*(‘‘)*ふたなり!ディスガイザーのようですl从・∀・ノ!リ人
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
【注意!】
・萌えない
・スレタイに反して、ちょっと(?)グロい
・バトルなんて書けない
・スレタイ間違えちゃった☆てへ
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:32:20.79 ID:8mP079kPO
ふたなりと聞いて
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:33:21.86 ID:ZYQoZIHx0
>>1代理ありがとうございます
しかしふたなりは出ません
ごめんなさい
書いている人がふたなりという事にしておきますね
なんとびっくり、くるくる川 ゚ -゚) 様がまとめてくださっています
ありがとうございます
http://kurukurucool.blog85.fc2.com/blog-entry-374.html 〜適当なあらすじ〜
ヘリカルと妹者は、不死身の元ヒーローを一般人に戻そうとする、高岡の研究所へ。
メンヘラ、ワーカーホリック、ヒキコモリと対面し、今までの常識がどんどん崩れていく。
まずは弱っちいレンジャーブルーから捕まえようと話していたのだが。
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
↑で視点が変わります
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:33:36.70 ID:3dbEm5HmO
これ、使うのか……?
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:36:04.85 ID:ZYQoZIHx0
一応投下前に言っておきます
代理四天王の遊び心に反する事があると思いますが
このままココで投下して、良いのでしょうか?
本日の投下分はちょっとスレタイに反するような内容なのです
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:36:23.99 ID:Ah8X/0jnO
よし、支援だ
7 :
では、このまま投下始めます:2009/11/13(金) 21:37:28.81 ID:ZYQoZIHx0
天井の資材の欠片や、積もった埃。
吸い込まないように、おれは赤いマフラーを引き上げる。
もうもうと、煙幕よろしくたなびく、それら。
そうっと目を開ける。
懐かしい憎き天才が3人。
初めて顔を見た男女。
顔見知りの少女が2人。
工場のような部屋には、これだけの者が居た。
塵芥から顔を庇う者。
突然の轟音に驚く者。
おれ達の姿に息を呑む者。
そして、横には何だか嬉しそうなブルーの姿。
こうして、煙幕と共に、静寂は去っていくのだ。
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:39:38.20 ID:ZYQoZIHx0
*(‘‘)*ふたりは!ディスガイザーのようですl从・∀・ノ!リ人
第3話・後 「動」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:41:54.08 ID:ZYQoZIHx0
瓦礫と、その上の大小の人影。
それらは大きな破壊音の後に現れた。
私達が悲鳴を上げるよりも。
真っ先に動いたのは、タカラ。
彼は、壁際のガラクタの中から、重い工具箱を掴み取る。
それを振りかぶって、小柄な方の影に思い切り振り下ろした。
(,,#^Д^)「ふっ!」
( <●><●>)「お、っと。これは失礼な方だ」
事前にフイと体を引く。
彼は、傍らの大柄なレッドと対のように。
黒いダブルのコートに、青い襟巻きをしていた。
(# ゚∀゚ )「あ、ぁあ゛っ!」
バランスを崩したタカラの袖を捕ったのは、レッドであった。
遠心力のため、無防備に晒された肋骨に、真横からブーツのつま先を抉り込む。
肺の空気を排出しながら。
蹴られた者は、部屋の隅のガラクタの山へ突っ込んだ。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:44:34.24 ID:ZYQoZIHx0
ノハ;゚听)「タカラぁっ!!」
駆け寄ろうとしたヒートを、クールが止める。
彼女は冷静に、タカラの腹が切り裂かれていない事を確認していた。
川 ゚ -゚)「待って、近づいちゃだめ!」
ノハ;゚听)「先生……でも、っ」
レッドの能力である、刃物を纏った足で蹴られていたら、確実に致命傷。
しかし、その痕跡はなく。
臓器が露出どころか、服も切れていない。
唯、ガラクタに突っ込んで切った額から血が流れているのみだ。
( <●><●>)「お久しぶりですねぇ。皆さん?」
川;゚ -゚)「く、ブルー……何故ここに」
( <●><●>)「不埒な理由で浚われた少女を、助けに参上いたしましたが?」
唇を片側だけ吊り上げて、ブルーと呼ばれた男は答える。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:46:13.78 ID:ZYQoZIHx0
レッドより更にいくつか年若く、見開かれた瞳が目立っている。
その瞳が私達を捉え、ほんの少し曇った。
*(;‘‘)*「助けに……って、何っ?」
( <●><●>)「は、貴女達ですか。
協会は相当人不足ですね」
小馬鹿にしたような物言いは、少し歯切れが悪い。
横では妹者ちゃんが、タカラを蹴り飛ばしたレッドを凝視している。
l从;・∀・ノ!リ人「あ、アヒャさんっ! 妹者なのじゃ!」
( ゚∀゚ )「ヒャ、うぁっ」
( <●><●>)「ああ、さっきは世話になった、だそうですよ」
通訳の口ぶりで話す、件のブルーという男に、クールの話を思い出す。
*(‘‘)*「ほんとーに、考えてる事が分かるんだ」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:48:22.82 ID:ZYQoZIHx0
l从・∀・ノ!リ人「うそみたい……」
从 ゚∀从「分かっただろ、これが現実なんだ。残念ながら」
車に酔った時よりも酷そうな顔色の高岡が、じりじりと後退する。
从;゚∀从「くっそ、よりにもよって、レッドをお供にそちらから御出ましとはな?」
( <●><●>)「えぇ、私は最弱、ですのでね」
( ゚∀゚ )「アヒャっ、うーうあ!?」
( <●><●>)「ハイハイ。別にオマケなんて思っていませんよ」
先ほどの発言を撤回しよう、という声に、そっと振り向いた。
クールが、少しずつ近寄ってきたようで、後ろから私達に囁いた。
川 ゚ -゚)「ブルーが最弱なのは、個人戦の時のみなの。
他のレンジャー達と組めば、彼らの実力を倍々にする……」
l从;・∀・ノ!リ人「えぇっ!」
実にまずい状況である事は、私達にも把握できた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:53:16.41 ID:ZYQoZIHx0
( <●><●>)「別に皆殺しに来たわけじゃ、ありませんがね」
从 ゚∀从「へー? じゃあ人間に戻りに帰ってきてくれたのかい?」
( <●><●>)「まさか。
第2の親ともいえる貴女方の下さった、この下卑た体を、戻す?
