今全部読んできたらやべえなにこれ面白い支援
45 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:01:20.26 ID:CsrGaD2oO
町の中を、一輪の車が駆け抜けていた。
炎を纏った派手な猫車が、一人の男を乗せて駆け抜けていた。
猫車を押すのは、人程もある巨大な化け猫で。
その姿は炎に包まれているにも関わらず、燃えている様子はない。
それは猫車本体も、そこに乗せられた男も同じ事であった。
ミ,,゚Д゚彡「おらおらおらおらおらああああああああッ!!!!」
(;^ω^)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!?」
ミ,,゚Д゚彡「掴まっとかねェとぶっ飛ぶぞおおおおおおおおおおおおッ!!!!」
(;^ω^)「みんなごめおぎゃあああああああああああああああああッ!!!!」
化け猫は猫車を押しながら吼え、振り落とされそうになる男は悲鳴を上げる。
それはもう、賑やかしく。
46 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:03:19.39 ID:CsrGaD2oO
道行く人々を二、三人ほど弾き飛ばして駆け抜ける猫車。
その目的地は、先日坊っちゃんが足を運んだ盛岡屋。
町の中心部に存在するそこへと、猫車は爆走しておられた。
化け猫はおらおら退け退け等と吼えているが、
異様な迄の勢いと早さの猫車を、人間が避ける事など出来もせず。
どっかんどっかんぶつかっては弾き飛ばされる人々に、
坊っちゃんは叫びながらも謝罪を繰り返していらっしゃった。
暴走する様に猫車が爆走し、大した間も開かずに町の中心部へと辿り着く。
足で移動するより何倍も早いが、足で移動するより何倍も乱暴な移動手段。
そのお陰で坊っちゃんは、思ったよりもずうっと早く盛岡屋に来る事が出来たのだが
ミ,,゚Д゚彡「はい目的地ィッ!!」
(;^ω^)「おおおおおおおおおおッ!!?」
盛岡屋の前で突然止まった火車の所為で、
坊っちゃんの体が、ぽんと宙を舞った。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:03:36.62 ID:0YZqO7R+O
支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:03:59.07 ID:laux/pMz0
安全運転しろよwww
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:04:53.66 ID:RZytMxnMO
しえしえ
50 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:05:15.22 ID:CsrGaD2oO
ずざあと顔面から地面に突っ込んだ坊っちゃんを見下ろし、火車が人の形に戻る。
そして、ぴしと片手を上げて
ミ,,゚Д゚彡「じゃ、お前ンちで待機してやらァ、あばよ」
来た時と同じ様な勢いで、すたこらと走り去った。
泥んこの顔を上げて派手な着物の背中を見送り、坊っちゃんはのっそり身を起こす。
顔やら着物に付いた汚れをぽんぽん、と払い落とし
右足を庇いつつ立ち上がると、のたのた盛岡屋の暖簾を潜った。
( ^ω^)(帰りどうすんだお……)
そんな疑問を胸に一つばかり、置きながら。
51 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:07:08.91 ID:CsrGaD2oO
びっこを引く様に店に入ると、入り口に待機していた下男に
「しぃを頼む」とだけ伝え、目的の人物が居るであろう間へと案内される。
下男に肩を借りつつ、未だ女郎屋ではない盛岡屋の中を行く。
少しして目当ての間に着くと、下男はそっと襖を開け、下がってしまった。
片足でひょこひょこ、と開けられた襖の隙間から座敷の中に滑り込む。
するとそこには、出入り口に背を向けて座り、三味線を奏でる一人の女。
優しい桃色の着物を着て、長い黒髪を背中に垂らした細い後ろ姿。
坊っちゃんは適当な座布団の上にどさりと座り込むと、それにゆったり声をかけた。
( ^ω^)「しぃ」
(*゚ー゚)「あら、いらっしゃいましお客様…………ん?」
( ^ω^)「お?」
52 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:09:41.06 ID:CsrGaD2oO
坊っちゃんの声に女がゆるりと振り返り、形の良い笑みを売る。
と、女の顔が、少しばかり驚いた表情へと変わった。
