ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
代理だ
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:18:40.55 ID:BWbu3GfaO
萌え豚参上
3 ◆xJGXGruetE :2009/11/05(木) 22:19:08.42 ID:q029f00dO
>>1 代理超感謝です

 
ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン
 
前回あらすじ
 
引きこもりと委員長と時々神様
 
 
前後編で終われなかったのはある意味想定の範囲内。
いい加減プロットの作り方とか学べと思わなくもない。
 
 
そんな感じでだらだらと。
携帯からなので投下速度は遅めです。
 
 
まとめていただいたサイトさん
 
ブーン系小説グループさん
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/bbs/559?mode=tree 
ブーン文丸新聞さん
http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/cider/cider.htm
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:19:50.56 ID:mmVZnTuz0
支援
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:21:01.93 ID:ofbRaY3L0
支援だよ
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:21:08.30 ID:QYzINvN0O
期待しかし眠い
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:21:19.24 ID:q029f00dO
 
遠くで響くは鐘の音、いやチャイムの音か。
まどろみの中、私に選択を迫る。
 
これが何かは今日はもうわかっている。
 
無視して寝るのも私の自由だ。
流石に窓を割ってまで入って来たりはしないだろう。
出るまで待ってるかもしれないけど。
 
いや、昨日約束したのに出て来ないとか言って、警察呼んだり大事にしたりしないだろうか。
そこまで分別がないとは思わないけど、そこまで心配するかもしれないとは思う。
あのお節介な委員長は。
 
ミセ*-д-)リ「……起きるか」
 
眠い目を擦りながら階下に下りる。
鍵を開け、玄関のドアを開けると、そこには予想通りのポーカーフェースがまっすぐにこちらを見詰めていた。
 
(゚、゚トソン「おはようございます、ミセリ」
 
 
 − ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン −
 
           〜 中編 〜
 
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:23:03.26 ID:q029f00dO
 
ミセ;゚д゚)リ「重い〜、暑い〜」
 
春は過ぎても夏には届かない陽気の中、またあの重い鞄を抱えて私の足は学校へ向かっている。
 
(゚、゚トソン
 
隣には推定同サイズの鞄を抱えつつも、全く表情を変えずにすたすたと歩く委員長の姿がある。
昨日よりは距離を空けられないところをみると、意図的に合わせてくれているようだ。
 
合わせている理由が多分あるのだろうけど。
切り出すタイミングを窺っているのかもしれない。
 
ミセ;゚ー゚)リ「雨上がりというのは余計に暑く感じるよね」
 
(゚、゚トソン「雨、降りましたね……」
 
恐らく聞きたいであろう話題をこちらから持ち出すと、委員長はすぐさま反応してくれた。
昨日の夕方から降り出した雨は意外に長引き、朝方近くまで降っていたようだ。
 
少なくとも、私が寝るまでは降っていたので、道路の乾き具合からするとそのくらいだろう。
 
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:24:05.95 ID:ofbRaY3L0
支援するよ
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:25:44.32 ID:q029f00dO
 
(゚、゚トソン「どうしてわかったのですか?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「何が?」
 
察せないほど鈍くはないが、順を追う必要はあるし、全部話すつもりはさらさらないのでとぼけてみる。
委員長は律儀に、昨日の夕方に雨が降るのが何故わかったのかという話ですと言い直す。
 
ミセ*゚ー゚)リ「うーんと……勘……かな?」
 
(゚、゚トソン「……それにしては確信を持ってませんでした?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「そうだっけ?」
 
(゚、゚トソン「そのように感じられましたが」
 
明後日の方に空とぼける私に、委員長は不審の目を向ける。
私は大きく息を吐き、背けた視線のままで答える。
 
ミセ*゚ー゚)リ「占いみたいなもの……かな」
 
(゚、゚トソン「占い?」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:28:09.84 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとしたお天気占い。それがたまたま当たっただけ」
 
(゚、゚トソン「占いですか……」
 
そういうものならばと、意外にも簡単に納得しかけているような委員長。
生粋のリアリストかと思いきや、失礼な言い様だが占いを信じる女の子らしい面もあるらしい。
 
ミセ*-ー-)リ「当たるも八卦、当たらぬも八卦ってやつ? 意外と的中率はいいんだよね」
 
天気予報いらずだとおどけて見せた。
委員長は何度か頷き、そういう特技は個性があって良いですねといったような真面目な感想を述べる。
 
まあ、確かに占いとか宴会芸なんかに重宝しそうだけど、天気予報はあんまり即効性なくて微妙だよね。
 
ミセ*゚ー゚)リ「あ、この件は内緒ね」
 
(゚、゚トソン「?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「私が占いが得意とか言うと、いっぱい女の子が集まって来ちゃうからね」
 
女の子の占い好きは世代問わず共通のものだろう。
中学時代、ちょっと占いの真似事をして見せたら、昼休みや放課後に占って欲しいって人が結構な数来て
大変だったからと委員長に話す。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:30:01.59 ID:q029f00dO
 
委員長も占いに対する女の子の反応は理解しているのか、再び納得がいった顔で頷いた。
これで委員長からこの話が広がる事はないだろう。
見た目にも口は堅そうだし。
 
ミセ*゚ー゚)リ(まあ、知られたくないなら何でやったのかって話よね)
 
昨日のは単純にお礼のつもりだったが、天気が変わらず晴れだったなら何のお礼どころか話しの種にも
ならなかったのよね。
我ながら適当すぎる判断だったと思う。
 
まあ、時としてその適当な判断が程よい結果を招くので、無意識に味を占めてしまっているのかもしれない。
それとも、これもあれのお陰なのだろうか?
 
