1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
キサラギ「あー、そうですねー」
ノダミキ「やっぱりキサラギちゃんもそう思うよね」
キサラギ「はい、なんていうか…迷惑ですよね、存在が」
ノダミキ「だよねー」
カネトモじゃなくて安心した
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 19:39:18.17 ID:oOSFNo7I0
キサラギ「この前のグループ課題でトモカネさんと組んだんですけど、
その時も……」
ノダミキ「ああ、トモカネのせいで締め切り間際に作品台無しになって、
結局提出できなかったやつでしょー?
ああいうときはブチ切れていいんだよキサラギちゃん
キサラギ「いえ、あの時は私の作業が遅かったのも原因ですし……」
ノダミキ「お人よしだねキサラギちゃんは」
キサラギ「でもあの後の、トモカネさんの態度には…流石にいらっとしました」
ノダミキ「あー……あれは私も端から見ててムカついたよー」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 19:45:55.36 ID:oOSFNo7I0
キサラギ「なんか自分の行いを反省しないフシがありますよね」
ノダミキ「とりあえず『自分はこういうキャラだから〜』って開き直ってれば
許されると思ってるよね〜。そういうの本当にうざいよね」
ガチャ
ナミコさん「よう」
キョージュ「まだ居残ってたの」
キサラギ「あ、ナミコさん、キョージュさん」
ノダミキ「ねぇねぇ、トモカネも一緒?」
ナミコさん「いや、トモカネは用事があるって言って美術室いったよ」
ノダミキ「そっかー、よかった」
ナミコさん「なんだー?トモカネに内緒で、何の悪だくみだ?」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 19:54:17.46 ID:oOSFNo7I0
ノダミキ「いやー、実はトモカネがうざいって話してたの。ね」
キサラギ「ええ、そうなんです」
キョージュ「キサラギ殿がそのような話をするとは意外だな」
ノダミキ「優しくてお人好しのキサラギちゃんでさえも、
トモカネの傍若無人っぷりには耐えられないってことだよ」
ナミコさん「あー……まあ、確かにちょっと目に余るよな」
キョージュ「私も、一緒にいて恥ずかしい」
ノダミキ「だよね〜☆」
キサラギ「あのー、トモカネさんが戻ってくる前に、先に帰っちゃいませんか?」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 19:55:39.33 ID:pda1GXba0
ノダミキはホントにこういうこと言いそう
まぁでもこのスレ伸びないだろうな
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:00:18.54 ID:oOSFNo7I0
ナミコさん「そうだな」
キョージュ「ああ。私もあまりトモカネ殿とは一緒にいたくない」
ノダミキ「よーし、かえろかえろー」
美術室。
あーさん「はー、今日も平和やねー」
保村「こんな日は部活したくないなー」
魚住「いっつも大して活動してないだろ…」
水渕「ほらほら二人とも、始めるわよ」
あーさん「はーい」
コンコン
あーさん「ん?誰や?」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:08:04.95 ID:oOSFNo7I0
あーさん「はっ……扉のスリガラスからうっすら見えるあの姿……!」
保村「もしや以前、美術部のホラー作品を破壊していった、あの…?」
魚住「新入部員の妹とかいうやつか……」
水渕「その人が何の用なのかしら。今日は友兼くん来てないわよね」
あーさん「そんなんどうでもええ!隠れな!」
魚住「は?なんでだよ?」
あーさん「あんな暴力女に目ぇつけられたらどうなるか分からんで!!」
保村「そうだよ、俺たちがあの壊された作品みたいにズタボロにされるかも……」
水渕「まさかそんな」
あーさん「えーからとにかく隠れて!居留守きめこんでたら帰ってくれるやろ」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:14:49.20 ID:oOSFNo7I0
美術部4人は棚の陰に隠れた。
息を潜め、物音をたてないように縮こまっていると、
扉が開く音が聞こえた。
トモカネ「あれー、誰もいないのかな」
あーさん(やっぱりあの声……この前の破壊神や)
トモカネ「外間先生〜、いませんかぁー?」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:16:03.93 ID:kqFfEYAW0
嫌になるくらい脳内再生が完璧だ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:21:42.61 ID:oOSFNo7I0
魚住(おい、外間とかいう先生を探してるみたいだぞ)
あーさん(外間先生ゆうたら、GAの1年担当の先生やなぁ)
水渕(美術室に来ていらしたかしら?)
