( ・∀・)定期テストのようです

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1代理
おまかせで
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:24:43.60 ID:kl/u3Buf0
3get
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:25:10.11 ID:2gk/zDqpO
まとめは文丸さんです。

http://p09.fileseek.net/cgi-bin/p.cgi?uR=boonbunmaru.web.fc2.com%2Frensai%2Ftest%2Ftest.htm&sZ=5


あと訂正。
3話での、後半に出てくる「東の森」は全て「西の森」に脳内変換してくださったら嬉しいです。
すみません。
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:25:51.57 ID:yfzRCWhuO
志村ー重複重複
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:26:21.26 ID:2gk/zDqpO
( ・∀・)「じゃあ、手分けしよう」

10年ほども付き合いのあるこの西の森で迷うことはまずないだろう。
そう考えた僕は、ミセリ、トソン、渡辺さんの3人にそう告げた。

ミセ*゚ー゚)リ「そうだね。そっちの方が手っ取り早いし」

(゚、゚トソン「分かれるのは構いませんが、いつどこで合流する気ですか?」

そうだな、……とりあえず。

( ・∀・)「太陽が真上に来る頃、でいいんじゃない?」

(゚、゚トソン「アバウトですね」

それは仕方がない。
時計のない僕たちが時間を知るには、太陽の位置から判断するしかないのだから。

( ・∀・)「場所は、まあ入り口の」

僕は隣に立つ巨木を、とん、と叩いた。

( ・∀・)「この木の辺りで」
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:28:04.39 ID:2gk/zDqpO
ミセ*゚ー゚)リ「時間までに見つけたらどうすればいい?」

言われ、どうしようかと思案していると、今度は渡辺さんが口を開く。

从'ー'从「大声で叫べばいいんじゃないかな〜」

大声……か……。

( ・∀・)「んー……」

ミセ*゚ー゚)リ「………」

(゚、゚トソン「………」

いや、まあ……うん。
別にいいか。

( ・∀・)「……じゃあ、それで」

从'ー'从「えへへ〜」

トソンが、大丈夫なんですかと言いたげな目でこちらを見ている。
ま、なんとかなるでしょ。


*4話 2日目午後@
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:28:47.54 ID:2gk/zDqpO
僕の隣をてくてくと歩いているのはミセリ。
もともとは4人バラバラで行動する予定だったのが、渡辺さん一人では危なっかしいからという理由で二手に分かれることになったのだ。
別に三手に分かれてもよかっただろうに、合流のことを考えるとこちらの方が楽だと判断した。

ミセ*゚ー゚)リ「ふんふんふふーん♪」

上機嫌だなあ。
腐葉土でできた足下を注意して見つつ、僕はミセリの鼻歌を黙って聴いていた。
なんだろう、どこかで聴いたことのある曲。
と、そこまで考え、そういえば何かのCMに使われていたものだということを思い出す。
確か、歌手名は。

( ・∀・)「sadakoだっけ」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ、知ってるの?」

ミセリがこちらを向いて言った。

( ・∀・)「まあ」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:30:20.67 ID:2gk/zDqpO
僕は記憶にあるsadakoの姿を思い浮かべる。
確か、綺麗な長い黒髪を持つミステリアスな雰囲気の女性だ。
顔立ちもまあまあ整っていて……

ミセ*゚ー゚)リ「従姉なんだよ、貞子お姉ちゃん」

……って。

( ;・∀・)「ええ?」

ミセリは続ける。

ミセ*゚ー゚)リ「美人で優しくて、私の憧れの人」

おお…。
言われてみれば、どことなくミセリに似てる気がしないでもないような。
……ドクオが知ったら泣いて喜ぶような事実だ。
そもそも僕がsadakoのことを知っていたのも、彼が彼女の熱烈なファンであるからで。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:31:30.02 ID:2gk/zDqpO
そんな話の最中、

