式「正直言って、お前を殺すのは惜しい」唯「ほえ?」
1 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :
音が怖い
そう感じたのはいつだったか
楽しかった音楽が もはや私には届かない
空虚にも似た、それでいて溢れんばかりの自分
壊れていくのが怖くって
遠ざけた
遠くへ
さらに彼方(むこう)へ
私には もう 見えないように
もう なにも 聴こえないよう に
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:14:48.66 ID:A8BcL0Pj0
rヽv。.。。。 ./_;;53,,─.。_
\、 .ヽ ./゚ r゚゜ .\ \
.。、 ^^_;;tt4(.。 〈 "Y | |
]_ ^^^^^,,,,。 ^r .l、 ]! メ 」
.\'^^^/゚ ./!^^^ ^^^^ / ./
/゜ .\t ./゜/"
./ /Y | |f゜
/゜ ./ [ .ヽ--P.ヽ、 ,,r--、
[ / l.__ __[ 〈 .ヽ
^^^ ^^^^^^^ ー─
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:15:02.62 ID:e//c3Ikl0
_,. -―――- 、
/: : ‐: : : : : : :‐- 、: :\
/: : /: : : : : : :\: : : : \: :\
/: :/: :.|: : : : : ! : : : \: : : :.ヽ: : ヽ
/: /: : 八: :!: : :|\: : : : ヽ: : : :',: : :.',
,': /ニ7⌒!:.!: : :| ⌒ : : : : : : : : |: : : :!
/: :.|: :./ V\: ! ヽ: :!: :.|\|: : : :.\__,
/: : :ハ: :| ヾ ∨!∨: : : : : : : : :ヽ
/: : : : :.V:! x=ミ x=ミ. !: : : : ハ: : : : : :.ハ
/:/: : : : /: :! 、、 、 、、 !: : !: : :!: : : : : : :.}
// |: : : /| :八 - 、 ,ィ: :/: : /: :ハ: : :|V
{! 从: i'´ ̄::::>、 `ー ' イ!V /: : /: / |: :/
_人_ /N::::_:::::/::| ` r ' //:/: /‐く V
`Y´ /::::::://:::/:::::| >< /:::丁´:::::::::::::V゚}∩ *
/::::nんh_::∧:::::}/八. ∨::::::」::::::::::〈ヽ.ノ///〉
. /:/| ! // 〉:::::>ヘ.ノ八 ソ::::{::::::::::::/:::} っ
//:::::::\__ノ〉::〈:::::::|/ ∧〉::::〉::::::::/::::∧ , ィ´
/:::::::::::::::::::::/::::::::\::! /:::::>'´::::::::/::::/:::い.ノ):〉
!:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::ヾ厶イ:::::::::::::/:::/:::::::ヽノ:/
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`ー七:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::::::::::::::/
//:::::::::::::::::::::::<>::::::::::/::::/ ヽ:::::::::::/
/⌒〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::イ::::::::/ `ー‐' *
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:16:06.46 ID:6VpWkl4k0
面白かった!乙!!
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:16:59.25 ID:6x9XqHHuO
本日の俺得スレ
百合でお願いします
7 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 17:22:16.42 ID:CxxtmPrX0 BE:2078424768-2BP(2000)
もう、すっかり冬になった。
永かった秋も、すでに終りに向かっていき、これからは雪の季節になってくる。とはいって
も、僕の仕事は変わらない。
春も夏も秋も、そしてこれから始まる冬も、僕は橙子さんの使い走りなわけで、式とは疎遠
なままなのだ。
――10年前、式の中にいるという「 」に会ってから、僕たちが会うコトは少なくなった。
僕は10年前に比べて、仕事が馬鹿に増えたし、式も橙子さんのお達しでイギリスに行った
っきりだ。
彼女は携帯のメール機能も使わなければ、手紙も寄越さない。無事だと分かるのは、毎月
送られてくる式からの送金だけだ。
まったく、これでは夫婦でもなんでもない。ただの保護者だ。
白くなるには些か気温が高いらしく、溜息は視認できない。
顔を上げると、そこには10年前から変わらない、ボロ屋敷(ぼくのしごとば)があった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:26:18.08 ID:1XiCgWfxO
最高に面白かったよ、乙!