(゚、゚トソン「──セリ?」
 
ミセ;゚ー゚)リ「うお!?」
 
考え事に浸っていた頭が現実モードに切り替わると、視界いっぱいに委員長の顔が広がった。
どうやら何度か声をかけていたようだが、反応の薄い私を心配したのか歩きながらこちらの顔を
覗き込んでいたようだ。
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:32:03.88 ID:gLuo1R6fO
ラムネをあける前に入ってる玉はエー玉
ラムネをあけた後に入ってる玉はビー玉
これ豆知識な
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:33:09.20 ID:q029f00dO
 
(゚、゚;トソン「何故そんなに驚くのですか?」
 
ミセ;゚ー゚)リ「いや、近いって」
 
委員長が言うには眼前に手をかざしても全く反応がなかったのでということらしかったが、歩いてる時は前を
見てなきゃ危ないと思うな。
 
全く見てなかった私が言うのも何だけど。
 
それに、委員長は名前に反して(?)運動神経は良い方みたいだから平気なのかもだけど。
 
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、ごめん、ちょっと考え事してた」
 
(゚、゚トソン「何をですか?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「朝ご飯」
 
(゚、゚トソン「食べた……わけはないですね」
 
寝起きのまま玄関を開けた時の委員長の呆れた表情は記憶に新しい。
あの状態で朝ご飯を食べていると考えるのは難しいだろう。
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:33:15.46 ID:BWbu3GfaO
>>14
シー玉は?
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:36:06.83 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚ー゚)リ「起こしにきてくれるんなら作ってくれたりもしないの?」
 
(゚、゚トソン「……朝は忙しいのですよ」
 
少しの間があり、その一言だけを委員長は平坦な調子で言った。
流石に図々し過ぎたか、少し機嫌を損ねてしまったのかもしれない。
 
ミセ*-ー-)リ「冗談だよ。委員長にそこまでする義理はないだろうし、私は朝は食べない派だしね」
 
それを言ってしまえば、わざわざ起こしに来る義理もないのだが。
委員長はそんなことは気にしていないのか、義理とかそういう話ではなく、ただ忙しいのだとすまなさそうに言う。
 
(゚、゚トソン「どうしても食べたいなら家に来てください」
 
ミセ;゚ー゚)リ「いや、だから冗談だってば」
 
起きれないから起こしてもらってるのに、その前に委員長の家に行くのは無理があるだろうと私は言う。
 
(゚、゚トソン「それもそうですね。……ですが、出来るなら朝はちゃんと取った方が身体には良いですよ?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「その分昼にいっぱい食べるからいいんだよ」
 
そんなたわいもない会話をしながら、私達は学校にたどり着いた。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:38:17.36 ID:PiXfdj/BO
支援仕る
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:38:31.65 ID:mmVZnTuz0
しえん
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:39:03.48 ID:q029f00dO
 
・・・・
・・・
 
ミセ*-〜-)リ「うーい……」
 
すっかり雨も乾き、爽やかな初夏の風と少し厳しくなってきた太陽の下、私は学校の屋上に寝そべっていた。
お昼をご飯を堪能して、膨れ上がったお腹をさすり、至福の時を満喫している。
 
('、`*川「よくもまあ、食べたもんね……」
 
ミセ*-д-)リ「今日の1食目だしね」
 
/ ゚、。 /「3食分より多くないか?」
 
ミセ*-ー-)リ「パン8個ぐらいで1日持つわけないじゃん」
 
呆れた声を上げる2人に、ごく当たり前の調子で返す。
1食にしては食べ過ぎたことは認めるが、決して食べられない量じゃないだろう。
 
久々に購買行ったら、目新しいパンが増えてたからつい色々買ってしまったのだ。
朝も食べてなかったから丁度良いとばかりに。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:42:06.81 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚ー゚)リb「真面目に勉強すればお腹も減るんだよ」
 
('、`*川「よく言うわね。ずっとぼーっと外見てた──」
 
ペニサスの言葉が耳障りな鉄を引きずるような音に遮られる。
屋上に出る時も聞いた音。
施錠され、本来は立ち入り禁止である屋上に出るためには少し錆付いて立て付けの悪いあの窓をくぐる必要がある。
 
ミセ;゚ー゚)リ「誰?」
 
こんなとこに来る物好きは私ぐらいしかいない。
この2人は、1年の時に私の後をつけて来て気付いて以来だけど、その他に人が出入りするとこは今まで見たことがなかった。
 
(゚、゚トソン「どうも、こんにちは」
 
私達3人が注目する中、ひょっこりと顔を覗かせたのは何となく予想していた顔であった。
今の私に関心を持ってる人間は委員長ぐらいしかいないだろうし。
ペニサス達2人の関係者なら与り知らぬとこだが。
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:45:09.29 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚ー゚)リ「どしたの、委員長? 何か用事?」
 
(゚、゚トソン「はい、お昼ご飯のについてですが」
 
そういう委員長の右手にはシンプルな白い布地に包まれた恐らくお弁当と思われる箱。
私のイメージ通りなら、これは委員長の手作り弁当であろう。
 
お昼を一緒に食べようという話なら、もう食べてしまってるので申し訳ない事をしたかな。
 
(゚、゚トソン「今日はおにぎりにしましたので、少しお裾分けも出来ますが……」
 
ミセ*゚ー゚)リ「あ、いや、もう食べたよ」
 
私の返事に意外そうな表情を浮かべる委員長。
お昼休みが始まってから、もう30分ぐらいは過ぎている。
昼食を取り終えていてもおかしくない。
 
委員長はまだ食べてないようだが、もし私を探しててそうなったのなら、ちと申し訳なくも思う。
 
(゚、゚トソン「食べたのならよろしいのですが……」
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:48:03.28 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ちゃんと食べた」
 
