1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:04:44.00 ID:DpLPrUuU0
▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい
▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・【!】お題:保守=ただ保守するのも何だから小説風に保守する=通常作扱いにはなりません
▽規制されている方へ
・
>>1から辿って行けるまとめ板に、規制者スレがあります。
そちらの方に投下していただければ、心ある人が転載してくれます。
▽その他
・作品投下時にトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
・ただし、作品投下時以外のトリップは嫌われる傾向にありますのでご注意を
▲週末品評会
・毎週末に週末品評会なるものを開催しております。小説を書くのに慣れてきた方はどうぞご一読ください。
wiki内週末品評会:
http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%BD%B5%CB%F6%C9%CA%C9%BE%B2%F1
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:05:29.26 ID:DpLPrUuU0
387 ◆h97CRfGlsw [sage] 2009/12/23(水) 14:39:07.26 ID:C0FlZwrc0
この一年、どうだった?
充実してた? 進歩はあった?
俺……俺は……
第195回品評会 『後悔』
規制事項:5レス以内
投稿期間:2009/12/26(土)00:00〜2009/12/27(日)23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間:2009/12/28(月)00:00〜2009/12/29(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけしましょう※
4 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:07:38.49 ID:DpLPrUuU0
2009年の優勝作全感投下します
わざわざこれする為に立てたんだから落ちたら泣くぞ
さる喰らったら規制者スレの方に張るから転載よろ
5 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:08:50.10 ID:DpLPrUuU0
第144回 『復活』「華胥の夢」◆zphG1xETzA
どうもストーリーが無い話は評価し辛いのだけど、やっぱり雰囲気は良かった。小説というか詩、と言えなく
も無い感じだけど、やっぱりそれがこの作品に流れる空気作りに貢献しているので、これに下手に明確な物語を
加えると、持ち味が崩れてしまうのかなぁと思う。
「復活」が自分の出したお題なので、最後の二行はじんわりときた。
第145回 『壁』「PUNCH!」◆B9UIodRsAE
ボーイミーツガール、そして能力モノ。ラノベ的、といえなくもない。
うろ覚えだけど確か投票した気がする。今読み返してみても、やっぱり良いなぁと思う。ただやっぱり、設定
からストーリーに発展して、そこで止まっている感がある。文章も、「読みやすい」の範疇を出ないなぁ。もっ
と実験的だったり、突出した魅力がある方が個人的には好みだけど、なんだかんだで完成度は高いですね。
第146回 『ゴミ』「STARDUST BOX」◆qCm0404lsQ
近未来系SF。社会風刺とロマンの合わせダシ。
SFをやると舞台設定の説明をいれなきゃいけなくなって、そうすると5レスっていう制限が厳しくなる。こ
の作品は、というか、SFで勝てる作品はその辺のバランスが良く出来てる物だ。また、ゴミというテーマをよ
く捉えていると作品だとも思う。ただラストはもう少し盛り上げられたんじゃないかな。
第147回 『楔』「翅」◆ocoMPoZMZc
書き出しからして良いなぁと思った。でも話が展開する訳ではなくて、「設定を明かす」という話の構成なの
で、正直尻すぼみ。それでも文章は結構好みで、面白いというより楽しいという感じだった。
6 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:09:57.10 ID:DpLPrUuU0
「深みに嵌る」◆oxw1gbVEdk
読み終わってまず思ったのが「これ4レスも使う話か!?」だった。いや、やっぱりセックス関係は人間の共
通興味であるからしてフックはあるんだけど、なんかZUKI樹あたりが書いてそうな話と言うか……まあ正直
好きではありますが……うーん。
第148回 『明るい/厄』「イブは風のなか」◆2LnoVeLzqY
邦画のワンシーンという印象。話は完結しているんだけど、雰囲気というか、物足りなさというか、色々まと
めて一言で片付ければ邦画のワンシーン。やっぱり文章はうまいんだけど、そのうまさが、作中にある何かを引
き立てる為じゃなくて、ありきたりなテーマを誤魔化す為に使われてるんじゃないか、と勘繰ってしまう。俺が
ストーリー中心に考える人だからだと思うけど。
「カンパネラ継ぐ」◆h97CRfGlsw
吸血鬼の設定を説明するタイミングがなかなか良いなぁと思った。やや軽いけど、なかなか先を期待させる文
章。肝心のオチは……う〜ん及第点。まあ〜こうなるか〜という感じで、落ち着くところに落ち着いた感じ。た
だ、吸血鬼なんて使い古されたネタでここまでちゃんと仕上げたのはなかなか凄いかなと思う。
第150回 『きっかけ』「きっかけは、人違い」◆h97CRfGlsw
宝刀の設定を作者が恥ずかしいって思っちゃったらあかんで。そういうのは、思い切りよくやらないと。
設定が話に生きてる点と、キャラをきちんと固めてる点は評価できるんだけど、いかんせん詰め込みすぎな気
もする。正義とはなんぞやみたいなのは、もうこの際いらなかったんじゃないかな、と。何千回も繰り返されて
きたテーマだし、その分戦闘描写をもっとがっつり書いて欲しかったかな。
7 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:10:51.00 ID:DpLPrUuU0
第151回 『無視』「ある日の文芸部室」◆/ITZBwF/lc
レス制限ありで書いてる以上、一つの作品でいかに話を圧縮できるかってのはみんな色々考えた事があるんじ
ゃないかなって思う。それを踏まえた上でこの作品。まあ確かに、一粒で二度おいしい、環境を生かした話では
ある。ただ、どれもあんまり面白くないな。プロットだけ見せられてるからだろうけど、圧縮に失敗して、デー
タが破損してる感じ。オチに繋がる部分も特にうまくないかなぁ。
第152回 『奇抜』「創造世界」◆tmpxHIUkAw
ぉーん。発想はもちろん分からなくもないんだけど、面白いかなぁこれ。
なんか評価し辛いっすねえ。話が無いし、リアリティーが無いし。
かゆ……うま……みたいな日記の演出はそこそこ良く出来てるかな、という感想。
第153回 『裏切り/境界線』「鏡(お題:境界線)」◆2LnoVeLzqY
なんというか、きちんとストーリーがあるだけで安心できるな。とか今更思った。
やっぱりこの話のキモは、ノーマと芹沢がストーリー上は密接に関係しないのに、うまく対比がなされている
って所だろうな。まあアンドロイドとロボットってのがそもそも対比する対象として適切なのもあるけど、その
辺うまいなって思う。
第155回 『進化』「進化の評価」◆t3xSf4sKw2
上手い文章ってのはこういう事だろうな。
伝える手段はあくまでも「筆記」の技術であって、より効率的に、より深く伝え合うのが「アルファベット」
の技術なら、その先にある「文学」の技術はこういう事だろうな。なんてcivプレイヤーにしか分からない例え
をしてみましたが、素直に面白いなと思いました。技あり。
8 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:11:57.27 ID:DpLPrUuU0
第156回 『コピー』「絵描きたちの夜」◆MnsXw5A73Q
レス数をもてあましていない所が評価できる。描写がいちいち丁寧で、良い意味で均一で、そして安定感があ
る。
ただ、「今目にしてないもの」として主人公が「夢」を提出したのはちょっと幻滅だった。まあ個人的な意見
だけども、その辺はもっとぼかしてほしかったかな。全体的に良く出来てると思う。
第157回 『ジャンプ』「空飛ぶオランダ人達」◆xsJqaU.umA
珍しくショートショート的な作品なんだけど、元ネタが分からないとちときつい。だから、今だから言えるけ
れど、全館の時に作者が元ネタを説明したのはある意味卑怯だと思う。その辺うまく作中に取り込んでこその評
価かなと。ネタ自体は面白いんだけど、その発想も元ネタありきだからなぁとか考えると閉口。
第158回 『家』「人間が歯車」◆pxtUOeh2oI
改めて見ると、なんだかよくわからなくなった。確か投票か関心票を入れたような気がするんだけど、何でだ
っけ。面白い。とはかなり違うんだが、魅力が無い訳ではない。
この作品を完璧に説明できて、自分の意見を飾らず述べられたら、一流の読み手になれる気がするんですが気
のせいですかね。
第159回 『秋/殺』「22歳の晩秋」◇fMeTibrj0
お題が「殺」の方だったから、いつ殺されるんだこれ、と不安になりながら読んだけどそんな事にならなくて
よかった。
なかなか読み応えのある作品だったと思う。ただなんでだろうな、クリスマスイブだからかな、目から汗が流
れてきやがるぜ。
9 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:12:39.13 ID:DpLPrUuU0
第161回 『指きり』「ここのつ」◆ik6i89RqMo
短い中で味わい深い作品。最短優勝作品だろう。
舞台とか背景のぼかし方が秀逸で、それでいて話に無理がないように、明確な世界観。文体とは別の意味で、
かつ良い意味で今の小説っぽくない。
第162回 『おとぎばなし』「人を救えるからヒーロー」◆zH52hPBzFs
風刺の効いた作品。オチもなかなか良い感じ。
ただキャラクターがなんかどっかから引っ張ってきたみたいな感じがするのは俺だけか。台詞にあんまりとっ
かかりが無いとかも原因かもしれない。あと導入の部分もかなりまどろっこしい気がする。舞台の説明でかなり
手間食ってるというか。もう少しスムーズに出来ると思う。
第163回 『叫び』「この声が枯れるくらいに」◆oxQ.jXqnMY
なんか作者が一人で突っ走ってる感じ。ごちゃごちゃしてよく分からん。
話が全然入ってこないんだけど、ありきたりな話って事だけは分かる。自分でも優勝作にここまで酷評できる
と思わなかったレベル。
第164回 『馬鹿』「狐が嫁入り」◆B9UIodRsAE
改めて読んでみると、やっぱり良いなぁと思える作品。男のツンデレもベタっちゃベタなんだけど、関係性と
設定と文章が全部バランス良くて、畳み掛けられるような感覚はある種小説の醍醐味の一つかもしれない。
ただ、『馬鹿』かなぁ。そんなに馬鹿じゃないと思う、俺は。
10 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:13:35.35 ID:DpLPrUuU0
第165回 『妖』「どんふぉげっとの妖怪」◆fSBTW8KS4E
淡々と進んでいく話。作中で何度も繰り返される「わすれてはいけない」という台詞が、この話のキーワード
になっていると思うんですが、正直なんかよく分からなかったです。雰囲気を作る文章と、説明をする文章がう
まく混ざり合ってないというか、浮いちゃってる感じがする。「オシノさん」についてもなかなかはっきり見え
てこなくて迷う。
第166回 『穴』「人は穢を食べて育つ」◆ML.K5wMH76
思春期独特の心の淀みを、繊細で丁寧な文章で描いた作品。やっぱり上手い事は上手いんだけど、冒険出来て
ない感じがする。
「穴」というお題に対しての捉え方がまさにそうで、「胸にぽっかりとあいた穴」から結局出られて無いんで
すよね。そして登場人物である二人の女も、何かこう、作られた感じが拭い去れてない。
第167回 『不足』「オンステージ」◆Loli.L85P2
文章が下手って訳じゃないんだけど、なんか後半に行くにつれて目が滑った。宇宙のロマンと男子と女子。な
ーんかそれだけな気がする。誰かが言いたい事を、言わされてるっていうと勘ぐりすぎかもしれないけど、何か
