1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:13:05.04 ID:I0tSB4PG0
クロちゃんやコタローくんは出ますか?
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:13:49.25 ID:2dl6QpFW0
さて、これはどうしたものだろうか。
窓の外に目をやるともう随分暗くなっていた。僕が使っているこのベッドは実に便利なやつで、
腰の少し上あたりから上に三十度くらい起こせるようになっている。
そのおかげで特別力んで体を起こさなくても外の景色を見るために顔を横に向けることができるのだが、
別に立てていない今でも外の明るさくらいは分かった。
反対側に顔を向ける。視界に入ってくるのは僕の目が乱視を起こしていないと仮定すれば二人。
何故だか目が悪くなったことはないので多分あっている。
暗闇生活から解放されたばかりのときはさすがに目が太陽のことを忘れていて世界を直視できなかったけど。
置いてきたのは瞳のハイライトだけで済んだってわけですね。
一人は僕の隣でまだ寝ている長瀬。残念ながらやましいことはしてない。
その寝顔はいつまでも見ていたいものではあるんだけど、これ状況的に起こした方がいいのかなぁ。
というかこのままだと目の前にある問題を僕一人で片づけなきゃいけないわけで。そいつぁちょっと荷が重すぎるぜ。
そんなわけで長瀬の背中に手を何気なく起き、ユサユサと揺すってみる。
しがみつく力が強くなり体が丸まって、てこらこら完全に寝る気になってるんじゃありません。
そんなに疲れていたのかな……とちょっと沁みた。
>>2 サイボーグクロちゃんは自分も大好きですが違いますw
あれって「ミーくん」ですよね
「……枝瀬さん」
「…………はい」
だめだ、もう逃げられない。観念して返事をするしかない僕はまさにまな板の上の鯉。
いや相手の姿を考慮すると文字通りベッドの上の患者というか……なにもうまくならなかった。残念。
「ナースコールがしたから慌てて来てみれば……それは何かの冗談ですか?
あぁ、誰かに見せびらかしたかったとかそういう感じですか。この忙しい時間に!
そもそも元重傷者なんですからふざけてないで安静にしてなさい!!」
え、ナースコールなんて押してないぞ。半分理不尽な怒りに混乱しつつもなんとかこの状況を
打破しなければならない僕は必死で頭をめぐらせるが、何も浮かばない。きゃあああ絶体絶命だあああ!
するとその時、看護師さんの声が引き金になったのか長瀬が覚醒した。
もぞもぞと体を起こしぼーっと僕の顔を見つめていたが、僕の視線を追って首を回したところで完全に目が覚めたようだ。
バッと身を起こし、あたふたとベッドを下りようとするけど看護師さんの突き刺さる視線に思わず動きを止める。
「あ、あの、えっと」
と真っ赤になりながら口をパクパクさせる長瀬。本人は軽くパニックに陥っているみたいだけど、寝ているところを見られたのがそんなにショックだったのか。
「……とにかく、枝瀬さんはあまりふざけないで安静にしていること。それとあなたもですよ。
気持ちはわかりますがここは病院です。あまり怪我人に負担をかけないようにしてくださいね」
長瀬の様子をしばらく見ていた看護師さんはそう言い残すと去っていき、僕らはなんとか無事に危機を乗り越えることができたのであった。よくやったぞ長瀬。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:32:10.72 ID:2dl6QpFW0
「ふわぁ……。透枕がきもちよくってついつい寝過ぎちゃったッスよ。怒られちゃってごめんなさいッス」
「いや、長瀬の寝顔も見られたからね……それはいいんだけどさ、君ひょっとしてナースコールとか押してた?」
「えと、透の調子が急におかしくなったときに、具合が悪くなったのかと思って手に取ったッスけど押してはいなかったはずッスよ。」
そうだよなあ。そもそもあのときにナースコールを押していたんだったらもっと早く来てなきゃおかしいし。
うーん、と生返事をしながらナースコールのボタンを探す。コードがあそこから延びてるんだからえーっと
あ。
これか。
壁から延びたコードは見事に枕とマットレスの間に挟まっており。
その位置はさっきまでと同じように僕らが寝ると、ちょうど圧迫されそうなところだったのだ。
そういえば目が覚める前、長瀬の肩を抱くように寝返りを打った記憶がある。
ボタンを拾い上げ、テーブルの上に戻す。
長瀬も事態を把握したらしく照れ半分申し訳なさ半分の笑みを浮かべてこっちを見てきた。
ま、いいオチになったよな。僕らを知るような他の人に見られていないことだけを願うけど。
「もうこんな時間だよ。あんまり暗くなっちゃうと危ないからそろそろ帰ったら?」
