文才を熱血でカバーして小説を書いて公開したり後悔したりするスレ

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ここはお題をもらって小説を書き、筆力を向上させるスレです。


◆お題を貰い、作品を完成させてから「投下します」と宣言した後、投下する。

◆投下の際、名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』を記入。メール欄は無記入。
 (例 :『BNSK(お題:文才) 1/5』) ※タイトルは無くても構いません。
◆お題とタイトルを間違えないために、タイトルの有無に関わらず「お題:〜〜」という形式でお題を表記して下さい。


※※※注意事項※※※
 容量は1レスは30行、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
 お題を貰っていない作品は、まとめサイトに掲載されない上に、基本スルーされます。

まとめサイト:各まとめ入口:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/
まとめwiki:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/
wiki内Q&A:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?Q%A1%F5A
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:21:29.24 ID:pllUqXAC0
▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい

▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・【!】お題:保守=ただ保守するのも何だから小説風に保守する=通常作扱いにはなりません

▽規制されている方へ
>>1から辿って行けるまとめ板に、規制者スレがあります。
 そちらの方に投下していただければ、心ある人が転載してくれます。

▽その他
・作品投下時にトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
・ただし、作品投下時以外のトリップは嫌われる傾向にありますのでご注意を

▲週末品評会
・毎週末に週末品評会なるものを開催しております。小説を書くのに慣れてきた方はどうぞご一読ください。
 wiki内週末品評会:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%BD%B5%CB%F6%C9%CA%C9%BE%B2%F1
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:23:44.83 ID:pllUqXAC0
今週の週末品評会

290 :お題発表 ◆Mulb7NIk.Q []:2009/11/18(水) 00:16:48.47 ID:rVs3sYUK0
無茶で無謀と笑われようと!
意地が支えの喧嘩道!
壁があったら殴って壊す!
道が無ければこの手で造る!
シモン&カミナ『天元突破グレンラガン』

第190回週末品評会 『熱血』
規制事項:5レス以内
制限事項:『スーパーロボット大戦』ネタによるお題消化禁止。
巨大ロボットの登場は禁止ではないです。

投稿期間:2009/11/21(土)00:00〜2009/11/22(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間:2009/11/23(月)00:00〜2009/11/24(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:29:08.21 ID:vtMST7KcO
>>1おつ

前スレ>>384
読んだ
雰囲気がよかったと思った。どことなく詩的な感じが。
話の内容は若干ありきたりであったけれど。
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:34:31.86 ID:vtMST7KcO
ごめん、>>184だったわ
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:43:32.23 ID:e8VZbzdA0
一乙

また落ちたのか
7英雄物語と魔女 0/5 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:45:56.73 ID:RbCyF9Ed0
週末品評会作品投下します。
8英雄物語と魔女 1/5 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:47:01.15 ID:RbCyF9Ed0
 ある日、平和な王国に現れた魔女は王国に住まう者に安定と平和を与えてい
た宝珠を奪った。力の無いものには近づくことさえ出来ないその宝珠を手にと
って奪った魔女を追いかける勇気のある者はいなかった。そして、この宝珠の
力は弱い者にとっては貴重だったが、力の強い者にとってはそれほどの恩恵は
無かった。
 そんな中で、王家の遠縁に当たる青年が魔女を追いかけて旅立った。青年の
両親は肥沃な土地の主であり、かつ、彼は人のうらやむ容姿と誰も挑む者のい
ないほどの強さを持っていた。宝珠が無くとも彼は幸せになれるはずだったが
、自分のもてる物をすべて路銀や旅の荷物に換えて彼は旅だった。
 彼を知る人の多くと知らない人は青年を馬鹿者とおもしろ半分に思っていた
が、彼を理解する者はただ感嘆とするだけだった。

 さて、彼が初めて訪れた町でのこと、失われた宝珠によって生まれた悪徳に
よって、家族とともに路頭に迷いかけ、自らの身を売るところであった少女を
救った。のみならず、悪徳に満ちかけていた町に再び正義をある程度取り戻し
た。青年に恋をした少女は青年の旅について行くことになった。

次の町、力の強い者が覇者になるという掟が支配し始めた都市で、青年は岩が
集まったような大男にであう。都市の現在の支配者である無道な男の弟だとい
う。かたくなな心を持ち、兄への復習の念だけで生きていたこの男を激しい戦
いの末打ち倒した青年は、彼の心を開いた。大男と少女と青年とで、都市の無
道は正され、都市の強者達は真面目に施政を引き始めた。もちろん大男は青年
についてくる。

 書物に埋もれるのが大好きな変人学者に、薄衣を身につけた誇り高き女戦士
、素直ではない昔なじみの騎士をさらなる旅の道連れに青年は魔女を追って雪
に閉ざされた山にある魔女の館を目指す。
9英雄物語と魔女 3/5 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:49:31.10 ID:RbCyF9Ed0
 ここにやってくるまでは、それはそれは大変な道のりだった。地下の大迷宮
に天を衝く高い塔、そして、悪徳を身につけて、利を失わないために青年を排
除しようとする悪漢悪女という障害を越えて、彼らはここまでやってきた。し
かし、その障害を乗り越えた彼らにしても、最後の障害である魔女の住む山に
分け入ることが出来なかった。青年をのぞいて、皆が山に入るなり強い吐き気
や頭痛に冒されて歩くことすら出来なくなってしまったのだ。魔女の呪いのせ
いである。

 弱った仲間を守りながら青年は山を下りて、彼らを麓の村で面倒を見てもら
うことにした。その貧しい村は、他の地域と比べて宝珠の恩恵のありがたみを
実感していたので、青年の願いは聞き入れられた。数日後に仲間の回復を見て
取った青年は次の朝に出発することを仲間に告げた。

 その夜のこと、勇気を振り絞った少女が青年を自分の部屋に呼び出し、哀願
した。魔女のところへ行くのはやめて欲しいと。青年を愛していた彼女にとっ
て、彼を失うことは自分が消滅することと同じことに思えたのだ。魔女は彼女
の予想を遙かに超えて強力だった。青年の仲間は、英雄と称えられる資格を
持った人間ばかりだった。その彼らをあっさりと無力化してしまった魔女は青
年よりも強いように思えて仕方がなかった。

 すがりつく少女に青年はにっこり笑って親指を立てて言った。
「俺はきっと帰ってくる。だからみんなと待っててくれ」
少女はわかっていた。青年は魔女と差し違えるつもりなのだと。きっと、青年
は戻らないと。
10英雄物語と魔女 4/5 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:50:51.71 ID:RbCyF9Ed0
 仲間に見送られて次の朝に出立した青年は難なく山を越えて魔女の館へと到
着した。

 重厚なドアをノックして、彼は大声で叫んだ。
「アリスー、君だろー、開けてー」
盛大に誰かがすっころぶ音がして、中からしわがれ声が聞こえてきた。
「このバカが、なんという呼びかけじゃ!」
青年は聞き覚えのある声に安堵したように、少し落ち着いた声でにこやかに言
った。
「やっぱり君だったのか。会いたかったんだよ」
次の瞬間に、人を殺すような勢いでドアが開いた。青年はもちろんドアには当
たらずによけた。
 中から現れたのは、フードをかぶったかぎっぱなの醜い老婆だった。フード
からはみ出た髪の毛はくたびれた白髪だった。この老婆が魔女である。
「アリス、久しぶりだね」
青年はさわやかに魔女に言った。
「何が久しぶりじゃ、さあ、とっとと殺し合うぞ」
手に持っていた杖を折れそうなくらいに曲げて、魔女は苦々しく叫んだ。
「どうして?何で殺し合う必要があるの?」
訳がわからないという風に青年が問いかけた。
「どうしてもこうしても、私が魔女だからじゃ。お前の大事な宝珠を奪い、世
を混乱に導いたのじゃぞ」
魔女はさらに顔に表れる怒気を強くした。醜い顔が数割り増しに醜く見える。

「だからさ、何で?」

 青年のその言葉にキレた魔女は、宝石をちりばめた、ギザギザの刃の曲がっ
たナイフを青年の胸に突き立てた。ナイフは青年の防寒着と鎧を厚紙かなにか
のように切り裂いて、胸の肉をえぐった。
11英雄物語と魔女 4/5 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:53:56.63 ID:RbCyF9Ed0
「これでも、その浮ついたことが言えるのかえ?」
 魔女は、青年の胸から吹き出す熱い血潮を醜い顔に浴びながらそう言った。
青年は口を動かすが声にならなかった。

 魔女は押し黙ると、青年の体を自作の泥人形に運ばせて、ふかふかの寝台の
上にゆっくりと置いた。椅子を寝台の横へ移動するように命ずると、いつもベ
ッド脇に置いている冷たい水の入った洗面器で顔を洗った。顔を伏せたまま魔
女は寝台の横に移動していた椅子にかけた。

 フードを下ろすと、艶やかな白い長髪が現れた。これが魔女の本来の髪の色
だった。鼻は形よくまっすぐに伸びて、目元は涼しげ、ほおはバラの色。そこ
にいた魔女は若く美しかった。

 魔女は、顔を青年の顔に近づけて、彼の頭をなでながら語りかけ始めた。
「どうして私を殺してくれなかったの?それが一番幸せな終わり方だったのに
。主人公は魔女を倒して、お姫様を故郷に連れて帰って結婚して末永く幸せに
暮らすものなのよ。」
青年はなにも答えなかった。
「ずっと見てたわ。あの子はきっとあなたと結婚して幸せになれたのに。あの
戦士でも良かったかもね。あなたはきっとうまくやれた。ふたり一緒になんて
のも出来たかもね。くすくす」
しばし、無言で過ごしてから、また彼女は語り始めた。
「起きないのね。本当に死んでしまったの?十中八九そうでしょうね。あなた
が私を殺してくれないのなら、こうなるしか無かったのよ。運が悪いわね。私
みたいなとんでもないのに好かれちゃって。15で墓の中に眠らされて、起きた
ら80歳の魔女になってたわ。墓からはい出した私に優しくしたときに、私とあ
なたのどちらかが殺されるのが決まったのよ。あなたをあきらめるなんて、あ
なたに殺されない限り出来なかったわ。せめて、自分が美しいとうぬぼれてい
た頃に戻ってからふられたかった」
12英雄物語と魔女 5/5 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:54:51.37 ID:RbCyF9Ed0
魔女は自分語りを続けた。
「若い姿に戻るためには、熱い血を持った人間で、私が愛している人の血がた
くさん必要だなんて、三文芝居か売れない吟遊詩人のバラッドみたい。
 ねえ、うち捨てられた私の墓の側で狩りをしていたあなたに見つかった後、
私はお城の中にいて、あなたの側にいられたわ。でも私がとりあえず一人で暮
らせるようになってから、あなたの姿を見ることすら希になったわ。恩人が醜
い老婆にわざわざ会いに来る理由なんて無いもの。あんな醜い私、あなたに恋
する資格どころか、それを表にだしてあなたを不快にする資格すらなかった。
でも、そんな想いをどうしても捨てきれなかったわ。落ち着いて勉強したら、
私が若い姿に戻れる方法がわかったけど、それはあなたの命と引き替えの方法
しか無かった。
 そのときに思い出したの。あなたが一番大切なのは、世界の人々に安定を与
える宝珠だと言ったのを。それを盗めば、あなたは私を殺してくれる。そうす
ればあきらめられると思った。」
そこで、魔女は言葉を切ると、目を見開いて怒鳴った。
「どうして殺してくれなかったのよ!怒りのままに魔女の私を殺してくれれば
良かった。それでなければ、あなたが、墓からはい出した醜い私を放っておく
冷血漢ならよかった……。ハァー……。バカね。私。どうしようもない……。
……ハロルド、あなたは本当に死んでしまったの?」
上半身を伏せて、顔を押さえた後、魔女は立ち上がると道具箱を呼び出して青
年の死が間違い無いものであるかを確かめることにした。

 青年が館へ向けて出発した次の日に、彼の荷物から置き手紙が発見された。
それには、自分が帰らない場合、宝珠司(ホウジュノツカサ)と呼ばれる宝珠
の管理者を館によこして欲しいと書いていた。その指示通りに、宝珠司と供の
者(青年の仲間)が館へ向かった。そこで、一行はもぬけの殻の館の玄関ホー
ルに宝珠が安置されているのを発見した。

 宝珠は戻り、王国は再び安定を取り戻した。
 しかし、青年と魔女の行方は杳として知れなかった。
13 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 00:56:11.69 ID:RbCyF9Ed0
レス数間違えてしまいました。
ごめんなさい
吊ってきます……
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:00:11.46 ID:vtMST7KcO
こういった場合って番外作扱いになるの?
15 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/22(日) 01:03:40.90 ID:RbCyF9Ed0
一応、5レスで収まってはいます。
1/5→1/5
3/5→2/5
4/5→3/5
4/5→4/5
5/5→5/5
と間違えました。

今度こそ吊ってきます。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:04:55.21 ID:e8VZbzdA0
レス番間違えてるだけで他は問題ないから大丈夫だと思うよ

あと投下はsageちゃダメ絶対!
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:13:40.28 ID:bcZ0UKC40
おめでとう、BNSKはBNCSKKKに進化した!
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:18:36.75 ID:XgdRL1vB0
死ぬな
おもしろかったよ!読んでないけど!
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:21:04.68 ID:tezUmpGsO
投下おつだ>>17長い長いwww
あと>>1乙 スマソ前スレ見てなかったせいで落としちゃった
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:26:43.69 ID:GFYnUE3Z0
           前スレまでの通常作品、過去スレ、過去ログ、全て編集完了致しました。

      ∧,,∧  総作品数:6680作品
 :::::::::::::::(´・ω・) .総スレ数 :771スレ
 ::::::::::::::/  つと  現 在  :772スレ目
 :::::::::::::ゝ._JJ  備 考  :……寒い……
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:27:19.96 ID:vtMST7KcO
ねこさんオッツオッツ
22グチグチ0/3:2009/11/22(日) 01:31:32.90 ID:LeZP8wcG0
できました。お題「カドが立つ」
投下します
23グチグチ1/3:2009/11/22(日) 01:32:37.49 ID:LeZP8wcG0
 ひと思いに死んでしまえば、本当に良かったと思う。人間の心とかは、本当に気持ちが悪いものだね、君もそう思わないかい。こ
んなことを言うから、周りの人は、僕のことを暗い奴だとか、馬鹿なやつだと言うんだろうね。

 そういえば「お前は自分を客観視出来ていない」と、今まで何度か言われたことがある。やれやれ。僕が自分を客観視出来ていな
いだって。それは君だよ、と言いたくてたまらない。僕は君が僕のことを客観視できない奴だな、と思っているだろうなと、とっく
に思っていたよ。君がそう思っていることを言うことは、まさに僕の予想通りだったんだ。けれど僕はこのことを言わなかった。何
故かって、まぁそれはどうでもいいね。「はぁ、すみません」と、確かそんな適当な返事をしたのを記憶している。
 今どうでもいいと言ったけれど、どうでもよくないことが僕にはないんだ。だから、どうでもいいから語らないという僕の理屈は
間違っているんだ。それもどうでもいいけれどね。どうでもいいから、語っても語らなくてもいい。何をしても僕にはどうでもいい
んだ。暇だから語るね(どうでもいいことしかないから僕は退屈しているんだ)。ええと、君が「客観視出来ていない」と僕に対し
て思っていることを、僕が指摘しなかった理由か。君って言っても、君じゃないよ。僕にこう言ったのは、昔僕が仕事をしていた時
の上司だ。まぁもちろん、君は今僕のことを客観視出来ない奴だな、と思っているかもしれないね。あはは。
24グチグチ2/3:2009/11/22(日) 01:33:34.87 ID:LeZP8wcG0
 ふと思い出したから、その時の会話を書いてみるね。当時僕は、ある程度大手の食品会社で働いていた。その時の上司と僕の会話
だよ。

「山本、お前は仕事が出来るが、社会は仕事が出来ればいいってもんじゃないぞ」
 上司がデスクでコーヒーを飲んでいた僕に、話しかけてきた。
「はぁ、そうですか」
「それがいかんと言うのだ。その、なんと言うか、愛想がなさがお前の駄目なところだ。お前は与えられた仕事さえできていれば、
いいと思っているんだろう」
「いえ、そんなことは」
「仕事で最も大事なのはコミュニケーションだ。いいか。お前はそれが出来ていない」
 コミュニケーションとはまた都合の良い言葉だなぁと、当時も今も思ってしまう。馴れ合いと、何がどう違うんだろう。コミュニ
ケーションが大事と言うのは、馴れ合い最高と言うようなことではないのか。きっとこの人は昔、学校のクラスで張り切って合唱コ
ンクールの練習をする連中だったに決まっている。
「お前はな、自分を客観視出来ていないんだよ」
「はぁ、すみません」
「全く、だからお前は馬鹿なんだ」

 そうだ。上司は確かにこう言った。僕が馬鹿だってさ。自分を客観視出来ないから僕が馬鹿だとさ。僕が思っていることを上司は
わからなかっただろうから、上司は僕に「お前は自分を客観視出来ていない」と言えたんだろうけれど、その言葉が自分を客観視出
来ていない言葉じゃあないか。上司の理屈に言わせれば、馬鹿は上司の方じゃないか。
 僕はこの時、適当な返事をしてしまったが、もしそれを指摘したらどうなったのだろうか。シミュレーションしてみよう。
25グチグチ3/3:2009/11/22(日) 01:34:33.82 ID:LeZP8wcG0
「いえ、僕は馬鹿ではありません。馬鹿は貴方です」
「何ぃ、山本、お前、今何と言った」
「馬鹿は貴方です。部長が『山本は自分を客観視できていない』と思っていることを僕は予想していました。部長は僕がそう予想し
ていると予想していなかった。つまりは、自分を客観視出来ていなかったからそう言えたのでしょう。だから、馬鹿は貴方です」
「山本ぉ」
 上司は声を荒げて言うだろう。
「いいか、それがお前のコミュニケーションの低さだ。そんなんじゃ、社会じゃ認められないぞ」
「社会じゃなくてあなたでしょう!貴方が馬鹿だから、貴方は都合の良い言い回しを使って、馬鹿しか認めたくないんだ。賢い人を
馬鹿に見立てる言い回しを使う。馬鹿を賢い人にして、賢い人を馬鹿にするんだ。貴方が馬鹿だから!」

 と、僕はここまで言ってしまうだろう。こんなことを、言ってしまえば角が立つ。角が立つだろうけれど、当時から僕にはどうで
も良かった。だから僕は、当時、はぁすみません、と適当に言ったのだろう。どうでもいいから、角を立たせても、別に良かったん
だ。その時の適当が角を立たせないことだったのだろう。気分によって変わっていたかも知れないことなんだ。

 どうでもいい話に付き合わせてしまってすまないね、君。すまないねと、僕は今言ったけれど、別に言わなくても良かったんだよ。
だって、どうでもいいんだから。

 ただ時々この退屈に逃れたくなるときがある。その時に、ひと思いに死んでしまえば、本当に良かった。人間の心とかいった言い
回しは、本当に気持ちが悪いものだね。本当のそれは、「人間の心」なんていう風には言うべきではないのに。

 ああ、でも、どうでもいい。
26グチグチ4/3:2009/11/22(日) 01:35:20.10 ID:LeZP8wcG0
お終いです><
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:40:21.79 ID:Q5ekRlaQP
お題ください
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 01:42:08.54 ID:LeZP8wcG0
海藻
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:06:38.39 ID:LeZP8wcG0
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:11:25.16 ID:tezUmpGsO
>>20おぅわ、ねこさーん!深夜まで乙でーす!
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:15:39.29 ID:UA5RSYZJO
新スレおつ、猫さんおつです

規制者スレより転載いたします


 290 名前:君と11秒(0/5) ◆zH52hPBzFs []
2009/11/21 23:35:00:56 ID:xY5TNqhc(7)
品評会投下しまーす!
タイトル:君と11秒
レス数:5

気付いた方、気の向かれたときにでも転載などを宜しくお願いいたします。
32君と11秒(1/5) ◇zH52hPBzFs:2009/11/22(日) 02:17:00.03 ID:UA5RSYZJO
 海北君はこの島にいる、もう一人のヒーロー訓練生である。日に焼けた健康な肌色、ぼさぼさ気味の茶色い髪。健康と活発さの
イデアみたいな、そういう十五歳の少年だ。
「ヒーローになることに憧れていたんだ」
 目を輝かせてそう語る海北君は、自ら志願して今の立場を手にいれた、行動の人である。彼はヒーローになることに、ヒーローと
して世界を救うことに情熱を傾けている。だから、どんなに厳しくて苦しいトレーニングの最中でも、海北君の目から爛々とした輝き
が消えることはない。いつだって、生気と決意に溢れている。同じ訓練生でも、私とは全然違う。
 私がヒーロー訓練生になったのは、徴兵された結果だ。あの痛くてたまらなかった「適性検査」で「バトルスーツとの親和性」に関
して「ほぼ満点」のスコアを出してしまった私は、強制的にそれまでの生活から切り離された。
 そうして太平洋に浮かぶこの島で、ヒーローになるための訓練を受けている。肉体強化、戦闘訓練。システム習熟、バトルスーツの
コントロール訓練。罰ゲームでもさせられているかのようなみじめな気分を私にプレゼントしてくれるものばかりだ。
「エシャ。お前にはさ、もう少し自信と力強さが必要なんだと思う。考えてみろよ、俺達はヒーローになるんだぜ。ヒーローってのはさ、
やっぱり堂々としていないと。ヒーローの自信と情熱が、人々の希望になるんだからさ」
 海北君は私のことを「エシャ」と呼ぶ。本人は私のことをちゃんと「絵志谷」という名字で呼んでいると言っているけど、絶対に最期
のヤは小さくなっていると思う。
 私は海北君に「エシャ」と呼ばれるのが好きだ。その暖かい声を聞くと、とても安心する。

 多分そういう、人を安心させることが出来る「何か」が、ヒーローにとって一番大切な力なんじゃないかと私は時々考える。そういう
意味で、海北君はまさにヒーローとなるべき存在だ。ヒーローになった海北君は、たくさんの敵と戦い、たくさんの人を救うだろう。
 私には海北君みたいなそういう力、カリスマ的なものはない。
 さらに言ってしまえば、私はヒーローになりたいだなんて少しも思っていない。
 ヒーローになんか、なりたくない。なんだかよく解らない敵と戦うのは、怖い。誰にも構わず、誰にも干渉されずに生きていたい。
 それが私の願いだ。叶う筈も無いけれど。

 俗に「ヒーロースーツ」と呼ばれているバトルスーツを着た状態での運動テストの成績は、海北君よりも私のほうがずっといい。
私にとってバトルスーツは体の一部であるけれど、海北君にとってのバトルスーツはまだ運転に慣れない乗り物みたいなものだ。
バトルスーツを海北君の動きは、とてもぎこちない。スーツの力を解放したときの加減が調節出来ずに、周りの物を壊して、怒られ
ている。
 それでもやっぱり、「ヒーロー」という言葉が似合うのは私ではなくて海北君だと思う。

 暴走した貨物列車に関する問題。
33君と11秒(2/5) ◇zH52hPBzFs:2009/11/22(日) 02:18:29.00 ID:UA5RSYZJO
 貨物列車がスピードを出して線路を走っている。その貨物列車の唯一の乗員は意識を失っていて、暴走する列車を安全に
止める術は存在しない。線路の先には通常のスピードで走っている普通の旅客列車が存在している。このままでは暴走する
貨物列車は、人をたくさん乗せた列車に追突してしまうだろう。追突事故は、何十人という人の命を奪うだろう。
 あなたの目の前には、線路の切り替え器がある。あなたがこのレバーを横に倒せば、貨物列車を別の路線に引き込むことが
できる。そうすれば列車との追突事故は避けることができる。
 ただし、その別路線はすぐに大きなカーブにさしかかる。貨物列車が減速しないままでカーブに進入したのならば、猛スピード
の列車はカーブを曲がりきれず、そのまま脱線するだろう。脱線した先には民家があって、子供が一人で留守番をしている。
もし、あなたが線路を切り替えたなら、その子供は飛び込んできた列車によって、惨めな最期を遂げることになるだろう。
 あなたは、目の前にある線路の切り替え器のレバーを、横に倒すべきだろうか?

