1 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :
私は 今 走っている
逃げるように
否 事実 逃げている
背後から 追ってくるのは 私の友人であった人たち
中には 弟や知らない人だっている
どうしてかはわからない
でも――とにかく逃げなきゃ貞操が危ないと思った
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 16:51:27.39 ID:/jYkEHwK0
/⌒ ヽ
/ ^ ω ^ヽ <おもしろい、ならば戦争だ
,ノ ヽ、_,,,
/´`''" '"´``Y'""``'j ヽ
{ ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l
'、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ
ヽ、, ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/
`''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'
,ノ ヾ ,, ''";l
./ ;ヽ
.l ヽ,, ,/ ;;;l
| ,ヽ,, / ;;;|
| ,' ;;;l l ;;'i, ;|
li / / l `'ヽ, 、;|
l jヾノ ,ノ ヽ l ,i|
l`'''" ヽ `l: `''"`i
.l ,. i,' } li '、 ;;' |
3 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 16:59:58.42 ID:/bzBQ+zk0 BE:389705033-2BP(2000)
「――ああ。そうだ」
遡ること3日前。
音楽室でいつものように部活を始めようとしていた私は、掃除当番で遅れている紬と唯を
待っていた。澪は朝、コンビニで買ってきた週刊誌(プレイボーイ)を読んでいる。
そんなとき、澪はなにか思い出したかのように呟いたのだ。
「あのさ、私、律のことが好きだ」
……ノイズかと思った。もしくはキン肉マンに載ってた台詞。
首を機械のように澪の方向へと向ける。澪は雑誌で真っ赤になった顔を隠している。昔
から変わらない、恥ずかしがり屋な性格を象徴するような顔。
――うん、確信。
聞いてないことにしよう。
「唯とムギ、遅いなあ。
つか、梓はなにしてんだ?」
窓の外は爽やかな日本晴れ。秋の気配が、空気を支配しだす9月の末。私はこの季節が
好きではない。
4 :
きびなご ◆ixr4/nDQQ. :2009/09/09(水) 17:02:02.86 ID:UPWQs7EAO BE:451323672-PLT(13666)
VIPでは久々に見た。
5 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 17:02:24.01 ID:/bzBQ+zk0 BE:1212414847-2BP(2000)
「り……り、つ?」
甘えたような声。
聞くな! 聞くな! 絶対聞くな!
「今日のケーキはなにかなあ!」
「りちゅ!!」
あ、噛んだ。
澪は立ち上がり、私の名を呼ぶのだが、極度の緊張からか、噛んでしまったらしい。
……そんな状況、笑わない方がおかしいわけで。
「あーっはっはははっは!!」
「わ、笑うなあ!」
ゴチン。澪の鉄拳制裁。
「あいて!」
「……あ、ごめん……」
しおらしい澪はどうしようもないくらい可愛い。
それくらい、10年以上もそばにいれば分かるコトだ。必然、彼女のファンは他校にも存在する。
故に、私は思っていた。いつか澪にも好きな男が出来て、私の元から去っていくこと、私に頼ら
なくても大丈夫な人間になることを。
それなのに、澪は私を好きと言った。
これは聞き間違いでもなければ気のせいでもない。確かに、澪は私に告白した。
ならば――それに応えてやるのが親友ではないのか。
「そっか。わか――」
「りっちゃん! 大好き!!」
――は?
マンコ
7 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 17:10:18.49 ID:/bzBQ+zk0 BE:1299015465-2BP(2000)
澪の告白。それを真摯に受け止め、返事を返そうと思ったその刹那。突風の如く、彼女が
私に抱きついてきた。
――掃除当番で遅れていた平沢唯である。
「りっちゃーん、りっちゃーん」
ふわふわほっぺを、私の薄い胸にすり寄らせる。ふわりと髪からいい香りがした。
女性、というよりはそれは女の子の匂い。澪にはない、甘えさせたくなるような匂いだ。
――と。ちょっと待て。
先刻、唯はなんと言ってここに入ってきた?
反芻。
あと、回想。
『りっちゃん! 大好き』
……こは如何なるコトぞ?
台が好き。このテーブルが好きなのか?