(*゚ー゚)「あら……あらまあ、もしかして、内藤さま?」
( ^ω^)「お、覚えてたかお?」
(*^ー^)「もちろん、小さい頃、お世話しましたもの」
(;^ω^)「おー……みんな僕のがきの頃を知ってるから困るお……」
(*^ー^)「そらそうやわぁ内藤さま、町の妖怪は、みんな内藤さまの育ての親よ」
(;^ω^)「お……恥ずかしくて困るおー……」
(*^ー^)「うふふ、親御さまがいてはらへんからて、みんなでお家に伺ってね」
(;^ω^)「そういやあ、六つくらいの頃からみんな来てたお……」
(*^ー^)「ふふっ、あんなに泣き虫さんやったのにねぇ」
(;´ω`)「恥ずかしいから止めてくれおー……」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:10:18.86 ID:RZytMxnMO
支援
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:10:52.62 ID:laux/pMz0
いいねえしえん
55 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:11:11.08 ID:CsrGaD2oO
両親の顔を知らぬ坊っちゃんは、幼い頃より血の繋がらぬ妖怪達に育てられていた。
その筆頭は、坊っちゃんのお屋敷に住み込みで居るどくお。
しかし町中の妖怪達も、幼い坊っちゃんを気にかけて
あれこれと世話を焼いてくれていたもので。
悪戯小僧共に親無しと云われども、そのお陰で悔しくはなかった。
苛められて泣いたとしても、妖怪達が優しく慰めてくれた。
それに、血の繋がりこそはなくとも、親が沢山居る状況。
物心ついた頃には、寂しいとも思わなくなっていた。
そんな坊っちゃんの寂しさを取り除いてくれた妖怪の一人が、この、しぃである。
優しく厳しく、柔らかな方言で頬を撫でられると嬉しくて。
比較的直ぐに、盛岡屋で働く為に居なくなってしまったが。
それでも、しぃは未だに優しく坊っちゃんに微笑みかける。
もうすぐその微笑みが壊れるとも知らず。
56 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:13:08.01 ID:CsrGaD2oO
(*゚ー゚)「あ、と……今はお客様やったね……おこんにちは、内藤さま」
( ^ω^)「おっおっ、久しぶりだお、しぃ」
(*゚ー゚)「何年振りでしょうね、大きくなられまして」
( ^ω^)「縦に? 横に?」
(*^ー^)「うふふっ、どちらを云うてもお怒りにならはる癖に」
懐かしい顔に、しぃは愛らしい顔で愛らしい笑みを作る。
ころころと小手鞠の様に笑うしぃからは、何の警戒心も伺えぬ。
三味線をそっと床に置き、坊っちゃんの側までやって来る。
記憶の中よりずうっと大きくなった頭を撫でようと手を伸ばした時、
しぃの目に白い包帯が映り、ぴくんと指先を跳ねた。
そのまま頭を撫でる事なく下ろされた手を己の膝に乗せ、
坊っちゃんの投げ出された右足から目を反らし、取り繕う様に、にっこり。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:13:41.50 ID:FCUnjikSO
支援しえーん
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:13:58.99 ID:RZytMxnMO
しえんしえん
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:14:02.89 ID:8JCKZGN9O
支援でもしようかね
60 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:15:08.44 ID:CsrGaD2oO
少しの間、他愛もない会話を二人で交わす。
そこには男と女と云う色は無く、母と子に近い穏やかな物であった。
しかし二人で話している間も、しぃはちらちらと坊っちゃんの脚を見て
何かを云おうとしては口を閉じ、触れようと手を伸ばしては引っ込める。
その時のしぃは、ひどく悲しそうな、申し訳なさそうな目をしており。
しぃの眼差しの理由を知る坊っちゃんもまた、
どこか悲しそうな顔を、ふやけた笑顔の端に乗せていた。
妖怪として生きづらくなって居たしぃ達さんきょうだいは、
坊っちゃんのじい様に云われて町へ来て、人として生きる様になった。
そこからがらりと変わった生活に、しぃ達は幸せだった。
坊っちゃんはその恩人の孫で、可愛がりたくてしようがなくて。
けれどその理由は孫だからと云うだけではなく、情が移ってしまったと云う事もあって。
