1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
∧_∧
( ´・ω・) ブーン系の御供にどうぞ。
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 19:58:31.04 ID:dDcFi4JOO
>>1 これはこれは粋なはからいまでなさる。
代行いたみいります。
始めるざます。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:02:35.59 ID:KH0dsDzPO
支援しとく
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:05:37.38 ID:TRwU6WMQO
(^ω^)がんがれ
('A`)とでも言っとこうか
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:05:42.67 ID:Hv9scW2D0
(・∀・)マダー?
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:06:41.03 ID:dDcFi4JOO
ログハウスには、安楽椅子の置かれたポーチがあった。
そばの窓からはガラス越しにダイニングが覗けた。
八人掛けの食卓には上品なクロスの赤、燭台の銀、ささやかな花々の桃色。
並ぶ食器は艶やかな白陶磁。
それらを囲う人間は五人。
内の一人が口を開いた。
( ^ω^)「えー、なんちゃらの神様、我等が糧をお与えになったことを感謝します」
合いの手に打たれるは、おりん。
葬式おなじみの「チーン」パートだ。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:14:10.62 ID:dDcFi4JOO
余韻が消え去る前に二人いる女の、目が吊り上がった方が言った。
ξ゚听)ξ「もっと厳かにできないの」
組んだ腕の下で、彼女の指はとんとんとテーブルを叩いていた。
表情からは苛立ちも見てとれた。
はじめとは別の男が細い目をそのままに、小さくしかし鋭く女の名を呼んだ。
('A`)「ツン」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「まあ次回までの課題と言うことでひとつ」
もうひとつ、おりんが鳴らされた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:21:45.96 ID:dDcFi4JOO
それまで黙っていた最後の男女が、金属音に舌打ちを返した。
はじめの男はきょとんとして二人を見やった。
一人は赤毛の女で、吊り目に負けないくらい気が強そうだ。
もう一人は頑健そうな、短髪の男。
从 ゚∀从「早く食おうぜ。冷めちまう」
(,,゚Д゚)「同感だな。茶番に付き合う気はない」
( ^ω^)「僕はただせっかくの食事に彩りを」
从 ゚∀从「いらねーよ」
赤毛の女は疲れた声を吐き出し、そのまま目前のスープ皿にさじを入れた。
奇怪な、蕨などの山菜にも似た植物と肉の入った汁。
五人は銘々にそれにならって食事を始めた。
それはささやかな晩餐だったが、彼等には貴重な時間だった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:22:33.31 ID:dDcFi4JOO
ログハウスはなぜか、砂漠のど真ん中に漂流していたためだった。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:28:48.42 ID:QJTVRpppO
しえ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:29:57.69 ID:dDcFi4JOO
( ^ω^)「今日のシェフは僕だお。美味くできたんじゃないかお?」
('A`)「別に」
ξ;--)ξ「ふう」
从 -∀从「……」
(,,゚Д゚)「ふん」
( ^ω^)「僕はー、街一番の〜、んふふ〜んふ〜」
鼻唄混じりに食器を片付け始めた男は、四人の反応を気にも留めていないようだった。
('A`)「今日も生きながらえた、か」
ξ;゚听)ξ「内藤だけはいつまでも元気よね」
キッチンへと歩いていった男の背を見ながら、吊り目が言った。
(,,゚Д゚)「あいつはこの状況下でストレスを感じないらしいな」
('A`)「普通じゃない」
まったくだ。
短髪の男が小さく言った。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:39:26.26 ID:v7JMlGNGO
面白そう、支援
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:52:30.89 ID:dDcFi4JOO
細目の男は鬱田といった。
吊り目の女は彼の連れで、ツン、と呼ばれていた。