('、`*川「食べ過ぎなぐらいにね」
 
ミセ*゚д゚)リ「だからお腹空いてたんだってば」
 
/ ゚、。 /「後々体重計と戦わなければならなくなるぞ?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「私、あんま太らない体質だからそれは平気かな」
 
/ ゚、。 /「「盛大に太れ」」('、`*川
 
いつの間にか逸れていく話を委員長は何も言わずに眺めている。
何か言いたげな様にも見えるが、私にはよくわからない。
 
よくわからない時は直接聞くのが私のモットーだ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「用事はご飯の誘いだったの?」
 
(゚、゚トソン「ええ……」
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:51:09.67 ID:q029f00dO
 
気を使わせた上に無駄足を踏ませて申し訳なかったと私は謝る。
委員長は私のせいではないと言ってくれたが、外野がこんなの気にすることはないとかうるさい。
 
('、`*川「このバカの事は気にかけるだけ損よ」
 
/ ゚、。 /「要領だけはよいからな。ちゃっかりしている」
 
ミセ*゚д゚)リ「だけってなんだよ、だけって」
 
ひどい言われようだが、自分の事は自分でやるのは当たり前の事だし、家庭環境も相俟って、私自身はそれなりに
しっかりしてるのだ。
 
引きこもってて掃除も疎かにしてた身が言うと説得力なさげだが。
あれはちゃんと明確な意思を持って引きこもってたんだし、掃除の必要性をまだ感じなかったから放置してただけだ。
 
それに厳密には引きこもってたわけでなく、ちゃんと買い物なんかに外に出てたし。
 
('、`*川「とにかく、こいつは甘やかさなくていいから」
 
/ ゚、。 /「そうそう。自分がバカを見るだけだ」
 
こちらが口を挟まないでいると好き放題言ってくれるペニサスにダイオード。
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:54:14.77 ID:q029f00dO
 
意外にも、委員長とは気軽に口を聞ける間柄であるようだ。
この場合の意外は委員長の方に係る。
何か、イメージ的に。
 
(゚、゚トソン「ですが、ご家庭の環境の事もありましたので……」
 
ミセ;゚ー゚)リ「え? 何? 何のこと?」
 
言い辛そうに言う委員長だが、何か私の家庭環境にまずいとこがあっただろうか?
 
いや、まあ、引きこもってた上に両親はいなく、部屋が汚かったのを知ってる委員長からすれば問題ありありだと
思うのは当然か。
 
だが、先にも述べたように、私は好きで引きこもってたんだし、両親はいないといってもお兄ちゃんがいるので天涯孤独という
わけでもない。
お兄ちゃんは別居してるので会うのは時々だが。
 
(゚、゚トソン「……その、経済的にお苦しいのかと」
 
ミセ;゚、゚)リ「……ああ、そういうことか」
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:56:12.93 ID:PiXfdj/BO
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:56:31.53 ID:rUlkcoS2O
支援
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 22:57:06.29 ID:q029f00dO
 
掃除した時に空っぽの冷蔵庫も見られたのだろう。
ついでにカップ麺の容器の山も。
買出しにも行ってなかったので備蓄食料もほとんどない時だったし。
 
家の造りはそうボロくないのだが、それも借り物だとか思われてたのかもしれない。
それ以前に、両親がいないという一点でそう見てしまった可能性もある。
 
('、`*川「それは違うわよ、委員長」
 
/ ゚、。 /「うむ、むしろ正反対だ」
 
(゚、゚;トソン「え?」
 
私が説明するより早く、ペニサスとダイオードが委員長に話し始める。
2人とも顔が笑ってるところを見ると委員長の勘違いが面白かったのだろう。
 
('、`*川「こいつはね、大金持ちなのよ。超リッチマン」
 
ミセ;゚ー゚)リ「マンじゃねーよ」
 
/ ゚、。 /「親の遺産で一生働かなくても食べていけるそうだ」
 
ミセ*-ー-)リ「一生どころか二、三生」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:00:03.98 ID:q029f00dO
 
私は肩をすくめ、2人の言葉に補足を入れる。
二生、三生なんて言葉があるかはともかく、2人が言うように私はいわゆる大金持ちだ。
だから、この先もずっと引きこもってもいられる。
 
その割に食事がカップ麺だったりするのは、手間がかからないし、ああいうチープな味が私は好きなのだ。
外食は何となく苦手だし。
今ならまだしも、中学生ぐらいの女の子が夜な夜な1人レストランや定食屋に入るのも空気的に居心地が悪かったし。
 
(゚、゚;トソン「そうだったのですか……」
 
驚きの色を隠せない委員長が呟くように言う。
余計な心配ばかりさせる羽目になり、重ね重ね申し訳なく思うが、向こうが勝手にそう思ってしまったのだから私にも
別に非はないんじゃないかとも思ったりもする。
 
ミセ*゚ー゚)リ「そういうことだから、委員長もお昼ご飯食べちゃいなよ」
 
食べる時間なくなるからと委員長にお昼を取る事を勧める。
実際、もう15分ぐらいしかないんじゃないかと思う。
 
(゚、゚トソン「そうですね」
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:02:07.56 ID:q029f00dO
 
委員長は頷き、私達を見てどうするべきか少し迷ったようだが私達がいる近辺、給水等のそばに歩み寄る。
座れる場所を探していたようなので、どの辺りなら座っても汚れないかを委員長に伝えた。
 
(゚、゚トソン「それでは、失礼して」
 
流石に正座というわけには行かないだろうが、足を揃えて背筋をピンと伸ばした姿勢で座る委員長。
太股の上に広げられた小さめのブルーの弁当箱にはおにぎりがいくつかと、数品のおかずが添えられている。
両手を合わせ、軽く目を閉じていただきますと行儀の良い一連の動作は委員長によく似合っていた。
 