しぃからすれば、坊っちゃんは我が子の様に可愛い子。
その子の脚に、覚えのある傷がある。
61 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:17:16.38 ID:CsrGaD2oO
うっすら血の滲む包帯から目を反らして笑うしぃに、坊っちゃんが口を開く。
( ^ω^)「おっおっ、ところでしぃ」
(*゚ー゚)「はいな?」
( ^ω^)「しぃ、悲しいかお」
(*゚ー゚)「へ、?」
その表情は先程と変わらぬふやけた笑顔で、声の調子も変わりはしない。
それなのに、その口からまろびでた言葉に、しぃはびくりと肩を跳ねさせた。
( ^ω^)「悲しいかお、しぃ」
(*゚ー゚)「……ややわぁ内藤さま、何のお話です?」
( ^ω^)「悲しいのかお、しぃ」
(*゚−゚)「……」
( ^ω^)「悲しいから、そうやって笑うのかお、しぃ」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:18:39.47 ID:laux/pMz0
悲しいなぁしえん
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:18:40.75 ID:62SY1UrF0
いいねぇ支援
64 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:19:06.16 ID:CsrGaD2oO
(*゚−゚)「……内藤さま、」
( ^ω^)「人を斬るのが、そんなに悲しいのかお」
変わらぬ調子で淡々と、しぃに問い掛ける言葉を送る坊っちゃん。
しかしその言葉に問う様子はなく、どこか、現実を押し付ける様な力を感じた。
坊っちゃんが言葉を紡げば紡ぐほど、しぃは顔色を無くして俯く。
膝に乗せた手は拳を握り、ふるふると小刻みに震え始めて。
(* − )「…………どうして、内藤さま……」
( ^ω^)「人とあやかしの狭間は悲しいかお、しぃ」
(* − )「……どうして、…………」
( ^ω^)「僕の脚を見るのが、悲しいのかお」
(* − )「どうして…………ぎこ様と同じ事を……仰有いますん……」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:20:16.23 ID:RZytMxnMO
支援……
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:20:34.52 ID:FCUnjikSO
切ないなあ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:21:51.38 ID:QB9IMoOlO
しえ
68 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:22:16.44 ID:CsrGaD2oO
ぽつ、と呟くしぃ。
何度も小さく「どうして」と繰り返す小さな肩は、もはや見て分かる程に震えており。
俯いて縮こまるしぃを、坊っちゃんは真っ直ぐに見つめる。
育ての親とも言える女の、ひどく弱々しい肩を。
( ^ω^)「……」
(* − )「私には……何の、事だか……」
( ^ω^)「じゃあ、しぃ、僕の脚を見ろお、真っ直ぐに」
(* − )「っ……」
( ^ω^)「見れないんだお、罪悪感で見れないんだお、それは、しぃが」
(* − )「存じません、…………存じません、わ……」
( ^ω^)「なら、どうして顔を背けるんだお」
(* − )「…………」
( ^ω^)「…………」
69 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:24:08.36 ID:CsrGaD2oO
ふるふる震えるしぃが、吐息と共にか細く言葉を吐き出す。
少し掠れたその声に、目元にきらりと浮かぶ涙に、坊っちゃんは少し、悲しくなった。
(* − )「内藤さまも…………仰有いますん……?」
( ^ω^)「……しぃ、」
_,
(*;−;)「っ内藤さまも仰有いますんっ? 私に、あやかしを捨てろと仰有いますのっ!?」
ばっと顔を上げたしぃが、言葉を強くして言い放つ。
浮かべていた涙がぼろりと溢れ、白い頬の曲線を滑らかに流れ落ちた。
ほろほろと涙を流して言ったしぃは、涙を拭う事もせず、坊っちゃんを見る。
その眼差しは坊っちゃんを責める物ではなく、どこか、助けを求めている様で。
( ^ω^)「違う、違うお、しぃ」
_,
(*;−;)「私だって誰かを傷付けたくはあらしませんっ! でも、でもっ!」
( ^ω^)「しぃ、」
_,
(*;−;)「人の中に居るのは素晴らしいですっ、幸せですっ!
