ノパ听)と('A`)は部活動に勤しむようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ふひひひ
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 23:23:04.96 ID:Qb4bzIIT0
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3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 23:23:09.62 ID:ZTbn75Ph0
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4 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:30:02.41 ID:w8X4rsyi0
>>1ありがとうございます

暑くてたまんないです コミケにも行かないので自堕落な日々

意外と書き溜めが溜まんなくて困っています もうすぐ三国志だし!

今日も鯖落ちが何回かあって怖い怖い


以下まとめサイト様です


ブーン文丸新聞 様

http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/club/club.htm

面白蛇屋 様

http://hebiya.blog40.fc2.com/blog-entry-8764.html (最新話)

今夜は二十一話投下です

何だかんだで夏も折り返しですけど
あぁ、すごく夏を浪費してしまった気もしますな……
5 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:46:00.25 ID:w8X4rsyi0


 渦巻くのは、ただ濃厚な憎悪。


 闇と溶け合うことさえも拒むそれは、ギコの全身を蛇のように取り巻く。

(#,,゚Д゚)「お前は……どうして、ここに! どうして……!」

 うわ言のように繰り返す。
 ギコはもうフサギコを見てはいない。傍らで、二人の対立を見返す彼を見てはいない。
 目に映るのは、モララーの気だるげな立ち姿のみ。

 そのどこか悲しげで、どこか哀れむような少年の姿を。

(#,,゚Д゚)「俺の前にもう一度現れることの意味――分かっているのか?」

( ・∀・)「もちろんだよ。その意味とやらはずっと――」

 グッと、その言葉を噛みしめるように。
6 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:48:34.84 ID:w8X4rsyi0

( -∀-)「俺の胸の中にある。だが、もう腐り始めているかもしれないがね」

( ・∀・)「やるなら、今しかないのさ」

(#,,゚Д゚)「――――っ」


 加速してゆく両者のボルテージ。


ミ,,゚Д゚彡「…………」

 そんな中で、フサギコはただ見つめることしかできなかった。
 睨み合う二匹の狂犬。彼らの、呼吸すら憚ってしまうほどの対立に魅せられる。
 足に根が張ってしまったかのようだ。

( ・∀・)「行きなよ、デカい人」

 モララーの一言。
7 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:51:20.82 ID:w8X4rsyi0

 むせ返るような闘気の満ちるこの場で、何とも涼やかな声色。
 フサギコは額に伝う嫌な汗を拭い、答える。

ミ;,,゚Д゚彡「……何が目的だ?」

( ・∀・)「言ったろう。俺の目当ては君じゃなくてあいつさ。ここはもう君の戦場じゃない」

ミ,,゚Д゚彡「だからと言って貴様を信用するわけには……!」

( ・∀・)「助けたい人がいるんじゃないのかい?」

 背中越しの語りかけ。
 それでいて全てを見透かしているかのような。

 フサギコにとって今一番大切なのは、ここを突破することだ。
 忘れてはいけない。戦いが目的ではないのだ。護ることが、第一に為すべきこと。
 そのためには、例え信用できなくともその要素を利用しなければ。
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 23:52:39.25 ID:Qxmak8LcO
部活動来てたか!
しえしえ
9 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:53:35.10 ID:w8X4rsyi0

 全員が生き残るために。たった一人も欠けない為に。

 全てはそこに帰結する。

ミ,,-Д-彡「――礼は言わんぞ!」

( ・∀・)「こちらも遠慮するよ」

 思い立ったら行動は速かった。駆け出す。
 振るう武器、調理器具たちを背に収める。がしゃがしゃと賑やかに音を立てながら、彼は大股に突っ切った。
 ギコの傍を横ぎる瞬間、もしや襲われるかもと一瞬身構えたがそれもいらぬ心配。

 モララーの目的が彼であるように、彼が臨む現在の敵はモララーなのだ。

ミ,,゚Д゚彡 (凄まじい。身震いするほどの――)