(゚、゚;トソン「あの……」
 
/ ゚、。 /「……お前ら、食い入るように見られたら委員長が食べ辛いだろうが」
 
('、`*川「いやー、委員長のお弁当がどんな風か興味あったしね」
 
ミセ*゚ー゚)リ「それ、委員長の手作り?」
 
そう言いながら委員長のお弁当を覗き込む私達。
口では止めつつも、ちゃっかりダイオードもその輪に加わっていたりする。
 
(゚、゚トソン「私の手作りですし、そう大したものでもありませんが」
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:02:45.87 ID:mmVZnTuz0
しえん
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:04:04.91 ID:q029f00dO
 
私の見立ては正しく、お弁当は委員長の手作りらしい。
昨日の掃除の手際を見る限り、委員長は家庭的な人間だと推測出来るしね。
 
大したものでもないと委員長は言ったが、見たところ、おにぎりの形も整ってるし、おかずもいい塩梅の色をしてる。
食後じゃなければ間違いなくつまんでいたところだ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「あんまり邪魔するのも悪いんで……」
 
私はひらひらと手を振り、屋上の入り口に向かう。
話し相手なら2人もいるだろうし、私は教室に戻る事にした。
 
その2人が余計な事を委員長に吹き込みそうな気もするが、それは別にいいかな。
どうせあれはウソではないけど真実というわけでもないのだから。
 
(゚、゚トソン「……」
 
・・・・
・・・
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:06:03.02 ID:q029f00dO
 
放課後、今日はもう掃除の必要もないし、1人で帰ってしまっても構わないだろうが、何となく私は席に着いたままだった。
委員長の姿は席に見当たらない。
特に理由はないのだが、一言挨拶してから帰るべきなのかとどっちつかずな気持ちで帰れずにいる。
 
('、`*川「どしたの? 帰らないの?」
 
ミセ*-へ-)リ「ん……、帰るよ。帰るけど……」
 
既に帰り支度を済ませた様子のペニサスの問いに曖昧に答える。
この状況、主に心情の話だが、それをどう説明するか迷っていると教室の後ろのドアが開いてお目当ての顔が入って
来るのが見えた。
 
(゚、゚トソン「まだいらしたのですか?」
 
席に座ったままの私に気づくと、何とも冷たいお言葉をくれる委員長。
一応気にして待っていた私にかける言葉としてはいささかひどいのではないかと思う。
 
(゚、゚トソン「今日は特に寄るつもりはなかったのですが、すみません、一言断っておくべきでしたね」
 
私の顔に浮かんだ色を見抜いたのか、委員長は申し訳なさそうに謝って来る。
私とは違った意味でマイペースに見える委員長だが、その辺りの機微に気付けるぐらいは鈍くもないらしい。
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:07:09.70 ID:P27+KabEO
きたあぁああああ
待ってました!
支援
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:07:22.58 ID:rUlkcoS2O
トソンかわいいよトソン
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:07:53.27 ID:PiXfdj/BO
しえ
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:08:07.96 ID:q029f00dO
 
/ ゚、。 /「なるほど、それで律儀に待ってたわけか」
 
ミセ*゚ぺ)リ「別に委員長を待ってたわけじゃないっスよ」
 
何か含む所のある、からかうような視線を添えて言うダイオードに私は反論する。
私だって一応礼儀は考えたりもするだけで、別に委員長を気にしてたわけじゃない。
 
そんな事を説明してもしょうがないので、帰ると告げて立ち上がり、3人に手を振って歩き出した。
 
(゚、゚トソン「……ちょっとお待ちください」
 
ミセ*゚ー゚)リ「ん? 何……はいはい、教科書ね……」
 
例によって空の鞄を指差す委員長に私は渋々従い、適当に教科書を詰め込む。
 
ミセ;゚ー゚)リ「朝は全部入ってたのに教科書が数冊余った件」
 
(゚、゚トソン「それだと全部は入り切らないですよ?」
 
私が適当に押し込めた教科書を何冊か抜き、向きを変え、横に縦にきっちりと詰め込んでいく委員長。
こいつは間違いなく整理整頓のプロだと思う。
明らかに鞄の許容量を越えている教科書類は全て収まってしまった。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:10:02.89 ID:q029f00dO
 
ミセ;゚ー゚)リ「重い……」
 
ずっしりと重い鞄を抱え、私はよたよたと後ろのドアに向かい歩き出す。
 
ミセ*゚ー゚)リ「あれ? 委員長は帰らないの?」
 
何故か手ぶらで私の後を付いて来ていた委員長に気付き、そう聞いてみた。
委員長は後ろの扉の傍のロッカーを指差し、掃除当番だという。
どうやら私の後を付いてきていたわけでなく、ロッカーの中の掃除用具に用があったらしい。
 
/ ゚、。 /「む……委員長、今日掃除当番だったか?」
 
(゚、゚トソン「厳密には違いますが、当番の方が既にお帰りの模様でしたので……」
 
委員長の言葉に、ダイオードとペニサスの視線が私に向く。
いや、私は当番じゃないと思うというか、ずっといなかった人間には役割は割り振られてないんじゃないかと思う。
 
とはいえ気にはなったので委員長に確認してみると、やはり私ではないようだ。
私は安心して教室の後ろのドアに手をかけた。
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:12:10.07 ID:q029f00dO
 
('、`*川「お前はそこで、手伝おうか? の一言が言えんのか」
 
ミセ;゚ー゚)リ「え、そんな流れなの?」
 
確かに委員長には先日の掃除の恩はあるが、私は掃除というものが壊滅的に苦手なのだ。
それに委員長の手際の良さを考えると、むしろ私が手伝った方が時間がかかるのではないかと思う。
 