否! 断じて違う。おそらく、唯も澪と同じタイプのスタンド使い――
「りっちゃーん、結婚しようよー」
私はどうやら、モテ期に入ったようだ。
なんとも迷惑なモテ期である。
でも、いくらなんでもこれ以上はないだろう。中学時代、クラスの男子に告白されたことはある
が、それだって3年間でたったの2回だ。故に、私の経験上これ以上は――
「りっちゃん。ウェディングケーキもってきたから、二人で入刀して食べましょう!」
――あるわけか……。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:10:57.21 ID:le8vEglEO
続けて
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:13:13.87 ID:TdGiGHz0O
りつぅうううう
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:15:35.45 ID:We/UNkcc0
/⌒ ヽ
/ ^ ω ^ヽ <おもしろい、ならば戦争だ
,ノ ヽ、_,,,
/´`''" '"´``Y'""``'j ヽ
{ ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l
'、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ
ヽ、, ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/
`''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'
,ノ ヾ ,, ''";l
./ ;ヽ
.l ヽ,, ,/ ;;;l
| ,ヽ,, / ;;;|
| ,' ;;;l l ;;'i, ;|
li / / l `'ヽ, 、;|
l jヾノ ,ノ ヽ l ,i|
l`'''" ヽ `l: `''"`i
.l ,. i,' } li '、 ;;' |
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:19:44.53 ID:OIllzEA60
スレタイから余裕ですた
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:22:00.73 ID:LhKDZSo6O
ほほう
13 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 17:24:10.74 ID:/bzBQ+zk0 BE:3117636498-2BP(2000)
――目の前には3メートルはあろうかという巨大なケーキ。
形だけで食べられない普通のウェディングケーキとは違い、ちゃんと食べられる。それも
一流のパティシエが30人動員で作った最強のケーキだそうだ。
これをどうやって持ってきたのか、というか、朝教室であった時にはなかっただろ、それ。
紬の登場で状況が変わるかというと、それは違う。
唯は相変わらず私にひっついてるし、澪はプレイボーイを顔に被せ、その辺でごろごろ
と転がっている。恥ずかしいのだろうか。
ともかく、事態は平常ではない。いつもの紬なら、みんなの調整役として場をリセットして
くれるのだが、今回はその紬もToLOVEるガールだ。打ち切りになって残念だと、聡が嘆いて
いた。
「さありっちゃん。一緒に持ちましょ」
これまた馬鹿デカイ包丁が現れる。これさえあれば大木も一溜まりもないであろうものである。
重量にしてみれば、おそらく100キロは優に超えるだろう。それを、紬は片手で持っている。アメ
リカでは日本の『細い青年が大剣を振り回す』描写が理解できないらしい。ちなみに、私は今
納得がいった。
「りつ〜」
「りっちゃん!」
「りっちゃーん」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:27:47.61 ID:OLgRhlixO
無理してボキャブラリーありますよアピールしてる感がハンパない
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:28:44.06 ID:LhKDZSo6O
16 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 17:29:08.57 ID:/bzBQ+zk0 BE:1818621476-2BP(2000)
もはやこれではモテているのかすらわからない。
ここはいったん退却したい。
「こんにちはー」
と、ここで梓登場。タイミングがいいのか悪いのか、とにかく状況を変化させる人物が
来てくれた。
「梓! こいつらを頼む!」
唯を引っぺがして梓に投げる。そしてそのまま走り去る。
――予定だった。
「おいこらデコ。私の義姉に何してくれとるんじゃワレ」
……あ、はい。
私はなにも言わずに、その場に正座した。
17 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 17:44:48.70 ID:/bzBQ+zk0 BE:346404342-2BP(2000)
「唯先輩を投げるなんて何考えてるんですか? 今日の私が機嫌悪かったら、律先輩は
レイプしてSATSUGAIしてるところでしたよ」
――正座の状態で30分。私は梓の小言を聞き続けていた。
梓までややこしいことになってなくて安心はしたが、違う意味でややこしい人間になって
いたことは計算外だった。これでは脱出も敵わない。
