1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
プロローグ
「馬鹿なやつ」
手紙を放り投げながら呟き、後ろへ倒れこむ。
短くベッドが音を上げてから暫く経って、女は今まで溜め込んでいた息を、一気に吐きだした。
そのままの体勢で胡坐をかいた後、上半身を動かして、眼鏡を保護しているケースへと手を伸ばす。体の柔くない彼女は、一生懸命に腕をのばして、それを手に取る。
青いそれを開け、出した眼鏡をかけて手紙を拾って。最初にみえた文を見て、彼女は微笑んだ。
「こんなことを書いても私が軽蔑などできないことを、よく知っているくせに」
緩む頬を正し、女は小さい息を吐くと、手紙を読み始めた。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:57:05.56 ID:Wm/DTrDS0
きっかけは、小学六年生の春だった。
俺はその頃、幽霊に恋心を抱いていた。
手紙は、そんな告白から始まっていた。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:01:46.91 ID:kI9m8e2l0
だがしかし
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:06:36.43 ID:Wm/DTrDS0
短いけど、プロローグ終わり。
一話、投下します。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:13:48.47 ID:qqOdF3Dk0
まだか?
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:15:24.59 ID:Wm/DTrDS0
俺には、ブーン、ショボン、クー。この三人しか、友達がいなかった。
たった三人の友達だ。失うのは怖かった。
だからどんな我が侭にも応えたし、どんな時にも彼らについて行った。
そんな毎日が続いた、小学六年生の春。
今まで一度も我が侭なんて言わなかった、というか意見もしなかったクーが、一言。
「なあ。最近噂になっている、『緑の屋敷』に行きたいんだが」
ブーンは女子にモテたいが為に、クーはチャレンジ精神から、俺は単なる興味で、それぞれ賛成した。
嫌がったのは、気弱な性格のショボンだけだった。
ショボンは、泣いてまで嫌がった。だが、ブーンはそれを許さなかった。
暫く、二人の口論が繰り広げられた。俺とクーは、二人で花見をし始めた。
(#^ω^)「――もう、いい!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:24:24.42 ID:Wm/DTrDS0
(^ω^#)「先に行っておく!!」
(´;ω;`)「……っや、やだ! やだああああああーーーっ!!」
悲鳴に近い、叫び声。
花見を中断し、泣き叫ぶショボンを引っ張って行くブーンを、強引だなあなんて思いつつ、見ていた。
「ほれ。最後のみたらしだ」
たっぷりとタレのついたみたらし団子が、突然眼前にさし出された。
礼を言いつつ、彼女の方を見てみる。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:26:30.52 ID:WgaLwyQbO
しえ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:27:43.32 ID:JVFBRMJvO
支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:32:08.43 ID:Wm/DTrDS0
紺のティーシャツに黒の短パンを履いただけという格好の彼女は、冷静に荷物を纏めていた。
あっという間に荷物は纏まり、「行くぞ」とだけ言われる。
返事も聞かずに走り出した彼女の背中を追いかけつつ、胸をうつ何とも言えない高揚に、俺はどきどきしていた。
運動も何もしていない俺にとって、町外れまで走る体力はなかった。
水泳を習っている彼女は行く道中、ずっと気遣ってくれていた。
そして、今。
自分でも気持ち悪いと思うくらいに呼吸は乱れ、汗も尋常ではないくらい出ている。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:40:51.01 ID:Wm/DTrDS0
横でクーが、鼻をつまみつつも「大丈夫か?」なんて言ってくれていた。
その優しさと素直さに、ストレートで胸が痛んだ。
ブーンはそんな俺など気にもならないらしく、ずっとショボンを罵倒していた。
お前はそれでも男なのか、悔しくないのか、見ろ、あのクーの涼しげな顔を――。
そこまで聞いたところで、俺はショボンの表情を見た。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:43:53.62 ID:Wm/DTrDS0
('A`)一話「ぷろろーぐ、そのいち」
やばい、と思った。
顔色は真っ青。目に涙が溜まり、ついには溢れ出、頬を細く伝っていた。