ミセ*゚ー゚)リ「………」

ミセリが突然立ち止まる。
そして、どうしたの、と聞こうとして僕が口を開いた直後のことだ。

彼女は後ろを振り返り、グローブをつけた右手を勢いよく振り抜いた。

( ・∀・)「………!」

ぴぃん、という糸の張る音が耳に届く。
そして、先程よりも静まりかえった森の中。

( ・∀・)「……ああ」

ミセリの5指から伸びた糸の行方を目で追い、そこで初めて僕は状況を理解した。

(#゚;;-゚)

糸によって一本の木に巻き付けられた女性徒の姿。
今にも泣きそうな目でこちらを見つめていた。
……恐らく、僕らを尾行してきたのだろう。
と、しかしながら、どこか違和感を感じる。

ミセ*゚ー゚)リ「傷が………」

それだ、ミセリの言う通りだ。
彼女の顔には、それほど酷いものではないものの、真新しい多くの傷がつけられていた。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:33:30.75 ID:2gk/zDqpO
(#゚;;-゚)「……私は…」

彼女が口を開く。

(#゚;;-゚)「もう……生徒証はとられています。でも、お願いしたいことが……あって………」

もともとのものなのだろうか、か細い声。彼女の言葉を聞き、僕とミセリは顔を見合わせた。

ミセリが再び手を振るうと、女性徒を締め付けていた糸が緩み、ほどけて、木から解放された彼女はほっとしたような表情を見せた。

ミセ*゚ー゚)リ「手荒な真似してごめんね」

(#゚;;-゚)「いえ」

それで、だ。

( ・∀・)「お願い……って?」

(#゚;;-゚)「……えっと、友達を助けて欲しいんです」

( ;・∀・)「へ?」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:34:58.59 ID:2gk/zDqpO
あくまでも、これは定期テストだ。
それなのにどうして、僕らがわざわざ知らない人を助けなければならないのか。

(;#゚;;-゚)「え、あ、違うんです……相手が悪くって……」

僕の考えを読み取ったのか、焦ったように訂正する彼女。
しかしあまり要領を得ない。
まあ一応、先に軽い個人情報でも聞いておくか。

( ・∀・)「あー…、名前と学年は?」

(#゚;;-゚)「でぃ、です。10年生で……えっと、姉が11年生にいますです。先輩たちとは、同級生だと……」

名前はでぃ、姉が11年生。
……なるほど。

ミセ*゚ー゚)リ「もしかして、しぃの妹!?」

驚くミセリに向かって、彼女……でぃは頷いた。
しぃに妹がいるということは知っていた。その妹の名前が、でぃだということも。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:36:15.11 ID:2gk/zDqpO
ただ、会ったのはこれが初めてで、それはミセリも同じらしかった。

(#゚;;-゚)「お姉ちゃんが、よくミセリ先輩の話をしていて……良い人だな、と。だから、…………お願いを聞いてくれるかもしれないって、思ったんです」

ミセ*゚ー゚)リ「へー、なんか嬉しいなあ。……よし、このミセリ先輩が何でも聞いてあげようじゃないか!」

って、おいおいおい。
ちょっと待て。

( ;・∀・)「………」

渡辺さんのことは忘れてないだろうな。
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:37:50.57 ID:2gk/zDqpO
(#゚;;-゚)「……私が負けた相手が、次に私の友達を狙ってるんです。でも、その相手っていうのが……」

( ・∀・)「その傷をつけた人だ、と?」

でぃは首を縦に振り、続ける。

(#゚;;-゚)「降参したのに攻撃をやめてくれなくて、……上手く逃げ出せましたけど」

しかも顔に、か。
それは確かにきつい。
大抵の生徒は点数を稼ぎたいだけなので、生徒証を奪えればそれでいいと考える。
が、暴力をふるうことを好む生徒も稀にいるのだ。

(#゚;;-゚)「お願いします…!あいつと戦って勝ってください!」

( ;・∀・)「んー、その相手っていうのは誰?」

(#゚;;-゚)「名前は分かりませんけど……、12年生の、女の人だと思います…」

げ。
年上じゃないか。
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:39:30.30 ID:2gk/zDqpO
ミセ*゚ー゚)リ「まあまあ、やってみようよ!」

