二本のバチを備えた
形容するならば鬼が立っていたのである。
ナイス棒読み
梓の口調がおかしい
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:00:35.52 ID:wLvofG1f0
鬼「いっちょやるかぁ!タァッ!」
交戦を開始する鬼と怪物二匹。
鬼が先に仕掛ける。
男の怪物の胸付近にとび蹴りを放つと、男の怪物は後方に吹き飛んだ。
追撃をかけようと鬼が一歩踏み出した瞬間、
後ろから来た女の怪物が、大きなハサミで鬼の後頭部に打撃を撃ちこむ。
鬼「いってー…!ハァッ!」
もう一撃を加えようとした女の怪物の腹に、鬼のブローがクリーンヒットする。
いや、正確にはただのブローではなかった。
女の怪物「ウアアア…アガアアアア!!!」
ザシュッ!
鬼が怪物の腹から手を離した瞬間、怪物の腹から白い液体が噴き出す。
鬼が手の甲を長い爪のようなものに変形させており、
それが怪物の腹に突き刺さったのだ。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:02:07.10 ID:wLvofG1f0
女の怪物「ウアアアアア!!!」
パァン!!!
豪快に体液を噴出したかと思いきや、
いきなり女の怪物は爆発を起こした。
男の怪物「グウウウウ……!」
鬼「後はお前だけだな。」
鬼はそう言うと、腰からバチを手に取ると気合いをこめ始める。
鬼「ハアアアアアアアアアア!」
ボッ!!!
気合いを入れ続けると、バチの先から炎が吹き始めた。
鬼「タァ!ハァー!」
鬼がバチを振る度に、バチの先から火球が飛ぶ。
その火球は全て男の怪物にヒットした。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:05:29.33 ID:wLvofG1f0
鬼がバチを振る度に、バチの先から火球が飛ぶ。
その火球は全て男の怪物にヒットした。
男の怪物「ウグッ!ガッ!ウァッ!アアーーー!!!!」
パァン!!
全弾ヒットした男の怪物は、メラメラと音を立てながら燃え出すと
女の怪物と同じように爆発を起こした。
鬼「ふぅ…全く手間とらせやがって。」
パアァァァァー!
一瞬辺りが光に包まれると、
鬼の頭だけが男に変わった。
男「さて、香須実の所に戻るかなぁ。」
男は歩き出した。体は鬼のままで。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:07:27.08 ID:wLvofG1f0
紬「ええ。はい。恐らくそうだと思うんですが…応急処置はそれで良いんですよね?ああ、はい……。」
紬はあれから、電話の前から全く離れない。
聞いたことのないような単語が何度か出ていたようだが、
その他のメンバーがその意味を知っているはずもなく、
四人の間には沈黙が流れていた。
……ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー
唯「救急車来た!」
澪「梓、救急車来たから、もう安心だぞ!」
梓「は……はい。」
バタバタと救急隊員が別荘内に担架を持って入り込み、
梓を救急車へと運びだした。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:10:45.56 ID:wLvofG1f0
唯「あずにゃん。すぐに病院に行くから、とりあえずは一人で行っててね。」
律「寂しくなったら私たちの事を思い出すんだぞ!」
梓「大げさですよ。ちょっと病院まで行くだけなんですから。」
そう言って、梓の目から涙がこぼれる。
強がってはいるが、やはり怖いのだ。得体のしれない連中に襲われ、
聞いたことのないような怪我を負い、計り知れない痛みを感じて…
梓「うっ……!うっ……!」
律「梓ぁ……泣かないんじゃなかったのかよ……?」
梓「先輩だって……泣いてます……。」
救急車の前で泣く四人の女子高生。
皆怖いのだ。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:12:37.68 ID:wLvofG1f0
紬「皆。梓ちゃんはもう大丈夫だから、とりあえず別荘に戻ってからこれからの話をしましょう。」
澪「これからの話?」
紬「色々。梓ちゃんの怪我も含めて、色々な話があるの。」
律「色々な……話……。」
そう語る紬の目には、確かな勇気が湛えられていた。
…
……
………
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 04:16:18.86 ID:wLvofG1f0
書き溜めはもう少しあるんですが、
ちょっときりが悪すぎるんで、
明日起きた時スレが残ってたら投下しつつ書きたいと思います。
もし見てて下さった方がいらっしゃったら、
ガチで拙い文章を見てくださってありがとうございました。
残ってたらまた明日。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 05:24:27.55 ID:OVnpEFgn0
ほ
おんげき!