この様なけだものを人として、優しく迎え入れて下さいましたんやものっ!!」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:25:01.61 ID:RZytMxnMO
しえ……
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:25:46.00 ID:laux/pMz0
しぃ…
72 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:26:16.69 ID:CsrGaD2oO
顔を歪め、甲高く怒鳴る様に吐き出すしぃ。
その顔が、声がたまらなく悲しくて、坊っちゃんは己の胸をぎゅうと押した。
( ^ω^)「お……」
_,
(*;−;)「幸せですわ、とてもとてもっ! でも、でも私は鎌鼬やのですっ!!
私は人である前に、妖怪やのですっ! 鎌鼬やのですっ!!」
( ^ω^)「…………」
_,
(*;−;)「これもさだめと諦めようとはしましたっ! でも諦められませんのっ!!
だって、私は人ではないのです! あやかしでしかないのですぅっ!!」
それは最早、悲鳴とも云える言葉で。
はらはら、ほろほろ、可愛らしい顔を涙に濡らし。
箍の壊れた入れ物の様に、しぃの中に溜まっていた物が溢れ、止まりはせず。
ああ、ぎこも云っていたのか。
止める様にと、きっと優しく、云ったのだろう。
それがしぃを追い詰める物だと分かっていても。
云わざるをえなかったのだろう。
人の為より、しぃの為に。
73 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:28:40.73 ID:CsrGaD2oO
崩れ落ちそうな、しぃのなかみ。
その肩を抱いてやる事も出来ず、坊っちゃんは僅かに俯き、声を吐く。
何の気休めにもならないと理解していても云うしかなく。
何もせずには居られなく。
( ^ω^)「…………妖怪が妖怪である事は……僕も望む事だお」
_,
(*;−;)「私が私を保つには、あやかしを保つには……
……ッこの身に流れる血に従うしかないのですぅっ!!」
( ^ω^)「だから、……だから、斬るんだお……分かってる、お……」
_,
(*;−;)「苦しいのです、悲しいのですっ! 私の利己の為に、
私を受け入れて下さった方々を、傷付けとるんですものぉっ!!」
わんわん泣きじゃくる事が出来るほど、子供ではない。
しょうがないと全てを割りきれるほど、大人でもなく。
人より長く生きていようがいまいが、しぃはまだまだ小娘の域から出ておらず。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:28:47.25 ID:8JCKZGN9O
しえん
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:29:24.37 ID:62SY1UrF0
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:29:25.20 ID:spTtQQkCO
しえんぬ
77 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:30:08.00 ID:CsrGaD2oO
( ^ω^)「……泣かないでくれお、しぃ…………」
_,
(*;−;)「どうすれば良いのですかっ!? 内藤さま、私はどうすればよろしいのっ!?
我が儘だと分かっていても、私には何も捨てられへんのですっ!!」
( ^ω^)「しぃ……」
それを真っ向から受け止める坊っちゃんも、
気のきいた事を云えるほど、長くは生きていなくて。
若造である自分の手をそっと見て、眉尻を下げてはしぃを見る。
そうして相槌を打って、悲しそうに俯いて。
ああ、何も出来やしない。
鎌鼬が泣いている。
育ての親が泣いている。
愛する妖怪が泣いている。
愛する人が泣いている。
痛い、痛い、胸が痛い。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:31:06.22 ID:FCUnjikSO
支援支援
79 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:32:28.44 ID:CsrGaD2oO
_,
(*;−;)「己の存在を否定する事も、これ以上誰かを傷付ける事もっ!