あーさん(さっき来てたけど、もう帰らはったで)
魚住(じゃあもう帰ったよって伝えた方が……)
あーさん(あかん!相手は破壊神や!)
保村(そうだ、迂闊に近づいたら何されるか……)
魚住(おまえら……)
トモカネ「あっれー、いないのかなー」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:23:44.46 ID:UX9Y95E/O
嫌われてるのに気付いたらトモカネどうなんだろ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:25:29.05 ID:ox/DplCqO
だってトモカネの夢の中でのいじめっこノダちゃんすげーしっくりきてたもん
でもそういう姫も大好きだぜ
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:27:59.58 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「こっちの部屋かな?」
あーさん(あ、そっちの部屋は!)
魚住(おい、ヤバいんじゃないのか)
トモカネ「失礼しまーす」
トモカネは美術部奥の扉を開け、その中に入っていった。
あーさん(あーあ……)
水渕(あの魔窟に足を踏み入れるなんて……)
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:33:37.34 ID:kqFfEYAW0
貼るならもっとペースあげろよ
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:35:00.73 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「ぎゃあああああああ!!」
すさまじい叫び声を上げながらトモカネが飛び出してきた。
その際に石膏像や作品にぶつかり、それらは床に落ちてしまった。
しかしトモカネはパニックのあまり気付いていないようだ。
あーさん(あー、私の作品〜!)
保村(俺が作ったオブジェが…)
トモカネはあちこちの机や棚にぶつかりながら、
そして作品や画材を散らばしながら
美術室から走り去っていった。
あーさん「ふぅ、やっと出てった……出てったけど……」
水渕「なんか嵐が過ぎ去った後みたいね」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:36:16.05 ID:ox/DplCqO
何の理由もなくノダミキの頭に全力チョップ
それも頭皮が出てて弱い、髪の分け目に打つとか下衆すぎ
トモカネは泣いて土下座するべき、キョージュに
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:37:06.80 ID:ox/DplCqO
なるほど学校中から嫌われてくわけか
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:41:11.65 ID:oOSFNo7I0
保村「ううう……珍しく俺が本気出して作った傑作が……」
魚住「うおっ、俺の絵、踏まれて足跡が……」
水渕「あっ、この石膏像割れちゃってる……ああ、こっちの塗料の瓶も」
あーさん「うう……許さへん……許さへんでー……トモカネ妹ぉ……」
トモカネ「あーあ、どこ行ったんだろーなー外間先生……
まーいいや、明日提出すればいっか。今日はもう帰ろーっと」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:44:52.08 ID:5lnyMGpcO
野田が一番好き
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:46:10.23 ID:oOSFNo7I0
教室。
トモカネ「おっまたせー!みんなー、かえろーぜー……あれ?」
そこには誰もいなかった。
無人の教室にトモカネの声だけが空しく響き渡った。
トモカネ「あはは、なんだーみんな先に帰っちまったのかーあははは……
私も帰るかな〜…」
ナミコさん「それでこの前もトモカネがさ〜」
ノダミキ「あーあれはないよねー」
キサラギ「人格疑っちゃいますよね」
キョージュ「話を聞いてるだけで腹が立つな」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 20:56:18.62 ID:oOSFNo7I0
キサラギ「ふふ」
ノダミキ「どしたのキサラギちゃん」
キサラギ「いえ、トモカネさんがいないだけで、
こんなに軽い気持ちになれるんだな〜って思って」
ナミコさん「そうだな〜」
キョージュ「トモカネ殿がいると、何かやらかさないか心配で神経が疲れる」
ノダミキ「やっぱトモカネは邪魔だね」
キサラギ「そうですね、うふふ」
ナミコさん「ははっ」
キョージュ「ふっ」
ノダミキ「あははー」
トモカネ「独りで帰るのはさびしいな…」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:02:32.15 ID:oOSFNo7I0
翌日、教室。
ノダミキ「次は第3美術室に移動かー」
キサラギ「あ、次の授業は大学の校舎でやることになったみたいですよ」
ナミコさん「ああ、そういえば言ってたな」