ツンは鬱田を除いた他の人間と言葉を交わすことは少なかった。
その晩も彼女だけは一人、すぐに別室の床に就いた。
(,,゚Д゚)「鬱田さん。遺跡はどうだった」
('A`)「興味深い対象ではありますが、まだ何も」
从 ゚∀从「ち。頼むぜ、学者さんよ」
('A`)「すみません、ハインリヒさん」
高圧的な態度に出る赤毛は、名前を呼ばれて渋面を作った。
从 ゚∀从「えらぶりやがって……」
(,,゚Д゚)「ハイン。失礼なことを言うな」
从 ゚∀从「輪を乱すな、か。分かってるぜ」
(,,゚Д゚)「ならいい」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:53:16.60 ID:zwPCI5aY0
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 20:57:50.96 ID:6ITkga98O
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:01:16.78 ID:dDcFi4JOO
短髪の男、ギコは砂漠に囲まれたログハウスの中で統率を取るにふさわしい人間だった。
鬱田はすでにそれを見抜いていた。
見るからにたくましい胸板、太い腕や首は日焼けした肌に包まれていた。
だが、その外見によらず知性を感じさせる目が、鬱田に安心感をもたらしたのだ。
(,,゚Д゚)「今日行ったのはどの遺跡だったんだ」
('A`)「北の方へ。造りは他の方角のものと変わりませんでした」
从 ゚∀从「文字とかそういうのもあったんだろ。なんか分かんねーのかよ」
('A`)「比較対象が少なすぎてなんとも」
(,,゚Д゚)「壁画は?」
('A`)「ポラロイドで撮っておきましたよ」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:13:11.66 ID:dDcFi4JOO
五人のいるログハウスは砂漠にぽつんと存在し、その東西南北には遺跡があった。
10kmほど離れたそこには石細工の建築に囲まれた、小さいながらも美しい泉、何らかの堂など。
考古学者の鬱田は不可思議にも漂流した砂漠を解き明かすために
歴史背景どころか国籍すら知らぬ、まさに未知であるこれらの遺跡を探索していた。
ツンはその有能な助手として鬱田の下につき、調査を補助していたが
二人はこの一週間、明らかな成果をあげられずにいた。
('A`)「本当に、すみません」
(,,゚Д゚)「できるだけ早く頼む。このままでは全員遭難だ」
( ^ω^)「お? そうなん?」
話に割って入った内藤の顔に、他の者のような緊張はなかった。
从 ゚∀从「……もっと時間かけて洗えよな」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:17:31.42 ID:+mNvW2XAO
支援
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:22:35.00 ID:dDcFi4JOO
( ^ω^)「水は貴重だから手早く洗えって言ったのはハインさんだおー」
間の抜けた空気に、ダイニングの三人は思わずため息をつく。
(,,゚Д゚)「そうだな」
( ^ω^)「ところでそうなんって、もしかしてあの遭難かお?」
('A`)「はい。雪山や砂漠で迷ってどうにもならなくなる、あれです」
それを聞いて内藤は大笑した。
( ^ω^)「ここに家があるんだから迷うはずがないお。なに言ってんだお」
内藤はひとしきり笑ってから、さて、と切り出した。
( ^ω^)「今晩も冷え込むだろうから、あったかくして寝るんだおー。おやすー」
気楽に言い放った後で、内藤はダイニングの角にまとめてあった寝袋を広げ、くるまった。
('A`)「はあ……」
残された鬱田、ギコもそれに続き、ハインはツンのいる別室に移った。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:33:57.13 ID:dDcFi4JOO
朝、ギコは空の白みだす前に寝袋をぬけ出した。
そしてログハウスの戸を鳴らさぬよう、砂漠に降り立った。
(,,゚Д゚)「……」
手には、ピストルのような物から横に弧が張り出している武器があった。
ボウガンだ。
彼は補給物資を詰んだジープを駆り、前線基地に赴く途中、嵐に巻き込まれ
気が付けば砂漠にいくつかの武器とともに放り出されていた。
そのうちのひとつが、それだった。
ログハウス脇の、鬱田達が乗ってきたラクダを起こさぬように、さらにギコは離れていく。
(,,゚Д゚)「……いたな」
鋭い目が遠方の小さな影を捉えた。
それは五つほどの個体の集まりで、形は鹿や山羊に近い。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:44:32.46 ID:dDcFi4JOO
(,,゚Д゚)「また夜明けに油断してやがる」
ギコはボウガンを背に回し、いまだ夜風に冷やされたままの砂に身を伏せながら、接近していった。