の影響がこの作品の背景に見えて仕方が無い。これは正直な感想。
第168回 『雨』 「雨宿り」◆oxQ.jXqnMY
かなり導入に無理がある気がする。あと3レス目くらいでオチが読めた。
ただ、163回以降ここまでずっと恋愛物だったから、久々にこういう群像劇+ショートショートみたいなの
は良かった。でもそれだけですね。あんまり文章も目を見張る所はなかったし、話にも何か特長がある訳じゃな
いような気がする。微妙。
11 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:14:21.55 ID:DpLPrUuU0
第169回 『ハッピーエンド』「あの背中を追って」◆oxQ.jXqnMY
確か投票しました。あの時は良い作品だと思った。でも今読んでみると、なんかそうでもないかなぁなんて。
でもやっぱり話自体は良い話で、文章もこぎれいに纏まってる。別段、これといった欠点が無いという所が長
所かな。
第170回 『決着』「十二回目の敗北」◆71Qb1wQeiQ
登場人物の動作一つ一つ、まるで絵に描かれたか、ベテラン俳優の目配せかのようにしっかり伝わってきた。
だが、いかんせん登場人物、話の流れ(特に、猫が評判になって店が繁盛〜の件)、台詞回しに挟まるユーモア、
どれも抜きん出た物が無くて、平凡すぎる。
てかね、やっぱり猫出すのは卑怯だにゃー。
第171回 『0』「ゼロへの収束、もしくは拡散」◆D8MoDpzBRE
なんというか、科学的な説明だけを見させられた感じ。娘と親という関係性があるんだけど、正直生きてない
気がする。説明させる為に登場させたような、登場人物が一つの小道具で終わってしまってるというのかな。
あとブドウの件引っ張りすぎだな。正直あんまり面白くない。
第172回 『カレンダー』「僕の暦」◆InwGZIAUcs
んーこれはなかなかよいな。よくあるBmGと一線を画していつつ、王道的な部分は外さないというか。うまい
なぁと素直に思った。分量もちょうど良い感じでまとまっている。主人公のキャラもひとくせあって良い感じだ
った。ただその分、不治の病の件がちょっと唐突というか、その前に伏線があればもっと良かったかなと思う。
せっかく登場させた友人あたりを使えれば。
12 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:15:03.91 ID:DpLPrUuU0
第173回 『姫』「姫というくびき」◆VrZsdeGa.U
ストレートな話のわりに、書き方がなんかややこしい。いや、まどろっこしい。
んで結局何が言いたいねん! と思ってしまった。これは邪推だけど、プロットの段階で話が普通すぎて、い
ろいろ切ったり張ったりしているうちに訳分からなくなったんじゃないだろうか。そんな印象。
第175回 『人生』「琥珀色のアイスコーヒー」◆7cy2QI8jBM
しんみり系。人生というテーマがきちんと書かれてると思う。
よく考えたら自分が出したお題だったけど、うっかり読むのを忘れてた。他の作品も読んでないけど、まあこ
れが優勝したのは妥当だなと思った。
第176回 『化け物』「(8.8人の鬼たち)と巨大な組織の私たち」◆/sLDCv4rTY
わっけが分からん。全然見えてこないんだが……だが、なんか、化け物っぽい感じはものすごいする。
こういうのはやっぱり文章のリズム感とかを楽しむ物なんだろう。感想も書きようがない。
第177回 『いじめ/エコ』「湿気(お題:いじめ)」◆DSM7XB0fYQIy
ぬうう……面白くないな。というか176回と177回は参加者異様に少ないな。この辺何かあったっけ?
さるよけ及び全感やべえの大音声を上げた俺
14 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:15:50.56 ID:DpLPrUuU0
第178回『エッセイ/君と僕/夏祭り/魔眼/生物兵器/異次元』良く晴れた日の午前中に考えたこと(お
題:魔眼)」◆zH52hPBzFs
うーん、面白い! これはやっぱり面白いな。3レス目のあたりまででぐいぐい話に引き込まれてしまった。
「魔眼」なんて厨くさいお題でよくここまで仕上げられたもんだと感心する。
まああえて文句を言うとすれば、「殺す」の定義が少し曖昧な所かな。過失でも殺す事に入るんだったら、例
えば大企業の社長なんかは100人くらいはぶっ殺してる気がする。あとラストに関してもちょっとう〜んとい
う感じ。主人公に感情移入できれば、このラストはある種ほっとするラストなんだろうけど、いまいち主人公が
好きになれなかったので。
第179回 『迷信』「未成年の方は注意してご覧ください」◆VrZsdeGa.U
なんか怪談としては中途半端だな。まず怖くないのが問題。とはいえ、よくある幼少期の思い出話的な感じか
というと、それとしても中途半端な気がする。
紫鏡という素材は、やっぱり語り継がれているだけあって良い物なんだけど、それを活かしきれてないという
か、むしろ、やっぱり子供じゃないと怖がれない物なのか。もうひとひねり欲しかった。
第180回 『太宰治』「津軽頂上決戦!大斜陽族グッド・バイ!」◆O8W1moEW.I
お題がお題なだけあって、苦悩してんなぁという印象。いや、開きなってるなぁの方が近いかな。なんという
か、アリの穴っぽい雰囲気だね。あとはもうやりたいようにやりましたって所かな。特に言える事はなし。
「人間補格」◆DSM7XB0fYQIy
これは素晴らしい作品である。鬱々としている作品でありながら、隙間に僅かながら希望が見えて、それが砕
かれるとさらに鬱になる。自分はこういう作品が好きなんです。
15 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:16:37.80 ID:DpLPrUuU0
第181回 『犬/猫』「トム(お題:猫)」◆zH52hPBzFs
あー良い話だ。そして良い親父だ。ぎりっぎり泣かなかったけど、ラストはちょっと危なかった。
こちらもSFとしてやっぱり、設定を無理なく伝えている所が丁寧な仕事だった。脱出させて終りじゃなくて、
まだまだ大人たちも希望を捨ててないって所が特に良かった。
ただ、感動の要素がワンピースっぽい。
第182回 『高』「Rip it off」◆D8MoDpzBRE
あらーこれも良い話。洒落てるね。
戦争というテーマありきな所ももちろんあるけど、やっぱりこの作品の中で一番秀逸なのは、砂漠と鉄塔と飛
行船というモチーフだと思う。無論、お題が『高』だからというのもあるかもしれないけど、なんか凄く良い組
み合わせで、うまく溶け合ってる感じがする。
第183回 『爬虫類』「クロコダイルバード」◆QIrxf/4SJM
やっぱり文章は物凄いうまい。言い方は悪いけど、話はあってないような物だなと思う。そのくらい文章がう
まい。
てか、180回からここまで神回だな。お前ら9月に何があった? 残念ながら自分は9月は色々事情があっ
て一回も参加できなかった。それが今更ながら惜しまれる。でも多分勝てなかっただろうなとも思う。面白かっ
たです。
第185回 『地獄』「神様の殺し方」◆pxtUOeh2oI
まず素材が良い。BNSKで中々書かれるタイプの作品ではない。関係ない話だけど、ここまで読んできて少
年少女の恋愛モノが多すぎて、ちょっと辟易してたから、やっぱりこういうのは良いな。
ただこの作品は良い素材っていうだけでは終わっていない。作中に書かれている「天国も地獄もない」という
解答を、うまく演出している。だけどちょっと、子供には難しい話をしてる所が気になったかな。そこの所がこ
のキャラなのかもしれないけど。
16 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:17:19.71 ID:DpLPrUuU0
第186回 『性差』「性差三センチ+α」◆eeBRZzl9kY
ドタバタ系コメディー。とか言うと昭和っぽいな。でもそんな感じ。
楽しく読める作品だと思う。やや暴走気味の文章も、なかなか味があって良い。ただ、性差というテーマを扱
いきれてない感じもした。
第188回 『恋文』「田んぼの外れの赤い塔」◆F00SERh74E
いまいち。面白くないね。なんか普通。赤い塔もあんまり役に立ってないし、何よりありきたりだ。
「見ず知らず」◆xyAZ5VvW6Y
文章にあまり飾りがなくて、それが逆に妙に本当っぽかった。淡々と実話を語る、みたいな切り口に弱いのか
もしれない。ただやっぱり小説としてはあんまり芸は無いかな。文章もそうだけど、話にもぐっと引き込まれる
部分が無いというか。なんか普通。
第189回 『タイムリミット/皮肉』「白い部屋(お題:タイムリミット)」◆Mulb7NIk.Q
何この足フェチ用小説。斬新な発想だと思う。それはそれだけで価値がある。
個人的に納得がいかなったのは、不死のくだり。作者としては精神的な部分に焦点を絞りたかったんだろうけ
ど、殴ってもゴムみたいになるとか、なんかそういうのは蛇足な気がする。何もなしで死ぬのはそもそも難しい
ので、死のうとしたけど駄目だった。で良いんじゃないかなと思った。あとラストもいまいちだな。なんか投げ
やり。
第190回 『熱血』「熱来椎造」◆VrZsdeGa.U
最初は良く出来た話だという印象だったけど、よくよく考えてみるととんでもない話だ。熱来椎造は、ただ熱
血なだけじゃなくてファイアースターターみたいな能力者になってるし、寒久手良造にこのキャラが仕えるのも
なんか変だ。他にも色々気になる点はある。だけどそれら理不尽な点を半ば強引に、文章という力でねじ伏せて
いるのはある意味技術の一つなのかもしれない。
17 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:18:26.60 ID:DpLPrUuU0
第192回 『笑い』「廃棄処分」◆h97CRfGlsw
2レス目まで読んで、お、こっからどうするんだ〜と気になったから、少なくともそこまでは良く出来ている
んだと思う。ただ、最後はもちろん納得いかないし、中だるみもある。彼氏どうしても必要かなぁこれ。
あとは単純に、やりとりがあんまり面白くないかなぁという感じ。せっかくだから笑わせて欲しかった。
第193回 『敵視』「一つのメタファー」◆VrZsdeGa.U
先々週読んだばかりだから、改めて感想書くのも難しいな。190回と似たテイストだけど、こちらの方がや
っぱり話に無理がない。あと、きちんとキャラが出来てるなと思う。それくらいかな。
第194回品評会 『クリスマス』「二人のトナカイ」◆h97CRfGlsw
クリスマスといえば孤児院! みたいな脊髄反射的な舞台設定だったからどうかなと思ったけど、きちんとそ
こで終わってない所に好感が持てた。自分は「クリスマス」ってお題が出た時点で、どうやって壊すかしか考え
られない人間だったので、これを読み終えた後「ああ、これが正しい人間だよ」としみじみ思いました。結局壊
せなかったしね、まあ後一歩だったけど。
明確なテーマがあって、なおかつ話が出来ていて、そして引き込む文章がある。完成度の高い作品だと思いま
した。
18 :
2009全感 ◆LBPyCcG946 :2009/12/25(金) 19:19:25.65 ID:DpLPrUuU0
総評
一気に一年分、約50作品くらい? 読んでみましたが、意外と楽だった。やっぱり最低でも優勝してるだけ
あって、普通に面白い作品が多かったと思う。
まあ普段から思ってたけど、やっぱり男女の恋愛モノが多いな。次に多いのが宇宙。それから妖怪。だから多
分、男女の妖怪が星空を見上げながら語り合う小説書けば簡単に優勝できるよ、多分、おそらく、ごめん嘘。
あと蛇足かもしれないけど、せっかく全感したのでこれもしておきたいなって事で。
一年分を一回の品評会として、投票するならこれって感じ。
******************【投票用紙】******************
【投票】:第155回 「進化の評価」◆t3xSf4sKw2氏
【関心】:第164回 「狐が嫁入り」◆B9UIodRsAE氏
第181回 「トム(お題:猫)」◆zH52hPBzFs氏
**********************************************
次点で178回、180回、183回。やっぱり9月が凄い良いな。本当に何があったんだろう。
以上で2009年の優勝作全感おわり。もう本当にざっくりとした感想です。読み間違えもあるかもしれない
し、文章もあんまし気を使ってないので、同じような事言ってるかもしれない。でもまあ、数が数なんでね、適
度に手を抜かせてください。
全参加者、まとめに携わる人、その他諸々お疲れ様でした! 来年も面白い作品をよろしく!