そんな事は考えもしませんよ」
親、という単語。
それが高岡に、多大な動揺を与えた。
从;゚∀从「何?」
( <●><●>)「その通りでしょう。
よくも実験台にして戴いて、光栄すぎて1日たりとも忘れられません」
高岡が、先ほどのように。
ビクリ、ビクリと痙攣し始める。
川 ゚ -゚)「ハイン、聞いちゃだめ!」
从; ∀从「ふ、あ、」
その様子を、ブルーは実に楽しそうに眺める。
目を、手袋を嵌めた手で覆い、高岡に微笑む。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:55:10.37 ID:TwtPN9zKO
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:56:02.70 ID:ZYQoZIHx0
(*<●><●>)「ああ、分かりますよ。そんな風に思ってらしたんですか。
愉快な人ですねぇ、『おかあさん』」
お母さん、と区切って強調された言葉が、引き金だったのか。
从; д从「ぅあ"―――――――-っ!!!」
高岡は叫びながら、嗤う男に駆け寄った。
その手には、電動ドリルが納まっている。
床に放られていた、コードレスらしいそれ。
回転音と共に、赤い物を飛び散らせる。
从; д从「あ、あ、あ」
( <●><●>)「痛いですよ?」
ブルーの手を、皮手袋ごと貫いたドリルが。
尚も回転しつつ、刃先の肉を弾き散らし。
骨を削っているのか、硬質な音が響く。
その光景は、劇薬を被り、とろけてゆく高岡と同じく、あまりにも現実と離れすぎていた。
こうしてリアリティは薄れ、何故だか頭の隅から、冷えていく。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 21:59:35.54 ID:ZYQoZIHx0
ぶるぶると、震えて弛緩する高岡の手から、彼はドリルをもぎ取った。
それを無理やり掌から引き抜く。
ぐびゅり。ぬぢゃ。がり。
( <●><●>)「ああ、貴女の作った細胞は優秀ですね。
刺さったばかりなのに、もう肉が締まって、引き抜きにくい事」
粘着した物が剥れる音。
高岡の不規則な呼吸。
狂ったようにあざ笑う声。
そして、もう一度モーターが回転する音が聞こえた。
( <●><●>)「おや……そんな世迷い言を考えていないで、少しお休みになられては?」
从; д从「っひ、ぃいいいぎぃぁぁるぁあらぁああ゛あ゛あ゛――っ!?」
にっこり、微笑んだブルーが。
高速回転するドリルの刃先を、ゆるりと高岡の額に埋め込んだ。
硬い音。
柔らかい音。
喉を食い破る悲鳴。
様々なモノが飛び散って、高岡は床に倒れこんだ。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:01:33.84 ID:3dbEm5HmO
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:03:16.09 ID:ZYQoZIHx0
川;゚ -゚)「ハインっ!」
クールが高岡に駆け寄る。
15cmはあったドリルの歯が根元まで埋まった頭部を抱きかかえる。
それすら、芝居のような陳腐さに見えて。
隅の方でいつの間にか座りこんでいた妹者ちゃんが静かに息を呑む音しか聞こえない。
川;゚ -゚)「あぁ、もうっ! なんて事を」
( <●><●>)「私達の体中かきまわしてくれた貴女に言われたくありませんが」
着ていた服の裾で高岡の出血部位を圧迫するクール。
しかし、その目前に立ちはだかったブルーの渾身の蹴りがクールの顔面を襲った。
靴先は足首と垂直に、眉間ではなく、眼球を潰す目的で孤を描く。
それが、また、嫌な音階を生み出した。
川; д )「ぎゃうっ!?」
ノハ;゚听)「あ……う、そだ……」
( <●><●>)「どうせ貴女達の細胞も開発済みでしょう?
