1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :
2009/10/27(火) 18:17:25.31 ID:IyEKPHMK0 さぁさ、皆さんよってらっしゃい! 今日も代理が頑張ったよ! 後は任せたぞ!
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:23:24.25 ID:P5MNt2qTO
代理ありがとうございます!! では張り切って
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:24:24.77 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「刑事さん。お水を一杯頂いてもいいですか?」 ( ゚∀゚)「あ、あぁいいぞ」 取調室に連行された流石兄者は、椅子に腰掛けるとゆっくり、そう言った。 四十代手前のその刑事は、部下に目配せし、コップ一杯の水を持ってこさせた。 ( ´_ゝ`)「有り難う」 兄者はそっと微笑むと、コップの水を時間をかけて飲み干した。 その心に負った深い傷を洗い流すが如く。 ( ゚∀゚)「落ち着いたか?」 刑事は太い眉をピクリと動かしてから言う。兄者は小さく頷く。 ( ゚∀゚)「じゃあ…聞かせてもらおうか。何故お前がこんなことをしたのか」 ( ´_ゝ`)「……」 兄者は小さく息を吐くと、簡素な椅子の背に体重を預けた。ギィという古ぼけた音を聞いてから、目を閉じる。黴臭い取調室の匂いが鼻腔をそっとくすぐった。 ( ´_ゝ`)「どこから話せば良いのか……長くなりそうだ」 兄者は窓の外へと目を遣る。 差し込む夕日は、赤く、美しく、朗らかで、まるで向日葵の様に兄者を見ていた。 そのまばゆさに目を細め、彼は追憶の旅路へと陥って言った。 ( ´_ゝ`)「あれは、俺がまだ幼い頃だった…───」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:25:55.53 ID:P5MNt2qTO
〜( ´_ゝ`)今日と言う日に咲く花のようです〜
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:26:54.60 ID:ubXr1OUbO
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:28:01.35 ID:P5MNt2qTO
────1940年代。 ここ、ビップの国は戦争真っ只中だった。国民は、貧困に喘ぎ、度重なる空襲に疲弊しきっていた。戦争の旗色は難色を極め、直ぐにでも戦争を終わらせてもらいたいのが国民の本意であった。 それ故に、軍人の横暴や、国の方針に、疑念を抱く者も少なくはなかった。 流石家の長男、流石兄者もそんな国民の一人だった。 ( ´_ゝ`)「ビップなんか敗けてしまえば良いのに」 若干十歳のこの少年は、義務教育と言う名の洗脳教育にいち早く疑念を抱いていた。 学校など下らない。二言目には、「お国の為に」。友人も“愛国心”の強い奴らばかりだ。疲弊しきっているこの時代、ゲームもなければ、テレビもない。心許せる友もいない。家に帰れば内職。休日は、農作業。それも、いつくるか分からない空襲に怯えて、だ。 そんな兄者にも、心の支えがあった。 ( ´_ゝ`)「ただいま〜」 l从・∀・ノ!リ人「おっきいあにじゃ!! おかえりなのじゃ〜」 トテトテと覚束ない足取りで、兄者に飛び付く。 彼女は、流石妹者。流石家の長女である。 兄者がこの殺伐とした毎日に見出だした、たった一つの光だ。 ( ´_ゝ`)「いい子にしてたか?」 l从・∀・ノ!リ人「いーはいつもいい子なのじゃ!!」 ( ´_ゝ`)「ハハッそうだったな!!」 兄者の笑みは心からのものである。妹者がいるから、だから俺は生きていける。それ程までに妹者を溺愛していたのだ。 と言うのも、妹者は実のところ血のつながりが無いのだ。父親の再婚相手の連れ子なのである。 妹者が流石家にやってきたのは、二年前。まだハイハイもできない頃であった。 兄者は、まるで我が子の様に妹者を可愛がった。初めて喋った言葉は、“あにじゃ”であったし、初めて立ち上がったときも、その手を握っていたのは兄者だったのだ。
PCで横スクロールあるとかどんだけだよ 改行しやがれ
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:30:34.35 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「今日はどこへ行こうか?」 l从・∀・ノ!リ人「んー……こうえん!! いーはこうえんに行きたいのじゃ!!」 兄者が帰ってきてから、散歩に行くのが彼らの日課であった。 ( ´_ゝ`)「弟者を呼んでおいで」 l从・∀・ノ!リ人「うん!!」 トテトテ…と、再び覚束ない足取りで今へと向かう。そう、流石家次男、流石弟者を呼びに。 l从・∀・ノ!リ人「ちっさいあにじゃ!! こうえんに行くのじゃー!!」 (´<_` )「うん」 彼は、兄者の実の弟であるが、歳は離れている。顔はかなりそっくりで、一見すると区別はつかないが、弟者はまだ小学校にもあがっていない。 兄者が、他の同級生に比べ早熟なのも、この二人の面倒を見なければならないからであろう。 ( ´_ゝ`)「オカーチャン…散歩に行ってくるよ」 J( 'ー`)し「そうかい……気を付けてね……ゴホゴホッ…」 加えて彼の義母は、病弱であまり動けないともあれば、最早兄者の早熟は必然的なものであろう。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:33:15.63 ID:P5MNt2qTO
l从・∀・( ´_ゝ`)「よし、じゃ行こう」 「れっつごーなのじゃー!!」 背中に妹者、左手は弟者、というのが彼らの定番スタイルだった。 (´<_` )「学校はどうだった?」 l从・∀・( ´_ゝ`)「ん? 楽しかったよ」 (´<_` )「おれも早く学校行きたいな……」 キラキラと目を輝かせて、学校の様子を聞く弟者を見ていると兄者はつい、本当の事が言えなくなる。あんなところ、最悪だと。 l从・∀・( ´_ゝ`)「いーもはやく大きくなって、がっこうに行くのじゃ!!」 「……そうだな。なら好き嫌いせずにちゃんと食べるんだぞ?」 l从´д`( ´_ゝ`)「じゃがいもはキライじゃ〜」 「芋なんてご馳走じゃないか。ちゃんと食べなさい」 (´<_` )「おれ食べてるよ!!」 l从´д`( ´_ゝ`)「ほら! 弟者は偉いな」 「う〜……たべるのじゃ…」 l从´д`( ´_ゝ`)「偉いな…妹者は……」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:36:16.42 ID:P5MNt2qTO
背中の妹者は驚く程軽く、痩せこけていた。兄者は、妹者を背負う度に心苦しくなった。 せめて自分が働ければ……。彼にはそれが辛かった。 从・∀・ ( ´_ゝ`)「あっ!! おっきいあにじゃ!! あの花はなんというのじゃ!?」 妹者は花が好きだった。 この暗い世界で、花だけはいつでも優しい顔をしているかららしい。 妹者は花を見つけるとすぐに兄者に尋ねたものだった。 ( ´_ゝ`)「あの花はね────」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:38:29.68 ID:P5MNt2qTO
────1945年。 兄者十四歳。 この日は珍しく、父が家に居た。 彡⌒ミ (´_ゝ`)「おー兄者!! おっきくなったなぁ!!」 ( ´_ゝ`)「父者は少し髪がうすくなったな!!」 流石父者は、ビップ軍の内務の職員である。戦時中の今は多忙を極め、中々家に居ることはない。 その為この日ばかりは、兄者も些かはしゃいでいた。嬉しくて仕方が無いのだ。 J( 'ー`)し「あらあら。みんなお父さんにべったりくっついちゃって……」 父者の膝の上には、妹者がちょこんと座っており、弟者は、しきりに父の腕を引っ張っている。 彡⌒ミ (´_ゝ`)「ハッハッハッ!! 甘えん坊だなぁ。お前たちは」 (´<_` )「父者!! 俺、算数で百点とったよ!!」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「…ん!? すごいなぁ弟者は!! こりゃ将来は、博士か大臣だな!!」 (´<_`*)「……!!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:39:58.89 ID:P5MNt2qTO
l从・Α・ノ!リ人「むー……いーもらいねんはがっこうにいけるのじゃ!!」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「ほーそりゃすごい!! 妹者ちゃんは賢いからな!! 飛び級だな!! 飛び級!! ハッハッハッ」 l从・∀・ノ!リ人「とびきゅー? いーは、とびきゅーなのじゃー!!」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「それから兄者。カーチャンから聞いてるぞ。よく皆を面倒見てるってな」 (///_ゝ)「大した事してないよ……」 J( 'ー`)し「やだこの子ったら照れちゃって……ゴホゴホッ」 l从・∀・ノ!リ人「ちちじゃはいつまでうちにいるのじゃ? いっしょにサンポに行きたいのじゃ!!」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「うーんわからんけど、当分はいるぞ!! 妹者ちゃんとお風呂に入るもんなっ!?」 ∩l从*・∀・ノ!リ∩「やったのじゃー!! 嬉しいのじゃー!!」 妹者は手足をパタパタさせて喜んだ。弟者は、勉強を教えてとせがんでいる。兄者もクールな振りをしつつも、その実嬉しくて堪らなかった。 その晩は興奮して眠れなかったぐらいだ。残念ながら父の腕枕は、弟達にとられてしまったが。 l从-∀-ノ!リ人「おさんぽなのじゃ…───」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:41:52.74 ID:IyEKPHMK0
紫煙
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:42:11.76 ID:P5MNt2qTO
─────── ( ゚∀゚)「ほー良い家族じゃねぇか」 刑事は、兄者の話に聞き入っていた。何とも心温まる話ではないか、と。 ( ´_ゝ`)「あぁ。今思い出してもあの日々に匹敵する時はない……」 兄者は空いたコップを見遣る。 一息に話してしまったので喉がカラカラだ。最早潤す唾もでない。 ( ´_ゝ`)「すみません。もう一杯水を……」 ( ゚∀゚)「あ、あぁ……」 刑事は部下に水差しを持ってこさせた。 ( ゚∀゚)「それで、家族はその後どうなったんだ?」 ( ´_ゝ`)「……。1945年。ビップ大空襲…」 コップに水をトクトクと注ぎならがら、兄者はボソッと言った。 (;゚∀゚)「あの日か……」 ビップ国民ならば誰もが知っているその悲劇。そして、終戦を告げたその爆音。刑事にも少なからず察する所があった。 ( ´_ゝ`)「…フー……。その前夜俺は父に呼ばれたんです」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:44:15.49 ID:P5MNt2qTO
────1945年。 父が自宅で過ごす様になってから、一週間が過ぎた。 父がいる日々は、兄者にとってもこの上なく素晴らしい日々だった。 l从・∀・ノ!リ人「ちちじゃー!! ばったさんをつかまえたのじゃ!!」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「おーでかいバッタ!! 妹者ちゃんは凄いなぁ!! でも可哀想だろう? どんなに小さくても生きているんだ。バイバイしなさい?」 l从・∀・ノ!リ人「……うん。いーはよい子だからばったさんにばいばいするのじゃ!!」 その日、流石一家は近くの農家の手伝いに行っていた。 家族全員での外出は、これが初めてであった。 J( 'ー`)し「すみませんねぇ…シラネーヨさん。こんな時期に家族全員でお邪魔して」 ( ´ー`)「いいんだーよ。こっちも騒がしい方が楽しいからーよ……おっ。カメラがあるんだけーど、一枚どうだーよ?」 この時代、カメラ等高価な物は普及しておらず、農家のシラネーヨが持っていたものも、骨董品の様な物だった。それでも一応の心得は有るらしく、写真をとってくれるとの好意に、母は甘える事にした。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:46:34.55 ID:P5MNt2qTO
彡⌒ミ (;´_ゝ`)「きんちょーするな…」 (;´_ゝ`)「……」 (´<_` )「すげー」 J( 'ー`)し「お父さん。表情が堅いですよ」 l从・∀・ノ!リ人「かたいですよなのじゃー」 ( ´ー`)「じゃとりますよー」 パシャリ────