 憎しみ。

10 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:56:04.34 ID:w8X4rsyi0

 フサギコはそれを背に、加速する。
 一体、あの二人の間にどれほどの因縁があるのか。何が、ギコをそこまでの憎悪へと駆り立てるのか。
 今は考えるべきことではない。

 目指すは西校舎。危機に瀕するハインの元だ。


 そして訪れる静寂。

( ・∀・)「これでようやく……」

(,,゚Д゚)「あぁ、始められるな」

 本当の意味で二人っきりとなった渡り廊下。
 ゆっくりと歩を進めるのはモララーだ。
 静かに、静かに足音が木霊する。まるで何かの秒読みにように。
11 ◆b5QBMirrJE :2009/08/15(土) 23:58:36.47 ID:w8X4rsyi0

 ひとつ、ふたつ、みっつ。

( ・∀・)「ギコ、お前は俺の心だ。過去に残してきた、俺の良心なんだ」

 よっつ、いつつ、むっつ。

( ・∀・)「それでも、俺はもう一度捨てなくちゃあならない。心を――お前をだ。
 今の立場は相当ヤバくてね。勝手をやってる俺に、そろそろ疑いの目が掛けられている」

 ななつ、やっつ、ここのつ。

( ・∀・)「証明しなくちゃならない。非情であることを、『人でなし』であることをな」


 最後の一歩。


(,,゚Д゚)「…………」

12 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:01:06.75 ID:zXasX52F0

 それは必殺の間合い。
 手を伸ばせば触れられる、脚を放てば切り裂ける。
 互いの息もかかる距離、二人は視線をぶつけ合った。

(,,゚Д゚)「モララー、お前は変わったのか? 変わらないのか?」

( ・∀・)「俺は変わらないよ」

(,,゚Д゚)「『人でなし』でいることが、お前の選択なのか?」

( -∀-)「……そうさ」

(,,゚Д゚)「……なら、安心した」

 ギコはゆっくりと右足を下げる。
 上方、側頭部付近への蹴り――ハイキックを狙う溜めだ。
 動きはスローだったが、既に構えは整っていた。ギコがその気になればすぐにでも放つことができる。

 大気を切り裂く瞬速の蹴撃が、だ。
13 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:03:34.68 ID:zXasX52F0

(,,゚Д゚)「これで何の遠慮もなく、お前を切り刻むことが出来る」

( ・∀・)「結構なことだ」

(,,゚Д゚)「余裕を吐けるのは今の内だぞ、クソ――」

(#,,゚Д゚)「野郎ぉぅうううう!!」


 炸裂。


 至近距離。
 絶対必殺の距離。

 鉄を断ち、空を薙ぎ、肉を切り裂く斬撃脚は放たれる。

 避けれるはずがない。防げるはずがない。
 そもそも生身でギコの蹴りを受ければ、あえなく斬り飛ばされるのがオチだった。
 風を切り、閃光と化したハイキックはモララーの側頭部に噛み付こうとする。
14 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:06:00.89 ID:zXasX52F0


 それでも、


( ・∀・)「――しゃぉっ!!」


 絡み合った。


(;,,゚Д゚)そ「ぐっ!?」

 互いに打ち込んだ上段蹴りが、頭上でぶつかる。
 渇いた音と大気を揺るがす衝撃が、夜の空気へと響き渡った。
 ギコの脛に走る、鈍い痛み。

 まさに同等の力。間違いなく、相殺。

( ・∀・)「馬鹿な――って思うかい?」

(;,,゚Д゚)「何を!」
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:07:15.37 ID:TK2OT64ZO
部活動のバトル描写好きだー!