まさかこんな展開とはね…度肝抜かれたわ
お腹いっぱいだから次は2年後位に立ててくれ!
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:31:09.17 ID:/b+XNvmvO
またおまえかwwwwwwwww
これでいいか?
乙かれー!
まさか唯がギター以外の楽器も弾けたとはw
11 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 17:32:02.26 ID:CxxtmPrX0 BE:692809128-2BP(2000)
「こんにちは、橙子さん」
「ああこんにちは。
挨拶はいいが黒桐、いいや両儀よ。昨日のアレは仕上がったか?」
「いいかげん呼び方に慣れてください。もしアレなら、黒桐でいいって何度も言ってるじゃない
ですか」
僕と式が結婚して5年経ったのだが、未だに橙子さんは僕を呼び間違える。今どき、婿養子
なんて珍しいのもあるのだが、橙子さんの場合は記憶の識別要領がどうたらという、これまた
僕のような一般人にはわからない原因で呼び間違えるようだ。
黒い鞄から、昨日依頼された調べ物の結果をまとめた用紙を取り出す。
昔に比べて、今はネットが発達しており、調べ物に時間は要らなくなっている。真っ当な仕事
に限定するが。
橙子さんは資料を眺めて難しい顔をする。
10年前と全く変わらない、否、変わらなくて当然。彼女は言ってしまえば人形そのものなの
だから。
――僕がここに来た理由は、橙子さんが作った人形に心奪われたからだ。
そうでなくては、こんなブラック以下の会社に大学中退して働くわけがない。
彼女の魔性といってもいいような人形。それに魅かれたのが僕なのだ。
「フム、これを先方に送ってくれ。
――それと……」
橙子さんがさらに険しい顔になる。
この顔を見るのは1カ月ぶりだ。
この顔は――そう。僕には及びもつかない仕事を依頼された時の表情だ。
「――式を呼ぶぞ。
あんな生ける反則を呼び出すのは癪だが仕方ない。今すぐ電報を打て」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:38:37.39 ID:40SejCrG0
こいつ宗教みたいな信者が必死に保守してたのに
叩かれまくって途中で投げ出したクソコテだろwww
スレタイ検索の時に邪魔だからmixiにでも書いてろ、な。
13 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 17:41:08.62 ID:CxxtmPrX0 BE:1039212083-2BP(2000)
いいのですか、と問う。
式を呼ぶというコトは、あのイギリスの時計塔を突破してこい、という意味に他ならない。一度
だけ、式の冬物用の着物を持っていく時に行かされたのだが、アソコは人間が居ていい場所な
なんかじゃあない。
怪物、化け物、奇怪、狂人。その類がいるような場所だ。
まさに監獄。
アソコは異能者をおいておくための監獄に近い。式は、そこに橙子さんの頼みもあるのだが、
半分は自主的に行った。
それがどんな意味を持つか、あの時の僕は知らなかったけれど、知ってしまったのだから仕方
がない。
異常、という言葉では片づけられない。異常を囲い、逃げ場を亡くす場なのだから、異常では
事足りない。
故に、アソコを形容する言葉なんて存在しない。
監獄ですら違和感がある。
僕の問いに、構わない、と返す橙子さんの目はどうしてか嬉しそうだ。
まるで、久しぶりに玩具を買ってもらえた子供のように高揚している。
「……要件は、なんだったんですか?」
「なあに、イカレた高校生がいるってことさ。
詳細はこっちに来てから話すよ」
わかりました、と応答して携帯電話を手に持つ。
たくさんある電話番号の内の『両儀式』という項目で、ボタンを二度押す。
――季節は、秋から冬に変わる境目。
11月19日、僕は彼女の声を久しぶりに聞いた。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:45:39.11 ID:c9P1kbO8O
荒らすのをやめろ!
けいおん族の俺達はずっとこのSSを待っていたはずだろ!
