今週の与太話・・・こっちが悲しくなってくるわ
発信箱:私が悲しくなる理由=与良正男(論説室)
ttp://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/ 「一度、私たちに政権を取らせてほしい。やらせてみてだめなら、また代えていただいて構わない」
昨年の総選挙まで、民主党の小沢一郎幹事長はこう言っていたと記憶する。
「実際にやってみないと分からない」といった発言は無責任だと批判する識者も多かったが、私は小沢氏の
言う通りだと考えていた。本来、政権は有権者が選択するものだ。そして多くの人が「だめなら、また……」と
一種の踏ん切りをつけたことが政権交代の原動力だったと思う。
ところが、先の長崎県知事選敗北について小沢氏は記者会見でこう語った。
「地方議員の数を見てもまだまだ自民党が多い。日常活動をもっと続け、どのような状況下にあっても有権者
の支持を得られるような党になっていかなくてはならない」
地方の組織力も業界団体への食い込みも、議員の地元後援会活動も今ひとつ。どんな状況になっても選挙
区は盤石な自分のようになれと言いたいのだろう。
でも、私はかつて小沢氏が語っていたように、状況が変われば有権者が投票行動も変えるのが民主主義だと
思う。もし、「何があっても自分に」が理想と小沢氏が考えているとすれば、それは有権者の意思をはなはだ軽ん
じていることにならないか。
組織力や利益誘導がものをいう時代はとうに過ぎ、会社や地縁、血縁を離れて個々の意思で投票する人が増
えている。確かにうつろいやすいかもしれないが、世論の「風」が吹くのは、その都度、それなりの理由があるから
だ。なぜ、そんな国民意識の変化に気づかないのだろう。なお政権に期待をつなぐ一人として少し悲しくなってくる。