がたがたと体は震え、恐怖に満ちた双眸を地面に向けていた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:50:24.76 ID:Wm/DTrDS0
「おい、ブーン。そろそろやめてやれ」
(#^ω^)「……あ?」
物凄い剣幕だったブーンが、突然静かになった。
口角を上げたそれを見て、近くにいるだけなのに、背筋がぞくりとした。
オロオロして彼女を見ると、クーは無表情だった。
川 ゚ -゚)「やめろ、と言っているんだ」
……何がなんでも、これはクールすぎる。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:53:37.05 ID:WgaLwyQbO
しえしえ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:56:24.50 ID:2a17d0OBO
ドクオ主人公多いな
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:01:28.70 ID:Wm/DTrDS0
言い争いを始めた二人を放り、蹲ってしまったショボンへ駆け寄る。
「だ、大丈、夫?」
少し顔を上げ、囁くように呟く。
聞き返したら、今度は少し、音量が上がった。
(´;ω;`)「ドクオ君?」
聞こえた。
何回も聞き返さなくてもいいと判断し、少し安心する。
「うん。そ、そうだよ」
(´;ω;`)「……あのさ。敬語、じゃなくてもいいよ」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:04:25.95 ID:Wm/DTrDS0
ちょっと報告。
書き溜めしてきます。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:16:19.70 ID:x53guEEfO
シエン
19 :
◆hs5mBtCpWOE2 :2009/09/18(金) 23:29:53.79 ID:Wm/DTrDS0
ID変わる前に酉つけとく。
20 :
◆hs5mBtCpWOE2 :2009/09/18(金) 23:36:38.23 ID:Wm/DTrDS0
突然の提案に驚き、少し迷った後、「わかった」と答えておいた。
するとショボンはぽかんと口を開け、此方を見てきた。
(´;ω;`)「…………えーっと。その」
ぐいっと涙を拭ったショボンを見て、いろいろと思案する。
もしかしたら単純な動機だったとか、本気じゃなかったとか、冗談だったとか。
そしたら、さっき自分が言った言動が途轍もなく恥ずかしく思えてきた。
「ありがと。本当に、嬉しかったよ」
「……え?」
その日、俺には本当の友達ができた。
21 :
◆hs5mBtCpWOE2 :2009/09/18(金) 23:38:40.48 ID:Wm/DTrDS0
……見てる人、いるかな?
一話しか投下してませんが、今日の投下は終了です。
質問とか、あったらどうぞ。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:41:58.71 ID:BUi2Pp0+O
乙!
まだ何とも言い難いけど好きかもしれんよ
23 :
◆hs5mBtCpWOE2 :2009/09/18(金) 23:45:23.59 ID:Wm/DTrDS0
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:57:36.87 ID:0K8y0BMd0
結構好きだぜ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:17:11.07 ID:yZOJAL4R0
どこかにまとめられてなかったっけ?
26 :
◆hs5mBtCpWOE2 :2009/09/19(土) 00:25:33.01 ID:mWUMmjSHO
携帯から。
>>25くるくるクールさんにまとめられてます
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:27:01.94 ID:hEj5hqPNO
続き投下するよな?
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:41:11.88 ID:mWUMmjSHO
>>27できたら、しますよ!
ですが、もう今日はPC使えないんで…多分できません
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:48:39.27 ID:hEj5hqPNO
>>28 くるくるさんにまとめられてるって書いてるけど、
これ一話目じゃないの?
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:51:34.27 ID:mWUMmjSHO
そうですね…
これは書き直し、って受け取って貰ったらいいと思います
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:54:04.64 ID:mWUMmjSHO
じゃあ、そろそろ寝ないと明日やばいので…質問締切ります
ノシ
乙