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:25:53.47 ID:DpLPrUuU0
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:30:34.28 ID:VTLrgyd80
過疎ってると言う事はみんなリア充だな
俺は品評会を考えながら寝るほしゅ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:35:07.98 ID:O44ahSXXO
>>18 乙乙。こーいう試みは長々と居座る者として嬉しいねぇ。
勿論今年も優勝してないけど
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:37:55.32 ID:pDzydl9OO
2009優勝作全感やるとしたら一番楽な人じゃないか・・・おつとか絶対言わないんだから。ばっきゃろー
良いお年を
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19:54:57.42 ID:DpLPrUuU0
ほ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:17:22.17 ID:DpLPrUuU0
ほ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:20:50.81 ID:O44ahSXXO
ほ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:30:26.23 ID:pDzydl9OO
>>25 真ん中のxは伏せ字として、「あ〜せっくす」みたいなIDですね
それはそれとしてお題を所望しま
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:33:45.38 ID:DpLPrUuU0
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:34:59.66 ID:LThs0hjk0
レディーメイド
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:42:29.82 ID:wO4/tAi5O
>>18おつ、あとラッド厨乙
今年一年を締めくくる、いい全感だった。こうして並べるとやっぱ壮観だな。じつに感慨深い。
それにしても今年はやけに作品数が少なかったよな。夏頃のスレ見た時はちょっと本気で心配になったもの。
まぁそのおかげで優勝できたんだけどね。でもあんまり嬉しくない……。来年こそは文才が泉のごとく湧き出ますように。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20:53:33.14 ID:pDzydl9OO
>>18 兄さんお疲れさまっした
なんか思いもよらないプレゼント……あ、あなたがサンタか
昔の作品の感想の
>先を期待させる文章
が、最近ので
>引き込む文章
になってて、
ああ、俺は成長できてるんだなあと胸が暖かいれす
お疲れさまでした
来年も頑張っていきましょう。……いや、頑張りたいと思います
よろしくお願いします
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:06:53.20 ID:oUUCSgSd0
てす
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:20:40.26 ID:LThs0hjk0
とん
「そこだ、お題を所望する!」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:25:32.51 ID:qNkRqRdK0
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:25:52.65 ID:oUUCSgSd0
おお、書き込めるや。
>第173回 『姫』「姫というくびき」
奥さん集計表見ました? 関心2つですって。いわばまぐれみたいなもんです、
こんなもので優勝できたのがおかしいくらい。私も何が書きたかったのかわかんないです。
>第179回 『迷信』「未成年の方は注意してご覧ください」
投票3つ、関心3つ。うん、これも正直よくわからない。多分ホラー書いたのこれが初めてじゃないですかね、
でも主眼は他のとこにあったような気もするんだけど、もう全然覚えてないです。
むしろその後のお題発表で黒歴史があんまり思い出したくない思い出が。
>第190回 『熱血』「熱来椎造」◆VrZsdeGa.U
正直タイトル落ちですね。いかに人を笑わせるか、ってところに熱心な時期だったんで、
某テニスプレイヤーみたいなキャラを面白おかしく書いてみたかった、ってのが多分一番。
話のクオリティとしてはそれ以前に書いてたものの方が上だと思います。
しかもとある住人と喧嘩までしちゃいましたし、もうね。
>第193回 『敵視』「一つのメタファー」◆VrZsdeGa.U
全巻返しで話した通りです。正直やっつけ仕事だと思います。
半年で4回も優勝した割には全部大したことないですね。複数優勝者の中で、いや優勝経験者の中で一番文才なしジャマイカ。
ともあれお疲れ様です、来年は手加減してください。てかプロになってください。
俺もやってみようかしら、需要ないですか、すいません。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:37:58.04 ID:LThs0hjk0
奇跡の品評会初優勝が文字通り奇跡だったらしいな
全感見て思った
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:48:05.59 ID:avcF5iTJ0
奇跡だと言われたくないから、とっとと複数優勝者の仲間入りしたいです……
というわけで、今週は俺頑張っちゃうよ?
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:52:12.56 ID:LThs0hjk0
いくらか品評会アイディアが浮かんだけど、冷静に判断して全部ボツにしたぜちくしょう
後悔難しい・・・
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:16:29.08 ID:lBTKvOMK0
どうせならBNSKアワード2009やろうぜ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:18:38.36 ID:LThs0hjk0
誰得だよ
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:19:25.60 ID:oUUCSgSd0
昔はやってたらしいな。どんなもんなんだい
とりあえずお題をもらおうかな
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:21:57.22 ID:jAcJwuuQO
全館とっても乙でした
アーティ書いたのってLB酉の人だったのか
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:23:12.18 ID:jAcJwuuQO
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:35:25.40 ID:wOnyBF+3O
規制者救済スレから転載たのんます
49 :
転載:2009/12/25(金) 22:54:15.89 ID:LThs0hjk0
14 :文才無しさん :09/12/25 01:11:07 ID:oT6+gNn3
一週間以上前にもらったお題で投下します
通常作品です
50 :
回転寿司の習作(お題:寿司 1/6) ◇DH2T5p0ggI:2009/12/25(金) 22:55:09.35 ID:LThs0hjk0
「つまりさ、ちょうどこの回転寿司みたいなものなんだな」
「何が」
「宇宙」
久しぶりに会う石川は、いくらか老けたようではあるが、軽薄な比喩は
間違いなくこの野暮ったい男が私の知るところの石川であることを示して
いて、その石川は宇宙であるらしい回転寿司のレーンから恐れ多くも一皿
105円のイカを取り上げ、宇宙の何がしかに相当するであろうそのイカ
を、信じられないことにシャリの部分に醤油をつけてパクリと食べた。
「このイカだって、さっき俺たちの前を何度も通り過ぎたけど、また一周
まわって帰ってきただろ? 宇宙もそういうことになってるのさ」
「うん、全然わかんない」
わかんないのは、宇宙がどうこうってのもそうだし、もう何周も回って
るイカをそうと知りつつ選ぶこともだ。私はもちろん流されたばかりのお
寿司を狙って取っている。
「だって誰かが取らなきゃこのイカは永遠にここを周り続けることになる
じゃんか」
「そんなのイカの勝手じゃない」
「イカは確かにそうかもな。だけど宇宙は勝手にしてもらっちゃ困る」
「つまり?」
板前さんが今さっきまとめて流したイクラの一つを取りながら先を促す。
「つまり、例えば今店のおやっさんがイクラの軍艦巻きをいくつか作って
流したろ? あれが、いわば宇宙の誕生なわけだ。そして回転寿司のレー
ン、つまり時間の流れに乗せられる」
「そして、その生まれたての宇宙のひとつを今私が食べている、と」
「そう」
話に茶々を入れたつもりだったが、石川は気にすることもなく、一層
熱っぽく語った。
「そうなったイクラ、つまり宇宙は問題ない。おいしく食べてもらって立
派に生を全うしたわけだ。だけど、さっきのイカの場合はどうだ? 俺が
すくい上げてあげるまで同じ時間のループをぐるぐる回っていたじゃないか」
51 :
回転寿司の習作(お題:寿司 2/6) ◇DH2T5p0ggI:2009/12/25(金) 22:56:02.45 ID:LThs0hjk0
「それは、イカが宇宙じゃなくてやっぱり回転寿司だからじゃないのかしら?」
と、至極真っ当な意見を口にすると石川は、
「宇宙もそうなんだよ!」
と声を荒らげ、失敬、と一息つくとまた話を続けた。
「ところでさ時間ってさ無限だと思う?」
「さあ」
「じゃ、暫定的に無限ってことにしとこう。じゃあ宇宙の大きさはさ、無
限だと思う?」
「さあ」
「じゃ、こっちは暫定的に有限ってことにしよう。すると、やっぱり宇宙
は回転寿司のようにぐるぐる回ってることになるわけだ」
「ああ、ごめんなさい。私の理解力がないのか、今少し話が飛んだような
気がするんだけれど」
石川は、ふむぅ、と鼻でため息をつくとお茶を一気に飲み干した。
「だからな、有限の大きさの宇宙は、その中身の可能性も有限なわけだ」
「中身の可能性?」