 座学の時間に、そんな状況の解決方法を迫られた。その問題に対して、私が出した回答は「レバーを横に倒す」だった。
「ではお前はその場合、罪も無い子供を一人、殺すのか。お前がレバーを倒さなければその子の命は助かったのに。それはある
意味、お前が殺したようなものだ。それでも、お前はそれが正解だと言い切れるのか」
 教官は感情のこもらないらない声で、私にそう問いかけた。私は言葉に詰まる。
 頭の中では、教官の問いに対する答えは出来上がっている。はい。私がその状況に置かれた場合には、その子供を一人、
犠牲にします。被害の発生が避けられないのなら、少しでも被害が少ない方を選ばなくてはなりません。被害は少なければ少ない
ほうがいいに決まっているからです。もちろん、誰かを犠牲にすることは辛いことです。それでも、辛いことでも、辛い現実を許容し
なければ、救えるものも救えなくなると思うからです。
 私が考えていたそういうことを口に出せないのは、結局のところ私自身がその論理を正しいと思っていないからなのだと思う。
私が考えていることは間違ってはいないと思う。だけど、それは「正しい」とイコールではないのだ。

 海北君はといえば、問題に出されていない細かい状況を教官に尋ね続けた。絶対に他に方法はないのか。それ以外の路線
はないのか。どのくらいまでスピードを落とすことができたらカーブを曲がりきれるのか。前を走る列車に連絡をすれば、乗客の
避難は可能ではないのか。そういった質問を続けた。
 その都度、教官に可能性を否定された海北君は、とうとう最後にこんなことを言い出した。
「わかりました、教官。つまり、こういうことですね。俺が線路に立ちます。そして、走ってくるその暴走列車を止めます」
 そんなことをしたらお前は死ぬし、列車は止まらずに大事故は発生する。大勢の人は死に、その死者の列に一名、つまりお前
が加わるだけだ。そういう教官の指摘を、海北君は頑なに否定した。
「そんなことはありません。俺は無論のこと死にませんし、列車も止めます。絶対に止めます。俺の意思の力で、止めます。一見
無理に思えることを達成してこそのヒーローじゃないですか。俺は自分自身を含めて、誰も犠牲にしません。誰かを犠牲にする
34君と11秒(3/5) ◇zH52hPBzFs:2009/11/22(日) 02:19:54.19 ID:UA5RSYZJO
なんて、そんなのはヒーローがとるべき行動じゃない」
 行動の一貫性を確認するためのその問題に明確な一貫性を示したにも関わらず、海北君は教官から手ひどく説教を受けた。
精神論を持ち出すのは思考停止に他ならない。選択することの放棄である。勇気と無謀は違う。実現の可能性の無い行動は
結局のところ状況を決定的に悪化させれるのが関の山である、等々。
 長々としたそのお説教も、結局は海北君の考えを変えるには至らなかったようだった。その日はずっと、海北君はその問題に
ついて不服そうだった。
「だって、そうするべきだよな。エシャ、俺は間違ってないよな?」
 そんな風に、私に確認をしてきたりもした。
「現実じゃなくて、希望を見せるんだ。無理を通して、希望を現実に変えるんだ。それでこそヒーローなんだよ」
 海北君はそう断言した。自分自身を含めて、誰も犠牲にしない。そういう心意気で、熱意で、人を救うんだ、と言った。
 そういうことを言ってのける海北君だからこそ、いつかヒーローに、人々の希望となるヒーローになるんだと私は思う。

 私達と敵対している悪の組織、カノッサ機関が具体的にどういう組織なのか、実のところ私はあまり知りない。私が
知っていることは、機械兵器なのか生物兵器なのかわからない不気味でグロテスクな軍事兵器を繰り出して、人間を駆逐
しようとしていることだけである。
「その辺はどうでもいいよ、俺は」
 海北君はカノッサ機関について、そう語る。
「敵がどんな奴だって、関係ないよ。俺は倒す。人を守る。それだけさ。単純な話だろ?」
 そう笑ってから、海北君はそのしなやかな腕をぐるぐるとまわした。
「ああ、早く研修終わらないかな。いつ終わるんだろう。ヒーローになって、人を守りたいな」
 海北君がヒーローになって、色々な人を守るとして、その守る人の対象に、私は入っているのだろうか。私はそんなことを彼に
聞いてみた。
「何を言っているんだ。エシャ、お前だってヒーローになるんだろ。複数の敵と戦うとき、俺の背中はお前に預けるよ」
 そうだった。私もヒーローにならなくてはいけないんだった。

 その日、私達がいるその島を、機関の敵が襲った。虚を突いた、完全な奇襲だった。

「目を覚ませ、エシャ。敵襲だ」
 頬を叩かれる痛みに目を覚ました。いつの間にか閉じてしまっていたまぶたを開けて、真剣に私の顔を覗き込む海北君の
表情を確認する。ぐちゃぐちゃに崩れ落ちた体育館。立ち込める黒煙。どこかから聞こえる爆発音。
35君と11秒(4/5) ◇zH52hPBzFs:2009/11/22(日) 02:21:24.33 ID:UA5RSYZJO
 私は自分が気絶していたことを知った。
 思い出す。私たちは、体育館で基礎体力のトレーニングをしていた。海北君はいつもどおりの熱意で、私もいつもどおりの
感じで。スーツを着ない状態での身体能力はあからさまに海北君のほうが上で、私はだいぶ息を切らせていて、海北君が
私に発破をかけながら走りこんだり、筋力トレーニングをしたりする。それもいつものことだった。
 そのいつもの光景の途中に、閃光と衝撃が差し込まれたのだった。どうやら私はあっさりと気絶をしてしまったあれは、
敵の奇襲の第一撃だったのだろう。
「敵兵器が数体、襲ってきている。教官たちが戦っているみたいだけど、今、この島にバトルスーツを着て戦えるヒーローは
いない。多分、今のままじゃ相当勝ち目は薄いと思う。訓練生といえども、俺達がスーツを着て立ち向かうしかない」
「……うん、わかった」
 私はあわてて頷いた。立ち上がり、体が無事であることを確認する。大丈夫。ちょっとした擦過傷だけで、大きな問題はない。
 倒壊してしまった体育館から走って抜け出た。脇目もふらず、研究棟へと走る。そこには、私達のバトルスーツが置かれている。
 どうやら研究棟のほうも手ひどい一撃をうけていたらしく、棟自体が大きくえぐれていた。こんな攻撃をしてくる奴とこれから
戦わなくてはならないのか、と走りながら憂鬱になる。
 研究棟の地下にある、メンテナンスルームへ。なんとか、階段は使える状態になっていた。メンテナンスルームには私達の
切り札であるバトルスーツがある。駆け下りた地下も衝撃によってひどい有様になっていたが、それでもスーツが収められた
ロッカーは無事だった。
 私達は安堵のため息をついた。急いで、バトルスーツを着込む。
 私がスーツを着込む前に、もう一度、大きな衝撃がきた。

 大地震でも起きたかのように地面が脈動して、スーツを着込むために不安定な体制だった私が、滑るように転倒した。なんとか
スーツを着込めた海北君が、私を助けようと手を伸ばす。私はその手につかまる。
 声が出なかった。もしかしたらそんなこともなく、大きな声で叫んだかもしれないけれど、どっちにしろ聞こえなかったと思う。
天井が崩れてきたからだ。私から一瞬遅れて、海北君がそれに気付いた。

 崩れ落ちてくる天井についての問題。
 あなたはヒーロー訓練生ですが、まだバトルスーツを上手く扱うことができません。あなたはあなたの仲間と一緒に、崩れつつ
ある建物の地下室にいます。バトルスーツを着たあなたと、まだバトルスーツを着込めていない、あなたの仲間です。
 そのとき、上空にいる敵からの攻撃によってあなた達のいる部屋の天井が崩壊し、瓦礫が地崩れのようにあなたを押しつぶそうと
してきました。
 もし、あなたがバトルスーツの力をアクティブにして立ち向かえば、少なくともあなたは瓦礫などものともしないでしょう。しかし、
36君と11秒(5/5) ◇zH52hPBzFs:2009/11/22(日) 02:24:02.60 ID:UA5RSYZJO
上手くバトルスーツを使いこなせないあなたのことです。勢い余って、仲間も一緒に吹き飛ばしてしまうかもしれません。
 バトルスーツの力を使わないでも、あなたの仲間を助けることはできるでしょう。あなたの仲間を抱えて、瓦礫が崩れ落ちようと
してくる位置から飛び離れればいいのです。あなたにそれは出来るでしょう。しかしその場合、仲間のバトルスーツ、ヘルメットは
瓦礫に埋もれてしまうのは避けられません。そうなれば、地上にいる敵は、あなたは一人で戦う必要が出てくるでしょう。
 自分がバトルスーツを制御できることを信じて、スーツの力を解放しますか? それとも、自分が一人でも敵に勝てると信じて、
とりあえずこの危機からは仲間だけを救いますか?

 海北君はバトルスーツの力を解放せず、自らが壁になることを選んだ。
 瓦礫が、私の前で直立する海北君を襲う。アクティブなはないスーツの耐久力には限度がある。瓦礫の質量はあっさりと
海北君のスーツを切り裂いた。いろいろなものが潰れる音。耳をつんざくような轟音の中でも、何故かその音ははっきりと聞こえた。
 私も、私のスーツも無事だった。当然だ。海北君が私を守ったんだから。
 海北君は瓦礫の中から上半身を突き出した、悪趣味なオブジェのようにみえた。埋もれている箇所がどうなっているかは
わからない。左肩は潰れていた。海北君の、左耳の横、肩と呼ばれる部位があるはずの空間はごっそりと削れていた。
 赤い血が、何も無い空間の周りを染め上げていた。海北君は、右手を私に差し伸べた。私はその手を、縋るように掴む。
 どのくらいの時間、私達がそうしていたのかはわからない。動揺している私を落ち着けるように、海北君の手はずっと力強かった。
「エシャ。行って来い。俺の分も、敵を倒して来い」
 しばらくして、海北君はそう言った。私は涙でぼろぼろの顔で「うん」と頷く。海北君が差し伸べてくれた手を離した。
 限界だったのだろう、海北君はすぐに頭を落とした。気を失ったんだと思う。絶対にそうだ。気を失ったんだ。
 なら早く敵を倒して、海北君を治療しなくては。私はすぐにスーツを着込んだ。もどかしいと思いつつヘルメットを装着し、スーツを
アクティブにする。すべて、正常。
 崩れた天井の隙間から見える青空に、力いっぱいで跳躍する。私の身体は、一気に上空へと遷移する。
 上空から睨み付けるように、敵の数と姿を確認する。同じ形のやつが三匹。でかい。五メートルはあるだろう。鈍くぼやけた銅色の
体皮を誇示する、直立したエビみたいな格好の化け物。なに、こいつら。怖い。逃げたい。
「うわぁぁぁぁ!」
 私は空中で大きく叫んだ。それが咆哮なのか、それとも悲鳴なのかは自分でもわからない。
 全員を助けるって、言った。自信満々に。誰一人犠牲にしないって。自分を含めて、みんな助けるって。
 私は同じヒーローだから、助ける対象じゃないって言った。背中を預ける対象だって。そう言ったよね。
「私、私が、私を、ヒーローだから、お前の、相手だから、私が、相手だ!」
 そう叫んだ。ヒーローが仮面をかぶるもので良かったと思う。涙と鼻水でぐしゃぐしゃの私の顔は、仮面に隠れて誰にも見えない。
 私は腰のホルスターから光線銃を引き抜いた。敵の一体に狙いを定めて、すぐにトリガーを引いた。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:25:26.06 ID:UA5RSYZJO
転載おはりです


転載に不備があったら死にます
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:38:52.82 ID:tezUmpGsO
転載おつ
そのぐらいで死ぬなwww
毎回スレ汚しまくりの俺は何回死んだらいいんだwww
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:42:22.65 ID:JaswZzkG0
こんばんわー!お疲れ様です
もしよかったらお題ください
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:47:41.69 ID:SydZnEjMO
>>39
コンビニエンスストア
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:50:07.82 ID:JaswZzkG0
>>40
ありがとうございます!
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 02:57:29.74 ID:UA5RSYZJO
もうひとつ規制者スレより転載いたしまふ。5レスー


 297 名前: ◆Lq1ieHiNSw []
2009/11/22 02:31:00:04 ID:Y33ergNs(6)
私も品評会作品投下します。
43引っ込み思案な僕 1/5 ◇Lq1ieHiNSw:2009/11/22(日) 02:58:51.91 ID:UA5RSYZJO
 今日の六時間目は国語の授業だった。国語を受け持っているのは担任の斉藤先生。
 僕はこの先生、かなり苦手だ。漢字テストの返却の時である。
「おい三橋、お前に一つ言っておくことがある」
「な、なんですか先生?」
「災いっていう字だがな、上の部分は直線じゃないぞ、ひらがなのくのように曲がっているんだ。お前の書き方
だと炎って言う字の書き間違いかなって思ってしまう」
「あ、はい、き、気をつけます」
「いや三橋よ。どうせならな、いっそ炎にしてしまえよ! 俺はな三橋、熱い炎が大好きなんだ!」
「そ、そう、なん、ですか」
 こういうノリが苦手なのだ。なのに、
「せんせー、それじゃ読み方がホノオイになっちゃうよ」
「そうだな! でもいいじゃないか! ホノオォォォォイッ! なんとも気合いが入りそうな掛け声だ!」
「きゃはは、せんせーうるさーい」
 なぜか他の生徒達からは人気がある。暑苦しさが寒い。そう思うのは僕だけなんだろうか。
「どうだ三橋、これでもう間違うことはないだろ?」
「は、はい。あはは……」
 でも僕は愛想笑いをしてしまう。周りに合わせないと不安だからだ。僕はそういう人間だ。 
 そして授業が終わり放課後。掃除当番は掃除に、部活をやっている人はそれぞれの部に。僕は――
 僕、三橋誠は今日も必死で走っている。手にパンとジュースを抱えて。
 どうしてうちの中学校の購買部には食べ物が置いていないんだろう。あるのはシャーペン、消しゴム、その他
諸々の文房具のみだ。そのせいで、放課後は学校とコンビニ間の、全力で走って往復約十五分の距離を毎日行き
来しなければならない。なぜなら、僕はいわゆるパシリなのだ。
 入学して半年もたたないうちに、僕はパシリとしての大役を仰せつかった。忌々しいサッカー部の調子乗り、
武田と日向の二人に任命されたのだ。やつらは隣のクラスなのに、なぜか僕に目をつけた。
「三橋ー、今日は俺チョコレート系ので頼む」
「俺はいつも通りで。今日は練習始まるの早いから急げよー」
「う、うん」
 こんな風に今日も買い物を任された。気が弱くてオドオドしていて友達もいない僕。だからこうなった。
 僕は部活に入っていないから、本来なら放課後は真っ直ぐ家に帰れる。なのに毎日走っている。せめてもの救
いは、お金はちゃんと渡してくれること。漫画のようにお金まで出すハメにはなっていない。そしてこの走りこ
44引っ込み思案な僕 2/5 ◇Lq1ieHiNSw:2009/11/22(日) 03:00:02.32 ID:UA5RSYZJO
みでかなり体力がついた。往復時間が日に日に短くなってきている。だからどうってことはないんだけども。
「はぁっはぁ、か、買って来たよ」
「おうサンキュー、いつも悪いネ」
 悪いと思ってるなら自分でいけよ、とは口が裂けても言えない。
「しかし最近お前も体力ついてきたな。これで今度の球技大会もちょっとマシじゃねー?」
「ああ、俺らも日ごろの感謝の気持ちを表して三橋はなるべく狙わないようにするぜ」
「あは、は、ありがと。じゃあ、僕は帰るね。」
「おうじゃーな。んでさー日向ー、さっきの続きなんだけど……」
 そそくさと二人の前から立ち去る。二人も僕を引き止めることはしない。本当は、ちょっとだけ会話に加わり
たいっていう気持ちも。いや、どうせいじられるだけだ。妙なことを考えるのはよそう。
 近頃は暑くなってきた。肌に纏わりつくカッターシャツが気持ち悪い。さっさと家に帰って汗を拭こう。
 教室に置いてきた荷物を取りに戻る途中、さっきの会話を思い出す。球技大会――
 そう、来週は球技大会が開催される。種目はドッヂボール。僕はあまり得意ではない。そもそも僕には得意な
スポーツなんてないのだが。なので、最近の体育の授業はずっとドッジをやっている。ある意味では、ドッヂは
楽でいい。一度外野に出てしまえば後は何もしなくていいからだ。
「おっす三橋! なんだ汗だくだな。ん? まさか球技大会に向けて秘密特訓をしているんじゃないだろうな」
 教室に着きドアを開けると斉藤先生がいた。残って何かしていたのだろうか。
 ちが、違います、とつっかえながら返事をする。とっとと荷物を持って帰ろう。
「なんだなんだ三橋、隠すなよ。よし特訓ついでだ、ちょっと俺の用事に付き合え!」
 返事をする間もなく、僕は先生に連れられて屋上へとやってきた。
 屋上は普段カギがかかっていて入ることはできない。しかしこの時先生はカギを持っていて、学内で一番青空
に近い場所へと僕を連れ出した。そこには古くさい机や椅子と、そして工具のようなものが置かれていた。
「いや実はな、この机と椅子の修理を頼まれたんだ。どれももうガタがきて使えないからここに運び込んでいた
らしい。一応風雨を避けるためにシートはかぶせてたみたいなんだがな。というわけで三橋、手伝ってくれ」
 は、はい、とオドオド答える。僕は断ることが苦手なんだ。ああ、今日は帰るの遅くなりそうだなあ。
 パーツを解体して、まだ使える部分だけを繋ぎ合わせたり、節くれ立った木面をヤスリで磨いたりして、作業
は順調に進んでいく。と言っても僕はちょっと机を抑えていたりだとか、出来上がったものを運んだりだとかを
していただけで作業のほとんどは先生が行った。僕がいた意味はあったんだろうか。
 作業が一区切りつき、先生は言った。
「よし、今日はこのへんにしとくか。部にも顔出さないといけないしな。ご苦労だったな三橋、明日も頼むぞ!」
45引っ込み思案な僕 3/5 ◇Lq1ieHiNSw:2009/11/22(日) 03:01:14.26 ID:UA5RSYZJO
 部とは顧問をしている陸上部のことだろう。吹奏楽部から聞こえてくる楽器の音で先生の声が聞こえないふり
をしたかったのだが、先生の声はでかい。そして次の日も僕は作業をすることになったのだった。
 翌日の放課後。
 いつものようにパシリをこなした後、僕は屋上に行き昨日と同じく斉藤先生の手伝いをした。
「よし、今日はお前も補助だけじゃなくて色々やってみろ」
 と言われ、工具を渡される。内心すごく嫌だったけど、仕方なしに先生と離れて一人で作業をした。
 自分一人で机や椅子を解体するのはけっこう疲れる。僕は汗を流しながらもたもたと作業していた。しかし三
十分もすればある程度コツみたいなものも掴めてきた。
「なあ三橋よ」
 それまでは珍しく黙々と作業をしていた先生が、おもむろに話しかけてきた。
「は? な、なんでしょうか」
「こうやってさ、何かに没頭して汗を流すことって楽しいとは思わないか? 思うだろ!」
「え、は、はい」
「本当にそう思っているか?」
 わずかだが、本当にそう思っていた。ひたすら目の前のことに打ち込んでいる自分に気づいた。
「だったらよ、もっと自信持って返事しろよ」
「え?」
「俺はな三橋、もっとお前に自信もって欲しいんだよ。お前だけじゃない。生徒達にはみんな明るく前を向いて
いて欲しいと思っているんだ」
 先生は突然語り始めた。そして話は思わぬ方向へ。
「お前がいつも放課後サッカー部の子にコンビニに行かされているのは知っている」
 ドキッとした。なんで知っているんだ。
「俺は別にそれが悪いことだとは言わない。あいつらが頼んで、お前が引き受けているんならそれでいいと思う。
それにお前のトレーニングにもなるしな、はは」
 な、なんだよ一体。先生はあいつらの味方なのか?
「でもな、嫌ならちゃんと断るんだ。はっきりと言えばあの子達も無理強いはしないだろうさ。なあ、どうなん
だ? 本当は嫌なのか?」
 嫌に決まってるだろ。でも、そんなことあいつらに言えるわけないじゃないか。
「べ、別に嫌じゃない、ですよ」
 俯いてボソボソと答える。
46引っ込み思案な僕 4/5 ◇Lq1ieHiNSw:2009/11/22(日) 03:02:28.04 ID:UA5RSYZJO
「そうか、お前ら仲いいんだな。うらやましいぜ!」
 そんなわけないだろ。
「でもお前があの子達と楽しそうに喋っている姿は見たことないな」
 余計なお世話だ。どうせ僕は。
「三橋よ、悩んでいるんだったら相談にのってやる。俺はいつでも生徒みんなの味方だ」
 もう嫌だ。暑苦しいんだよこの男は。とっとと家に帰りたい。
「なんだったらお前陸上部にこないか? けっこう体力あるみたいだし、活躍できるぞ? そしたら今よりも自
信を持てるようになるぜ! あの子達とも対等に話せるようになるさ」
 なんだよ勧誘かよ。いい加減うんざりしてきた。顔が熱くなってくるのがわかる。
「なあ三橋」
「うるさいな! もうほっといてくださいよ!」
 頭に血が上った。多分、家の外で大声を出したのは生まれて初めてだ。
 数瞬の間が空く。バツが悪くなった。それなのに、
「いいぞ三橋! それだ、そんな風にはっきりと自分の主張をするんだ!」
 斉藤先生は笑顔で親指を立てていた。
 何だか恥ずかしくなり僕は屋上を飛び出した。そのまま校舎から出て、帰り道を全速力で駆け抜けた。視界が
ぼやけてきて、自分が泣いていることに気づいた。
 家に帰ってからも今日の出来事がずっと頭から離れなかった。先生の言葉が何度も何度も頭の中でこだまする。
自分に自信を持ち、はっきりと主張をする。そんなこと僕に――いや、さっき言ったのか。僕にもあんなことが
言えるなんて……
 次の日は学校にいくのが嫌だった。先生と顔を合わせるのが気まずい。でも、ずる休みをする度胸も僕にはな
かったので渋々登校する。
 そして朝のショートホームルームが始まる。先生の様子は――至って普通。そりゃそうだ。気にするわけもな
い。と思っていたらホームルームが終わり先生が出て行く時、ふと僕の机の前までやってきてこう言った。
「おい三橋、お前本当に陸上部にこないか? 昨日あの後屋上から走ってるお前を見つけたんだが、あのスピー
ドで走り続けられるなんて驚いたぞ」
「ん? なにせんせー。三橋が何かあったの?」
 周りの席のやつらが話に乗る。
「ああ、三橋は実はかなり凄いんだ」
 マラソンが得意だとか、運動神経がけっこういいだとか、不当に僕を持ち上げる。そして周りのやつらも話を
47引っ込み思案な僕 5/5 ◇Lq1ieHiNSw:2009/11/22(日) 03:03:58.28 ID:UA5RSYZJO
大きくしていく。普段は力を抑えていただとか、力を解放するととんでもないことになるだとか。そんなわけな
いだろ。そんなわけ……でも、なんだかすごく、気分がいい。
 三橋どうなんだよ。球技大会は期待してるぜ。あまりクラスメイトと会話をしなかった僕に、次々と言葉が掛
けられる。だが口ごもってボソボソと呟くことしかできない。僕は。僕は。
 自分の主張、自分に自信――自分。自分。
 何かの糸が切れた。僕は椅子から立ち上がった。急に立ち上がったので、周りは驚き僕に注視する。そして僕
は大きく息を吸い込んだ。
「僕に任せろぉぉぉおおお!」
 叫んだ。虚を突かれたかのように一瞬静まり返った教室。そして再び喧騒を取り戻す。
 三橋すげええ! 三橋ってこんなやつだっけ? 球技大会はもらったな! 妙な歓声が響き、鳴り止まない!
 もう一度、僕は片腕を挙げて叫んだ。斉藤先生は笑顔で教室を出て行った。もう後には引けない。
 その日の体育のドッジボール、僕は積極的に参加した。当然、気持ちだけで上手くなるはずもない。でも今ま
でがダメダメだっただけに、少しの活躍で周りからは驚きの声があがった。
 マジでやるじゃん三橋。あれ先生の嘘じゃなかったんだ。もっと声に応えたい。今日の僕はそう思えた。
 そして放課後――
 武田と日向は今日も僕を捕まえるなりお金を渡して注文を言う。
「今日は俺おにぎりがいいわ。梅干で頼む」
「俺は今日もいつもので」
 僕はお金を受け取る。
 あの。何かを言おうとして、言い淀む。
「ん、どうした?」
 しかし、意を決して声をあげる。
「今日は目標タイム十分! ちゃんと時間計って待ってて! じゃあ行ってきます!」
 僕は全速力で駆け出した。二人はポカンとした顔で見送っていた。
 パシリをやめたいとは言わない。なぜなら、これもまんざらじゃないと思っている自分に気づいたからだ。往
復十分を切ることは難しいだろうけど、いい目標だ。
 肩で息をしながら考える。今日は自分の分の食べ物も買おう。そしてまた屋上に行って斉藤先生を手伝おう。
あの量じゃまだまだ終わらないはずだ。その時に、陸上部のことについても聞いてみるか。
 コンビニが見えてきた。そうだな、僕はアンパンにしようかな。
<了>
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 03:40:23.24 ID:vtMST7KcO
あげ
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 03:42:32.88 ID:SydZnEjMO
お題をお願いします
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 03:48:47.04 ID:UA5RSYZJO
>>49
女の子の領分
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 03:56:00.34 ID:SydZnEjMO
>>50
……把握
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 03:58:33.92 ID:aCbMkZCAO
感想がつかないときは泣きたくなります。ドンマイ自分
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 04:08:45.33 ID:vtMST7KcO
そういや忘れてた、転載おつ
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 04:28:39.74 ID:UA5RSYZJO
>>23-25
前ふりがあって、じゃあシミュレーションしてみよう、ということになったから、俺は主
人公の彼が何かしら意義のある答えを得るんじゃないかとちょっと期待して読み進みまし
たが、変わらずじまいで個人的になんとなく肩透かしという印象でした

話者が自説を開陳して、現状が維持されてしまう平行線というのは、なんというかもどか
しい。揺さぶられないということは安全だということでもあるなーと思ったり、安全な主
人公が出てくる小説にはスリルがないように思えたり…

自殺願望が垣間見えたりして傍目には十分危険なんですけどね。彼には自分の危機はわか
らんだろうな…。周囲から客観視出来ていないと言われてしまうゆえんですね。確かにこ
の構図意外と面白いんじゃないでしょうか。俺は面白いと思いました。物語としてはつま
r…物足りないのですが

前半の文章にリズムを感じてそこに惹かれました
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 04:40:52.58 ID:UA5RSYZJO
>>52
最近とくに過疎ですからのぅ


感想つかない→投下しづらい→さらに過疎とか渦巻現象怖い
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 06:17:56.61 ID:aCbMkZCAO
☆ゅ
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 06:23:50.12 ID:GFYnUE3Z0
   ∧,,∧
  _(´・ω・)_   寝ていませんがおはようございます。
 |≡(∪_∪≡|  第188回ならびに189回の週末品評会、編集完了致しました。よろしければご利用下さい。
 `T ̄∪∪ ̄T 連休も二日目、良い一日をお過ごし下さいね。
  ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 07:02:09.21 ID:Sw8sT3kzO
お疲れさま

保守

三連休は仕事だぜ
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 10:01:39.54 ID:rHm4LlwVO
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 10:48:41.37 ID:PdmpcLl20
猫さんお疲れ様です!