……というか、私が正座して説教喰らってるのに、どうしてみんなは助けに来ないのだろうか。
私のコトが好きではなかったのだろうか。
「ハアハアハア――」
でこに当たる不自然なフラッシュ。そしてカシャリ、というシャッター音。
見上げると、澪がカメラで私の困った顔を何度も何度も写真に残していた。澪の後ろにはこれまた
息を荒げた二人。そのまた後ろに梓がいるので、小柄な彼女の姿は見えない。声だけが聞こえる
状況だ。
つまり、逃げられない。ボス戦のような感じだ。
「律先輩、聞いてますか!?」
「りっちゃん、可愛いよりっちゃん」
「りつ〜。かっこいいよ〜」
「タマリマセンワー」
そうして、私が解放されたのが、それから2時間経った後だった。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 17:49:07.81 ID:wwr9Hzn5O
クラウザーさんwwwww
19 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 17:58:59.85 ID:/bzBQ+zk0 BE:1039213038-2BP(2000)
「今日はひどい目にあった……」
軽音部の連中を振り払って帰路に就く。
辺りはすっかり暗くなり、胃は食べ物を求めている。度重なる理解不能な出来事に全身が
疲弊し、今となっては歩くことも面倒極まりない。
学校から家までの距離は決して長くない。長くないから、少し無理をしてこの高校に入った
のだ。思えばあの時から、澪の私を見る目がおかしかったような気がする。
数学を教えてもらった時、必要以上にお茶を勧めたり、英語を教わる時、異様なまでに私
を家に泊めようとしたりと考えてみれば、あの時から始まっていたのだ。
「鈍感だな、私」
家に到着。
至って普通の中流家庭の家。その扉を開けると――
「姉ちゃん! おかえり!」
可愛い弟、聡の姿があった。
「出かけるのか?」
「ううん。姉ちゃんを待ってたんだ。
姉ちゃん……好きだー!!」
どうやら私には、安堵できる場所なんてないようだ。
20 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 18:10:23.51 ID:/bzBQ+zk0 BE:519606634-2BP(2000)
「姉ちゃん姉ちゃん姉ちゃん――」
先刻の唯と全く同じ。
聡は私の胸に飛び込み、思春期の体を私に押し付ける。唯は、ふんわりとしたいい香り
がしたが、男子中学生、略してGC(ゲームキューブ)の聡からは思春期の男子独特の匂い
がした。
決して、それが悪いわけではない。
若い男の子らしい匂いなのだから、それに対して嫌悪感はない。ましてや自分の弟だ。可
愛いと思うことはあっても、厭と思うコトはない。
――思うコトはない筈なのだ。本来ならば。
それが、正常な行動ならば。
それが、皆が行う行為ならば。
それが、当たり前の仕草であるならば。
21 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 18:12:24.94 ID:/bzBQ+zk0 BE:692809128-2BP(2000)
「さーとーしー!」
「姉ちゃん可愛いよ姉ちゃん。前髪下ろした姉ちゃん可愛いよぉ。大雑把だけど、ホントは
繊細な姉ちゃん愛おしいよぉ。姉ちゃんって呼んでいいのは俺だけだぁ!」
駄目だ。聞いちゃいねえ。
ここは仕方ない――赦せよ、我が弟よ――
「ハウ!」
乾坤一擲。我が奥義『タイガーニー』は我が愛する弟の金的にクリーンヒットした。
これで離れるだろう。この一撃、誰だって倒れる。
だが、それは普通の人の話。
これは『エネファーム』の名を持つ、田井中聡の話――
「姉ちゃん! これが愛の証なんだねええええええええ!!!!」
倒れるよりも早く、それを快感に変え――立ち上がってきた――!
22 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 18:23:31.36 ID:/bzBQ+zk0 BE:1169113493-2BP(2000)
――ケータイは1分も静まらない。
常に誰かしらからメールが送られてきて、その内容の9割が肉食系な内容だ。
例えば――澪からのメールには。
『律はカッコいいよなぁ。
私、律だったら……いいよ?』
いいよと言われてもどうしようもない。私は女なのだから。
それと唯は――
『りっちゃん! 今度遊びに行こうよ! この間お母さんたちが行ってたお城に!』
ヤル気満々である。
23 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 18:24:34.65 ID:/bzBQ+zk0 BE:606208027-2BP(2000)
あと紬は――
『今日はごめんなさい。明日は私の家に招待するわ! 大丈夫、家には誰もいないから』
これなんてエロゲ?
挙句の果てには梓からも――
『唯先輩に何かして、憂を悲しませたら――どうなるか、わかってますよね?』
ある意味、肉食である。
――携帯の電源を切る。
それでも、聡が私の部屋に居座っているため落ち着かないが、これでいくらかは楽になる。
「姉ちゃん、寝るの?」
「ああ」
「じゃあ、おやすみのキスして」
「おやすみ」
無論、キスなんてしていない。
とにかく、眠りたかった。
眠れば、この状況がなんとかなっていると思うから。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 18:27:21.49 ID:fCW+TO92O
支援!