キョージュ「移動しようか」
ナミコさん「あ、トモカネには……」
ノダミキ「言わなくていいんじゃない?」
キサラギ「そうですね」
ナミコさん「それもそうだな」
みんなが移動し終えたころにトイレから帰ってきたトモカネ。
トモカネ「あ、そっか次の授業は移動か。確か第3美術室だったな」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:02:43.07 ID:UX9Y95E/O
俺が一緒に帰ってやる
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:04:01.51 ID:l7CrJjrtO
キョージュのセリフが多いぞ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:10:39.31 ID:oOSFNo7I0
休み時間は終わり、授業が始まった。
外間先生「ん?友兼はいないのか?朝礼の時いたよな」
キサラギ「クスクス」
ノダミキ「プププ」
外間「まあいいや。今日の授業は前回に引き続き現代芸術の〜云々」
キサラギ「あ、トモカネさんからメール来ましたよ、『どこで授業やってんだ?』ですって」
ノダミキ「ぷぷぷ、無視しちゃいなYO」
トモカネ「くそ、返信こねえな……キサラギは真面目だから授業中に携帯見たりしねえか……
じゃあノダに送ってみるか……」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:17:51.55 ID:ox/DplCqO
いいねいいね
でもトモカネの一人称はおれじゃないか
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:18:48.83 ID:oOSFNo7I0
ノダミキ「おっとー、こっちにも来たよぉ」
キサラギ「無視ですよノダちゃん」
ノダミキ「分かってるよ〜」
ナミコさん「ん?トモカネからメールだ」
キョージュ「こっちにも……『どこで授業やってんだ?』って」
ナミコさん「無視しよう」
キョージュ「うん」
トモカネ「くそーっ、なんで誰も返信よこさねーんだよー!!
授業終わっちゃうじゃねーかよー……」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:19:36.02 ID:oOSFNo7I0
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:27:46.50 ID:oOSFNo7I0
授業をさぼるという罪悪感よりも
みんなから外れて一人で無人の美術室にいるという
不安や心細さのほうが大きかった。
キーンコーンカーンコーン
トモカネ「あ……終わっちゃった……
とりあえず教室戻るか……」
ガラッ
トモカネ「よう……」
ノダミキ「あっ、このサボリ魔めー、どこ行ってたの?」
トモカネ「いや〜、あははは」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:32:31.62 ID:BGXsUw1BO
泣きそうやめてあげてよ
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:33:35.00 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「間違えて第3美術室行っちゃってたよ〜」
キサラギ「えー、50分間ずっとですか?」
トモカネ「お前らに場所聞こうと思ってメールしたんだけど、
誰も返してくれなかったじゃねーか」
ナミコさん「おいおい、授業中に携帯なんか見るわけないだろ?
なあマサ」
キョージュ「当然」
キサラギ「てゆーか教室変わったの聞いてなかったんですか?」
ナミコさん「そりゃあ自業自得だろう」
ノダミキ「メールの返信がなかったせいにされてもね〜」
トモカネ「う…」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:40:52.85 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「で、でさぁ、今日の授業で何か課題とか出た?」
キサラギ「ああ、2人1組のグループ課題が出ましたよ。
現代芸術の特徴を盛り込んだ作品つくり、っていう」
トモカネ「へー。じゃあキサラギ、いつもどおり一緒にやろうぜ」
キサラギ「あ、すみません、私もうノダちゃんと組んじゃってて」
ノダミキ「そうだよー」
トモカネ「あ、そう……じゃあ、ナミコさんかキョージュ……」
ナミコさん「私たちも組んでるんだ」
キョージュ「うん」
トモカネ「あ……そう……」
ノダミキ「悪いけど別の人と組んで☆」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:45:56.34 ID:BGXsUw1BO
早苗さんと組むともかね
泣けてきた
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:46:05.62 ID:oOSFNo7I0
トモカネ(別の人っつったって……俺、この4人以外に友達なんて……)
ノダミキ「でさーキサラギちゃん、課題どうする?」
キサラギ「そうですねー、こういう感じのどうです?」