「むふ、私のこと心配してくれてるッスか?」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:33:05.99 ID:2dl6QpFW0
うふふうふと変な風に体をくねらせながら長瀬が言う。
当たり前だろ。間違っても長瀬がこの町の悪意に巻き込まれることなんて僕は望んでいない。
遊んでないでさっさと帰りなさい。
「透がそう言うならそうするッスよ。……またね」
ああ、制服がしわくちゃになっちゃった。アイロンかけなきゃ……と呟きながら長瀬は帰っていった。
やっぱり制服のこと、教えてあげるべきだったかも。
支援
前スレで言いそびれたけど乙
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:43:09.25 ID:wfwNNm93P
前スレ読んだ
支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:43:25.70 ID:kV4ndmHN0
あげ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:43:46.75 ID:2dl6QpFW0
――――――――――――――――――――
次の日、奈月さんが病室に来た。そうだ、改めてお礼を言わなければ。
とりあえず挨拶でも「きのうはおたのしみでしたね」
………………はっ?
一瞬何のことを言っているのかわからなかったが、すぐに思い当たる。……マジかよ。
「……見ていたんですか」
捻る気力もない。
「ええ、一部始終をバッチリと……というわけではありませんが」
「確かドアは閉まってたと思うんですけど……ESP持ちだったとは知りませんでした」
「どちらかというと目より耳の方が働き者でして。あ、でも別に盗み聞きしていたわけではありませんよ。
すごいですよねぇ……看護師の彼女、ナースセンターでものすごく愚痴っていました。
あの調子だと今頃はもう病院中のナースが知っているんじゃないでしょうか」
「さいですか……」
なんで知ってるんだろう。本当にこの人には勝てる気がしない。
……結局長瀬と僕、両方の背中を押してくれたわけだし。どこまで知っているのか、どこまでわかっているのか本気でわからないあたり脅威である。
つーかそれだけを言いに来たのかよ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:52:13.10 ID:kV4ndmHN0
支援
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:52:27.29 ID:2dl6QpFW0
「ああそれと。あなたの回復具合によってリハビリが始まるそうです。詳しいことは
お医者さんに伺った方がいいですが、回復してきた証ですね。おめでとうございます」
リハビリか。現在、僕の体には包帯が巻かれているところはなくなっている。
しかし脇腹と右脚に食い込んだ弾は周辺に甚大な被害をもたらしており、まだまだ歩けるようにはなっていない。
加えて2か月も寝ていたおかげであらゆる筋肉が萎えているのだ。
「逃げ出したりしないでちゃんとやるんですよ。私だって軽いとはいえ成人女性ですから。
軽々と持ち上げられるようになるためにしっかり筋肉をつけてください」
「ははは、リハビリ飛び越えてハードトレーニングに励まなきゃいけませんね」
頬をつねられた。痛いぞ。
大体そんなのにもうとくらいじゃないと今の僕には無理だろう。あいつ心配になるくらい軽いからなあ。
ひきこもりダイエット!とか本を出せるんじゃないだろうか。それとも狩りの方が効いてるのかな。
どっちにしろ一般人には向かないし実現は無理か。夢倒るる……なーんて。
ふと僕が両腕をへし折られることとなった、猟奇事件被害者家族マニアの一家にまつわる事件を思い出す。
あのときもリハビリは一応したけど、腕だけだったしそんなに困らなかったな。
そして一緒に事件に巻き込まれた、伏見。彼女は今どうしているのだろう。
長瀬に聞い……たりすると怖いことになりそうだからやめておこう。だけど体育館では幸いなことに撃たれてはいなかったようだし、
新たなトラウマを心に刻まれただけかな。
……………………。
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 00:58:13.07 ID:2dl6QpFW0
奈月さんが帰った後はいつもどおり手持無沙汰な時間が過ぎる。
恋日先生が貸してくれた漫画は読み終わってしまったし、かといって新しいのをねだるのもアレだ。
仏教の成り立ちを描いた物語と、ポケモン風に言うならにらみつけられそうな動物をめぐる物語。
両方とも何回か読みなおしたけど、もしかして恋日先生は僕になにかを言いたかったんだろうか?