笑み笑み乙でした^ー^
月姫しかわからん。志貴でやってくれ
運単
18 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 17:55:16.47 ID:CxxtmPrX0 BE:2424828487-2BP(2000)
――ああ。面白い。
ここに来た時、私はワクワクしていた。
時計塔とは、言うならば魔術師たちの総本山。学校に通って、先生の言ったとおりに魔術
を学んできた、所謂お利口さんの本拠地だ。
規則正しい練習と、効果的な勉強と共に築かれてきた場所だ。そんなもの、私には興味
もない。
だが、ここは別だ。
ここには、封印していとかいう奴を受けた。化け物たちが存在している。
人間であることを放棄して、自らの欲求を叶える為だけに生きている、畜生以下の存在が、
ここには渦巻いている。
――殺してしまっても構わない。
橙子にそう言われた時、私は二つ返事でここに来ることを望んだ。
死に近しい存在こそが、私の生を実感させる。
させる、筈だった。
「つまらない――」
もう、目ぼしい奴らは殺しつくしてしまった。
今、ここに残っているのは最早歯牙にもかけない雑魚だけ。触れれば壊れる玩具なんて、
面白くも何ともない。
だから、私は黒桐から電話がきた時、なんとなくうれしかったのだ。
橙子が呼びつける程の、上質な異常者をこの手で殺せるのだから――
「その前に、だ」
監獄を抜けるために、看守をなんとかしなくてはならない。
ナイフを取り出し、暗い、昏い監獄を、我が体は疾駆した――。
19 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:01:46.69 ID:CxxtmPrX0 BE:3117636498-2BP(2000)
――その体は、どうしてか美しかった。
鮮血に塗れ、脳漿を浴びた。そんな彼女は、きっと何よりも美しい。
中空に舞う女性の体を、相応の教育を受けた、優秀な魔術師たちは止められない。直線的な
攻撃を、彼らは防ぐことすらできない。
即ち、それはそのまま死に直結する。
防げなくては『死』あるのみ。だというのに、彼らは防げない。ならば死ぬしかない。
彼は呪うことしかできない。
彼女、両儀式の直死の魔眼を、彼女の異常性を。そして、携帯電話の電波が届く、この施設
の不自然さを。
悔やみ、そして逝くしかないのだ。
たったの3分。
それだけの時間で、両儀式は40人を超える看守を皆殺しにした。
――くすり、と口を歪ませた彼女は、決して愉しんでいるのではない。
「弱すぎるよ――これだからお利口さんはダメなんだ」
効率、という安全にして能動的なこの時計塔を嘲笑ったのである。
そうして、彼女は時計塔を後にする。
向かうのは祖国である日本、故郷であり、愛する男がいる町。
――ロンドンの空は、白く濁っていた。
原作見てないからよく分からないけどよく分からないや
21 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:15:45.92 ID:CxxtmPrX0 BE:1299015465-2BP(2000)
時計塔から、式が帰ってくるまでの間。僕はというと部屋の掃除をしていた。
式のことだから、準備なんてしない。電話をして、コンマ1秒後には行動しているだろう。
それ故、僕は資料や以前の依頼で覚えさせられた麻雀牌で散乱していた部屋を片付けて
いた。
彼女は、物が多くあることを嫌う。
シンプル、というよりも何もない空間を好んでいるのだ。昔からそうなのだが、そろそろ物
に慣れてもらわないと、子供も作れやしない。
……体に触らせてもらえるようになるのが先決なのだが。
いつぞやのタコスの包装紙をゴミ袋に放り込みながら、今回の話について、僕なりに考え
てみた。
――橙子さんの言う、イカれた高校生というのは誰なのだろうか。
近隣の高校は精々2つか3つだ。
桜高に清澄、それに少し遠くなるが穂群原学園だ。
その内のどこかになるのだろうが、妙な噂は聞かない。精々はしゃいだ高校生がコンビニの
前で喧嘩をしたくらいだ。
式が呼び出されるほどに面倒な存在が、この町にいるとするならば僕にも噂の欠片くらいは
聞こえてくる筈なのに、それがない。
ないということは――
「なるほど、そういうことか……」
少し、面倒なことになりそうだ。
そんなコトを考えながら、埃まみれの掃除機を押入れから取り出した。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:21:58.20 ID:5sNmABdX0
こんなに読むのがめんどくさい文もまた珍しいにゃん