互いに共通理解が取れていない用語を平気で使うのも相変わらずだ。
「ああ、つまりな、まずフォトンだのプロトンだのグラビトンだのと言っ
た宇宙を構成する粒々があるだろ、その数はすごくいっぱいあるけど、ど
んだけ多かったとしてもそれは有限な数な訳だ。なぜなら宇宙の大きさは
有限だから」
「暫定的にね」
「そう、暫定的に。それで、有限の数の粒々の組み合わせ方は、これもや
っぱり有限だ」
「そうなるのかしらね。暫定的には」
「うん、暫定的に。一方時間はどうだ?」
言いながら石川は、丸イスに乗った身体を90度回し、回転寿司のレーン
から私の方へ向き直した。どうやら話がのってきたらしい。
「無限、ってことになってるわね」
「そう! ということは、だ!」
52 :
回転寿司の習作(お題:寿司 3/6) ◇DH2T5p0ggI:2009/12/25(金) 22:56:48.22 ID:LThs0hjk0
とビシッと私を指さすのはまだいいとしても、目の前に店員さんもいる
し、あまり大きい声は出してほしくはないのだけれど。
すまんすまん、とさっき空にした湯呑みに口だけつけると、今度はわざ
とらしく声をひそめて続けた。
「無限の時間の中では、あらゆる粒々の組み合わせのパターンが実現して
いなきゃいけないんだ」
「そうかもねえ」
「あらゆる粒々のパターンというと、例えばだ」
つばの粒々を飛ばしながら石川は語る。
「僕と同じような粒々の固まりが、君と同じような形の粒々の集まりと、
その、結婚? みたいなことをしてる瞬間があってもいいわけだ」
「はるかな未来、あるいは、はるかな過去に、ね」
「そう! そう思えばこそ、はるかな時代の彼方の僕に似た何かに君に似
た何かとの結婚を託して諦めることだってできた。だけど実際はそうじゃ
ないんだ!」
石川の顔は真っ赤だ。
「無限の時間の流れの中では、物理的に可能である有限な組み合わせは全
て実現されると思ってた」
「けれどそれは間違っていた、と」
「そう」
すべてが仮定の仮定に基づくただの妄想に過ぎないなのに何故か石川は
すっかりしょげかえっている。
「それがつまりこの回転寿司さ」
と、石川はまたイカを取り上げた。そういえば昔からイカが好きだった
っけ。今度のイカも長いこと回っていたのか、ネタが若干乾いているよう
に見える。
「ある瞬間に宇宙が以前にあった粒々の組み合わせと、全く同じ組み合わ
せになったとするだろ」
「そんなことあるの?」
「無限の長い時間の中で、そうならない方が不思議さ」
53 :
回転寿司の習作(お題:寿司 4/6) ◇DH2T5p0ggI:2009/12/25(金) 22:57:42.57 ID:LThs0hjk0
と、やはりシャリに醤油をつけてイカを口にする。そのイカをもごもご
させながら話を続ける。
「で、だ。そのある瞬間の宇宙と、その宇宙と全く同じ状態の宇宙があっ
て、その一瞬あとの宇宙同士で比べてもやっぱり同じになってるんだ」
「そうなの?」
「諸説あるが、恐らくは。とすると、宇宙は一度同じ状態を再現してしま
ったら、あとは今まで存在した状態を何度も何度も繰り返すことになる。
この回転寿司みたいに」
「なるほど」
ずいぶん強引だがようやく話が回転寿司に繋がった。というか、ループ
するものならお寿司じゃなくても何でもよかったんじゃないかと突っ込む
のは野暮だろう。
「いくら無限の時間があっても、無限のループだけは打ち破ることができ
ない。わかるだろ、このことに気付いたときの絶望感?」
「そんなに落ち込んじゃったんだ」
「だけど、ある日このループを打ち破る術に気付いたんだ」
「それはすごい」
自分勝手な妄想で一喜一憂するのは相変わらずなようだ。疲れないんだ
ろうかと心配になるが、ちょっとだけうらやましくもある。
「ヒントは君の一言さ」
「は? 私?」
とはいえ、妄想に他人のことを勝手に巻き込んでほしくはない。私は宇
宙の無限のループを破る一言なんて言った覚えはない。
「3回生のとき、結婚してくれ、って真剣に頼んだとき何て言ったか覚え
てる?」
ううん、とエビの皿を取りながら首を振る。
「たとえこの宇宙の歴史を100万回繰り返そうともそれだけはありえな
いって言ったんだ。あの断り文句を聞いたときは、流石は山大SF研の唯
一の女部員だって思ったね」
そんなことを言った気もするし、言っていない気もする。
54 :
回転寿司の習作(お題:寿司 5/6) ◇DH2T5p0ggI:2009/12/25(金) 22:58:30.03 ID:LThs0hjk0
「で、それがどうかしたの?」
と訊くと、石川はふふふと肩を震わせて笑う。
「宇宙の歴史を100万回繰り返しても起きない奇跡を起こすことで!」
かっこつけて回転寿司のレーンからプリンを取り、話を続ける。
「このプリンが回転寿司のループから今脱出したように、宇宙を無限のル
ープから脱出させることができるんだよ! と言うわけで、俺と結婚して
ください!」
そう言い切ると、石川はガバッと頭を下げた。さっき取り上げたプリン
を、まるで花束か何かのように私に差し出している。
「おことわりします」
「どうして!」
石川は今度はプリンを抱きしめ顔を私グイッと近づける。
「だって、別に私宇宙のループとかどっちでもいいし」
「なんで! 君だって昔、SFでこの世界の、宇宙の、不可能性に挑戦す
るんだって言ったじゃないか!」
そんな言った本人も忘れたいような恥ずかしい台詞を持ち出されても。
「て、いうかね」
「うん」
素直に頷く石川。
「たぶん私と石川が結婚しても宇宙のループとか脱出できないから」
「なんで!」
必死に食らいつく様子はまるで小学生だ。
「100万回宇宙の歴史を繰り返さなくても、久々の再会で回らないお寿
司を食べさせてくれるくらい甲斐性があれば、結婚くらいしてあげるもの」
「へ?」
石川は今日一番のアホ顔を見せた。
「だから、とりあえず頑張って売れる作品を書きなさいな。売れないSF
漫画家さん」
「あー……じゃあ、それまで誰とも結婚しちゃダメだかんね!」
「さあ、どうかしら?」
55 :
回転寿司の習作(お題:寿司 6/6) ◇DH2T5p0ggI:2009/12/25(金) 22:59:19.25 ID:LThs0hjk0
こんな会話を長い宇宙の歴史で何度か繰り返したことがある気がするのは、
きっと私の勘違いではないはず。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:00:06.02 ID:LThs0hjk0
転載終了。落ち度はないかい?
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:00:41.84 ID:wOnyBF+3O
性夜は過疎すなあ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:25:06.48 ID:POjLj8dn0
ラストサムライ面白かった
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:45:14.30 ID:LThs0hjk0
う
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:00:26.85 ID:jzGR70IyO
やあやあ、文才無いスレの住民諸君こんばんは。今週も土曜日来ちゃったね、速い速すぎるよ。
あと一応やっておくね。なんていうかほら、流れだし。クリスマス終わってお前ら気を抜いてそうだし。攻めるならいま!って声がね。
プゲラwwww年末までVIPかよwwwwおわっとるwww俺も俺もwwwアイモーアイモーww
さて、話は変わって。
今日はせっかく年末なんだしちょっと『人生とはなんぞや』なんてたいそうなお題目を掲げてみようと思う。
まあそんな小難しい話じゃないから適当に読んでほしい。トイレの壁の右を見ろ→と同じ感覚でリードしてほしいNOW。
ただもし新年希望にあふれた明るい気分で迎えたい、そんな貴方は読むのを控えてほしい。なにせクリスマスからずっと鬱だからな。
早速だが結論からいこう。人生には後悔しかない。それが良い後悔であれ悪いであれ、最終的には同質の物だと思うんだ。
だからこそいまここに、『後悔だけが人生である』論を高らかに宣言したいと思う。ゴーマニズム的なやっちゃった感満載で。
嘘だというなら思い出してほしい。あの数多くの勘違いセリフを。真似した似合わない髪型を。
ネタが古いというなら、そんなに傷を抉りたいというなら。自分が書いた過去の作品群を冷静になってじっくり読み返すがいいっ……!
湧いてきただろうっ……!目が腐るっ……!あまりにつたないその文章っ……!その姿は実に滑稽っ……!
その上にバタバタとはいつくばり動き回るだけの展開っ……!才能のかけらも見当たらないじゃないかっ……!
ちょっと本気で鬱になってきた。ここら辺にしとこう。
一方の思い出すと幸せになる後悔とは結局いい思い出の事だけどね。なんで今はあの時じゃないんだろうというか。
自分にはないけどさ、恋人がこう言ったとかあれこれ、死ね死ね。あとはあのアニメが面白かったとか、至高の読書タイムとかね。
結局なにがいいたいかって言うとね。人生自体が後悔し後ろ向きに眺めていく長い思い出の一つだねって事。
つまり人間って生き物は生きていく上で常に思い出を作り続け、それによって形造られていくんだなあ、ってそう言いたいわけですよ。
見た瞬間に思い出に変わるわけですよ。あの子の笑顔も、誰かの涙も自分の中で思い出に変わるんですよ。
後悔は先にたたないんですよ。だからこそ後でたっぷりやってやるってんですよ!ああもうなんであんな事したかなあ俺よう!
あああああ今年もヒデえ年だったなぁ畜生!ちょっと思い出しただけで驚くほど反吐がでてくる!
うわああああああああ!あばばばばばばばばば!ちきしょう、くたばれ現世!リセットを押すリセットを押すリセットを押す!
後悔だけが人生だ!どうせ年をふりかえる年末だ!鬱なお題で存分に絶望しきってやるんだから!うわあああああああああ!
第195回品評会 『後悔』開始いいいいいいいいいいいい!
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:06:28.84 ID:WUVXvhPpO
>>57 朝もやいやい言ってたみたいだけど
品評会作品以外は基本読んでもらえないものと思ってたほうがいいと思うの
>>60 よーねーちゃん
今後も頑張ってくれ
目を細めながら見守ってる
あと気持ち悪いです
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:20:33.59 ID:4IQAe7h+0
揚げ
さてさて毎度変な文章かいてますがね。こ れ は 酷 い
来週ちゃんとするから。また来週うわああああああああああ!
>>62おうよ、だからもっとください。
ねーちゃん?どっからそんな勘違いが巻き起こるんだ……頼むから今度からはにーちゃんって呼んでくれよ。な?