だんだんとそう思えてくるようになってくる選定だ。
命の尊さを考える医者漫画のときもそうだったけど、この作者のマンガはテーマが遠大すぎて僕の手にはちょいとあまる。
長瀬は意外にも……いや失礼な意味ではなく、大方読んだことがあるそうでなかなか好きだと言っていた。
その話を聞いた時、哲学的な議論に耽る長瀬と一樹を想像しようとしてどうやっても無理だから諦めた記憶があるね。
閑話休題。
リハビリか。こういう暇が潰れるならそれはそれで大歓迎だけど、多少なりとも生活サイクルが変わるわけだ。
来てくれたのにずっといないとかいうことがあったら申し訳ないし、長瀬にも伝えておかないと。
……長瀬、次はいつ来るのかな。
ふとそう考えて、自分の変わりように驚いた。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:03:42.86 ID:kV4ndmHN0
しえん
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:03:50.03 ID:2dl6QpFW0
――――――――――――――――
それからしばらくずっと、リハビリは順調に進んだ。
実は奈月さんに言われて若干不安だったけど案外軽いレベルのものでよかったらしく、そんなに大変でもないのがありがたい。
一通り終わるころには長瀬が来ていて、リハビリ用ルームの外で待っていてくれていることもあった。
や、と手を軽く上げる彼女の姿はまるで昔と同じようで、部活のあとに二人で帰った記憶が呼び起こされる。
……あの頃は長瀬を持ち上げることができたっけ。僕もずいぶん劣化してしまったものだ。
一連のリハビリ以外には特に変わったこともなく毎日は過ぎていく。
そして一人で立ち上がれるようになり、松葉杖を使いながらそれなりに移動できるようになった頃。
僕はめでたく退院した。
最低限のリハビリは済んだから、あとは日常生活で回復を図っていかなければならないらしい。
あんまり病院で長いことトレーニングをしていると逆に退院した時に苦労するそうだ。
それ以外にも例の看護師さん(相変わらず厳しい。自業自得とはいえ辛いぜ)を通していろいろと注意をされて、
晴れて僕は病院の外へと足を踏み出したのであった。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:06:04.73 ID:kV4ndmHN0
支援
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:07:35.15 ID:2dl6QpFW0
これから僕が向かうのは枝瀬さんの家である。そう、事件前まで暮らしていたマンションではなく。
ちなみにマユは一足先に退院しているらしい。おそらく彼女も御園家にもどり、あのマンションは当面使われないのだろう。
とにかく久しぶりに叔父叔母のもとへ帰る僕はそれなりに緊張していたりする。
今回の大怪我を含め負傷しまくって迷惑をかけていたわけだし、今までマユのところにいた説明もしなきゃならない。
さらに極めつけとして長瀬だ。どうしても送るといってきかない彼女は過去に叔母さんと面識がある。
あの人の性格からして、僕が長瀬にベッタリだということは確実にネタにするだろう。現状なおさらである。
「松葉杖も慣れてるし、家までだったら一人で大丈夫なんだけど……聞いてる? 長瀬」
「万が一ってこともあるッスからねぇ。それに透の叔父さん叔母さんにも挨拶しなきゃいけないッスから」
「……そっか。まあ確かにかなり世話になったわけだし紹介はしなきゃだねぇ」
「べべべ別にやましい気持ちはないッスよ!