渋る様子の僕に対し、ミセリは能天気そうに声をかけた。
しかし、と僕は思う。
2日目にリタイアとか、洒落にならない。

(#゚;;-゚)「駄目……ですか……?」

( ;・∀・)「うっ…」

目を若干潤ませながらこちらを見てくるでぃ。
何故かとてつもなく罪悪感を感じてしまう……ああもう、しょうがないな。
ミセリもやる気みたいだし。

( ;ー∀ー)「分かった、やるよ」

ミセ*゚ー゚)リ「やった!」

(#゚;;-゚)「あ…、ありがとうございます…!」
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:41:30.32 ID:2gk/zDqpO
それにしても、だ。

( ・∀・)「ないね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、ないね」

(#゚;;-゚)「?」

渡辺さんの生徒証が見つからない。
見つかる気配すらない。
もう誰かに拾われちゃってるんじゃないか、という考えが頭をよぎる。
いや。
駄目だ駄目だ。
引き受けたからには、なんとかしてやりたいという思いがある。
それはでぃの件に関しても同じことであって……。

( ・∀・)「その友達ってどんな子?」

(#゚;;-゚)「あー……っと、」

でぃは空を見て、友達の特徴を述べる。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:42:23.71 ID:2gk/zDqpO
(#゚;;-゚)「……背が低くて小柄で、言葉遣いが独特な子で、」

と、しかしここで、ちょっと待って、とミセリが制止した。

ミセ*゚ー゚)リ「小柄って、何センチくらい!?」

(#゚;;-゚)「……?150無いくらいです」

ミセ*゚ー゚)リ「!」

……ミセリの頭上で、豆電球が光るのが見えた気がする。

ミセ*^ー^)リ「えへへ」

( ;・∀・)「……」

恐らくだが、自分より背の低い子がいることが嬉しいようだ。
すごくにやけている。

( ・∀・)「まあ、大体分かったよ。小柄で変わった言葉遣いをする人、ね」

(#゚;;-゚)「はいです」
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:44:25.95 ID:2gk/zDqpO
どのくらいの時間、探し回っただろうか。
気がつけばもう太陽は真上にまでやってきて、強い日差しを放っていた。

ミセ;゚ー゚)リ「結局見つからなかった……」

( ・∀・)「しょうがないよ」

できるだけのことはしたさ。
しかし、とにもかくにも時間切れ。
一度トソンたちと合流して話し合うべきだろう。

それだけ言葉を交わすと突然踵を返し、森の入り口付近へと歩き出した僕とミセリを見て、でぃが不安そうな声をあげた。

(;#゚;;-゚)「……あのっ、どこへ行くんですか……?私の友達は………」

ミセ*゚ー゚)リ「一度、戻って別の友達と合流するの。そもそも、私たちがここに来たのは落とした生徒証を探すためだから……」

(#゚;;-゚)「そうなんですか……」
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:45:43.41 ID:2gk/zDqpO
落ち着かない様子で答えるでぃ。
と、再び彼女は口を開いた。

(#゚;;-゚)「……私、一人で友達を探してみます。もし私が、私が負けた相手を見つけたら、その時は………また力を貸してもらえませんか……?」

( ・∀・)「ああ。もともとその予定だったしね」

申し訳なさそうに言葉を紡ぐ彼女に、僕は返した。

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ入り口辺りにいるから、見つけたら知らせて?」

ミセリが言う。
でぃは嬉しそうにミセリを見て、先程よりも力強い声で、はい、と答えたのだった。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:47:06.08 ID:2gk/zDqpO
(゚、゚トソン「遅い」