ケチケチしないで戴きたい」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:06:43.75 ID:ZYQoZIHx0
確かに、クール、高岡、ヒッキーの3名は、再生細胞の持ち主だ。
しかし、ヒートとタカラは、生身である。
だが再生可能な身体の持ち主でも、痛覚は機能しているようだ。
クールの掛けていた眼鏡のフレームやレンズが、ぐじゃりと歪んで、凶器になる。
固い金属が柔らかな粘膜に突き刺さった。
不透明な体液が、間欠泉のように噴出している。
悲鳴を堪えるクールのその様子に、ヒートは震えていた。
そして、はっとした様子で、手の中の何かを握り締めた。
かちり、という音の後に、彼女の手から、野球ボール大のプラスチック球が放たれる。
先ほどの捕獲用ボールだ。
( <●><●>)「え、」
ノハ;凵G)「うぁあああ!」
またしても、ぽんと間抜けな音が響く。
(; ゚∀゚ )「あっ!?」
何かを察知したようなレッドが、警告のように短い声を出す。
しかし、彼の相棒は既に飛び散ったトリモチに絡み付かれていた。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:09:23.10 ID:ZYQoZIHx0
(;<●><●>)「な、んです。これ……」
出来るだけ粘液を避けようと、庇うように交差した腕の隙間から。
ブルーは、ヒートの涙が溜まった目を睨む。
ノハ;凵G)「う、わ、せんせ……クール先生っ……ふ、っ」
(;<●><●>)「……トリモチ? まったく、変なところで古典的な」
噛み合わない発言に、彼がヒートの思考を読んだ事がわかる。
ブルーはトリモチの付着したコートをむりやり脱ぐ。
固まりかけた粘液を拭い取った。
対処法を講じる彼に、後ろから人影が近づいた。
タカラである。
死角から、もう一度トリモチを投げつけ。
粘液を浴びたところを羽交い絞めにする。
(;<●><●>)「ひ」
(,,^Д^)「あ、あんなモンで、くたばりますかっ!」
l从;・∀・ノ!リ人「タカラさん、ケガしてるのじゃ! 動いちゃだめなのじゃ!」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:12:37.10 ID:ZYQoZIHx0
ふとレッドの姿を探すと、こちらもこびり付いたトリモチを払いのけようと必死だった。
その上、レッドは粘液の性質を知らないために、余計に拘束範囲を広げてしまう。
(;<●><●>)「く、レッ……」
(# ゚∀゚ )「あ、ア゛ヒャぁっ!」
お互いに助けを呼べない様子を見て取り、ブルーの顔に初めて焦りのような物が見える。
まだ足掻くブルーを捕まえたままで。
タカラがこちらに振り向き、慌てて言った。
(,,;^Д^)「開けてくださいっ! それ、そこの扉!」
*(;‘‘)*「うぇっ、これです!?」
(,,;^Д^)「違います! チーフが入ってたロッカー!」
l从;・∀・ノ!リ人「は、はいなのじゃ!」
叫んで、塞がった両手の代わりに、顎で大きなロッカーを示す。
そういえば、先ほど、これが唯の物入れでない事を説明された。
超能力を一時的に使えなくする装置。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:15:35.69 ID:ZYQoZIHx0
私を妹者ちゃんは急いでその扉を大きく開けた。
中にはむき出しの配線と、小さなセンサー窓のような物が、ちらりと見える。
(,,#^Д^)「うぁあっ!」
(;<●><●>)「つっ、何です、っ……」
トリモチの所為で殆ど身動きの取れないブルーを、タカラはロッカー内に突き飛ばした。
バン、と勢いよく扉を閉め、閂を掛ける。
中からは、閉じ込められたブルーが暴れる音が、のべつまくなし響いている。
『開けろっ! 出しなさい! く、出せぇええッ!!』
一際大きな音と共に、ロッカー扉の上部がぼこりと盛り上がる。
内部から頭突きでもしたのだろう。
がたがた揺れる大きな箱を、タカラは全身で押さえ込み
側部に付いたボタンとレバーを操作した。
レバーが倒れた瞬間。
バチバチという放電音と、思い切り蹴り上げられた猫のようなブルーの悲鳴。
中からの震動が止み、重い物が落下する音が聞こえた。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:19:51.74 ID:ZYQoZIHx0
(# ゚∀゚ )「ふあ゛ぁ――っ!!」
レッドが、腹の底から搾り出すような声で叫んだ。
床に貼り付けられたような体勢。
だが、彼も声だけでブルーを助ける事は出来ない。
(,,;^Д^)「はぁ、はぁ……っつ、げほ」
ロッカーを押さえながら、タカラがズリズリと蹲る。