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:48:06.00 ID:P5MNt2qTO
その夜の事だった。 兄者は夜中、父に起こされた。夜風にあたらないか、と。 ( ´_ゝ`)「父者。いきなりどうしたんだ?」 彡⌒ミ ( )「……兄者」 父のいつになく真剣な声色に、兄者は身構えた。 彡⌒ (´_ゝ)「これから先、もし何かあったら…」 (;´_ゝ`)「ちょ…時に落ち着け父者!! 何かあるって何だ!? せっかく家族水入らずで…」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「兄者!! 聞け!! 今は戦時中。明日何があるともわからない。そして、わしだっていつも傍に居てやれるとも限らない。だから……」 (;´_ゝ`)「何を言っているんだ父者!! 何でそんな話をする!?」 突然突き付けられた現実的な話。しばし、一家団欒という夢に浸っていた兄者には、酷な話ではあった。 この戦時中、いつこの町が衝撃されるかもわからない。多忙な父は、息子にその役目を託したのだ。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:50:52.55 ID:P5MNt2qTO
彡⌒ミ (´_ゝ`)「家の縁の下に、隠し通路を作ってある。……何かあったらそこを使って逃げろ。そして……」 父者は、ポケットからごそごそと何かを取り出した。 (;´_ゝ`)「何だこれは?」 それは、小さな乾電池の様な、プラスチック製の何かだった。 彡⌒ミ (´_ゝ`)「少し離れた所でそのボタンを押せ。……家は爆発する」 (;´_ゝ`)「っな!?」 彡⌒ミ (´_ゝ`)「……兄者。頼んだぞ」 無理だ。叫べなかった。いや、父の背中はそれ以上喋ることを拒んでいた。 兄者には、その手に握られたボタンが酷く重たく感じた。 ( ´_ゝ`)「俺が……家族を守のか…?」 何かあったら……。 父の言葉を理解したのは、翌日の晩になってからだった。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:54:49.96 ID:P5MNt2qTO
その日、父者は早朝からどこかへ出掛けていた。 今日に限って寝坊した事を、兄者は酷く後悔した。 l从・∀・ノ!リ人「いーはいってらっしゃいしたのじゃー!!」 妹は、自慢気に兄者に語る。 早起きして偉いな。と頭を撫でると、目を細めて喜んだ。 ( ´_ゝ`)「フー……」 兄者はこめかみを押さえる。昨晩はよく眠れなかったのだ。 それも当然であろう。今もポケットには、この家を吹き飛ばす悪魔が潜んでいるのだから。 本を読む弟者に自慢をする妹者を横目にして、兄者は母に話し掛けた。 父者が家に居るようになってからは、すこぶる体調が良いようだ。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:57:16.97 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「父者はどこへ?」 J( 'ー`)し「仕事だって行って出てったよ。野暮用だからすぐ帰るって」 ( ´_ゝ`)「そうか…」 兄者は安堵した。昨晩の話を聞いた後では良い予感がしない。 ここは、母親の雑炊作りを手伝う事にした。 だが、昼を回っても父者は帰ってこなかった。 居ても立ってもいられなくなった兄者は、妹者をおぶって散歩に行くことにした。 l从・∀・( ´_ゝ`)「れっつごーなのじゃー!!」 来年は、小学生だというのに。妹者は相変わらず甘えん坊だ。 l从・∀・( ´_ゝ`)「あっ!! おっきいあにじゃ!! あの花はなんというのじゃ?」 そして、妹者は相変わらず花が好きだ。 あれは、コスモスと言って、秋に咲く花だ、と教えると、えんりょぶかいやつじゃな、と妹者は返した。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:58:52.79 ID:fzMI5/P10
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 18:59:52.17 ID:P5MNt2qTO
l从・∀・( ´_ゝ`)「あにじゃ…?」 「…ん?」 妹者は、兄者の背に顔を埋める。 l从 ∀ ( ´_ゝ`)「いーは、おっきいあにじゃも、ちっさいあにじゃも、ちちじゃも、かーちゃんも、みなだいすきじゃ」 「……」 l从-。 ( ´_ゝ`)「でも、おっきいあにじゃは、どっかにいっちゃヤなのじゃ……」 「……?」 そこまで言うと妹者は、静かに寝息を立てはじめた。 朝早かったし、父者の事もあり、はしゃぎ疲れたのだろう。 l从- -( つ_ゝ)「あに…じゃ」 兄者は、涙の後が消えるまでぶらついてから、家に戻った。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:02:06.95 ID:P5MNt2qTO
彡⌒ミ (*´_ゝ`)「兄者!! 遅いぞ?」 家に着くと、ほろ酔い顔の父者がいた。 ただの杞憂だった様だ。兄者は、安堵のため息を着くと妹者を寝床へ連れていった。 彡⌒ミ (*´_ゝ`)「いやぁ妹者はかわいいのぅ。食べてしまおうか」 (#´_ゝ`)「その時は全力で阻止する」 そう言いつつも、父に手酌をする。父者も上機嫌だ。 ( ´_ゝ`)「父者の下らない話を聞いていると疲れる」 彡⌒ミ (*´_ゝ`)「なんだつんでれか」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:02:48.65 ID:P5MNt2qTO
昨日の寝不足もあり、兄者もうとうとし始めた頃だった。 父者は突然息子を抱き締めた。 (;´_ゝ`)「父者!! 落ち着け!! 時に落ち着け!! 臭い!! 酒臭い!!」 彡⌒ミ ( _ゝ )「……」 父者は小刻みに震えている。 (;´_ゝ`)「…!?」 泣いているのか? そう思った直後だった。 父者は大いびきをかいて、寝てしまった。 ( ´_ゝ`)=3 兄者は小さくため息を着くと、父を寝かせ、毛布をかけた。 ( ´_ゝ`)「お休み。父者」 静かに襖を閉めると、夜の静寂に辺りが包まれた。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:05:42.78 ID:P5MNt2qTO
───── (;´_ゝ`)「……!?」 凄まじい轟音に、兄者は飛び起きた。 カンカンカンカンという、警報音が辺りに響き渡る。 空襲だ。 察するや否や、兄者は、防空頭巾やら、非常食やらを取り出した。その時だった。 何やら、外が騒がしい。 「ここだ」「突き破る」「中にいるはずだ」 何の話だ? そう思う間もなく、戸口が突き破られた。 「流石ぁぁあ!! 出てこい!!」 「なんだ? 貴様ら」 「ここにあるのはわかってんだモナ」 「出せ」 「しらん!! それに貴様らは間違っている!! あんな事をして平和が……」 父の言葉は、最後の辺りで、遮られた。……暴行されている。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:06:43.09 ID:3LeA+RWE0
支援するよ
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:07:19.52 ID:ppB+ynjcO
うわあああ 支援
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:08:03.40 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「……父…者」 兄者は自分の歯が、カチカチと音をたてているのに気付いた。 外では空襲警報。家では、リンチ。 どうすれば……。 その時、袖が引っ張られるのを感じた兄者は、下を見た。 l从;д;ノ!リ人「こわいのじゃ」 目を潤ませた妹者が、お気に入りの人形を抱き締めながら、袖を引っ張っていた。 (;´_ゝ`)「妹者……」 ゴクリと唾を飲む。目の端に、防空頭巾を被った弟者が見えた。 (;´_ゝ`)「フー……父者……フー……」 昨晩の父の言葉を反芻する。 ────何かあったら…────
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:08:40.50 ID:v1jw3kPWO
何これ気になる 支援
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:10:34.03 ID:P5MNt2qTO
「どこだ!?」 「持ってないぞ!?」 「……!? 女房だ!! 女房を探せぇぇ!!」 「子どもはどうしますモナ!?」 「殺せ!!」 (;´_ゝ`)「……ッ!?」 どたどたと慌ただしい音が聞こえる。……マズい。そう思った矢先だった。 「兄者ぁぁぁぁぁぁあ!! 逃げろぉぉぉぉおお!!」 「まだ生きてたモナか!!」 「ぐぎゃぁぁあ!!」 それが父の断末魔だった。 その声を皮切りに兄者は、妹者を抱き上げた。左手は、弟者の右手を握っていた。そして駆け出す。 …行く先は、母の寝床。 病気がちの母は、一番奥の部屋に寝床を構えていた。 兄者は、恐怖心に駆られながらも、母の部屋に押し入った。 腕の中では、妹者がわんわんと声を上げて泣いている。弟者は、完全に気が抜けて放心状態だ。 (;´_ゝ`)「オカーチャン!! 立って!! 逃げるんだ!! 早く!!」 兄者は急き立てる。自分の手は一杯だ。病弱な母には立ってもらわねばならない。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:15:08.06 ID:P5MNt2qTO
J(;'ー`)し「一体何があったってんだい? それにアタシは動けないよ…ゴホッ」 (;´_ゝ`)「早く!! 父者がそう言った!!」 J(;'ー`)し「……全く…しょうがない子だね……」 父者の一言で、母は、無理矢理腰を上げた。 だが、謎の人物達の声はもう後ろに迫っていた。 (;´_ゝ`)「早く……早く!!」 「らぁぁあどこだぁぁあ!!」 「そっちは?」 「いないっす!!」 (;´_ゝ`)「ハァハァ……」 兄者は、母を押すようにして縁側へ出る。直ぐ様、縁の下へと母を追い遣り、自らも続く。 J(;'Α`)し「あらま……狭くて暗いねぇ…」 (;´_ゝ`)「……ハァハァ…」 (´<_`;)「……ハッハッ…」 l从;Д;ノ!リ人「ぅえぇぇええんえんえん」 マズい。妹者を黙らせなければ。 兄者は妹者の口を押さえ、頭を撫でる。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:15:39.29 ID:v1jw3kPWO
なんだなんだ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:17:17.10 ID:vRy3KmrFO
支援
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:18:13.40 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「いい子は泣かない。後でお前の大好きな花を摘んできてあげよう」 l从うд;ノ!リ人「ぅぅぅうう…やくそくじゃ……」 「いないぞ?」 「もっと探せぇ!!」 (;´_ゝ`)「うん。いい子だ。何がいい?」 l从つд;ノ!リ人「ヒック……ヒック……」 ────…の花がほしいのじゃ────
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:18:58.20 ID:P5MNt2qTO
(;゚∀゚)「……ゴクリ」 刑事は、自らの唇が酷く乾いている事に気付くと、舌でそれを潤した。 手の震えが止まらない。 十いくばくの子どもが、その様な状況にいたら。臨場感のある兄者の物語に、刑事は酷くのめり込んでいた。 ( ´_ゝ`)「あ。刑事さん。タバコを吸ってもよろしいですか?」 (;゚∀゚)「あ、あぁ……」 刑事は、懐からタバコを取出し、兄者に渡す。 火を付けると、桜の甘い薫りがした。 ( ´_ゝ`)y-~~~「チェリーブロッサム……だな」 (;゚∀゚)「ん?」 ( ´_ゝ`)y-~~~「銘柄ですよ。タバコの。俺は好きだ。特に名前が」 兄者は、空に向かって煙を吐いた。 紫煙が、視界を染めていく。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:20:07.77 ID:ppB+ynjcO
ふむふむ支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:21:53.88 ID:P5MNt2qTO