開口一番、トソンが言った。
でぃと別れた僕たちは、そのまま無事にトソンたちと合流することができた。
あー、しかしここでひとつ疑問が。

( ・∀・)「そっちの人は……?」

从 ゚∀从

小柄で赤毛の、かわいいよりもかっこいいの方が似合うような生徒が一人。
誰だろうか。

从*'ー'从「えへへ!私の生徒証を拾ってくれた恩人さんなの」

ん。
今、なんと。

ミセ*゚ー゚)リ「見つかったの!?」

从*'ー'从「うん!ミセテヨちゃんたちもありがとう〜」

ミセ;゚ー゚)リ「う……うん………」

( ・∀・)「………くくっ」

ミセ#゚ー゚)リ「笑うな!」

まあ、見つかったのならよかった。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:47:57.87 ID:dKnUoup5O
支援
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:50:11.12 ID:2gk/zDqpO
って……、おい。

( ;・∀・)「なんで合図くれなかったの?」

大声で名前を呼ぶ、と決めていただろう。
僕たちは見つかったことも知らず、森の中をひたすら探し続けていたというのに。

(゚、゚トソン「わざわざ敵を寄せ付けるようなことは私にはできません」

( ;・∀・)「……」

こんにゃろう。

( ・∀・)「えっと……」

从 ゚∀从「ん?」

僕はその見慣れぬ女性徒に声をかける。
背は低い……先輩か、後輩か。
見分けがつかないし、まあとりあえず敬語で。

( ・∀・)「拾ってくれたんですか?ありがとうございます」

从 ゚∀从「いや、構わねえよ。あとタメ語でいいぜ」

言い、くっくっ、と笑う彼女。

( ・∀・)「あ、うん」
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:51:27.23 ID:2gk/zDqpO
随分と女の子らしからぬ言葉遣いだな、と思う。
しかしそれと同時に、頭の端に何かがひっかかった。


――背が低くて、独特な言葉遣い。


……もしや。

( ・∀・)「ねえ」

ミセ*゚ー゚)リ「ん?」

呼びかけると、ミセリがこちらを向いた。

( ・∀・)「もしかして、この子がでぃの友達じゃないかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ!言われてみれば……」

ミセリは何かを確認するように何度か頷き、それから僕に同意の意を示した。

ミセ*゚ー゚)リ「身長、私よりも小さいしね」

よし。
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:52:33.14 ID:2gk/zDqpO
互いに確かめあった僕とミセリ。
僕は彼女に向かって口を開いた。

( ・∀・)「もしかして、でぃの友達?」

从 ゚∀从「でぃ?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。でぃ!」

从 ゚∀从

( ・∀・)

少しだけ沈黙し、

从;゚∀从「あー、あいつ大丈夫だった?」

不安げに彼女はそう答えた。
恐らく、敵に襲われたでぃが顔を傷つけられたことを知っているのだろう。
この彼女の様子から見て、でぃの例友達であることは確実だと思っていいかもしれない。
特徴も見事に当てはまっている。

ミセ*゚ー゚)リ「傷は見た目ほどじゃないよ!えっと……」

从 ゚∀从「ハイン、な」
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:54:46.73 ID:dKnUoup5O
支援
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:56:16.77 ID:2gk/zDqpO
ミセ*゚ー゚)リ「ハインこそ、大丈夫?」

从;゚∀从「へ?いや、全然大丈夫だけど」

ミセ*゚ー゚)リ「本当?よかった」

確かに外傷はなく、元気そうだ。
さて、後はでぃに合流するだけなわけだ。
が。
ここで待ってるしかないんだよね。

从 ゚∀从「腹減ったなあ」

ハインがお腹を軽く抑えながら呟く。
それに対し、渡辺さんが口を開いた。

从'ー'从「さっきトソンちゃんの食べてたじゃない〜」

从 ゚∀从「あれじゃ足りねー」
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:57:28.58 ID:2gk/zDqpO
( ・∀・)「?」