腹を守るように身体を丸めて、重い咳を何度か。
その咳に混じり、びちゃびちゃと床に跳ね返る音。
嘔吐しているのかと覗き込む。
l从;・∀・ノ!リ人「! タカラさん、血!」
(,,;^Д^)「う、げほ。どっか傷ついたんですか、ね」
血痰どころか、吐血と言える量の血液が、タカラの唇から滴る。
そのまま床に転がろうとするのを、壁際に誘導した。
改めて、惨い室内を見まわす。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:20:47.72 ID:3dbEm5HmO
支援さ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:22:21.66 ID:ZYQoZIHx0
一塊に倒れて、偶に痙攣するように動く、クールと高岡。
その横で、幼子のようにクールに縋り、泣きじゃくるヒート。
私達のすぐ傍で、血塗れで横たわるタカラ。
床で暴れる、捉えられたレッド。
ロッカーの中からは、物音1つ立てないブルー。
瓦礫で塞がれ、ひしゃげた入り口の扉。
その向こうから、施設内にいた捜査員達が異変に気づいたのか、音が聞こえる。
何かを呼びかける、切羽詰った声。扉を破ろうしているのか。
天井は丸く刳り貫かれ、暗い空が見える。
そして、レンジャー2人の襲来から、全く動きを見せない者がいた。
どんどん群青から黒に色を変えていく空。
棒立ちでその様を見つめ、目を大きく見開いている者が、いた。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:25:15.10 ID:ZYQoZIHx0
(; _ )「あ、あぁ、うぁっ」
ヒートのすすり泣きや、何かを削るような音に混じり。
動かないヒッキーの呻きが段々大きくなる。
(;∩_∩)「う、う、わ。いや、だ、いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだ」
*(;‘‘)*「うおっ?」
不気味な程に開いた目を両手で覆い、フラフラ上体を揺らしながらヒッキーは呟く。
いつかTVで見た麻薬中毒者のように、膝を震わせ、意味の無い事を繰り返す。
妹者ちゃんと2人。
私達は室内の狂った光景を見つめている。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:25:37.22 ID:Ah8X/0jnO
支援
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:28:13.70 ID:ZYQoZIHx0
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
何が起きた?
奇妙な球体を取り出されてから、形成を引っくり返されたよう。
頭の悪いおれは、必死に白い拘束物から逃れようと、もがくしかできずに。
ブルーは、どこに行ったんだろうか?
分からない。
何も、分からない。
彼がいないと、おれは自分の言葉を、真に奪われた心地であるのに。
筆談などで意思疎通は出来ても、会話の状態で疎通できるのは、あれだけ。
おれが守る筈だったのに。
弱弱しくて、おれを信頼している、弟のようなあれを。
こんなところで、ひき潰されたカエルのように伸びている訳には行かない。
おれは、自分からこれ以上言葉を奪われるつもりは無い。
モルモットが自分達しか居なかった時ですら。
言葉を毟り取られた時ですら。
あの弟分を守る為に。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:31:36.14 ID:ZYQoZIHx0
おれの刃は今、何のためにあるんだ。
自分の体と、あれを守るためで。
そうして、レンジャーという1つの家族体系を。
ああ。
あー。
彼をどこへやった。
おれの言葉を、どこへやったんだ。
おれは脅えている。
無様に拘束されて、言葉を奪われる事を。
だから……
身体と床の隙間に、無理やり刃物をねじ込む。
己の皮膚や、四肢を切り裂き、骨を削り。
あー。
あー。
彼らと言葉を守れない刃なんて、がらんどう。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:34:39.67 ID:ZYQoZIHx0
そうだ。
そーだ。
おれを守れない、おれなんて、切り落としてしまおうじゃないか。
コンクリートに肉塊を残して、おれは立ち上がる。
ほらみろ!
立てたじゃないか。
全身からこれでもかと刃を突き出し、もう一度引っ込める。
そうだ。
おれの刃は。
ああ何と清々しい気分だろう!
顔中にメンソレータムを塗りたくっても、こうまで爽やかには、なれやしないよ!
あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。
大きく、裂けた口を開いて、笑った。
おれの声は、ヒキコモリの技術者の呟きと入り混じって。
刳り貫かれた円形の夜空に反響する。
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:36:04.10 ID:TwtPN9zKO
支援。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:36:58.11 ID:3dbEm5HmO
支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:37:10.13 ID:ZYQoZIHx0
急に、何かを削り取るような音が止まる。
ぎゃり。と、金属音。
音の出所を探ると、床に縫い付けられていたレッドが、血塗れで立っていた。
(;@%∀゚ )「ひゃ、アヒャヒャ。あーひゃひゃひゃひゃ!」
大きく笑う口は引きつっている。
コンクリートの上には、鋭利な刃物で切り取られた赤い物。
レッドの顔から削り取られた皮膚やら、切り落とされた手首から先。
黒いコートは、あちらこちらが切り裂けている。
そして、その隙間から。
金属の反射した光が、肌色の肉体に食い込み、ずぷずぷ飲み込まれてゆく。
切り取られた皮膚や四肢が、きちきちにちゃにちゃ蠢き。
骨、神経、筋肉、血管、腱、脂肪、皮膚の順に再生される。
見ているだけで、掌に、じっとりと嫌な汗が浮く。
(メ ゚∀゚ )「あー。あ゛ー。ふぁああー、ひゃ、ひゃひゃひゃひゃはっ!」
笑うような調子で、こちらの狂人も繰り言を重ねる。
全く逆の狂いが2つ。
部屋に満ち満ちていた。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:41:24.03 ID:ZYQoZIHx0
( ゚∀゚ )「あ、」
ぴたり。
笑い声が止まる。
考え込むように、足元をじっと見つめて。
小さく唸ってみせる。
そのレッドの首から上だけが、奇妙な正確さで動いた。
虚ろな瞳が、タカラを捉える。
また、首をぐりんと巡らし、脅えた技術者を見つめる。
(;∩_∩)「あーっ、ああー。いやだ。いやだ、いあっ、あ、あうっ」
( ゚∀゚ )「……あ、ひゃ♪」
再生された表情筋を余すことなく活用し。
元から吊りあがった唇を更に歪ませ。
にったりと、まるで無邪気そうな笑顔を見せ。
何のモーションもなく、レッドは飛び上がった。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:45:50.10 ID:ZYQoZIHx0
ただただ立ちすくむヒッキーの鳩尾に。
レッドは右腕のそれぞれの指から生やした、太く大きな鉤爪を目一杯広げ。
肋骨ごと、抉り切った。
柔らかい肉と臓物が、弾け、砕け、飛ぶ。
ぐじゅ。
ぼきん。
びちゃっ。
咄嗟に目蓋を閉じた、私だけの暗闇の中で、それらの音は一斉に押し寄せた。
(; _ )「げうっ!?」
( ゚∀゚ )「あ、あは。あひゃは! あひゃぁああひゃひゃはひゃひゃひゃ!」
大きく笑い、ゴム製の人形のそれのように、原型を止めないヒッキーの腹部を。
彼は、捏ね混ぜるように鉤爪を動かす。
泥んこ遊びをする子供のように。
爪先立ちの状態で、斜め下から腹を持ち上げられたようなヒッキーの腹腔から
まだ中に残っていた内臓が、ぼたぼた落ちてゆく。
力の全く入っていないような作業着の腕は、見当違いに跳ね回る。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:48:59.82 ID:ZYQoZIHx0
ようやく、恐怖という物が這い上がってくる。
リアリティは、相変わらず無い。
しかし、私の身体に入り込んだ『怖い』という感情は。
物凄い速度で、足先から背骨を通って、脳へ危険信号を送る。
その信号の通り道に、びっしりと鳥肌が立ち、身体の芯が震える。
今まで、自分はここにどうやって立っていた?
ここにいたら、私まで狂ってしまいそうだ。
妹者ちゃんが、とうとう床に倒れこんだ。
貧血だろうが、無理も無かった。
私も一緒に倒れたかったぐらいなのに。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:52:54.50 ID:ZYQoZIHx0
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
こんな目にあわせたのは、誰?
拘束用の器具を作ったのは、間違うなく、あの技術者だ。
ブルーを閉じ込めたのは、あそこに居る、作業着の男だ。
のうのうと寝ている、あの男だな。
格好から見て、おれは、こいつが技術者の部下と確信する。
なら、こいつはもういいや。
しばらく動けないんだろうし。
どうせ、あの閉じ込めた箱も、技術者が造ったんだろう。
なんだ。
この技術者がわるいのか。
どうしてやろう?
どうしてやるのがいいのかな、ブルー?
そうだ、こいつも閉じ込めたいよなぁ。
閉じ込めるもの、無い、なぁ。
仕方が無い。
とりあえず、腹を抉ろう。
それから、頭を切り取って、内臓を抜いた腹に詰めてやろうかな?
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:56:43.69 ID:ZYQoZIHx0
そうだ、自分の腹に閉じ込めてやろう!
なんていい思いつきだろ!
おれは天才かもしれない!
さあ、やろう。
始めよう。
そうだ。
ああ、なんだか、きもちいい。
あたまが、ふんわりして、うきあがって。
あれ。
いつだっけ。
こんなこと、あったなぁ。
むかし、むかし。
なにか、くろい、おおきい。
むし、みたいな、の、を。
たくさん、こわして、た、とき、の、
あは、ははっ、あは。あははは。
こ、わ、そう。
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 22:59:07.79 ID:ZYQoZIHx0
ヒッキーの腹腔内を捏ね回していたレッドが、更に、鉤爪を振り上げた。
青白い首筋をゆっくりと握り、力を込める。
ぶちぶち音がして、生暖かい血液がスプリンクラーのように噴出す。
レッドが、さも可笑しそうに、より狂った顔で笑い出す。
駄目だ。
この空間の全てが狂っている。
(; _ )「こほ、ごふっ……」
( ゚∀゚ )「あー。ははひゃはー。あひゃはー。ふふ、あ。」
致命傷以上の傷を負いながら、まだはくはくと口を動かすヒッキー。
レッドは指先からリッパーのような形の金属を形作り。
首筋の傷口から顔面の皮膚を剥がしにかかる。
どうしよう。
何が起きてるんだろう。
何でこんな物、見なきゃいけないんだろう。
もう、帰りたい。ママ、パパ。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:02:50.87 ID:ZYQoZIHx0
『はいはいはい。レーッド、そこまでにしないと、だめよ?』
( ゚∀゚ )「ひっ!?」
レッドの瞳から、一瞬で狂気が消える。
『まったくぅ。ブルーのインカムに話しかけても。
なぁんにも答えないんだもん。ココまでお迎えに来て、良かったわ』
柔らかく、特徴的な、女性の声。
姿は見えないが、声が聞こえている。
ふいに、頭上でパタンと小気味良い音が鳴った。
o川*゚ー゚)o「レッドは、おバカちゃぁん、だもん」
なんというグロぼの
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:04:43.65 ID:ZYQoZIHx0
カバーを掛けた文庫本を、ダブルのコートのポケットにしまう、若い女の人。
先ほどの音は、本を閉じた音だったようだ。
茶色の長い髪を、項で二条の束に分け、耳の下あたりに髪留めでくくっている。
レッド、ブルーと同じような、しかし女性物デザインの黒コートに、桜色の襟巻き。
その下に、ミニ丈のタイトスカート。薄い手袋と、踵の高いロングブーツ。
すべて、コートと同色。
マフラーや頭髪の有彩色と共に、やけに艶っぽい紅い唇が目立つ。
そんな女性が、天地を逆さまに、天井にゆったりと腰掛けていた。
彼女は、私と、横に倒れる妹者ちゃんを見比べて、微笑んだ。
o川*゚ー゚)o「あらぁ。あなた達が、あの少女さんね?