65 :
けれど彼氏はゲットした 1/1 ◆Dr.Smn6n2hRe :2009/12/26(土) 00:23:15.85 ID:wB0jDGQO0
その日は朝からついていた。
テレビの占いは一位だったし、通学の電車では運良く座れた。昼休みにジュースを買ったらお釣り返却口に百円残ってい
たし、返ってきた中間テストは軒並み高得点だった。さらに何と言っても、席替えで高村くんの隣になれたのが嬉しかった。
そして、浮かれ気分で鼻唄まじりに階段を降りていた私は、派手にすっころんだ。
見事に階段を滑り落ちた私だったが、尾てい骨が少し痛むだけですんだのは不幸中の幸いと言えるだろう。ただ、当然と
言うべきかスカートはお腹まで完全にめくれ上がって、あられもない格好だった。しかも私の目の前には高村くんが呆然と
した顔で立っていたりもした。
ああ、『人間万事塞翁が馬』とはよく言ったものだ。幸運を呼ぶはずのものがまさか最大級の不幸を呼ぶとは。
いくら今日のラッキーカラーが肌色だったからって、なんで私はパンツを穿かなかったんだろう。
―完―
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:23:23.77 ID:mrdOPXi20
>>60 携帯で打ち込んでるんだとしたら尊敬するわ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:23:56.28 ID:wB0jDGQO0
はい。というわけで品評会作品投下終了。
それじゃあ、真剣に考えるとするかね。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:25:41.37 ID:wB0jDGQO0
セルフまとめも完了。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:41:43.04 ID:jzGR70IyO
投下おつ、さあ俺も書かなきゃな
>>65携帯に決ってるじゃないか!パソコン持ってるけどキーボード叩けないんだよ!おかしいね!
夜なのに流れけっこう速いな、保守しとこう
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:59:29.79 ID:e6qIdJNN0
前スレまでの通常作品、過去スレ、過去ログ、第194回週末品評会、全て編集完了致しました。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| 規制中 .| 総作品数:6746作品
|________| 総スレ数 :785スレ
∧,,∧ || 現 在 :786スレ目
(´・ω・)|| 備 考 :そろそろ本年度最後のご挨拶かも知れません。皆さん、良いお年を。
/ づΦ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:03:54.89 ID:wGxXwRfG0
>>70 すみません、うっかり「195thまとめ」の方に保守の投下をしてしまいました
削除して頂けると泣いて喜びます
申し訳ありません
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:09:47.76 ID:e6qIdJNN0
>>71 私のログにはそのような事実はありませんでした。
良い夜をお過ごし下さい。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:14:05.36 ID:wGxXwRfG0
>>72 おや、ホントですね。そのような事実はなかったようです
これで安心して品評会作品に取り掛かれます
お手数お掛け致しました
ありがとうございました
猫さん格好良すぎて濡れてきた
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:16:32.30 ID:V1Xmbste0
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:18:47.55 ID:7sv2Q+Ay0
渋滞
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:19:23.45 ID:V1Xmbste0
把握
>>70わお猫さんだ!今年も本当におつかれ様です!
そして来年こそ迷惑かけないようにします。猫さんもよいお年を。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:54:01.74 ID:wGxXwRfG0
そろそろ保守
うん、スレ間違えてない。確認よーし
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:25:53.85 ID:7sv2Q+Ay0
みゅ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:05:42.80 ID:wGxXwRfG0
ほしんにはしる
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:11:50.32 ID:mCW6m+N7O
ああ、品評会はとうの昔に終わったんだよな
>>2だけ見て、後悔で小説書いてた 俺疲れてるなぁ…
お題くれ
病んでる感じの
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:15:48.08 ID:wGxXwRfG0
>>82 うん? 終わったってどういうこと?
お題
ルール
反対
日記
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:25:04.23 ID:T3G9DTHYO
好きな料理と同じ目に遭わされる法則
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:34:40.95 ID:mCW6m+N7O
>>83-84把握
あ
終わってなかった…ありがとう、捨てないですんだよ
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:54:42.25 ID:7sv2Q+Ay0
にゅ
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 04:29:04.57 ID:wGxXwRfG0
はいぱー保守たーいむ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 04:55:40.52 ID:w3oB7Ar90
ほぉしいぃぃゆうぅぅぅ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 05:07:15.41 ID:wGxXwRfG0
ほしゅ
明日起きたら推敲じゃー
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 05:50:50.65 ID:wGxXwRfG0
ふと目が覚めたほしゅ
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 07:14:13.25 ID:v2ImexT+0
ほ
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 07:52:10.31 ID:7sv2Q+Ay0
が
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 07:54:54.95 ID:nCjhiCOHO
LBの人はシド星の住人だったのか
確かzHの人もそうだよね
ひょっとして文才とCIVには関係があるのか! と思ったけどよくよく考えたら俺が品評会優勝したことなかった
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 08:07:07.91 ID:7sv2Q+Ay0
CIVのおかげで優勝できました。(体験者談)
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:34:59.54 ID:v2ImexT+0
ほ
おちるよー
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:36:24.83 ID:OQjIUtfG0
あげとく
落ちる
99 :
(0/5) ◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:42:49.63 ID:wGxXwRfG0
品評会作品投下
100 :
アリペコの騎士(1/5) ◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:43:29.92 ID:wGxXwRfG0
「こんばんは、騎士様。お勤め、御苦労様です」
満月の浮かぶ夜。透き通るような綺麗な声に、私は思わず足を止める。
月光が、声の主を照らしている。貧民街ではありがちな、ボロ布のようなもので全身を包んだ服装。
だが、私はその女性に、たったの一目で心を奪われた。纏うものこそ、小汚いものでしかないが。
フードから覗くのは、清潔感と高貴さに溢れた、整った顔立ち。
流れるような金色の髪。深い湖のごとき瑠璃色の瞳。色白できめ細やかな肌。そして映える真っ赤な唇。
まだ騎士になる前。建国祭の折、遠くから眺めた王女の姿が重なる。
――いやいや、何を考えてるんだ私は。
これでも私は、この国の守護の一翼を担う騎士の端くれである。
「……女、」
深呼吸を一つ。心を落ち着けつつ、話し掛ける。
「はい、何でしょうか、騎士様?」
どこか楽しそうな歌うような声と、穏やかな表情。彼女からは、危機感の欠片も感じられない。
「こんな夜中に、女性が出歩くものではない。ここらの治安が悪いのは知っておろうに」
「月を、見ておりました。ほら、今宵はこんなに綺麗な満月ですもの」
彼女は、空を見上げる。それにつられて、視線を上げる。
その途中、月明かりに照らされる彼女の横顔が視界に入ってきて、それに釘付けになる。
「それに、危険などありませんでしょう? 騎士様が、今、こうして守って下さっていますから」
ですから、と。穏やかな微笑みを浮かべて、
「しばらくで構いませんの。一緒に居て頂けませんか?」
懐中時計を取り出し、時刻を確認する。
「すまない。巡回の途中なので。……そろそろ、失礼する」
――こんな時、何か気の利いたセリフの一つでも出てこれば良いのだが。
しかしながらこれまで女性との交際経験皆無の私には、何も思い浮かばないのだった。
「騎士様。あの、私、ティーナと申します」
――しまった!
このパターンは、確かこの前読んだ愛読書「月刊紳士のたしなみ」に載っていた!
『女性から名乗らせるようなことがあっては、紳士としてはダメダメ。失格終了。止めた方がいいよ♪』
――しかし、失敗に気付いたからこそ、挽回ができる……!
101 :
アリペコの騎士(2/5) ◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:44:13.16 ID:wGxXwRfG0
「これは失礼した。レディから先に名乗らせてしまうとは……」
そして、私は、彼女の半歩前に進み出て、腰を落とし、膝立ちになる。
彼女の手を取る。白く細い指。手入れの行き届いた爪先に目が奪われる。
「私は、王宮騎士団、第二騎兵隊、第三部隊、副隊長、アーク・トーリヤと申します」
自己紹介を兼ねて、自身の立場と名を告げる。そして、彼女のその白い手の甲に、そっと口付けをする。
「――っ!」
彼女が、息を飲むのが分かる。
「騎士の礼、ですのね……」
本来であれば、この国の騎士にとっては、忠誠を誓う王女に対してのみ許される行為である。
騎士の誰もが、王女の手に対して口付けすることを夢見る。一種の褒章のようなものである。
「何卒、王女には内密でお願いしたい」
「えぇ。私と、アーク様。二人だけの秘密ですわね。あの、その代わりと言っては何ですが……」
彼女は、少しばかり躊躇うような表情を見せて、それから、
「七日後の晩に、またお会いできませんか? またこうして、お話など、いかがでしょうか……?」
またしても愛読書の「月刊紳士のたしなみ」に載っていた、ダメ紳士のパターンを再現してしまった。
「本来なら、私からお誘いするべきだというのに。……やはり私は、騎士として失格なのかもしれない」
自嘲気味に呟くが、
「いえ、そんなことありませんわ。アーク様は、私に『騎士の礼』を取って下さった方ですもの」
「ティーナ、すまない。遅くなってしまった……」
仕事が長引いたため、息を切らせて全力疾走でここまでやってきた私に、
「いえ、アーク様にはお仕事がございますから。それに、月や星がこんなにも綺麗ですもの。退屈しませんわ」
幾度もの逢瀬を重ねたが、彼女の穏やかな微笑みを目にする度に、心臓の鼓動が跳ね上がる。
あれから「月刊紳士のたしなみ」をバックナンバーまで引っ張り出して、読み尽くした。