ただ透を送り届けるついでにちょびっとこう、す、すてりーな関係がオッケーなのかどうか確かめられたら……なんて」
「それこそ心配ないと思うよ。どうせ叔母さんなら気にしないと思うし」
というかあの人の場合、むしろ前向きな反応をしそうな気がする。……いやな予感がするぞ?
「そ、それは……くっ、透もなかなかやるッスね……」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:09:05.77 ID:kV4ndmHN0
支援
長瀬……
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:09:10.15 ID:2dl6QpFW0
そんな会話をしながら川沿いの道をゆっくりと歩いていく。
今日はこれでもかというほどの晴れだ。世間一般ではまだ夏休みに当たるこの時期、当然日差しは強い。
しかし川のすぐそばなので風が心地よく、絶好の散歩日和でもあった。
確かに二人で歩きたくなる気持ちも分かるかもしれない。何もなくても僕の方から誘っていても不思議ではないくらいだ。
小学生らしき集団が土手で野球をしているのが見える。
「あそこでやってる中に一樹はいるのかな」
「んー、今日は空手の日だからいないはずッスよ。本当はお見舞いも誘ったんだけど、よくわからないことを言って来たがらなかったッス」
………………ふむ。
これは、何かしら手を打っておいた方がいいかもしれない。あの子はまだ心に澱を溜めてはいけないはずなんだ。
やらなきゃいけないこと、ひとつ確認。
家に着くと、予想通り叔母さんが出迎えてくれた。何か言いたげな表情をしていたけど、一緒にいる長瀬の顔を見た途端にそれがひきつる。
そしてさらに、長瀬の挨拶を受けるとなぜか不思議な笑みが浮かびあがった。なんですかその顔は
かつてと似たようなやり取りを繰り返す二人。かつてと同じように僕と長瀬は僕の部屋に向かう。
思っていたような状況にはならなかったけどまだまだ油断はできないよなあ。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:09:47.62 ID:kV4ndmHN0
支援
前スレのログくれ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:13:20.75 ID:2dl6QpFW0
「相変わらず何もない部屋っすね……」
そもそも最近はほぼ全く帰ってなかったからな。
思春期真っ盛りの僕は夜の明かりに誘われてしょっちゅう危険な夜遊びに興じていたわけだし。半分嘘。
僕は椅子に腰をおろし、長瀬は僕の布団の上に寝転がる。
今日の服装は水色のポロシャツに割とミニなデニムスカートの長瀬。
おいおい長瀬さん、あんまり激しい動きをすると腹部の滑らかなラインとか
英語で言うところのハムストなんちゃら的な部位とかが目に入っちゃいますよ。まぶしいぜまったく。
「それで……透は学校はどうするッスか? 一応行ってもオッケーって話だったッスよね」
「ずっと家にいてもやることないしね。とりあえず行くことにするよ。」
僕にとって、学校というものはそれなりに行く価値があるものだ。
クラスの喧噪があり、その中に入らないまでも自分の生活の一部がそういうもので成り立っているということは嬉しいものなのだ。
自転車には乗れないから早めに出ることになりそうだけど。
学校から近いとは言えない距離にあるのがこの家の数少ない良くないところである。
あ、問題がもう一つあった。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:14:48.52 ID:kV4ndmHN0
しえん
クンカクンカしていいですか?