やだ、とっても、可愛いわ!」
落ち着いたような雰囲気に反して、幼い笑顔を見せながら。
o川*゚ー゚)o「わたし、レンジャーのピンクっていうの。
こんばんは、ね?」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:08:12.79 ID:ZYQoZIHx0
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
何だかふわふわ、酒でも飲んだように、やけにハイテンションで笑っていた。
そのくらいしか覚えが無いが、気が付くと、天井にピンクが座っていた。
聞き覚えのある声が、一気におれを現実に引き戻す。
(; ゚∀゚ )「あ、ひゃうう」
うわぁ。
我ながら、相当に残酷趣味だ。
ブーツの裏に、ひき肉状の人体がへばり付いているぞ。
脂にまみれた刃を、ぎこちなく引っ込める。
技術者の重い体がぐっちゃりと崩れ落ちる。
力の籠らない咳と、浅い呼吸に混じって、まだ何か呟いている。
おれは、どうにも感情を抑えきれない帰来があるらしい。
この年になって、何とも恥かしいものだ。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:12:08.90 ID:ZYQoZIHx0
o川*゚ー゚)o「ごめんねっ。わたしじゃあ、何言ってるのか、わかんないの。
ブルーは、どこ?」
(; ゚∀゚ )σ「あっ、ヒャァっ! アヒャっ!」
閉じ込められた。
そう言って、ロッカーを指し示す。
o川*゚ー゚)o「はぁん。それで暴走してたのね!
駄目じゃない? 先に出してあげなくっちゃー」
( ゚∀゚ )そ「ひゃっ!」
正論だ。
ああ、恥かしい。
o川*゚ー゚)o「じゃ、ブルーと彼女達を連れて、帰りましょ」
そう言って、ピンクは、座っていた天井からくるりと一回転し、床へ着地する。
宇宙空間にでも居るように、動作は軽い。能力だと分かっていても、見事なものだ。
最近アクション映画やらスポーツ観戦に夢中になれなくなったのも、頷ける。
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ--------------------------
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:15:08.26 ID:ZYQoZIHx0
ピンク。
レンジャーのピンク。
明らかに敵である。
どういう仕掛けか、天井に座っていた彼女は、ふんわり床に降りてくる。
茶色の髪や、服の裾が綺麗に靡く。
ロッカーに向かって、味気ないコンクリートの床を軽やかに歩き始めた。
その彼女の足首を、白い手が捕まえる。
川;う-゚)「く、っ。キュー……ト」
クールの手であった。
再生はしても、彼女はまだ眼球の奥のガラス片を取り除ききれないようだ。
o川*゚ー゚)o「ああ。クー姉さまぁ。お久しぶりね」
川;う-゚)「キュート、帰って来た、の。
さあ、戻ろう。キミなら話を聞いてくれるよ、ね?」
*(‘‘)*「えっ?」
言葉遣いも、纏う空気も違う二人だが、ピンクの『姉さま』という言葉を聞くと
なるほど、2人の顔立ちは似ているかもしれない。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:19:11.06 ID:ZYQoZIHx0
クールは、ピンクのほっそりとした脚を捕まえ、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
o川*゚ー゚)o「クー姉さまぁ。キュートは、もう、居ないのですよ?