だが、いざ彼女を目の前にすると、頭の中が真っ白になってしまう。
今日はこれを話そう、と準備してきた話題さえも忘却の彼方である。
彼女は、私の話ことは何であっても面白がって聞いてくれた。どんな些細なコトでも、聞きたがった。
私が元々はこの貧民街の出身であること。両親は既に他界しており、育ての親が別に居ること。
育ての親は剣の達人であり、師匠でもあること。ちなみに師匠は今も山の中で独りで暮らしている。
最近の騎士団での失敗談、最近の物騒な事件、街で流行しているものの話、等々。
102 :
アリペコの騎士(3/5) ◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:45:01.22 ID:wGxXwRfG0
そんな会話の折、とある質問をされた。
「アーク様は、どうして騎士になろうと思われたんですの?」
――建国祭の日に、遠目に見た王女に一目惚れしたから。
そんなことを、彼女の前で言えるワケがない。
「師匠の稽古のお陰で、多少なりとも腕に自信がありまして。それを、この国のために役立てたいと」
そんな、ウソを吐いてしまった。いや、正確に言えば、それはウソなんかではない。
ただ、一番の理由ではない、というだけだ。だが、何となく心に痛むものを覚える。
「そうなのですか。素敵な志をお持ちなのですね」
そう言われると、くすぐったいような、心が痛むような、そんな妙な心地になる。
「……あ、そう言えば。間もなく建国祭ですわね」
そうだった。年に一度の国を挙げてのお祭りの日が近付いていた。
「あの、アーク様、建国祭の日は、」
幾ら何でも今回ばかりは、皆まで言わせるワケにはいかなかった。
「夜には時間を作る。だから、あの、その時は、一緒に祭りを回っては頂けぬだろうか?」
彼女は、いつぞやのように頬を紅く染め、
「はい。私も、必ず時間を作りますから。楽しみにしておりますね」
建国祭は、いつも以上の騒ぎとなった。急な話ではあるが、隣国の王と皇太子も来賓として訪れるという。
それ故に警備は例年以上に厳重になり、騎士団の人間は皆、朝から晩まで、街中を駆け巡ることとなった。
そんな忙しい一日であったが故に。
何とか時間を作って彼女との待ち合わせ場所に辿り着いた時、彼女の姿はなかった。
――それも仕方ない、か。
懐中時計で時刻を確認すれば、彼是二時間以上が過ぎていた。
一瞬、捜しに行くことも考えたが、
――どこに捜しに行けば良いのか、わからない。
その時になって、気付いた。彼女のことを、ほとんど何も知らないという事実に。
知っているのは、彼女の名前と、彼女とはここでしか会ったことがない、という事実くらいだ。
彼女がいつも居た場所に、夜空を見上げていた場所に、腰を降ろす。彼女がしていたように、空を見上げる。
――私は、ただ待つ以外に、何もないではないか。
103 :
アリペコの騎士(4/5) ◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:45:50.96 ID:wGxXwRfG0
「副隊長、捜しましたよ! 起きて下さい」
「……ん? あぁ、どうした?」
部下の一人が、私を揺り起こしていた。どうやら、いつの間にか眠り込んでしまったらしい。
部下は、焦った顔と口調で、
「王の参集命令が発令されました。各部隊長は至急、円卓の間へ集合せよ、とのことです」
そのセリフに、私は苦い顔をする。
「……隊長はどうした? 副隊長である私ごときが出られるような席ではない筈だが」
「はい、その隊長なのですが。……今日の祭りのワイン大飲み大会に出場。チャンピオンに輝いたそうで」
――つまり、酔い潰れて出られないから、代わりに行って来い、というワケか。
円卓の間は、張り詰めた緊張感に満ちていた。
酷く憔悴した顔をした王と、やけにピリピリとした雰囲気を醸し出している大臣。
「やっと全員揃ったな。では、手短に話そう。王女ディアナが行方不明となった。
全部隊を挙げて、即刻捜し出せ。まだ公にはしておらんが、ディアナと隣国の皇太子との婚姻が決まった。
明日の建国祭の終了の際に、余はそれを国民に発表し、ディアナはそのまま隣国に嫁ぐことになっておる」
部隊長達の間に動揺にも似たざわめきが走る。
「だがな、ディアナはその婚姻が強引で性急過ぎると反発して、逃げ出しおったのじゃ。
ディアナはこれまで、幾度も城を抜け出して街へと繰り出しておったが、余はそれを見過ごしてきた」
そこで王は言葉を区切り、私を見る。真っ直ぐな、一直線な視線。背筋に、悪寒めいたものが走る。
「ディアナには、王女としての立場の自覚が足りない。それは、甘やかしてきた余の責任でもある。
だがな、王族として生まれたからには、果たすべき責務がある」
王は最後まで、私から視線を外さなかった。そして、最後まで、私に対しては何も言わなかった。
だが、その決意に満ちた瞳と、悲壮な表情とが、雄弁に物語っていた。
――余は全てを知っておる。だから、オマエが連れ戻せ、と。
所詮、全ては王の掌の上のことだったのだ。
他部隊長達と、捜索範囲等、諸々の調整を簡潔に済ませ部隊に戻れば、隊長は、彼の愛馬と共に待っていた。
ワイン大飲み大会で酔い潰れたなんて話は、私をあの場に出席させるためだけの真っ赤なウソだった。
「行って来い、アーク」
104 :
アリペコの騎士(5/5) ◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:46:35.03 ID:wGxXwRfG0
その言葉を背に、私は隊長の愛馬に跨り、街中を駆け抜ける。
「こんばんは、騎士様。お勤め、御苦労様です」
どこか、聞き覚えのあるそのセリフ。
仕立ての良いドレスを着て、腰まで届く長い金色の髪を夜風に靡かせて。
王宮から抜け出てきたそのままの姿で、彼女が立って居る。
「……王女様、」
だがそれ以上、言葉が続かなかった。
「はい、何でしょうか、騎士様?」
あくまでも彼女は、初めて出会った夜の再現を続けようとしている。
「こんな夜中に、王女様が出歩かないで下さい。アナタを取り巻く状況は、もうご存知の筈でしょう?」
ただの街娘ではない、王女という立場であっても、やり直すことはできないのか、と。
「……私のことを、名前で呼んでは下さいませんの?」
今にも泣き出しそうな表情をした、一人の少女。
そして、その姿が、決意に満ちた瞳をした王の姿と重なる。
――王族として生まれたからには、果たすべき責務があるのじゃよ。
だとすれば、私が今、ここで呼ぶべき名は、――。
◇◇◇
「その騒動の後、彼は、「アーク・アリペコ」と名前を変えた。
そして、「アリペコの騎士」と自ら名乗ったのさ。
彼には、失ったものと、失ったが故に得たものがあった。
だから、それを忘れないために。生涯、その「騎士」であろうとした。ただ、それだけの物語さ」
105 :
◆9LtD9d7.ER9h :2009/12/26(土) 11:50:55.80 ID:wGxXwRfG0
以上終わり
今日、帰省するから参加しないつもりだったけれども
何故だか物凄く創作意欲が沸いてきて…
あぁ、眠いけどサッサと準備していかなきゃ…
実家はネット環境も無い所でスレもチェックできなさそうなので、
全感とかまとめスレの方に転載しといて貰えると、帰ってきた時に感想読んで泣いて喜びます
それでは、皆様、良いお年を〜
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 12:34:30.06 ID:uQ5fje710
ho
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 13:25:25.32 ID:uQ5fje710
hoho
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 14:13:05.66 ID:sbdA52WX0
ほ
109 :
後悔1/2:2009/12/26(土) 14:37:08.05 ID:IBTC48Gw0
なぜ私はあんなに軟弱で頼りない男を選んでしまったのだろう?
そしてなぜあの夜、あんな言葉を投げつけてしまったのだろう?
* * * * *
tururrrr・・・・・
「あ、タカシ?アキです。明日のことなんだけど、Y水族館に行くのはやめて
うちのお父さんと食事しない?」
「え?なんで?」
「お父さんが久しぶりにタカシに会いたいって」
嘘だった。タカシの返事しだいでこれから父に電話するのだ。
「急に言われてもなぁ。それにメシの予約してしまったよ」
「そんなのキャンセルすればいいじゃない。それに、もうしばらく連休はないんでしょ?」
「そうだけど・・・ちょっと困ったな」
何が困るというのだ。水族館などいつでも行けるじゃないか。
今日こそはタカシに訊いてみたかった。
「あの・・・タカシは将来のこと少しは考えてくれているの?」
「将来?いまさらなにを。もちろん真剣に考えてるよ」
抑揚のない声は普段と変わらない。タカシの口調からは少しの真剣さも伝わらなかった。
「本当に考えてくれてる!?付き合って4年だよ?」
「そんなこと言われなくても分かってる」
頭に血がのぼる。
「アンタの真剣ってなんなのよ?だったらお正月くらいうちの実家に顔出す気ないの!?」
−−−私はその時、だいぶ興奮していたのだろうか?
110 :
後悔2/2:2009/12/26(土) 14:38:35.75 ID:IBTC48Gw0
短い沈黙の後、タカシが口を開いた。
「なんでそんな唐突に・・・分かったよ・・・アキさんがそこまで言うなら・・・」
・・・そうかー、分かってくれたかー。言い方は気に入らないがまあ良しとしよう。
「本当のことを話すよ。もう収まりが付かないようだから」
え?本当のこと?なんだろう、いやな予感がする・・・
「Y港のPレストランは海を一望できる丘の上にあるんだって。
おいしくて雰囲気もいいって評判らしいよ。だから行こうよ。お父さんとはまた今度にしようよ」
は?この男は何をはぐらかす気なんだろう?オマエには私の気持ちが伝わっていないのか!
「先週、有給を取ってね、買い物に行ってた。それが今日仕上がったから帰りに取りに行ってきた」
・・・訳が分からない。こいつは鈍い奴だがこんな支離滅裂な話し方をしただろうか?
あのね、私はまじめな話をしてるんだよ!
もう声が喉まで出掛かる。
−−−今思えばどうして私はあんなに依怙地にタカシを責めたのだろう?
タカシの声はいつもどおり平坦なままだった。
「だいぶ高い買い物だったよ。給料の3ヶ月分が相場なんだってさ。明日プレゼントするから楽しみにしててね」
!!!
チクショウ・・・早まったか!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 14:51:35.67 ID:9zccKI+S0
てす
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 14:53:28.85 ID:9zccKI+S0
なんと!OCN規制が解けている!ヒャッハー!!
お前ら愛してる保守
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 15:37:56.50 ID:7sv2Q+Ay0
みゅ
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 16:22:46.61 ID:7sv2Q+Ay0
ん
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 17:01:44.68 ID:wZPt2+O/0
hohoho
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 17:43:39.80 ID:wZPt2+O/0
hohohoho
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 18:23:57.21 ID:7sv2Q+Ay0
hooooo
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 18:53:19.00 ID:wZPt2+O/0
ほ
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 18:55:57.68 ID:jzGR70IyO
ほ
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 19:22:44.57 ID:jzGR70IyO
が
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 19:40:30.29 ID:7sv2Q+Ay0
っ
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:01:50.10 ID:jzGR70IyO
き
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:06:28.14 ID:wB0jDGQO0
>>109-110 ID:IBTC48Gw0氏
こちらは品評会作品でしょうか?