23 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:22:25.92 ID:CxxtmPrX0 BE:649508235-2BP(2000)
肯定才能
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:24:35.92 ID:44/Pm0dIO
糞コテ晒しage
25 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:28:11.33 ID:CxxtmPrX0 BE:649507853-2BP(2000)
秋も深くなってきて、時刻は午後6時だというのにすっかり暗くなってしまった。
夏ならば、これからアイスを食べに行けるのだが、この暗さではそうもいかない。アイスは
またの機会にしよう。
一日一日を、大切に生きよう。
短い高校生活を、無駄になんてしたくない。
そんな考えで部活をはじめ、熱中できるものが欲しかったからギターを始めた。
17歳の秋、それは一度しかないのだから楽しまなくては損だ。
下校する際、私はそんなことを考える。
「それじゃあ、私たちはこっちだから」
「じゃあねー」
「さようならー」
家に帰れば、温かい食事が待っている。
今日の食事はなんだろう。
期待にも似た、走りだしたい衝動。
――そんなとき、あるモノを見かけた。
「アレは――」
それは、壊れたイヤホンだった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:29:09.08 ID:i5M0sTfJ0
素晴らしい人材だな
これでこの世の不眠で悩み人がいなくなる
27 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:34:55.93 ID:CxxtmPrX0 BE:649508235-2BP(2000)
普通、道路に落ちているものを拾ったりはしない。
得体の知れないものかもしれないし、不衛生なものなのかもしれない。大人になるにつれて、
そのような『かもしれない』という考えの元に行動することが多くなる。
つまるところ、臆病になっていく。
動物園の虎に、餌をあげる際に近づく大人はいない。
それは、噛みつかれて怪我をしてしまうかもしれないからだ。
それは、危険を犯して餌をあげることに、利益なんてないと考えるからだ。
人間とは、常に損得勘定をしながら生きているのだから。子供のような親切、行動をすること
ができなくなってくる。
……そう。
人間とは、危険を感じ取れるようになる生物なのだ。
他の動物に比べて、突出した身体能力がない私たちは、結局のところ理屈で行動することで
しか危険を察知できないのだ。
ならば、それがわかっているのであれば私はこのイヤホンを拾ったりはしない。
拾って、ポケットに入れて持って帰ろうなんて考えない筈だ。
だが、私はそれをした。
利益も得もない、そんな馬鹿げた行動に走る人間が此処にいる。
「なんだろ、これ」
でも――楽しそうだ。
そんなコトを考えながら、私は自宅への道を進んでいった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:35:46.81 ID:+bBtZgENO
和服の式ちゃんに浣腸して下利便プレイしたいお
29 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:45:30.73 ID:CxxtmPrX0 BE:1385616184-2BP(2000)
家に帰って、すぐに自室に向かう。
見たところ、本当に壊れたイヤホンだ。
内蔵されているスピーカーが飛び出している上に、そもそもコードが完全に断線してしまって
おり、使い物にならない。
道路に落ちていたのだから仕方がない。
たとえ落とした時はまともだったとしても、踏まれていくうちに壊れてしまったのだろう。
なんて、不憫な道具だ。
使われるだけ使われて、無くしてしまっても気づかれない。
まるで、かつての自分のようだ。
妹の陰に隠れて、両親からも相手にされなかった私とこのイヤホンはよく似ている。小学生
のころ、小さな家出をするまで、両親は私を見ることすらしなかった。
そのころの私と、このイヤホンは似ている。
ポンコツで、役に立たなくって、役に立とうと努力しても空回り、捨てられる。
「は、は――」
厭なコトを思い出してしまった。
今は、違うじゃないか。
今は、違うのだ。
頭の中で、無理矢理にでもそう考えて、妹と共に食事を採りに階段を下りていった。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:48:57.39 ID:8q8Q+8rXO
時計塔のシーン意味あったの?