ナミコさん「こっちも課題の下準備しとくか」
キョージュ「うん」
トモカネ「…………」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:52:56.98 ID:ox/DplCqO
そういや必ず二人組で一人あぶれるよな
どうしてんだろ
ナミコさんは友達他にいそうだけど
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:54:48.74 ID:oOSFNo7I0
1週間後。
外間「今日は前の課題を提出してもらうぞ〜」
キサラギ「はい」
ノダミキ「如月野田組できてますっ!」
外間「ほう、これは良い作品だな。作業が速い野田と、丁寧な山口が組んだのは
とても良い結果につながったな」
キサラギ「えへへ」
ナミコさん「はい、先生」
キョージュ「自信作」
外間「うむ、お前らはいつも通りの堅実なつくりだな」
トモカネ「……」
外間「ん?友兼、はやく作品を出しなさい」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 21:58:36.79 ID:BGXsUw1BO
うわぁぁあああぁああ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:00:59.33 ID:oAR/Xn9A0
キサラギなに調子乗ってんだよお前がはぶられろよマジ死ね糞眼鏡
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:03:08.43 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「で……できてません……」
外間「出来てなくても構わん、途中経過で採点するから。
ほら、出しなさい」
トモカネ「……」
外間「どうした」
トモカネ「まったくできてません…」
外間「まったく?ゼロの状態なのか?」
トモカネ「はい……」
外間「はぁ?バカなことを言うな、1週間何してたんだ。
お前と組んでたのは誰だ」
トモカネ「誰とも……組んでません」
外間「なっ……お前、教師を馬鹿にしてるのか!?」
キサラギ「うふふ」
ノダミキ「いい気味☆」
41 :
紅モップ ◆SINKU/Li2s :2009/08/12(水) 22:05:11.89 ID:k2f9Mk7X0
友兼はおれが引きとっとくからおまいらは帰っていいよ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:11:17.62 ID:oOSFNo7I0
外間「…もういい、放課後職員室に来い」
トモカネ「はい……」
昼休み。
ノダミキ「見た見た〜?さっきのトモカネ〜」
キサラギ「いつもの元気がどこへやらって感じでしたね〜」
キョージュ「ああいうタイプは独りになると急に静かになる」
ナミコさん「いっつもあれくらい大人しけりゃいいのにな」
ノダミキ「惨めすぎて笑いを堪えきれなかったよ〜」
キサラギ「私もですよ、思い出しただけで……くくっ」
ナミコさん「まあ確かにいい気味だったな」
キョージュ「しっ…トモカネ殿が来た」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:18:09.28 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「よ、よう……昼ごはんどうする…?」
キョージュ(自分がハブられているのではないか、との疑念から
接し方が少々ぎこちなくなっている…)
キサラギ「そうですねー、今日はみんなで食堂に行きませんか?」
ノダミキ「お、いーねぇキサラギちゃん」
ナミコさん「よし、行くか」
トモカネ「お、おう!行こうぜ!」
キョージュ(とりあえずハブられているのではないということが分かると
途端に元気になった)
キサラギ(一番滑稽かつウザいタイプですね)
ノダミキ(こういう人は嫌われまいと必死になって見苦しいんだよね)
ナミコさん(嫌われたくないあまり、普段より絡み方が積極的になってウザいんだよな)
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:23:50.65 ID:oOSFNo7I0
食堂。
キサラギ「私サンドイッチにしますけど、何食べます?」
トモカネ「よし、じゃあ今日は日替わり定食だな!」
ノダミキ「サンドイッチにしよ〜」
ナミコさん「サンドイッチがいいな」
キョージュ「サンドイッチ」
トモカネ「え?じゃあ俺もサンドイ……」
おばちゃん「日替わり定食1つにサンドイッチ4つね〜」
トモカネ「え、あ…」
キサラギ(ぷくく)
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:26:09.24 ID:ox/DplCqO
イイヨイイヨー
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:30:48.74 ID:BGXsUw1BO
如月のキャラが…
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:31:29.52 ID:oOSFNo7I0
キサラギ「いただきまーす」
ノダミキ「このサンドイッチおいしーねー」
ナミコさん「ああ、特にこのトマトサンドがうまいんだよ」
キョージュ「卵サンドも捨てがたい」
キサラギ「こんなおいしいサンドイッチ初めてですよー」
ノダミキ「最高だね〜」
ナミコさん「この食堂の名物だからな」
キョージュ「これは食べないと損をする」
トモカネ「…………」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:38:09.78 ID:oOSFNo7I0
キサラギ「ふー、おいしかった」
ノダミキ「じゃ、教室もどろっか」
ナミコさん「そうだな」
キョージュ「ああ」
トモカネ「え?ちょっと待てよ俺まだ食い終わってない……」
そんなトモカネの言葉が聞こえていないかのように立ち上がり、
食器をカウンターへと返しにいく4人。
トモカネ「お、おーい……」
そして4人はそのままトモカネのほうを振り返ることもなく
楽しげに談笑しながら食堂から出ていってしまった。
トモカネ「………」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:49:37.83 ID:oOSFNo7I0
放課後。
キサラギ「じゃ、帰りましょうか」
ノダミキ「そうだねー」
ナミコさん「おう」
キョージュ「うん」
トモカネ「……」
トモカネ「職員室いこ…」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:50:37.45 ID:iC22aDDn0
やまぐちきさらぎってゴロが悪すぎだよね
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 22:57:47.38 ID:oOSFNo7I0
職員室。
トモカネ「あのう……外間先生は……」
さめちゃん「ああ、外間先生なら美術室に行かれたわよ?」
トモカネ「あ、そうですか……」
美術室。
外間「ん?お前ら何作ってんだ?」
あーさん「破壊神と戦うための武器や。また来られたらかなわんからな〜」
保村「隊長!段ボールでシールドを作りました!」
魚住「遠距離攻撃用の槍が完成したぞ」
水渕「投げ縄もできたわ」
あーさん「よっしゃ、その調子でどんどん作ってや〜」
外間「まあ楽しそうだからいいか」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:02:15.55 ID:ox/DplCqO
ニヤニヤしちゃうぜ
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:03:10.62 ID:a70yBOk20
ともかねに目をつけた点に感服
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:06:39.83 ID:oOSFNo7I0
あーさん「よっしゃ!人数分の装備が完成したなー」
保村「試しに着けてみようぜ」
魚住「まずこのヘルメット、そしてシールド……」
水渕「武器は槍と棍棒の2種類ね」
あーさん「おお、なかなかかっこええなー」
保村「段ボールで作ったとは思えんな」
魚住「槍と棍棒は木材を加工したけどな」
水渕「いつ破壊神がきても大丈夫ね」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:15:26.24 ID:oOSFNo7I0
あーさん「でも珍しいなー、魚住君とぶちさんがこういうことにノリノリやなんて」
保村「そういやそうだな、絶対止めさせられると思ってた」
魚住「ふん、今回は俺の作品も壊されたからな」
水渕「右に同じ」
あーさん「ほほー、復讐の念っちゅうやつか」
コンコン
あーさん「ん?誰や」
保村「も……もしかしてあの……スリガラスから見える影は……」
水渕「は……は……は……破壊神!!」
魚住「よし、総員戦闘配置!」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:22:22.30 ID:oOSFNo7I0
トモカネ「失礼しまーす、外間先生……」
あーさん「かかれー!」
保村「どぅおりゃああああ!」
魚住「くらえええええ!」
水渕「えーいっ!!」
トモカネ「なななな、なんっ……ぐぼぁっ、ぶへっ」
破壊神の異名を持つトモカネも、
不意打ちのうえに4人がかりでは対処できなかった。
あーさん「このー!このー!」
魚住「作品を壊された恨み……!」
水渕「絶対に許さない」
保村「どりゃー!どりゃー!」
トモカネ「うがっ、ぶへっ、やめ……ぐはあっ」
キョージュはこんなことは言わん
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:28:34.90 ID:oOSFNo7I0
あーさん「これで懲りたか破壊神!もう金輪際この美術部には近寄らんといてや!!」
トモカネ「う……うう……」
魚住「分かったらとっとと出ていけ!」
トモカネ「は、はいぃっ……ううう……」
あーさん「ふう、敵は去ったな」
外間「さっきなんか騒がしかったが、何やってたんだ?」
水渕「いえ、お気になさらず」
外間「?…ああ」
(それにしても、友兼のやつ遅いな)
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:28:50.51 ID:ox/DplCqO
ガチじゃねーかwww
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:34:48.96 ID:oOSFNo7I0
翌日、指導室。
外間「友兼。俺は昨日、職員室に来いと言ったよな」
トモカネ「はい…」
外間「で、いなかったから帰ったのか」
トモカネ「……」
外間「どうなんだ」
トモカネ「……」
外間「黙ってちゃ分からんだろう!!」
トモカネ「ビクッ」
ノダミキ「ふっふっふ、何か知らないけど怒られてるー」
キサラギ「ふふ、こんなに元気のないトモカネさんは初めて見ましたよ」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:39:40.87 ID:HjhxRayjO
もう泣きそうだ…しかし続きが気になってしまう…
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:41:19.68 ID:oOSFNo7I0
ノダミキ「それにしてもなんでキズだらけなのかな」
キサラギ「さあ」
外間「お前は教師をなめてるな」
トモカネ「……」
外間「俺の課題をさぼり、職員室に来いという言葉を無視したのがその証拠だ」
トモカネ「……」
外間「このまえは授業もサボっていたし」
トモカネ「……」
外間「そういえば先々週の提出物も出していなかったな」
トモカネ「……」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:48:51.24 ID:oOSFNo7I0
外間「お前からはやる気が感じられんな」
トモカネ「……」
外間「ここは普通科の学校とは違うんだ。芸術科だ」
トモカネ「……」
外間「自分の芸術の力を高めるために通っているんだろ?」
トモカネ「……」
外間「しかしお前に肝心のやる気がない」
トモカネ「……」
外間「やる気がない奴にはこっちだって指導したくないんだよ」
トモカネ「……」
キサラギ「何言ってるのかよく聞こえませんねえ」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:56:38.19 ID:5lnyMGpcO
トモカネうざいのわかるけどちょっとかわいそうだなぁ……
キサラギの方がいいかも
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 23:58:07.30 ID:oOSFNo7I0
ノダミキ「もっと近づいてみよーよ」
キサラギ「え、でも…」
ノダミキ「だいじょうぶ……」ガタッ
外間「ん?なんだ?誰かいるのか?」
キサラギ「ひっ、ばれました」
ガラッ
外間「山口に野田か、何やってんだお前たち」
キサラギ「あ…いえ、その」
ノダミキ「あ、あはは…」
外間「友兼のことか?」
キサラギ「あ……そ、そうなんです!私たちの親友であるところのトモカネさんがですね」
ノダミキ「そ、そうです、トモカネちゃんが心配で、来てしまいましたというわけなのですっ」
外間「ほう…良い友達を持ったな、友兼は」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:02:00.48 ID:sI+z+uluO
ともかね…
外間こんな厳しくねえよ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:08:04.95 ID:5mskHD350
外間「じゃあ友兼、今日のところは友達に免じてこれで許してやろう」
トモカネ「え……」
外間「その代わり、先週出した課題をやってくること。
山口、野田。友達として、手伝ってやってくれ」
キサラギ「はいっ」
ノダミキ「はーいっ」
トモカネ「ううっ…お前ら……」
外間「じゃあな、暗くなる前に帰れよ」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:08:46.14 ID:EIJg0PXPO
いじめの標的シフトするフラグか?w
確かにぶっちゃけキサラギの方がうざいけど
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:10:26.04 ID:13u2y8000
普通に見てて面白い
支援
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:12:09.17 ID:XWTxUnHrO
キサラギ「トモカネさんが凄くうざいと思います」
ノダミキ「………え?何言ってんの?」
キサラギ「え?うざくないですか?」
ノダミキ「キサラギちゃんがこの前トモカネのことうざいって言ってたよ」
トモカネ「んだと?! よし、みんなでハブろうぜ」
という変化球もあったと思う
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:13:29.87 ID:sI+z+uluO
ともかねはいい子だからハブろうとか言わないよ
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:17:20.84 ID:5mskHD350
トモカネ「ご、ごめんなお前ら……課題とか手伝わせることになっちゃってさー」
キサラギ「……」
ノダミキ「……」
トモカネ「でも俺一人でやるから、お前らに迷惑かけたりは……」
キサラギ「当たり前じゃないですか」