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 07:51:25.95 ID:jQiUj6lMP
ふぅおほほほほほ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 09:39:56.85 ID:4j1TC4gg0
梓の口調に違和感があるけど保守
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 10:38:50.17 ID:wLvofG1f0
おはようございます。
保守本当にありがとうございました。
今から投下開始したいと思います。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 10:50:21.22 ID:wLvofG1f0
男「ふぅ……疲れた。」
香須実「大丈夫?はい、お茶。」
男「サンキュ!」
香須実「それで、童子と姫は?」
男「両方倒したよ。あとはバケガニだけなんだけど……」
そこまでしゃべって言葉を詰まらせる男。
香須実「轟鬼君か、裁鬼さんが来るまで手が出せない……と。」
男「そうなんだよねぇ…俺がやってもいいっちゃ良いんだけどね…?」
チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャン
香須実「電話!もしもし?あ、轟鬼君?屋久島に着いたって?今から琴吹さんのところに行くから、
そこで落ち合いましょう。じゃあね。」
男「轟鬼着いたって?」
香須実「うん。じゃあ私たちも出発しましょう。」
男「おう。」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 10:56:28.71 ID:wLvofG1f0
紬「でね、この島には『摩訶魍』っていう化け物が数体住み着いているみたいなの。」
唯「まかもう?」
律「妖怪みたいなものか?」
紬「掻い摘んで言うとそうね。梓ちゃんはそれに襲われちゃったのよ。」
珍しく真剣な顔つきで話を聞くメンバー。
しかしながらトゥーピュアピュアガール・澪は穏やかではなかった。
澪「お……お、おお、お化け?お化け?」
律「うわぁ……分かりやすい動揺の仕方だな。」
ガクガクと震える澪の肩にタオルケットをかけながら、
紬は話を続けた。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 10:59:31.06 ID:wLvofG1f0
澪「お……お、おお、お化け?お化け?」
律「うわぁ……分かりやすい動揺の仕方だな。」
ガクガクと震える澪の肩にタオルケットをかけながら、
紬は話を続けた。
紬「それでね、それらを倒すプロフェッショナルの人達が来てくれる事になったの。」
唯「ぷろふぇっしょなる?」
紬「鬼をやってる人達なんだけどね?響k…」
ピンポーン と、チャイムの鳴る音。
その後、
男「すいませーん。響鬼ですー。」
轟鬼「轟鬼っすー!」
さきほど怪物を倒した男の声と、
数人の声が響いてきた。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:05:14.43 ID:wLvofG1f0
紬「あ、いらっしゃったわ。はい!今出ますねー!」
トコトコと玄関へ向かう紬。
四人分の足音を増やして、紬はロビーに戻ってきた。
紬「紹介しますね!左から響鬼さん、香須実さん、轟鬼さん、斬鬼さんです!」
響鬼「お嬢ちゃん達、大変だったねー。でも、シュッ!俺たちで怪物は倒しちゃうから!安心してね!」
香須実「えっと……皆は説明は聞いた?」
律「はい。大体の話は聞いたんですけどー…いまいち分からないですねー。」
香須実「まぁ、すぐに理解しろっていうのも無理があるし、理解する必要は無いわけだしねぇ…
とりあえず、皆今は危険だからこの館から離れないでね?」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:07:42.60 ID:jQiUj6lMP
はい
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:11:17.35 ID:wLvofG1f0
唯「え?でも病院には行けないんですか?」
香須実「友達が搬送されたのよね?うーん…じゃあ、私が連れていく。轟鬼君も来てくれる?」
轟鬼「えー!?俺もっすか!?」
香須実「何?嫌なの?」
轟鬼「いや、そういうわけじゃないっすけど…」
斬鬼「良いじゃないか。一緒に行ってやれよ。」
轟鬼「ざ、斬鬼さんが言うなら仕方ないっすけど…」
とりあえず早く戦いたい轟鬼は、しぶしぶながらも
病院への同行に同意し、唯、澪、律、轟鬼、香須実の五人で
梓の搬送された病院へと行くことになった。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:14:16.23 ID:wLvofG1f0
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン
唯「香須実さん、本当にありがとうございます!」