(゚、゚トソン「大丈夫ですよ。簡単で済ませますから。今日は私も少し早めに帰らないといけませんので」
 
手伝うべきか迷ってる私に、委員長はやんわりと助け船を出してくれる。
しかしながら急いでいるのならやはり手伝うべきかと決めた時、私よりも先にダイオードが口を開く。

/ ゚、。 /「ならば私達が替わろうか」
 
(゚、゚トソン「え?」
 
/ ゚、。 /「しばらく前に、私達に用事があった時替わってもらった事あっただろ?」
 
(゚、゚トソン「ええ、まあ……しかし」
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:13:05.65 ID:grFjk2iOO
支援ですよ
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:14:05.69 ID:q029f00dO
 
('、`;川「……達って……やっぱり私かな?」
 
/ ゚、。 /「あの時は誰の用事だったか覚えてるか?」
 
('、`;川「……委員長、私達がやるわ」
 
渋々ながらもきっぱりという言ったペニサスとダイオードに押され、最初は断っていた委員長も最終的には頷いていた。
次回の自分達の当番は今日サボってたやつにやらせるからという言葉に納得したのかもしれない。
 
(゚、゚トソン「ありがとうございます。押し付けたようですみませんが……」
 
/ ゚、。 /「順番が早まっただけだから気にしない」
 
('、`*川「元々、委員長がやることでもないんだしね」
 
どうやら麗しき女の友情のお陰で、私は手伝わなくて済みそうな流れだ。
このままさっさと帰ってもいいが、折角だから委員長と途中まで一緒に帰ろうかと誘ってみる。
まあ、結果的に待ってたような形になったんだし、そのくらいしてもいいんじゃないかと思うので。
 
ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ、帰ろっか?」
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:16:06.65 ID:q029f00dO
 
(゚、゚トソン「……まだいらしたんですね」
 
ミセ;゚ー゚)リ「ひでえ……」
 
早めに帰るとは言っていたが、走って帰らなければならないほど急いではないらしい。
私達は昨日と同じように朝と変わらぬ初夏の晴れ空の下を一緒に並んで歩き出す。
 
委員長の用事は詳しくは教えてもらえなかったが、どうやら家の用事のようだ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「委員長の家もこっちなの?」
 
(゚、゚トソン「はい、途中までは同じ道ですね」
 
委員長の家が全然違う方向でなくて良かったと思う。
ものすごく遠回りをしてまで私の家に朝っぱらから寄ってもらってるなら流石に申し訳なく思うし。
 
(゚、゚トソン「それだと少しお受けするのを考えたでしょうね」
 
ミセ*゚ー゚)リ「委員長だとしても?」
 
(゚、゚トソン「委員長だとしてもですね」
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:18:02.76 ID:q029f00dO
 
ミセ*-ー-)リ「まあ、何でもかんでも引き受ける必要はないと思うよ?」
 
少し申し訳なさそうな表情を浮かべる委員長に、そこまでする必要はないとフォローする。
所詮は学校内での役職だ。
そこまでする義務もなければ、さして親しくもなかった私に対する義理もないだろう。
 
(゚、゚トソン「あなたが引きこもっていなければそもそも私が伺う必要もなかったんですけどね」
 
ミセ;゚ー゚)リ「うん、手間取らせてる本人が言うなって話ですよね……」
 
遠慮なくずけずけと物を言う委員長。
少しは私がほんの昨日まで引きこもっていたって事を考慮しているのか疑いたくなるが、思えば最初からこんな感じだったので
こちらもだいぶ慣れたものだ。
 
それに、どちらかといえばはっきりと言ってくれる相手の方が私としては付き合いやすいタイプだ。
 
(゚、゚トソン「どうして引きこもっておられたのですか?」
 
そんな事を考えている矢先にまたも遠慮のない質問が飛んでくる。
そういう話は私が更生した後にでも聞いたりするものではないかと思うが、よく考えたらもう学校に行っているので私は
引きこもりから卒業したのかもしれない。
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:20:04.14 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚ー゚)リ「お昼にペニサス達に聞かなかったの?」
 
(゚、゚トソン「聞こうかとも思いましたが、そういう話を広めるのも失礼かと思いまして」
 
ペニサス達が詳しく知らなかった場合、余計な詮索をさせて私の引きこもりについてのおかしな話が流布するのを危惧したとの事。
あの2人は一応の理由は知ってるからそんな事にはならなかったと思うけど、そういう所に気を配って頂けるのは素直にありがたい
とは思う。
 
両親がいない一人暮らしという私の家庭環境を考慮してか、話したくなければ話さなくていいと言う委員長だが、それなら聞かなきゃ
いいじゃんと思うのは流石にひどいだろうか。
 
ミセ*-ー-)リ「うーん、大した理由じゃないんだよね」
 
私は頬を掻き、引きこもった理由を並び立てる。
ペニサス達に話してある同質のそれを。
 
ミセ*゚ー゚)リ「私はさ、いわゆる大金持ちってやつなんだよね。これから先、ずっと働かなくても遊びまくれるぐらい」
 
(゚、゚トソン「それはご両親が?」
 
ミセ*゚−゚)リ「……まあ、そんなとこ」
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:22:54.39 ID:PiXfdj/BO
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:23:14.40 ID:q029f00dO
 
何もしなくて生きていけるなら、別に学校に行く必要もない。
誰にも迷惑かけるわけじゃないし、好き勝手に生きたいと思ったからそうしたんだと私は委員長に説明する。
高校は義務教育でもないのだ。
 