品評会間に合うだろうか……
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 11:07:36.76 ID:Tc4/IeVB0
品評会投下します
62ふくろうの静脈 (1/5) ◆QIrxf/4SJM :2009/11/22(日) 11:09:10.17 ID:Tc4/IeVB0
 31 Oct. 09 , 12:51
 ぱたんと本を閉じた時、彼に与えられた残酷な仕打ちに対して、静かに怒りを覚えていた。子供は残酷だ。
けれどその残酷さが向けられるべきは、地面に巣食う蟻や、風に揺れる稲穂でなくてはならない。彼らは総じ
て、本当に優しいのだ。気付かせてくれる。僕らのために、いつもにこにこしてくれていて、時には泣くかも
しれないけれど。彼らがとても羨ましい。もしも僕が彼らのような姿のままであったのなら、今、こんなふう
に思うこともない。一体どうして、僕は男として生まれてきてしまったのだ? もちろん、誰とでも寝るよう
な女の子は好きさ。ジュテームとかそういう意味でも好きな女の人はもちろんいる。けれども、自分がどうで
あるかを知るたびに、たまらなくイヤになるのだ。青い逆三角形よりも、赤い三角形を望む。そっちのほうが
いいや。僕がとりわけイカれているわけではないはずだ。百万人いれば、十二万人くらいはこんな悩みを持っ
ているものだと思う。
 何もしたくない。意味の無いことばかり。僕みたいな低血圧な人間は、おとなしく何もしないでいるのが一
番なのだ。
「可愛い!」と姉貴が言った。
 まねきねこダックのCMソングを歌いながら、姉貴がきゃっきゃと騒ぐ。彼女のこういうところは、心底羨
ましいなあと思う。
 それにしても、かむんとにゃんにゃんじゃなくてよかった。友達が、友達が佐々木希とヤったらしいで! 
なんて言っていたからだ。可愛い子なんてそんなもん。たまらなく好きになるね。だいたい、踊りだすなんて
商売でもなきゃやってられないことだ。そんなふうに思ってしまうそういうところが、どうしてもイヤだった。
 僕はため息を吐いた。
 姉貴の見ていたバラエティ番組は、本を読んでいる間にしばしの休憩に入ってしまったらしい。
「同感」
 こども店長、かつお武士――短いビデオクリップを時々目にして、胸の内をほくほくさせながら、二人であ
ぐらをかいてテレビを見ている。ちゃぶ台に手を伸ばすと、梅干の沈んだ玄米茶を飲んで、くふっと言う。
 姉貴は電気カーペットの上に横になって、キャンディアゴーゴーで買った体に悪そうなキャンディとかグミ
をつまんでいた。
「今から見てもついていけそう?」
「いけるいける」と姉貴は言った。「だって、画面の左上に何してるかとか書いてあるしね」
「ひとつちょうだい」
「暇な男子に飴をあげよう」
 姉貴から受け取ったのは、オレンジ色で、コーラの瓶の形をしたソフトキャンディだ。いかにも作り物って
63ふくろうの静脈 (2/5) ◆QIrxf/4SJM :2009/11/22(日) 11:09:55.00 ID:Tc4/IeVB0
感じの味がする。
 キャンディの味が残った口で玄米茶を飲むと、思わず顔をしかめてしまった。
「つまんない」と姉貴は言って、テレビを切る。
 アンプのリモコンで入力をCDに切り替え、僕は煙草を吸おうと思って、姉貴のシガーケースを開いた。
 一本抜き出して、火をつける。
「残り少ないんだから」
「あとで買ってくるよ」
「はいはい」
 煙草は味とかそんなものはあまり関係がなくて、吸い慣れたものが望ましい。百年くらい吸い続ければ、た
ぶんエコーだって好きになる。僕たちはパパの書斎にあるデスクの上のかたつむりに差し込まれた二十数本の
ハイライトのうち、一本をこっそりと盗み出してくわえてみたりしていたのだ。そんなわけで同じ煙草を吸っ
ているから、ときどきちょっと便利に姉貴を使える。
 書斎といえば、隠されたいやらしいものを探して、我らが仲間たちは潜入を繰り返したものである。どうし
てあんなに金をかけていたのかわからないが、やたら高くて重そうなターンテーブルとかもあったりして、こ
の先っちょってダイアモンドなんだよ、えっあたしほしいなっ、いいよ持って帰りなよ、あっ壊しちゃった――
なんてこともしてたのだ。
 もう随分と歳を取ってしまったから、昔みたいに何の垣根もなくごっちゃごちゃになって遊ぶことなんてで
きない。そういえば夕ちゃんの部屋にはふかふかのベッドがあって、ぴょんぴょん跳ねながら一回転のひねり
を加えたり、きゃあと言ったりしたものだ。だから、だれか、せめて話をしてくれないか。とってもくだらな
いことかもしれないけれど、裏に集まって遊んでいたあの時みたいに、せめて話がしたい。
 くしゃみをしたら、急に我にかえったような気がする。
 いつまでも、どんなに歳を取ったとしてもせいぜい十七歳くらいで止まるだろうなんて考えていたのに、今
じゃ煙草とか、酒とか、なんでも楽しめる人間になってしまった。昔々想像していたことは、ほとんど実現し
てしまったのだ。おぞましいことに、競馬では三百円もすっている。携帯料金、光熱費、自分で働いた金で払
うなんて、ちょっとありえない。
 姉貴はユーチューブで外人のわけのわからない動画を見ている。
「かわいー!」なんて言いながら、バドワイザーのwassupを向こうの少年少女が真似をしている動画を見てい
るのである。「わざーっぷ」
「うざーっ」僕は煙を吐きながら舌を出して答えた。
「乗ってくるなんて珍しい」姉貴も片目をつむって舌を出す。
64ふくろうの静脈 (3/5) ◆QIrxf/4SJM :2009/11/22(日) 11:10:52.47 ID:Tc4/IeVB0
 姉貴はわかっちゃいない。僕はワザーではなくウゼーと言ったのだ。
 正直言って、ハイライトはすごく苦い。香りとかそういうのはよくわからない馬鹿になった舌だから、そん
な風に感じるのかもしれないけれど、同時にある種の安心感みたいなのを感じるのだからやめられない。ニコ
チン依存症というよりは、憂愁みたいなやつだ。
 一日中読書している予定が、すでに一冊読み終えてしまった。やることもなくて、本当に暇だ。だけど、そ
こで何もせずに昼寝したり、だらだら過ごして今までやってきた。昔みたいになれる日が、いつか来るだなん
て信じているわけじゃないけれど、いつのまにか今の自分みたいになってしまったのだ。疲れた、という魔法
の言葉はいつになっても僕を突き動かさない。
「あと三本しか無いじゃん」姉貴は煙草を取ろうとして頓狂な声を上げた。「買ってきなさいよ。どうせ暇なんでしょ」
 僕は半分くらいになった煙草を灰皿に押し付けた。このまま彼女を放っておくことの方が面倒であると判断
したからだ。
「わかったよ。ちょうど紀伊国屋にも行きたかった所だし」
 コーラを飲んで、ショルダーバッグを探し出す。財布だけをその中に突っ込んだ。寒くないようにパーカー
を羽織って、玄関で靴を履く。新宿へと向かうためのJR線は、歩いて十分くらいのところにある。下を向いて、
あるはずのない犬のフンを警戒しながら、アスファルトを踏み鳴らすのだ。
 京王線のホームにはでっかいポスターが張ってある。ずうっと歩いていて、最前列の車両に乗ろうと思った
のに、思わず足を止めてしまった。趣味の悪いおじさんが、ちょっとかっこよさげな顔をして、je t'aimeな
んてラテン語(?)のわからないフキダシ。あたしに向けられたものじゃないってことは分かっているのだけ
れど、なんとなく目をそらすこともできなくて、じっと見ていた。
 小ぶりなダッフルコートのポケットから、手鏡を取り出して自分の顔を見る。それはどうってことない。
これから喫茶店に入ってカフェオレを飲んで、冷めてしまう前に店を出るような無駄なことばかりしようと思
っているのだ。ちょっとやそっとのことで、取り乱したりしないさ。
 新宿はわりと好き。風が吹いて電車が入ってきたので、いつもどおりの没個性な駅員さんの声を聞いて、ワ
ンツーステップで闖入する。駆け込み乗車はおやめくださいなんて、言わないでよね。
 ガラガラの京王線は五分くらいで新宿に到着した。とりあえず南口へと向かったところで、実は何かおかし
いことが起きているんだということに気がついた。ほとんど人がいないのだ。たぶん、これから花火大会でも
あるのだろう。まだ明るいしちょっと寒いけれど、花火はいつ見たって悪いものじゃない。花火は見るものじ
ゃなくて、聴くものだからだ。
 誰もいないので、とりあえずタワレコかHMVにでも行こうかと思っていたところで、正面から歩いてくる人
影を見つけた。
65ふくろうの静脈 (4/5) ◆QIrxf/4SJM :2009/11/22(日) 11:12:42.78 ID:Tc4/IeVB0
 こんな不思議な時に、出会ってしまう男の人っていうのは、たいてい運命の人だ。でかい柱にもたれかかる
と、あたしは右手に息を吹きかけて、歩いてくる人影に関係ないふりを装う。携帯電話をいじるふりをしなが
ら、横目でちらちらと様子を伺う。
 彼が近くに来た辺りで、ケータイを落とした。それはちょうどよく彼の前にまで滑っていく。
 彼はケータイを拾い上げて、あたしにくれた。
「落としましたよ」
 わざとね、なんて言葉はもちろん口に出さない。左手の人差し指を唇にあてて、脇を締めて前かがみになる
と、右手を差し出した。「ありがとうん」これが、あたしなりのおしゃま戦法である。
「きみはもしかして、」と彼は言った。「夕ちゃん!」
 あたしは、その喜ぶ顔をまじまじと見た。だんだんと記憶がよみがえってきて、顔の認証が完了する。けっ
こう前、彼とはたくさん遊んでいたのだ。
「久しぶりだね!」
「何してるの?」
「暇してるの」
「僕も」
「まだ笹塚に住んでたんだね。きみもフリーターか。イヤになっちゃうよね。世の中さ」
「あたしはそんなことないな」
 なんていいながら、あたしはハンドバッグの中からガムを取り出す。
 あのガムを噛んだら、お口の恋人、可愛くてやたら耳につくメロディが流れ出す(ような気がする)。
「暇そうなキミにガムをあげる」
 お菓子を差し出されたら、普通はうれしそうな顔をして受け取るものだ。けれど、彼はにっこりと手を伸ば
しながら、ガムに触れた瞬間に手を引っ込めた。そして、何かに気づいたかのように後退ったのだ。
「や、やめてくれよ。僕は、佐藤の健くんみたいには」
 笑っちゃう。あたしはこの踊りだしたい衝動を抑えたりしない。
 じいっと彼はあたしを見ていたみたいだ。衝動との葛藤。誰だって、踊りたい! って気持ちに素直になれる。
「ほらほら、そういうのがいけないんでしょ、自己嫌悪でしょ、そうやって悩むんでしょ? どうだっていい
じゃない。本当は好きなくせに」
「こんな、いい年をして、」
「今は誰もいないし」あたしは言葉をさえぎってやった。「馬鹿みたいに声を張り上げて、立ち向かうこと
だけがそうじゃない。ほら、すぽんって音がするよ。そうしたら、せずにはいられないんだ」
66ふくろうの静脈 (5/5) ◆QIrxf/4SJM :2009/11/22(日) 11:13:52.07 ID:Tc4/IeVB0
「せずにはいられない?」
「そういうやつのことさ」
「僕も、佐々木希ちゃんに」
 どうなろうと、あたしの知ったことじゃない。一方通行の路地で信号待ちをしていた車のタイヤの下に、拾
ったビー玉を置いたことになんか、深い意味なんて無いのだ。ちょっと、割れたりしないかな、なんて好奇心
に身を任せて、なんとなく置いてみた。それだけのことだ。あの時はたしか、怒鳴られてしまったけれど。
「見てなさいよ!」とあたしは言った。「新宿、しんじゅく、シンジュクー!」
 かむんとふにゃんふにゃん――あたしは思わず踊りだした。
 彼は踊っているあたしを見ながら、口をぱくぱく動かしている。
 踊り終えたところで、あたしは彼にガムを差し出した。思わず一枚とってしまったのが運のツキ。何回でも
踊ってやるのさ。
「ああもう!」
 そうやって、誰もいない新宿駅の南口で踊っていた。
 改札から、大量の人間どもがなだれ込んでくる。
 どいつもこいつも魔女とかそういうたぐいの仮装をしている。そういえば、今日はハロウィンだった。
 彼らは好奇心の目でこっちを見、囲うようにして人だかりを作る。こんなときに人が増えるなんて、不思議
なこともあるものだ。仮装大会が終わったのかな? そんなことはどうでもよくって、ひとしきり踊り終えた
ら、近くを歩いていた人にガムをあげた。
 すぽんっ。
 踊りがまた一人に伝染する。短い踊りが終わったら、今度は六人、十二人、二十四人、かむんとふにゃんふ
にゃんふにゃんにゃにゃんふにゃん――。
 新宿は、いまやロッテの手に堕ちた!
 だけどそんなのカンケーないこと、こっちはやりたいことやってるんだよ。やめられない止まらない、だか
らやめないし止めないのだ。
「ねえ、うちくる?」上気しながらあたしは言った。「笹塚のお風呂屋さんといえば、あたしんちよ」
「トランポリンみたいなベッドは?」
「あるよお!」
「にゃんにゃんしたいなあ」
 彼はあたしの家の前に立って、トリック・オア・トリートなんて言うかもしれない。
 そうしたら、すぽんっ、なんて音がしたりしてね。
67 ◆QIrxf/4SJM :2009/11/22(日) 11:14:43.48 ID:Tc4/IeVB0
いじょー熱血について考えてみたのでしたー
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 11:52:36.61 ID:jrqeEGBAO
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 12:26:46.10 ID:eKi1K+s/0
ほしゅー
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 12:34:47.44 ID:n4RtPnr90
なにかお題を
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 12:50:39.09 ID:/99tx5OmO
お題をお願いします。
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 12:53:11.59 ID:Sw8sT3kzO
>>70
平日
>>71
休日
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 13:05:36.29 ID:ns0RaMuR0
age
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 13:50:09.44 ID:vtMST7KcO
あげ
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 14:50:28.54 ID:bcZ0UKC40
あぶぶ
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 15:37:34.81 ID:bcZ0UKC40
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 15:39:23.76 ID:4aPDG2WyO
いやー書いた書いた。
そしてこれから地獄の推敲だー

保守
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 15:46:13.81 ID:bcZ0UKC40
俺は現時点でアイディアすらでていない^p^
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 16:17:49.64 ID:vtMST7KcO
あげ
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 16:55:39.69 ID:bcZ0UKC40
だし
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 17:05:23.13 ID:tezUmpGsO
なんだと?!まだ二作だと!いかんな、少ないのは非常にいかんよチミー。
残り時間もあまりないけど早速書いてこよう、数が少ないと寂しいからねぇ、うぉっほん。
今回こそ少ないようだな…………ドゥフフ……優勝じゃあーん……
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 17:08:47.68 ID:eKi1K+s/0
うわあああ! 品評会忘れてたー!
あああと何分!? 何分!?
だっ……誰かー! 誰か!
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 17:09:15.24 ID:kiA0fQRN0
今からネタを考える
〆切に間にあったら褒めて〜
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 17:33:25.60 ID:UA5RSYZJO
そこにシビレて憧れてやんよ
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 18:09:51.18 ID:JaswZzkG0
保守
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 18:26:54.11 ID:tezUmpGsO
な!?よく見たら品評会もう4つも来てるじゃねぇか!しかも常連がいやがるだと!?
しまったぁああああこぃつあ適うわけないぜーーうわああああ逃げろおおうおおおおおおおお

やっぱスポーツ物少ないな。うんbnskっぽいな、実にbnskっぽい
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 18:46:46.69 ID:UA5RSYZJO
規制者スレより1レス転載いたします


 306 名前: ◆hAKnaa5i0. []
2009/11/22 17:59:00:20 ID:NAxDbRxu(2)
品評会投下するよ
88ねっけつたろう1/1 ◇hAKnaa5i0.:2009/11/22(日) 18:48:07.41 ID:UA5RSYZJO
 むかしむかしあるところにねっけつたろうがいました。
 ねっけつたろうはねっからのねっけつかんなので、みんなからうざかられていました。でも
ねっけつたろうはもちまえのねっけつせいしんで、あんまりきにしてませんでした。
 そのことがさらにねっけつたろうからしゅういのひとびとをとおざけることになってしまい
ました。ねっけつたろうはうざいうえにくうきがよめないひととおもわれてしまったのです。
 それでもねっけつたろうはねっけつをつらぬいていきていました。

 あるとき、となりのくにでしんがたいんふるえんざがまんえんして、こくみんたちはいろん
ないみでいきるきりょくをなくしていました。
「こういうときにむだにげんきでからさわぎしてくれるようなやつがいればいいのに」
 おうさまはそうおもいました。
 ねっけつたろうはおうさまのきたいにこたえられるにんげんでしたが、ねっけつたろうはと
なりのくにのにんげんだったので、おうさまはたろうのことをしりませんでした。
 ねっけつたろうも、ほかのくにのことをしらなかったので、しゅういのひとたちにうとまれ
たままでした。

 やがてとなりのくにはこくりょくがおちてしまいました。かわりにねっけつたろうのくにが
ちいきのぼうえきのちゅうしんとなってはんえいすることになりました。
 はってんとじょうのくににあって、ひとびとはみんなねっけつたろうをそんけいするように
なりました。みんなたろうのように、げんきにあかるくかつどうてきにせいかつをすること
を、おてほんとするようになったのです。たろうはうれしくおもいました。
 ところがみんながねっけつかんになると、たろうのねっけつがめだたなくなりはじめまし
た。たろうはいつのまにかみんなとおなじになってしまい、とくにそんけいされたりてほんに
されたりすることもなくなってしまいました。
 けれどもたろうはうまれつきのねっけつかんなので、そんなことはきにせずいままでどおり
ねっけつをつらぬきました。

 たろうがしんだとき、もうだれもたろうをねっけつとはよびませんでした。そのひ、となり
のくにではせきゆがはっくつされたのですが、となりのくにのことなのでたろうのしゅういの
ひとびとはなにもしらずに、ふつうのたろうのしをかなしんでいました。
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 18:49:05.82 ID:UA5RSYZJO
てんさい が おわった よ
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 18:51:34.95 ID:QlMOqb000
いい働き
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 19:02:23.58 ID:YQnKSLFS0
ここに来ればお題がもらえるってばっちゃが言ってた
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 19:05:44.80 ID:vtMST7KcO
転載おつ

>>91
転倒
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 19:08:41.66 ID:YQnKSLFS0
 去年眠るように亡くなった私の祖父は、今生の別れの際、周りを
グルリと囲んだ私たち親戚一同を、見回すとその枯れ木のように
細くなった腕を私に差し出した。
「なに? どうしたのじいちゃん」
 幼いころから爺ちゃん子だった私は、それだけで涙が溢れそうに
なったが、他の親戚のことも考え、グッと涙をこらえた。
 良く見ると、祖父が細かく震える口を懸命に動かし私に何かを
伝えようとしているようだった。
「なに? 聞こえないよ爺ちゃん……」
 もう限界だった。ボロボロと私は涙をこぼしながら、祖父の口元に
耳を近付けた。
 祖父はこう言っていた。


「把握」
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 19:34:51.46 ID:vtMST7KcO
あげ
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 19:48:01.67 ID:eKi1K+s/0
キャッチャー
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 20:08:52.43 ID:jrqeEGBAO
ほす
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 20:35:19.75 ID:vtMST7KcO
ライ麦畑の保守
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:00:14.47 ID:kNqHkht2O
お題くだしあ↓
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:00:50.71 ID:eKi1K+s/0
ふさふさしっぽ
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:03:55.00 ID:kNqHkht2O
>>99
把握しました
JIN見ながら考えよう…
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:05:07.20 ID:ArEDujjO0
週末品評会190th『熱血』投稿作品まとめ
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1258890803/

No.01 英雄物語と魔女 ◆LgwUmN0nkwxU氏
No.02 君と11秒 ◆zH52hPBzFs氏
No.03 引っ込み思案な僕 ◆Lq1ieHiNSw氏
No.04 ふくろうの静脈 ◆QIrxf/4SJM氏
No.05 ねっけつたろう ◆hAKnaa5i0.氏

以上五作品アレ済み。
アレよろしく。
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:15:43.09 ID:rHm4LlwVO
まとめ乙でーす
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:32:54.25 ID:8Sqtw69TO
お題下さい
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:33:04.15 ID:4aPDG2WyO


105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:35:24.59 ID:8Sqtw69TO
>>104
「テスト」ですか……
わかりました
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:49:50.60 ID:7hh5tEGUO
具体的なお題おくれ
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 21:53:26.85 ID:bcZ0UKC40
>>106
メルカトル図法の問題点
108血を繋ぐ 0/5 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 21:54:05.13 ID:4aPDG2WyO
品評会5レス投下します
109血を繋ぐ 1/5 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 21:55:04.92 ID:4aPDG2WyO
 まだあまり年季の入っていないベッドなのに、すごい音で軋む。背中から勢いよく倒れ
こんだからだろうか。
 いや、正確に言うなら「押し倒された」だろう。僕は、ベッドに押し倒された。他でも
ない、僕の姉さんに。
 決して大きいわけではないが、形の整った姉さんの胸。大胆ではないが、それをきっち
りと主張する、胸元が広めに開いた姉さんのシャツ。
 姉さんは僕を組み敷いているのだから、必然的に四つん這いになっているはずだ。だか
ら、下を向いたらノーブラの姉さんの胸が見えてしまいそうで、それができない。気恥ず
かしさで前も向けなかった。
 しかし、これだけ僕の逃げ場を奪っているのに、姉さんはまだ何もしてこない。何かを
期待しているわけじゃないけれど、僕だけ何もできない状態で放って置かれるというのは、
なんだか不公平だ。
 長い間が僕をゆっくり狂わせていくのがわかる。
 自然と指を絡ませあった手。布一枚隔てることなく触れ合っている脚。きっと姉さんの
目は潤んでいるだろう。
 いくら考えても、理性と本能が別々のことを言っていて、結論が出ない。とても興奮して
いるのに、それを他人事のように醒めた目で見ている僕がいた。
 そして、たっぷりとした時間の後、姉さんはうわ言のように、僕の名を呼んだ。

 普段の姉さんは優しくて、世間一般の言う「理想の姉」に限りなく近い、まじめな人だ。
僕はずっとそんな姉さんにべったりだった。
 幼稚園の頃は父さんも母さんも働きに出ていたので、学校帰りの姉さんが迎えに来てく
れていた。
 おーい、と僕に手を振る姉さんをよく覚えている。しっかり手をつないで帰って、家で
一緒に遊んだ。
 小学校に上がる歳になって、友達ができるかどうか不安で泣いていたとき、姉さんは
「きっと大丈夫だよ」
 と、頭をなでてくれた。
110血を繋ぐ 2/5 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 21:56:12.92 ID:4aPDG2WyO
 無事に友達ができて、その友達と遊んだり帰ったりすることが増えても、姉さんと一緒
に帰る日は必ずあった。一度だけパピコを分けあって食べたのが印象に残っている。
 中学生にもなると、姉さんも僕と距離を置くようになったけど、勉強で困ったときに相
談すれば、
「しょうがないなあ」
 と言いつつも、丁寧に教えてくれた。
 勉強だけじゃなく、恋の相談を持ちかけたこともある。そのときは、姉さんもさすがに
困った顔をしていたけど、やっぱり最後には助言をくれるのだった。
 実際、僕の初恋の相手は姉さんだ。姉さんが小学校六年、僕が四年のとき。
 姉さんが委員長をしている委員会にわざと入って、一緒に仕事をした。でも、弟だから
ってひいきは全くなくて、その一年間はほとんど雑用をやらされただけ。
 だけど、そのときの姉さんは下級生に的確に指示を出していて、とても格好よかったん
だ。多分そういう普段と違う面を見て、好きになったのだろう。
 今でも姉さんのことは好きだ。ただ、それが姉弟としての好きなのか、異性としてのそ
れなのか、人間としてなのかは、今になっても分からずにいる。

 恐る恐る前を向くと、姉さんは少し潤んだ瞳でじっと僕を見ていた。考えてみれば、姉
さんの泣きそうな顔なんて、これが初めてなんじゃないだろうか。
「私、どうしていいかわからなくて……」
 とうつむく姉さんに、かける言葉は思いつかなかった。きっと、受験勉強の疲れが出て
いるんだろう。誰しも流されることはある。何もしないのなら、そういうことにして、姉
さん自身のためにも早く開放して欲しかった。
 不意に、姉さんが僕の上からいなくなる。願ったのが通じたのかと思ったけど、右手は
放しはくれなかった。ベッドは一人用の狭いものだったから、自然と肩が触れ合う。
「ねえ」
 と言い、姉さんはひとつ鼻をすする。
「私のこと好き?」
 そう続けた姉さんは、手を握る力を少し強めた。
 だけど、そんなことをされても、僕は困る。姉さんとそういう関係になりたいと思って
111血を繋ぐ 3/5 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 21:57:09.20 ID:4aPDG2WyO
はいるが、それは飽くまで願望であって、叶うべきではないのだ。
「姉ちゃん……」
 わざと昔の呼び方で読んで、それから手を握り返した。
 姉さんに預けるよ。姉さんが好きだし、姉さんがしたいこと、してもいいよ。結論が出
せないから。そう言ったつもりだ。我ながら卑怯だと思う。
 だけど、姉さんは自嘲して、
「私、卑怯だね」
 と言った。
「私きっと、男の子なら誰でもいいんだよ。勉強勉強って毎日頑張って、先の見えないこ
として、他の人がうらやましくて」
 手の甲に姉さんの爪が少し食い込む。
「褒めて欲しいんだ。早く、頑張った結果が欲しい。折れそうだよ。慰めて欲しい。誰で
もいいから!」
「でも」
 僕は遮るように、大きな声で言った。
 僕は、形はどうあれ、姉さんに選ばれたのだ。憧れの姉さんが、弱っているときに、そ
ばにいてもいい。それは、幸せなことだ。
 そして、姉さんが驚かないかびくびくしながら、ゆっくりと姉さんに覆いかぶさる。