小さな群れはその様子に気付かず、ログハウスに歩み寄ってくるようだった。
互いの距離が500mを切ったところで、ギコは前進を止め砂に埋もれた。
そして、射程内にそれを完全捕捉する。
その生き物は、一際高い風切り音に身を強張らせる間もなく、頚を貫かれた。
一頭が、どうと倒れる頃には群れが散開し、地平へ消えた。
(,,゚Д゚)「ふう」
ギコは深追いしなかった。
無為に体力を消耗することを知っていたのだ。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:52:28.29 ID:n4I4mUO10
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 21:53:11.05 ID:dDcFi4JOO
倒れた「それ」を蹴飛ばすと、ボウガンの矢を素早く抜き取った。
(,,゚Д゚)「ダメか」
既にカーボンの矢は中程までが溶解し、腐ったように脆くなっていた。
(,,゚Д゚)「こいつらが食えたら食糧難は解決するんだが」
「それ」の血は酸だった。
さらに肉は、ぐずぐずで蛆にまみれたもの。
砂漠にはログハウスにいる彼等以外、まともな有機生物がいないかのようだった。
(,,゚Д゚)「ちっ」
忌々しげにギコは矢を捨てた。
未知の獣、いや、未知の「襲撃者」を貫いた矢は、不能になってしまったからだ。
絶命した「それ」の、皺だらけの翁のような顔には寒気のする笑みが浮かべられていた。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:02:44.98 ID:OszrUZCnO
しえん
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:12:36.41 ID:dDcFi4JOO
鬱田は北の遺跡を訪れていた。
彼はまずラクダに詰んだポリタンクをふたつ、泉の水で満たした。
清水湧く空間は黒く艶めいた石に囲われた小部屋で、流れは遺跡の随所を走っていた。
一旦流れの溜まるところに鬱田は腰掛け、顔を洗った。
('A`)「顔色が悪くなっているな」
ギコの提案した減食は妥当な意見であるとして、鬱田は推した。
しかし、生来食の細い彼でさえ飢えを覚える瞬間がままあった。
('A`)「ツンやハインリヒさんが参ってきている」
特にハインリヒはフラストレーションを隠さぬ性質だ。
気が立っていることが手に取るように分かる。
('A`)「……いや、僕も参っているか」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:14:41.75 ID:5QMtHYwYO
ペース遅くね?
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:17:29.03 ID:y3qz3SAhO
ながらなんだろ。
つC
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:25:18.45 ID:6ITkga98O
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:28:50.83 ID:dDcFi4JOO
一部屋、ダイニング、キッチン付きのログハウス。
ツンと彼が砂漠の移動中、砂嵐にみまわれて出会した1DKの避難所。
彼等は一時は安堵し、神の救いを信じた。
しかし、そこにいたのは軍人と派手な女、そして呑気なログハウスの持ち主。
('A`)「あそこに電気は通っていても、電波は入らない。通信手段もない」
残された食糧は今のペースですら、五人で一月もつかどうか。
冷蔵庫の食材も痛み始めていた。
('A`)「こんなものでもないよりはマシだが……」
言いながら彼は水路脇の植物をむしり取りポケットに詰めた。
('A`)「気休め程度だ」
いざとなればラクダも食べられた。
だが、移動手段を投げ出すことにもなった。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:36:12.11 ID:dDcFi4JOO
('A`)「僕がなんとかしなければ。手がかりさえ見付かれば、街の方角くらい分かるはずなんだ……」
水脈や太陽の関係から、古代の都などを割り出すことは不可能ではなかった。
裏付けとなる情報が壁画などから読み取れたなら、その方角へ探索の足を伸ばす。
むやみに歩を進めるよりは、ぐっと生存確率が上がる。
そう、鬱田は信じていた。
ξ゚听)ξ「どうしたの」
('A`)「いや、なんでもない。ツンは水を持って先に戻っていてくれ」
ξ゚听)ξ「先生は」
('A`)「もう少しここを調べるよ」
起伏のない言葉が、そう、と呟きツンは背を向けた。
('A`)「……」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:38:05.12 ID:dDcFi4JOO
鬱田は恐れていた。
飢餓を?
いや、違う。
死を?