色々とあり得ない上に何が起きてんのか理解不能だったんだけど
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:52:11.65 ID:+bBtZgENO
式ちゃんのアナルに活きのいい鰻を突っ込んでアナルにセメントで蓋をしたい
32 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 18:55:28.03 ID:CxxtmPrX0 BE:1558819049-2BP(2000)
「ねえ、ういー」
「なあに、お姉ちゃん」
「憂は、私のこと好き?」
そんな問いかけをしてみた。
意味なんてない。ただ、なんとなく不安だっただけ。
昔のことを思い出してしまったのだ。
誰にも愛されず。
誰にも見られず。
憐みの目でしか私を見てくれない。
そんな、昔のことを思い出してしまったからだ。
「うん、大好きだよっ!」
「……ういー、ういー」
目から、涙があふれてくる。
何もできない、何もしない、そんな姉を心から慕ってくれる妹。
本来ならば気がつかないくらいに小さな劣等感に苛まれ、今まで生きてきた私を愛してくれた
のは憂だけだった。
故に、私は守りたいと思う。
夢中になれるものを見つけたのだから――私はそれで、憂を守ってあげたいと強く思った。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 18:56:58.02 ID:+bBtZgENO
式ちゃん早くうんこ出して
34 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 19:05:35.97 ID:CxxtmPrX0 BE:2424828678-2BP(2000)
入浴も終えて、髪を乾かしながら本を読む。
澪から借りた、ギターに関しての教本なのだが私にはどうにも理解できない。
実際に手を動かしながら教えてもらえば理解できるのだが、こうした机上の論理は、私には
イマイチ理解できないのだ。
今まで、漫画以外に本を読んだことがないので、頭の中でイメージができないのだろうか。
本を机に置いて、ギー太を持つ。
「……こういう、ことなんだよね」
35 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 19:07:06.82 ID:CxxtmPrX0 BE:259803623-2BP(2000)
――そうだ。
こうして、手を、指を動かせば理解できるのだ。
でも、これでは駄目だ。
理屈がわからない人間は、感性でのみ戦ってきた人間は、いつかは自滅する。
知らなくともできる、という驕りは、時として人を苦しめる。
どうしようもない状況に立った時、知識がない人間は対処できない。才能のみでは、おいつけ
ない境地があるのだ。
つまるところ、土台が努力で才能とはそのプラスαなのだ。
「これじゃあ、駄目だ――」
知識がない私にとって、これは致命的。
守るため、笑ってもらうための音楽なのに――こんなところで躓くわけにはいかないのだ。
「私に――もっともっと才能があったらなぁ」
努力を女々しいと感じさせる、圧倒的な才能。
凡人をどうしようもないくらいに絶望させるような才能。
雲よりもっと、もっともっと高みに立つような絶対的な才能。
それを、願ってしまった。
願ってしまったのだ。
それは――秋が深くなってきた10月4日のことだった。
36 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 19:13:18.37 ID:CxxtmPrX0 BE:1169114639-2BP(2000)
食事と入浴のために席をはずす。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 19:23:51.37 ID:c9P1kbO8O
圧倒的つまらなさ
盛り上がり所はどこなん?
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 19:25:32.84 ID:eblXAJoYO
台本SSにはない雰囲気だな
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 19:39:55.67 ID:VQre4qdRO
あーーーーーーーまただよまただよ
どうしてSS書きってのは途中で必ず席を外すのかねぇ?何でそんな時間に始めるのかねぇ??
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 19:43:31.20 ID:eblXAJoYO
台本SSじゃないから仕方ないかもな。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 19:53:24.93 ID:eblXAJoYO
さつじん!