私にはもう何も選ばれへん、妹にまで見捨てられてっ!!」
甲高いその悲鳴に、坊っちゃんが、ん? と首を傾げた。
今、しぃは何と云ったか。
妹に、
( ^ω^)「お……妹に、見捨て……?」
やっと問う言葉を口にした坊っちゃん。
その言葉に、しぃははっとした顔をして、ついに崩れ落ちてしまわれた。
投げ出された坊っちゃんの脚、その腿の辺りに顔を伏せて
生成りの着物をきゅうと握り締め、震えながら息を吐く。
ああ、聞いてはいけなかったのか。
しぃの髪を撫で、己の言葉を悔やむと同時に、しぃが声をひねり出した。
_,
(*;−;)「…………でぃちゃん、でぃちゃん……私を見捨てないで……っ
つうちゃんと一緒に、一緒に……居てほしいのにっ……」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:33:09.43 ID:RZytMxnMO
しえ
81 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:34:23.60 ID:CsrGaD2oO
ひっくひっく、静かにしゃくりあげる鎌鼬。
静かになった座敷の中は、ひどく悲しい空間になっていて。
坊っちゃんは、しぃの跳ねる背中に心底涙を溢したくなった。
けれども僅かに滲んだそれを、ぐ、と飲み込み、細く息を吐く。
よしよし、よしよし。
ただ優しく頭を撫でて背中を撫でて。
大した言葉はかけられなくとも、何かをしたくて。
( ^ω^)「しぃ…………もう泣かないでくれお、しぃ……」
そう囁いた瞬間に、首筋に当たるひやりとした何か。
「……オィあんたぁ、何しとるんや……?」
82 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:36:28.40 ID:CsrGaD2oO
開け放たれた襖から、流れ込むは夏の風。
どこかこもった風の匂いに、
首に当たる冷たさに、坊っちゃんは冷たい汗を流して。
(;^ω^)「お……?」
(* ∀ )「何しとるんやてよ……聞いてんのよぉ……」
(;^ω^)「あ……お、お前さん……つう、かお……?」
(* ∀ )「俺の問いに答えへんのなら……姉さまを泣かせるんなら……」
(;^ω^)「お、つ、つう?」
(#*゚∀゚)「ぶっち殺してやらぁよぉおおおおおッ!!!!」
蹴り上げられた背中に、しぃを庇いながら坊っちゃんが畳の上を転がった。
その視線の先には、赤い目をした鎌鼬。
白い腕から生える銀の刃が、ぎらりときらめいていた。
『残 八十七匹』
おわり。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:38:00.69 ID:laux/pMz0
乙!!!
ココ最近の夜中はこの話が楽しみで仕方ない
84 :
◆XCE/Wako2nqi :2009/08/30(日) 03:38:15.06 ID:CsrGaD2oO
支援ありがとうございました。
まだ続くよ鎌鼬。長いぜ。
それでは、これにて失礼!
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:38:21.75 ID:62SY1UrF0
乙。この語り口いいねぇ。
ほのぼの&鬱展開に定評のある
>>1、次回も期待してるぜ。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:40:16.28 ID:QB9IMoOlO
乙乙
次も待ってるよ!
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:40:17.61 ID:RZytMxnMO
乙!
作者に●お試し券の為の狐ポ支援がしたいよ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 03:41:06.76 ID:FCUnjikSO
乙
プロローグのときから好きだ
乙ー
すげぇなぁこんな風に書けるなんて羨ましいこと山の如しだ
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 04:03:48.98 ID:8JCKZGN9O
乙
すげぇおもしろかった
続きも期待してる
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 04:29:43.38 ID:ZG65hDLx0
おつだよ!
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/30(日) 04:41:59.92 ID:0YZqO7R+O
乙
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
読むほ