(゚、゚トソン「……」
 
ミセ*-ー-)リ「ね、大した理由じゃないでしょ?」
 
ホントにどうでもいい、適当な理由だ。
でも、間違ってもいないと思う。
自分の置かれた環境を生かして、取れる選択肢の内から1つを選んだだけなのだ。
 
(゚、゚トソン「では、ご迷惑でしたね」
 
ミセ*゚ー゚)リ「何が?」
 
(゚、゚トソン「私があなたを引っ張り出した事です」
 
明確な意思を持ってそうしていたのならば、私がした事は余計なお節介だったと委員長は言う。
 
ミセ;゚ー゚)リ「いや、まあ、そうなんだけど、何かちょっと意外だな……」

(゚、゚トソン「意外?」
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:26:08.87 ID:q029f00dO
 
ミセ;゚ー゚)リ「うん、委員長って、そういうのも更生しそうなタイプだからさ」
 
そんなバカな考えしてないでちゃんと学校に来いとでも怒られるかと思ってたら、意外にも委員長は私の考えを認めてくれるようだった。
てっきり学校は勉強だけじゃなく、友達を作ったり部活動をしたりと人との接し方を学んだり、将来において勉強以上に必要になる事を
身に着ける場でもあり、それに何より楽しい場だという様な諭し方をされるのかと身構えていたのに。
 
私がそんな風に予想していた事を委員長に話すと、委員長は肩をすくめる。
 
(゚、゚トソン「そこまでわかった上で引きこもる事を選択したのならば、尚、言う事はありませんね」
 
それらがなくても構わない生き方を選択するのでしょうからと委員長は言葉を結ぶ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「……うん、色々想定外です」
 
勿論、私が予想していた委員長の答えは私の勝手なイメージなのだ。
委員長はいわゆる委員長タイプに見えるけど、その実だいぶ変わっていると私は改めて理解した。
 
正論だけど何か極端にも感じる。
何というか、歯に衣を着せないじゃないけど、相手の状況は考慮するけど心情は考慮しないみたいな、考えててよくわからなくなったが
とにかく容赦がないというか少し突き放したように聞こえる。
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:29:07.66 ID:q029f00dO
 
単に遊び心が不足しているだけなのかもしれない。
 
でも、よくよく考えたら親しくもない私にそんな色々配慮する必要もないよね。
義務的に相手してればいいんだし。
 
それを冷たいと受け取るのは筋違いだろう。
相手に敬意を持って真面目に接してくれているのはわかるしね。
 
(゚、゚トソン「私はこっちですね」
 
ミセ*゚ー゚)リ「え?」
 
不意に委員長が立ち止まり、私の家とは違う方の道を指差す。
それが委員長の家に向かう道だと気付くのにはさして時間はいらなかった。
 
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、そっか。委員長の家はあっちなんだね」
 
(゚、゚トソン「三丁目の方です。ここからさほどかかりませんので」
 
距離的には私の家から約1kmもないぐらいだろう。
学校には委員長の家からの方が近い。
あまり離れてはいないとはいえ、わざわざうちに寄ってもらってるのはやはり悪い気がする。
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:31:41.38 ID:PiXfdj/BO
しえ
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:32:06.72 ID:q029f00dO
 
(゚、゚トソン「明日はどうされますか?」
 
ミセ*゚ー゚)リ「明日?」
 
今しがた考えてた事を向こうから先に聞かれ、返答に詰まってしまった。
朝、うちに起こしに寄るかどうかという話だろう。
 
(゚、゚トソン「明日からまた引きこもられますか?
 
ミセ*゚ー゚)リ「あ……」
 
納得した上での引きこもりなら、そもそも起こす必要がないという事になる。
私の頭の中には、起されて起きるか自分で起きるかの2択しかなかった。
 
この時点で私の答えは出ていたようなものだが、そのまま続けられる委員長の言葉に私は何も言えずにいる。
 
(゚、゚トソン「個人的な考えを述べさせてもらえば、そのつもりならばいくらお金持ちとはいえ、高校お止めになって学費分は節約した方が
     良いと思われますが」
 
必要なら手続きの手伝いぐらいはすると言う委員長。
勿論、親切心から言っているのはわかるが、目的が目的だけに何とも複雑な気分だ。
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:35:06.44 ID:q029f00dO
 
別に委員長は私を学校から追い出したいわけじゃない。
それはわかっているのだけど。
 
ミセ*゚−゚)リ
 
引きこもったのは私なのだ。
その道を選んだのは私なのだ。
 
引きこもり、人との関わり合いを避け、1人でいる事を選んだのは私なのだ。
 
……例えそれが、私が本心から願ったものではないとしても。
 
「──リ?」
 
選んだのは、私──
 
(゚、゚トソン「ミセリ?」
 
ミセ;゚д゚)リ「うおっと!? だから近いってば!」
 
(゚、゚;トソン「あなたがぼうっとしてるからですよ」
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:38:07.23 ID:q029f00dO
 
気付けば朝同様に間近に委員長の顔がある。
考え事に気を取られすぎて、委員長の声が全く聞こえてなかったようだ。
 
私はそのままの位置で、私よりほんの少しだけ高い位置ある委員長の目を覗いてみた。
眼鏡越しのその目に浮かぶのは心配の色だろうか。
 
正直なところ、目を見たところでよくわからない。
早々都合よく読めるわけでもないのだ。
 
それでも、委員長が私の事を心配した目をしていると思えるのは、委員長の人柄による事なのだろうか。
付き合いの浅い私が言ったところで説得力はないのだけど。
付き合いの浅い私がそう言えるくらいはいい人なのかもしれない。
 
(゚、゚;トソン「またぼうっとしてるみたいですけど大丈夫ですか?」
 
ミセ;゚ー゚)リ「え、あ、うん、大丈夫、全然ダイジョブよ?」
 
私視線を外し、一歩下がる。
道端で見詰め合う女子2人という何ともアレな光景を作り出していた事に気付いたが、幸いそう人通りの多くもない道だ。
おかしな噂がたつような事もないだろう。
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:41:08.88 ID:q029f00dO
 
(゚、゚トソン「何だかお疲れのようですね。久しぶりに学校に通い始めたのだから無理はないのかもしれませんが」
 
ミセ*゚ー゚)リ「うん、まあ、そうかもね」
 
帰って寝ると言って、私は委員長に手を振って別れの挨拶を述べる。
そのまま歩き去ろうと思ったが、先ほどの委員長の問いに答えてなかったのを思い出した。
 
(゚、゚トソン「明日も迎えに行きますので」
 
再び振り向こうとしたが、それよりも先に委員長の方から先にその件の回答を示されてしまった。
私が出そうとした答えとは別の答え。
 
(゚、゚トソン「決めるのは急がなくてもよいと思いますよ?」
 
本当の答えを先延ばしにしただけの一時凌ぎでも、今の私にはありがたい答えだったかもしれない。
 
でも──
 
ミセ*゚ー゚)リ「いや、明日はいいよ。わざわざ悪いしね」
 
私はウソと本当が混じった、けれど建前の理由で本当になる答えを返す。
口の端には笑顔を浮かべ、完璧な装飾を施して。
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:41:23.89 ID:OdfgEpqEO
支援
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:44:11.60 ID:q029f00dO
 
(゚、゚トソン「……わかりました。それでは、さようなら」
 
少しの沈黙の後、委員長は一礼をして歩き出した。
途中で振り返る事もなく、委員長の姿は程なくして見えなくなってしまった。
 
私はただそれを目で追っていた。
身じろぎ1つせず、飾り立てた笑顔のままで。
 
ミセ*゚−゚)リ「……さようなら」
 
呟くように搾り出した別れの言葉。
既にいない人に向けても届く事はない。
 
そんな事はわかっているけれども、私は呟いていた。
ただ風に消えるだけの言葉を。
 
・・・・
・・・
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:47:05.83 ID:q029f00dO
 
カチカチと、秒針の音だけが暗い室内に響く。
前々から音がしないタイプに替えようと思ってはいたのだが、いつも忘れてしまう。
 
以前より音がうるさくなった気もする。
どこか故障でもしているのだろうか。
でも、朝見た限りでは時間はあっていたようだ。
 
それともリビングが綺麗になったから、音が届きやすくなったのだろうか。
 
あれからどのくらいの時間がたったのだろう。
外は既に真っ暗だから、少なくとも4時間ぐらいは過ぎたのだろうか。
ひょっとしたら、もっとかもしれない。
 
もう真夜中かもしれない。
それとも1日経ったか、はたまた1週間か。
 
ミセ*゚−゚)リ「流石にそんなには経ってないか……」
 
いつもの様に誰もいない部屋で1人呟く。
1人暮らしが長いと独り言が増えるというのは本当だ。
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:50:07.35 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚−゚)リ「……」
 
私は暗いままの室内を見渡す。
目は既に暗闇に慣れているので、何となくどこに何があるかはわかる。
それでなくても自分が普段生活している場所なのでわかるし、それ以前に何もない部屋だ。
 
生活に必要なものは一通り揃ってはいるが、何もない部屋なのだ。
 
ミセ*゚−゚)リ「……お腹空かないな」
 
お昼に食べ過ぎたせいもあるが、多分原因はもっと別な所にある。
 
簡単に言えば凹んでいるのだ。
 
ミセ*゚−゚)リ「自分で決めたのにね……」
 
上げて落とされた、そんな感じなのかもしれない。
正しくは勝手に舞い上がって自分で掘った穴にはまった感じだろう。
 
全部自分のせい。
誰のせいでもないのだ。
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:51:34.21 ID:9hH8AhN7O
トソンかわいいよ支援
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:53:32.40 ID:PiXfdj/BO
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:54:11.04 ID:q029f00dO
 
ミセ*゚−゚)リ「誰にも話してないしね」
 
話していない理由は簡単だ。
話す相手がいなかった。
それに、話すといっても何を話せばいいのだろうか。
 
正直言えば、何でこんなに悩んでいるのかよくわからない。
本当は悩むような事じゃないのかもしれない。
こんな事で悩むなんてバカらしいって笑い飛ばして気にしなければそれで済む話なのかもしれない。
 
ミセ*゚−゚)リ「それでも私は……」
 
「んー? 何で真っ暗なんだ?」
 
不意に人の声がした。
それとほぼ同時に部屋の電気が点く。
 
眩しさに目をつぶるが、確認するまでもなく声の主はわかっている。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:58:22.34 ID:q029f00dO
 
( ^Д^)「うおっと、何だ、いたのか」
 
ミセ*゚−゚)リ「お兄ちゃん……」
 
寝てたのだと電気を点けてなかった訳を説明して、私はソファーに座り直す。
お兄ちゃんは私に土産だと紙箱の入ったビニール袋を手渡し、向かいに座った。
 
( ^Д^)「どうだ、最近?」
 
ミセ*゚−゚)リ「うん、特には……」
 
途切れがちで弾む事のない会話という名の近況報告。
私の方は大して話す事はない。
日々何もない生き方をしていたのだから。
 
いや、この2日は一応の変化はあったのだ。
3ヶ月ぶりに学校に行ったのだし。
 
けれど、お兄ちゃんがそれに気付く事はない。
帰った時のまま、制服姿のままの私を見ても不審に思わなかっただろう。
お兄ちゃんは私が引きこもってた事を知らないのだから。
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:00:04.14 ID:q029f00dO
 
( ^Д^)「そうか、それなら良かった」
 
ミセ*゚ー゚)リ「うん、変わりないよ」
 
私は笑顔の装飾をし、いつも通りの答えを返す。
何もない。
何でもないことなのだ。
 
( ^Д^)「そっか、そっか……。それでだな……」
 
無駄な会話が終わり、ようやくお兄ちゃんが本題を切り出そうとする。
聞かなくてもわかっている事。
別居しているお兄ちゃんがここに来た目的。
 
ミセ*゚ー゚)リ「うん……わかってる……」
 
私は立ち上がり、キッチンに向かう。
お兄ちゃんはそれを見るとホッとした表情でノートパソコンを取り出していた。
 
ミセ*゚−゚)リ「あれ? ……あ、そっか」
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:01:13.22 ID:q029f00dO
 
空っぽの冷蔵庫。
そういえばあれは昨日飲んでしまったんだった。
 
仕方なく手ぶらで戻ってくると、お兄ちゃんは鞄の中から1本の缶ジュースを取り出した。
用意のいいことだ。
あの鞄の中にはもう2、3本は入っているのだろう。
 
再びキッチンに向かい、コップを1つ手に取る。
そしてもう片方の手を伸ばし、その脇に転がっていたビー玉を1つ摘み上げた。
 
ミセ*゚−゚)リ「神様か……」
 
何の変哲もないビー玉。
覗いて見ても向こう側が透けて見えるだけのただのガラス玉。
 
 
でも、それは私の神様なのだ。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:03:05.33 ID:fHSLD49lO
支援
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:03:09.17 ID:T2XfMkLOO
 
私は、リビングに戻りテーブルに置いたコップにサイダーを注ぐ。
透明なコップの中で弾ける炭酸の泡はいつ見ても綺麗だと思う。
 
子供の頃からずっとそう思っていた。
今も本当にそう思っているのだろうか?
 
ミセ*゚−゚)リ「……」
 
ぽちゃんという音を立て、サイダーの中にビー玉が沈む。
泡だらけの神様の先に、ブルーバックの画面が広がる。
それが私のほうに向けられたノートパソコンの画面だというのはわかっている。
 
見慣れない名前が並んでいたはずのそれだったが、今では少し覚えてしまった。
名前は所詮名前だけど、その名前の価値を上げるため、多くの人が日々汗水たらして働いているのだ。
 
ミセ*゚−゚)リ
 
私は神様に意識を集中させる。
いくつもの点が線になり、やがて流れるようなイメージが浮かぶ。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:05:11.82 ID:T2XfMkLOO
 
( ^Д^)「どうだ?」
 
ミセ*゚−゚)リ「……」
 
遠くで誰かの声がしたが、私には聞き取れなかった。
でも、私が何を求められているのかは理解している。
 
ミセ*゚−゚)リ「……荒巻コーポレーション……鈴木商事……あと、は瀬川堂かな」
 
( ^Д^)「おお……」
 
それからいくつかの名前を羅列した。
その都度、遠くで声がしたが私にはよくわからない。
 
しばらくの後、目を閉じ、神様から意識を離す。
外界の音が戻ると、そこには熱心に何かを書き込むお兄ちゃんのペンの音しか聞こえてこなかった。
 
( ^Д^)「ありがとな、助かったよ」
 
挨拶もそぞろに、お兄ちゃんはそそくさと帰り支度を始める。
いつもの事なので、私はただ無言で飾り立てた笑顔を返す。
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:07:11.89 ID:T2XfMkLOO
 
再び秒針の音だけになった部屋は、先ほど以上にだだっ広く感じられた。
変わったものは目の前に置かれたサイダーと、お兄ちゃんが持ってきたお土産だけ。
 
ミセ*゚−゚)リ「ケーキかな……」
 
中身はやはりロマネスク亭の新作ケーキ。
お兄ちゃんは女性が何を好むか熟知しているのだろう。
仕事柄もあるが、元々そういう点は抜け目がない人だったから。
 
なんだか無性に叩き潰したい衝動に駆られたが、ケーキに罪はない。
作った人に申し訳ないし、食べ物を粗末にするのは大嫌いだ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「甘いな……」
 
ケーキはとても甘く、とても美味しかった。
こんな時でも美味しいと思える自分の食い意地に少し笑えたが、美味しいものはどんな時に食べても
美味しいものなのだろう。
 
けれど、これは何の対価なのだろうか。
 
私の行動の対価?
 
それとも、神様へのお供え物か。
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:09:05.41 ID:T2XfMkLOO
 
ミセ*゚ー゚)リ「甘い……」
 
泣きたくなるくらい甘いケーキ。
私はサイダーでそれを流し込んだ。
 
神様がコップの中で音も無く転がる。
 
ミセ*゚ー゚)リ「これも私が選んだんだ。だから……」
 
だから私はこれでいい。
私はこうして生きていく。
生きていけるのだから。
 
ミセ*゚ー゚)リ「それでいいんだよね?」
 
泡まみれの神様は何も答えてくれない。
本当に知りたい事は何も教えてくれないのだ。
 
ミセ*-ー-)リ「……おやすみ」
 
私はソファーに転がり、そのまま目を閉じた。
眠れば色んなことが忘れられる。
 
この気持ちもきっと、明日には忘れてしまえるだろう。
 
 
 
           〜 中編 終わり 〜
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:13:54.68 ID:fHSLD49lO
おっつ
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:14:25.97 ID:N/2gHFeIO
乙(・ω・)/
70 ◆xJGXGruetE :2009/11/06(金) 00:14:56.13 ID:T2XfMkLOO
以上でした。

何か予定とだいぶ展開変わったので色々迷走中。
一応次でおしまい予定です。

2週間以内に投下出来たら幸い。

支援とかありがとうございました。
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:23:56.53 ID:N/2gHFeIO
期待してるぞ
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:24:22.42 ID:8itOHFnkO
とりあえずミセリ愛してる
乙、ぜひ続きが読みたいものです。
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
乙です