────1945年。 何とか謎の集団を凌いだ一家は、地下の抜け道を這いずり回っていた。 (;;´_ゝ`メ)「ふぅ…ふぅ…」 今何時だろう。皆疲れ切っている。何と言っても暑苦しい。それにいつまで進めばいいのか。 兄者は、息を切らしながら、時計を探る。 だがポケットにあるのは…… あのボタンだけだった。 (;;´_ゝ`メ)「……」 兄者は、複雑な表情を浮かべる。 この手で、父を殺したのだから。今でもあのボタンの感触が、生々しく残っている。 兄者は、奥歯をギリギリとさせる。 (;;´_ゝ`メ)「みんな……大丈夫か?」 大丈夫なわけがない。自分ですらこんなにも、疲労を感じているのに、齢ヒトケタの子ども達と、病弱な母だ。彼らの辛さを考えるだけで胸が痛む。 l从・∀・;;ノ!リ人「いーは元気なのじゃ!!」 (;;´_ゝ`メ)「……妹者」 健気な妹の言葉に、涙が出そうになるのを堪えて、彼女の顔に付いた泥を拭ってやる。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:22:42.32 ID:P5MNt2qTO
J('ー`‖)し「大丈夫……ハァハァ大丈夫だよ」 母はと言えば、かなり体調が優れない様子だ。 (;;´_ゝ`メ)「オカーチャン……あとちょっとだから……」 そんな気休めを言うこと位しか、彼には出来なかった。 (´<_`”;)「兄者……あれ…」 酷く静かだった弟者が、突然前方を指差す。 (;;´_ゝ`メ)「…!!」 かすかだが、光が見える。 間違いない。光だ。 (;;´_ゝ`メ)「ハハッ!! 出たぞ!! 外だ!!」 l从・∀・;;ノ!リ人「おそとなのじゃ!! おそとなのじゃー!!」 (´<_`”;)「疲れた〜」 J('ー`‖)し「あらま。ほんとに外だよ。兄者すごいわねー!!」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:25:30.45 ID:P5MNt2qTO
久しぶりに吸う外の空気は、数倍美味しく感じた。 (;;´_ゝ`メ)「ここは……隣町じゃないか……」 J(‖'ー`)し「あれほんとだ。なら、高岡さんの家があるじゃない」 高岡さんとは、母の親戚に当たる人物で、隣町へ買い物に来た時は、必ず寄っていた。 J(‖'ー`)し「でもあれだねぇ……昨日の空襲もあったことだし、こんな時代に、一家全員が助けて下さい何て来たら何て言うか……」 (;;´_ゝ`メ)「オカーチャン。昨日の空襲は大したことなかったじゃないか。現にこの町も余り被害が無さそうに見える!! こんな時代だからこそ……」 昨晩の大空襲。実は、ビップの国は壊滅的ダメージを受けており、都心部がやられたのである。それは、敗戦を余儀なくされる一因になったのだが、流石一家はこの時点でそれを知らない。 更に自分たちが“お尋ね者”になっている事など、知る由もない。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:28:03.40 ID:P5MNt2qTO
(;;´_ゝ`メ)「ごめんください。流石です」 長い間、地下の抜け穴を通ってきた彼らには時間がわからない。 だが、太陽が昇りはじめた事から察するに、今は朝方であろう。兄者は失礼で無い時間とわかったらすぐに高岡家へと向かった。 疲れ切っている家族は、公園で一休みさせておいた。 从 ゚∀从「んあ? 何だ何だ? 流石さんの坊っちゃんじゃねぇかい!! どうしたんだい!? 泥だらけじゃねぇかい!?」 この夫人が、高岡である。言葉遣いは乱暴だが、中々に面倒見の良い夫人だ。 从 ゚∀从「まさか、昨日の大空襲かい!? ささっあがっとくれ!! まぁまぁかすり傷だらけで!!」 大げさに口を開ける高岡夫人。よかった。やはり、母の懸念は杞憂だった様だ。 (;;´_ゝ`メ)「いえ、それが……」 流石に、何ものかに襲われてとは言えるはずもなく、昨日の空襲から逃げ延びて来たとだけ、説明した。 从 ゚∀从「そうかいそうかい!! 大変だったねぇ!! ちょいと部屋方付けるから、カーチャン達呼んできな」 高岡夫人はそう言うと、早々に家の中に入ってしまった。 兄者は安堵のため息を一つついて、家族を待たせている公園へと引き返して行った。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:28:52.13 ID:P5MNt2qTO
从 ゚∀从「あらあら、妹者ちゃんは、またご飯粒つけてー!!」 l从・∀・ノ!リ人「ごはんおいしいのじゃ!! ごはん!!」 流石一家は、高岡夫人のご厚意に甘え、夕食を振る舞ってもらった。 ひえや、粟の雑炊ばかりだった為、白いご飯に妹者は一段とはしゃいでいた。 ( ´_ゝ`)「……」 やはり、白飯はうまい、等と考えつつ辺りを見回す。どうやら、中々の富裕層の様だ。旦那さんは、確か、軍人だったと聞いていた。 J( 'ー`)し「すみませんねぇ…すみませんねぇ……」 (´<_` )「おばさんおいしいです」 流石一家は、やっと人心地に有り付く事が出来たのだ。 その晩。 高岡夫人の厚意で、寝床も貸して貰うことが出来た。 最初こそはしゃいでいたものの、まだ幼い下の二人は、早くも寝息を立てていた。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:28:55.00 ID:ppB+ynjcO
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:32:37.56 ID:EBjVNwRq0
支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:33:20.72 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「なぁオカーチャン……」 J(- -)し「何だい?」 ( ´_ゝ`)「何で家が襲われたんだろう?」 兄者は、抱いていた疑問を口にした。 J(- -)し「さぁ……カーチャンにはさっぱりだよ……」 ( ´_ゝ`)「でも…あいつらは、ビップ軍だった。間違いない。靴に隊章が入ってた」 縁の下から見えた彼らの靴には、確かにビップ陸軍の隊章が印されていたのだ。 J(- -)し「お父さんの仕事は知ってるでしょ? 軍人さんから恨みを買うことでもあったんじゃないかねぇ……」 母は、どこか他人事の様に話す。 ( ´_ゝ`)「でも……」 納得のいかない兄者は、それでも食い下がる。 J(- -)し「今日は疲れたし寝ましょう?」 そう言うと、母は背を向けてしまった。 夫が死んだのに?何故……。 ( ´_ゝ`)「!!」 兄者はその夜、母のすすり泣きが聞こえないように耳を塞ぎ、目を閉じた。
しえん
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:38:38.00 ID:P5MNt2qTO
J( 'ー`)し「お早う兄者」 目を覚ますと、目の前にはエプロンを着けた母が忙しなく働いていた。 (;´_ゝ`)「オカーチャン!! そんなに動いて……寝てなくちゃ駄目だ!!」 J( 'ー`)し「お世話になってる身で、寝たきりってわけにも行かないからね!!」 空元気だ。兄者は即座にそう思った。病弱な母がここまで働けるハズが無い。 从 ゚∀从「いやぁ働きモンだねぇ!! まいっちゃうわぁ……流石さんそれ終わったら、洗濯物も頼む!!」 働かせられてるんじゃないのか?兄者は、そんな疑念すら抱いた。だが、曲がりなりにも命の恩人である。兄者はすかさず母に代わって手伝いを始めた。 l从・∀・ノ!リ人「おえかきなのじゃ〜」 足元では、妹者が小さくなって落書きをしている。 稚拙な絵だが兄者には、そこに描かれているものがわかった。 ( ´_ゝ`)「何を描いてるんだ?」 l从・∀・ノ!リ人「んと…おっきいあにじゃと、ちっちゃいあにじゃと、カーチャンと、ちちじゃなのじゃ!! まんなかがいーなのじゃ!!」 白く小さな歯を剥き出してにぃと笑う妹者。 妹者にはわからないのだろう。父はもうこの世に居ないということを。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:39:56.41 ID:P5MNt2qTO
(´<_` )「……」 窓辺で本を読む弟者はどうだろう。いや、弟者は頭が良い。もうとっくに気付いているだろう。気付かない振りをしているだけだ。 从 ゚∀从「おーい!! 流石さんちょいと!!」 (;´_ゝ`)「俺が行きます!!」 慌ただしい一日だ。 日が暮れる頃、高岡家の長女、ミセリが帰ってきた。 ミセ*´д`)リ「ただいま〜…ハァ疲れた」 彼女は、近くの学校で給仕の仕事に就いていた。 ミセ*´д`)リ「ご飯なに?」 从 ゚∀从「佃煮だよ」 ミセ*゚д゚)リ「えぇっまた? 昨日もそうだったじゃん」 从#゚∀从「うっさい娘だねぇ!! 仕方ないだろうが、家族が一気に増えたんだから!!」 (;´_ゝ`)「…」 J('ー`;)し「……」 何気ない一言だったが、二人は表情を曇らせた。 夫人は、ハッキリと物を言い過ぎるきらいがある。デリカシーが無いとも言える。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:41:10.15 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「美味しかったです。ご馳走様でした」 兄者は箸をおくと、そそくさと客間に向かって行った。 こんな肩身の狭い毎日が続くのか……。ため息が出る。 そう言いつつも、高岡家での生活は早くも三週間が過ぎ去っていた。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:43:16.06 ID:P5MNt2qTO
この日、兄者は血相を変えて居間へと飛び込んだ。 (;´_ゝ`)「妹者!!」 l从;д;ノ!リ人「うぇええんえぐっえぇーーん」 妹者の鳴き声に、走ってきたのだ。 (;´_ゝ`)「よしよし……どうしたんだ? 妹者?」 从 从「あたしがひっぱ叩いた」 タバコを吹かしながら、高岡夫人が言う。 ( ´_ゝ`)「妹者が何か…!?」 兄者はキッと彼女を睨む。 从 ゚∀从y-~~~「あたしのラジオを勝手にいじくってたからな」 (;´_ゝ`)「ラジオ……」 確かにこの時代、ラジオはかなり高価な物だった。しかし、その位で…。
しえん
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:44:43.31 ID:ppB+ynjcO
高岡… 支援
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:45:55.32 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「妹者はまだ小さいんです。何も叩かなくても!!」 l从つΑ;ノ!リ人「ヒック……ぅぇえぇ…」 从#゚∀从「何だい!? あたしのやり方にケチ付けるってのかい!? 出てってもらってもかまわないんだよ!?」 それを言われたら何も言い返せない。 ( ´_ゝ`)「……スミマセンでした…」 不本意ながらも、謝辞を述べ、部屋を後にする。左手に握った妹者の小さな手を、握り潰してしまいそうな程、兄者は憤慨していた。 l从うд;ノ!リ人「おっきいあにじゃ……いたいのじゃ……」 (#´_ゝ`)「……すまん…」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:49:36.32 ID:P5MNt2qTO
その夜、兄者は妹者を寝かしつけると、トイレにたった。 夜中に騒がしくすると、高岡から小言を言われる為、細心の注意を払って歩いていた。 「────!!」 「────!?」 ( ´_ゝ`)「ん?」 居間の前を通り過ぎた時、人の声が聞こえたので兄者は、聞き耳を立てた。 「──かあさんはさぁ……──」 「バカだね───と!!」 どうやら高岡夫人と、その娘ミセリの様だ。何やら言い争っているのだろうか。彼はそっと扉に耳をあてた。 「だからお母さんは考えて無さすぎるよ……なんでいつまでも犯罪者を匿わなきゃいけないわけ? もうあたし気が気じゃないよ!!」 「何言ってんだい!! チャンスだよこれは!? お尋ね者の流石一家を捕えてるんだから」 (;´_ゝ`)「!?」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:51:41.95 ID:P5MNt2qTO