25 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 18:28:38.62 ID:/bzBQ+zk0 BE:1039213038-2BP(2000)
26 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 18:30:51.82 ID:/bzBQ+zk0 BE:866010645-2BP(2000)
27 :
きびなご ◆ixr4/nDQQ. :2009/09/09(水) 18:34:44.36 ID:YJpvOPCI0 BE:1289496858-PLT(13666)
支援するけど、
>>40だとちょっと遠いと思うよ。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 18:34:52.79 ID:le8vEglEO
ksk
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 18:36:20.52 ID:/bzBQ+zk0 BE:346404342-2BP(2000)
同時にご飯食べてくる。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 18:53:09.04 ID:issIWgTfO
支援しますよ。っと
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 18:55:13.95 ID:agQN7nwhO
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 19:10:54.78 ID:wwr9Hzn5O
ksk
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 19:15:17.48 ID:4WrgiJueO
か
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 19:17:00.50 ID:pGFM6L4jO
そ
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 19:24:42.92 ID:VT+JUNV90
しえーん
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 19:29:23.34 ID:K1aN2JB1O
塗るぽ
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 19:48:19.26 ID:wwr9Hzn5O
がっ
中野家
梓「あずにゃんダンスあずにゃんダンス〜あずにゃんダンス♪」
梓「ふぅ…ラーメン食べ過ぎでたるんだお腹もあずにゃんダンスで一気に解消!」
梓「はぁ…踊ったらなんかお腹すいちゃった…」
憂「そんなときは!」
梓「憂!?いつからいたの!」
憂「最初からだよ」
梓「///」
憂「ラーメンばかりじゃ栄養偏っちゃうからコレ飲んで!」
梓「10秒チャージ2時間キープ!」
憂「憂だーINぜりー!」
梓「うおォン」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:07:04.91 ID:F5LHFaEc0
休憩してる場合じゃない
ムスカ
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:26:38.91 ID:wwr9Hzn5O
笑み社ー
42 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 20:40:56.92 ID:/bzBQ+zk0 BE:519606926-2BP(2000)
どれくらい人がいるのだろう
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:58:56.13 ID:kke0UBWiO
気にしないでナイスミドル
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:04:18.22 ID:LhKDZSo6O
早く書いて
45 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 21:08:53.05 ID:/bzBQ+zk0 BE:779409836-2BP(2000)
――目が覚めると、隣には聡が眠っていた。
「姉……ちゃん……奇麗……だ……」
寝言である。
寒いと思ったら、聡は布団を全て巻き込んで眠っていた。それを私に似立てているのかと
思うとなんとも言えない気持ちになった。
リビングに降りると、家族が二倍になっていた。
「あ、りっちゃん。おはよー」
母と父はいつもどおりの日常なのだが、軽音部全員が私の家に集結していた。唯は当たり前
のように朝の食事を採り、紬は全員分の紅茶を用意し、澪は私の洗濯物の匂いを嗅いでいた。
「スンスン。いい匂い……」
どん引きである。
「あらりっちゃん。朝ごはん、食べる?」
「あ、ああ」
朝食のトーストが出される。私はなにも言っていないのだが、イチゴジャムが塗られていた。き
っとこれも紬の家で作られた最高級ジャムだったりするのだろう。
……一口、口に含む。
美味しい、と思わず口に出る。それを聞き逃さなかったのか、紬はさらなるトーストの量産体制
に入った。
――学校につくまで、私は軽音部の鬱陶しいまでの粘着にあった。
それが、2日前の朝の話だ。
46 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 21:21:12.72 ID:/bzBQ+zk0 BE:649507853-2BP(2000)
「えと……紳士とは、名前入りのハンカチを持つものである……」
授業中。
クラスが違う澪はいないが、隣の席の唯、後ろの席の紬は私を凝視している。人の
視線には慣れているが、こうした目で見られることはないのでどうにも気になる。
――だからといって、やめてくれとも言えない。
この二人は私のことを純粋に好きでいてくれている。
ならば、その想いを無下に扱うコトなんてできない。
できないのだが――
「ハアハアハア、りっちゃんが持ってるボールペン、アイスみたい……」
「キマシタワー」
変態じみている。
というよりも、変態そのものである。つい先刻も体操着を二人に取られるところだった。この
二人の性癖、行動は明らかに異常と呼ばれる域に達している。
「……どうしよ」
まあ、なんにせよ放課後まで待とう。
放課後になれば、みんなと話すことになるのだから――
「りっちゃん……」