香須実「いやいや、これくらいの事ならどうってことないわよ。
それに、大切なお友達が心配でしょう?」
澪「梓……大丈夫かな?」
轟鬼「紬ちゃんの処置が適切だったから、大事には至らないと思うっす。
ただ、2日くらい熱が出るっすけど……」
律「熱が出るのか!?あ、梓……!」
轟鬼「ああ、いや、心配するほどの熱じゃないっすから、安心してくださいっす!」
轟鬼。まさに熱血漢という言葉が似合う男であり、
斬撃を扱う鬼。
猪突猛進な所があるため、少し配慮に欠ける部分があったりするが
それも彼の良い所。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:17:58.43 ID:wLvofG1f0
澪「っていうか……唯、お前なんでギター持ってきてるんだよ?」
唯「ギー太も一緒にあずにゃんのお見舞いをするんだよ!」
律「なんていうか……唯らしいなぁ。」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
医者「あと二日間くらい微熱が出るかもしれないけど、
もう命に別状は無いから安心して大丈夫だよ。」
梓「そ、そうなんですか。良かった…。」
本格的な処置を終えた梓と医者の居る病室。
屋久島程の大自然を湛えた島ともなると、
割としょっちゅう摩訶魍が出るため医者もそれなりの知識が必要になってくる。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:20:19.00 ID:wLvofG1f0
医者「でも、あと5秒でも長くやられていたらマズかったな。
君は運が良いよ。」
梓「それに、紬先輩がすぐに処置してくれたから……。」
医者「そうだね。あ、もう少しでお見舞いが来るらしいから、楽しみにしておくといいよ。」
梓を残して医者は病室を出る。
一人残された梓は、さっきのことを思い出していた。
謎の女『お前ちょっとうまそうだな。ちょっとうちの子が喜びそうだ。』
ゾクゾクッ……!
謎の女の言葉が再度聞こえた気がして、
思わず身震いする。
梓(本当に怖かった……!あのままおもちゃが来なかったら、私は今頃……。)
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:22:37.21 ID:wLvofG1f0
ガラガラッ!
唯「あずにゃん!」
梓「唯先輩……?それに澪先輩、律先輩まで!」
澪「大丈夫か?梓。」
律「この分なら大丈夫そうだな。」
梓「はい。もう大丈夫だってお医者さんが言ってました。それよりも……後ろの方々は……?」
梓の言葉を受けて、
轟鬼が梓の目の前におどりだす。
轟鬼「あっ!オス!轟鬼ッス!鬼をやらせていただいていますっ!よろしくお願いします!」
梓「え……?鬼?」
香須実「ああー色々と建てこんでいてね。鬼 って言っても人助け専門の……轟鬼君!」
轟鬼「ああ…す、スイマセン!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:25:32.09 ID:wLvofG1f0
香須実と轟鬼は、梓に自分たちがやってきた旨を大まかに伝え、
「信じられない」といった様子の梓をしり目に
轟鬼は車を準備しに一旦外に出る事になった。
梓「鬼……ですかぁ……。っていうか唯先輩。なんで病室にギターなんですか?」
唯「えー?だってギー太も一緒にお見舞いに行こうと思って……。」
梓「まぁ……唯先輩っぽいですけどね。」
別荘でのへこんだ空気が嘘のように、
病室が和やかな雰囲気に包まれた。
しかしながら平和は長くは続かず、20分程経った頃
廊下が騒がしくなり始めた。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:32:10.19 ID:wLvofG1f0
澪「どうしたのかな?」
香須実「どうやらまた出たようね。君たちはここに居てね!」
そう言って香須実は病室の外へと飛び出す。
取り残された女子高生達は、ある事に気づく。
澪「あれ……?唯、どこだ?」
律「ギー太も無いぞ!?」
軽音部一のユルさを誇る平沢唯。
彼女の姿が見えなくなってしまったのである。
梓「唯先輩……まさか……!」
澪「いや、そんなはずがないよ。鬼の人も居るんだし、お化けなんて倒してくれるはずだよ!」
律「あたし、唯探してくる!」
律は、そう言うと一目散に病室を抜け出してしまった。
これはいい軽音撃部スレ
C
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:38:13.16 ID:wLvofG1f0
澪「律!危ないって言われてるのに……律や唯まで怪我しちゃったらどうすれば……」
梓「……」
先ほどのなごやかムードがどこ吹く風か、
病室は一転して重苦しい雰囲気にのまれてしまった。
轟鬼「タァ!はぁー!!!」
病院から少し離れた所で
鬼と化け物二匹。
童子「鬼!」
姫「鬼!」
童子「鬼は倒すよ!」
姫「倒すよ!」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:40:28.35 ID:wLvofG1f0
ウキィイイイー!!!