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 20:04:39.87 ID:eblXAJoYO
ほし
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 20:21:20.76 ID:eblXAJoYO
過疎ってるな
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 20:24:29.15 ID:40SejCrG0
台本だとかそうじゃないとかどうでもいい
話がつまらなさ過ぎる
検索したときにがっかりするからタイトル変えて欲しい
46 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 20:28:35.76 ID:CxxtmPrX0 BE:692809128-2BP(2000)
ただいま。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 20:29:16.38 ID:eblXAJoYO
おかえり
48 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 20:35:23.05 ID:CxxtmPrX0 BE:1039212746-2BP(2000)
外から、鳥の囀りが聞こえる。
カーテンから差し込む光に目がくらむ。
その光で、いつの間にか朝になっていることに気がついた。
「寝ちゃったんだ……私……」
いつ、眠ってしまったのか。記憶はないが、ギー太が傍に置いてあるところを見ると、昨晩は
余程眠かったのだろう。
時計を見ると、時刻は午前7時。いつも起きる時間よりも、30分ほど早い。
平沢唯という存在が起きだすまで30分。それまで、憂はこの部屋に入ってくることはない
ということになる。
学生鞄を持ち上げ、今日の授業のための準備をする。
余裕があるのが、こんなにも素晴らしいことなのだと実感する。おそらく、今日は朝食と共に
コーヒーの一杯でも飲むことができる。
「今日は数学と国語と、地理と――」
教科書とノートを鞄に詰め込んで、階段を下って一階に降りる。
――机の上に置いておいたイヤホンは、どこかに消えていた。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 20:35:40.11 ID:jgJWi+FQO
まさかの笑み社
50 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 20:44:02.81 ID:CxxtmPrX0 BE:519606926-2BP(2000)
「お姉ちゃん! 今日は早いね! おはよう!」
妹が私の姿を見て驚く、無理もない。高校に入ってから、私は一度も自分の力で起きたこと
なんてないのだから。
食卓にはまだ食事はない。
憂が朝食の準備をしている姿を見たことがなかった私は、どうしてか新鮮な気持ちに襲われ
た。
「ういー、おはよう。
今日はなんか目が覚めちゃった」
鼻歌交じりに席に着く。
とはいえ、食事はないのだからこの行動はいつもの惰性のようなものだ。
憂の優しい笑顔を見ると、昨日感じていた妙な不安は無くなっていくようにも思えた。夜という
ものは、往々にして人を不安にさせるものだ。
――テレビからは朝のニュースが流れる。
地名も知らないような場所で起きた事故。
行ったこともないような場所で起きた事件。
今日を生きるために必要になるであろう情報。
朝の時間をゆっくり過ごすことが、こんなにも有益だとは思ってもみなかった。
「……ア、レ?」
ほんの少しの違和感を感じたが、それは朝に慣れていないからだろう。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 20:46:29.70 ID:eblXAJoYO
支援
どう考えても唯こんなキャラじゃねーだろw
って言っちゃダメ?
もし唯が異能者ならDDDでやった方がいい様な気がする
アリカのが普通にあいそう
54 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 20:53:56.69 ID:CxxtmPrX0 BE:2338227869-2BP(2000)
――ほんの少しの違和感。
それが何か、具体的に表すことはできない。
ただ、私の中にあったモノが変革している。
もとよりあったものが、チューンナップされたかのような感覚。
自分という存在が、ほんの少しだけ強くなったような錯覚。
ほんの少し。
本当に、ほんの少しなのだが。
「ねえ、憂」
「ん?」
「私、なにか変った?」
そんなコトを尋ねた。
私は、昔から自分では分からないコトは憂に聞いてきた。
それで、間違っていたことなんて一度だってない。
「見たところ、変わってなんていないけど……」
「そうかなあ……なんか違和感あるんだよねえ」
「気のせいじゃないかな。朝早く起きたんだしさ」
憂の言葉を信じたいのだが、信じられない自分がいる。
拭えない違和感を感じながらも、私は学校に到着した。
55 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 21:03:18.83 ID:CxxtmPrX0 BE:1212414274-2BP(2000)
――教室に着くと、そこには大きなドームがあった。
「なに? これ」
「おいおい唯〜。知らないのか? これを、さ」
「まさか唯が知らないなんて。ムギ、これやっぱりマイナーなおもちゃだったんじゃ……」
「いいえ、そんなことはないわ。私たちの世代で、ドラえもんを見ていた人ならだれもが憧れた
玩具の筈よ」
「そ、そうなのかしら……」
他のクラスの澪、和もそのドームを囲んでいる。
遠目からでは些か見にくかったが、その全貌を見ると、それがなにかなんてすぐにわかった。
国民的な玩具にして、最高の乳酸発生器だ。
「バトルドーム、だ」
バトルドーム。
今は亡きツクダオリジナルが発売した。3Dアクションゲームである。
56 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 21:12:21.71 ID:CxxtmPrX0 BE:1948522695-2BP(2000)
「う、うああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「なんだこれえええええええええええええ!!!!!!」