支援!
16 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:08:38.95 ID:zXasX52F0

 本音はそうだった。

 ギコは手を抜いていない。
 寸分狂わず、本気の蹴りを叩き込んだ。
 構えも取っていないモララーには、決して防御の間に合わない速度。

 間合いに踏み込んでいながら、与太話に夢中となっていたモララー。
 彼がノックアウトされるのは当然の結果だったはず。

 それでも、受け止められた。

 全く同じ脚力と、スピードと、狙いで。
 それは脅威に値する実力を示すと共に、ギコを嘲笑うかの如き行為。

(,, Д ) (こんな、こんなことが。部を辞めたお前に、現役の俺が拮抗されるなんて!)
17 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:11:05.50 ID:zXasX52F0

 唇を噛む。血が滲む。それも全て瑣末なこと。
 この屈辱に比べれば。この怒りに比べれば。

 ギコは決着を着けなければならなかった。

 過去に置き去りにしてきたもの。もう二度と目にすることもないと思ったこと。
 それが自分からやってきた。自分の理由でやってきた。こちらの気持ちには目もくれずに。
 堪らなく憎い者が、限りなく強い者が、帰って来た。

 全てを置き去りにしてきたのは、ギコの優しさだったのに。

(#,,゚Д゚)「お前はまた俺の気持ちを裏切るのか!!」

( ・∀・)「……ギコ」

(#,,゚Д゚)「着けてやる、決着を! 俺を、俺たちを裏切ったお前に思い知らせてやる!!」
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:12:20.81 ID:dZ6LtpXwO
来てたー!
支援
19 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:13:36.34 ID:zXasX52F0

 なるほど。ならば全て終わらせてやろう。

 この苦しみも痛みも全て。


(#,,゚Д゚)「モララあああああああああああああああ!!!」


 それが、ギコの血を吐くような思いだった。

20 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:16:04.46 ID:zXasX52F0

ノパ听)と('A`)は部活動に勤しむようです

第二十一話『漢たち 後編』
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:16:39.92 ID:hjuuYGVj0
支援
22 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:18:28.25 ID:zXasX52F0


( A )「ぐぁあっ!?」


 反動に、ドクオの身体が吹っ飛ぶ。
 横薙ぎに弾かれるまま、壊れた窓の冊子へと激突。危機一髪だった。
 直接窓ガラスに衝突していれば、そのまま突き破って階下へと落下していただろう。

 ガラスの破片を撒き散らしながら、床に叩き付けられる。

(;'Aメ)「う……ぐ!」

 窓にぶつかった方とは逆の肩――右のそれに、焼き鏝を押し付けられたかのような痛み。
 見れば矢が突き刺さっていた。深く抉り込む、それは竹の矢。
 弟者の物ではない。
23 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:21:09.52 ID:zXasX52F0

(´<_` ;)「お、おいおい……」

 驚くのはドクオばかりではない。弟者も、その光景に開いた口が塞がらなかった。
 今まさに、ドクオの居合と己の射撃が交差したはずだった。事実から言えば、弟者はやられていただろう。
 しかし居合は外れた。横合いからドクオを打ち抜いた、その矢のお陰で剣の軌道が変わったのだ。

 弟者は救われた。

 突然の介入者。
 それが誰なのか、言わずとも推して知れる。


( ´_ゝ`)b+「じゃじゃ〜ん! 兄者見参〜!」


 三階への階段から現れる、『双死双翼』の片割れ、鷹の目の持ち主、脅威たる狙撃手。
 そして、この戦場の空気に全くそぐわないノリの男。

 流石兄者であった。
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:23:22.61 ID:KwtpjftoO
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!キタ━━━(゜∀゜)━━━!!

支援
25 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:23:33.29 ID:zXasX52F0

(´<_` #)「よし! 馬鹿だな? 兄者はやっぱり馬鹿だったんだな!?」

 途端、激昂し大声を上げる弟者。

(; ´_ゝ`)「え、え、何で? 今、俺って弟者を助けたよね? 何でそれが怒られなきゃなんないの?」

(´<_` #)「当たり前だ! 俺がどういう意図をもって鬱田ドクオと単騎でやり合ってたと思ってる!?」

( ´_ゝ`)「えーっと……勢い?」

(´<_` #)「あんたを護るためだよ、馬鹿!!」

 怒るのも当然だろう。

 本来、『双死双翼』としてコンビで闘う弟者が、敢えて単独でドクオに挑んだのは兄者を守護するため。
 最悪の場合は、兄者が一旦この場を逃げるための時間稼ぎにだ。
 弟者は出来るだけ手傷をドクオに負わせ、食い止める。倒せれば尚いいが、ドクオはそれほど柔な相手じゃなかった。
26 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:26:15.95 ID:zXasX52F0

 故に、出会い頭と打って変わり、弟者は相討ち覚悟で戦っている。

 兄者の身を守れれば、自信のリタイアは損害にならないと。

(´<_` #)「どうするんだ! これであんたがやられればセントジョーンズの作戦がふいになる!
 せっかく俺たちが分断したってのに、奴らを自由にさせちまうじゃないか! 分かってるのかよ兄者!!」

( ´_ゝ`)「まーまー、落ち着けよ弟者。見方によっちゃ二対一だ。有利だぜ?」

(´<_` ;)「そういうことじゃなくてだなぁ……!」

 喰ってかかる弟者も何のその、兄者は飄々と流し続ける。

( ´_ゝ`)「聞けよ弟者。俺だってな、正直言うと逃げたい。お前がボコボコにされてるの見りゃあ、尚更な」

(´<_` )「なら――」
27 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:28:29.59 ID:zXasX52F0

( ´_ゝ`)「でもそれ以上にだ。やられそうなお前を置いて逃げる――んなこたぁは出来ない」

(´<_` )そ「……兄者っ」

 『七星連合(ビッグディッパー)』の一員である前に、武喝道の参加者である前に。

 一人の兄として。


( ´_ゝ`)「こんなんでも、一応お前の兄貴だからな。少しはそれらしく、カッコつけたっていいだろ?」


(´<_` )「…………」

 正直、弟者は下らない理由だと思う。

 多少の犠牲や被害は許容するべきだ。セントジョーンズは完璧主義に拘るが、実際は違う。
 戦いは今この場で起きている。遠くで作戦を練っているセントジョーンズが、敵と直接戦っているわけではない。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:29:28.89 ID:k6aOSqkhO
しえーん
29 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:31:13.63 ID:zXasX52F0

 判断は現場が下すもの。

 そもそも、クックルが突破されていること自体がアクシデントなのだ。
 状況は一定ではない。柔軟で素早い判断が鍵を握る。

( <_  ) (いや、それなら俺の考え方も堅苦しいものだったのか)

 『双死双翼』は二人で一つ。二人でこそ真価を発揮する。
 それが一人で闘って、全力を出せるわけがない。

(´<_` )「負けたよ、兄者」

( ´_ゝ`)「馬鹿言うなよ。今から勝つんだ、俺たちがな」

 何より兄者が傍らにいること。
 戦場において、その安心は例えようのないものだった。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:31:50.97 ID:KwtpjftoO
支援
31 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:34:35.73 ID:zXasX52F0

 観念し立ち上がる弟者と、笑みを浮かべる兄者。

( ´_ゝ`)「さぁ、役者は揃った。あとはお前だぜ、鬱田ドクオ」

 ゆったりと弓を構え、矢を番える。
 弟者のと比べれば遥かに遅い。至って普通の番え方。
 しかし、スローであるが故に底知れぬプレッシャーがある。息を呑む威圧感がある。

 やがてそれは、鋭い先端を蹲るドクオへと定めた。


(;'Aメ)「ぐ……くそっ」


 当のドクオは気が気ではない。

 矢が突き立った右の肩は、激しい痛みを訴え続けている。
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:34:59.63 ID:l41TluB7O
支援!
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:36:17.67 ID:hjuuYGVj0
支援
34 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:36:59.46 ID:zXasX52F0

 二の腕を伝う血の温かさと、気持ちの悪さがしっかりと感じ取れる。
 苦しい。痛い。辛くて逃げ出したい。

 出来ることなら床に丸くなったまま、じっと痛みを耐えていたかった。

(#'Aメ)「うぐぅうう、くそ、おおおお!」

 負傷した右腕では満足に剣すら振れないかもしれない。
 それでも立ち止まっていられないのだ。
 自分一人が、情けなく倒れている暇などはなかった。

( A ) (こんな負傷、クーのものに比べれば!)

 彼は地に足を着き、矢に手をかける。
 歯を砕けそうなほどに食い縛り、激痛の原因を抜き放った。
35 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:39:33.44 ID:zXasX52F0

( ´_ゝ`)「おぉう、こいつぁー」

(´<_` )「いい肝っ玉してるよ」

 舌を巻く流石兄弟を前に、ドクオは矢を思いっきり投げ捨てた。
 噴き出る血を抑える。だが止まらない。そんな事は彼も分かっている。

(;'Aメ)「来いよ……二人まとめて……!」

 標的が、のこのこと目の前にやって来てくれた。
 だが逆に奇襲を受けてしまったなど、これまた間抜けな話だ。
 チャンスは今――流石兄弟を潰し、戦場を開放するのはこの瞬間しかない。

 膨れ上がってゆく、闘志。

(;'Aメ)「追いかける手間が省けた。ここからが、俺の……」
36 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:41:32.20 ID:zXasX52F0

 竹刀を取り落とさぬように、もう一度強く握り直す。
 指先が鬱血するほどに強く強く握り締め、迷いと痛みを断ち切るように空を薙ぐ。


(#'Aメ)「俺の本当の闘いだ!! 乗り越えさせてもらうぞ、流石兄弟ッ!!」


 極限化する戦闘。

 それでもドクオには、負ける予感は微塵も存在しなかった。

37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 00:43:44.95 ID:vBve1urs0
グサッグサッ
支援
38 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:44:02.66 ID:zXasX52F0

 * * *


( ´_ゝ`)「弟者! 目一杯浴びせかけろ! 奴を近づけさせるな!!」

(´<_` ;)「もうやっている!!」


 ドクオが踊り場へと上昇してくる前に、兄者は弟者へと指示を飛ばす。
 それでいて彼も、あらかじめ知っていたかのように洋弓を構えていた。番える速度は高速、弦の音は高々と。

 横っ腹から、弟者の掃射がドクオを襲った。

('Aメ)「りぃいいやああああ――――っ!!」

 油断はない。

 『新世界(ニュー・ワールド)』を駆使し、迫り来る矢の雨をかわし、弾く。
 だが手負いの身には辛い猛攻だ。受け止めるより避けた方が得策であろう。
39 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:46:31.30 ID:zXasX52F0

(;'Aメ) (だが避け続ければっ……!)

 退くしかない。

 考えるよりも先に足が動く。
 地を走る稲光は彼らから距離を取っていた。ドクオはそれに従わざるを得ない。
 足を継ぎ、かわし、下がる。廊下の奥へと。

('Aメ) (くそ! もう少しで間合いに捉えれたのに!)

 迫る銀の雨を頬で、肩で、足元で掠めながら後退していく。
 かなり弟者との距離が開いてしまった。危険を承知で踊り場へと踏み込むべきだったのか。
 いや、それでは左腕まで破壊されていただろう。

( ´_ゝ`)「グッドだ。充分に間合いが取れたな。弟者、手を緩めるなよ」

(´<_` )「だが兄者、こいつには飛び道具が効かない! 厄介な技を持っている!」
40 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:49:26.33 ID:zXasX52F0