お尋ね者、犯罪者という単語に兄者は耳を疑った。 自分たちが……?何故? 「だったら早く通報しちゃえばいいじゃん」 「わかんねぇ娘だねぇ。懸賞金がつくでしょがぁ? 待ってんだよあたしは…!!」 (;´_ゝ`)「……っ!?」 信じ難い話だ。一体自分たちが何をしたのかと。兄者は、その場に立っていることが苦痛だった。 ( ´_ゝ`)「そうだ…新聞…!!」 この情報の信憑性を確かめなくてはならない。兄者は、そっと立ち去ると、入室を禁止されていた高岡家の書斎に向かった。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:53:11.11 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「ハァハァ……!! 嘘だろ……?」 一週間前の新聞だろうか。織り込みチラシにはこう書かれていた。 『情報求ム。密入国スパイ、流石一家』 あろうことか、スパイ容疑をかけられていたのだ。あまり似てはいないが、似顔絵も載って居た。 (;´_ゝ`)「バカな……」 信じたくはない。だが、彼らは間違いなく、指名手配犯とされていた。 だからか。だからこの部屋への入室を固く禁じ、ラジオを弄ったくらいで酷く怒ったのだ。 (;´_ゝ`)「そう言えば……戦争はどうなったんだ!?」 そう、彼らは終戦の報をまだ知らない。 (;´_ゝ`)「戦後…復興?」 直近二週間の新聞には、どれも戦後復興の文字が書かれていた。 (;´_ゝ`)「ビップの国は、敗けたのか……」 あれ程待ち望んだ終戦を、まさかこのような形で知ろうとは。兄者は、心底落胆した。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:55:38.80 ID:P5MNt2qTO
( _ゝ )「逃げないと……」 そう思うや否や、彼は走りだした。荷物をまとめ、母を起こす。 J(うд`)し「何だいこんな遅くに……」 (;´_ゝ`)「黙って聞いてくれ!! 直ぐにここを出る!!」 J(;'ー`)し「えー? どうしたんだい? じゃ高岡さんに挨拶を……」 (;´_ゝ`)「良いから早く!!」 兄者は、妹者を抱き抱え、弟者を叩き起こす。 (;´_ゝ`)「逃げるんだ!! とにかく遠くへ……────」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:57:07.88 ID:ppB+ynjcO
兄者苦労人支援
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:58:22.68 ID:mM3RP43m0
どうなる支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:58:43.11 ID:P5MNt2qTO
──── (;゚∀゚)「ひでぇ話だな……」 刑事は率直に感想を述べる。 命の恩人に、まさか裏切られようとは。 ( ´_ゝ`)「精神的にも辛かった」 兄者は、首にかけられたペンダントをチャリチャリとならす。 ( ´_ゝ`)「病弱な母と幼い子ども三人が、生きていくにはあの時代厳しかった」 ( ゚∀゚)「……だろうな」 ( ´_ゝ`)「浮浪生活二年目だ。俺達は…母を失った────」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 19:59:31.10 ID:P5MNt2qTO
────1947年。 流石一家は、浮浪生活の二年目を迎えていた。 (ヽ´_ゝ`)「ありがとうございます!! ありがとうございます!!」 流石兄者は、人通りの多い道で物乞いをしていた。 ( ノ.ノノ_ノ.ノノ)「気にすんなし」 (ヽ´_ゝ`)「……」 彼は、三人を養わなくてはならなかった。だが当然働き口などない。 Σ( ノ.ノノ_ノ.ノノ)「あれっ!? 財布がねぇし!! まさかあいつ……ふざけんなし!!」 ≡ ´_ゝ`) 従って彼が、この様な行動に出るのも、ある種必然と言えよう。 (ヽ´_ゝ`)「五百円か……ボチボチだな…」 兄者はとぼとぼと歩く。八百屋で、ジャガイモを買うと橋の下へと向かって行った。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:01:48.82 ID:ubXr1OUbO
悲しいな…支援
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:03:07.00 ID:P5MNt2qTO
(ヽ´_ゝ`)「ただいま。今日はジャガイモを貰えたぞー」 l从ヽ・∀・ノ!リ人「お帰りなのじゃー!! いージャガイモ好きなのじゃ!!」 (ヽ´_ゝ`)「今作るからなぁー待ってろよ」 流石一家は、橋の下にあったほっ建て小屋で生活を営んでいた。 簡素な家ながら、雨風を凌ぐくらいは出来た。 (ヽ´_ゝ`)「弟者は?」 l从ヽ・∀・ノ!リ人「ととかんに行ってるのじゃー」 (ヽ´_ゝ`)「図書館な。…オカーチャンは?」 l从ヽ´д`ノ!リ人「またゲホゲホしてたのじゃ〜」 この二年間の浮浪生活で、母はすっかり身体を悪くしてしまった。みるみる痩せ細っていき、今では見る影もない。 (ヽ´_ゝ`)「そうか…(医者にでも連れていければいいんだが…)」 そうは言っても浮浪の身。かかれる医者はなどない。 (ヽ´_ゝ`)「さ、できたぞ」 l从ヽ・∀・ノ!リ人「ジャガイモ! ジャガイモ!! なのじゃー」 だがこの生活も長くは続かなかった。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:04:25.94 ID:ppB+ynjcO
みんなやつれて悲しい支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:04:52.27 ID:P5MNt2qTO
l从ヽ;д;ノ!リ人「こ、こわいのじゃ……」 (ヽ´_ゝ`)「大丈夫。大丈夫」 この日、大型の台風が、ビップの国を縦断していた。 古ぼけたほっ建て小屋が、この強風に耐えられるかは甚だ疑問だが、耐えてくれねば、それは死の危険すら出てくる。 J(;;゚-゚)し「雨漏りが酷いねぇ……」 (ヽ´_ゝ`)「……!!」 (´<_`/)「兄者!! 戸が!!」 ガタガタと揺れる戸。今にも吹き飛びそうだ。 (ヽ´_ゝ`)「押さえよう弟者」 (´<_`/)「把握した」 兄弟二人で扉を押さえるも、その風は留まることを知らない。 (;ヽ´_ゝ`)「まずい……」 ついに限界がかた。 バリバリと音をたて、小屋が崩壊していく。 (;´_ゝ`)「妹者ぁぁぁぁあ!!」 ……────
支援
しえん……
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:13:30.44 ID:mM3RP43m0
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:14:28.04 ID:P5MNt2qTO
l从ヽ;д;ノ!リ人「こ、こわいのじゃ……」 (ヽ´_ゝ`)「大丈夫。大丈夫」 この日、大型の台風が、ビップの国を縦断していた。 古ぼけたほっ建て小屋が、この強風に耐えられるかは甚だ疑問だが、耐えてくれねば、それは死の危険すら出てくる。 J(;;゚-゚)し「雨漏りが酷いねぇ……」 (ヽ´_ゝ`)「……!!」 (´<_`/)「兄者!! 戸が!!」 ガタガタと揺れる戸。今にも吹き飛びそうだ。 (ヽ´_ゝ`)「押さえよう弟者」 (´<_`/)「把握した」 兄弟二人で扉を押さえるも、その風は留まることを知らない。 (;ヽ´_ゝ`)「まずい……」 ついに限界がかた。 バリバリと音をたて、小屋が崩壊していく。 (;´_ゝ`)「妹者ぁぁぁぁあ!!」 ……────
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:16:15.24 ID:GPWmfPb4O
私怨
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:17:04.04 ID:ePqpGaoA0
支援
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:17:19.77 ID:P5MNt2qTO
ザァァァァア。暴風域は抜けたのだろうか。弱い雨が顔を撫でる。 (#;´;_ゝ`)「ハァ…ハァ…」 小屋は完全に倒壊していた。また移住をせねば。 しかし、衰弱しきったこの家族。果たして大移動が可能なのか? つ´_ゝ)「取り敢えず…街へ行こう。歩けるか?」 (´<_`,;/)「オカーチャンが!!」 (ヽ;´_ゝ`)「!?」 慌てて母を探す。 J(;;゚-;゚)し「ごめんね…カーチャンいつも足手まといで……ごめんね…」 (;ヽ´_ゝ`)「……」 母は、足を小屋の残骸に挟まれていた。 J(;;゚-;゚)し「カーチャンの事はいいから……アンタ達だけでも生きるんだ! ……兄者…妹者を……頼むよ?」 (;ヽ´_ゝ`)「待ってくれ!! オカーチャン!! 今助ける!!」 兄者は、慌てて母を引きずりだそうとする。降りしきる雨が肌に刺す様だ。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:19:48.91 ID:P5MNt2qTO
J(;;-;)し「何してるの!? 妹者が震えてるじゃない!!」 (;ヽ´_ゝ)そ「…!!」 こわいのじゃ。こわいのじゃ。 泣き叫ぶ妹者に、兄者は手を止めた。 J(;;'ー`)し「どうか…生きて……。カーチャン何もしてやれなくてごめんね……」 (ヽ _ゝ )「……」 兄者は踵を返すと、妹者と弟者を抱き抱え、走りだした。 母の最期を見せないように。 見ないように。 (ヽ´_ゝ`)「ハァハァ……」 どれくらい走ったのだろうか。兄弟達は、比較的綺麗な状態の小屋を見つけた。 倒れこむ様にして横たわると、猛烈な眠気が兄者を襲った。 (´<_`/)「兄者? 大丈夫か!? 兄者?」 (ヽ´_ゝ`)「あぁ……ちょっと疲れた…寝かせて……くれ…」 l从。- -ノ!リ人「カー…チャン…」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:20:21.98 ID:GPWmfPb4O
かーちゃん…
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:21:15.69 ID:mM3RP43m0
ああ……
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:21:31.66 ID:P5MNt2qTO
翌朝、兄弟達は母の墓を作った。その下に母はいないがそれでも供養だけはと、三人の総意であった。 ( ´_ゝ`)「オカーチャン……ゆっくり眠ってくれ。いつか父者と同じ墓を建てるから……」 l从;へ;ノ!リ人「……」 その時、妹者は泣かなかった。涙目ながらも口を真一文字に結んで開かなかった。 (´<_`/)「兄者。これからどうするんだ?」 (ヽ´_ゝ`)「また放浪するしかないだろう。俺たちが指名手配されているのは変わらない。……ビップの国を出るしかない」 そう。彼らに残された道は国外逃亡しかなかった。 兄弟達は、再び放浪の旅に出る。 (ヽ´_ゝ`)「さぁ行こう。オカーチャンへの孝行は、俺たちが生きることだ」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:22:17.84 ID:wbBRol/H0
さーてと荒らしますか(´・ω・`)
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:23:27.67 ID:ppB+ynjcO
支援
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:23:58.61 ID:KB0aebGvO
うわああ…支援
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:24:01.12 ID:5Lu0jnU50
真一文字じゃなくへの字じゃん
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:24:15.50 ID:wbBRol/H0
_,..-――-:..、 ⌒⌒ / \ ^^ / ヽ / /\ /\ヽ , ゛ 三 ミ l (__人__) ) (( ((^ω^;))) ))ノ)つまんねー  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ . ヾヽミ 三彡, ソ)) :::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::: ./ )ミ24彡ノ :::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::: / (ミ 彡゛ /\/\ / \ゞ / /\⊂(^ω^;) このスレつまんね ウィーッス ∧_∧∩ ())ノ___ ⊂エノ (^ω^;// うわ 何ここつまんね / /||(二二)-く/_|ん>―几 ⊂二 / Y ⌒ /|V||彡Vミニニ〈〈二二ノl0 ./⌒ヽ | ) / l| (◎).|l |((||((゚ )|| (⌒ )|三・) || ('⌒(' ./ ^ω^;) うわ、つまんね 口口/  ̄) __ ゝ__ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ゝ__ノ≡≡≡('⌒;;;≡..| ∠ ( <⌒<.<  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄('⌒('⌒;; / __ ) >/ (´⌒;; / / // (´⌒;; ∧∧ (´⌒(´⌒ ⊂二/ ∪ (´⌒(´⌒;; やっぱ(;^ω^)つまんね ∧,,∧ _| ⊃/(___ ∧_∧ (;^ω^) 。・゚・⌒) うわ 何このチャーハンつまんね!! / └-(____/ このスレつまんねー (^ω^ ; )ピュー / o━ヽニニフ))  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 〔 ̄ ̄∪~〕 = しー-J ◎――◎ = ∧_∧ // ∧_∧ (^ω^ ;) うわ 何このスレつまんね / .人 (;^ω^) / ⌒i / (__) パカ / \ | | / ∩(____) うわ、ここつまんね / / ̄ ̄ ̄ ̄/ | / .|(;^ω^)_ __(__ニつ/ FMV / .| .|____ // | ヽ/