雄たけびと共に飛びかかる二匹の化け物。
その攻撃をいなすと、
轟鬼はそのうち一体に拳をお見舞いした。
童子「グギィ!」
轟鬼「こんなところまで出てきやがって!」
「ハァァァァァァァァァ!」
轟鬼は足を止め、気合いを入れだす。
これは勝機と見た姫が、轟鬼に対して攻撃を仕掛けたが
轟鬼「ヤァーッ!」
ドスン!バチバチバチッ!
雷鳴と共に姫の鳩尾へと打ち込まれた鋭いフックは、
その皮膚を貫通して姫の体内へと達した。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:42:56.55 ID:wLvofG1f0
姫「アアアアア!!グアアアア!」
パァン!
青白い火花を上げながら、
姫は爆発した。
童子「ウグウウウ…!」
轟鬼「後はお前だけだ!ハァッ!ウッ!?」
ドスン!ドスン!ドスン!
童子に対してとどめを刺そうとした轟鬼は、
予想外の地鳴りで足止めを食らってしまった。
轟鬼「ヤマビコ…いや、それにしちゃ足音が多い…!?」
ズズズズズズズズズ!
バキキバキバキ!
凄まじい地鳴りと、木の折れる音が徐々に大きくなっていく。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:45:53.08 ID:wLvofG1f0
童子「ヒィィィィイイイ!」
轟鬼「童子が怖がっている…?どういうことだ?」
ズズーン!
一際大きな音と共に現れたのは、黒い色をした巨大な蜘蛛。
家一軒程もあるその巨体が、木々をなぎ倒しながら
轟鬼と童子の目の前に現れたのである。
ツチグモ「キエエエエエエエエエ!」
轟鬼「ツ、ツチグモ!?何でっすか!?」
轟鬼がうろたえている間に、
ツチグモがアクションを起こす。
轟鬼ではなく、童子に対して攻撃を始めたのだ。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:48:49.91 ID:wLvofG1f0
ツチグモ「キエエエエエ!」
バキィッ!
ツチグモの巨大な脚が、童子の体を打ち付ける。
ズドォン!
考えられない大きな音を立てて童子の体が地面に埋まった。
童子「ア……ガアア……!」
ツチグモは苦しむ童子にかぶさるように位置をとると、
周りの土ごと童子を食べ始めたのである。
バリ……ムシャ…グ……メキッ……
轟鬼「ど、どういうことっすか……!?童子を食べるだなんて……!」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:52:01.45 ID:wLvofG1f0
ズンズン……ズズズン!
食事を終えたツチグモは、まだ足りないというふうに
轟鬼へと向きを変えたのだ。
轟鬼「や、ヤバい!」
ツチグモは勢いをつけると、
体ごと轟鬼にぶち当たってきた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
そのあまりの速度に轟鬼の反応は間に合わず、
脚の一本にぶつかって吹き飛ばされてしまう。
きりもみしながら吹き飛ぶ轟鬼の腕から、
腕輪型の変身デバイスが外れ、飛んで行ってしまった。
轟鬼「ウワァー!」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:54:05.92 ID:wLvofG1f0
途端に轟鬼の変身が解け、
轟鬼の体は全裸のまま木に引っ掛かる形となってしまった。
轟鬼「ざ……斬鬼さん……!」
まさに絶体絶命。
武器無し、防具無し、警戒無し。
全裸のまま木に引っ掛かった轟鬼を食べんと、
ツチグモはその距離を縮めていった。
唯「ふふふーん♪ガチでカシマシNever ending girl's talk!!」
一方、病院の外で上機嫌に歌う唯。
梓が無事だったことへの安堵で、歌わずには居られなくなったのである。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:58:15.64 ID:wLvofG1f0
唯「しゃいにしゃなしゃいにえすと……」
ガツッ!