「姉さん……」
 手を握り返す。爪を立てないように、優しく。姉さんは、爪が立っていたのが分かった
のか、力を緩めてくれた。
 理性なんて、もうどうでもよくなっていた。さっきまであれほど逃げる方策を考えてい
たのに。そう考えると、なんだか滑稽だ。
 そして、なし崩しのまま唇が近づき――
「あ、鼻血」
「えっ」
 唐突に我に返らされた。
 それも始めは半分冗談くらいに取っていたけれど、鼻筋まで垂れた血が冷えて、だんだ
ん本当になった。ムードがガラガラと崩れる音が聞こえた気がした。
112血を繋ぐ 4/5 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 21:58:04.10 ID:4aPDG2WyO
 血を見るのなんて久しぶりだ。それが自分の血だろうと汚く感じるし、少しめまいもする。
 とりあえずティッシュを探そうとしたのだけど、姉さんが手を放してくれないので、そ
うはいかなかった。
「ひっくり返って」
 と姉さんが言うので、その通りにしてみる。再び姉さんが上、僕が下になった。
「動かないでね」
 と言うと、姉さんは顔を近づけてきた。ファーストキスが血の付いた唇でなんて、絶対
嫌だ。
「まさか、キス……」
「それは後でね」
 そう言っていたずらっぽく笑うと、姉さんは舌を出し、僕の鼻筋を、そこについている
鼻血を、ゆっくりと舐めた。
 あまりの事態に、思わず全身が強張る。舌のざらざらが、じゃりじゃりと僕の口髭を逆
撫でていくのに合わせて、つま先から頭の先まで、びりびりと電気が走った。
 口を動かすと姉さんに触れてしまいそうだったので、口を閉じて「汚いよ」と訴える。
 だけど姉さんは、
「いいのよ」
 と言って取り合ってくれなかった。
 鼻の穴や唇の先も少し舐めたあと、姉さんは体を起こし、舌を口にしまって、ちゅくちゅく
と水っぽい音を立てた。あの中で、僕の血と姉さんの唾液が混ざり合っていると思うと、
恥ずかしさを覚えずにはいられない。
「あ、きれいになったからね」
 思い出したように姉さんが言う。継いで、
「酸っぱくて、苦くて、おいしかったよ」
 と感想を言ってくる。
 うふふと笑う、恍惚の混ざった姉さんの表情は、初めて見るものだった。姉さんはいつ
も笑っていたから、泣きそうな顔も新鮮だったけれど、こんな笑顔は見せてくれたことは
なかった。当たり前だけど。
「それと、熱くなかったんだけど、熱かったよ」
113血を繋ぐ 5/5 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 21:58:57.81 ID:4aPDG2WyO
 流れ出た血は、熱くはないはずだ。だけど、熱いと感じる。それは、僕の血が今滾って
いるせいかもしれないし、姉さんの興奮のせいかもしれないし、僕らの血が繋がっている
からかもしれなかった。本当のところは分からない。でも、分からないくらいが丁度いい
んだと思う。
「ねえ、キスしたい?」
 姉さんが僕に問う。
 僕は少し逡巡してから、うなずいた。
「鼻血舐めた口だけど、いいの?」
 今度はすぐにうなずく。
 確かにそうだ。今僕の鼻血を舐めた口。だけど、それは汚れたわけじゃないと思う。
むしろ、清めの儀式が終わったあとのような、そんな清浄さを今
は感じていた。
「それじゃあ」
 そう言って姉さんは僕の手を引っ張る。ごろん、と転がって、また僕が姉さんの上になった。
 そして姉さんは、唇を突き出しもせず、目を閉じた。
「僕の好きにしていい」
 と無言で言ってくれているような気がする。それがどこまでも姉さんらしくて、愛くる
しくてたまらなかった。
 だけど、そんな衝動をちょっとだけ我慢して、僕は姉さんの耳をちろりと舐めた。
「ひゃうんっ」
 かわいい声と同時に、姉さんは体を痙攣させた。跳ねる、とまではいかないけれど、
予想外の事態にびっくりしたのがよく分かった。
「さっきの仕返しだよ、姉さん」
 そう告げると、姉さんはばつが悪そうに微笑んだ。僕も少し笑った。
 そして、僕も今度こそ目を閉じて、姉さんの唇に自分の唇を重ね、全身を預けた。
114 ◆IL7pX10mvg :2009/11/22(日) 22:00:11.01 ID:4aPDG2WyO
以上です。

>>105さんすいませんでした……
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 22:08:39.18 ID:ArEDujjO0
週末品評会190th『熱血』投稿作品まとめ
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1258890803/

No.06 血を繋ぐ ◆IL7pX10mvg氏

上に同じ。
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 22:13:42.02 ID:bcZ0UKC40
品評会投下します
117みにつまされて 1/2 ◆iJ0zGiZAjY :2009/11/22(日) 22:14:35.31 ID:bcZ0UKC40
 寒い日だった。それは秋の最後の日で、冬の最初の日のような寒さだ。天気は良くない。今にも堰が切れそうな灰
色の空を背景に、少女は学校の屋上に立っていた。風になびく髪は、濡れた鴉の羽みたいな色合いで少女を押し包ん
でいる。
 一瞬、風が止んだ。そして、促されるように彼女は屋上の縁へ歩き出した。スカートがめくれるのも気にせず、柵
を乗り越え深呼吸。少女が意を決して身を投げようとしたその時、勢い良く屋上の扉が開き、少年が入ってきた。
「ふいー、よっしゃ! 誰も居ねえな」
 少年は、少女のことなど全く気付かない様子で独り言をのたまった。注意力散漫どころの騒ぎではない。頭から大
事な何かが抜けているようだ。少年はそのまま、抜群の身体能力で貯水槽にひょいひょいとよじ登った。
 腕を組み、足を肩幅よりやや大きく広げ、燻っている夕日を鋭くねめつける。
「へへっ!」
 少年は、ニヤリと口元を歪め、拳を握り、意気揚々と大きく息を吸って――
「寒ふぅう……」
 威力を削がれた。何かを叫ぶつもりだったが、大気で肺が冷やされたようだ。一部始終を見守っていた少女は、危
うくずっこけて足を踏み外しそうになった。
 そんな少女の様子などいずしらず、少年はピシャリと頬を手で叩き、気概を込めて今度こそ叫んだ。
「あーした天気になーーれっ!」
 ただそれだけを言って、少年は帰っていった。
 その様子を見ていた少女は「世の中にはああいう人もいるんだな」と逡巡して、死ぬことが馬鹿らしくなった。そ
して溜め息を吐きつつ、柵に手を掛けて戻ろうとしたその時、再び屋上の扉が開いた。
「うおおお、超さみい……ってえええおおおいいいどういうこったああ、そこのおぜうさんよ! 何をする気で!?」
 次に入って来た別の少年は、少女の姿を見つけるなり焦りだした。
 さて、対する少女は心の中で「うわ、面倒くさそうな奴が来たし」と呟く。既に死ぬ気は無いが、入って来た別の
少年は、少女の置かれた状況を大きく勘違いをしているようだったからだ。
「やめろっ! やめるんだっ! はやまっちゃあいけないよ!」
「あの、放っておいて下さい。別に死ぬ気はありませんから」
「ええええ、そりゃ嘘だろぉおお! じゃあ、何でそんな所にいるんだぜ!?」
 少女は返答に窮した。最初は死ぬ気だったけど、変人の行動を見てたら死ぬ気が失せた、なんて言えない。
「それはもう、風を……肌で感る為……」
 厳しい言い訳だ。
118みにつまされて 2/2 ◆iJ0zGiZAjY :2009/11/22(日) 22:15:19.18 ID:bcZ0UKC40
「おぜうさん、もしかしてアンタ、病院行った方が良いかもしれない系の人かな!? まあいい、待ってろ! 今助
けてやるからな! 動くなよ、絶対にそこを動くなよおおおっ!」
 少年の、人をコケにしたような言い分に少女はカチンときた。そして彼女の脳裏に、少年を困らせてやろうという
邪な考えが浮かぶ。
「近寄らないで。それ以上近寄ったら飛び降ります」
「ちょ、待った待った! 分かった、分かったから! 落ち着け、落ち着くんだ!」
 大袈裟にたじろぐ少年の姿を、少女は面白おかしく眺める。
 だがそんなやり取りをしているうちに、校庭にはちょっとした人だかりが出来つつあった。屋上の縁に立つ少女の
姿を目撃した何人かの生徒が、職員や警察に連絡したからだ。
 何かがざわつく雰囲気を感じ取った少女が振り返ってみると、もの凄い野次馬が出来上がっていた。少女は驚愕し
た。
 ややあって、早々と駆けつけた警察の集団が屋上を占拠し、少年と少女を囲む。
「落ち着いて我々の話を聞くんだ。君はそこで何をするつもりだい?」
 警察の一人が言った。少女は迷った挙句に、こんなことを答える。
「あの人……」
 少女は人差し指で、少年をさす。そして……。
「全部あの人が悪いんです! あの人のせいでこうなったんです!」
「え? ええええええ!? 俺ええええええ!? 嘘おおおお! 俺のせいだったのおおおお!?」
 しかしまあ、少年のおせっかいのせいでこうなったのだから、少女の言葉はあながち間違ってはいない。
 
 その後、少女は無事保護され、少年はこってりと『身に覚えのない事情』を聴取された。
 割合に、馬鹿をみやすい人間がいる。不器用なくせに人助けをしようとする奴ら。そんな話。
119 ◆Mulb7NIk.Q :2009/11/22(日) 22:17:19.45 ID:bcZ0UKC40
以上です。あれ?酉の仕様変わった?
もしかして名前欄の最後にスペース入ってたか
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 22:18:31.73 ID:bcZ0UKC40
ごめんなさい、酉ミスってますw
↑はMulb7NIk.Qの方でよろしくお願いします
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 22:25:16.98 ID:ArEDujjO0
週末品評会190th『熱血』投稿作品まとめ
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1258890803/

No.07 みにつまされて ◆Mulb7NIk.Q氏

同上。

122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 22:26:38.92 ID:bcZ0UKC40
確認しました。アレありがとうございます
123 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:45:05.67 ID:APC3pHM+0
品評会投下します
124熱来椎造1/5 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:47:01.05 ID:APC3pHM+0
 ある村に熱来椎造(あつくるしいぞう)なる、たいそうな熱血漢が移り住んできた。「不撓不屈」や、「粉骨砕身」と
いった自己発奮の言葉を座右の銘とし、東に憂鬱あらば親身になって叱咤し、西に躊躇あらば声を張り上げ激励する、隣
村中でもひときわ目立つ男なのだが、どうにも猪突猛進の情熱家は、おしなべて孤立しやすいもので、彼とて例には漏れ
ないのであった。情熱によって、他人が迷惑を被るとなれば、なおさらである。
 所業を挙げればきりがなく、ある時は熱っぽく説教したため、百姓を熱中症に陥らせ、またある時は収穫の際、勢い余
って作物を燃やしてしまい、挙句の果てには他人の家で熱く持論を語った末、火事を起こすなど、とにかく村民にとって
は悩みの種となっていたのだ。熱来自体は体格もよく、勤勉に働いていたのだが、他人が犠牲になっては元も子もない。
村民は諌めにかかったが、当人はいたって馬耳東風で、熱くてなにが悪いと逆ねじを食わせ、持ち前の熱さに拍車をかけ
たものだから、もはやいかんともしがたい。人々は「熱すぎてかなわぬ」だの、「やつの話はくどい」といって疎んじ、
結果、彼が来る以前は暖かかった村が、雁が年中住み着くほど、寒々しい村になってしまったのだった。

 熱来としてみれば死活問題だったろうが、ところがどっこい、状況はむしろ、彼の望むとおりだった。
 ある日、熱来が極寒の湖でワカサギを獲っていると、
「よう、順調か」
 と、声をかける者があった。熱来は彼を見ると、途端に目を燃え上がらせ、両手に持つワカサギを焼き魚にしつつ、
「いやいや、どうしてまた」
 と、言った。その暑苦しさときたら、声を掛けた者が、思わず身じろいでしまうほどである。
「ちょっと様子を見にきたのだ、この調子なら、目的は首尾よく遂行されそうだな」
 と言いながら、あたりを見回すこの男。名前は寒久手良造(さむくていいぞう)という。彼は、かつて村に暮らす者で
あったが、鬱々とし、寒さを好む性分のため暖かい雰囲気に馴染めず、文字通り村八分を食らっていた。後に寒い地に移
り住んだものの、昔覚えた屈辱はなかなか消えず、鬱いだ人間ならばなおさらで、寒久手もまた復讐のため、このたび熱
来を刺客として雇い、村に送り込んだ、という次第なのであった。
 つまり、熱来が寒々しい村にしてしまったのは、彼の、いや寒久手の狙い通りだった、というわけなのだ。
「寒久手殿、ちょうどワカサギが焼き上がりました、いかかです」熱来は、湖を波立たすほどの声で言う。
「いや、けっこう。しかしお主も相変わらず意気軒昂だな、多少、加減してはどうだ」
「いやはや、これは生まれ持っての性分というやつでして」
 正直なところ、寒久手は熱来が苦手だった。理由はいわずもがなであろう。とはいえ、そこはおのが利益のためである
から、渋々付き合いを保っているのだった。内輪話もそこそこに、
「今日はこのあたりで失敬するよ、では、くれぐれも企みを露見せぬようにな」と、寒久手がいうと、
「なぁに、この熱来に頼んだ以上、大船に乗ったつもりでご安心くだされ」と、熱来は返した。
125熱来椎造2/5 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:48:14.82 ID:APC3pHM+0
 湖から離れつつ、寒久手は村の景色を、ねぶるように眺めまわしていた。直接、おのが利益になるわけでもないのだが、
そこは鬱屈した者の特徴で、他人の不幸は蜜の味、とばかりに、寒久手は大変満足そうな表情を浮かべている。このまま
村民は、凶作と雪害をはじめとし、寒さに震える日々に苦しめられるであろう。寒久手は復讐の愉悦を味わい、しきりに
うなづきながら、村を去っていくのだった。
 しかしながら、好事に忍び寄る魔はつきものである。実は二人のやり取りを、枯れた大木の陰にて見守る少年があった
のだ。当然、寒久手が離れるころに去ってしまったから、二人は知る由もない。はてさて、どうなることやら。

 またある日、玄関先で熱来がふんどし一丁で乾布摩擦をしていると、だしぬけに、
「熱来さん、僕を弟子にしてください」
 と、言う者があった。熱来が目をしばたたき見ると、坊主頭のいまだ成人もせぬような少年が立っている。先程話した
少年だ。知らぬこととはいえ、
「俺は、弟子をとるほど成熟した人間でもない。帰れ帰れ」と、熱来は邪慳に扱うのだが、
「熱来さんの情熱溢るる姿勢に感激したのです。どうか僕を一人前にしてください」少年はそう言って引き下がらない。
 信頼こそ想定したものの、よもや師事を志願する者が現れるとは、考えなんだ。もちろん、企みの邪魔になっては困る
から、熱来としては断らざるを得ない。それでも少年はしがみついてくる。あれこれと問答を繰り返すうち、さすがの熱
来とて褒められて悪い気はせぬもので、
「坊主、名はなんと言う」と、訊ねてしまったのだ。
「太郎と申します」
 どうやら敬慕は本当のようであるし、むしろ仲間が増えれば、喧伝の効果が上がるのでないか、と考え、
「特別教えることはないぞ、男は背中を見て何かを感じるものだ」
 と、わけのわからぬ言葉を吐き、また乾布摩擦を始めると、にわかに太郎も上着を脱ぎ、追従する形で手拭いであちこ
ちを摩擦し始めたではないか。寒空の下、裸で立つなど並々ならぬことである。これも悪くはあるまい、と熱来も摩擦に
より一層、身を入れるのだった。
「いいか、恥ずかしいと思うな、熱くなれば人は変わっていくんだ」熱来が滅茶苦茶に言うと、
「はい」と、太郎は大声で応える。
 ともあれ、ここに奇妙な師弟関係が生まれたのだが、これがまさかケチのつき初めだったとは、熱来も思わなんだろう。
乾布摩擦を続けていると、
「大変だ、湖で健二が溺れてら」
 などと大声で触れ回るものがあった。しかし極寒の中、湖に飛び込みなどしては、共倒れになりかねない。となると、
「熱来さん、参りましょう」
126熱来椎造3/5 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:50:16.07 ID:APC3pHM+0
 こうなるのである。いやあ、これはしまった。熱血漢として知れ渡る分には、問題ないが、正義の漢となると、いささ
か厄介になる。とはいえ、弟子の手前、見捨てるようなことがあってはまずい。他人の企みよりも、やはり自分の見栄こ
そ大事なものだ。
 熱来はすぐさま家を飛び出し、湖へと向かった。たどり着くと、よりによって真ん中で溺れているではないか。人だか
りはできているが、誰も飛び込もうとはしない。ええい、まだるっこしい、とばかりに熱来はふんどしのまま、湖へと飛
び込む。手足で水面をしたたかに撥ね打つと、たちまち湖は熱さを帯び、泳ぐにはもってこいの温度となる。熱来はまる
で大魚のごとき所作で健二の許にたどり着き、大丈夫か、と声を掛けると、どうやら意識はあるようで、軽くうなづいて
見せた。人だかりの喝采はいうまでもない。熱来は喜んでいいのやら、困っていいのやら、複雑な心境を抱きつつ、汀へ
と健二を抱え、泳いで行くのだった。

 それからというもの、いかなる巡り合わせか、熱来の下には人助けを求める声が、ひっきりなしに舞い込んでくるのだ
った。ある時は屋根から落ちてきた雪によって、生き埋めになってしまった爺さんを助け、時には病に苦しむ赤ん坊の体
温を保ち、さらにはいたるところの凍ってしまった食糧を、解凍などするものだから、村民の信用は徐々に高まっていく。
太郎はより熱来に心酔し、他にも敬慕する人間が増えたため、にっちもさっちもいかぬ状況になってしまった。
 寒久手が、ゆゆしき事態と見たのは言うまでもない。怒り狂って当たり散らし、
「村中から信頼を集めてどうするのだ、私は相手にすらされなかったというに」
 などと熱来への怒りと、私怨を混同する始末。
「申し訳なく思います。しかし、こう人から応援されると、おのずと気持ちが奮い立ってくるもので」
「ええい、言い訳など聞きとうない」
 寒久手が怒鳴るため、熱来はいつもの威勢はどこへやらと、恐縮するばかりである。
「まあよい」呆れつくしたとばかりに、寒久手は言う。「十分寒気は入り込んだであろう。とあらば、私が直々に出て村
を壊滅させてやろうではないか、雪崩を起こしてやろう」
 初めからそうすればよさそうなものだが、どうにも鬱屈とした者は、おかしなところで小心な者が多いようである。し
かし、村がいまだ危機の只中にあるのは、確かなようだ。

 さて、依然寒さが村を覆う夜のことであった。どうしたことか、雁がきいきいと糸のこを引くようにわめきはじめ、村
民の眠りを妨げたかと思うと、途端に鳴き声は遠ざかり、あたりは嘘のようにしんと静まってしまった。されどそれもつ
かの間、静寂をぶち壊すように、ごお、という怒号がどこからか聞こえてくる。音の方に目を向けると、なんと、山の方
から雪崩が、よりによって、村の方へ向かってくるではないか。それも相当な勢いと見える。当然、村民に逃げる暇など、
ない。
127熱来椎造4/5 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:51:03.79 ID:APC3pHM+0
「熱来、熱来はどこだ」
 村民があちこちで叫ぶと、やはり正義の味方は、都合よくやってくるもので、どこからともなく、
「まかせろ」
 と、雪崩にも負けぬ大声が聞こえ、熱来が勢いよく飛び出してきた。行き先は無論、雪崩の許だ。持ち前の情熱をあら
ん限りに振り絞り、烈火を起こし、どうにか雪を溶かそうとするのだが、
「駄目だ、かなわねえ」
 村民が叫ぶ通り、大波かとも見まがう怒濤の流れのため、さしもの熱来とて太刀打ちが出来ぬ。炎が届く範囲はなんと
かなるが、これでは到底全ては溶かせぬようだ。
 しかしこれもまた、熱来の計略通りなのである。要するに、あえて力を加減しつつ、都合よく自分だけが助かろう、と
いう算段なのだ。熱来が止めるとあらば、村民の逃げ足も鈍るという目論見である。もちろん、雪崩を起こす寒久手もわ
きまえているから、雪崩の勢いを適度に加減していた。このままなら、うまいこと村だけが滅茶苦茶になる。
 とはいえ、一度ついたケチは、なかなか消せぬもので、
「熱来さん、頑張れ!」
 と、叫ぶ者があった。太郎だ。しかもどういうわけか、村中の若者たちもまた、束になって熱来に声援を送っているで
はないか。
「たのむ、熱来」「行け、熱来」「もっとだ、熱来」
 後ろからわき上がる歓声に、熱来は痛し痒しといったところだ。まごまごしているうちに、熱血の性分が首をもたげて
きたのであろう。おのずと体の底から力が奮い立ってきた。筋肉は震え、血は燃えたぎり、脈動が激しくなっていく。こ
うなると炎の勢いは増し、ともすれば、雪崩さえ凌駕するほどに大きくなっていく。
「おい、なにをしているんだ、やめろ」
 寒久手は必死に叫ぶが、炎の勢いはとどまることを知らない。どうやら、当人にすら制御が出来ぬらしい。見る見るう
ちに雪崩は溶けてゆき、あれよあれよと、寒久手は猛火に包まれていく。いかに叫んだところで、収まる様子はない。あ
とは、いうまでもあるまい。

 結局、雪崩はすんでのところで収まり、村が被った損害は、微塵もなかった。策士なんとやら、と言ったところだろう。
ただ、英雄となったはずの熱来は、どこにも見当たらなかった。新たな地に移り住んだだの、自らの熱によって消え去っ
てしまっただの、いろいろ噂は立ったが、熱血漢が村民の前に現れることは、二度となかった。
 されど、救世主の功を労わぬ法はない。村には熱来の銅像が立ち、若者たちは熱血の魅力に目覚め、村はかつての活気
を取り戻し、再び暖かい村へとなった。人々はよく食べよく眠るため、おしなべて体格が良くなり、勤勉に働く者は増え、
作物も年中豊作続き。憂鬱などどこ吹く風、とばかりに村民の交流は絶えず、ひねもす熱い、多少うっとうしくも、素晴
128熱来椎造5/5 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:52:36.20 ID:APC3pHM+0
らしい雰囲気を持つところとして、隣村でも話題に上る村へとなっていったのだった。
 いやはや、とんでもない皮肉もあったものだ。熱くなれば、人は変わっていく。まさに、いつぞや熱来がいい加減に言
った通りではないか。まさか、自分の策が村を良い方向に変えていく、などとは。しかし、なめくじのようにうじうじし
た空気よりも、こちらのほうがよっぽどいいかもしれぬ。となれば、述べることは一つしかあるまい。めでたし、めでた
し。

 はて、何か忘れているような、そうそう、熱来に師事していた、太郎のことだ。案ずることはない。太郎は無事、平穏
な日常を送っている。湖に溺れていた、あの健二の家をのぞいてみよう。
「しかし、大変だったぜ、河童の健二が溺れた演技をするってのは」健二は言う。
「なあに、それで村が助かったから万々歳じゃねえか」太郎はしたり顔で言う。
「だけどよ、ずいぶんとまわりくどい手合いもあったもんだ、はなから雪崩を起こしゃよさそうなもんだが」
 お気づきであろう。太郎は企みを知った上で、熱来に師事し、健二や村のあちこちに助けを借りながら、化けの皮を剥
がしにかかっていたのである。
「それはそれとしてだ」太郎は首を回しながら言う。「まさか村の連中がやつに当てられて暑苦しくなるのは、こっちも
考えていなかったことだな。しかし年がら年中、暑すぎやしないか」
「自業自得とはいわねえが、仕方ねえじゃねえか」
 健二はなだめにかかるが、太郎はどうにも納得いかぬようである。思案に暮れたような顔で、うつむくばかりだ。
「なあ」おもむろに顔を上げたかと思うと、太郎は腹に一物かかえたような声で言う。「地球が温暖化して大変なことに
なってる、なんて方便をいえば、村の連中も涼しくなるんじゃねえかな」
 そんな太郎を、健二はにやついたまなざしで見た。
「無理だろう、誰も信じやしねえよ」
「さよか」
 太郎は溜息をつき、暑い暑いと、襟をはたくのだった。

129熱来椎造5/5 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/22(日) 22:53:23.22 ID:APC3pHM+0
以上です、ではカオスタイムをどうぞ
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:01:00.21 ID:GFYnUE3Z0
        ,∧,,∧     23時を回りました。
        ミ´・ω・ミ    これ以降品評会作品を投下する方は、予約の上指示に従って投下して下さい。
        ,ミ_uuミ    .予約条件は「レス区切りまで終わり、後は投下するだけ」の状態であること。
 ⊂二´⌒ つ´・ω・)つ   予約締切は23:30、規制中の方はまとめ掲示板の方へお越し下さい。
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
                では、どうぞ。
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:05:59.80 ID:ArEDujjO0
週末品評会190th『熱血』投稿作品まとめ
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1258890803/