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:16:45.75 ID:2dl6QpFW0
「で、学校に行くに当たって相談事があるんだけど」
「何スか?」
「そろそろ期末テストだったよね……というわけで協力を要請する」
そう。僕が倒れていようがいまいが関係なく時は過ぎる。
幸いにも思ったより早く復帰できたということは、逆にそういう時期に間に合ってしまったということなのだ。
天才少年か秀才学生でもない限り割と高いこの壁は、やっぱり僕の前にも立ちはだかることとなるのであった。
「復帰して早々それかー! もうちょっと甘い展開を希望してたッス! 私の純情を返せ!」
そしてその壁は肉体的には優良児、頭脳的には一般的女子である長瀬さんも無関係ではない。もちろん予想通りの反応である。
「それじゃ、その意見も取り入れて勉強会ってのはどうだろう」
「……透にしては気の利いたアイディアッスね。仕方ないからその案を全力で支援するッス」
長瀬の字を解読するのは骨が折れたからな。読めないほどじゃないけど視線を移すとどこを読んでいたかわからなくなるのには参った。
その点一緒にやれば効率も上がるだろうし。僕からも教えられることもある……かもしれない。
なにせ暇に飽かせて小中高と予習復習を欠かさずやってきたわけだからな、えっへん!
それで人並みの成績というのは胸を張れるのか、という疑問は見なかったことにしよう。
ということでこの話はおしまい。次は何しようか?
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:17:48.77 ID:kV4ndmHN0
れろ
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:20:06.04 ID:2dl6QpFW0
>>23 ログ……っていうとどうしたらいいんでしょ。原文はありますがそれを再度投下ってことでしょうか
>>25 長瀬 「支援感謝ッス!お礼に私と透のムフフな時間を見る許可を与えるッスよ!」
>>26 前スレと同じ方ですか?ありがとうございますw
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:26:54.51 ID:+SFRSv2KO
再投!神は居られた
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:28:06.68 ID:2dl6QpFW0
>>31 やってみたはいいもののよくわからない……
どのURLを貼ればいいのやら
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:31:08.56 ID:2dl6QpFW0
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:35:13.18 ID:2dl6QpFW0
「しかし本当に透は趣味とかないッスか? とても年頃の男子の部屋とは思えないッスよ。退屈に過ぎるッス」
悪かったな。毎度思うけれど、基本的に僕の部屋は人を招くようにはできていないのである。
恋日先生にはよく漫画を借りていたけど、趣味と言えるほどではないかな。
「一回来てるんだから知ってたろ。趣味とか持つような生活もしてなかったし」
「一樹を見習ってほしいッス。最近また習い事が増えて……やっぱり人には刺激が必要ッスよ」
「長瀬と話してると十分刺激的だよ」
こんなこととかしてみたりして、と僕は布団へと座る場所を移す。流石に慣れてきたけどちょいちょい気恥かしさが顔をのぞかせるぜ。
うつぶせに寝ころぶ長瀬の頭を撫でると、少し熱くなった髪はさらさらと僕の指の隙間を抜ける。
窓の外を眺めると夏らしく飛行機雲が青空に薄く伸びていた。
「透の手、気持ちいい……今なら猫の気持ちも分かるッス。透専用猫ちゃんだにゃー」