唯「痛っ!」
「いったー……!何これぇ!?」
唯の歌を邪魔するかのタイミングで降ってきた、
謎の腕輪。
唯「何だろうこれー?ほいっ!うわ!」
ボタンと思しき場所をポチりと押すと、
鬼の顔のようなカバーが上にスライドして
弦のようなものが現れる。
唯「これ……小さいけどギターなのかなぁ?」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 11:58:48.71 ID:w+GD61ME0
しえんぬ
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:00:30.74 ID:wLvofG1f0
ジャラーン
躊躇うことなくその弦を鳴らしてみる。
唯「おおー。凄い良い音が鳴るなぁー。」
しかし唯に違和感。
この腕輪型ギター(?)は、一度鳴らすと音が止まる気配が無い。
唯「なんなんだろうこれ。すごーい。どんどん音が大きくなっていくよ!」
もう少し良く見ようと、唯が目の前に腕輪型ギターを持ってきた瞬間、
唯のおでこにも若干の違和感。
唯「なんだかむずがゆい……どうしたんだろう……?」
唯が自分のおでこに触ってみると、そこには何か固い、
鉄のような物が浮き上がっていた。
唯「な、何これ!?すごいすごーい!私のおでこに変なのが生えたー!」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:03:37.52 ID:wLvofG1f0
唯が喜んでいるのもつかの間、
まさに頭上で雷鳴が鳴ったと思いきや、
唯めがけて落ちてきたのである。
唯「うわ!びっくりした……。あ、あれ?」
唯としては、それよりも驚くべきことが起きた。
自分の周りがどんどん明るくなっていくのに気付き、
さらにもう一つ大事なことに気がついた。
服が破けていくのである。
唯「な、何これ!?どうしよう!服が!服が!」
唯が完全に光に包まれ、
空気中にはバチバチと電気を放出している。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:07:27.81 ID:wLvofG1f0
唯「うわー!うわー!うわー!」
完全にパニックである。
狂いつつある頭で考えた唯は、腕を振り始めた。
光を追い払おうとした結果、この行動をするに至ったようだ。
しかしながら、この行動が次のアクションへのトリガーとなったのだった。
バチバチバチバチ…!ビューン!
唯の体を纏う光が消えたと思いきや、
唯が立っていたであろう場所には
一本の角を持ち、体は金属光沢にする鬼が居たのである。
唯(?)「何これ…?うわっ!?ギー太が変形している!」
恐らくは唯の変身体なのであろう。
その手に持たれたギー太は、かなり堅そうに、さらに刃物まで付いて、
まさに形容するなら戦闘用。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:10:42.88 ID:wLvofG1f0
唯「……なんだか、とても心が落ち着く……。」
「!?轟鬼さんが危ない!」
そう言うや否や、唯は走り出した。
轟鬼は危険だなんて知る由もないはずの唯だが、
何かが見えたのだ。
唯は走った。自分でもびっくりする速度と反射神経で。
唯(何で轟鬼さんが危険だなんて分かったんだろう……?それよりも、
私はどこに進んでいるんだろう……?)
今唯は考えていない。
反射的に体が進んでいるのである。
鬼として覚醒したのか、元々あった勘なのかは分からないが、
驚異的な感覚を発揮している。
ズン…ズン…ズン…!
唯(うわっ……!?何あれ!?)
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:12:46.09 ID:6OWQpFbD0
>>2 俺「あ、あずにゃん・・・大きい?ヘヘヘッ///照れるなぁ」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:12:57.27 ID:wLvofG1f0
普通に生きている上ではおおよそ目の当たりにしないであろう、
バカのような大きさのクモを見て
頭は女の子の反応をした。キモチワルイ。怖い。
しかしどうだろう。体はクモの方に向かっているのである。
ギー太を握りしめ、前傾姿勢で、
クモを倒さねばならないという使命感を纏いながら。
唯「やあああああ!」
ギー太を振い、完全に轟鬼の方向を向いているツチグモの脚を
二本切り落とした。
ツチグモ「ギャアアアアアアアアアアア!!!」
中途半端な支えになったツチグモは、右斜め後ろに体が沈む。
しかし、鎧のような体と強靭な肉で、
グググと踏みとどまってしまった。
65 :
>>63には爆裂真紅の型を決めておきました:2010/02/28(日) 12:15:44.60 ID:wLvofG1f0
轟鬼よりも唯の方が危険と判断し、すぐに唯に向き直すツチグモ。
しかし、唯の動きは早かった。
唯「えいっ!!!」
ズバァッ!