あなたが殺してしまわれたの」
川;う-゚)「っ。キュートは、ここにいるじゃない」
o川*゚ー゚)o「わたしは、ピンク。あなたの造った、レンジャーよぉ」
黒いコートの女が、床から見上げるクールに、慈愛と言えるほどに優しく言い聞かせる。
まるで全てを許そうとするように、彼女は微笑む。
o川*゚ー゚)o「姉さま。わたし、二度と身体にメスを入れてもらいたくないの」
手を振りほどき、ピンクはより一層笑みを深くした。
o川*^ー^)o「この、下衆女が」
黒革のブーツは踵が高い。
その細いピンヒールが、既に傷ついた状態のクールの右目を狙う。
川; - )「ぎっ!?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:22:49.67 ID:ZYQoZIHx0
o川*゚ー゚)o「わたしに、触らないで?」
1度でも彼女を『優しそうだ』などと思った事を悔やんだ。
やはり、彼女も、ここの人々を恨んでいるんだ。
それを手伝いに来た私と妹者ちゃんも、あんな風に。
ぐじゃぐじゃに弄ばれて、殺されるのかもしれない。
ピンクがクールの頭上に右手を翳す。
再度壊された目をきつく押さえるクール。
その長い黒髪が、無重力空間に居るように持ち上がった。
o川*゚ー゚)o「覚えて、なぁいの?
わたしに触れていいのは、わたしが許した人だけよ
そう造ったのは、姉さまなのに」
掌を上に向け、華奢な指を、くいと曲げる。
たったそれだけで、クールの身体を縛り付けた重力の向きが変わった。
彼女の身体は、高所から落ちるスピードで天井に上り。
頭をむき出しの鉄骨に強かにぶつけ、そのまま、逆さまに横たわる。
それを見たピンクは満足そうに嘆息し、指先をくるりと反転させた。
またクールの身体は重力の向きを変え、部屋の隅に叩きつけられる。
何度も頭を打ったからか、その場で動かなくなった。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:25:24.69 ID:ZYQoZIHx0
o川*゚ー゚)o「あは」
( ゚∀゚ )「あーあー。あひゃうう!」
o川*゚ー゚)o「うん、ブルーよね? 手伝って」
ピンクが歪に凸凹のついたロッカーの扉に手を掛ける。
閂を外そうとするが、歪んでいるのか、動かない。
( ゚∀゚ )「アヒャ」
それを見て、レッドの掌から、短く分厚い刃物が出現する。
o川*゚ー゚)o「さすが!」
金属を擦り合わせる音がして、ロッカーが大きく開いた。
彼らは中から、ぐったりと顔色の悪い男を引きずり出す。
o川*゚ー゚)o「ブルー?
起きて。起きて!」
支援なのだよ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:28:09.24 ID:ZYQoZIHx0
(;― <●>)「……う、うっ?」
o川*゚ー゚)o「わたし、迎えに来たわよぅ?」
彼女はそっとブルーの髪を撫で、乱れを直す。
(;<●><●>)「そう、でしたか。」
大きく深呼吸をしたブルーが、額を押さえて呻いた。
ピンクとレッドが心配そうに覗き込む。
(; ゚∀゚ )「ひゃううーっ」
o川*゚ー゚)o「痛むの?」
(;<●><●>)「少し……それに、」
ブルーの特徴的な両目が、レッドをじっと見つめた。
( ゚∀゚ )「あひゃ?」
( <●><●>)「思考が読めません。予知も駄目です。
どうしますか……治らないかもしれない」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:31:13.63 ID:ZYQoZIHx0
その言葉に、レッドが大きく反応する。
(; ゚∀゚ )「ああ、アヒャ! アヒャ、ひゃあうううっ!?」
( <●><●>)「貴方の事ですから、何を言ってるか大体予想は付くのですが。
思考は全然読めませんね。酷い状態です」
何やら、あの得体の知れないロッカーは、大分効き目があったらしい。
ヒッキーは効果が続くのは2・3時間と言っていたが。
それを知らない3人は、慌てたように話をしていた。
そこへタイミング良く、入り口の方から、何かを壊す音が聞こえた。
全員がそちらへ注意を向ける。
私は、横の妹者ちゃんを揺すり起こした。
*(;‘‘)*「妹者ちゃん、妹者ちゃん!
そーさいんの人が、たすけに来ます! にげよう!」
l从;-∀・ノ!リ人「う、……あれ、妹者……?」
( <●><●>)「……ああ、此処にいても仕方ありません!