ふにゃふにゃしながら長瀬が目を細める。なんだか和んだので耳を撫でてみよう。
「くふふ、くすぐったいッス。透も触らせるッスよー」
長瀬が身を起こし、僕の耳に手をかける。しかも両方に。おい何をする気だ。
ぐにぐにと僕の耳を揉む長瀬。僕が首をすくめるとさらに揉み倒す。
うは、これは自分でも知らない弱点を知られてしまったようだ。長瀬の手をはがそうとするけど、どうにも力が抜けてしまう。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:39:51.37 ID:2dl6QpFW0
「透の弱点はっけーんッス。案外透にもかわい、むぅっ」
ふはは、生意気なことを言う口をふさいでやったぜ。両手は塞がってるから口でな。
手の動きが止まったのを見逃さずに、さらに段階を進める。具体的に言うと舌を侵入させてみた。
一瞬長瀬の瞳が見開かれたが、すぐに目を閉じる。拒否されないことに若干安堵した。
歯を舐め、舌を吸う。口内はじっとりとした熱を帯びていて、外気なんかよりも僕の体温を上げた。
長瀬の唾液を飲みこんで、再び舌を絡めて僕の唾液を送り込み攪拌する。
ごくん、と長瀬の喉が動くのを感じ、顔を離した。一瞬、僕と長瀬の間に透明な橋がかかる。
「と、透……」
上気した顔で長瀬が僕を見つめる。軽く微笑むと僕の首に腕をまわし、今度は長瀬の方からキスをしてきた。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:40:07.94 ID:kV4ndmHN0
支援
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:41:07.90 ID:kV4ndmHN0
壁オチじゃあるまいな
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:42:29.19 ID:2dl6QpFW0
「と、透……」
上気した顔で長瀬が僕を見つめる。軽く微笑むと僕の首に腕をまわし、今度は長瀬の方からキスをしてきた。
さっきとは違う、長瀬の舌が入ってくる感触。恐る恐るといった感じで這いまわるそれを舌で捕まえる。
すると遠慮がちな動きが一転して激しくなり、僕の口内は蹂躙されていく。
何度唾液を交換した頃だろうか、再び離れる僕らの口。といっても接する状態じゃなくなっただけ、といった方がふさわしいかもしれない。
髪をすいてやるついでに耳に舌を這わせ、耳を甘噛みしながら抱きしめると長瀬は小さく声を上げた。
なんだかやる気の出てきた僕はさらに喉から首筋へと舐めたり噛んだり、痕が残らない程度に吸ったりする。
いつの間にか僕らは布団の上に倒れ込んでいた。
長瀬が僕の頭をギュッと抱きしめたそのとき
「××―? お茶とコップ、ここに置いておくわよー!」
コンコン、というノックの音とともに叔母さんの声が聞こえてきた。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:42:50.34 ID:kV4ndmHN0
支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:47:18.33 ID:2dl6QpFW0
コンコン、というノックの音とともに叔母さんの声が聞こえてきた。
ぐっ……な、名前……不意打ちを食らった僕は思わず全身の力が抜けてしまう。
長瀬の方を見ると驚きと焦りで危ないくらい真っ赤になった顔が目に入った。尋常じゃない焦りようである。
「ちょちょちょちょっと、わわわわわわあわわあっわ」
落ち着け長瀬。素数ネタはこの間やったからおいといて、叔母さんは部屋に勝手に入ってくるようなことはしない人……のはず。
とりあえず返事をしなければ。
「あ、ありがとうございまづっ」
噛んだ。僕だって焦っているのだ。慌ててフォローの返事を追撃に送って、こちらはなんとか平静を装えたように思う。
トントントン……と階段を下りる音が聞こえた。当面の危機は脱した……かな?