まさに雷のような速度で、クモの右脚を全て切り落とす。
完全に支えを失ったクモの体は、右側に倒れこんでしまった。
すかさずギー太をツチグモに突き刺し、
腹にあったバックルをギー太にくっつける。
ジャキッ!
唯(私、何でやることが分かるんだろう?)
そう思いながらも、唯はギー太を鳴らし始める。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:17:51.52 ID:wLvofG1f0
唯「音撃斬!Cagayake Girls!!」
ジャラーン!
ジャジャジャッジャジャジャジャジャッジャーン
ジャジャジャッ ジャジャジャジャーン!
唯「Jumping up! ガチでカシマシNever ending girl's talk!!
終業チャイムまで待てない!」
唯「遅刻はしても早退はNon Non Non!」
唯「精一杯Study afetr school!!!」
ジャーン!
クン…クン!クンクンクンクンクン!!!
ツチグモ「グ…グギギギ…!ギィー!!!!」
メコメコメコメコ!パァン!!!
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:19:15.22 ID:LkRGqfmJ0
なんで精霊と契約していない唯が変身できたんだ…
あと息吹鬼じゃなくて威吹鬼だぜ
支援
68 :
>>67 マジっすか 威吹鬼っすか:2010/02/28(日) 12:20:45.58 ID:wLvofG1f0
唯「うわぁ!!!」
唯の演奏が終わると、ツチグモは大爆発を起こし、
そこに残ったのは草と土、木の破片のようなものだけ。
唯「びっくりしたー!なんだったんだろう……さっきのクモは……。」
「そうだ!轟鬼さん!」
元々の目的を思い出し、轟鬼を探そうと足を踏み出した唯だったが……
唯「あれ……?」
バタン!
唯「あ……あはは、疲れすぎちゃったみたい……もう、一歩も……動け……な……」
パァーン!
尻が…出るか!出ないか!どっちなんだい!
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:23:33.53 ID:wLvofG1f0
光に包まれた鬼モードの唯。
光が消えた後に残っていたのは、
草や木屑、土に埋もれた全裸の唯であった。
香須実「さっきの感じからするとこの辺で戦闘があったっぽいんだけど……。」
律「香須実さーん!」
香須実「律ちゃん!?病室で待っていてって言ったでしょ!?」
律「すいません……でも、唯が心配で……!」
香須実「唯ちゃん!?どうかしたの?」
律「実は……」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:27:15.73 ID:wLvofG1f0
律は、香須実が居なくなる直前に唯が居なくなり、
唯を探して外に出てきてしまった事を伝えた。
律を病室に戻すことは逆に危険だと判断し、
一緒に轟鬼と唯を探すことにした。
香須実「いい?絶対私から離れちゃだめよ?」
律「はい!」
二人を捜索する香須実と律。
少し森に入った所で、
律が唯の顔らしきものを見つけた。
律「あれ!?あれ、唯じゃないか!?」
香須実「あ!律ちゃん!走っちゃだめ!」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:36:38.45 ID:wLvofG1f0
律「唯!唯!唯!ゆ…い…?」
律の目に写ったのは、地べたに全裸で幸せそうに眠る唯の姿。
律「」
香須実「唯ちゃん!?なんで裸に…」
律「ま、まぁこの際そんなことには目をつむる!唯!起きろ!何があったんだ!?」
唯「う、うーん……あれ?りっちゃん?」
律「あれ?りっちゃん?じゃないよ!なんでこんなところで裸で寝てるんだよ!」
唯「裸?」
流石にそれは無いだろう という表情で律を見て、
確かめるように自分の体を見る唯。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:42:48.76 ID:wLvofG1f0
唯「……え?」
「な、なにこれえええ!?」
律「覚えてないっていうのか?」
唯「いや、覚えてるんだけど……なんで裸なのおお!?」
香須実「襲われでもしたのかしら……。ん!?唯ちゃんその腕輪……!」
唯「あ、これ?これを鳴らしたら変身しちゃって、
それで大きなクモを倒して……それでどうしたんだっけ……?」
律「大きなクモぉ!?そんなの居る訳ないだろ。夢でも見てたのか?」
香須実「た、倒したの!?ツチグモを!?」
珍しく大きな声を上げる香須実。
唯はそんな香須実に圧倒され、声が出ない。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:44:51.04 ID:wLvofG1f0
香須実「ゴホン。えっと……その腕輪は轟鬼君の物なの。
それを使って……変身、したの?」
唯「はっ!?そうだ!轟鬼さん!!この近くに居るはずなの!」
香須実「本当!?恐らく怪我してるはず……一体どこに……」
周りを見回す一同。
轟鬼を見つけるには、さほど時間はかからなかった。
律「居た!」
香須実「どこ!?」
律「上のほう!全裸で木にぶら下がって……」
唯「」
律「」
香須実「」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:47:18.07 ID:LkRGqfmJ0