No.08 熱来椎造 ◆VrZsdeGa.U氏

アレ。



>>130
久しぶりにおつにゃんこをあなたに。

132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:15:08.58 ID:PdmpcLl20
ああもう無理



風邪さえひかなければ、こんなことには……!
133冷血のゆくえ 0/5 ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:27:06.61 ID:uhDs7pG60
品評会5レス投下します
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:28:40.90 ID:GFYnUE3Z0
>>131
転載作業お疲れ様です。
本当に助かります。

◆YeNsuy62Yo氏、メール欄を空にした上でどうぞ。

【順番】
−−−
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:29:05.39 ID:tezUmpGsO
予約
136冷血のゆくえ(1/5) ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:29:58.16 ID:uhDs7pG60
「ねえ、ついてきてるよ」姉貴が言った。「あの女の子」
 姉貴の指差した先には、クラスメイトの愛沢がいた。愛沢はハート形のモニュメントの影から、俺を見つめていた。
「無視していいよ」にべもなく俺は言う。
「いいの? 駅前からずっとついてきてるじゃん」
 正確には電車の中からだ。「いいの。無視、無視」
俺たちは、本日日曜日街に買い物に出ようと、最寄駅から電車に乗り込んだ。その車内で愛沢のやつと出くわした。やつは
俺の姿を発見するなり、ストーキングを開始した。電車内では俺のことを物陰からじっと見張っていたし、降りても、一定の
距離をあけてずっとついてきた。通りの公園に出た今も、あいつは俺を見つめている。
「何で無視するの?」
 姉貴は、責めるようでもなければ、さほど興味があるわけでもない口調で言った。
 愛沢が俺に執拗に付きまとうようになったのは、ある出来事がきっかけだった。
 ある日の放課後、愛沢は頭から足の先までぐちょぐちょに濡らしていた。制服のいたるところに糸クズやら埃なんかが付着
している。おそらく、掃除のバケツの中身をぶっかけられたのだろう。その時俺は不憫に思って、タオルをくれてやった。
 それが、大きな間違いだったのだ。
 その翌日以来、愛沢は俺に絡むようになってきた。
「何でそんな状態に……もしかしてイジメ?」
「イジメ。仲間に見られたくないから無視してんの」
 そう、愛沢はクラスでイジメを受けていた。無視りや汚物扱いは当たり前。時には暴力まで振るわれているようだった。
 主にイジメをしているやつは、高田と江藤と鈴木。三人ははカーストの頂点で、積極的に歯向かおうとするものはいなかっ
た。だが、三人は当たり前に接していればそんなに害になる連中でもなかったので、とにかく一定の距離を置くのがベストな
付き合い方だった。
 そいつらに、うまい付き合い方が出来ないやつがいた。それが、愛沢だ。
 元々の無口さと、表情のわからなさ、空気の読めなさが災いした。
 高田、江藤、鈴木に目をつけられ、それからイジメられるようになった。
「気の毒だと思うけど、クラスでうまくやるには無視しかない」俺は釈明した。
「結構かわいいのに、可哀相だな」
 姉貴のいう「かわいい」には全面的には同意できなかった。確かに、丸顔にまん丸の巨大な両眼はかわいらしさがあった。
 だが、それは主に小動物に向けられるべき「かわいい」である。愛沢は小動物じゃない。俺を含めクラスのやつらは「気持
ち悪い」という印象を抱いていた。
 その日はずっと、愛沢は俺達についてまわった。服屋から文房具や、ファミレスから輸入レコード店まで。
137冷血のゆくえ(2/5) ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:31:55.32 ID:uhDs7pG60
 完全無視を決め込む俺に、姉貴は「冷たくない?」と言った。
「あいつと仲いいと思われると、俺まで標的にされるだろ!」と声を荒げて返した。
 翌日登校して一番、何故か早く来ている愛沢は俺の姿を見つけると、昨日同様追いかけてきた。
 トイレに行くときや、購買へ買い物に行くとき、下校するとき。昼休みには隣の机に移動してきて、食事し始めた。
 いずれも俺と会話しようともせず、ただつきまとうだけで、気味が悪かった。
 そんなのが四日ばかり続いた。耐えかねて、俺は愛沢に詰め寄った。
「お前さあ、気持ち悪いんだよ。ついて着くんな! いい加減にしろ!」
 俺はそう怒鳴りつけてやった。愛沢の顔を覗き込む。やつは大きな目をぱちくりさせながら、俺の顔をじっと見た。
 何も反応が無い。とりあえず言うことは言った。
 俺は踵を返して、前を進む。すると、愛沢は後ろをついてきた。
 話が通じてない。俺はもうだめだと思い、とにかく無視を貫くことにした。
 おそらく、無視しっぱなしが災いしたのだろう。
 とうとう、高田と江藤と鈴木に目を付けられてしまった。
 雨降りで、部活がなくなった日、俺は図書館で勉強していた。と、向かいの席に愛沢が座った。
 愛沢は俺の顔をじっと覗き込んでくるのを無視をして、教科書とノートにひたすら視線を落とした。
 その時だった。
「お前らってさ、いつも一緒だよな」蟲が這うような不快さを感じさせる声が、降りかかってきた。
 顔を上げると、そこにいたのは高田だった。その後ろには江藤と鈴木がいる。
「あ……」俺が二の句を告げずにいると、江藤が身を乗りだしてきた。「へー、キミ、愛沢がタイプだったんだ〜。はは
はは!」江藤はミニスカートの裾をヒラヒラさせながら、俺と愛沢の周りを面白そうに回り始める。
「お前らちょっと来いよ」ドスの聞いた低音ボイスを響かせ、鈴木が俺の首根っこを掴む。
 連れて行かされた先は、旧校舎の裏庭だった。ここはほとんど人が通らず、やつらの絶好のたまり場になっている。雑草が
散らかる醜い景色の中に、タバコの吸がらがいくつも転がっていた。
「聞かせてよ。仲いいの?」高田が脂ぎった顔を思いっきり俺に近づける。
 違う、関係ない。必死に否定する俺の顔を、三人はいかにも面白そうに見ていた。
「二人は愛しあってるんでしょ? 関係ないなら証拠見せてよー」江藤はその辺に落っこちていた鉄パイプをひょいと拾い上
げる。「これで愛沢を殴って」とんでもないことを言いだす。「愛があれば殴れない。でも、愛がなければ殴れるよ」
 江藤は、愛沢と同性であるにも関わらず、もっとも執拗に残酷にいじめた。どうやらこのイジメの中心は江藤で、引っ張ら
れる形で高田と鈴木がそれに加わっているようだった。
 江藤は鉄パイプを俺に突き出す。ニヤニヤ笑いを浮かべたその顔は、悪魔みたいだった。
138冷血のゆくえ(3/5) ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:34:14.96 ID:uhDs7pG60
 震える手で鉄パイプを受け取ると、目の前の愛沢に対峙する。高田と鈴木に羽交い絞めにされた愛沢は、プルプルと震え
ていた。その姿は、寒さに凍える子犬のようだった。
 悪魔笑いの江藤に、鬼の形相の高田と鈴木。その三人を前に、俺は鉄パイプに込めた腕の力を緩めることは出来なかった。
 翌日、教室で俺と目が合うと、愛沢は真っ青な顔をして、視線を外した。
 江藤と高田と鈴木は周りをはばからない大きな声で、なにやら会話している。
 愛沢の腹を殴ったときの、あの感触がいまだに手に残っている。鉄パイプは思いのほか軽くて、ほとんど力を込めていなか
ったのに、強すぎる打撃を愛沢に与えた。俺が殴ると、愛沢はギャッとカエルのようなうめき声を上げて、膝から崩れ落ちた。
そこをすかさず、江藤が蹴り上げた。高田と鈴木も加わり、愛沢殴ったり蹴ったりした。俺は鉄パイプを放ると、その場から
走り去った。
 愛沢はもう俺につきまとうことはないだろう。望んでいたことが実現されたのだ。これで悪いはずがない。
 可哀相なことをしたという自覚はもちろんある。だが、あいつにしても自業自得である。もともと俺につきまとうことがな
ければ、殴られることもなかったであろう。俺はあいつにつきまとうなと言っていた。それを無視してつきまとっていたのは
あいつだ。
 俺は正しいというか、俺にとって最善の行動の行動を取ったのだ。何も気にすることはない。
 と、自分に言い聞かせてみるが、心のもやは晴れない。
 放課後は、ひたすら部活に集中し例のことを考えないように努力した。
 自分の雑念をボールに込めて、ひたすらラケットを振るう。消えてなくなればいいと思って、思い切り地面に叩きつける。
「よう、お前の姉ちゃんが来てるぞ」練習も中盤に差し掛かった頃だった。先輩の一人が、遠くから俺を呼んだ。見れば、テ
ニスコートの入り口に姉貴の姿があった。姉貴も部活の最中なのか、ジャージ姿だった。
 学校で家族に会う気恥ずかしさを感じながら、俺は姉貴の元に小走りで近寄る。
「どうしたんだよ」
 見れば、姉貴はひどく急いでいるようだった。息を切らして、早口で話し始める。
「大変だよ、あの子! アンタのクラスのやつに殴られてるところを見ちゃったの!」
 姉貴の話によれば、愛沢が江藤と高田と鈴木に殴られ、そのまま旧校舎のほうに連れて行かれたというのだ。いつものこと
だ。俺からすれば、どうでもいい話だった。いちいちかまってはいられない。俺は早々に切り上げ、部活に戻ろうとする。
「助けてあげなよ! あの子、アンタのこと頼りにしてるんでしょーが!」
「もうしてない。とにかく、あいつとは関係ないっていってるだろ! ほっといていいんだよ!」
 姉貴は信じられない、といった顔をして俺を真正面から睨みつける。
「いつからそんな冷たい子になっちゃったの! 可哀相な子がいるなら助けてあげなって!」
139冷血のゆくえ(4/5) ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:36:25.89 ID:uhDs7pG60
「うるせえよ! あいつらに刃向かったら、クラスで孤立するんだって! 向う一年愛沢みたいな扱いなんて耐えれるか
よ!」俺はまくし立てた。
「それでも助けてあげなよ……可哀相じゃん」
「俺はクラスの中でうまくやっていきたいの。助けに行ってもボコられるのがオチだろ。俺が言っても無駄なの。そんなら姉
貴が行けよ。行けねーだろ? そりゃそうだ。姉貴は無責任なこと言ってんじゃねえよ」
 俺が言い終わると、姉貴は何事かをつぶやくと、踵を返して、コートから走り去った。俺は何事も無かったかのように部活
動を再開する。無心にラケットを振る。
 ラケットを振りながら、姉貴が何て言ったのか考えていた。微弱な発声と、唇の動きから考えると、「冷たい」だったか。冷
たくて結構だ。何度もいってるとおり、絶対に面倒には巻き込まれたくない。
 部活終わりのとき、部室に二人の男がなだれ込んできた。高田と鈴木だ。
 ラケットの弦を張り替えたり、着替えたりする部員を押しのけて、俺の目の前まで来る。すると、何も言わずに、俺の顔面
を殴った。鼻の頭が熱くなり、口の中に錆臭い臭いがした。奥から血が流れ出してきた。
 意味も解らず崩れ落ちる俺の首根っこを掴まえると、部室の外に連れ出し、そのまま引きずっていった。他の部員のざわざ
わ騒ぎ立てる声が聞こえる。
 行き場所はどうやら旧校舎の裏庭だ。闇が広がる空間に引きずられていく。間伐のされていない薄暗い雑木林の向うに日没
の光景が見える。俺は処刑場に連れて行かれる死刑囚の気分でいた。
 裏庭には、江藤のほかに二つの影があった。最初は小動物か何かと思ったけど、どうやら人間のようだ。その二人はいずれ
も、地に伏していた。
「そいつってさ」高田がいった「キミのお姉さんだよね」
 遠くの赤色灯がここにも微弱な光を落としている。徐々に目がなれると、人影に輪郭が生まれ始める。
 そして、俺は江藤が言ったことに確信を得ることになった。
 姉貴はジャージ姿のまま、地に倒れていた。殴られたようだ。顔が腫れていて、目の周りにあざが出来ている。鼻から出血
したのか身体の半分が汚れていた。
「このヒト、なんか突然殴りこみにきたんですケド」江藤が言った。「その子を離しなさいとか言って」失笑を漏らす。
「お前の姉が何で愛沢を助けに来るわけ?」低い声で鈴木が言った。「何? やっぱお前ら関係あるわけ? 関係ないんだ
ろ?」
「ってか、俺らに嘘ついてただろ。ぶっ殺すよ」高田が自身の台詞に酔いしれるように、言った。
 もう一つの影を見た。愛沢だった。
 愛沢も姉貴同様、顔中傷だらけだった。
140冷血のゆくえ(5/5) ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:37:16.95 ID:uhDs7pG60
「許されると思うなよ。お前、ここで死刑だから、な」
 鈴木が顔を思いっきり近づけて俺に言う。デオドラントの匂いと、据えたような口臭が漂っていた。
 姉貴は今頃、部室にいるかと思った。俺に腹を立てて、不満を友達に愚痴っているのかと思った。
 黙っていれば良かったのに。何もしなければ良かったのに。
 好戦的な目をした三匹は今にも俺を傷つけようとしている。
 俺は彼らと同じような、彼らと同じ地平に立たねばならないと心に決めた。
 鈴木と高田は俺より背も高く、取っ組み合って勝ち目があるとは思えない。
 姉貴同様、地に伏してしまうかもしれない。
 だが、俺は迷わず拳を振り上げる。
 少なくとも、俺は殴らなくてはならない。そこに横たわる冷血だけは。
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:37:38.44 ID:GFYnUE3Z0
お疲れ様でした。

続きまして、救済スレッドより◆pxtUOeh2oI氏の作品を転載します。

【順番】
◇tezUmpGsO
142冷血のゆくえ(6/5) ◆YeNsuy62Yo :2009/11/22(日) 23:38:26.90 ID:uhDs7pG60
以上です
何だか投稿がゆっくり気味になってすいません
143透明オレンジと36℃ 1/5 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/22(日) 23:38:34.51 ID:GFYnUE3Z0
 森の中を歩いていた。足を進めるたびに落ち葉が音を出す冬らしい環境、だけど上を見上げても空は見えない。
緑の葉が、寒さなど気にしないように生い茂っているのだ。きっと冬になっても落ちない種なのだろう。この地
面に広がる枯れ葉を落とした木々は、もうそれらの元気な木に埋もれて隠れてしまったに違いない。いくらでも
木がある。それぐらい深い森の中を、水木涼は進んでいた。
 自殺するために。
 樹海の中を歩いている。
 目的地は、わからない。
 スカートで来るのは止めればよかった、と水木は思う。地面が木の根などで小刻みに隆起しているため、バラ
ンスを崩したときなんかに足に絡む。もう三度も転んでしまった。汚れてしまったスカートを見ると、別にお気
に入りでもなんでもないのに、妙に悲しくなる。
 ペットボトルの口を開け、紅茶の残りを飲み干した。そしてしゃがみ、木の根元に置いて捨てる。周りには、
そんな同じようなゴミがいくつか転がっていた。まだ人が入る辺りなのだろうか、それとも同じように死にに来
た人間が捨てていったものなのか。
 水木は、そのまま木に寄りかかって座り込み、この紅茶を買った売店を思い出していた。この場所に一番近い
駅の売店。店のおばさんが、何か心配そうな目をしていたように思う。きっと何人も見てきたのだろう。こんな
平日に、女一人で、それも何も持たずにやってくる客なのだ。近くの森林公園を利用する客に見える、とは自分
でも思えない。それに、この寒さだった。普段ならいるらしい、観光客もここへ来るまでにほとんど見なかった。
みんな暖かい家の中にいる。みんな会社で頑張って働いている。
 土と枯れ葉の地面に目をやると、ダンゴムシが数匹、葉の下に移動していた。もう疲れたから、この辺いいか。
 水木はダンゴムシを指ではじく。生きるのが大変だったから自殺するのに、それで疲れてたら意味がない。
 夜になれば、きっと死ねるだろう。それで、もう必死に笑わなくていいんだ。周りに合わせて頑張らなくても。
「何してるんですか?」
 男の声が聞こえた。まだ若いような声。顔を上げると、二十代前半ぐらいの男が心配そうにこちらをのぞき込
んでいた。大きな鞄を下げている。幻ではないらしい。そして同じ自殺志願者でもないように見えた。心配そう
な顔をしているのに、くったくのない笑顔が張り付いて離れていなかった。幸せそうなタイプ。
「もし迷ったりしてるのなら、警察とか呼びましょうか?」
「いえ、大丈夫です」水木はよろよろと立ち上がり、その場を離れようとした。
 めんどうだ。何で、こんなところにこんな人がいるんだろう。そう思いながら歩き出そうとしたとき、スカー
トだったことを忘れていて、転びそうになった。
「わあ、大丈夫ですか」彼が水木を支える。「慌てなくて大丈夫ですよ。コーヒー飲みます? 暖かいですよ」
144透明オレンジと36℃ 2/5 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/22(日) 23:39:29.78 ID:GFYnUE3Z0
 男は、バッグを下ろし、中から水筒を取り出した。蓋のカップにコーヒーを注ぐ。良いにおいの湯気が、辺りを包む。
「はい、どうぞ」男は、コップを渡して来た。「俺は、芦野考太って言います」
 手に持つと暖かい。おいしそうな感じ。一口飲む。口の中に広がり、体中を暖めてくれるようだった。
「芦野。何、してるの?」どこからか女の人の声。「さぼってるなよ」
「すみません、神川先生」芦野が大声を出す。「人がいたんですよ、ちょっと来てください」
「はあー?」間延びした声がどこからか聞こえ、そして少し待つと、木々の間から三十代中盤ぐらいの女性が現れた。
 身なりを整えれば綺麗になりそうな人だ、というように見える。けれども、今の状態では、ナチュラルという
よりも荒れているようで、髪などもぼさぼさ、もったいない、という感じの評価ができた。
「この人は、山梨大学の数学科の准教授で、神川先生です。で、院生の俺は手伝いみたいな」芦野が微笑んで言
う。
 神川と言われた女性は、その言葉に軽く会釈をしただけだった。
「えっと……お名前を聞いても良いですか?」
「水木涼です。水の木に涼しいで……」
「水木さん」芦野が確認するように呟く。「それでこんなところに何のようですか? まさか自殺とかではないですよね」
 目的は自殺である。彼もそれはわかっているようだった。だから、否定させようとしているのだ、と思う。自
殺なんかじゃない、と本人の口から言わせようとしているのだ。何て言うお節介だろう。早く立ち去ろう、と水
木は思った。そのために、もらったコーヒーを急いで飲み干す。コーヒーはおいしかった。
「あの、コーヒーごちそうさまでした」コップを返す。「私、もう行きます」
「何か用があるんですか?」芦野が言う。「もし暇だったらで良いんですけど、アルバイトしませんか?」
「芦野」隣に立つ神川が低く声を出す。
「だって、一人、ドタキャンしちゃって人手が足りないじゃないですか。手伝ってもらえるなら楽になりますし、
ねえ?」芦野は最後に水木を見た。何が、『ねえ』なのかはわからない。「難しいけど簡単です。理論なんてわ
からなくても、基本は写真を撮るだけですから。やりましょうよ、水木さん」
 そして水木は、なし崩し的に仕事を手伝うことになった。少しだけ、コーヒーのお礼をしたい、と思っていた。
「これは何をしてるんですか?」借りたデジカメで木の写真を撮りながら水木は言う。「先ほどは、数学って?」
「簡単に言っちゃえば、人の行動モデルのデータを集めているという感じで、たとえばですけど東京の大きな駅
の改札とかで大勢の人が外に出ようとしてますよね? そこで人は、ほとんど無意識に近い状態で一番、早く済
みそうな改札を選ぶわけです。ただそう考えていたはずなのに、隣から入ってきた人とかタイミングが上手く合
わなかったりで止まってしまい、そこからさらに渋滞ができちゃうなんてことがあると思うんです。最適化を目指そうとして、余計に絡まっちゃうみたいな。で、そのための対処のモデルとして、日の光の届きにくい樹海の
木々に伸びる葉っぱたちを、と考えているわけです。自然というのは完全な無意識で、長年の進化によって最適
145透明オレンジと36℃ 3/5 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/22(日) 23:40:12.34 ID:GFYnUE3Z0
化が進められているらしいです。そうやって集めた木の成長モデルを写像に通して、人の行動の全てを解析し、
式として残すというのが神川先生の最終目標で、そんな無茶な、というのが簡単な要約なんですが、わかりましたか?」
「まったく」水木は首を振った。どこが簡単なのかもわからなかった。
「ですよね、俺もまったくわかりません」芦野は声を出して笑った。「これ、数学じゃないよなあ? とかいつ
も思うんですけど、何故かウチの大学だとここが一番あっているらしいんですよね。神川先生は、この研究の為
に外から来た人らしく、元はこんな研究誰もやってなかったので、当て込んだって感じらしいです。俺も本当は代数とかやりたかったんですけど、人数少ないからって選んだらこれですよ。まさか数学科でフィールドワークするとはね」
 芦野は笑っている。つられて、水木も笑った。
「そんなこんなで頑張りましょう。難しいことは全部、先生が考えているので、こっちではバンバン写真を撮るだけです」
「わかりました」水木は元気に声を出した。それなりに楽しかったから。
 森の写真を十枚程とっては、神川の元に行き、メモリカードを交換して貰う。神川は折りたたみの椅子にずっ
と座った状態で集められる写真を解析しているようだった。膝の上にノートパソコンを置いていつもキーを叩いている。
「ありがとう」三回目に神川の元に行ったとき、そう言われた。顔はずっと画面を見ている。
「何がですか?」水木は驚いて尋ねた。
「いや、良い写真が撮れてるから」神川が顔を上げた。「芦野もこれぐらいまともなのを撮ってくれればいいんだけど」
「えー、何が違うんですかー?」芦野が遠くから近づいて生きて声を出す。「どうすれば良いのか教えてくださいよ」
「センスが違うかな」神川が芦野に言う。「数学続けるならまずいかもね」
「俺の写真だって綺麗だと思いますけど」
「綺麗なのじゃなくて、データの撮れるものを持ってこい」
「すみませんでしたー」そのあと、芦野がこちらを見てばつが悪そうに笑う。水木もクスッと笑った。
 それから二時間ほど、写真を撮り続けた。そして、もう上がるというので、借りていた上着や軍手、カメラな
どを返却する。疲れた。それが一番の感想だった。でも、嫌ではない。
「じゃあ、帰りましょうか」芦野がバッグを肩に掛ける。「向こうに車があるので、水木さんも駅まで送って行
きます。夜、迷ったら大変ですしね。まあ、ちゃんとルールと道を知ってれば問題ないですけど」
「あの、えっと、私は……」水木はどうしようか、迷っていた。自殺する。それは一度、確かに決めたことだっ
た。だけど、今、ここで、この人たちの前で、そんな風に言えなかった。そんな行動をすることもどうか、と迷っていた。
「水木さん、今日はありがとうございました」神川が頭を下げ言った。「あなたがどう感じているかは、今の私には解析でき
ません。ただ、もしあなたがしようと思っていることがあるのなら、私にも芦野にもそれを止める権利はありません」
 神川が真剣な目で水木を見つめる。濁っていないナイフのような光を放つ眼差し。
「なんで、そんなことを言うんですか!」芦野が大声を出した。そしてすぐに冷静さを取り戻す。「すみません」
「もし間違っていたら失礼ですが、あなたは自殺しようと思っている。少なくとも芦野はそう認識している。そうだよね?」
146透明オレンジと36℃ 4/5 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/22(日) 23:40:56.45 ID:GFYnUE3Z0
 芦野は上目でこちらを見ながら、申し訳なさそうに頷いた。
「それはわがままだ」神川が言う。「私が自殺しないように心地の良い世界を作ってください。そう言うのと同
じ、何も変わらない。自分勝手な都合で、自分の嫌なことが無くなって欲しいとだけ思う、子供のわがまま」
「だってしょうがないじゃないですか。嫌なものは嫌ですよ。何で、先生はそんな冷たいこと言えるんですか」
「さあね。その人が何を望んでいるか、私には考えることしかできないから、選ぶ道を見守ることしかできない。今は、まだ」
 そこで二人は黙ってしまった。自分のせいなのだから、私が場を納めなくては、と水木は思う。だから、頑張って笑った。
「自殺しようと思ってました。でも、帰ります。ありがとうございました」
 そう言うと、芦野の顔が晴れやかになった。さっきまでと同じような笑顔。神川は「それなら良いです」と優
しく言い、車の方へと歩き出した。あたたかい。心地良い。二人とも優しいのだ。

「では、ここで」水木は駅前のロータリーで車から降りる。バイト代というのも貰っていた。
 空は夕焼けで赤く、夜の到来に抵抗しているだった。死に抗うべく、人間の体を巡る血のように赤い。
「芦野さん」水木が言った。「ありがとうございました。助けて頂いて、私、嬉しかったです」
「いや、別に何もしてませんよ」芦野が照れる。「それにこっちもかわいい人と一緒にバイトできて、嬉しかったです」
「凄いこと言うね」ハンドルを握る神川が呟いた。
「比較対象が近くにあると客観的な評価ができるじゃないですか」
「理系だね」
「数学科ですから。何故かフィールドワークしてましたけど」
「では、今日はどうも」神川がエンジンを掛ける。
「また合いましょう」芦野が言った。
「さようなら」水木が微笑んで言った。