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:24:50.69 ID:P5MNt2qTO
だが、その場凌ぎの生活がそう長くは続かなかった。 何日も歩き続けた一家は、ある日ついに力尽きた。 (ヽ;´_ゝ`゙)「ハァハァ……二人とも、しっ…かりするんだ……もう少しで街につ…く」 次々に兄弟は倒れていき、終には、兄者も道端で倒れた。 (ヽ;´_ゝ`゙)「すまな……妹……者」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:25:58.52 ID:P5MNt2qTO
──── ( ゚∀゚)「それで……出会ったのか」 ( ´_ゝ`)「あぁ。あれが今後の人生を左右する運命の出会いだった」 兄者はタバコを揉み消しながら言う。このまま過去も揉み消してしまえれば、どんなに楽だろうか。 ふと、取調室な活けられた一輪の花を見遣る。 ( ´_ゝ`)「ミヤコワスレ……紫の花は憂いを秘めている」 ( ゚∀゚)「花の名前までは知らなかった。詳しいのか?」 ( ´_ゝ`)「まぁ……」 都忘れ。俺たちのあの時の状況だな。自嘲気味に鼻を鳴らすと、兄者は再び追憶を始めた。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:26:55.55 ID:mM3RP43m0
支援
∩_∩ 人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人 / \ /\ < 響けこの歌。halyosyです。 最近とても辛いニュースばかり耳にします…。、、 .> | (゚)=(゚) | < 災害、事件…。悲しみや憤りが内側から溢れ、すっぽり僕を包んでしまいました。 > | ●_● | < その暗闇を差し照らした光、ブラック★ロックシューター!ryoさん、hukeさん、 > / ヽ < 素晴らしい作品を産んでくださって、ありがとうございます! > | 〃 ------ ヾ | YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY \__二__ノ ∩ ∩ | | | | | |__| | / / ヽ \ / (゚) (゚) | | _○_ | \__ヾ . .:::/__ノ しw/ノ ___ / ̄ヽ/ \ / \/ ̄ヽ | / (゚) (゚) | | 人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人 | | 三 | | < 歌いながら、僕も過去の自分と対峙していました。あの頃の僕が居るから。 > \_ノ\_ __ノ\_ノ < 僕はいつでも生まれ変われる。さよならは言わない。君は僕で、僕は君だから。> | | < 16歳の少女・初音ミクが現代を生きたとして、僕なら彼女に精一杯楽しい学校生> | | < 活を過ごして貰いたい。そして最後の日、彼女は何を思い、何を歌うのだろう。> (_,、_) <そんな想いからこの曲は生まれました。 > しwノ YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:27:31.37 ID:gVNr/0zWO
しえ
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:29:17.35 ID:P5MNt2qTO
────1947年。 …… 「ん? 車を止めてくれ。誰か倒れてる」 「まだ子どもじゃないか……。おい!! 君たち!! しっかりしろ!!」 …… … ( ´_ゝ`)「…はっ」 次に兄者が目覚めたのは、暖かいベッドの上だった。傷も手厚く手当てしてある。 (;´_ゝ`)「……ここは…?」 見たところかなりの豪邸の様だ。真っ白な部屋には、高価な家具が置かれており、壁には、恐らく有名な画家の作品であろう絵画がかけられていたのだ。 川 ゚ -゚) (;´_ゝ`)「……!?」 部屋を見回すと、まるで人形の様な女性が隅に立っていた。 (;´_ゝ`)「あ、あの……」 声をかけようとすると、女性は静かに立ち去ってしまった。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:30:16.47 ID:ppB+ynjcO
どうなる支援
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:30:54.68 ID:9gW3v+9f0
母役がカーチャンだと、なんか違和感あるな
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:31:02.58 ID:P5MNt2qTO
「旦那様。お目覚めになりました」 「何っ!? ほんとか!?」 二三声がした後、パタパタと廊下を歩く音が聞こえた。 (´・ω・`)「やぁ。お目覚めかな?」 部屋に入ってきたのは、冴えない中年男性。 しかし、衣服はかなり高価なもので、紳士といった雰囲気を醸し出していた。 これが、兄者の人生を左右する運命の出会いとなった。
___ /|| .(|| ∧_∧ |....||___|| ( ) どうしてこうなった・・・ | ̄ ̄\三 ⊂/ ̄ ̄ ̄/ | | ( ./ / ___ /|| (^ν|| ∧_∧ |....||___|| ( ^ω^ ) どうしてこうなった!? | ̄ ̄\三 ⊂/ ̄ ̄ ̄/ | | ( ./ / 自分のせいだろ氏ね屑 ___♪ ∧__,∧.∩ /||(^ν^)|| r( ^ω^ )ノ どうしてこうなった! |....||___|| └‐、 レ´`ヽ どうしてこうなった! | ̄ ̄\三 / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪ | | ( ./ / ___ ∩∧__,∧ /|| || _ ヽ(ω^ )7 |....||___|| /`ヽJ ,‐┘ | ̄ ̄\三 / ̄ ̄ ̄/ ´`ヽ、_ ノ | | ( ./ / `) )
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:33:42.81 ID:P5MNt2qTO
(´・ω・`)「僕はショボン。バーボンハウスの場本ショボンだ」 バーボンハウスと言えば、この時代、ビップの国を代表する一大企業であった。そして、場本ショボンとは、その社長である。 (´・ω・`)「しかし、一体なにがあったんだい? 見たところ中学生だね? 戦時中じゃあるまいし、まさか今の時代に行き倒れなんて、よっぽど何かあったんじゃないか?」 ショボンは、穏やかな口調で言う。だが、兄者はこれに答えなかった。 ( ´_ゝ`)「……」 高岡の一件があったからだ。不用意に自らの事を話すことは憚られた。 ( ´_ゝ`)「ショボンさん。俺たちは先日の台風で、母を失いました……」 兄者は、自分たちがこの様な浮浪生活になった経緯を伏せて、母を失った事だけをショボンに話した。 (´;ω;`)「何という事だ。こんな幼い子どもに神はなんて仕打ちを与えるのだろう」 驚く事にショボンは、大粒の涙をボロボロと流し、流石一家の不幸を嘆いた。 (;´_ゝ`)「……」 こんな人間が今まで居ただろうか? 学校の言う事を鵜呑みにする同級生達。父を死に追いやったビップ軍。自分たちを食い物にしようとした高岡。同情と憐憫の目で見つめる町ゆく人々。 (´うω;`)「すまない。僕も思うところがあってねぇ……。いやよく生きていてくれた。本当によかった」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:34:39.29 ID:ePqpGaoA0
支援
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:37:49.40 ID:P5MNt2qTO
何故だろうか。兄者は気付けば、その身に起こった出来事を包み隠さず喋っていた。 (´;ω;`)「……何という事だ。奴らはそこまで外道だったか」 終始頷き、同情の言葉を向けていたショボンだったが、最後まで聞くと落胆したように言った。 (´・ω・`)「いや、何を隠そう、僕もビップ軍の被害者でね。反骨の想いでこの会社を設立。ここまで大きくしたんだ。 …ところで。君たちが追われる理由。厳密には君の父親だが。軍部の人間だったね。 恐らく君の父親は、戦争に関わる重要な情報を持ち出した。だから狙われたんだ。 そしてそれは、君たち家族に託された。よって君たちは、スパイ容疑で指名手配されているのだろう」 (;´_ゝ`)「そんな!! 父は俺たちを巻き込むような人間じゃない!!」 この上父にまで裏切らたら堪らない。兄者は思わず声を荒げる。 (´・ω・`)「すまない。語弊があったね。君の父親はきっと平和を望んでいた。極秘の情報は内々に処理したのだろう。 だが、軍はそうはいかなかった。君たちがその情報を知ってしまったのではないか。 そう疑っているんだ。だから君たちの命を狙う。 ……奴らは、利己的だ。自分たちの立場や利を脅かすものがあれば徹底して排除する。 そうやって命を絶たれた者、国を追われた者を僕は知っている…」 ショボンは、下がり気味の眉をもっと下げて言う。自分に重ねているのだろうか?。
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:42:32.45 ID:mM3RP43m0
支援
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:43:19.39 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「……じゃあ俺たちはどうすれば……」 兄者は絶望感に打ち拉がれる。 (´・ω・`)「ハッキリ言って君たちに逃げ場はない」 (;´_ゝ`)「……じゃあ……何のために……俺たちは…」 ガックリとうなだれる兄者に、ショボンは立ち上がり言った。 (´・ω・`)「……君は僕が引き取ろう。我が社で働け。名前も変えるんだ」 思いもよらぬショボンの提案に兄者は、戸惑いを見せる。 (´・ω・`)「だが、流石に兄妹の面倒まで見きれない。もっと安全な外国に行くべきだろう。 幸いチョン国に、僕の古い友人がいる。彼らに預ければ身の安全は保証する。どうだい? 悪い話では無いはずだ」 (;´_ゝ`)「……」 妹者たちを外国へ、自分はショボンの会社で働けと。 彼が悪人でないことはよくわかる。話も信頼するに値する。そして自分たちが想像以上に危険な立場にいると言うことも。 ( ´_ゝ`)「考えさせて下さい」 (´・ω・`)「よく考えたまえ」 兄者はフラフラと部屋を出る。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:44:01.06 ID:ePqpGaoA0
支援
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:44:12.24 ID:9gW3v+9f0
支援
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:49:39.02 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「あの、妹達は?」 川 ゚ -゚)「客間で遊んでおられます」 どうやらこの女性は召使というより、秘書の様だ。妹達の所在を聞いて兄者は、客間へと向かった。 l从・∀・ノ!リ人「おっきいあにじゃー!!」 部屋へ入ると妹者が抱きついてきた。 l从・∀・ノ!リ人「よかったのじゃー!! ずっとねてるからしんぱいしたのじゃ!!」 兄者ごめんな、と言い、妹者を抱き上げると、強く抱き締めた。 l从・∀・ノ!リ人「……? どうしたのじゃ? まだイタイイタイなのじゃ?」 ( ´_ゝ`)「……ごめんな」 その晩、兄者は弟者にショボンからされた話をした。 (´<_` )「俺は……大丈夫だ」 ( ´_ゝ`)「本当か? 外国だぞ?」 弟者は、深く頷く。我ながらしっかりした弟だ。兄者はそう思った。 ( ´_ゝ`)「いつか……絶対迎えに行く……」 兄者は決意した。 それで家族が幸せになれるならと。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:53:06.63 ID:ePqpGaoA0