僕はトソンの顔を見る。
相変わらず無表情のまま、彼女は僕の疑問に対する答えを述べた。

(゚、゚トソン「行き倒れていたので、私の朝食分をあげたんです」

ああ、あれか。
それよりも、

( ;・∀・)「行き倒れ?」

なんだそれは。

(゚、゚トソン「昨日の昼から何も食べていなかったそうですよ」

( ;・∀・)「なんで……」

从 ゚∀从「ああ」

ハインは自ら口を挟み、続ける。

从 ゚∀从「取りに行くのがめんどくさかったんだよ」
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:58:24.32 ID:2gk/zDqpO
( ;・∀・)「……」

……絶句。
自分の食料を確保するのに、面倒くさいはないだろう。
どれだけ大雑把なんだよ。
彼女は呆気にとられた僕の方を見て、にぃ、と口の片端をつり上げて笑った。

从 ゚∀从「食うことよりも、楽しいことがあるからな」

ミセ*゚ー゚)リ「楽しいこと?何?」

ハインの言葉を聞き、目を爛々と輝かせたミセリが問う。

从 ゚∀从「秘密だ」

ミセ*゚A゚)リ「えー!」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/28(金) 23:59:37.35 ID:2gk/zDqpO
( ・∀・)「!」

ふと気配を感じ、僕は辺りを見回した。

(#゚;;-゚)

(゚A゚* )

見たことのない女の子と一緒に、でぃがこちらへ向かって手招きをしている。
なんだろうか。
しかし、遠くの木の後ろに隠れて僕を手で呼び寄せようとするくらいだから、何か他のみんなに知られたくない事情でもあるのだろう。

今のところ、ミセリはハインと、トソンは渡辺さんと話に夢中になっている。
この場を離れても注目されないだろうと思い、僕はでぃの元へと向かった。

( ・∀・)「何?」

(;#゚;;-゚)「なんで、あの人が……!」

心底驚いたようなそぶりで、ハインを指差すでぃ。
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:00:31.33 ID:cjMp4PNoO
(゚A゚* )「でぃ、この人がモララー先輩なん?」

(#゚;;-゚)「うん」

随分と変わった口調だ。
ちっちゃくて可愛いし………って、あれ?

( ;・∀・)「君、もしかしてでぃの例の友達?」

(゚A゚* )「例かどうかは分からへんけど、でぃとは友達です」

ああ、どうやら僕はとんでもない勘違いをしていたのかもしれない。
そして。

( ;・∀・)「じゃあ、ハインは……」

(#゚;;-゚)「……あの人です。のーちゃんを狙ってるのは」


なんてこったい。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:02:17.70 ID:cjMp4PNoO
しかし、だ。
渡辺さんの生徒証を拾ってくれたのもまた事実。
どうやって戦いに持ち込めばいいか、皆目見当もつかない。
となると、あっちから仕掛けてくるのを待つしかないか。

( ;ー∀ー)「うーん…」

そんなことを悶々と考えている時だった。

ミセ*゚ー゚)リ「もら?どうしたの?」

( ;・∀・)「わ、いたの?」

名前を呼ばれ、振り向くとミセリが立っていた。
一人で来たのだろうかと思い、状況を説明しようと口を開ける――


从 ゚∀从「ん?お前、なんでまだいんの?」


――しかし、僕が言葉を発する前に、ミセリの背後からハインが姿を現した。
彼女はでぃに向かってそう声をかける。
ミセリがつれてきたのか、はたまたミセリについてきたのか。
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:03:33.63 ID:cjMp4PNoO
まあ、どちらでもそう変わりはないだろう。

(#゚;;-゚)「……あ、………」

出そうとしても声が出ないのか、口をぱくぱくさせるだけのでぃを見てハインが笑う。
次いで、ハインはでぃの隣にいたのーに目を向けた。

从 ゚∀从「みぃつけた」

(゚A゚* )「……っ」

のーは1歩2歩、後ずさる。
それに対してハインはゆっくりと彼女との距離をつめていく。

( ・∀・)ザッ

そんな状況の中、僕はその2人の間に割って入った。

从 ゚∀从「………お前……」

( ・∀・)「させない」

先程までの笑顔はどこへやら、ハインは鋭い目で僕を睨みつける。
そういえば、12年生なんだっけ。
……小さいけど。
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:05:05.43 ID:cjMp4PNoO
从 ゚∀从「まあ、いいさ」