 絶え間なく連射を続ける弟者は、背後の兄者へ訴える。
 確かに、彼らにとってドクオは厄介だ。最悪の相性なのは、むしろ流石兄弟。
 『新世界』に飛び道具は効かない。

( ´_ゝ`)「理解している」

 だが兄者は一切の焦りを見せない。
 掃射を続ける弟者を包み込むように、弓を構える姿は雄々しい。

( ´_ゝ`)「だが、鬱田ドクオの『能力』には穴があると見た」

(´<_` )「穴?」

( ´_ゝ`)「撃ち続けろ、弟者! 間隙を縫って俺も射る。鬱田ドクオは――」

 涼やかな立ち姿。
 静かな挙動に引き絞られる、鋭く細い弦がきりきりと唸りを上げた。
 狙い澄ますは一点、ドクオの身体の正中線上。
41 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:51:35.06 ID:zXasX52F0


( ´_ゝ`)「三発以内に仕留めてみせるッ!」


 かんっ、と弾けた。


 一陣の疾風が、闇の中を駆け抜ける。

('Aメ)「――――!!」

 乱れる。

 ドクオの呼吸が、感覚が、リズムがかき乱される。
 ある一定の間合いと力と数で叩き込まれ続けた、弟者の連射。
 その嵐のような矢の群れの中で、しかして異様な気配が一つ。
42 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:54:04.20 ID:zXasX52F0

 勢いも、音も違う。異質な存在が向かってくる。

 速度も段違いだ。

(;'Aメ)「何だ……これは!!」

 気が付いた時にはもう遅い。
 足元を覆う光の道標――それは大いに乱れる。
 普段のように明確なルートを示してはくれない。不規則に折れ、回り、重なり、揺れる。

 ドクオの動揺を表すかのように暴れ出していた。 

 そのせいで、回避可能だった弟者の矢の軌道さえ、今は危うい。
 避け切れず、仕方なしに竹刀を振るった。
 刀身が矢を弾く度に、肩の傷口に鋭い痛みが連続する。

(;'Aメ) (マズい! 速すぎる――)
43 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:56:32.99 ID:zXasX52F0


 一本の、竹の矢。


 瞬く間に、それはドクオを貫かんとした。


(;'Aメ)「ぬぅあああありゃあああああ!!」

 避けれない。受け止めるしかない。
 しかし、正眼の構えへと叩き込まれた初撃。それは今までに比類ないほどの重さ。
 こんな細い矢の一本に、どれだけの力が込められているというのか。

('Aメ) (威力を殺し切れない?!)

 踏ん張った足が宙に浮く。
 肩の傷口から盛大に血が噴き散る。
44 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 00:59:00.08 ID:zXasX52F0


 吹き飛ばされた。


( A )「があぁあああああっ?!」

 ハンマーで叩かれたかのような重み。
 ドクオの痩せぎすな身体が宙を舞い、地に落ち、滑り、何度も何度も叩き付けられる。
 あまりの衝撃は、脳内をシェイクするかのよう。

 這いつくばる彼の視界は、出血とダメージで歪んでいた。

(;'Aメ)「げほっ! げほっ、くそ! なんて重さ……だ!」

 弟者の射撃とはまるで威力が違う。
45 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 01:01:46.00 ID:zXasX52F0

 まともに受けてはいられない。容易く吹き飛ばされる。
 ドクオがいくら痩せた体躯とはいえ、矢の一本で人を数メートルも弾き飛ばすなど。

 ありえない。

('Aメ) (精密さだけじゃない! 流石兄者はズバ抜けたパワーを持っていやがる!)

 今さっき、肩に受けた一撃は冊子に阻まれた故に、それ程の威力は感じなかった。
 しかし、これが本領発揮。彼の狙撃は万物を貫き、砕く。

(;'Aメ) (こんな攻撃、受けていられないぞ……! だが『新世界』が乱れた今、回避も難しい!)


 ドクオの『新世界』

 唯一の弱点があるとすれば、時間だ。

46 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 01:04:04.68 ID:zXasX52F0

 この技――というより感覚は、万能のものではない。
 初めて遭遇する相手に対し、無条件で発動することは出来ないのだ。

 何故ならその本質が、『学習』にある故。

 敵と戦い、その動きや戦略、思考をトレース。
 そこから天性の感覚が自動で導き出す、死角へと滑り込む道。
 ドクオ自身が考えてやっているわけではない。
 全ては閃きに似たようなものであり、身体が勝手に思考した結果。

('Aメ) (流石兄者の動きを把握するまで時間がかかる。まとめてかかって来られたのはやっぱりマズい!)