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:53:52.43 ID:P5MNt2qTO
(´・ω・`)「出港は一週間後」 与えられた一週間。兄者は兄妹との時間を大切に過ごした。 たくさん喋った。たくさん遊んだ。たくさん抱き締めた。 その温もりを忘れない様に。 妹者は、思いの外すんなりと受け入れてくれた。事実の重みを理解していないからかもしれない。また、暫しの別れとしか考えていないのだろう。 出港前夜。 兄妹は、夜遅くまで話した。 ( ´_ゝ`)「妹者は大きくなったら何に成りたいんだ?」 l从・∀・ノ!リ人「いー? いーはねぇ〜……おはなやさん!! いーはおはなやさんになりたいのじゃ」 ( ´_ゝ`)「そうかぁ……妹者花が好きだもんな?」 l从・∀・ノ!リ人「うん!」 妹者のその無垢な笑顔を見ると、胸が押しつぶされそうになる。 l从´・∀・ノ!リ人「……どうしたのじゃ? おっきいあにじゃ」 ( _ゝ )「いや…なんでもない。妹者は賢いな」 l从・д・`ノ!リ人「……」 兄者は、涙しないよう、唇を噛み締めていた。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:55:02.73 ID:P5MNt2qTO
────翌朝。 別れの日が訪れた。 (´・ω・`)「では、杉浦さん。よろしくお願いします」 ( ФωФ)「任せるのである」 ( ´_ゝ`)「じゃぁ。いつか必ず向かえに行く」 (´<_` )「妹者の事は…任せて」 ( ´_ゝ`)「頼んだぞ」 兄弟は別れの挨拶を固く交わす。 l从・∀・ノ!リ人「おっきいあにじゃー!!」 ( ´_ゝ`)「妹者……」 トテトテと兄者に歩み寄る妹者。 l从・∀・ノ!リ人「これあげるのじゃ!!」 ( ´_ゝ`)「?」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:56:41.30 ID:mM3RP43m0
支援
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:58:13.03 ID:P5MNt2qTO
兄者の手に渡されたのは、紙で作られた不恰好な花だった。 l从・∀・ノ!リ人「これをもってると目がいたいびょうきなおるのじゃ」 (;´_ゝ`)「……妹者」 赤い目を見開いて妹者を抱き寄せる。 ( ;_ゝ;)「妹者……」 この時、初めて兄者は妹者に涙を見せた。 l从・∀・ノ!リ人「どうしたのじゃ? またおめめがいたいのじゃ?」 妹者は、兄の頭をよしよしと撫でる。 ( ;_ゝ;)「妹者っ……!!」 l从・∀・ノ!リ人「いい子は、なかないのじゃ?」 とめどなく溢れる涙は、頬を伝ってポロポロと落ちる。 (´つω;`)「さぁ……時間だ」 涙目のショボンが一声かけると、船の汽笛が高く響いた。 l从・∀・ノ!リ人「おっきいあにじゃー!! バイバイなのじゃー!!」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 20:59:30.14 ID:ePqpGaoA0
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:03:07.93 ID:P5MNt2qTO
甲板から手を振る妹者は、とても可愛らしい笑顔で。 それは戦場に咲く一輪の花の様で。 どんな暗い時代でも、花だけは優しい笑顔を見せてくれる。 ( _ゝ )「……」 兄者は、顔を上げる。 目の前をさっと、桃の花びらが舞っていった────
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:04:14.77 ID:P5MNt2qTO
──── ( つ∀;)「くっ……」 刑事は思わず目頭に手を遣る。 何という悲しい別れだろうか。何よりも妹の健気な姿に心打たれる。 ( ´_ゝ`)「ショボンさんには感謝している。今の俺があるのも彼のお陰だ」 ( う∀゚)「やりきれねぇな……おや? もしかしてその首にかかったネックレスは?」 ( ´_ゝ`)「その時妹にもらった物だ。無くさぬ様にネックレスにしてもらった。未だに何の花を模しているかわからん」 ははっ。乾いた笑いをつけたして兄者は言う。 ( ´_ゝ`)「刑事さん。もう一杯水を貰いたいんんですが」 ( ゚∀゚)「わかった。ちょっと待て」 独特の香が兄者の鼻腔を通り抜ける。 ( ´_ゝ`)「ハーブティー……ですか」
_人人人人人人人人人人人人人人人_ > そうなんだ、すごいね! < ´ ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ __、、=--、、 __ / ・ ゙! /・ `ヽ | ・ __,ノ (_ ・ | ヽ、 (三,、, _) / /ー-=-i'’ (____,,,.ノ |__,,/ |__ゝ 〉 ) ( )
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:04:45.73 ID:vRy3KmrFO
しえん
/. ノ、i.|i 、、 ヽ i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ | | i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i | i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .| iイ | |' ;'(( ,;/ '~ ゛  ̄`;)" c ミ i. .i i.| ' ,|| i| ._ _-i ||:i | r-、 ヽ、 / / / | _|_ ― // ̄7l l _|_ 丿 `| (( _゛_i__`' (( ; ノ// i |ヽi. _/| _/| / | | ― / \/ | ――― / i || i` - -、` i ノノ 'i /ヽ | ヽ | | / | 丿 _/ / 丿 'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ ノヽ、 ノノ _/ i \ /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:06:55.23 ID:P5MNt2qTO
( ゚∀゚)「あぁ。いい香だろ?」 ( ´_ゝ`)「ハーブは可愛らしい花を咲かせる。俺も好きです」 刑事は、ハーブティーを啜ると続きを促した。 ( ゚∀゚)「それから始まるわけだ」 ( ´_ゝ`)「……。はい。ショボンさんの死から全ては始まりました────」
∩ ♪ ∧__∧ ∧__∧|l| ♪ ∧__∧ (´・ω・`)三三) (´・ω・`)| (´・ω・と_) )) | / | / | ./ ♪ U 〈 ♪ U 〈 U 〈 ♪ (__ノ^(___) (__ノ^(___) ♪ (__ノ^(___) たまの失敗はスパイスかもね♪ ∩ ♪ ∧__∧ ∧__∧|l| ♪ ∧__∧ (´・ω・`)三三) (´・ω・`)| (´・ω・と_) )) | / | / | ./ ♪ U 〈 ♪ U 〈 U 〈 ♪ (__ノ^(___) (__ノ^(___) ♪ (__ノ^(___) たまの失敗はスパイスかもね♪
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:08:29.72 ID:P5MNt2qTO
────1967年。 あれから20年の月日が流れた。 「あぁ……ハァハァ…あん…いいわ。ジロウさん。アァァ……ダメッ」 とあるホテルの一室。彼の計画はこの場所から始まる。 ('、`*川「ハァハァ……気持ちよかった」 ぐったりとした女性が、虚ろな目で言う。 ( ´_ゝ)「俺もだ」 ('、`*川「ジロウさ……あっ兄川社長。結婚の話考えてくれましたか?」 兄川ジロウは、タバコをくわえてか言う。
どうしてこんなになるまで放っておいたんだ! 三 三三 /;:"ゝ 三三 f;:二iュ 三三三 三 _ゞ::.ニ! ,..'´ ̄`ヽノン /.;: .:}^( <;:::::i:::::::.::: :}:} 三三 〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__ ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ . 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド' };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll どうしてこんなになるまで放っておいたんだ! ? 三 三三 ∧/;:"ゝ 三三 ∧f;:二iュ 三三三 三 ( ^ω^ ) ,.( ^ω^ )^) /.;: .:}^( <;:::::i:::::::.::: :}:} 三三 〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__ ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ . 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド' };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll ♪ ∩∧__,∧∧__,∧∧__,∧ =、`ー-="⌒ヽ ゚(゚^Д^゚)゚。)7ω^ )7ω^ )7 ♪ ,..シ'=llー一'";;;ド' /`ヽJ ,‐┘ ,‐┘ ,‐┘  ̄ ̄ll ´`ヽ、_ ノ 、_ ノ 、_ ノ ♪ `) ) `) ) `) ) どうしてこんなになるまで放っておいたんだ! どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
l / ̄ヽ l お , o ', 食朝 l _ .は レ、ヮ __/ べご l / \ よ / ヽ よは.l {@ @ i う _/ l ヽ うん l } し_ / しl i i を l > ⊃ < 今 l ート l / l ヽ 日  ̄ ̄¨¨~~ ‐‐‐---─| / /l 丶 .l も ___ | / / l } l い /ニュ トーイ l /ユ¨‐‐- 、_ l ! い ヽ廿' .`廿' l _ / ` ヽ__ `-{し| 天 n .____ l / `ヽ }/気 三三ニ--‐‐' l / // だ  ̄ ̄ ¨¨¨ー─‐‐--- ,,, __ ____/ /_/ ´ ,, _ |  ̄¨¨` ー──--- モパ / `、 | _ グク / ヽ .| モパ / ヽ モパ モパ./ ● ●l | グク l @ @ l グク グク l U し U l | モパ l U l モパ l u ___ u l | グク __/=テヽつ く グク >u、 _` --' _Uィ l /キ' ~ __,,-、 ヽ / 0  ̄ uヽ | l ヘ ゝ__ノ-' ヽ . / u 0 ヽ| ~ l ヽ-┬ ' テ==tニト | / て=-、─----‐‐─ヽ / ̄) ̄ ト' ト= -' <ニ>
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:10:10.19 ID:g8ANAwH8O
支援
514 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2009/07/13(月) 19:18:15 ID:eYWAvlqQ0
なぜ、婦人雑誌はセックスの記事ばかりかくのか。なぜ、幼児の本が、あんなにけたたましいのか。
なぜ、歌謡曲大会で、少年少女が発狂したように奇声をあげるのか。それが生き甲斐(がい)なのか。
それが生きてるってことなのか。もちろん、ぼくらは天使じゃない。ぼくらは聖人じゃない。
しかし、これらの現象に対して精神は加速せずにはいられない。
515 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2009/07/13(月) 19:49:28 ID:zALkNfZd0
>>514 童貞君かな?
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:11:25.29 ID:GB9vTHsFO
荒らしに反応しに来たよ!