それも違う。
('A`)「ツン、気をつけて」
単純に、純粋に、失うことを彼は恐れていた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:42:55.38 ID:D560/rx+P
面白そうだ
支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:44:30.60 ID:dDcFi4JOO
ギコが周辺の探索にハインリヒを伴い、鬱田とツンが遺跡へ訪れていた頃、
ログハウスの持ち主である内藤は、にこやかにぎらついた太陽の下に立っていた。
( ^ω^)「みぎーも」
(^ω^ )「ひだーりも」
( ^ω^)「見渡す限りの砂漠、見事な砂漠。ザ・デザート。デザートイーグル」
( ^ω^)「イーグルス、ホテル・カリフォルニア、カリフォルニアロール、アボカド」
彼はじりじりと皮膚を陽光に焼かれながら、呟き続ける。
( ^ω^)「不要な濁点、間違った日本語達、ふいんき、ひつまぶし暇つぶし、ゲシュタルト崩壊」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:46:18.96 ID:dDcFi4JOO
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
( ^ω^)「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん」
んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん
んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん
んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:48:27.73 ID:n4I4mUO10
どうした・・・
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:50:05.97 ID:5QMtHYwYO
すごい漢みたいだ
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:52:13.71 ID:dDcFi4JOO
( ^ω^)「んっふ」
笑った。
( ^ω^)「んふふふふ」
彼は笑いだした。
( ^ω^)「んっふ、んっふっふ」
両手を広げくるくると回り、頭を上に下に振り振り、内藤は笑った。
彼の視界には黄土色の地面と輝く太陽、青い空、さらに他の何かが見えているようだった。
彼はシャツをはだけ、靴を脱ぎ、ばたんと砂漠に背を預けた。
砂の一粒ずつにこもった熱はたちまち肉を焼きはじめた。
それすらも受けて、内藤は笑った。
( ^ω^)「んっふっふ」
しえん
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:55:03.07 ID:D560/rx+P
やだこの内藤こわい
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:55:30.83 ID:zbRK3Z39O
こういうシチュエーションってもえるよないろんな意味で
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:55:44.25 ID:5QMtHYwYO
なんかブーン族思い出した
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 22:58:38.85 ID:dDcFi4JOO
ξ;゚听)ξ「……」
ツンは戻る途中、ラクダの上から全てを見ていた。
ある種の感情が手綱を握る手を痺れさせ、奥歯を鳴らさせた。
純然たる未知への恐怖は、人間の深い部分を震え上がらせるに少量で足るものだった。
ξ; )ξ「……」
彼女は舌の根から渇いた心地がして、早くポリタンクから水を汲み上げたくなっていた。
( ^ω^)「んっふー……くくく、んふふふふふ」
ξ;゚听)ξ「……狂ってる」
ようやく継げた言葉はそれだけだった。
しえん
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:03:54.91 ID:40HFNSYoO
支援だ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:11:51.12 ID:dDcFi4JOO
ギコがログハウスに戻る頃には、内藤はキッチンに立ち食事の準備を始めていた。
冗長な語尾に、穏やかな口調は平素と変わらぬもので、ツンだけがそこに違和を感じていた。
鬱田が書き起こした壁画の文字を処理にかけながら、ツンは嘆息した。
内藤がログハウスに戻ってから張り続けていた神経が緩むスイッチだった。
ξ゚听)ξ「成果は」
从 ゚∀从「何も、なーんもねーよ。ホントなんもねー。無し、ゼロ、皆無。もうダメだ」
(,,゚Д゚)「ぼやくな。諦めれば朽ちるだけだ」
ギコはなんとしても砂漠を脱し、仲間の元へ駆けつけたかった。
彼の国は次の戦いで敵の上陸を阻止出来なければかなり不利に立たされる。
彼が目に諦めを浮かべることはなかった。
だが、それに対して、ハインリヒは違った。
支援
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:22:41.51 ID:n4I4mUO10