轟鬼さん駄目駄目っすね
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:49:28.40 ID:wLvofG1f0
その後、律は唯にタオルケットを持ってきて、
その場しのぎでなんとか宿に帰ることができた。
(その間轟鬼は放置した。)
梓と轟鬼を除く全員が宿に帰ってきた後、
斬鬼と響鬼の二人で轟鬼を迎えに行って事無きをえた。
響鬼「で、話をまとめると」
斬鬼「轟鬼がヤマビコの姫を倒した所でツチグモが出てきて、童子を食った後それに襲われたと。
ツチグモにブッ飛ばされたお前は音錠も吹き飛び、たまたまそれを拾った唯ちゃんが変身して
ツチグモを倒したと。」
唯「へへーん。すごいでしょー!」
香須実「本当に凄いよ!」
唯を褒める時間が若干あってから、
鬼二人と香須実は顔をしかめて轟鬼の方を見た。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:52:52.70 ID:wLvofG1f0
斬鬼「で、轟鬼。お前は……。」
轟鬼「すっ、スイマセン!」
響鬼「まぁ……生きてただけ良いよ。本来あんなに吹っ飛んだら死んでる所だったしね。」
轟鬼「はい……でも、ツチグモが他の童子を食うなんて初めて見ました。」
香須実「それは気になるわね……。何か変なことが起きているのかしら……。」
鬼連中が思案にふけっている間、
軽音メンバーはティータイムに興じていた。
澪「しかし、本当に無事でよかったよ。唯。」
唯「私がお化けを倒したんだからね!えっへん!」
律「あたしは未だに信じられないなぁ。」
紬「ウフフフフ」
こうして夜は更けて行き、
大波乱で幕を開けた夏合宿の1日目が終了した。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:54:52.39 ID:wLvofG1f0
書き溜め分は以上です。
ちょっとこれから出かけたりなんだりで時間取られちゃうんで、
スレが残ってたら7時くらいから投下開始します。
見たくださったかたありがとうございました。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 12:59:26.44 ID:nEqD4uBU0
取り合えず乙!
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 13:04:12.75 ID:LkRGqfmJ0
保守してやるよ…10秒間だけな!
裸は斬鬼さんの専売特許じゃ
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 13:41:27.87 ID:wyLGy26R0
俺の名はZO ギャレン 斬鬼 ナスカ
全裸攻撃!
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 14:11:02.41 ID:wyLGy26R0
どうして止まった…
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 14:42:32.76 ID:xB5u8Vp50
期待しよう
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 15:01:33.49 ID:xB5u8Vp50
小説版か裏設定だったか明日夢の通う高校は猛士と繋がっていて鬼の養成をしているとか言うのがあったな
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 15:02:04.72 ID:LkRGqfmJ0
保守
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 15:02:59.52 ID:wyLGy26R0
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 15:13:17.09 ID:xB5u8Vp50
C
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 15:59:14.17 ID:4j1TC4gg0
し
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 16:20:11.31 ID:xB5u8Vp50
C
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 16:33:04.72 ID:4j1TC4gg0
唯が戦う度に全裸になるなら支援する
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 16:55:46.96 ID:xB5u8Vp50
保守
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 17:22:14.98 ID:MtDktQde0
いけぇ!ゴモラァ!
きしゃああああああ
おおおおおおおおおおおおおお乙
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 17:38:19.48 ID:xB5u8Vp50
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: