1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理ヽ(。・∀・)ダー!!
2 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:39:12.63 ID:KqGnfOIDO
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 20:40:19.72 ID:yn4gYXj6O
期待
4 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:42:44.58 ID:KqGnfOIDO
走れ。
走れ。
でないと、追いつかれちまう。
(;^Д^)「……ッ…ハァッ……!」
誰か、誰か助けてくれ。
後生だから。誰でも良いから。
お願いだよ。
( ;Д;)「誰かッ……!誰か助けてくれェェェェエエエエエエ!!」
どうしてだ。どうして誰も出てくれないんだ。
ここは住宅街の筈だ。
なのに、何故だ。
( ;Д;)「誰かっ……!誰かかァァア!!」
何で、なんで誰も出ないんだ!?
5 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:44:28.26 ID:KqGnfOIDO
これだけ叫べば、幾ら何でも気づく筈なのに。
どうして。どうして。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
( ;Д;)「うわぁぁぁぁああああああああ!!」
ただ、俺は叫んで逃げるしかない。
後ろから追ってくる、腐敗臭と殺気を撒き散らした「何か」から。
カシャ。
カシャカシャ。
カシャカシャカシャ。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ。
追っかけてくる。
捕まったら、殺される。
6 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:45:41.21 ID:KqGnfOIDO
( Д )「は。ははは。
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
カシャ、カシャ。
足音が近づいてきた。臭いも一層キツくなってくる。
ゴミ処理場の臭いも裸足で逃げ出す程の酷い、腐敗臭が。
ゆっくり俺は立ち上がった。 膝がアホみたいに笑っている。
どうせ死ぬなら、立ち向かってやる。
失うものは、元より何もない。
腰に閉まっていたバタフライを取り出すと、俺はそれを構えた。
(;^Д^)「来い、バケモノ……!」
カシャ。
カシャ。
カシャ、カシャ。
死と腐った血肉を混ぜたような臭い、禍々しい殺気。
姿は見えないが、それらを感じ取ることで、俺はアイツの存在を感知できる。
7 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:47:36.49 ID:KqGnfOIDO
隠れた月が、徐々に家々やアスファルトを照らす。
( Д )「………あ……………」
それがアイツに降り注いだ時、俺は立ち向かった事を後悔した。
2メートルはある巨体、注射器のような長い舌、月光に照らされた吐き気をもよおすスライムのようなぬめぬめとしたものに覆われた身体、四肢。
カシャカシャと鈍い銀色の鋭い爪が、アスファルトを削る。
暗闇に紅く光る瞳が、俺に狙いを定めた。
( ;Д;)「うわぁぁぁぁあああああああああああ!!」
アイツが飛びかかってきた瞬間、俺は、死を覚悟して目を瞑った。
8 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:49:12.06 ID:KqGnfOIDO
ぐしゃっ。
9 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:52:00.18 ID:KqGnfOIDO
10 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 20:54:33.60 ID:KqGnfOIDO
「ぐごぅぎゃあぁあぁぁあぁあああああああ!!」
( 。-Д-)「!?」
何かが潰れる音と、唸るような悲鳴が木霊する。
生暖かい何かが頬に降り注ぐが、俺は恐ろしすぎて目を開ける気にはなれなかった。
「オイ!コイツ死なねーじゃねえか!どうなってんだ!」
「兄者が人の話を聞かないのが悪いのじゃ!」
次に聞こえてきたのは、アニメ声のような少女のと、聞き覚えのある男の声。
好奇心が恐怖に勝り、俺は恐る恐る目を開けた。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 20:56:13.28 ID:TJtcAsUSO
期待wwwwwwwwww
しwwwwwwwwwwえwwwwwwwwwwんwwwwwwwwww
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 20:57:00.77 ID:ZHQM7hQxO
投下し直し?
「兄者が人の話を聞かないのが悪いのじゃー」
次に聞こえてきたのは、アニメ声のような少女のと、聞き覚えのある男の声。
l从・∀・#ノ!リ人「アリスは悪くないのじゃ!兄者が早漏なのが悪いのじゃ!」
( #´_ゝ`)「女の子が早漏なんて破廉恥な言葉を使うんじゃありません!メッ!
因みに俺は遅漏だ!」
(;^Д^)「誇れる事じゃねーぞ、ソレ」
少しだけ、俺は自身の好奇心を恨んだ。
目の前には、金棒のようなモノでバケモノを叩き潰している、深紅のドレス風のゴスロリを着こなした可愛らしい少女。
その横では、バケモノの脳天に刺さった血塗れた日本刀を引き抜こうと兄者が踏ん張って居た。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 21:01:47.14 ID:3WbyTvkzO
来てたか支援
15 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:03:46.81 ID:KqGnfOIDO
( ´_ゝ`)「ん?何だ、プギャーじゃあないか。
こんな所で何してんだ?」
( ^Д^)「その言葉、そっくりそのまま金属バットで打ち返してやんよ」
引き抜くのは諦めたのか、今度は少女の金棒を借りて、頭を中心的に叩き潰し出した兄者。
ぐしゃ、だのブチュッ、だのグロテスクな効果音と共に、バケモノだったモノの頭が、まるで腐ったパイナップルのように潰れていく。
あらかた潰した後、兄者はズブリ、と厭な音と共に、バケモノから日本刀を抜き取る。
兄者はそれをブンと振り、血(らしき液体)を飛ばすと、腰に差してあった鞘へと閉まった。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 21:08:16.18 ID:om0cymB/O
しえん
17 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:08:26.13 ID:KqGnfOIDO
バケモノだったものが、ビクンビクン、と身体を震わせたかと思うと、黒い霧となって霧散する。
静寂が戻り、月光が相変わらずアスファルトを照らしていた。
(;^Д^)「……兄者。
俺は、夢でも見ていたのか?」
兄者は答えない。
隣の少女は、不思議そうな表情で、こちらをじっと見つめている。
( ´_ゝ`)「……そうさ、な。
もしこれが夢だったなら、どんなに良かったろうな」
ふ、と侘しげな笑顔で、兄者は笑う。
振り向いた顔の半分は、バケモノの血で染まっていた。
(;^Д^)「うわクッセ!兄者クッセ!二重の意味で!」
l从・∀・;ノ!リ人「近寄らないで欲しいのじゃー」
( ;_ゝ;)「理不尽な!」
18 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:10:46.26 ID:KqGnfOIDO
( ^Д^)「粗茶ですが」
( ´_ゝ`)「ども」
l从・∀・ノ!リ人「うむ、苦しゅうない」
場所は変わって、俺の住むアパート。
和風の部屋に馴染んだちゃぶ台は、異様なふいんき(ry)に支配されていた。
三人分の茶と煎餅を揃え、我が家の筈なのに正座で座り込む。
( ´_ゝ`)「煎餅っておま…爺臭っ」
( ^Д^)「うるせー。顎鍛えとかねーと、将来困るぞ」
l从・∀・*ノ!リ人 wktk
l从・∀・*ノ!リ人 ガリッ!!
_,,_
l从;Д;ノ!リ人「…か、固いのじゃ」
19 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:13:06.01 ID:KqGnfOIDO
すみません、飯食ってきます。
保守して下さると嬉しいです。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 21:26:20.96 ID:HFTBo5iAO
甘えんな!
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 21:26:51.63 ID:YwxPq8JhO
誰が保守なんかするかよ!
22 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:28:40.37 ID:KqGnfOIDO
ツンデレ保守ありがとうございます。
それでは再投下します。
23 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:30:51.38 ID:KqGnfOIDO
(;^Д^)そ「ああっゴメン!煎餅嫌いだった!?」
_,,_
l从;Д;ノ!リ人 グスングスン
( ´_ゝ`)「…俺ん時と態度違くね?」
よよよと嘘泣きし出した兄者はスルーする。
泣き止まない少女を目の前にして、俺はおろおろするしかない。
(;^Д^)「今時の小学生って何が好きなんだ?
かりん糖とかラムネとかか?」
(;´_ゝ`)「チョイスが古すぎだろ、常識的に考えて」
壁に身体の側面がめり込んだ兄者を余所に、俺は家の中の夜食を出来るだけ集めた。
そして、彼女に気に入ったものを選ばせる事で、事なきを得た。
24 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:32:28.37 ID:KqGnfOIDO
l从・∀・*ノ!リ人「甘くて柔らかいのじゃー!」
悩みに悩んで、彼女ことアリスちゃんが選んだのは、祖父のお土産に貰った紫芋スイートポテトだった。
( ´_ゝ`)「しかし凄いな、この量。
一人じゃ食いきれねーだろ」
( ^Д^)「ああ、だから賞味期限がヤバい奴はジョルジュに食わせてる」
( ´_ゝ`)「…ジョルジュ、ジョルジュ、ジョルジュ?……」
_
( *゚∀゚) オッパイマンセー!
( ´_ゝ`)「ああ、アイツか」
(;^Д^)「今なんか可哀想な思い出し方しただろ」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 21:33:27.34 ID:Qbi9ue0EO
支援
26 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:36:00.23 ID:KqGnfOIDO
さてと。俺は兄者に向き直った。
( ^Д^)「説明して貰うぞ、兄者」
脳裏に蘇るのは、30分前の悪夢。
暗闇、バケモノ、咆哮、血飛沫、日本刀、少女、兄者、血、血、血。
(;^Д^)「ありゃあ一体……何なんだ?」
l从・〜。・ノ!リ人「あれはのぅ、ティンダロスの猟犬じゃ」
俺の質問に答えたのは、兄者ではなくアリスちゃん。
スイートポテトを頬張りながら、ニッコリと笑って答えてくれた。
(;^Д^)「ティ……は?」
l从・∀・ノ!リ人「ティンダロスの猟犬。
90゚以下の鋭角から現れる、時間旅行者を容赦無く追いかけるという悪趣味な奴でな、ねちっこくて卑しい獣じゃ。ご馳走様」
ペラペラと喋るアリスちゃん。スイートポテトはもう消えていた。
27 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:39:41.69 ID:KqGnfOIDO
l从-∀-ノ!リ人「最近は、ヨグの爺の影響で、一般人をも襲うようになってしもうた。
嘆かわしい限りじゃ」
( ^Д^)「………………」
何だかよく解らないが、大変な事に巻き込まれた気がする。
l从・∀・ノ!リ人「それに、お前さんからは何やら不思議な力を感じるのじゃ」
( ^Д^)「力?」
おいおい、ここに来てまさかの覚醒イベントかよ。
実は世界を救う勇者でしたー、的なアレか?
28 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:41:07.50 ID:KqGnfOIDO
中世のヨーロッパ風の鎧を見に纏い、後ろに控えた仲間達と共に、白馬に跨がって草原の急斜面を颯爽と駆け抜ける自分を想像する。
敵のバケモノを薙刀でバッタバッタと薙ぎ倒し、何かメッチャ強そうな怪人と一騎討ち。
ラストは可愛らしいお姫様を魔の手から救い出し、愛の誓いのキッスでハッピーエンド。
うん、中々カッコイイ。
因みに、走る時は俺が先頭な。
ハイヤー、ジョセフィーヌ!パカラッパカラッ。
l从・∀・ノ!リ人「残念ながら、覚醒イベントはないのじゃー」
( ^Д^)「ですよねー」
29 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:43:22.82 ID:KqGnfOIDO
何だ、つまらん。
脳内の妄想映像を手で振り払う。
しかし、我ながら素敵な妄想ではあった。今度、紙芝居で描いてみようかな。
( ´_ゝ`)「おい、ヨダレヨダレ」
( ^∩^)「っと…スマンスマン、つい自分ワールドに突入しちまった」
(;´_ゝ`)「どんな自分ワールドだよ、気色悪いな」
人生初にして、ジャーマンスプレックスに挑戦した。
不安だったけど上手く出来てよかった。
30 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:46:26.49 ID:KqGnfOIDO
(###)_ゝ()「そ、そんなに怒らなくても良いじゃないか…」
( #^Д^)「お前に言われると何か腹立つんだよ」
l从・∀・*ノ!リ人「華麗なジャーマンスプレックスだったのじゃー!」
アリスちゃんがピョンピョンと跳び跳ねて喜んでいる。
l从・∀・ノ!リ人「プギャーさんの力はまだ何か解らないけど、決して悪いモノではないのじゃ。安心するのじゃ」
( ^Д^)「そうか」
ふと、話を聞いている内に、沢山の疑問が浮かび上がってくる。
( ^Д^)「兄者、それにアリスちゃん」
(###)_ゝ()「何だ?」
l从・∀・ノ!リ人「何じゃー?」
( ^Д^)「もう少しだけ、質問良いか?」
31 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:48:19.74 ID:KqGnfOIDO
兄者とアリスちゃんが、同時に顔を見合わせた。
やはり、聞いたらマズかっただろうか。
( ´_ゝ`)「まあ…答えれる範囲内でなら」
l从・∀・ノ!リ人「ドンと来いなのじゃー」
( ^Д^)「そうか、それじゃ…コホンッ」
( ^Д^)「お前等は何者なんだそしてどういう関係だあのバケモノは何が目的で俺を襲ったんだそもそもあの日本刀と金棒は一体何だ銃刀法違反じゃねーか俺の叫び声に住民が反応しなかったのは何故だそのゴスロリは何なんd」
(;´_ゝ`)「待て待て待て!もうちょいゆっくり喋れ!」
l从・∀・;ノ!リ人「こ、これが噂に聞くマシンガントーク…」
32 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:50:06.31 ID:KqGnfOIDO
兄者とアリスちゃんの痛い視線を受けつつ、俺はお茶を一気に飲み干す。
ふぅ、と一息ついた所で、アリスちゃんが口を開いた。
l从・∀・;ノ!リ人「えーと、まず、アリス達が何者なのか…か。
安心せい、兄者は普通の人間じゃ」
( ^Д^)「そ、そうか…」
って、ちょっと待て。
( ^Д^)「兄者『は』?」
何だよそれ。
それじゃ、まるで、
l从-∀-ノ!リ人「…左様。察しの通り、アリスは人間ではないのじゃ」
(;^Д^)「ッ…………」
33 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:53:11.92 ID:KqGnfOIDO
( ´_ゝ`)「…クトゥルフ神話っての、知ってるか?」
(;^Д^)「はあ?」
唐突に何を言い出すんだ。
そんな妙ちきりんなタイトルの神話、俺が知る訳無いだろう。
すると、アリスちゃんは苦虫を噛み潰したような顔で、語り出した。
l从-∀-;ノ!リ人「始まりは、全てアイツの『気まぐれ』だったのじゃ…」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 21:57:10.37 ID:ePweueC8O
しえ
35 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:58:06.07 ID:KqGnfOIDO
昔、気まぐれで暇をもて余した、1人の神が居た。
幾つもの世界をひねり潰し、それでも尚刺激を求めていた。
退屈だった。
とにかく、何か楽しい事が起こって欲しかった。
自分は眺めているだけがいい。
本来神々の間には、世界に干渉してはいけないという暗黙のルールがあった。
それが不満だった神は、他の神々には内緒で、こっそりと世界に干渉していた。
馬鹿な人間達は、ちょいちょいからかっただけで、簡単に発狂し、壊れていった。
そんな狂った世界を見るのが、神には愉快で堪らなかった。
だから、何も起こらない『この世界』が、とてもとても、退屈で堪らなかった。
36 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 21:59:19.24 ID:KqGnfOIDO
そんな時、神は1人の子供を見つける。
陰気で根暗で、大人しそうな少年。
だが、目だけは鈍くギラついていた。
神は、その少年をいたく気に入った。
そうだ。自分達の夢を見せよう。
少年と友達になりたかった神は、自分達の正体の一部、昔自分達がしてきた事、されてきた事を如実に、毎晩毎晩少年の夢に注ぎ続けた。
少年は悪夢にさいなまれ、どんどん陰気に、陰険に、根暗に、孤独になっていった。
時が経ち、少年は男に、男は作家になった。
そして、自分が見続けた夢を、本にして出版した。
その中には、隠喩で隠された、神々の秘密や弱点もあった。
全て、あの気まぐれで冷笑的な神の意のままに。
37 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:01:58.25 ID:KqGnfOIDO
本は世に出回り、沢山の人々がその本の虜になった。
コズミックホラーとして人気を呼んだその物語は、いつしか『クトゥルフ神話』と名付けられた。
これを知った時、殆どの神や生き物達が怒り狂った。
当然だ。今まで自分達が隠してきた秘密を、―隠喩ではあるものの―、人間にバラしてしまったのだから。
人間に例えるなら、中学生時代の自分のポエムやら妄想小説を、三十路越えた今になって、大量にコピーしてビルの屋上から投げ捨てられたような、そんな気分だったのだ(一概に神々の行為をこんな風に当てはめて良いものかどうか定かではないが)。
38 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:04:52.31 ID:KqGnfOIDO
特にその怒りを一番露にしたのは、神が従っていた主の敵対者であるハスターだった。
50年もの間、人々が平和に生きる影で、神々の壮絶な戦いが繰り広げられた。
中々つかない勝負に痺れを切らしたのは、ハスターだった。
ハスターは刺客を送り込んだ。
刺客は水神の聖地を荒らし、国をめちゃめちゃにし、アリスは父母を目の前で引き裂かれた。
l从 ∀ ノ!リ人「父上と母上は、クトゥルフ様を信仰していた故に消された。
許せないのじゃ…。
あの這いよる混沌も、陰険な名伏しがたい神も、国を、父と母を守りきれなかったアリス自身も」
39 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:06:48.03 ID:KqGnfOIDO
淡々と語るアリスちゃんの肩は震え、彼女の頬を透明な雫が伝う。
(;^Д^)「…………」
どう声を掛けてやれば良いのだろう。
慰めの言葉は、果たして彼女に通用するのだろうか。
(;^Д^)「あ、あnl从 ∀ ノ!リ人「だから、決めたのじゃ」
(;^Д^)「へ?」
l从・∀・#ノ!リ人「アリスは、あの憎きハスターと戦い、父上と母上の仇を討つ!
そして、クトゥルフ様と共にルルイエを復活させるのじゃと!」
ダアンッ!とちゃぶ台に足を乗せ、演説する政治家よろしくポーズを決めるアリスちゃん。
( ´_ゝ`)「ちゃぶ台に足乗っけちゃいけませんっ!」
そl从>∀<ノ!リ人「あいたっ!!」
兄者がペチーンとアリスちゃんの足を叩いた。
シリアスなふいんき(ryが台無しだ。
俺の気遣いを返せ。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 22:07:19.30 ID:3WbyTvkzO
支援
41 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:10:17.90 ID:KqGnfOIDO
( ^Д^)「で、結局アリスちゃんの正体は?」
( ´_ゝ`)「産業でまとめるとだな
父ダゴン
母ハイドラ
すなわち半魚人」
( ^Д^)「訳ワカメ」
l从・∀・ノ!リ人「ググれks!」
5分後
( ^Д^)「把握した」
l从・∀・ノ!リ人「うぃきは便利なのじゃ!」
( ´_ゝ`)「(半魚人の癖に何でWikipedia知ってるんだよってツッコミは無いんだな…)」
アリスちゃんの正体も分かった所で、次の疑問に入る。
( ´_ゝ`)「アリスとどういう関係、か…。
単純だよ、お前と同じようなモンだ」
42 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:13:40.84 ID:KqGnfOIDO
( ^Д^)「俺と?」
( ´_ゝ`)「そ。同じ」
落雁を飲み込むと、兄者は俺を見据えた。
同じ、ということは。
(;^Д^)「兄者も…『アレ』に…?」
瞬時に、粘膜に覆われ、腐敗臭を漂わせたあのバケモノが脳裏に蘇る。
吐き気がする、あの存在。
( ´_ゝ`)「いや、俺が襲われた時は違う奴だったな」
もっと小さかったな、と呟きながら、どこから取り出したのであろうボールペンを駆使し、一枚の絵を完成させた。チラシの裏に。
43 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:15:32.55 ID:KqGnfOIDO
( ´_ゝ`)「こんな奴だった」
( ^Д^)「へー…」
チラシの裏に描かれていたのは、俺が出会ったのよりも、もっと気味の悪い生き物だった。
何とも形容し難い生き物で、強いて形容するならば、顔の無い、蝙蝠の羽を持ったトカゲ人間のような物、といった所だろうか。
(;^Д^)「つーか、無駄に上手え……」
( ´_ゝ`)+
44 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:16:36.02 ID:KqGnfOIDO
l从・∀・ノ!リ人「因みに、ソイツの名前はナイトゴーント。
くすぐり攻撃が特徴じゃ」
なにそれ可愛い。
見た目に反してユーモラスな生き物だと判断した。
l从・∀-*ノ!リ人-3「敵であることに変わりは無いのじゃ。
可愛いと思うのには同意するがのう…」
( ^Д^)「むう…」
( ´_ゝ`)「つか、そもそもコレ可愛いか?」
( ^Д^)
l从・∀・ノ!リ人
( ^Д^ )
|!从・∀・从!|
( ´_ゝ`)「こっち見んな」
45 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:21:28.18 ID:KqGnfOIDO
( ^Д^)「つまり、兄者をこの首輪型遠隔起爆装置で脅して協力させたと」
l从・∀・ノ!リ人「うむ、くすぐられまくって死にそうだったのを助けてやったにも関わらず、手伝わんとかほざきおったからな」
(#メ#)_ゝ(キ) チーン
l从・∀・ノ!リ人「アリスはまだ幼いし、しかるべき『媒体』が無いと、力をコントロール出来ん。
そこで兄者じゃ。
兄者に微量のエネルギーの力を注ぎ込むことで、普段の10倍以上もの力を発揮出来る。
そして、弱った所をアリスが止めを刺すのじゃ」
成る程。
兄者はその『媒体』の代わりという訳か。
46 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:24:27.43 ID:KqGnfOIDO
l从・∀・ノ!リ人「とにかく、プギャーさんには悪い事をしたのじゃ。
今回の事は忘れて、平和に過ごして欲しいのじゃ」
(;^Д^)「へ?あ、いやいやいやとんでもない!
俺が勝手に狙われただけだし、アリスちゃんは悪くないよ」
今度は土下座をしようとするアリスちゃんを無理矢理止めさせ、きちんと正座に直させた。
( ^Д^)「俺で力になれる事があったら、遠慮無く相談してくれよ。
何も、アリスちゃん一人で抱え込む事ァ無いんだからさ」
l从;∀;ノ!リ人「プギャーさん…」
l从・∀・*ノ!リ人「何だ、兄者が言ってたよりも優しい人なのじゃ!」
47 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:25:17.47 ID:KqGnfOIDO
( ^Д^)「へ?」
視界の端で、兄者の肩がビクンッとなったのが見えた。
l从・∀・ノ!リ人「兄者が言ってたのじゃ!
プギャーさんは短気で人でなしでオニチクで停学と補導を繰り返しまくってヤリチンで将来ヤクとかに手を出してブタ箱にぶちこまれるような人間なんだって!」
兄者に視線を向ける。
( Д )「兄者………………」
(;´_ゝ`)「……て、てへっ☆」
( #゚Д゚)クワッ
( #゚Д゚)「テメエエエEEEEEEEEEEE!!
ブッ殺す!!」
(; ゚_ゝ゚)「ぎゃぁぁああああああ!」
48 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:27:39.45 ID:KqGnfOIDO
その晩から3日間、兄者が学校に来る事は無かった。
入れ替わりに、俺が真面目に学校に登校するようになり、学校中が騒然となった。
_
( ゚∀゚)「よっす、プギャー」
( ^Д^)「おう、ジョルジュか」
昼休みの屋上で、1週間ぶりの親友との再会。
_
( ゚∀゚)「しっかし、お前も馬鹿だねー。
名も知らねークソガキの肩なんぞ持って、金を奪い返して傷害って、ドコのダークヒーロー気取りだよ」
( ^Д^)「うっせ、鼻水で制服グッチョクチョにされたからクリーニングの足しにしようと思っただけだ。
勘違いすんな」
49 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:29:57.89 ID:KqGnfOIDO
_
( -∀゚)「へーへー、そういう事にしときますよ」
ドッカリと胡座をかく俺の隣で、ヘラヘラ笑うジョルジュ。
ああ、平和だ。
のどかな秋空を、綿雲が通り過ぎていく。
一晩限りのあの恐怖の記憶も、あの綿雲のように、いつかは消えてくれるだろうか。
近い未来、俺に降りかかる新たな災難が、隣の親友にもたらされるとは露知らず、俺はのどかな青空を仰ぎ見た。
11月は、もう目の前だ。
50 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:32:58.95 ID:KqGnfOIDO
l从・∀・ノ!リ人流石なSOS団のようです
一話 終.
51 :
◆jPpg5.obl6 :2009/10/30(金) 22:36:41.38 ID:KqGnfOIDO
はい、という訳で一話終了です。
グダグダ感が否めないです、ハイ(^p^)
三話以降のネタに使うので、10〜15個くらい、お題募集します。
次回投下は未定です。
2話ではプギャーが哀れです。ついでに色んな意味で閲覧注意です。
お楽しみに!
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 22:46:59.73 ID:RUn8A4RIO
これ2スレ目?
前スレある?
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 22:56:39.39 ID:4gtcIRit0
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 23:08:27.13 ID:KqGnfOIDO
>>52 前スレはありますが、あってもなくても支障はございません。多分。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/30(金) 23:55:11.72 ID:RUn8A4RIO
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
>>51 お題
若本ボイスの(´・ω・`)
やっぱりあった覚醒イベント