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:11:37.62 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「すまん。今会社が忙しくてな。なかなかプライベートに手がまわらん」 ('、`#川「そんな!! 前も同じ事言っていたじゃないですか!? 私だってもう若くないんです!!」 ヒステリックに叫ぶ女性。見たところ高齢の様だ。結婚を焦るのも頷ける。 ( ´_ゝ`)「伊藤さん。あんたは何か勘違いしている」 ('、`#川「何を!!」 兄川は、驚くべき早さで、伊藤と言う女性を捕えるとベッドに押さえ付けた。 そして、冷たく言い放つ。 ( ´_ゝ`)「あんたは幸せになんかなれない!!」
/ / \ \ ____ ○
/ l ヽ |
,! ヽ、 !. |
| `> | |
'i / i' / \\ l
ヽ. / / /
\ 丿__ / / /
∩_∩ 人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人 / \ /\ < プーレー プーレパレート 強くなんかないけど > | (゚)=(゚) | < プーレー プーレパレート いつか君を捕まえる > | ●_● | < (プーレープレパ×3) (パレプ パリパリ) (プーレープレパ×3) > / ヽ < 油断したらその指 チクチクアタック覚悟して > | 〃 ------ ヾ | < 小さいけど挟むの ミジンコみたいなあなた > \__二__ノ YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY ∩ ∩ | | | | | |__| | / / ヽ \ / (゚) (゚) | | _○_ | \__ヾ . .:::/__ノ しw/ノ ___ 人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人 / ̄ヽ/ \ / \/ ̄ヽ < 恋は甘くて苦いもの 単純明快複雑天然四の五の > | / (゚) (゚) | | < どーでもいいことばっかり気にしたりするの どんな感じ そんな感じ > | | 三 | | < 温厚篤実エキセントリックなあなた 強がる素振りを全身向かって太刀打ち > \_ノ\_ __ノ\_ノ < 素直なドキドキ 刺激が強くてクラクラ 傷ついちゃうの 傷つけたいわ > | | < 純情プレパラート 頭の中はいつも一人よ 純情プレパレート > | | YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY (_,、_) しwノ
,r"゙\ /"'-,,_/ ヽ_,,-'"i ,─--,,,,/__/ ヽ_,,l,,--─''ヽ \ \ / / キリッ ヽ (ー) (ー) / ヽ ゙⌒(__人__)⌒' / 〉 |r┬-| 〈 <あんたは幸せになんかなれない!! k//゙゙''-,,/ヽ`ー'´ ゙゙''-,,ア、 / //ヽヽ ヽ l /"\ ___ ヽ∨/ ,/゙ヽ l | "''ー-' ヽ 、-二''-、 `" '-‐''" | ,r"゙\ /"'-,,_/ ヽ_,,-'"i ,─--,,,,/__/ ヽ_,,l,,--─''ヽ \ _ノ ヽ、_ / ヽ o゚((●)) ((●))゚o / ヽ :::::⌒(__人__)⌒::: / 〉 |r┬-| 〈 チョッギッ、プルリリィィィィィィイwwwwwww k//゙゙''-,,/ヽ'| | | -,,ア、 / | | | ヽ ヽ l /"\ ___ `ー'´ ,/゙ヽ l | "''ー-' ヽ 、-二''-、 `" '-‐''" |
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:14:27.99 ID:P5MNt2qTO
──── 一年程前。バーボンハウス社長、場本ショボンはこの世を去った。会社は、当時最も実力のあった兄川ジロウが継ぐことになった。 兄川ジロウは彼の最も信頼する人物で、死の直前まで兄川と話をしていた。 (´ヽ・ω・`)「ハァハァ…僕はもうじきあの世へ行く。その前にどうしても、君に伝えなくてはならない事がある。ジロウ……いや、兄者」 ( ´_ゝ`)「はい」 兄川ジロウこと、流石兄者は衰えたショボンの目を見据えて言う。 (´ヽ・ω・`)「ふぅ……会社の金庫に、一枚の紙切れがある」 ( ´_ゝ`)「それが?」 (´ヽ・ω・`)「それこそが、君の求める真実に最も近い一枚……」 ( ´_ゝ`)「と、言いますと?」 (´ヽ・ω・`)「売国計画参加者一覧」 ( ´_ゝ`)「……」
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:15:56.68 ID:P5MNt2qTO
(´ヽ・ω・`)「あいつらはとんでもない奴らだった。国を売ることで、戦後のビップでの地位を得たのだからな。 僕を始め、異義を唱えた者は片っ端から排除された。君の父親もその一人だ。 彼ははそれが許せなかったのだろう。恐らく君の父親はその計画書を盗んだ。告発するつもりだったのかもしれん」 ( ´_ゝ`)「なるほど。ならその計画の参加者に、必ず俺たちを追い詰めた奴らがいると?」 (´ヽ・ω・`)「確実にな」 兄者はゆっくり息を吐いた。 ( ´_ゝ`)「ショボン社長。今までお世話になりました。後はごゆっくりお休みください」 (´ヽ・ω・`)「うむ。ありがとう。……後は頼む。僕の…無念を……」
(´;ω;`)ショボンさん…
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:17:54.52 ID:P5MNt2qTO
──── ( ´_ゝ`)「さて、伊藤さん。これがその一覧だ」 兄川は、拘束された伊藤の目の前に一枚の紙切れを突き付ける。 (;、;川「ハッハッ……違うわ。私じゃない」 ( ´_ゝ`)「今更その言葉は意味を為さない。しっかり国の重役についてるあんたにはな。 利己的で傲慢。私利私欲に凝り固まったカスが。俺に言い寄ってきたのも金目当てだろう?」 兄川は、冷たい銀のナイフを伊藤の頬にペチペチと打ち付ける。 (;、;川「いや……やめて」 伊藤は顔をしわくちゃにして喚く。 ( ´_ゝ`)「俺はあんたを殺さない。あんたにはやってもらう事があるからな」 そう言うと、兄川はもう一枚の紙を伊藤に見せた。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:18:02.68 ID:g8ANAwH8O
兄者変わったな
C
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:21:08.49 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「ここに書き出した連中は流石父者に関わったクズ共だ。今すぐこいつらの現住所と連絡先を書き出せ。今すぐにだ」 (;、;川「今すぐ……ですか? 一度家に戻らなくては……」 ( ´_ゝ`)「ならかまわん。どこにあるかだけでいいから言え。俺の秘書を向かわせる」 伊藤は震える声で、その場所を伝える。 ( ´_ゝ`)】「そうか…ご苦労」 ( ´_ゝ`)「確認が取れた」 (;、;川「あなたは…何をするつもりなの? 何でこんなことを?」 ( ´_ゝ`)「復讐。精々自分の胸に聞くんだな」 兄川は、バッグから拳銃を取り出す。 (;、;川「いや……ねぇ……あなたは何者なの?」 ( ´_ゝ`)「……」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:21:38.48 ID:Z4ZdOlrsO
これは面白い 支援
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:23:43.50 ID:8TDdNiBxO
しえん
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:23:44.80 ID:P5MNt2qTO
「流石兄者だ」
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:24:40.11 ID:P5MNt2qTO
──── バーボンハウス社長となった兄者は、まず兄妹の事を、秘書の素直に調査させた。 川 ゚ -゚)「調査が終わりました。流石弟者ですが、チョン国にて、マフィアを取り仕切るボスになっております。 あと、流石妹者ですが……。十五年前に、病死しております」 (;´_ゝ`)「なに!?」 兄者は落胆した。あれほど大切にしていた妹者。いつも笑っていてくれた妹者。花が大好きだった妹者。……。 彼女はもういない。呆気なさすぎる死。 兄者は、暫し、額に両手をあてうなだれていた。 ( ´_ゝ`)「チョン国に行く」 次に立ち上がった兄者は、そう強く言った。 弟に会うべく、彼は直ぐ様チョン国へと向かった。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:27:13.73 ID:P5MNt2qTO
チョン国の治安は非常に乱れていたが、大金を渡せば簡単に弟者の元へと行けた。 ( ´_ゝ`)「弟者」 (´<_`メ)「おぉ兄者!!」 そこにいたのは紛れもなく弟者だった。 体は筋肉質で、顔もそれっぽく箔が付いていたが、そのものの雰囲気は20年前のそれとは変わり無かった。 しかし、20年ぶりの感動の再開とはいかなかった。 (´<_`メ)「すまない」 弟者は出会い頭に、土下座した。 (;´_ゝ`)「やめろ弟者!!」 (´<_`メ)「妹者を任せろと言っておきながら…… 妹者を死なせてしまった…。言葉もでない」 弟者は、頭を地面に打ち付ける勢いだ。 妹者を失ってから十数年。弟者はずっと自責の念に苛まれてきたのだ。それを思うと、兄者は居たたまれなくなった。 ( ´_ゝ`)「やめろ弟者。俺はお前を責めに来たんじゃない。 弟者……。よく生きていてくれた。ありがとう」 (;<_;メ)「兄者……」
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:28:39.65 ID:ppB+ynjcO
妹者死んだのか…… 支援
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:32:57.84 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「妹者は……どうやって死んだ?」 (う<_;メ)「妹者は……。性病で死んだ」 兄者は卒倒しそうになった。あんなに綺麗で可愛らしかった妹者が性病?想像したくない。 (´<_`メ)「杉浦さん……俺たちの面倒を見てくれるはずの杉浦さんが殺された。 子供が二人異国の地で生活するのは厳しかった……」 ( _ゝ )「身体を…売ったのか…」 (´<_`メ)「……あぁ。俺は止めたよ…。だが……」 ( )「いや、いい……」 兄者は肩を震わせた。一体妹者はどんな気持ちで死んでいったのだろうか。それを思うと居たたまれなくなる。 ( ´_ゝ)「妹者は最期何といって?」 (´<_`メ)「……おっきい兄者、と。一言」 ( ´_ゝ)「そうか……」 兄者は涙が流れないよう、目頭を強く押さえた。 ( ´_ゝ`)「弟者。協力してくれ」 そして兄者は語りはじめた。 その復讐の計画を。
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:35:38.28 ID:KB0aebGvO
いもじゃあああ…
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:36:23.32 ID:ppB+ynjcO
いやあああああ
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:37:47.98 ID:P5MNt2qTO
──── とある更地に、彼らは集められていた。 官僚、政治家、社長夫人。草々たる面子である。 / ,' 3「いや皆さんお変わりなく」 从 ゚∀从「あら荒巻さんじゃない」 ( ´∀`)「荒巻さんもお若いモナ。高岡夫人も御綺麗ですモナ」 (-@∀@)「御前崎モナー社長も羽振りが良いそうですね?」 (,,゚Д゚)「朝日さんも今や報道関係のドンだ」 ( ゚д゚ )「ふん。しかしどういう訳だ? やましい過去を持つ面々が一同に会するなんてな」 ( ^Д^)「小土ミルナさんも相変わらずだぜ。みんなそれにビビって来たんだろ? あの情報がバレてんじゃねぇかってな」 (*゚∀゚)「大丈夫だよ。いざとなったらお金握らせて黙らせちゃえば……」 ('A`)「最悪……殺せばいい」
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:38:19.68 ID:gZxFf2YXO
切ない… 支援
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:39:29.69 ID:Z4ZdOlrsO
さすがチョン国
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:40:05.80 ID:P5MNt2qTO
出席者たちが口々に会話していると、どこからか、声がした。 「皆さんお集まりですね。パーティー会場ですが、目の前に平屋があるでしょう? どうぞお入り下さい」 (,,゚Д゚)「おいおい。こんなボロっちい家がパーティー会場? ふざけるな」 「いえいえ、本会場は別にあります。余興です。余興」 参加者達は顔を見合わせる。 目の前にある平屋は、一時代昔の庶民の家といった風だった。 訝しげな顔をしながらも続々と入る参加者達。 (-@∀@;)「埃っぽいですね……それに狭い……」 出席者全員が入るには少々狭い。彼らは犇めきあうようにして、その家屋に入った。 「さて、皆さん。本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。差出人不明に関わらず、全員の参加。これも全て思うところがあるからでしょう」 空気が変わった。騒つく場内。 一人が叫ぶ。 「あんた一体誰なんだ!?」
支援
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:44:11.47 ID:mM3RP43m0
支援