行きましょう。じき、此処も危ない」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:35:02.90 ID:ZYQoZIHx0
ふらつく妹者ちゃんを助け起こすのに一生懸命になっていたところ
後ろから、ひょいと抱きかかえられた。
*(;‘‘)*「うぁああ! いや!」
( ゚∀゚ )∂「あーあー。アヒャひゃー?」
悲鳴を上げると、抱えていたレッドが、怖くないと言う様に自らの顔を示す。
怖いものは怖い。
血液の生臭さが、ぶわりと漂う。
*(;‘‘)*「う……」
( ´゚∀゚ )「ふぁ」
嫌われたと思ったのか、彼はしょんぼりと肩を竦める。
私の頭を撫でようとした手に、べっとりと血糊が付いている事に
ようやく気づき、慌ててコートで拭った。
( ゚∀゚ )「あ……あひゃ!」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:38:03.11 ID:ZYQoZIHx0
ごしごし拭って、綺麗になった両手を、彼は誇らしげに見せる。
何だか、もうどうでも良くなってしまって、彼に手を差し伸べた。
*(‘‘)*「ころさないでくださいよ?」
( ゚∀゚ )「あうあっ!」
彼は、ぐったりしたままの妹者ちゃんも、私と一緒に抱えた。
小学校3年生の女児2人。
結構な重量だと思うが、彼は軽々といった様子だ。
どうやって出て行くのかと思うと、助走をつけ、壊して入ってきた
天井の穴から、強靭なジャンプ力で屋外へ飛び出した。
*(;‘‘)*「すご……」
思わず溜息をつくと、私達を抱き上げる彼がくつくつ笑った。
飛び出した勢いのまま、レッドは研究所の屋根をどんどん駆けて行く。
後ろの方から、ブルーがピンクに支えられて走ってくる。
一般の人間よりは遥かに早いが、レッド程ではない。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:41:21.11 ID:ZYQoZIHx0
屋根の端まで来ると、レッドはぽんと気軽に飛び降りた。
天井の高い建物だが、高度を感じさせない程に、滑らかな着地。
しかし、着地したところにはちらほらと人間がいる。
捜査員達だ。
(-@∀@)「っ!! 侵入者、発見しました! こちら北-6地点!
AからD班まで現地に集合せよ!」
(; ゚∀゚ )「あー」
遠くから犬の吼える声が近づいてくる。
夜の暗闇に、懐中電灯の光がちらほら。
……待てよ。
私達はこのまま捜査員に保護されるべきではないのか?
そう考えて、レッドを見上げると、丁度視線がかち合った。
私と妹者ちゃんを見比べて、レッドは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
(;@∀@)「う、動くなぁーっ!」
『居たぞ!』
『囲めー! 逃がすなーっ!』
両手に花じゃねぇか…
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:44:15.25 ID:ZYQoZIHx0
遠くから、特殊警棒を構える捜査官の集団に。
レッドは抱き上げた私達を見せびらかすように突き出した。
( `゚∀゚ )「ふぁああーっ、ひゃっひゃっひゃー!」
(;@∀@)「なんて事だ……人質のつもりか!?」
( `゚∀゚ )「あうっ!」
これ見よがしに、右手からヒッキーの腹を抉った鉤爪を出す。
妹者ちゃんが細い悲鳴を上げた。
しかし、私は発見してしまった。
鉤爪の先が、丸い。
刃が尖っていない。
ペーパーナイフにすら、ならなそうなそれを、彼は私達に近づける。
( `゚∀゚ )「あーっひゃっひゃっひゃあー!」
(;@∀@)「やめるんだ! その子達は無関係だろう!」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:46:22.50 ID:Ah8X/0jnO
支援だ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:47:24.29 ID:ZYQoZIHx0
この暗さで、距離も少しある。
捜査員達からは、鋭利な刃物に見えたのだろう。
事実、懐中電灯の明かりに照らされたそれは、ぎらぎらと怪しく光を反射する。
どよめく一同は、それ以上近づく事もできずに、半円の陣形を作る。
その目に見えないバリアの向こう側から、やいのやいのと騒ぎを大きく盛り立てる。
l从;д;ノ!リ人「ひぃいやぁああ! しぬううう!」
とうとう泣き出した妹者ちゃんに合わせて、私も1つ、レッドに協力する事にした。
*(;;)*「ひいいいいい! 来ちゃだめぇええ!
しにたくないよおおお!」
少女2人の大泣きに、捜査員はどんどん引き下がらざるを得なくなる。
隙をついて、侵入者は研究所の周りの雑木林へと逃げ込んだ。
嘘泣きの涙を拭いて、妹者ちゃんを慰める。
すると、レッドが私の肩をぽんと叩いた。
( ^∀゚ )b+「アヒャ」
*(‘‘)*b「おうともさー」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:50:10.43 ID:ZYQoZIHx0
何となくだが、この人に殺される心配はなさそうだった。
安心はできないけれど。
私達は、まだ子供だから。
簡単な事で人を信じてしまう。
たとえ、それが目の前で人間の肉をミンチにするような、残虐な生き物でも。
私達は、まだ。
子供だから。
自分の考えだけを無条件に信じて、それで間違っても、構わない。
レッドに抱えられたままで、私達は研究所を後にした。
猟奇的なケガを追った、初対面の人々を置いて。
第3話・後 「動」 おわり
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:51:09.31 ID:ZYQoZIHx0
支援など、レスありがとうございました
何か質問や指摘など、もしありましたらお願いします
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:52:26.14 ID:Ah8X/0jnO
乙んちん
続き楽しみにしてる
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/13(金) 23:54:54.70 ID:ZYQoZIHx0
>>61 ありがとうございます
>>62 大変申し訳御座いませんが
グリーンは居ません
レッド・ブルー・イエロー・ピンク・ブラックで、5人
となります
緑レンジャーには大変申し訳なかったと思っています
64 :
◆1Sb5PoZaUXZt :
あ、あと一応、他の話の酉を、今回から引き継ぎます
見てくれた人お疲れ様です
とりあえず今日はこれで
おやすみなさい