「……」
「……」
二人して無言である。そりゃそうだ、あそこまで言っておきながら横やりが入ったのは結構ダメージがでかい。
僕も長瀬も勢いでいってたようなもんだからなあ……理性が揺り戻してきて、冷静に自分の行動を思い返してみると頭を抱えたくなった。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:47:58.48 ID:kV4ndmHN0
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:48:36.86 ID:yp7OH/nJ0
しえん
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:53:50.76 ID:2dl6QpFW0
「……なんか、気抜けちゃったッスね」
ぷふっと吹き出しながら長瀬が言う。
「油断してたよ。完全に叔母さんのこと、頭から消えてた」
「それだけ夢中になってくれたってことだから嬉しいッスよ。
それに透がヘタレじゃないことが証明されたわけッスからオールオッケーというか」
「僕だってやるときはやるんだぞ。……あの、こういう時に限った話じゃなくてね」
長瀬の笑顔につられて僕も笑う。いやーね、凄く疲れてしまったぜ。お決まりのパターンとはいえ心臓に悪いにもほどがあるって。
窓を開け、ドアの外に置いてあるお盆を持ってきて二人でお茶を飲む。ほてった体に冷えた麦茶は心地よかった。
そして長瀬の提案を受け入れ膝枕に頭を乗せた僕は、長瀬の話に耳を傾ける。
僕の髪を撫でる彼女の手は気持ちよく、恐らく階下の縁側につるされている風鈴の音が聞こえてくる。
……幸せだな。思わずそう考えてしまうような時間が過ぎていくうちに、僕の意識は闇に沈んで行った。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 01:59:41.57 ID:2dl6QpFW0
「……起き……おる……ばん……ッス」
ん?ユサユサと肩を揺さぶられる感触がする
「起きるッスよ、透。晩御飯の時間ッス」
あれ、なんで長瀬がここにいるんだ?そう考えた瞬間、急速に意識が覚醒し記憶も回復した。
というか晩御飯って……あれ?
がば、と身を起こす。いつの間にか寝てたのか。時計を見ると結構いい時間になっている。
どういう状況になってるんだ?ぼくはこんらんしている!
「叔母さんが呼んでるッス。早くいかないと叱られちゃうッスよ」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:00:24.89 ID:kV4ndmHN0
しえん
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:04:00.83 ID:2dl6QpFW0
まだ事態を把握しきれていない僕をひっぱる長瀬と二人で階下へ降りていく。
席につき、ふっと視線を感じて顔をあげると叔母さんと目があった。その瞬間、すべてを把握する。
……見られた、のか……
思わず突っ伏しそうになる僕を尻目に、長瀬は叔母さんと談笑している。いつの間にそんなに仲良くなってるんですか。
「この煮つけ、凄く美味しいです!どういう味付けなんですか?」
「あらあらそれはね、アレをこうしてソレをちょいと捻って……って感じだからあなたにもすぐできるわ」
「いえそんな……私、不器用で料理上手じゃないから」
「そんなことないと思うけどねぇ…手伝ってくれるのを見てた感じ、イケるわよあなた!
うちの子にはもったいないくらいだわ」
「あ、あの……照れます(キャッ」
……なにそのテンプレ会話……。(キャッとかそういうキャラじゃないだろう長瀬よ。
会話の合間合間に僕の方をちらちら見ながらニヤニヤする叔母と長瀬。完全にアウェーである。ホームのはずなのにこれはおかしい。
僕の寝てる間に何があったんだ。だれか僕に教えてくれ!
支援
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:13:12.16 ID:yp7OH/nJ0
しえん
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:13:28.77 ID:2dl6QpFW0
針の筵のような夕食が終わったとき、僕はすっかりげっそりとしてしまっていた。
「それじゃあ、そろそろおいとましますね」
「またいつでもいらっしゃい。ご両親によろしくね」
「、はい。ありがとうございました」
……ん?なんか今……
「こら、ボーっとしてないであんたも一緒に送って行くんだよ。さっさと支度しなさい」
もちろんそのつもりでしたとも。その証拠に松葉杖も持って出かける支度はバッチリだぜ。
家を出た僕たちは夜風に吹かれながらゆっくりと歩いている。
長瀬にさっき一瞬感じた違和感はすでになく、なんとなく無言のまま半分ほどの道のりを過ぎた。
支援
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:17:07.48 ID:yp7OH/nJ0
しえん
ま 出 拙 ヽ::::::.:::.::.
だ 番 者 !::::.:::::::..::..
か は の .〈::::::.::..::::...
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\::::メ:::::::,/ ', ', w'"::::::...