 水木涼は、ロータリーを駅の方へ歩いていた。二人がいなくなって急に静かになったように感じる。水木はも
う笑ってはいない。それは当たり前のことだ。笑顔を見せるような人が、もういないのだから。
 冬の寒さの中での孤独。それでも寂しいというよりは暖かいと感じていた。今日の思い出がそうさせるのだろ
うか。よくはわからない。変な二人だった、とは思う。今までにあったことのないタイプだ。
 改札の前のを通ろうとしたとき、声を掛けられた。行きに飲み物を買った店のおばさんだった。彼女は売店から出て前に立つ。
「よかった。若い女の人が一人で、もしかして自殺なんかしに行ったんじゃないかって心配だったんだよ。なん
で止めなかったんだろうとか。何か話しかければよかったとか。でも、違ったんだね」
「いえ」水木は呟く。なんだろう、何て言えばいいだろうか。
147透明オレンジと36℃ 5/5 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/22(日) 23:42:14.26 ID:GFYnUE3Z0
「あ、ごめんね。引き留めちゃって。おばさんの勘違いで」彼女は慌てている。「ミカン食べな。余ってるのが
あるから」
 おばさんが、急いで売店の中に引っ込み、水木を手招きした。近づいて行くと、小さくかわいらしいミカンを渡された。
「元気出さなきゃね。勘違いしたおばさんも悪いけど、あなたも死にそうな顔してるんだもの」
「そうですか?」水木は右手で頬を触って笑った。
 これが優しさなのだ、と思う。ほんの少しだけ。
「ミカン、頂きます」
 水木は会釈して売店を後にした。そして改札の前に立ち、ポケットから財布を取り出してSuicaで通る。改札の
出口に残金が表示された。まだ何の心配もないぐらい残っている。
 その表示を見て、水木は涙を流した。
 手から財布が落ちる。
 来るときに、どうでもいいから、と一万円を入れたのだ。だけど、それは、もしかしたら本当は、帰りたかっ
たんじゃないか。帰りの分の料金を私は無意識に用意していたんじゃないか、と今、思った。
 そのことに気付いたとき、今日、会った人の顔が浮かんできた。樹海での二人、売店のおばさん。みんな考え
ていることは違う。全然、重なる部分がないように思う。いろんな人がいる。でも、誰もが優しかった。暖かかった。
 何も得なんてしないのに、何でみんなこんなに人に優しくできるのだろうか。
 人付き合いが嫌で、自殺しようを来たのに、何でこんなに暖かいのだろうか。
 水木は持っていた、ミカンを両手で包み込んだ。その上に涙が落ちる。視界はぼやけて、ミカンが夕日に滲ん
でいるように見えた。
「一番線に電車が参ります。黄色い線の内側に……」アナウンスが流れる。
 電車がゆっくりとホームに滑り込んできた。この電車に乗れば東京に帰れる。そう、帰れるのだ。あの東京に。
「お客さん、何か落としましたよ」駅員室から駅員が声を出した。
 それは水木の耳に届いていた。だけど、もう聞いてはいなかった。
 水木涼は線路に飛び込んだ。体がゆっくりと落ちた行く。
 戻れる? 帰りたい? 本当に?
 違う。私は、この暖かさを忘れたくない、と思っている。もう人を嫌いになどなりたくないと。だから、この
暖かさを抱えて死ぬのだ。ただ、あの人たちの前で死ぬことができなかっただけなのだ。
 響く警笛。水木の上を電車が通過した。
 夕焼けよりも赤く、太陽よりも熱い血が、冬の駅を朱に染める。
 転がるミカンに、誰も気付かなかった。                             <了>
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:42:52.74 ID:ArEDujjO0
いちおうさる
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:43:37.00 ID:GFYnUE3Z0
何とかなったようです。

では最後に◇tezUmpGsO氏、トリップを付けてどうぞ。

【順番】
終了

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/16(月) 00:04:09.12 ID:SmoVBjIyO
来週はカオスタイム投下しません。誓います。
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:43:55.00 ID:Ht+DdQ4p0
さるさん、さるさん。どうかもう少しだけ。
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:45:26.91 ID:PdmpcLl20
結局間に合わないド低能にもさるよけはできるさ
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:48:21.84 ID:bcZ0UKC40
さるさる
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:50:37.59 ID:GFYnUE3Z0
五分以上が経過してしまいました。

もう五分で予約が無効になってしまいます。
154 ◆DSM7XB0fYQIy :2009/11/22(日) 23:54:14.19 ID:tezUmpGsO
あ、すいません投下します
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:54:36.10 ID:Ht+DdQ4p0
>>151
おれ今思いついたから
一緒に時間外で出そうぜwww
156風を受けて 1/4 ◆DSM7XB0fYQIy :2009/11/22(日) 23:55:41.79 ID:tezUmpGsO
 自分の恩師である駅伝の監督は少し風変わりな人だった。いつも飄々として、何を考えているか分からない、そんな人。
 いよいよ引退するという感動の場面でも、どこか覚めた様なこんな贈る言葉で僕たちを送り出した。
「さて、やはり日常を離れ熱中したゲームというのはとても楽しい物ですね。
それなら人生は?『人生というゲーム』、世の中にはそんな捉え方もあります。楽しもうという事でしょうね。
でもね、人生なんてのはやっぱりスポーツとは違いますよ。いろいろな局面で白黒はっきりとした決着が着かない、そんな事が続くんです。
すべてがあやふやなまま、大切な想いも決意も何も、平坦な日常にこぼれ落ちていきます。
君たちはその事でどれくらい傷つくことになるんでしょう。
いや、もしくは全く平気なのかもしれない。とにかくあなたたちはこれからです。頑張ってください」―――


 人生を一生懸命生きるってどういう事だろう。いまやるべき事を必死でやる事なのかな?
 別に見返りが欲しい訳じゃないけど、いまいち真剣になれなくてつい苦笑いをしてしまうのはどうしてだろう。
 でもぐずぐずしている暇はないらしい。人生って奴は波はすぐ去るし、晴れていても急に変わる物らしい。
 今僕はとても小さな会社で営業をしている。営業という仕事は単純で純粋な肉体労働だ。
小難しい事を省くと、『仕事をください、仕事はありませんか?』と一軒一軒会社を回っていくそんな仕事だ。
 もちろんたいていは断られる。この不況の中では、仕事という物は恐ろしい程無い。
一日中街の中を歩き回り、足が痛みヘトヘトになっても、一軒も取れない。
 夏は汗でべとべとになり、冬は寒さでかじかむ。それでも毎日歩き回る。そこには終わりがない。
 一日の仕事を終え、会社に帰りタイムカードを押しては帰る毎日。電車の中ではぐったりしてしまう。
 もし仕事をもらったからと言って喜んでばかりいられない。自分の些細なミスで、仕事自体がなくなってしまう事も珍しくない。
 中にはミスを繰り返し起こしてしまう時もある。そういう時は取れない重みがどっしりと胸の辺りに乗っかる。
 僕は基本的に楽観主義者なのでどうにかなるだろうと考えるが、それでもなにがしか心にくるものはくる。
 気づくと出先の公園のベンチで寝ていたのも、連日のミスに次ぐミスに身体的にも精神的にも参っていたそんな日の事だった。


157風を受けて 2/4 ◆DSM7XB0fYQIy :2009/11/22(日) 23:56:21.68 ID:tezUmpGsO
 ベンチに寄りかかり正体もないほど昏睡していた僕の肩を、誰かの手がゆっくり揺さ振っていた。
 目を開け周りをうかがうと辺りはもうすっかり暗くなっている。どうやら二三時間は寝てしまったらしい。
体が冷えきってしまっている。冷たくなった空気が服の隙間から入ってくる。固い場所で寝たせいか体が痛い。
しばらくボーッとしていると、頭の上から声が聞こえた。
「あのー、大丈夫ですか……こんな所で寝てたら危ないですよ」
 そういえば誰かに肩を揺すられて起こされたんだった。もしかしたらこの寒さの中でもっと寝たままだったかもしれない。
ありがとうございますと礼を言いながら顔を上げた。そこにはまだあどけなさの残る高校生ぐらいの少女がいた。
「カバン、下に落ちてました。気を付けないと物取りに取られちゃいます」
 着ている服はブレザータイプの制服だった。ショートカットのこざっぱりした髪型、くっきりした顔立ち。
 ただ、その顔にはなぜか見覚えがあった。自分には近所の人以外に高校生に知り合いはいないはずだった。
「あれ、おかしいな。君どっかであったったような気が……」
「いつもこの公園でロードワークしてます。あなたはこのベンチで時々休憩してますよね」
 言われてみると確かにそんな気がした。すぐに目の前の彼女とジャージ姿の彼女が重なってみえた。
「ああ、いつも夕方に走ってるあの娘か。とてもいいフォームだなって感心してたんだ」
 この公園でいつも走っている彼女を見かけていた。高校生ながらに走り込んだとても滑らかで無駄のない走り型をしていた。
「なんか経験者みたいな言い方ですね。もしかしたら陸上競技やってました?」
「ううん違うよ、駅伝やってて。でも僕はかじった程度だよ、ほら兄貴がね。とにかくありがとう」
 つい話をそらしていた。あまり触れてほしくないのだ。寝起きでうっかりしていたらしい。

「うん絶対そうだ。だって三年前の駅伝に出てましたよね?」
「いやぁ……人違いじゃないかな」
 もう目を反らさずにしゃべる事ができなかった。失敗した、正直にいうとそう思っていた。
 三年前の箱根駅伝。あの日の僕はやってはいけない致命的なミスを犯した。
順番はアンカー手前だった。その時僕は焦っていた。僕らのチームは先頭集団から少しだけ遅れをとっていたのだ。
気持ちばかりが焦り、ストレッチもそこそこになっていた。今考えてみると足の腱の伸ばしが足りないのは明らかだった。
 そのせいだろう、僕はコースの中盤で足を捻った。後半はひどい様だった。
足を捻るなんてランナーとしてはあり得ない初歩的なミスだ。考えられない。
もちろんチームは大敗した。僕は申し訳なくて顔をあげる事ができなかった。
 その日の思い出が鮮明に頭の中によぎった。嫌な汗が首筋に浮かんでくる。
158風を受けて 3/4 ◆DSM7XB0fYQIy :2009/11/22(日) 23:57:07.08 ID:tezUmpGsO
「人違いだよきっと」
 その話題になった時はそうする様に、いつもの嘘を着いた。それはなるべくなら避けて通りたい会話だった。
 こんな日常に急にいたずらにでてくるべきではない、埋めておきたい忌まわしい過去のトラウマだった。
 でも少女は諦めてくれなかった。確信したようにこちらの顔を何度も見返してうなずいている。
「いや絶対にそうです。第七区の坂井さん、ですよね。私記憶力はいいんです」
 驚いた。目立った活躍もしていない駅伝の一人の選手を覚えてる人間がいるとは思わなかった。
 彼女自身長距離を走る陸上部員で、駅伝のファンなのかもしれない。困ったことになった、そう思った。
「……そうだよ。僕があの坂木だ。それで用事は何かな?」
「えっ? いや、何ていうかその」
 少女は言いづらそうな顔をしている。その様子にますます惨めになってきたため、僕はたえきれずに癇癪を爆発させてしまった。
「ああ、あの日にどう感じたかって? とにかく最低だった、死んじまいたいって気分だったよ! 
……ごめん、大きな声でごめん」
 年端もいかない少女に向かって自分は一体何を言ってるんだろう、ますます胸の芯が冷えてくる。
 そのままその場を去ろうとすると、彼女が申し訳なさそうに言ってきた。
「違うんです、坂木さん。私感動したんです。ただそれを言いたかったんです」
 ひどく罰が悪くて、彼女の顔を正視することができなかった。彼女の純粋な気持ちを損なってしまった気がした。
「あの日の坂木さんの姿、捻った足を最後まで引きずって走りぬいた姿を見て、ここまでこの人は駅伝にかけていたんだって思ったんです。
私にはまだわからないけど、とにかく感動して」
 あの日の僕は、たしかみっともなく泣いていたと思う。たすきを次の走者に託したその後の事。
 自分のあまりの腑甲斐なさに涙が止まらなかった覚えがある。誰かが体を抱えぎらよくやったと言ってくれていた。
それでも涙は後から流れて止まらなかった。長いあいだ嗚咽ばしったままだった。
「だって何かに夢中になるって、それだけで特別な事で……。普通じゃないっていうか。なんだか魔法みたいですよね」
 陸上が好きでなければ、泣かなかったのだろうか。もちろんそうだろう。悔しいのはそのせいだろう。
ならば好きにならなければ良かったのだろうか。いや、もちろんそうは思わない。
あれは自分にとってとても大切な物だった。その事を久しぶりに思い出すと胸に特殊な痛みが走った。
 少女は嬉しそうに微笑んでいる。その笑顔になんだか長いこと詰まっていた胸のつかえが、ふっと取れて軽くなった気がした。
じっとしていられなくて体を伸ばしてみた。あの頃と比べてずいぶん硬くなっている。
あまりのボキボキという錆付いた体のあちこちの音に、彼女も驚き笑っている。
159風を受けて 4/4 ◆DSM7XB0fYQIy :2009/11/22(日) 23:58:13.00 ID:tezUmpGsO
「……ありがとう。本当に嬉しいよ。気分を悪くする様な事を口走ってしまい誠に済まなかった。
それで君は、どうなのかな?君はいまちょうど夢中になっている、そんな所なのだろうか」
 もちろんそうだろう。聞く必要もない。たんなる確認。右よし左よし。コースは目の前。
「坂木さんはどうなんですか?」
 夢中だよ、というか無我夢中で取り組み中だね、そう答える自分は、久しぶりに気分が晴れ晴れしていた。


 次の日、久しぶりに大学を訪ねてみた。監督に会いに行きたくなったためだ。
実は件の駅伝から監督とはあまり話し合った事がなかったのだ。そして監督も特に責めもせず自分に対して接していた気がした。
 監督は相変わらず飄々とした立ち振舞いでもってグラウンドにいた。
「おや、珍しい。……なんだかずいぶん吹っ切れた顔をしてますね。人生は楽しいですか?」
「なんだか苦しいし辛い事ばかりですね。監督はどうですか」
「そうでしょうね、それでいいんですよ。実は僕もですよ、お互い仲良く頑張りましょう」
 監督はずいぶんとぼけた様にそう言うので、なんだか可笑しくなってつい笑い声を上げてしまった。
 グラウンドには風が吹いていた。久しぶりに全身に強い風を受け、体が前に前にと行きたがっている様な、そんな気がした。

《終わり》
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 23:58:26.44 ID:GFYnUE3Z0
現在、週末品評会190thの投票受付中です。今回の品評会お題は『熱血』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1258890803/ -週末品評会190th- にてご覧頂けます。
投票期間は2009/11/24(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

******************【投票用紙】******************
【投票】:<タイトル>◆XXXXXXXXXX氏
【関心】:<気になった作品のタイトル>◆YYYYYYYYYY氏
     <気になった作品のタイトル>◆ZZZZZZZZZZ氏
**********************************************
― 感 想 ―

携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書いている途中の方は是非。

では、お疲れ様でした。
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:01:08.82 ID:7NiosEQO0
進行様お疲れさまでした
懺悔しつつ全感想を頑張りたいと思います



>>155
提案はありがたいけど……5レスでまとめられる内容じゃなかったんだよね
君は頑張るといいさ
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:03:51.36 ID:ROw9McOf0
週末品評会190th『熱血』投稿作品一覧

No.01 英雄物語と魔女 ◆LgwUmN0nkwxU氏
No.02 君と11秒 ◆zH52hPBzFs氏
No.03 引っ込み思案な僕 ◆Lq1ieHiNSw氏
No.04 ふくろうの静脈 ◆QIrxf/4SJM氏
No.05 ねっけつたろう ◆hAKnaa5i0.氏
No.06 血を繋ぐ ◆IL7pX10mvg氏
No.07 みにつまされて ◆Mulb7NIk.Q氏
No.08 熱来椎造 ◆VrZsdeGa.U氏
No.09 冷血のゆくえ ◆YeNsuy62Yo氏
No.10 透明オレンジと36℃ ◆pxtUOeh2oI氏
No.11 風を受けて ◆DSM7XB0fYQIy氏
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:03:52.94 ID:v170/rC3O
おつかれさまでーす
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:04:20.25 ID:Zma+7PuoO
投稿ならびに転載された方乙
進行の人も乙
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:07:28.20 ID:c2JfiO6JO
ねこさん乙かれ様です
そして住民の皆様、また最後に一人でだらだらやってしまい誠に申し訳ありません
本当に次週こそは、余裕を持ってはい
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:18:18.69 ID:Zma+7PuoO
あげ
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:41:26.08 ID:nynXOhEt0
俺にお題と文才を
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:42:44.85 ID:sBWu2bNB0
>>167
缶コーヒー

つ「文才」
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:44:32.57 ID:cPwdVY0a0
>>167
怨み
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:55:17.31 ID:9xkC7x7IP
お題ください
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 00:56:00.24 ID:Vl2BqmLo0
>>170
くじけそうだ
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 01:15:24.86 ID:cPwdVY0a0
>>170
頑張れそうだ
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 01:17:36.94 ID:Zma+7PuoO
>>170
とろけそうだ
174 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 01:22:02.08 ID:1HFle1YJ0
全巻投下します。
175全巻1/2 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 01:22:49.86 ID:1HFle1YJ0
1
 裏設定が多すぎてわけがわからん。表の物語もどうしてこうなった、としか言いようがない。
淡々とした語り口は評価できるが、魔女と対峙するくだりになってから雰囲気が変わって、なんとも反応に困る。
なにが言いたいか、どういう設定があるか、少なくともそのあたりは記述する必要がある。どうせなら前置きを端折って
裏設定を書いてしまった方が良かっただろう。面白味がどこにあるかわからない以上、読者が面白いと思うはずはない。

2
 文章に無駄が多い。指示語、主語は日本語では添削可能な言葉だ。それ以外にもまわりくどい言いまわしが目立つ。
展開もややまだるっこしく、設定もテーマに殺され活かし切れていない。ヤマの描き方は文句ないのだが、これならば
設定を置き換えても通じるように思える。女の子が精一杯の力を持って悪の組織に立ち向かう、という設定は非常に
感興をそそるため、個人的にはもっとそちらを重視してもらいたかったところだ。

3
 面白い。大変シンプルで、テーマが明確に伝わってくる。理屈などなく、素直に文章が書けている。
 少年の成長譚などと言うものはもはや書きつくされてしまった感があるが、このようなほほえましい話には
どうしても筆が甘くなるもので、いかんとはわかりつつも評価したくなる。もちろん斉藤先生のCVは某食いしん坊だ。
後味さわやかな話は感想もさっぱりしたくなるものである。

4
 おそらく貴殿の作品を拝読するのは初めてかもしれない。独特な文体を持ち味とする、とはうかがっていたが、
予想以上だった。申し訳ない、ついていけない。お題がどこにあるかもわからない。

5
 な、なんのこっちゃ。
>はってんとじょうのくににあって、ひとびとはみんなねっけつたろうをそんけいするようになりました。
 どこに脈略があるのかわからん。
>そのひ、となりのくにではせきゆがはっくつされたのですが、となりのくにのことなのでたろうのしゅういの
ひとびとはなにもしらずに、ふつうのたろうのしをかなしんでいました。
 どういうオチなのだろう。
176全巻2/3 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 01:24:09.94 ID:1HFle1YJ0
6
 もげろ。
 複雑な思慕を寄せる姉が唐突に泣きついてくるなんざあり得ねえよ、へっ、そら姉がいねえ身としてはわからねえけどさ、
のろけ話みせられたところでこっちがルサンチマン抱えるだけでどうしようもねえだよ、しかしなんだ、鼻血をなめとる、
なんつーの、焦らしにもだえる快楽っていうの、そんなもん見せられた日にゃもう勃起が止まらなくてどこに矛先を向けりゃ
いいかわからねえ、ってこれは俺が春頃発明した馬鹿なレトリックじゃねえか、それはおいといてだ、とにかくそこだけは評価してやらあ。

7
 誤解をキーワードにした喜劇は確かに面白い。しかし、面白いがゆえに食傷気味なところがあって、つまり要するに、
ありきたり。もう一展開ほしかったところだ。たとえば女の子を強請ってその熱い血と血を(ry

8
 あの元テニスプレイヤーは温暖化抑制に対するアンチテーゼだと思う。

9
 男が女とつるんで女をいじめてるのか、ひでえ話だ。しかし、いまどきリンチがおおっぴらになる学校もあるのか。
本当にひでえ話だ。結局解決を見てないから余計ひでえ話だ。

10
>私は、この暖かさを忘れたくない、と思っている。もう人を嫌いになどなりたくないと。だから、この暖かさを抱えて死ぬのだ。
 いやな論理だ。良いとこまで来て話が台無しになってしまった。救いようがないのである。
なにより、まるで自殺を推奨するようではないか。毎度のことながら言うが、小説はおしなべてフィクションを書く必要がある。
となると、現実のアンチテーゼとなる理想を描かねばならない。あいにくだが、現実を無感情に素描したような「自然主義」だの
「写実主義」だのは小説とは呼べない。ならば、コンピュータに小説のいろはをプログラミングさせて書かせたほうが良い。
人間が書いてこそ小説なのだ。その核には常に生を絶対肯定する理想がなくてはならない。現実の苦渋を乗り越え、
人間の愛憎にまみれ、世界の不条理に敢然と立ち向かう、そうした物語こそ、小説に求められるものなのだ。
それがよりによって生の艱難によって蹉跌した末、ならともかく、生に内包された愛によって自殺する、なんて物語は許しがたい。
177全巻3/3 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 01:25:25.05 ID:1HFle1YJ0
11
 順天堂大だったかな、二、三年前の箱根で5区のとこまできて棄権しちゃったのは。あれ結構強い印象に残ってるな。
駅伝が連帯責任を負うもので大変日本人的なものだ、なんて教授がいってたけど、まさかテレビの向こうにまで伝わってるとなると
何とも何ともだよなあ。
 ありきたりだが、どうにも他の作品と相まってシンプルでポジティブなメッセージは非常に好感が持てるようになってしまった。
面白いかと言えば、決してそうではないのだが、起承転結もしっかりしており、素直に筆が走っているためポイントは高い。
ただ、お題が。

総評の踊り子
 「熱血」をどうとらえるかが難しかったね。優勝者にケチつけちゃいかんのだけれども。
熱血とくれば理屈なんてどうでもいい、とにかく猪突猛進で当たって砕けろ、なイメージだし、
期待していたのだけれども、結局直球勝負で来た作品が少なかったのは残念だ。
俺? 無理無理、こんな全巻書くほど鬱屈した人間だから。

******************【投票用紙】****************
【投票】:No.03 引っ込み思案な僕 ◆Lq1ieHiNSw氏
     ウジウジしたものを取っ払った爽快感に乾杯。
【関心】:No.11 風を受けて ◆DSM7XB0fYQIy氏
     ありきたりだけど、それゆえの味がある。
**********************************************
 次点は6だろうか、考えようによってはストレートなメッセージだ。
178全巻3/3 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 01:27:06.12 ID:1HFle1YJ0
投下終了です。遅くなりましたけど、転載してくださった方には多大なる感謝を申し上げます。
ではみなさんお疲れさまでした。
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 01:32:16.65 ID:9xkC7x7IP
お題ください
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 01:34:04.47 ID:+j51BwmC0
豆乳
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 01:36:32.20 ID:Zma+7PuoO
全館乙
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 02:12:51.97 ID:G+v6I+jB0
熱血が足りないなあ……保守
通常作品を5レスで投下します

タイトル:見せかけを越えて
お題:コンビニエンスストア
投下レス数:5レス
コメント:初めての投下です。理想と現実のをポイントにして書きました。文才ないですが読んで頂ければ幸いです。
金曜日の恵比寿駅は、いつもよりも華やかに見えた。
 駅が華やかなわけではない。駅を囲むビルの群れと、夕暮れ時から光りだすネオン、そして週末のひとときをこ
こで過ごす人々の足取りの軽さがそうさせていた。現在の時刻は十七時三十分。あと一時間もすれば、駅は人々
でごったがえすだろう。
 山内卓哉もその中の一人であった。東京メトロ恵比寿駅の改札を抜けて階段を上ると、いつもの道筋を歩き始
めた。長袖のTシャツの上に薄手のパーカー、そしてジーンズという格好は恵比寿に似合うのだろうか? いや、
似合わないだろう。しかし、恵比寿に似合う格好をすれば、自分に似合わないことも明白だった。
 卓哉は中目黒の印刷会社でアルバイトをしていた。毎週金曜日の九時から十七時までの八時間を働いて日給
八千円である。卓哉の自宅は江古田にある。アルバイトを終えると中目黒から日比谷線に乗り、恵比寿で山手線
に乗り換えて江古田方面へと帰るのだ。恵比寿に降りるのは毎週金曜日の十七時三十分頃と決まっていた。
 卓哉は大学生である。大学一年の頃にこのアルバイトを見つけ、すぐに応募をした。週一回で日給というのも魅
力的であったが、将来は出版関係の会社に勤めたいと思っていたことが一番の動機であった。印刷会社は、十人
の正社員と二十名ほどの派遣社員、そして六人のアルバイトによって支えられていた。正社員は主に営業を行い、
派遣社員が印刷工場での作業を任されていた。アルバイトは本社へ出社し、主に雑用を行う。卓哉は、本日も八
時間の雑用を終えて会社を出た――
 「ピエモンテ」という喫茶店は恵比寿駅から徒歩十分ほどの所にあった。高級住宅街で
ある東地区の入口と言える場所に存在し、そこに相応しい外観をしていた。一級品のコー
ヒーと高級感漂う雰囲気を売りとして、様々な客層に愛されていた。
 卓哉も二ヶ月ほど前から「ピエモンテ」の常連客となった。恵比寿が連絡駅なのに、恵
比寿のことを何も知らないのもどうかなと思い、ブラブラ歩いている時に見つけたのだ。
一杯六百円のコーヒーは卓哉の財布には優しいものではなかったが、外せない存在になる
までに時間はかからなかった。
 初めて入店するときに店の前を三往復したのが懐かしい。「ピエモンテ」の外観には、
トレーナー姿の卓哉が入っても大丈夫なのか迷わすほどの雰囲気があった。意を決して入
店すると、精錬された店員が、「いらっしゃいませ」と卓哉を歓迎し、席へと案内した。
ブレンドコーヒーを注文すると、感じの良い笑顔で「かしこまりました」と言い、カウン
ターの方へと歩いて行った。辺りを見回すと、やはりその場に相応しい格好をした客しか
いなかった。しかし、卓哉を拒む視線はなく、とても居心地が良かった。ほどなくして運
ばれてきたブレンドコーヒーは、言葉が出ないほど美味しかった。六百円の内訳に場所代
は幾らいくらい含まれているのかなと、卓哉は心の中で思った。一時間ほど楽しんで「ピ
エモンテ」を後にした。
 江古田駅で降りてもその余韻は残っていた。しかし、自宅から最寄りのコンビニである
スターマートで四百八十円の弁当を買った時に、その余韻は完全にかき消された。四百八
十円の弁当と、六百円のコーヒー。天秤に掛けるのはやめておこう。
 二ヶ月が経った現在も、毎週金曜日の「ピエモンテ」には欠かさず通っていた。いつも
のように恵比寿駅で降り歩いて行く。明治通りを横切ればもうすぐである。相変わらず、
週末の恵比寿は足取りの軽い人々でごったがえしていた。
 卓哉が「ピエモンテ」に入ると、いつものように感じの良い笑顔で店員が迎えてくれた。
案内された席に座りブレンドコーヒーを注文する。卓哉は、いつもと変わらない店内に、
ひときわ目立つものを見つけた。
 女性は一番奥の席に座っていた。スーツを着こなしスカートから伸びる足を組んでいる。
見た目からして仕事のできそうな女性であった。金曜日の仕事を終え、その帰り道に一
息つくために「ピエモンテ」に立ち寄ったといったところだろうか。
 卓哉は運ばれてきたブレンドコーヒーを飲みながら、その女性に釘付けになった。「ピ
エモンテ」と「女性」という組み合わせ自体は特に珍しいことではない。これまでにも、
主婦やOLを何度か見かけたことはある。ただ、これほどまで「ピエモンテ」に似合う女
性はいなかった。女性の来ているスーツは「ピエモンテ」にも、そして女性自身にも似合
っていた。
 卓哉はいつものように一時間ほどで「ピエモンテ」を後にした。帰りの電車の中では、
女性のことで頭がいっぱいになっていた。江古田に降りて、スターマートで四百八十円の
弁当を買ってもその余情は消えることはなかった。