制服の胸の部分に手を入れ、彼女は武器を取り出す。
3つの部分に分かれているそれを組み合わせ、完成したのは、

ミセ*゚ー゚)リ「懐かしっ!!」

アルトリコーダー。
一般の小学校で使うソプラノリコーダーを一回り大きくした縦笛である。
僕らの学園では、7年生から9年生までが使う楽器だ。
ハインが続けて言う。

从 ゚∀从「人数が多いのも、またやりがいがあるもんなあ」

(゚A゚* )「……」

僕の後ろに立っているのーが微かに震えたのが分かった。
彼女とは2年、僕とは1年しか離れていないはずのハインだが、醸し出す雰囲気が全く違う。
正直、恐怖してしまうほどに。


从 ゚∀从ダッ


相手が動いた。
軽く前に踏み込み、鋭い回し蹴りを繰り出すハイン。
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:06:43.03 ID:cjMp4PNoO
素早い攻撃を間一髪のところで身体を反らして避け、僕はのーに下がっているように合図する。

从 ゚∀从「っらぁ!」

( ・∀・)「……っ」

回った勢いを利用した、リコーダーを用いての第二波。
僕は先程までのーがいた辺りまで下がって交わそうとする。


――同時に、ざ、という落ち葉を力強く踏む音。


恐らく、さっきの回転とは逆の向き、
風を切り、リコーダーを持った方の腕を折り返し、僕の方へと跳んだのだろう。
目の前には、ハインの肘が迫っていた。
避けることが、できない。
そう判断した僕は、咄嗟に顔前で両腕でクロスさせて防御する。
多少のダメージを覚悟した。
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:08:09.30 ID:cjMp4PNoO
しかし、攻撃は、来ない。
ハインの腕は、僕の目と鼻の先で停止していた。

从 ゚∀从「なっ…!?」

ハインが驚きの声をあげる。
そして、彼女のその二の腕に絡み付く数本の糸。

ミセ*゚ー゚)リ「――……っ」

ミセリは攻撃に間に合ったことに一瞬安堵した様子を見せたが、すぐに表情を引き締めた。
右腕をぎりぎりと締め付ける糸にハインは小さく舌打ちすると、左足で僕の下腹あたりに一発、
自身のバランスを崩さぬ程度の蹴りをかます。

そしてその反動を利用し、ミセリのいる方へと跳躍した。
糸の、ミセリの右手に戻ろうとする力が相手に有利に働く。

ミセ;゚ー゚)リ「うあっ!」

ハインが自分の方に向かってくるとは考えていなかったのだろう。
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:09:09.87 ID:cjMp4PNoO
焦ったように声を出す彼女。
しかし、僕の身体は先程のハインの蹴りのせいで均衡を崩している。

僕が体勢を立て直した頃には、もうハインはミセリのすぐ隣にまで移動していた。
ミセリは慌てて糸をグローブの内に戻し、ハインの腕を解放する。
しかしそれを視認したハインは、すぐさまリコーダーを彼女に向けて振りかぶった。

ミセ;ーA゚)リ「………っ!!!」

鈍い音と共に、ミセリの左肩にそれがヒットする―――
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:11:13.41 ID:cjMp4PNoO
( ;・∀・)「ミセリ!!」

僕は、思わず名前を叫んだ。
急いで彼女の傍へ駆けつけようとするが、ハインがリコーダーの先を僕に向け、僕の動きを牽制する。
その状態のまま、ハインはその口元を歪めて心底楽しそうな顔をし、
肩を右腕で押さえてうずくまるミセリを見下ろした。