「エキサイティンよ!!」
「痛い痛い! 腕がァ!」
私たち、軽音部の四人は現在地獄の乳酸地獄と戦っている。
手元のシューターを動かすために、手はグーパー運動をひたすら繰り返す。戦略もなにもない。
とにかくめげずに動き続けた者が勝利するという地獄のゲーム。
憧れていたゲームではあるのだが、これほどまでに辛いものだとは思わなかった。
ボールを相手のゴールにシュゥゥゥすることなんて、狙ってできるものではない。私はバトル
ドームワールドチャンピオンではないのだから。
握力がみるみるうちに失われていく。
筋肉は収縮を繰り返し、今にも筋が切れてしまいそうだ。
澪も、律もすでに腕の乳酸に耐えきれず、運動をやめている。だが、殊の外紬は違う。
「フンフーン」
鼻歌を歌いながらも、手は高速で運動している。
紬の握力、腕力はこのゲームによってもたらされたということか。
「このクラス、1時間目は音楽なんだ」
「!?」
道理で、周りに誰もいないと思った。
毎週火曜日は一時間目が担任の授業なのだから、朝から音楽室に集合なのだ。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:16:16.11 ID:eblXAJoYO
バトルドーム支援
58 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 21:29:15.45 ID:CxxtmPrX0 BE:692809128-2BP(2000)
――音楽室、一時間目から音楽というコトもあってか合唱で大きな声を出す者は少ない。
我がクラスの担任であり、音楽教諭でもあり、おまけに軽音部顧問でもある山中さわ子は
些か困った表情でピアノを弾く。
……私たち軽音部は知っている。
彼女の素顔を、正体を。
軽音部のOGで、デスメタルバンドを結成して、デスメタルの女王とまで称されたことを、そ
して、今の態度は全て仮面。仮面を剥がせば、180度性格が反転するというコトを。
――だが、私にとってそんなことはどうでもいい。
「なんだろ……これ……」
先刻から、どうにもおかしい。
昨日までとは、ピアノの音の聞こえ方がまったくちがう。
先生が叩く鍵盤、そうして、奏でられる音。
その音階が、どうしてだか手に取るように分かる。
「先生、今の曲、レソファミソから始まるますか?」
「……ゆ、平沢さん。この曲知ってるの?」
「知りませーん。でも、なんとなくわかったんです。音階が」
「――もしかして、それって」
絶対音感。
そう、先生は言った。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:36:18.57 ID:eblXAJoYO
かわ唯
60 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 21:43:42.95 ID:CxxtmPrX0 BE:3507341099-2BP(2000)
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:04.16 ID:OU8l6/p5O
あ
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:12.52 ID:OU8l6/p5O
い
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:17.27 ID:OU8l6/p5O
う
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:22.38 ID:OU8l6/p5O
え
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:27.93 ID:OU8l6/p5O
お
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:32.70 ID:OU8l6/p5O
あ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:43.42 ID:OU8l6/p5O
い
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:48.11 ID:OU8l6/p5O
う
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:53.10 ID:OU8l6/p5O
え
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 21:45:59.08 ID:OU8l6/p5O
お
71 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/10/17(土) 22:01:41.64 ID:CxxtmPrX0 BE:2424828487-2BP(2000)
まさかこんなことをされるなんて思わなかった。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 22:08:57.75 ID:Pe87LY7ZO
>>1オレの嫁である式を話しに使うならもっとまともにやれ。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 22:28:26.27 ID:REwUu4sqO
唯>如月
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 22:40:13.50 ID:eblXAJoYO
寝たのか?
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 22:47:22.19 ID:R1Fb5qlz0
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 22:52:12.83 ID:R880hJmLO
あちゃー、逃げちゃったか
最悪の終わり方だな
あちゃー、唯とうとう死んじゃったのか……
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 22:59:04.11 ID:eblXAJoYO
俺は信じるぜ
未来福音よみたい