 弟者の動きは既に把握していた。
 しかしそこに、兄者の攻勢が加わってしまった。
 一対一でないのなら、動きを読むのもまた困難になる。

 恐らくこの戦闘中に、兄者相手に『新世界』を使えはしないらしい。
47 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 01:06:34.21 ID:zXasX52F0

(;'Aメ)「ぐぅう、ああっ!!」

 思考の最中にも追撃が迫って来る。

 弟者の掃射がドクオを釘付けにし、兄者の狙撃のために時間を稼いでいるのだ。
 今なら攻められる。弟者が一人で撃ち掛け続ける、今だけなら。

(;'Aメ) (JET竹刀の残弾は残り一発! 大事に当てるぞ!)

 走る。

 左手は鞘に。痛みに軋む右手は柄に。
 地を舐めるほどに身を低く沈め、的を出来るだけ小さくし、駆け抜ける。
 ダメージの蓄積で、『新世界』の光も滲み始めていた。

 ドクオの感覚の鋭敏さが失われ始めている故に。
48 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 01:09:17.29 ID:zXasX52F0

('Aメ)「うぉおおおおおおおぉおお!」

 時間は限られている。

 兄者が、狙撃体勢に入る前に。
 自分の感覚に、陰りが出てしまう前に。
 兄弟の間合いへ。少なくとも、どちらか一人は倒せる距離へと走る。

(´<_` )「まただ! 野郎、兄者が二発目を打つ前に斬り込んでくるぞ!」

( ´_ゝ`)「落ち着け、徐々に後退するんだ! 下がりつつ撃ちかけ、時間を稼げ!」

 対する兄弟は後方へと下がりながらも、照準は向かってくるドクオから決して離さない。

( ´_ゝ`)「距離は稼いでいる。間に合うさ、至近距離で俺が奴を撃ち抜く!」

(´<_` )「――流石だな、兄者!」
49 ◆b5QBMirrJE :2009/08/16(日) 01:11:32.67 ID:zXasX52F0

 兄者の焦りを見せぬ、頼りがいのある態度。
 普段のおどけた姿が嘘のように、その頼もしさは弟者に勇気を与える。
 やがて勇気は強い集中へ、集中はより正確な狙いへと繋がっていく。

(´<_` )「鬱田ドクオ!! これでも喰らってろ!」

 撃つ。

 それは何気ない軌道。
 本来ならば、ドクオの前でただ回避されるだけの一発に過ぎなかった。
 しかし、違う。その一発だけは、幾数回の射撃の中で異質であった。

 矢の先がほんの僅かに、壁際を舐める。

 壁に弾かれてしまう角度でぶつかってはいない。
 ほんのちょっぴり、軌道が反れる程度。いわば跳弾だ。

 だがそのほんのちょっぴりの乱れが、ドクオの感覚全てに狂いをもたらす。
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/16(日) 01:13:23.50 ID:kyHEhZ0J0
俺の肉便器の女生主にてだしやがった出会い厨
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生活保護も不正受給通報は大阪市へ
51 ◆b5QBMirrJE

('Aメ)「ぐっ――!?」

 気が付いた時には、『新世界』が歪み始めていた。
 光の帯の先が、三つにも四つにも裂け、道を違う。

('Aメ) (迷いがっ?!)

 生じた。

 弟者の放ったイレギュラーな一発により、矢の群れへの読みにズレが生じた。
 小さな、一瞬のズレ。しかしその一瞬は、ドクオの『新世界』を乱すのには十分たるもの。
 学習や予測で軌道を計算するこの能力に、偶然という要素は鬼門中の鬼門だ。

 案の定、『新世界』の乱れを前にドクオは遅滞する。

 そんな彼の足元を、一発の矢が掠めていった。