トモカネ「え?」
キサラギ「トモカネさんの課題なんですから、トモカネさんが一人でやるのが当たり前じゃないですか」
ノダミキ「なんで手伝ってもらうのが当然っていう態度なのカナ?」
トモカネ「え、いや、その……」
キサラギ「帰りましょう、ノダちゃん」
ノダミキ「そだねー」
トモカネ「……」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:20:19.12 ID:qKDI5yMvO
俺は好きだぜ
トモカネ
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:24:48.51 ID:5mskHD350
トモカネ「な、なぁ、キサラギ……」
キサラギ「そういえば駅前の画材屋で可愛い鉛筆が売ってたんですよ〜」
ノダミキ「えーどんなの?見せてー」
トモカネ「おい、ノダ……」
ノダミキ「わー、可愛いねー」
キサラギ「ですよねー」
トモカネ「……」
トモカネ(やっぱり…ハブられてたのか……俺……)
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:31:27.13 ID:sI+z+uluO
殿「犯人は…この学園内にいる」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:31:41.82 ID:5mskHD350
それからのトモカネは独りだった。
独りで課題をやり
独りで休み時間をすごし
独りでご飯を食べ
独りで下校した。
そんな日々がしばらく続いた。
トモカネ「はぁ……」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:39:25.48 ID:5mskHD350
美術室。
トモカネ兄「このごろ、妹の様子がおかしいんです。元気がないというか」
あーさん(妹って、あの)
水渕(破壊神ね)
トモカネ兄「で、兄として事情を聞いてみたんです」
魚住「ほう」
保村「なんて言ってたんだ?」
トモカネ兄「色々言ってましたけど、その中の一つに」
あーさん「ひとつに?」
トモカネ兄「美術部の方々に袋叩きにされたと」
水渕「……」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:39:58.23 ID:UYR+/r+j0
しえん
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:44:27.58 ID:5mskHD350
トモカネ兄「僕はですね、美術部員としてよりも兄として」
あーさん「うん」
トモカネ兄「妹の仇を取りたいんですよ」
そういうとトモカネ兄は傍らにあったモップを手に取った。
トモカネ兄「うおりゃああ!!」
魚住「いかん!総員戦闘配備!」
水渕「らじゃ!」
4人は手製の武器と防具を装備した。
保村「1vs4で勝てると思うなああああ!!」
あーさん「くらえー!」
水渕「えいっ!」
魚住「死ねぃ!!」
トモカネ兄「ぐああああああっ!!」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:49:57.59 ID:5mskHD350
あーさん「ふう……あれ?」
魚住「動かなくなった……」
水渕「こ、これって……」
保村「死んでる……!?」
高校生によるリンチ事件。
これはテレビや新聞で大きく報道された。
美術部の4人は逮捕された。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:54:29.30 ID:5mskHD350
トモカネ「ううっ、兄貴……なんでこんなことに……」
キサラギ「トモカネさん」
トモカネ「キサラギ……それに、みんな……」
キサラギ「トモカネさん……いいザマですね」
トモカネ「…え……?」
ノダミキ「リンチされたのってトモカネが原因なんでしょー?」
ナミコさん「自分のせいで兄が死んで、それでいっちょまえに悲しんでるって」
キョージュ「滑稽」
キサラギ「気持ち悪いですよトモカネさん」
ノダミキ「前から言おうと思ってたけどウザイんだよねー」
ナミコさん「そうそう、人に迷惑かけてばっかだし」
キョージュ「今回もトモカネ殿が原因でお兄さんは殺されることになり、美術部の人も逮捕されてしまった」
キサラギ「ぜんぶトモカネさんがウザイからですよ」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:55:35.03 ID:sI+z+uluO
あっー
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:58:23.89 ID:5mskHD350
トモカネ「違う……俺は……」
ノダミキ「違わないよ。トモカネはウザいよ」
ナミコさん「ああ、これ以上ないってくらいウザいな」
キョージュ「ウザい。ウザい。ウザい」
トモカネ「う……う……うわああああああああああああああ!!!!!」
翌日、トモカネが死体となって発見された。
自殺だった。
まわりは兄の後を追って死んだのだ……と考えた。
4人がトモカネをいじめていたことは、誰にも知られることはなかった。
完
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:58:42.62 ID:EIJg0PXPO