支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:22:58.24 ID:dDcFi4JOO
从 ゚∀从「あーあー、ホントによー。ついてねーな、おい」
彼女は、なかなか捕まえられないような上客とホテルを後にする途中で砂漠に迷いこんだ。
ちょうど客の男はおらず、一人きりで乗ったエレベーターが落下、気付けば遺跡の泉に浮いていた。
从 ゚∀从「せっかく儲かったと思ったらこんなんでよぉ、マジで神様もへったくれもないぜ。はぁーあ、つまんねー人生だ」
恵まれなかった子供時代、と一言で済ませば簡単なことだ。
だが、彼女が過ごしたのは10年以上もの暗黒の家庭生活だった。
思春期を迎える前には義父から破瓜の痛みを教わった彼女に、希望の積立はなかった。
从 ゚∀从「やんなっちゃうよな……まったくよー……」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:23:20.59 ID:OxFCVURO0
sienn
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:25:30.66 ID:RritoP90O
しえん
wktk
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:45:00.89 ID:dDcFi4JOO
当然そんな過去があることなどその場の誰もが知る由のなかったことであったし、
特にツンは中産階級の家庭に育ち、かような世界があることすら知らなかった。
故にツンの目には彼女は、ただのトラブルメーカーにしか写らなかったとして、無理からぬことだった。
ξ゚听)ξ「ジープ見付かると良いわね」
(,,゚Д゚)「ああ。無線も食糧も積んであった。なにより脚があるのは心強いからな」
( ^ω^)「脚って皆ユーレイさんじゃないなら脚があるお」
从 ゚∀从「お前はうっせーな」
( ^ω^)「お?」
ぴくりと、ハインリヒが頬を引き吊らせた。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:52:03.67 ID:dDcFi4JOO
从#゚∀从「てめぇは黙ってクソマズイ飯作ってりゃいんだよ。くちばし挟まず材料刻んで煮込めや」
刺々しい言葉が柔和な表情をにわかに歪ませた。
( ^ω^)「え?」
(,,゚Д゚)「おい、ハイン」
从#゚∀从「あ? なんだお前なんかあんのか? なにが、おい、だ」
歩み寄ったギコが詰め寄られ、わずかにたじろいだ。
それほどの圧力が一瞬とはいえ彼女にあった証拠だ。
(,,゚Д゚)「落ち着け」
从#゚∀从「リーダーぶりやがって気持ちわりい。えらぶったヤツァ大ッ嫌いなんだよ」
ツンは成り行きを見守るしかなかった。
彼女の乏しい人生経験に、和解の仲立ちなど記録されていなかったのだ。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 23:56:43.89 ID:dDcFi4JOO
(,,゚Д゚)「俺は仲間の元に行きたいだけだ。もちろん、お前らも無事に元の場所へ戻るために――」
从#゚∀从「はッ。お、ま、え、ら。お前ら。アンタは親みたいなクチきくのがムカつくんだよなァ」
ξ;゚听)ξ「……」
( ^ω^)「え? ウソ……?」
从#゚∀从「デブ! アンタは黙って飯作れカスが!」
(,,゚Д゚)「頼むから」
从#゚∀从「またか? おいおいおい! そ、れ、が、ムカつくんだよ!」
( ^ω^)「ウソ……」
C
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:00:44.91 ID:dXvDXMJf0
ブーンに狂気を感じる・・・
しえん
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:03:50.30 ID:8Oci/dBsO
( ^ω^)「僕の料理がマズイ?」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、二人とも」
(,,゚Д゚)「いい加減にしろよ。俺にも我慢の限界がある」
从#゚∀从「やるか?」
ハインリヒがブーツから小さなナイフを取り出した途端、ログハウスのドアが開いた。
('A`)「ど、どうしたんですか」
全員の視線が鬱田に注がれた。
彼からすれば、珍妙な光景としか言いようがなかっただろう。
ハインリヒがナイフを握ってわめいていたし、ギコはとっさに徒手戦闘の構えを作り、
助手であるツンがレフェリーよろしく半端に両手を上げていたのだ。
さらに、内藤。
( ^ω^)「僕の料理が、クソマズイ?」
やだこわい
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:06:39.49 ID:Jgl+wTqI0
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:11:54.01 ID:8Oci/dBsO
静かな晩餐が始まった。
誰もが口を食事にのみ使い、手にはあまり武器に適さないディナーナイフが握られていた。
沈黙を破ったのは、まさかというべきか、やはりというべきか、この男だった。
( ^ω^)「あの」
肉を挟んだトーストを口元に運んでいるところで、鬱田は止まった。
( ^ω^)「その」
('A`)「なんでしょう」
食卓で会話を円滑にするのは、鬱田の得意な技術でもあった。