もしそうであるならば、トリップをつけていただければ助かります。
タイトルもそのままでよければ構いませんが。
そうである、違う、どちらか教えてください。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:22:59.60 ID:7sv2Q+Ay0
(……品評会投下したいけど流れ的にIBTCの回答を待つべきか)
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:29:03.21 ID:wZPt2+O/0
待ってても勝利はやってこないぜ
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:29:23.30 ID:jzGR70IyO
酉もつけないとか。じゃあこの話おれがもらっておくよ。酉はいつものでよろしく。
>>124スレ見てるかどうかわからないんだぜ。細かい事は気にせず投下すればいいさ。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:29:35.33 ID:wB0jDGQO0
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:34:58.89 ID:7sv2Q+Ay0
後で投下するよ。東風始めちゃったからw
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:51:29.16 ID:7sv2Q+Ay0
あ〜あ、負けちゃったよw
つーわけで品評会投下します
130 :
流離えど、さすらえど 1/2 ◆Mulb7NIk.Q :2009/12/26(土) 20:52:45.55 ID:7sv2Q+Ay0
四合目の岐路で左へ曲がったことにほぞをかんだ。山は比較的緩やかな傾斜ではあったが、いたずらに緑が深くなるば
かりで、人里からどんどん離れていっている気がしてならない。羊歯や杉が鬱蒼と生い茂る雑木林は、いよいよ視界全体
を飲み込もうとしていた。揺れる枝葉の間から僅かに洩れ出す濃白色の陽光と、生々しい青色の空だけが緑と隔絶されて
いる。
何より困ったのが、山の中途で拾った爺の存在だ。いや、別に拾ったつもりは無い。勝手についてきたのだ。水を分け
てやったのが間違いだった。しかし、老い耄れ一つ森の中に捨て置くのも寝覚めが悪い。停滞した森の空気は沈黙と呼気
を静かに吸い上げ、俺を息苦しくさせた。
「お若いの。さっきから同じ所ばかりぐるぐる回ってるみたいだが、一体何処へ行く気で?」
と、爺が言った。まったくもって心外だ。別に迷ったわけではない、多分。
「う、うるせえやい。ちょっと寄り道しただけだ」
「まあまあ落ち着きなされ。ほれ、黒飴食うか?」
爺が懐から取り出した飴を無言で引っ手繰る。包み紙を開けて口に含むと、黒糖のしつこい甘さが鼻から抜けていった。
はっきり言って俺の口には合わない。すぐに、ぺっと吐き出した。だけども強烈な後味が口に残った。甘いくせに辛いよ
うな味だ。
「ああ勿体無い。食い物を粗末にすると目が潰れるんじゃけ」
「ハッ、そいつは困るな。目が見えねえと絵描きは食いっ逸れちまう」
しな垂れた竹の細い枝が頬を引っ掻いた。話しながら山を歩くのは些か危険なのかもしれない。
「お前さんは絵描きじゃったのか。それで、絵を描きながら諸国漫遊とな? 今時分に珍しい。時代を七廻りほど間違え
て生まれたらしいの」
わっしゃっしゃ、と古臭い笑い方をしながら爺は言った。
「いいじゃねえか、平成の世の中に風来坊したってよ。野垂れておっ死んだ暁にゃ、俺は極楽に行ける気がするぜ。なん
つったって旅に死ぬのが本望だからな。……旅はいいもんだぜ、爺。自分の足で野を踏みしめて、まだ見ぬ土地を、出会
うべく人を迎えに行くってのかな。そういうものに触れた瞬間『ああ、俺は今生きてる』って感じるんだ」
「ふむふむ、しかしなお若いの。お前さんの生き方は、この世の中でまっとうな道を踏み外してしまっているように見え
るが、後悔することは無いのかね?」
「後悔で腹が膨れりゃいくらでもするさ。でも違うだろう? むしろ後悔なんかしてたら、余計に腹が減っちまう。俺は
莫迦で学もねえからよ、ただひたすら無心に絵を描いて、風を追っかけるような生き方しかできねえんだよ。別に割り切っ
てるわけじゃないが、他の生き方なんか想像できないね。……いけねえ、ちょっと喋りすぎちまった」
131 :
流離えど、さすらえど 2/2 ◆Mulb7NIk.Q :2009/12/26(土) 20:53:51.36 ID:7sv2Q+Ay0
俺はそう言った後、
「ま、爺なんだからすぐ忘れるよな」と、照れ隠しに憎まれ口をたたいた。
「そうか、それならばよい。さあ往け、お若いの。その藪を抜ければ天も開けようぞ」
爺の指差した先は、確かに一段と強い光が緑の隙間から溢れていた。山野草を掻き分けて進むと急に視界が広くなり、
なるほど、爺の言う通り天が開けたようだった。そして目の前に小さな村を確認できたので、ほっと息をつく。
「おうい爺、村だぜ」
振り返って呼び掛けたが、返事は無かった。爺の姿はもう何処にも見えなかった。霧が朝の訪れを受け、無言で去って
いくように、爺もいつの間にか消えていた。あれだけ強く感じていた黒飴の後味も、どうしたことか消えていた。
奴はいったい何者だったのだろう。まさか爺狸が化けやがったのかねえ……。
(了)
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:55:06.82 ID:7sv2Q+Ay0
以上でゲス
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 20:57:35.03 ID:7sv2Q+Ay0
まとめはどう扱えばいいんだろう。分かんないや
無視してまとめるべきカナ……
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:04:01.89 ID:KXMYHp/AO
品評会用で間違いないと思うけど、まだ慌てる時間じゃない的な時間だし、取り敢えず飛ばしてまとめては?
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:05:20.99 ID:7sv2Q+Ay0
なるほど。では、セルフまとめ行ってきます
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:10:34.03 ID:7sv2Q+Ay0
ううむこれでよかったのだろうか、不安だ
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:27:21.36 ID:jzGR70IyO
だからあの作品は俺の酉でまとめてくれれば問題なしだってば、酉はいつもの携帯厨だよ
品評会で二作品投下は一回やってみたかったんだよね、予想外にはやく叶ったな
しかし今回はおれけっこう頑張った、最初のはきづいたらいつのまにか出来ていた作品です
……あれだせっかくだから品評会は二作品合計の点数で審査お願いします、いや特別ルールとかで
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:29:20.77 ID:VGHYThVo0
ごめんわかんねえや、どちらさん?
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:35:38.79 ID:jzGR70IyO
>>138ですよねー
仕方ないな、じゃあちょっとだけ晒しちゃうよ◆D
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:36:11.46 ID:KXMYHp/AO
はいはいあの酉ねって・・・
誰?
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:41:26.79 ID:VGHYThVo0
じらすなよぅ
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:42:04.23 ID:mrdOPXi20
ごめん。
この流れ、死ぬほど気持ち悪い。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:42:43.90 ID:wZPt2+O/0
ああ、すごく同意だ
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:43:43.89 ID:jzGR70IyO
いやだから最近よく見かける携帯厨だって。まいったなぁ、こうなったらもうちょっと晒しちゃうか!
◆DS
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 21:46:06.84 ID:VGHYThVo0
すいませんでした、当分ロムってます
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 22:00:10.80 ID:nCjhiCOHO
まさに後悔
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 22:01:39.72 ID:sbdA52WX0
、,-ー- 、_,.,r-r,.;r';"´ ゛ヽ,
.;r゛ ' , ,.ミ' ー--、ilr;r _ 'i
Y ,: r' ヾ ;r '';
(ヽ , r' ,ノ 彡
i' j! ; i .:::. ;'
ヾi. 'rtr::.' .:-':tテ、:. `i r'"t
i:i. ' ´': 、` 、 ,i i _/
い、 'ー-‐' ヽ i j',!ヽ
iヽ': '´二 ´` r''/:::::::::i、
r ! ヽ._ _, -' .r'::::::::::::;!:::ヽ、
/::::::´:〉- 二 `/::::::::::::::/::::::::::::::ヽ、
r'::::::::::::::::7Tl T /´::::::::::::::/::::::::::::::::;r::::::::::-、
イワネ=バ・ワカラ・ヌ(1868〜1911)
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 22:02:24.72 ID:nCjhiCOHO
ところでLB酉の年間全館も全館まとめにまとめたほうがいいの?