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:46:29.29 ID:TlAfSXcfO
支援
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:47:05.95 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「初めまして」 奥の襖が開き、兄者が現れる。 ('A`)「バーボンハウス社長……兄川ジロウ…?」 ( ´_ゝ`)「いえ。流石兄者です」 / 。゚ 3「!?」 参加者の顔色が変わった。 当時指名手配にしてまで、探していた、最重要機密を知っているであろう人物。流石兄者が目の前に現れたのだ。 ざわざわ…。口々に疑問や叱責、落胆の声があがる。 (;´∀`)「一体何が目的モナ? 金か? 地位か?」 ( ´_ゝ`)「そんなものはいらん。父に止めを差した御前崎モナー……。 俺の目的は…復讐」 (;´∀`)「ゴクリ」 場が凍り付く。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:49:31.25 ID:g8ANAwH8O
> (;´∀`)「ゴクリ」 なぜか笑ってしまった
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:50:46.95 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「この家は当時の我が家を精巧に模した物だ。どこかに爆弾が隠してある。精々探すといい。 ……因みに招待状は起爆装置と反応しており、この家から出ようとした瞬間……爆発する」 兄者は、口角を上げ説明する。ふふっと含み笑いをしてから、続けた。 ( ´_ゝ`)「それがお前たちに与えられた罰だ。…だが抜け道がないわけではない。ヒントは自分の胸に聞くんだな。 ……では、ご健闘を」 バタン。 兄者は裏口からすっと出る。 ややあってから、家の中は大混乱に陥った。バタバタと走り回り爆弾を探す。 時間は…?いつ爆発するのか? 何もわからない状況で、いたずらに爆発を探すだけ。絶望し、泣き崩れるものもいた。ただ命乞いをするだけの者もいた。賄罪を口にちするが手遅れに気付き手を止める物たち……。 ( ´_ゝ`)「ふふっ……ハハッ……ハーハッハッハッハッ!!」 ヘリコプターから、我が家を見下ろし笑う兄者。 手元には、あのプラスチック製のボタンがある。 ( ´_ゝ`)「ハーハッハッハッハッ!! ハハハ……」 ( _ゝ )「……」 カチッ。 あの時と同じ様に家が吹き飛んだ……────
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:51:21.55 ID:Gnx70Q1pO
面白い支援
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:53:34.28 ID:Z4ZdOlrsO
兄弟の別れからが一気に動いたな
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:54:43.50 ID:P5MNt2qTO
──── (;゚∀゚)「……」 ( ´_ゝ`)「これで終わりです……。 しかし、まだ俺の復讐は完遂していない……」 兄者はゆっくりと立ち上がる。刑事は一歩後退る。 ( ´_ゝ`)「大空襲の日に、父者を襲う事を画策し、チョン国で杉浦を殺し、妹者を死に追い遣った……!!」 (;゚∀゚)「待て!! 違うんだ!! 俺はあの時……無理矢理……」 ( ´_ゝ`)「ジョルジュ長岡!! あんたを殺す」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:55:13.90 ID:4CqDyWTtO
救われねぇな
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:56:24.59 ID:P5MNt2qTO
(;゚∀゚)「…わざと出頭したのか!?……俺に会うために……」 ( ´_ゝ`)「……」 兄者は、隠し持っていた小型のナイフを取り出した。 (;゚∀゚)「待て……はぁ…はぁ……一つ、気になる事がある……あんたの親父が隠していた物だ。俺は詳しく知らん。だが妙だと思わないか?」 ( ´_ゝ`)「……」 兄者は手を止めた。一家を破滅に導いたその元凶。知りたくないと言えば嘘になる。 ( ´_ゝ`)「…何が言いたい」 (;゚∀゚)「あれ以降、それは見つかっていない。つまり、それはお前たち家族の誰かが持っているハズなんだ。 だがどうだ? 母の死体からは見つかっていない……って事は、兄妹の誰かがもっているんじゃねぇか? たが妹はもういない。ならそれは、兄弟のどちらかが持っているはずだ」 (;´_ゝ`)「!?」 そんな筈はない。弟者はまず持っていない。ならば自分。しかし、そんなものは預かっていない。 (;´_ゝ`)「妹者か…!?」 考えられるのは妹者だ。幼いが故に妹者に託したとは考えられないだろうか。 だとするなら……どこだ?妹者が隠しそうな場所。 妹者は、花が好きだった。 花畑か。……妹者が一番好きな花は何だった?
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:58:08.78 ID:ePqpGaoA0
しえん
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 21:58:49.11 ID:mM3RP43m0
支援
156 :
ひみつの文字列さん :2025/03/13(木) 16:14:31 ID:MarkedRes
日本国またはアメリカ合衆国、もしくはその両方の著作権法に触れる内容であると疑われることから表示できません。
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:01:17.97 ID:P5MNt2qTO
「あの花はなんというのじゃ?」 「あの花はな───」 「妹者が一番好きな花を摘んできてあげよう」 「────の花がいい……」 何だ?何だった? (;´_ゝ`)「……」 兄者は窓に目を遣った。 真っ赤な夕日はまるで… まるで…… ────向日葵のようだった────
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:03:51.91 ID:g8ANAwH8O
支援
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:05:04.50 ID:ppB+ynjcO
支援!
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:07:19.93 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「ハァハァ…」 兄者は走っていた。初めて妹者が向日葵を見たあの公園に。 長岡の返り血で服が汚れていたが、気にも止めず走った。 (;´_ゝ`)「向日葵公園……」 どこかにある筈だ。どこだ? 兄者は手当たり次第に、公園を捜し回った。 (;´_ゝ`)「ないぞ? 何処なんだ妹者……」 日が暮れ始めた頃。けたたましいサイレンの音が響き、数台のパトカーが公園を囲った。 (;´_ゝ`)「向日葵…ひまわり……ヒマワリ……」 「兄川ジロウ!! 刑事殺しの容疑者として───」
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:07:57.70 ID:lInnl465O
支援
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:08:55.51 ID:P5MNt2qTO
(;´_ゝ`)「向日葵の…花言葉!!」 ( ´_ゝ)「……貴方だけを見つめる……!!」 兄者は、ハッとして胸にぶら下がったペンダントを見る。 不恰好な花……。よくよく見ればそれは向日葵の花に見える。 兄者は、慌てそれを開く。 ( ´_ゝ`)「……これは…」 中から出てきたのは一枚の写真。そう、農家で初めてとった家族の集合写真だった。 緊張した面持ちの父、穏やかな笑みを浮かべる母、ぎこちなく笑う兄弟。そして、向日葵の様な笑顔の妹。 兄者はその場にへたりこんだ。向日葵がそよそよと風に揺らぐ。 ( ;_ゝ;)「おぉ妹者……。お前はずっと見つめていてくれたんだな」 機密書類など、最初から無かった。母が燃やしてしまったのだ。 父の唯一の宝物は、母の手に、妹の手に、そして兄の手に渡ったのだ。 「兄川ジロウ。君は完全に包囲されている!! 大人しく……」 ( ´_ゝ`)「妹者。遅れてしまったが、あの時約束した向日葵。お前に持っていくよ」 兄者は懐から、プラスチック製のボタンを取り出した。
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:10:42.44 ID:ECkM/0vLO
支援
これは小説化して欲しい
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:15:46.07 ID:P5MNt2qTO
( ´_ゝ`)「今日という日に一輪の花を咲かせよう────」 凄まじい爆発音と供に、赤い光が辺りを照らす。 舞い上がる黄色い花びらが、それを美しく彩っていく。 それは、夕闇に咲く一輪の花の様に────
>>165 ヽ、,jトttツf( ノ l
\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ !
=、..,,,ニ;ヲ_ ヾ彡r''"^ -=ll
``ミミ, i'⌒! ミミ=- :__ l
= -三t f゙'ー'l ,三``''ヾ::::ノ__,,,,,,,,,......:_....,,,,__
,シ彡、 lト l! ,:ミ'' /::::::::j´_,,...、_ : : : : :
/ ^'''7 ├''ヾ! (:::::::f⌒'i'、,,__`゙゙''ー- -' -一''": :
/ l ト、 \丿::::l! (ヽ! 、_,.ヾ○フ二'^ `''ニ"´ :
〃ミ ,r''f! l! ヽ. (:::::::ヽ.`゙i! : : : :
ノ , ,イ,: l! , ,j! ., ト、 (:::::::::i ! :::::::::::::::: ソ γ ::: :::: ::::
/ ィ,/ :' ':. l ヽ. 、\:::l l :: :: ::○::│ │ ○::::::
/ :: ,ll ゙': ゙i,ヽ、 ゙'ー! ::::::::: 人___人 : : : :
/ /ll '゙ ! \ l, : : : : :
/' ヽ. リ \ t, ~゙´ ̄ `゙゙゙` : :
/ ヽ / ヽ ,ゝ. . : : : : :
/ r'゙i! .,_, / ヽ、 . : : : : : :
/. l! イ i!`'ー- :.,, . : : : ,:r''"
/ ,:ィ! ト、 >?くフ `;゙'''''';"~´
,r''"´~ヾ=―――=''′`ヽ;'''"´ ` ̄`゙゙`ヽ、 ,r一''"´
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:19:42.16 ID:P5MNt2qTO
〜( ´_ゝ`)今日という日に咲く花のようです〜 終
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:20:15.03 ID:ePqpGaoA0
乙
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:20:40.58 ID:mM3RP43m0
良かったよ、乙
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:20:41.76 ID:v1jw3kPWO
唯一人残された弟者はどうなるのよ乙!
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:22:59.90 ID:P5MNt2qTO
以上です 支援ありがとうございました!!あと何だかんだ言いつつ読んでくれた荒らしの方どうもありがとうございました!! 因みに元ネタというか、原案は先週みた夢です。 すごく怖かった〜!!
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:24:33.35 ID:vRy3KmrFO
乙!
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:24:35.51 ID:ppB+ynjcO
どんだけシビアな夢だよw乙! 良い家族愛物だった
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:25:29.92 ID:KB0aebGvO
弟者が気になる…乙!!
乙乙です 邪魔してごめんなさい
乙 こんな夢見たら汗だくになるわ
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:29:13.06 ID:P5MNt2qTO
弟者は……強く生きていける子だと思います。 この夢はかなり壮大な物語で、夢に有りがちな支離滅裂なストーリーだったため、それなりに脚色してます。 改行規制にビビってしまい読みにくい形になってしまったと思います。精進しますぅ
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:50:11.12 ID:SwdvBYcwO
乙です 流石兄弟でやったのは見事
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 22:54:38.01 ID:4CqDyWTtO
どんだけ壮大な夢なんだw乙!
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/27(火) 23:04:35.80 ID:RuNVLkZxO
あらすじっぽい文体ですね 誉めてません でも全部読めました 良い意味で
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :
2009/10/27(火) 23:05:01.29 ID:GPWmfPb4O どんだけ長い間寝てたんだ?www