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54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:24:57.84 ID:2dl6QpFW0
「なあ長瀬、うちの叔母さんといつの間にあんなに仲良くなったんだ?」
「えっとね……透が寝ちゃってしばらくしてからかな、叔母さんがまた部屋に来たッスよ。
透の寝顔を見ながらボーっとしてたのと膝枕してたのが相まって逃げられなくって、かなりパニクっちゃったッスね。
叔母さんはなぜか『やっぱりね』みたいな顔をしていたんだけど、急に改まった感じで話があるって言われたッス」
……お茶の時も気づいていた可能性が高いな。その様子だと……
「それで透を布団に寝かせて下に降りて行って少しお話をしただけッスよ。あと晩御飯の準備のお手伝いも少し。
それだけッス。」
「その話の内容、できれば聞かせてもらいたい」
「うふふ、少しだけッスよ。……要点だけ言えば『あの子をよろしく』って感じッスかね。きゃー」
……いや、それだけじゃない気がする。これは単なる予感だけど、僕の恥ずかしい話をいっぱいされてしまったんじゃないだろうか。
あの人ならやる。やるといったら(言ってないけど)確実にやり遂げる凄味を持つ人だからな。
結果的に長瀬を紹介した感じになったわけか。ポジティブに考えれば手間が省けたってところだけど……
二人の会話を聞く以上だとイジられる未来が目に浮かぶのが辛い。二人ともエネルギー有り余ってるからな、割と容赦ない攻撃をされそうである。
諦めた僕は歩みを進める。と、公園に差し掛かったあたりで、長瀬に呼び止められた。
しえん
長瀬ええええええええええええ;;
9巻読んだらすごく長瀬がいとおしくなった
1章扉絵の長瀬が眩し過ぎる
しえん
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:54:28.66 ID:2dl6QpFW0
「透。ちょっと相談したいことがあるの」
足を止め、長瀬と向き合う。
「それは、長瀬の両親のこと?」
「よく分かるッスね……当たり。あの、私、両親にまだ透のこと言ってなくて」
ふむ。確かに前に付き合ってた時も家に電話とか遊びに行ったとかはした記憶はないな。
あのときに話していたのなら、もっと早く長瀬も僕の正体を知っていただろうし。
「うちのお父さんって結構厳しめな感じで、私が透と一緒にいるってことを知ったときの反応が想像しやすいわけッス。
おまけに透は……その、複雑だから……不安で」
……確かに一般常識から見たら、犯罪者の息子とわが子が付き合ってるなんて避けたいことだもんなぁ。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 02:55:36.82 ID:2dl6QpFW0
「まあ、僕は慣れてるし大丈夫だけど。いざとなったら多分叔母さんとかも助けてくれるさ。
長瀬はかなり気に入られてると思うよ。あれは」
「でも……透が傷つくのは凄く嫌」
「僕より長瀬が何か言われる方が心配だよ。大丈夫、そんなことで嫌いになったりしないって」
長瀬を手招きし、抱きしめる。松葉杖が倒れたけど気にしない。俯く長瀬の頭を撫でながら何度も言葉をかける。
「大丈夫だよ、長瀬。安心して」
vsお父さんか……初めての経験だ。クソ親父はノーカンね、念のため。
正直、にべもなくシャットアウトされてしまったら終わりではある。それだけは避けなければならない。
僕が一番危惧しているのは長瀬を悲しませる結果になってしまうことである。それを防ぐためだったらなんだってしてやろうじゃないか。
僕は決心して空を見上げる。
包み込むような夜空には、僕たち二人を照らすように月が光っていた。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/13(水) 03:00:31.70 ID:2dl6QpFW0
ね、ねむい……
とりあえずこれで一旦〆です。
お察しのとおりまだまだ続きます。今回の決着くらいだったらこのスレに書けるかな…?
次エピはおそらくセンター試験後になるかと。
にもうととかでてきます。ゆずゆずも。脇役扱いですがw
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました!
本スレ及びエロパロスレに常駐しているので、スレが落ちた後でも何かあればそちらまでよろしくです
乙
>>1乙
前スレでクンカクンカしてごめんなさいッスwww
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
サイボーグクロちゃんかと思ったわ