从 ゚∀从「食うことよりも楽しいことの話をしたよな」

ミセリは歯噛みし、彼女を見上げる。

从 ゚∀从「あははははは!!その顔だよ!!!」

狂ったように笑い出す彼女。
怖い。恐い。
僕は突き付けられたアルトリコーダー、そしてその異様なハインの雰囲気に飲み込まれ、その場を動くことができない。

やがて彼女はぴたりとその笑いを止め、再び口を開いた。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:13:47.01 ID:uIQ6Zt0LO
支援しようか
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:15:59.24 ID:cjMp4PNoO
从 ゚∀从「楽しいねえ。やっぱり、虐めるなら野郎よりは女に限る」

ミセ; ― )リ「うっ……」

ハインは右足を使ってミセリを軽く蹴飛ばす。

从 ゚∀从「俺は、弱者の悔しそうな顔が大好きだ」

そして仰向けになったところで、彼女のお腹をその足で踏みつけた。

ミセ; д )リ「……ぐっ、ごほっ、けほっ……。でも、でぃのこと……心配してたんじゃ……!」

息も絶え絶えに、ミセリがハインに言う。
しかし、彼女はその言葉を一蹴した。

从 ゚∀从「心配?……ああ、したよ!あんまり大怪我させたら、教師どもにバレるだろ!」

また、踏む。

ミセ; ― )リ「ぐぅ……っ…」
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:16:57.50 ID:cjMp4PNoO

( ; ∀ )

……くそ、やめろ、やめろ。

握り締めた拳に汗が滲む。

目の前で友達が苦しんでいるというのに、僕はなんでただ見ているだけなんだ。
怖い、だと?
笑わせるな、笑わせるな。
ミセリの方が、その何倍も怖いはずだ。

動け、動けと、僕は何度も自分に言い聞かせる。
耳障りな笑い声と、心底苦しそうな呻き声が鼓膜を震わせた。

いつも余裕ぶってるくせに、肝心な時に体が動かないなんて。
これが過信というやつか。

ふと、でぃとのーが視界の端に映る。
その表情はよく分からないが、怯えているのは間違いなかった。
ハインの足が、その力を強める。

ミセ; ― )リ「……う…っ」
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:18:34.88 ID:cjMp4PNoO
このままではいけないと、僕は一度目を閉じ、気持ちを落ち着けようと試みる。

( ;ー∀ー)

ふう、と深く息を吐く。

少しだけ恐怖が薄らぐ。

拳を、開く。

足が、ぴくりと反応したのが分かった。


動く―――
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:20:07.95 ID:cjMp4PNoO
( ・∀・)「……やめろ」

从 ゚∀从「はあ?」

ミセリを足蹴にしたまま、ハインがこちらを見る。
僕は目の前のリコーダーの柄を手で掴むと、ぐ、と力を入れた。

从 ゚∀从「はん、かっこつけてんじゃねえよ」

僕の手を振り払おうと、彼女はそれを右斜め上に振り抜く。
次いで、左拳を僕の顔に向けて繰り出した。

が、それとほぼ同時に僕は懐から鉛筆を数本取り出し、彼女に勢いよく飛ばす。
飛び道具が出てくるなど予想だにしなかったハインは、ミセリから足をどけ、後ろに跳んだ―――
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:21:20.14 ID:cjMp4PNoO
从;゚∀从「……あ!?」


―――のだが、思わぬアクシデントに、ハインはそのバランスを崩した。

( ;・∀・)「ミセリ……!」

ミセ; ー )リ「今!!」

ミセリに足首を掴まれ、後ろに倒れそうになるハイン。
生憎、そのせいで体を反らすこととなった彼女は鉛筆には当たらなかったが、

( ・∀・)「――…っ」

ハインとの距離をつめた僕は利き手の拳を堅く握り締め、その一点のみに力を集中させる。


そして、彼女の頬を力一杯殴り飛ばしたのだった。


*4話 終わり
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:22:46.05 ID:cjMp4PNoO
これで投下終わりです。

支援をくださった方々含め見てくださった方々、まとめ様、ありがとうございました!
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/29(土) 00:30:41.34 ID:uIQ6Zt0LO
乙ー
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
乙でした!