教室のドアに隠れて、音楽教師が私を見ていたとしても、それは無視することにしよう。
47 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 21:35:47.74 ID:/bzBQ+zk0 BE:346404724-2BP(2000)
――放課後の音楽室。今日も軽音部の練習をする。
私は気が乗らなかったが、紬の怪力でここまで引きずられた。引きずられている間、澪と唯は
私の下着を覗くことに全力を注いでいた。
さわ子も今日は音楽室に来るらしく、私は今より一層レベルの高い警戒態勢を敷かなくてはな
らなくなっている。今、音楽室には私を含めた4人。今日も梓は遅れてくるようだ。
「これは……」
カップには黄金の液体。独特のアンモニア臭と紬のニヤニヤといった、今までとは180度違う
笑顔に、予感は確信に変わった。
――これは、アバ茶だ。
飲んではいけない。それどころか、今目の前にあることすら危ない。私は紬が洗い物のために
余所を向いた隙を見て窓から捨てた。外では少し騒ぎが起きているが気にしないコトにする。い
くら紬が極上の美少女だからといって、その小便を浴びて悦ぶレベルの持ち主はこの学校には
いない。いたとしても、その人間は今総てがこの部屋にいる。
「遅れてすいませーん」
梓がちょうどやってきた。
昨日は唯を投げてしまい、思わぬ一面を目にしたのだが今日はそんなことはない。梓はき
っといつものあずにゃんだ。
「……律先輩」
「ん? なんだ?」
「好きです」
「は?」
梓は体を私に預ける。
小柄な体が私の胸の中にいる。気持ちがいいのだが、昨日のことを思うとものすごく気持ち悪い。
――そうして、私は理解した。
少しずつ、私の周りの人間がおかしくなっていることに。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:45:23.15 ID:2+OXea9r0
支援っ
49 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 21:45:43.18 ID:/bzBQ+zk0 BE:692808544-2BP(2000)
「あ、律さん。今日、うちに泊まっていきませんか?」
「律先輩!」
「りーつ! りーつ! りーつ!」
そんなこんなで、私は女神のような扱いになっていた。
それが昨日の話だ。
憂も、一年生の純って子も、よく行くケーキ屋さんの店員も、私が知っている人間総てが
私の虜になっていた。
女ならばまだよかった。
だが、男に迫られるとなると力の違いもあるので、相当な恐怖を感じる。喩えるならばバットも
持ったことない茶道部あたりが甲子園常連校の野球部と野球をするようなもの。レベルが違う。
それ故に、私は常に走ることになった。
――私の性格が不幸をもたらした形。友人、知り合いが人よりも多いため、それだけ自らが危険
にさらされることになっている。
いったい、なにがしたいんだ?
私も、私を追う人たちも。
もはや誰にもわからない。
終着点も、なにも――わからない。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:49:22.99 ID:/TnQq6lcO
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:50:40.66 ID:2+OXea9r0
どうなるんだろうwktk
52 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 21:58:01.87 ID:/bzBQ+zk0 BE:1732020285-2BP(2000)
――そうして、今。
後ろから追いかけてくるのは軽音部のメンバーを含んだ町内の方々。
無論、その中には知らない顔もいる。そのうち私は全人類に追いかけられるのではない
のだろうか。
貞操が危ない、とかそういう状況じゃない。
今や命の危険すら感じる。今ほどスタープラチナが欲しいと思ったことはない。
「Fuck you!」
前から恐ろしい言葉が飛んできたと思ったら、前からは外国人が3人。私に向かって走って
くる。
屈強な見た目から、おそらくラガーマンと思われる。
あれに捕まったら、間違いなく逃げられない。
「なら――」
あれをやるしかない。
週刊少年ジャンプに於いて大人気連載し、カードゲームやアニメにもなったマンガを読んで
身につけた必殺技――
「――デビルバットハリケーン――!」
男たちの横をすり抜けて、私は出身中学校の裏山へと逃げた。
ここなら、誰も私を見つけられない。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 22:21:17.39 ID:kke0UBWiO
危ないよ
54 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 22:31:12.92 ID:/bzBQ+zk0 BE:1299015656-2BP(2000)
イマイチ書けない。
お風呂入ってくる。
りっちゃんの人徳は劉備にも負けないな
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:01:05.80 ID:kke0UBWiO
もう書けないってこ
57 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 23:18:15.07 ID:/bzBQ+zk0 BE:2338227869-2BP(2000)
需要もなさそう。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:20:40.36 ID:Fkcpk4Jr0
もう書かないんなら最終的にどうなるのか書いて
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:22:14.45 ID:CCuOFS0OO
需要が関係あるかね?
60 :
笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/09/09(水) 23:27:53.78 ID:/bzBQ+zk0 BE:259803623-2BP(2000)
スレも伸びていない。
書きたい人がいるのならその人に喜んで譲る。
コテでレス乞食とかどうしようもねえ
このコテって確かあの下手くそな上にキモいSS書いてた奴かww
コテでスレタテしてss書いてしかも途中で挫折とかVIPPERやめてほしい
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
もうちょいがんばってくれ