是非しておいた方がいいと思います
ところで、/sLDの人の全感想はまだか
期待してたのに……
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 22:19:39.53 ID:nCjhiCOHO
まとめ完了
品評会組は頑張れ
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 22:45:42.75 ID:wTRKevwuO
おつ
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 23:08:52.73 ID://hiW/FFO
お題ください
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 23:11:59.47 ID:WUVXvhPpO
品評会なんて興味ない
お題よこせ
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 23:27:51.61 ID:nCjhiCOHO
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 23:39:08.25 ID://hiW/FFO
ありがとう
157 :
◆kRsm4Gwbwc :2009/12/27(日) 00:04:55.76 ID:GxfRksvM0
初ですが、品評会に参加したいと思います。
これから投下しますね
158 :
後手後手(お題:後悔) 1/4 ◆kRsm4Gwbwc :2009/12/27(日) 00:07:36.16 ID:GxfRksvM0
深夜。とある雑居ビルの一室で、僕は命の瀬戸際に立たされていた。
僕の手にはカードが一枚。相手の手にはカードがニ枚あり、その内一枚はジョーカーだ。
言うまでもなく、これは正真正銘のババ抜きだ。しかし、ただの遊びではなく命がかけられている。……それも僕だけの。
この部屋にいるのは僕を合わせて3人。ヤクザのボスと思しき男と、もう一人だ。見たところこちらは幹部クラスの部下と見て取れる。
部下の男が足を組み、タバコを吸いながら言う。「まぁ、ゆっくり考えることだ。お前の最後の引きになるかもしれないんだしな」
ボスはというと、かなり前に上がってしまっていて、暇だ。早く死ねよ。と言わんばかりに自分の着けている金色の指輪をくるくる回して遊んでいる。
本当に僕は馬鹿だ。大馬鹿だ。何が彼女だ、あんな女を信じるんじゃなかった。
僕のターンが来てからもう5分が過ぎるが、僕の頭の中では何度もあの時の記憶を反芻させてばかりいた。
「ねぇ、ここにあなたが署名してくれるだけでいいの。それだけで私の悩みがなくなるのよ、お願い」
今から3ヶ月前の、付き合って5年目のことだった。
僕らは同居してもう3年目になっていたのだが、僕が仕事から疲れて帰ると彼女がなんだか良くわからない書類を突きつけてきた。
なんでも、先月おこなった彼女の両親の手術代などでちょっとした借金をしてしまったのだが、来月の給料日まで返せないのだという。
そこで、向こうの方に来月まで待ってもらうのにもう一人誰かの保障がいるのだとか。
12時を回って残業をこなして帰ってきていたので、とにかく早く眠りたかった僕は「好きにしていいよ」と一言いって、眠りについてしまった。
その二ヵ月後、姿を見せなくなった彼女と入れ替わるようにヤクザの人たちが僕の前に現れて今に至るというわけだ。
――どうしてあの時、しっかり書類を読まなかったのか……。
彼女は比類ない博打好きだったらしく、その借金は一千万近くにもなっていた。両親の手術の話も僕を騙すための巧妙な嘘だった。
いい女だった……と今でも思う。しかし、借金してまで博打をしていたとは。
彼女の様子をもう少しちゃんと伺っていれば気付けたのだろうか。ただ、そんなことを言っても後の祭りだ。
159 :
後手後手(お題:後悔) 2/4 ◆kRsm4Gwbwc :2009/12/27(日) 00:08:32.63 ID:GxfRksvM0
唯一の救いは僕自身が直接署名していないことだった。
法律で決まっていることなのだが、代理で署名を行った場合、僕がその代筆を認めたとしっかり証明できなければ僕の署名を無効とすることができる。
しかし、生粋のヤクザたちがそんな言い分を聞いてくれるはずもなく「それならチャンスをやる」等と言われ、このババ抜きが始まった。
ルールは非常に簡単。
僕が負ければ死。それ以外は開放――。
人数は三人、負けさえしなければいいのだから三分の二の確率で生き残れる。
そう、自分に言い聞かせて来たのだがいつの間にかボスは抜けてしまい、今や一対一。二分の一だ
目の前の部下の握る二枚のカード、片方は開放。片方は……死。
スペードの4を持つ僕の手が汗ばんでいるのが分かる。
「そろそろ決めたらどうなんだ、え?」 相手である、部下がニヤニヤしながら催促してくる。
……死にたくない、決められない。そもそも二分の一で自分の命が左右されるなどと馬鹿げている。やめてしまいたい……元の生活に戻りたい。
(二分の一?)そう、心の中で呟くと。少し頭が働いてきたのを感じた。
もし、ここで僕が外したとしても、それは相手にチャンスが回るだけで「まだ」負けじゃない。
逆に言うと、もしここで4のカードを引いてしまえば、その瞬間で僕の勝ちだ。そんなのは自明の理なのだが、なんだろう……相手のこの余裕は。
確かに、僕と違って負けたところで死ぬわけじゃないのだから緊張感がそこまでないのは分かる。しかし、いいのか?部下として、僕を逃がしてしまって。
僕を殺すとすればもちろん保険金をかけて殺すに違いない。そうすれば、一千万近い金を奴らが得ることができるのだから。
……ここまで考えて、僕は気付いてしまった。「奴らはぼくを助ける気など全くない」という驚愕の事実に。
そりゃそうだ、彼らなら殺そうと思えばいつでも殺せるのだ。そうだ、このゲームは僕を助けるためのゲームじゃない。僕が死ぬための儀式だ。
160 :
後手後手(お題:後悔) 3/4 ◆kRsm4Gwbwc :2009/12/27(日) 00:09:20.15 ID:GxfRksvM0
もう、絶望するしかなかった。恐らくあの2枚のカード、どちらを引いても負けるようになっているのだろう。
(どちらを引いても負ける? そんなことあるのか?) それはすぐに答えが出た。
恐らく、二枚ともジョーカーなのだ。だがそれと同時に、逆にチャンスとなりうると僕は気付いた。
ここだ……! もしも二枚ともジョーカーだとすれば、僕が引いた後、本来の「4」のカードにすりかえるはずだ!
それを注意深く観察し、押さえれば。すなわち、イカサマの現場を押さえれば必然的に僕の勝ちとなる!
しかし、その希望はすぐに打ち砕かれた。そう、自分の先ほどの行動によって。
本当に自分はバカだ……。僕はさっき、もちろん無意識にだったのだが、僕の手札がまだ4枚あったとき、相手に引かれる直前に「後ろ手で」カードをシャッフルしたのだ。
今思えば、あの瞬間から僕の負けは決まっていたのかもしれない。
再び絶望にうなだれた時、僕はまたもう一つあることに気付いた。気付いたというより、それはもっと根本的な話だった。
今、相手の手札はジョーカーが二枚だという事実だ。
そうだ! 何を言っているんだ僕は。もうこれだけで立派なイカサマじゃあないか。
……僕は意を決して言ってみた「あの、もしそのカードが二枚ともジョーカーということはあるのでしょうか?」と、それを聞いた瞬間ボスがブチ切れた。
「おいお前。俺たちを疑ってんのか。人を疑うということがどういうことか分かってるんだろうな!! あ?」僕は縮みあがり、同時にしまったと思った。
ボスは続ける。「いいだろう。もしコイツの持ってるカードが2枚ともジョーカーだったらおまえの勝ちにしてやる。その代わり、もしそうでなければお前をこの場で――」
と、ズボンのポケットからナイフを取り出し、部屋中に響くほど大きな音で机に突き刺すと「殺すからな」と言った。
僕は漏らしそうになりながら弁解した「いえいえいえ、そういうわけではないんです!疑ってなど決しておりません!」ボスは鼻息を荒くしたままこちらを見ている。
「まぁまぁ、ボス。いいじゃないですか。そういう気持ちになってしまうこともあるってものですよ。命の瀬戸際ではね」助かったことに部下がなだめてくれた。
161 :
後手後手(お題:後悔) 4/4 ◆kRsm4Gwbwc :2009/12/27(日) 00:10:14.27 ID:GxfRksvM0
一体何をしているんだ僕は。今晩は本当に後悔してばかりいる気がする。
どうして僕はわざわざ丁寧に質問してしまったのだろう。思い切って2枚のカードを開けてやればよかったじゃないか……。
また振り出しに戻ってしまった。結局僕はどちらを引けば助かるのだろう……。右か、左か、あるいは両方か。
気付けばいつのまにか答えが三分の一になってしまっていた……。
(ボス、余計なお世話だ。あんなこと言わずに放っておいてくれればよかったものを)
俺はコイツを負けさせて殺す任を承っていた。簡単だ、俺が長年の練習で培った技術でカードを入れ替えていけばこんな奴など屁でもない。
しかし、今回は何故かきまぐれにもボスが参加したいといいだした。なんでも、人が苦心の挙句負けていくところを見たいのだとか。
そうなると、話は別だ。建前もある上、何よりボスにはカードを入れ替える技術がない。結果、俺が先に上がってしまうわけにはいかないのだ。
ボスを先に上がらせるのはなかなか苦労させられた。何故ならボスが引くのはあいつの手札だからだ。
やっとのことでボスを上がらせたのは良かったのだが……。自慢のポーカーフェイスで自分のカードを見る。
二枚のカードは、ハートの4と……スペードの7。ジョーカーが一枚もなく、代わりにあるのは五枚目の7だ。
ボスを上がらせるのに必死になって自分の入れ替えた枚数を覚えていなかった。今ジョーカーは2枚ともポケットの中にあった。
何をやっているんだ俺は……これでは俺の勝ち目は奴が二枚ともジョーカーだと疑い、行動する以外にない。しかし、それもボスがつぶしてしまった。
もしこんな奴に負けたら俺はボスに何をされるだろう。考えるだけで恐ろしい……頼む!もう一度疑ってくれ!!
「さあ、早く決めたらどうだ? そんなことじゃ夜があけちまうぜ?」
「僕はどうすればいいんだ……死にたくない」
後悔を背負う男たちを夜の闇は静かに包んでいった。
bnskって批評とかなかったっけ?
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/27(日) 00:45:38.33 ID:mOOmohC10
ありますよ
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/27(日) 01:05:53.75 ID:79FOkOKN0
うん
165 :
◆kRsm4Gwbwc :2009/12/27(日) 01:12:33.24 ID:GxfRksvM0
誰かもし感想があればください
>>165 にいさん、品評会に参加したら、月曜日まで良い子で待ってるのだ
感想はまとめてもらえるから、焦るでないよ
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/27(日) 01:58:20.85 ID:GxfRksvM0
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/27(日) 02:11:26.78 ID:/MBg0ACPO
誰かお題2つほどおくれよ
バイト中で暇なんでなんか書きたい!
171 :
ブラック・ボックス・ジョーク:2009/12/27(日) 02:53:14.93 ID:/MBg0ACPO
助かったと思った。
右腕に目をやると、黒い革製のベルトをした腕時計が11時58分を指していた。
今日はあと二分で終わりだ。
この二分さえ乗りきることが出来れば、どうにかなる。
汗と墨汁にまみれて街中を走る僕の眼前には、電話ボックスがある。
こんな状況だ。そこに僕が逃げこんでも、
さらにいうなら籠城をしたとしてもなんら不思議はない。
電話ボックスの入り口に手をかけ、どうしてこうなったのか、
今朝の出来事に想いを馳せる。
当たる当たるうるさい。これだから女はスイーツとか馬鹿にされるんだ。
本日、朝っぱらから占いに一喜一憂する姉に言ってやったセリフだ。
姉にはそう言ったものの、内心では分かってた。
異常なほど良く当たるのだ、この占い。最近つくづく実感した。
ラッキーアイテムが目玉焼きだった日、大好きな日吉さんとおかず交換することになり、
彼女と少しばかし親交を深めることができた。
またまたある日、ラッキーアイテムがハンケチだった日のこと。
友人と喧嘩して泣いてる日吉さんに、普段は
持ち歩かないはずのハンケチを差し出すことに成功した。
彼女には「君はやさしいね」と言われた。もう死んでもいい。彼女の言葉で幸せの頂に到達。その時僕は心底そう思った。
彼女とのふれあいを思い返し、僕は今日の占いを見ていた。
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/27(日) 03:04:21.45 ID:oUbQBZsGO
>>167逆に言えば品評会に出さねば感想はほとんど貰えぬのがこのスレでもある
173 :
ブラック・ボックス・ジョーク:2009/12/27(日) 03:09:19.87 ID:/MBg0ACPO
テレビの液晶には、今日の占いが一位から順に文字として映されており
それをアイドルアナウンサーが読み上げる。
一位てんびん座なのを見て、そんなに簡単に一位をとれると思っていない。
そう自分を納得させていたが、いつまで経っても僕の蟹座が出てこない。
結局結果としては、
10位が魚座、11位が牡牛座、12位が蟹座だった。
つまり僕が最下位。
「今日のアンラッキーカラーは黒です」
そのときアンラッキーカラーなんて言葉を初めて聞いた。
アナウンサーの声がいつもと違った。どこが、とはうまく言えないが。
声がどこか真剣味を帯びているように感じた。
「本当に気をつけてください」
アナウンサーはそのセリフで占いを締めくくった。
ごめんよ俺には自分自身のあたまのなかをうまくまとめられない
こんどうまれかわったら文才をください神様
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ほしゅ