 翌週――
 「ピエモンテ」には、あの女性がいた。コーヒーを飲みながら本を読んでいる。一定の
間隔で顔を上げ、コーヒーを口に運ぶ。その際に見える女性の顔は良く整っていた。卓哉
もその姿に見とれながら、コーヒーを口に運ぶ。六百円の内訳に彼女を見ることも入って
いるのだろうか。
 十九時になると卓哉は席を立ち店を出た。女性が帰るまで留まりたいという気持ちもあ
ったが、これ以上の介入をしたくないという気持ちもあったからだ。「ピエモンテ」で偶
然居合わせた客同士。それ以上でも以下でもなかった。
 空はすっかり暗くなっていた。しかし街は昼間よりも輝きを放っている。明治通りを横
切ると行き交う人の数はさらに増す。あるものは高級品を身に付け、あるものは高級車を
乗りこなす。駅から来た人よりも、タクシーに乗ってきた人のほうが多いかもしれないな。
卓哉はそう思いながら駅へと歩いて行く。
「あの・・・」
 卓哉が振り向くと、そこには「ピエモンテ」にいたあの女性が立っていた。
「あなたの家も江古田ですよね? ご一緒していいかしら?」
 どうして――卓哉が言い切る前に彼女は言った。
「やっぱり気づいてなかったんですね。」
 彼女は、歩きながら話そう言って歩き始めた。卓哉も並ぶようにして歩きだす。
「スターマートって言えば分かるかしら。私、そこでアルバイトをしてるの。」
 彼女は保坂由紀子という名前だった。渋谷の大学に通っており、前々から「ピエモンテ」
に入ってみたかったのだという。
「てっきり、一流企業に勤めているキャリアウーマンだと思っていましたよ。」
 卓哉は「ピエモンテ」で感じた由紀子の印象をそのまま伝えた。すると由紀子はフフと
笑いながら話した。
「それで合ってるわよ。私は『ピエモンテ』では一流企業のキャリアウーマンなの。」
 2人はJR恵比寿駅の改札を通り階段を上った。山手線を待つ間に由紀子は続きを話し
た。
「『ピエモンテ』の雰囲気って独特でしょう。私ね、普段の姿ではどうしても入れなかっ
たの。」
 卓哉は、自分も店を三往復してから入ったことを思い出した。由紀子も同様の気持ちを
抱いていたという。
「私を見るお客さん達の視線が違ったわ。できる女になるのは快感だった。」
 由紀子は、一流企業のキャリアウーマンになることで優越感を得ていたと語った。
「そんな時にあなたが入ってきたの。あなたはパーカーを着ていた。私はそれに見惚れた
わ。笑っちゃうでしょ。」
「でも僕もあなたに見惚れていましたよ。」
「それは自然なことよ。私は見惚れてもらうために偽の姿をしたのだから。でも逆は自然
じゃないわ。一流企業のキャリアウーマンがパーカーを着た大学生風の人に見惚れたりし
ないでしょ。」
「一流企業のキャリアウーマンではなくても、僕なんかに見惚れる人はいないですよ。」
 由紀子は声を出して笑った。
「じゃあ『ピエモンテ』がそうさせてくれたのかもね。私ができる女になれたように。」
 由紀子は、池袋で乗り換える時に、スーツは就活でも使うから無駄にはならないわねと
言っていた。もう無理に着飾ったりはしないわ――と言いたげだった。
 江古田に着き、家に向かい歩き始める。その途中、二人でスターマートの前を通った。
「本当は先にここで会ってるのよ。私たち。」
「全然気がつかなかった。」
「こっちの私が本当の私。印象が薄いのが特徴なの。」
 二人で笑った。
「あなたに会えてよかったわ。自分が知らない所でバリアーのようなものを張っているこ
とに気づくことができた。」
 由紀子は、自分の本心を卓哉に話し切ることでどこかスッキリしたようであった。別れ
際に、卓哉にアルバイトの日程を伝えた。
 由紀子が大学生であったことも、家が近所だったことも、スターマートでアルバイトを
していたことも、卓哉にとっては驚くことであった。同時に、驚き以上の親近感が沸いて
いた。同じ大学生ということで、これから社会に出ていくことへの不安なども共有できた。
きっと僕たちは、コーヒーミルクのように、社会の中に溶け込んで行けるのだろう。
 後日、卓哉がスターマートに行くと、「ピエモンテ」の店員にも負けない笑顔の由紀子
がいた。
「いらっしゃいませ。」


189 ◆cKsRUgYZboUS :2009/11/23(月) 02:31:03.28 ID:tFrARIZj0
以上です。
ああ…最悪だ。間違いだらけになってしまいました。

1/5を0/0のまま投稿してしまいました。
改行文字数を1/5だけ間違えてしまいました。

申し訳ありませんでした。
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 02:40:22.22 ID:wj7KHAa10
漢字二文字でお題暮れ
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 02:42:43.77 ID:sBWu2bNB0
>>190
篝火
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 03:07:27.84 ID:v170/rC3O
規制者スレより転載だす


 316 名前 :全感 ◆pxtUOeh2oI [sage]
2009/11/23 01:14:00:26 ID:28m8DwMT(8)
続きまして転載をよろしくお願いします。
全感です。
193全感 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/23(月) 03:08:45.57 ID:v170/rC3O
No.01 英雄物語と魔女 1/5 ◇LgwUmN0nkwxU
前半のプロットみたいなのは意味があったのだろうか。
削っちゃった方が良いと思う。
年老いているから「じゃ」で若くなったらそれがなくなるって、
漫画とかのキャラ付けに毒されている気がする。
〜〜じゃ、とか言う老人をあまり見たことはない。
これはどういう話なんだろうか?
人を殺して感動させるようなつもりだったのなら、あまり好きじゃない。

No.02 君と11秒 1/5 ◇zH52hPBzFs
電車の問題の答えはなんなのだろうか? 書いて欲しかった。
誰かが死んで覚醒(この話で死んだからわからないけど)みたいな
構造はどうにかならないだろうか。ペルソナ3を買ってやってたんだけど、
後半、そればっかりで良い部分が台無しだった。これもそうだと思う。
誰かが死ななきゃ、熱血になれないって冷血だよな。こういうのは、
クリリンが死んだときに終わったのではないかと。

No.03 引っ込み思案な僕 1/5 ◇Lq1ieHiNSw
三橋で、どもり……おお振りのパラレル? 偶然か。日向と武田でサッカー部……タイガーとリベロ? 偶然か。
パシリで足が速いから部活へって話は結構、あるような気がする。
アイシルとかJドリームとか。この先生がとてもウザイと思ったw
話もキャラも典型的過ぎるような。それだけでおもしろいと思わせるのは、とても難しい気がする。

No.04 ふくろうの静脈 1/5 ◇QIrxf/4SJM
まねきねこダックの猫って気持ち悪くない?
切り替わりがよくわからなかった。話もよくわからない。
前はわからないけど、文章は読みやすかったように思うけど、
何か下手になってないか? 実験中とかだろうか。
どちらにせよ個性があって良いな、とは思う。
でも、寂しいけれど俺の好みに合うことはこれからもなさそうだ。
194全感 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/23(月) 03:09:56.24 ID:v170/rC3O
No.05 ねっけつたろう 1/1 ◇hAKnaa5i0.
ものすごくよみにくいですまるここまでてっするなら
いっそしょうせつのるうるなんてきにせずはんかくすぺえすとか
でくぎってみたらどうでしょうかはてなぜんかくすぺえすはなしは
それなりにこのみですまるただうざがられるぐらいのねっけつかんに
まわりのひとがすぐになるってどうかとおもいましたまる
それってべつにそんなたいしたねっけつかんじゃないんじゃないかとまる

No.06 血を繋ぐ 1/5 ◇IL7pX10mvg
これなんてフランス書院。ドキドキ。
>「ひゃうんっ」
これは何かダメな気がする。

No.07 みにつまされて 1/2 ◇Mulb7NIk.Q
なんか微妙だった。熱血というと何か違う気が。
特に笑える感じでもなかったし。

No.08 熱来椎造 1/5 ◇VrZsdeGa.U
ほめるところも文句もない感じ。
熱血漢だから熱や火が出るとかの設定がちゃんと説明として
あるとわかりやすいかもと思った。
なんで燃えるの? とか最初思ったから。

No.09 冷血のゆくえ 1/5 ◇YeNsuy62Yo
姉ちゃん、かっこいいな。
切るとこ間違ってるな。
あと二レスぐらい欲しいだろ。勝つにしても負けるにしても。
195全感 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/23(月) 03:11:03.55 ID:v170/rC3O
No.10 透明オレンジと36℃ 1/5 ◇pxtUOeh2oI
自分の。NHKの自殺特集で、三回失敗した人のインタビューを見て、
お前死ぬ気ねーだろ、とそんな特集とかがムカついて思いついた話。
熱血を書くのは無理だった。どうしても陳腐で冷めちゃう。
185行ぐらいを15分で150行に削ったので、話が飛んでるとこがあるかもしれん。
いつものごとく推敲してないし。頑張るほど票が貰えない法則が発動しそうな予感。

No.11 風を受けて 1/4 ◇DSM7XB0fYQIy
>第七区の坂井さん、ですよね。私記憶力はいいんです」
坂木さんじゃないですか、ここで間違えるなよw
話はシンプルでいいかもしれない。でもちょっと毒がないというか、
普通すぎて特色がないような。
何かひとつでも、かっこいいセリフとか文章とかあればいいいと思うんだけど、
よくあるものしかないように思えた。
196投票 ◇pxtUOeh2oI:2009/11/23(月) 03:12:32.04 ID:v170/rC3O
******************【投票用紙】******************
【投票】:なし氏
【関心】:No.06 血を繋ぐ 1/5 ◇IL7pX10mvg氏
     No.09 冷血のゆくえ 1/5 ◇YeNsuy62Yo氏
     No.11 風を受けて 1/4 ◇DSM7XB0fYQIy氏
**********************************************
― 感 想 ―
9は投票にしようか結構、迷った。もっと続きがあればなあ、と思う。あと鉄パイプはないなとw
6はドキドキした。6も9も年上の人はイイデスネー。
11と2は関心に入れることについて迷った。
2はやっぱり構造が受け付けないので入れなかった。
それ以外の設定とかでもうちょっと読みたかったというか。
全体的に熱血じゃーねーなあ、と思ったw
スレ住人の気質の問題か、セリフで文字を続けたりすると陳腐に見えることが原因か、
熱血を書くのは難しいな、と思う。
いろんな人、お疲れ様でした。ねこさんを抱きしめて暖まりたいです。
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 03:14:28.84 ID:v170/rC3O
 322 名前:文才無しさん[sage]
2009/11/23 01:58:00:00 ID:28m8DwMT(8)
来てた感想にケンカを売りたいと思うので、もう一つ転載をよろしくお願いしますw

>>176
10の作者です。樹海の奴。
嫌な論理だというのは個人差なので別に構わないと思うし、自分もそんな良い論理だとは思ってない。
作品が評価されないのも、まあわかるしw いいのだけど、たまにはなんとなく熱血反論。
「現実のアンチテーゼとなる理想を描かねばならない。」これはどうだろうか。
それだと幸せな妄想ばかりなんじゃないだろうか。小説にルールなんて読みやすさの問題ぐらいしかないだろう、と思う。
生を肯定するものだけが小説ならミステリーとかはどうなるのか。そもそも生の肯定とは「生きなさい」と
決めつけることなのか。自分の思うとおりに生きるのは生の肯定ではないの?
それなら、生きた蝉を本に貼り付けて売った方がいいんじゃないだろうか。
誰かの為に命を投げうって頑張ることは、いいことらしく推奨されるのは何故だろうか?
俺としては、友達は大切ですとか、命は大事にしましょうとか、自殺は絶対にいけませんとか、
そういった「世界の不条理」というような固定観念が嫌い(好きな作家の影響がかなり大きいけど)なので、
立ち向かったつもりですw
といことで、もちろんフィクションです。別に俺は自殺を推奨しようとは思わないですし、
むしろその逆な気がするけど、こういった考えもあるだろう、それは別に悪くはない、
自分の知り合いならば許容できないが、という感じ。
単純に「いけません」ではなく、「何故?」「では、考えてみましょう」
「だから、しないほうがいいかもしれませんね」みたいな方向性が好きなので。
あと自殺者の心理とかも考えて見たかった。普通じゃない人の心理を書くのが好きなので、
天才とか殺人犯とか自殺する人とか、フィクションだしw
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 03:15:39.67 ID:v170/rC3O
ぜんかんおつです


転載をおわります
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 03:26:09.75 ID:YwFNcMp7O
ちんことまんこでスゲエ真面目な青春小説を書け
短くていい
200【投票】 ◆LgwUmN0nkwxU :2009/11/23(月) 03:32:00.01 ID:aCzDPbAz0
まずは投票
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.08 熱来椎造 ◆VrZsdeGa.U氏
【関心】:No.04 ふくろうの静脈◆QIrxf/4SJM氏     
**********************************************
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 04:12:13.05 ID:+j51BwmC0
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 04:21:31.32 ID:hl22u6N80
お題ください
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 04:24:18.24 ID:+j51BwmC0
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 06:09:55.00 ID:ACMioohRO
>>183
自分の出したお題がこういうふうに作品になるとなんだか不思議な感じがしますね
とりあえず気になった点など書いてみます

まず、一人称と三人称が混ざっているので、統一するよう心掛けたほうがいいかと思います
それから表現がありきたりに感じます。そのせいか全体的に、ストーリーも含めてのっぺりとした印象を受けました
工夫というかなんというか、捻りのようなものがほしいですね。部分にも全体にも

う〜ん批評も意外と難しいですね、これが精一杯です、すみません
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 07:43:29.77 ID:9Ggpe16w0
冷たい風が吹き抜ける
木々から落ちる葉が無くなった季節
日が昇るほんの少し前
僕は

保守をした
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 08:18:32.69 ID:fi2U//Mu0
……保守
207 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 09:34:22.69 ID:KaHwPU1y0
夜中のテンションで変なこと書くもんじゃないな。
>>197
 投げっぱなしにするのもあれなので、弁解させてほしい。べつに喧嘩を売るつもりはない。
>それだと幸せな妄想ばかりなんじゃないだろうか。
 まず、決してそうは言っていない。もちろん現実に苦しみあえぐ姿が描かれている小説は好きだし、むしろ妄想小説は嫌いな類だ。
言いたいのはそうした苦しみにいかに堪えていくか、乗り越えていくかが描かれてなければ駄目、ということ。
おそらく「理想」なんてたいそうな言葉を書いてしまったのがまずかったのだろう。言い換えるならばなんだろう、
現実への「活力」とでもしようか。
>生を肯定するものだけが小説ならミステリーとかはどうなるのか。
 ミステリーは大抵最終的に犯人は暴かれる物だと思っていたが。アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」みたいな
怪奇小説は例外として(あらすじしか読んだことがないが、何が言いたいか正直わからん、あれ)。
もし私の思いこみがあっているのならば、犯人の暴露とは殺人の否定につながる。犯人は警察なりなんなりに行って
人間社会から隔離されるのだから。それは婉曲的に生を肯定するのではないか(そう考えると人を死なせて感動を奪う小説に
似たものがあるな)。思い込みは思い込みだよ、というなら、その類の小説をぜひ教えてほしい。
>自分の思うとおりに生きるのは生の肯定ではないの?
 だからといって死なせて良いのか。ニーチェがルサンチマンの論理ではない、自己から発する規律を確立せよ、
なんてことを主張したのだが、それは結果ナチスのような集まりを生んでしまった(是非はあるが)。
戦後ニーチェがナチズムの生みの親として糾弾されたが、それはひとえにニーチェの言葉足らずが原因とされた。
つまり、「自分の思うとおりに生きる」ことが他人の利益を害してはならない、ということが抜けていたらしい。
 おそらく、自殺するのだから他人の利益を害しはしないじゃないか、と反論されるであろうが、
それを小説にすると下手に影響を受ける者が現れかねないのである。それこそニーチェの思想を曲解したナチスのように。
それはつまるところ他人の利益を害することになるように思える。小説とて最低限の倫理観は備えてしかるべきだ。
いわゆる、読みやすい、というルールが必要なように。
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 09:34:25.66 ID:XSGDrY4n0
209 ◆VrZsdeGa.U :2009/11/23(月) 09:35:30.00 ID:KaHwPU1y0
>誰かの為に命を投げうって頑張ることは、いいことらしく推奨されるのは何故だろうか?
 その「誰か」の生、つまり命を救うことになるからだと思える。
>そういった「世界の不条理」というような固定観念
 確かに人間の生も一つの不条理と考えることができる。だが、これに関しては他の不条理と違った性質があるのではないか。
それを不条理不条理と片付けてたらとっくの昔に固定観念は取っ払われ、人類は滅亡しているように思える。
なぜ人類は不条理を肯定してきたのか、そのことを考えぬままシニカルに物事をとらえると
思考停止に陥る人間ばかりがあらわれ、あぁ、今の日本がそういう状況に陥っているのか。
とにかく、どうしてもだめだ、という論理を超越した半ばアンタッチャブルなものは必要で、
>友達は大切ですとか、命は大事にしましょうとか、自殺は絶対にいけませんとか、
 これが駄目だったら生自体はすべて成り立たなくなる。殺人を肯定するようなものだ。
キリスト教や仏教といった生を肯定する宗教がなぜ存在するのか。人間は常に生という不条理を肯定してきたように思える。
>単純に「いけません」ではなく、「何故?」「では、考えてみましょう」「だから、しないほうがいいかもしれませんね」
 みたいな方向性が好きなので。
 それは大いに理解できる。ただ、「だからしないほうがいい」と言うところが小説からうかがえなかったから、
鼻もちならなかったのだ。心理小説や教唆小説は好きだけど、それをよりによって自殺で締めてほしくなかった、というわけ。
悲しすぎるじゃない、悲しいで小説成り立っちゃいけないんだよ。

 色々書いたはもののやはり言葉が足らない、あるいは間違えてるとこが多いかもしれない。文章は難しい。
 しかし、滅茶苦茶に書いていると、「理想」も「現実」に支えられてこそ成り立つのではないか、と思えてくる。
二律背反というか、背中合わせというか、パラドックスというか、ああ、難しや難しや。それと、
>>194
>なんで燃えるの? とか最初思ったから。
 なんで桃太郎で犬や猿がしゃべるのか、童話みたいなもんです。熱いから熱いんだよ! No reason!
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 10:46:06.92 ID:fDKeg1f50
ho
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 11:28:34.30 ID:Zma+7PuoO
あげ
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:04:54.97 ID:GXF8jsiK0
つまらない小説につまらないと、嫌いな小説に嫌いと言うだけなのに、気にしすぎなんだよ。
適当でいいんだよ、適当で。
どうせ何を言ったところで、受け取る側は受け取りたいようにしか受け取らないんだから。
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:05:40.53 ID:fi2U//Mu0
釣り針がでかすぎる
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:06:32.86 ID:Zma+7PuoO
どこを立て読み?
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:09:05.07 ID:GXF8jsiK0
釣りに見えるのか……。
当たり前のこと言っただけなんだがなぁ。
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:10:14.58 ID:fi2U//Mu0
釣り竿が二本になった
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:12:11.80 ID:Vl2BqmLo0
逆に釣られてるんじゃ……

それはそうとお題ください
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:15:03.33 ID:fi2U//Mu0
清流
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:19:25.62 ID:Vl2BqmLo0
>>218
ども
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:32:44.60 ID:XEO3MdvRO
お題下さい
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:35:27.46 ID:hzGqbovWO
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 12:36:54.75 ID:XEO3MdvRO
把握しました
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 13:40:20.97 ID:DspX3F3m0
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 14:11:10.97 ID:+j51BwmC0
国士無双ktkr
保守
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 15:08:06.58 ID:2OuNFky1O
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 15:21:43.43 ID:dy42XsN4O
お題!く!
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 15:22:01.72 ID:cPwdVY0a0
母胎
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 15:26:32.23 ID:dy42XsN4O
把握
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 15:29:36.72 ID:ee6ZCN8H0
No.01 英雄物語と魔女 1/5 ◇LgwUmN0nkwxU
説明ばっかりで読む気失せた。つまらん。
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 16:13:13.27 ID:+j51BwmC0
うあああ
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 16:47:34.70 ID:bur24sTn0
お題ちょうだい
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 16:50:28.10 ID:JN3nx+e80
>>231
魔法少女
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 16:50:53.71 ID:bur24sTn0
アリガd
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 16:53:26.76 ID:N/t23Oh/O
お題をくだしあ
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 16:58:04.59 ID:v170/rC3O
>>234
天然

規制者スレよりこちらの方を転載いたしま


 327 名前:文才無しさん[]
2009/11/23 16:32:00:42 ID:cSgm0sg7(3)
以上の転載をおねがいいたします。
しかしこのスレも長くなりましたね。僕の青春の七割はなぜかここにあったように思います
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 17:00:06.43 ID:dByREvQU0
お題がほしいよー
237【転載1/2】:2009/11/23(月) 17:00:38.93 ID:v170/rC3O
ひさしぶりだから全感想からやるます。規制のせいでお題ももらえない。
No.01 英雄物語と魔女
 冒頭の段階で文章読みにくいなぁと思いました。
 『力の無いものには近づくことさえ出来ないその宝珠を手にとって奪った魔女を追いか
ける勇気のある者はいなかった。』
 音読してみるとわかりやすいけど、宝珠を、で一旦文が切れてるんだから読点入れても
よかったんじゃないかな。というか文を分けたい。宝珠の説明と魔女の説明を一度にやろ
うという一挙両得の文はこういうBNSKの長さじゃ正道ではあるけどこれは無茶。
 冒険部分とかそういうのは全部どうでもよくて、ようするにラスボスと主人公のらぶー
をやりたかったんだろうけど、ちょっとつめすぎだよね。
No.02 君と11秒
 やべー超ヒーロー。なんというかひたすらに王道というか一直線というか。
 多分もっとひねれとか感想来てるかもしれないけど、俺はこういうの好きだぜ。
 ヒーローってのは理屈じゃないんだよな。そういういわゆる子供向き(褒めてる)ヒー
ローである海北と理屈で考えるタイプの、中高生向き(褒めてる)ヒーローのエシャの対
比が上手くいっていると思う。
 少年魂を上手くつかんでると思う。好きだわこういうの。
No.03 引っ込み思案な僕
 パシリランナーwwwどういうオチのつけかただよwww
 なんだこのじめじめした熱血感。楽しいなこれ。二レス目後半がちょっとぐだぐだな文
章だけどいいわぁ。
No.04 ふくろうの静脈
 よくわからなかった。
No.05 ねっけつたろう
 全然熱血じゃないっていうか暗い! 暗いよ!
No.06 血を繋ぐ
 エロ漫画乙。
o.07 みにつまされて
 楽しいお話だけどなんかこう、盛り上がらないなぁ。
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 17:01:04.04 ID:JN3nx+e80
>>236
エロマンガ
239【転載2/2】:2009/11/23(月) 17:01:59.99 ID:v170/rC3O
No.08 熱来椎造
 これはいい! 熱来のキャラクターがまた楽しいし、こういう空回り系の笑いは大好き。
いちいち挟まれる小ネタが面白くて、文体と雰囲気がマッチしててさくさく読める。
 そんでオチたと思ったあとにもう一ひねりあって、これは面白いよ!
No.09 冷血のゆくえ
 だーいーなーしー。この手のいじめネタで仕返しするってんなら最後まで書けよ。
 それともアレかい? サディストなのかい? 女の子を作中でいじめたらそれでポイっ
てかい? そこに萌える人かい? 熱血分、最後の五行くらいにしかないじゃん。
No.10 透明オレンジと36℃
 やっぱりやったな、血ネタ。だれかやるとおもってた。
No.11 風を受けて
 なんかふつー。