彼は日焼けして突っ張る顔を、さも興味がありそうに変えてきいた。
('A`)「なんです?」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:11:54.10 ID:hxOSO9bvO
おいしいお
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:19:53.08 ID:8Oci/dBsO
( ^ω^)「料理は、どうでしょうかお」
ぽかんとしたのは鬱田だけではなかった。
特別「なに言ってるんだ」という表情になったのは、ハインリヒだ。
从 ゚∀从「はん? フツーだよ」
( ^ω^)「え、でもマズイって」
(,,゚Д゚)「そうだな。少し、塩気が足りないかもな」
( ^ω^)「塩気ですかお」
ふむ、と内藤は考え始めた。
大仰な腕組みと傾けた首が、滑稽ですらあった。
( ^ω^)「なるほどー。ふむー」
ギコとハインリヒが目を合わせ、慌てて反らし、そして再び合わせた。
(,,゚Д゚)「……」
从 ゚∀从「……」
内藤の不可解な行動が、いくらか二人の溝をうやむやにしたようだった。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:28:36.43 ID:8Oci/dBsO
( ^ω^)「僕も、もうちょい工夫してみるかお」
('A`)「はあ」
ツンだけが何かを感じとっていた。
昼間見た行動、そしてその時の内藤がたたえた笑み。
そこにあった双鉾の、不思議な揺らぎ。
彼女は脳裏をよぎる映像を忘れようとしたが、できなかった。
( ^ω^)「ふーむ」
ξ;゚听)ξ「……」
各々がゆっくり咀嚼を終えたことを確認すると、鬱田は幾分声を張って言った。
('A`)「少し、文字が解読できました」
(,,゚Д゚)「本当か!」
まっさきに喰らい付いたのはギコだった。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:28:54.56 ID:ONuUxaXB0
うすらこわい支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:31:15.73 ID:NlVub7z+O
ブヒィッ
気になって寝るに寝られない
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:35:29.94 ID:8Oci/dBsO
('A`)「重複部位を抜き出して、信仰対象と思われる物にいくつかアタリをつけました。まだ、それだけですが」
(,,゚Д゚)「いやいや、大したもんだ。それで、それがはっきりすれば?」
('A`)「もしかすれば、別の遺跡、あるいは街かその名残を見つけられるかも」
从 ゚∀从「……」
遺跡の泉に放り出されたハインリヒには何か思うところがあるようだった。
鬱田は彼女の神妙な面持ちに、言葉を接いだ。
('A`)「ハインリヒさんみたいに、そこには遭難している人がいるかもしれませんね」
ξ゚听)ξ「なら、助けてあげないとね」
夜は、更けていった。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:44:09.93 ID:8Oci/dBsO
1DKの慎ましい生活は新たな朝を迎えた。
しかし、その時ハインリヒの姿だけがログハウスにはなかった。
(,,゚Д゚)「あの女、何を考えてやがる……」
ギコが始めに行ったのは、食糧のチェックだった。
次にラクダの安否確認。
いずれも寝る前と状態は変わらず一切が手つかずだった。
('A`)「どこかに歩いていった、と?」
(,,゚Д゚)「風で砂が流れれば足跡は消える。一人で何をしに行ったかは知らんが」
ξ゚听)ξ「私は寝てて何も気付かなかった」
誰もがハインリヒ失踪の理由が思いつかずにいた。
( ^ω^)「んっふ」
しえん
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:45:21.31 ID:8Oci/dBsO
眠い。
皆寝よう。
落ちたら落ちたで考えよう。
おやすむ。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:47:08.38 ID:ONuUxaXB0
えーw
まぁいいけど。
おやすみ乙(´・ω・`)
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:47:56.79 ID:wWsApOlsP
ええええ・・・・
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:50:40.22 ID:OSGACgYRO
ちょっと期待したらこれだよ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:51:32.18 ID:8Oci/dBsO
腱鞘炎で続けるにもしこたま時間かかるの、ごめんね。
根性で起きてやってると後半矛盾パネェくなるし。
支援ありがとう。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/01(火) 00:52:56.13 ID:8Oci/dBsO
完結までは書くので、また朝にでも。
ノシ
この感覚、もしや・・
続き期待してます
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
おもしろいなぁ