投票
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.02 君と11秒
     No.08 熱来椎造
【関心】:No.03 引っ込み思案な僕

 熱血分が不足しています。充電してください。
 本当にぶんすかーはひねくれものだな
**********************************************
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 17:03:17.72 ID:v170/rC3O
転載おわりです


ぜんかんと青春おつです;;
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 17:40:45.99 ID:dByREvQU0
お題エロマンガ
で投下させていただきます
242タイトル無(お題 エロマンガ) 1/5:2009/11/23(月) 17:43:42.82 ID:dByREvQU0
「zipくれ」
ああこの5文字、何度打ったことだろうか
「詳細キボン」
もう手元を見なくても打てるようになった

俺の趣味
他人には理解されがたいがこれはちょっと対象がほかの人間と違うだけであって
根本的にはコレクションと同じ、マニアなのだ
まあ変態といわれてしまえばそれで終わりなのだが、俺は、俺の、宝物である

この本棚この部屋この家

俺の 宝箱である

****

今日もイベント
昨日もイベント
俺の脚はパンパンだが仕方ない。

「ああ・・・っ」

肉色の表紙に思わず声が漏れる
感嘆
息は喘ぎのようになって消えた
若干売り手の方が引いているようだが今の俺には関係ない
あいしてる命結婚してもいい三次なんて必要ない俺はこの世界に生きると決めた

****
243タイトル無(お題 エロマンガ) 1/5:2009/11/23(月) 17:44:26.13 ID:dByREvQU0

「うー (今日は冷えるな)」

まだ早いかとは思ったが我慢ができない
実家からひっぱってきたストーブを付けると少し、こげくさいような匂いがする この匂いが俺は好きだ
少し古いが別に悪いことはない
台所のを出たところ食卓の前に用意されているストーブ
ここの椅子に腰かけるとちょうどいいようにあたたまってくれる
温かい
毛布を出そうか、そうだ昨日のイベントで買った本を読もうか
俺はエロ漫画にうもれた押し入れから毛布をひっぱりだしついでに昨日おいてそのままのカバンを探した

「あったあった」

コレクションという割には扱いが雑?
馬鹿を言うな。 本は読むものだ
読まれてこそ本は幸せなのだ

(コーヒーをとりにいくついでにティッシュをもってこよう)

床におちている箱ティッシュを持って台所へ向かう。
やっぱりホットミルクがいいかな
電子レンジのスイッチを入れて、待つ
左手にティッシュ 少し生生しいがまあ良し
誰がみているわけでもない

ピー…と音がなり電子レンジの扉をあける
244タイトル無(お題 エロマンガ) 3/5:2009/11/23(月) 17:46:08.78 ID:dByREvQU0

「うわっ熱ッ」

思った以上にカップはあつくなっていて俺は両手でもっていくことにした

-------

「ふー」

体の芯からあたたまる
体の芯があたたまっている

「さて、と」

どれから読もうかと手を伸ばす

「あれ」

そういえばティッシュはどこへやったっけ?
まあいい
丁度テーブルの上に置いてあったのを見つけて近くへ引き寄せた
----------------
一通り読み終わり、事も終えたころ俺は昨日の疲れからか眠くなり、
丁度毛布もあるのでここでねてしまおうか、と思った

すこしずつぼやけてゆく思考の中でストーブを付けっぱなしな事に気がついたが
イスで寝てるし熟睡することはないだろうと俺はそのまま目を閉じた

********
245タイトル無(お題 エロマンガ) 4/5:2009/11/23(月) 17:49:21.24 ID:dByREvQU0
焦げ臭い
俺のすきなストーブの、匂い

「・・・?」

ああ、そういえば付けっぱなしだったんだった。今は何時だろうか、と目を開けると
焦げ臭い理由はストーブじゃなかった  いや、ストーブなのだが・・・・・

「もえ・・・てる?」

燃えてる

「うわあ!!!!!????」

ストーブをみるとストーブの上にはさっき忘れたとおもっていたティッシュがのっていて、
ティッシュの近くには俺の宝物 宝物は紙でできていた
紙は燃える
燃えるは焦げくさい
焦げ臭い=俺の宝物が、燃えてる

「!!!!!」

俺はとっさに手をのばして
「熱ッ!」
「あ、あ、あああ」

しかし俺はコレクター 大事な宝物が、消える となると
「うわああ・・・・ああ、ああああっ」

何だろうと関係ない
246タイトル無(お題 エロマンガ) 5/5:2009/11/23(月) 17:51:27.44 ID:dByREvQU0

俺はコレクションを守ったのだ

-------------------------------------------------------------

「……」



白い

ああ、病院か

俺の宝物はどうなってしまったのだろうか

そう思うと涙がでてきた

両掌、俺が必死に宝を守った両手がジンジンと疼いている

左手の指がひきつったようになっている くっついてしまったのだろうか

どんなもんだろうかとみてみると左手に握っていたのはボロボロになった表紙

その中でただ一人女の子がグシャグシャに笑って俺をみていた


終わり
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 18:10:47.83 ID:O0cHfKY0O
>>242-246
句読点打ったほうがいいんじゃない?
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 18:41:09.64 ID:Zma+7PuoO
>>246
読んだ。
話は悪くないと思う。ただ、改行がやたら多い。
VIPでよく見られるSSスレの作風に倣ったのだろうか。
文才スレなりの形式に則るべきかと。
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 19:08:21.83 ID:Zma+7PuoO
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 19:18:19.36 ID:TDf7VbXH0
お題ください
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 19:20:44.76 ID:+j51BwmC0
役満
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 19:23:36.94 ID:TDf7VbXH0
>>251
把握
麻雀わからんけどwww
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 19:48:41.61 ID:O3WgOfIu0
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:16:06.17 ID:Ra7YSvaIO
初めてここ来た。

面白い咲品もそうでない咲品もあるなぁ。

上手い人は入り口がすんなり読み手に優しい。

それはまるで茶道に通じるように思われた。

飲んだ瞬間熱くもぬるくもない口当たりのよいお茶。

作法という面倒なルールの中で出来上がる秀逸な湯加減。


体に最初入れるための入り「口」。

そういう優しさを小説ルールの中で試行錯誤するのは素敵な事だと思う。
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:23:32.97 ID:+j51BwmC0
>>254
え?
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:25:46.97 ID:wTscCXWN0
すんばらしい表現でございますわね。
私もみならいたいものでございまry
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:27:36.92 ID:fi2U//Mu0
>>254
産業で
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:28:35.34 ID:O3WgOfIu0
>>254
そうだな、セクロスの時も口は大事だもんな。
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:38:01.12 ID:ee6ZCN8H0
No.02 君と11秒 1/5 ◇zH52hPBzFs
最後の二行いらない。文章がだるい。
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:42:48.29 ID:5e2IE+IbO
読むの遅くないですか?
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:42:53.48 ID:O3WgOfIu0
>>259
メモ帳にでもまとめて一括でレスしたほうが良いと思うよ、作者さんが見逃しちゃうかもしれないし
262秀才の苦悩(お題:テスト)0/5:2009/11/23(月) 20:43:53.58 ID:O0cHfKY0O
投下します
263秀才の苦悩(お題:テスト)1/5:2009/11/23(月) 20:45:01.84 ID:O0cHfKY0O
「明日からテストだから、ちゃんと勉強するんだぞー」
 帰り際に、担任が言った。
 その言葉を聞いた教室内の生徒達が「もうテストかよ〜」とか「今回の範囲広いんだよな〜」
とか、様々な形でテスト週間に愚痴を漏らしている。
 今口に出していない生徒も、心の中では愚痴を漏らしているはずだ。
 かくいう俺もその一人。
 まあ、愚痴る方向が少し違うけれど。
 テストについて言えば、全く問題ない。範囲の部分は既に勉強を始めているし、
自慢じゃないが、過去のテストでも学年トップ5以内に入らなかったことはないくらいだ。
 無論、今回もトップ5以内に入る自信はある。
 何故、俺が教室のど真ん中の席で頭を抱えて悶えているのかというと、
「賢ー、一緒に帰ろーぜー」
 こいつが原因だ。
 声の主は、幼なじみの女子、凪である。こいつの二言目が俺が頭を抱える主な原因になっている。
「賢、今日テストの範囲全部教えてくれ!」
 幼い外見には似合わない男のような言葉づかいで、
もう過去に何度も聞いた言葉を発した。
264秀才の苦悩(お題:テスト)2/5:2009/11/23(月) 20:45:49.03 ID:O0cHfKY0O
「お前なあ……毎回ちゃんと勉強しろって言ってるだろうが」
「ボクは世界の平和を守るので精一杯だからな」
 悪びれもせず、そう言った。
 要は「ゲームが忙しくてテスト勉強なんてやってらんねー」ってことだろうが。
 図書館に到着。
 静かな場所なので、勉強には最適だと思う。隣に凪がいなければ、だが。
「賢、今回は数学以外は大丈夫だから、数学だけ教えてくれ」
 横着なことを言っているように聞こえるが、こいつは古典と日本史と数学以外は眠らずにちゃんと授業を受けている。
 古典と日本史は自分の国のものだから問題ないそうだ。
 数学は授業受けたくないくらい嫌いだとか。知らねえよ、そんなの。
「まず範囲内の公式を全部頭に叩き込め」
 俺は凪が赤点とらない程度に教えてやるだけなので、適当なことから教えていくことにする。

 三時間後。
「疲れた……」
「お疲れ!」
 笑いながら俺の肩にぽんと手を置く凪。
「次からはちゃんと授業受けてくれよ……」
 マジで頼むから。
「やだ。お礼するからボクん家寄ってけよ」
 この台詞も、もう聞きなれたものである。
 しかもお礼がまた割りに合わないんだよな。
265秀才の苦悩(お題:テスト)3/5:2009/11/23(月) 20:47:11.39 ID:O0cHfKY0O
 凪の家に到着する。
 家の前で、
「ちょっと待ってろ!」
 と凪が言って、待ち続けること十五分間、ようやく凪が家から出てきた。
「待たせたな!」
 凪は、普段着に着替えていて、手に持っていた弁当を俺に渡した。
「これでも食って、勉強がんばれよ!」
 偉そうに俺の肩にぽんと手を置いて、そう言った。
 その台詞の後半が自分に跳ね返ってくることは無いのだろうか。
 まあ、これがいつものテスト前の悩みということだ。
 凪は満面の笑みでじゃあな!と元気よく言って、幼い容姿によく似合っている
ツインテールを翻し、家に帰っていった。
 ……さて、帰るか。

 翌朝。
 凪とは毎朝校門でエンカウントする。今日も、校門をくぐるときに、凪と挨拶を交わした。
「ほい」
 弁当を渡す。
「食ったか! どうだった?」
「なかなかだった」
「曖昧だな〜」
 率直な感想に文句を言わないでくれ。
「お前、今日は数Uのテストだけど、大丈夫だろうな?」
 凪は、親指を立てて、はじけるような笑顔で言った。
「任しとけ!」
 この台詞を聞いて、ようやく仕事が終わったような気分になる。
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:47:55.15 ID:VGB8M6EMO
>>255
クソワロタwwwwwwwwwwwwwwww
267秀才の苦悩(お題:テスト)4/5:2009/11/23(月) 20:48:08.81 ID:O0cHfKY0O
 ただ、凪のこの表情を見て、こう思った。
 次のテスト前に、同じことを頼まれても引き受けてやろう、と。
 まあ、凪の弁当を貰うことは嫌じゃないしな。

 一週間後。
 凪のテストの結果は、帰宅時に見るようにしている。
 同じクラスだから、教室で見ることも出来るのだが、まあ、楽しみは後にとっておきたいのだ。
 校門を出て、凪に尋ねる。
「数Uと数B、何点だった?」
 凪はスカートのポケットの中から、折り畳まれた回答用紙を取りだし、
じゃじゃーんっ!と言って、それを広げた。
「どうだ!」
 数Uが50点、数Bが61点。
 なかなかの出来だった。
「良かったな」
 俺はそう言って、凪の頭を撫でた。
「子供扱いすんな!」
 殴られてしまった。まあ、ダメージなんて殆ど無い、甘噛みのようなもんだ。

 翌日の放課後。
 今日帰ってきた古典のテストの点数を好奇心で聞いてみた。
「……点」
 全く聞こえない。まさか……。
「……26点」
 赤点だ。調子にのるとこうなる。日本史はかろうじて赤点は免れたようだが。
「追試だな」
 凪の肩に手を置いて、言った。
「賢、古典教えてくれ」
 悲しそうな表情で、そう言った。
268秀才の苦悩(お題:テスト)5/5:2009/11/23(月) 20:48:55.67 ID:O0cHfKY0O
 まあ、自業自得だが。
「追試はいつだ?」
「……一週間後」
 この追試に落ちると、冬休みに補習という、最悪な事態を引き起こしてしまう。
故に、凪の表情は本当に悲しそうだ。絶望していると言っても過言ではない。
「今日から一週間、古典漬けだからな」
「うん」
 凪にしては珍しく、殊勝に頷いた。どうやら相当こたえているらしい。
「安心しろ」
 凪の頭に手を置く。
「追試なんざ楽にクリアさせてやるから」
 そのまま、頭を撫でた。
 今度は、殴られなかった。
 俺と凪は、また図書館に向かって歩き出した。
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:53:38.60 ID:ee6ZCN8H0
>>260
自分へのレスだとしたら、気が向いたときに読んでるだけだから遅いとか言われても知らん。

>>261
全部読むかどうかもわからんから、まとめようがない。作者が見るかどうかなんて知らん。

感想くらい好きに書かせろよ
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:56:18.60 ID:Ra7YSvaIO
やべー糞笑われたw

わたくしセンスないのだなw
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:57:02.58 ID:fi2U//Mu0
>>269
      r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/      >::::::::::ヽ
.      〃  ヽル1'´        ∠:::::::::::::::::i
       i′  ___, - ,. = -一   ̄l:::::::::::::::l
.      ! , -==、´r'          l::::::/,ニ.ヽ
      l        _,, -‐''二ゝ  l::::l f゙ヽ |、 ここはお前の日記帳じゃねえんだ
        レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_   !:::l ) } ト
       ヾ¨'7"ry、`   ー゙='ニ,,,`    }::ヽ(ノ  チラシの裏にでも書いてろ
:ーゝヽ、     !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、       ,i:::::::ミ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ト、 r'_{   __)`ニゝ、  ,,iリ::::::::ミ
::::::::::::::::::::Vi/l:::V'´;ッ`ニ´ー-ッ-,、:::::`"::::::::::::::;゙ ,  な!
:::::::::::::::::::::::::N. ゙、::::ヾ,.`二ニ´∠,,.i::::::::::::::::::::///
:::::::::::::::::::::::::::::l ヽ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /
::::::::::::::::::::::::::::::! :|.\;::::::::::::::::::::::::::::::/ /


何様ですか
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:58:24.19 ID:ee6ZCN8H0
>>263
凪ちゃんの口調から言って僕っこよりも俺女のほうがよかったような気がする。もしくは私でいくか。
弁当作るの早すぎじゃねとか色々つっこみどころはあるけど、内容的にスルーしてもいいような気もする。
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 20:59:11.84 ID:ee6ZCN8H0
>>271
読者様
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:01:03.24 ID:wTscCXWN0
感想書く奴勘違いしてないか?
最低限の敬意って奴があるだろ……jk
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:01:38.20 ID:JN3nx+e80
>>273
率直な感想大いに結構。読者の率直な感想は書く側がほしいと思うだろうからな。
でも読者様ってのは気に入らん。読者が上なの?どっちが上でどっちが下とかないだろ?
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:02:21.40 ID:O3WgOfIu0
                     _,..、__,,_
                   _y'彡三三≧=、
                 ,イミt彡三三三ミミヽ、
                 、j'ミミシ'"`ー---=ミミミミt
                 }ミミリ   、,    Vi|リ!
                 '、ミ! -=、_,ハ、__,.=- lj州
                 iV rtッュ; ゙';rtッュ V^i
                 `゙! `¨,.´ ゙、゙¨´ jリソ    >>269
                   、. /'-、,-'ヽ ... /´     熱くなれよ!
                  _jl | rェェェュ | ,fに丶、
                f"´ ∧ 、'、__ノノ∧:::}  ヽ
            ,. - ―へ、 ∧ `ー‐ ' ハ/:/  ノ^>、_
           /      ヽ、__ ゝ--- 'イ::/  /   `丶、
          /   、    i「 `ヾ ̄´::::::/ rァf´       ヽ
        /   ;  :'|    ||   l:::::::::::ん'.//  ;  ;' /   ',
         ト.,_ '、_ ', | ;    ||   |:::::,イて//   ' / /    '、
        ,ハ `' 、ヾj |    ||   「レ'  {ソ     ,' / ,. -__,. }
         / `   ヽヽ l|    ||   H           { l, '  ,. -_ '、
      /      ソ! ;|    ||   iJ         l f_ / '´  '、
_    ん- 、 、  ,ノ ', l!     ||   |||         l ト、'  _,. -__,.ヽ
  `¨`ヽ'^'ー ミヽヽ ノ  ,};:'    ||   |||         | | ,ゞ彡'´ -‐ ーミi
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:10:04.72 ID:VsqfuOaMO
文才スレの読み手なんてくだらねえ奴しか居ねえよ
芥川や司馬の丸写しにも気付かないからなw
ろくに本も読んでないゆとりばかりだ
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:15:28.98 ID:Zma+7PuoO
なんだか今日は荒れてるな

>>268
読んだ。
いわゆる雰囲気作品か。それなら801でも問題ないよね。
ボーイッシュっていいよね。
以前、このスレで自分が注意されたことではあるけれど、
台詞から文章を始めてはいけない。
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:16:06.19 ID:ee6ZCN8H0
じゃあ君たちが感想書いてあげてよ。暇で感想少なかったから書いてただけだし。
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:17:25.72 ID:ok+6A/KCO
>>268
ちょっと説明というか就職文がたりないかなと感じた。

例えば
> そのまま、頭を撫でた。
>  今度は、殴られなかった。
>  俺と凪は、また図書館に向かって歩き出した。

この文章のトリを飾るこの部分でこれはちょっと寂しくないか?
せめてL2とL3の間に一行あけるとかどうだろうか
それだけでも余韻のできかたが違うと思う

それに「〜た」って文末を多用してて、なんかちょっと違和感ある希ガス
L1を「撫でてみる」とかにちょっと代えてみたり

ちょっとうえからでごめんね
初心者だけどこんな感想かな
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:19:58.47 ID:JN3nx+e80
>>279
別に書いてることはいいんだよ。ただ、書き手も一人の人間なわけだから、最低限人と接するときの礼儀ぐらいは持って書けってことだろ?

何が"じゃあ"なのかわからないんですが。
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:22:17.37 ID:O0cHfKY0O
感想ありがとうございます
参考にさせていただききます
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:31:58.05 ID:5e2IE+IbO
>>268
読みました。

凪ちゃん可愛いですね。
けど、主人公から見てそれが脈ありなのかなしなのかがわからないので、感情移入しづらかったです。
もっと賢ちゃんの心情を書くといいと思います。
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:35:28.33 ID:F7FueyPQO
斬り捨て感想なんてBNSK名物みたいなもんじゃないか
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:37:28.34 ID:JN3nx+e80
>>284
自分は別に感想には何も感じなかったんだが「読者様」って言ったのが癪に障っただけ。

スレチなカキコスマソ
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:44:03.79 ID:eUBcQL380
「読者様」ってのにたいして意味はないと思うけどな。
何様かなんて聞く方がどうかしてる。
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:45:01.31 ID:O3WgOfIu0
しかし釣り針は引っかかるもんじゃねえな。
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:45:29.60 ID:JN3nx+e80
>>286
まあ売り言葉に買い言葉だと思ったんだがなんか癪に障っちまったんだ。スマソ
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:46:14.82 ID:ROw9McOf0
要するにお前ら連休が終わるのが嫌なんだろ?
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:47:29.02 ID:+j51BwmC0
>>289
え?なんのこと?
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:49:57.26 ID:ee6ZCN8H0
なんか変な流れにして悪かったね。
またこうなったら面倒だから、これから作品投下も感想投下も控えることにする。
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:50:34.19 ID:F7FueyPQO
ぼくたちの三連休はこれからだ!
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 21:51:39.69 ID:JN3nx+e80
自分もすまんかった。スルー能力身につけなあかんな……。
294 ◆IL7pX10mvg :2009/11/23(月) 21:58:54.38 ID:5e2IE+IbO
自分も申し訳ないです。

申し訳ないついでに全感投下します
295 ◆IL7pX10mvg :2009/11/23(月) 22:00:38.90 ID:5e2IE+IbO
No.01 英雄物語と魔女 ◆LgwUmN0nkwxU氏
魔女視点でやったら面白かったんじゃないでしょうか。
さんざんあがってますけど、やっぱり説明が冗長ですね。

No.02 君と11秒 ◆zH52hPBzFs氏
頑張れエシャ!
海北君は気絶しただけだよ!

No.03 引っ込み思案な僕 ◆Lq1ieHiNSw氏
三橋君は好きですけど、ちょっとご都合展開すぎたと思います。
彼がどもらなくなった、まで行ったら、そこまででいいと思うんですよ。
自分の好みですけどね。

No.04 ふくろうの静脈 ◆QIrxf/4SJM氏
何もわからなかったです。
これは日記ですか?
熱血はどこへ?

No.05 ねっけつたろう ◆hAKnaa5i0.氏
何かのオマージュでしょうか?
よくわからなかったです。

No.06 血を繋ぐ ◆IL7pX10mvg
自作。
正統派の熱血は自分には書けないと思ったので、辞書を引きました。
それによると、熱血とは激しい情熱のことだそうなので、じゃあ血をテーマにして
リビドーを全開にしてみよう。どうせだから近親ものにして背徳を煽ってみよう……
というわけです。
後悔はしません。
反省はします。誤字とか。
296 ◆IL7pX10mvg :2009/11/23(月) 22:02:00.56 ID:5e2IE+IbO
No.07 みにつまされて ◆Mulb7NIk.Q氏
1レス目が好きです。
「明日天気に〜」で死ぬ気が失せた、まででもいいくらい。

No.08 熱来椎造 ◆VrZsdeGa.U氏
面白いですね。
三人称の魅力ってやつがこれでもかと出ていると思います。

No.09 冷血のゆくえ ◆YeNsuy62Yo氏
愛沢さんとお姉さんに救いが無さすぎです。
冷血殴っても気が済まないですよ。

No.10 透明オレンジと36℃ ◆pxtUOeh2oI氏
そこまでいったなら生きればいいのに。
なんでですか。もしかして、お題が消化できないからですか?

No.11 風を受けて ◆DSM7XB0fYQIy氏
煮え切らなかったです。
女の子と競争とかすれば熱血っぽくてよかったんじゃないでしょうか。
297【投票】 ◆IL7pX10mvg :2009/11/23(月) 22:03:27.66 ID:5e2IE+IbO
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.02 君と11秒 ◆zH52hPBzFs氏
【関心】:No.07 みにつまされて ◆Mulb7NIk.Q氏
     No.08 熱来椎造 ◆VrZsdeGa.U氏
**********************************************

No.2が秀逸でしたね。
すごく面白かった。ヒーローってカッコいいなって思いました。

No.7は好みですね。
屋上で叫ぶとかすごくいいです。
No.8は単に巧いなあと思ったので。
ただ、キャラに奥行きが感じられなかったのが残念ですね。

以上、何の役にも立たない全感でした。
失礼しましたー
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 22:22:31.99 ID:O3WgOfIu0
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 22:25:06.94 ID:Zma+7PuoO
全館乙
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 22:37:05.54 ID:ROw9McOf0
お題をくださいよ
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 22:38:50.26 ID:TbWPHl860
>>300
冒険野郎
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 22:39:22.89 ID:QCh8SGE10
>>300
隻眼
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 22:43:55.16 ID:ROw9McOf0
把握いたしました
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:09:15.85 ID:c2JfiO6JO
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:10:01.22 ID:CbJnqBEHO
我…欲する…汝の…お題を…
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:10:58.03 ID:JN3nx+e80
>>305
元駅員がコンビニバイト

インパルスのコント見てたらこうなった
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:11:05.33 ID:Zma+7PuoO
>>305
電子レンジ
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:14:15.69 ID:c2JfiO6JO
ずいぶんスレがにぎやかだな、休日だからか?
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:15:50.67 ID:8MLlZAmB0
何かお題お願いします
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:17:22.13 ID:JN3nx+e80
>>309
誘拐
とかどうよ?
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:19:39.81 ID:8MLlZAmB0
把握しました
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:20:07.59 ID:flBzJu26O
品評会間に合わなかったの悔しいぃぃぃ
というわけでお題くれ
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:23:21.10 ID:JN3nx+e80
>>312
上京 で。

自分もお題がほしいです。
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:23:50.95 ID:Zma+7PuoO
>>313
都落ち
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:27:21.00 ID:JN3nx+e80
>>314
把握しました
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:43:00.05 ID:JN3nx+e80
保守
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:57:49.59 ID:c2JfiO6JO
318 ◆cKsRUgYZboUS :2009/11/23(月) 23:58:32.32 ID:tFrARIZj0
>>204
遅くなりました
色々とありがとうございます

1人称と3人称が混ざることに、今後は気をつけていきたいと思います
あと、表現力の向上のためにさらにたくさんの本を読んで行こうと思います

批評していただきありがとうございました
向上できるように頑張って行こうと思います
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/23(月) 23:59:03.28 ID:W4kYhq4J0
お題くんろ
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
>>319
お茶