ああー…
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 00:59:48.06 ID:sI+z+uluO
どうしてこうなった…
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:01:54.13 ID:XWTxUnHrO
書き溜めてたらもっと質上がったかもね
乙
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:04:01.56 ID:5mskHD350
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:09:12.78 ID:sI+z+uluO
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:09:38.99 ID:XWTxUnHrO
野田いい
OPも一番かわいい
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:09:42.26 ID:EIJg0PXPO
乙。
>>82-84は精神に異常を来したトモカネの被害妄想と解釈した
ハブるタイプのいじめで何日も接触しないで、今さらここまで4人が執拗に責めにくるとは考えにくい
トモカネの思い出として残っていた4人との記憶と、最後に見たイジメの日々が相まって妄想の中で動きだし
自分を死に追いやったのではないかと予想
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:12:52.57 ID:EIJg0PXPO
>>88 ウオオおおお!!!姫ぇエエエエ!!君は天使だアアアアあアァアア!!!!1
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:14:15.71 ID:LRbg75CeO
乙でした
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:18:35.65 ID:NG0QKnOWO
え!?もう終わっちゃうの!?
多分、残った4人の間でも一悶着ありそうだな
でも、あいつそんなに悪い奴でもなかったんじゃね、とか涼しげに言ってそうだ
面白かったです乙
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:26:21.26 ID:5mskHD350
番外編
笹本「友兼を殺した犯人はこの中にいる」
あーさん「…っ!」
水渕「…」
保村「ぬ…」
魚住「ほう。言ってみろよ」
笹本「犯人は……お前ら全員だ!」
あーさん「な、何言うの?証拠はあるんか?」
笹本「ああ、お前らが作っていたオモチャの武器に、全員の指紋と友兼の血が付いていた」
魚住「くっ…」
水渕「ここまでね……」
保村「…あんた何もんだよ……」
笹本「ふっ、身体は教師、頭脳は探偵…その名は、名探偵笹本!!」
おわり
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 01:31:50.88 ID:vAusFL5CO
トモカネが死んでから一ヶ月ほどが経った。
お通夜、メディアなどのほとぼりも冷めてきた。
私、大道雅はあの子の一連の騒動を振り返っている。
事件に関与したであろう私を含む4人は、水面下で自己弁論に耽っているのだろう。
口にしなくてもわかる。一連の騒動から気を紛らわそうと一緒に喫茶店やカラオケに行ったりしても焦りが態度に表れている。
今日私はキサラギ殿を家へ招待している。
少しでも気持ちを落ち着かせるためにだ。
家のインターホンが部屋に鳴り響いた。
キサラギ殿が来たのだろう。
「あぁ、キョージュ。上がっていい?」
「うむ。入って。」
彼女は少し上目遣いで微笑みながらそう言った。
心なしか少し表情が曇っているような気がした。
先に彼女を私の部屋へ向かわせ、私はお菓子や飲み物を用意することにした。
いきなり本題から入るのはよくないだろう。そう思いながら冷蔵庫を漁っている。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 02:23:46.65 ID:XWTxUnHrO
ショートケーキやシュークリームなどを用意して、部屋へ向かった。
未だに彼女への言葉を選んでいる。
部屋の前についた。
私はドアノブを握り、ドアを開けた。
―――………。
彼女が、キサラギ殿が泣いている。
私は動揺してしまって言葉を失った。
……しかしこの場でどうにかできるのは私しかいない。すぐに彼女のもとへ駆けつけた。
「キサラギ殿、大丈夫か……?」
「ひ、ひっく………私、私のせいでトモカネさんが死んじゃったんです……ッうぅ」
彼女は両手で溢れ出ている涙を拭っている。
いつもの折れそうな肩が一層儚く見えた。
……私は彼女へ何をしてあげられるのか。
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 02:31:08.14 ID:XWTxUnHrO
何をしてあげられるのか?
そんな事は決まっている。
「大丈夫。」
「あっ……。」
何をしてあげられるのか。
なにもしてあげられない。
こうして抱き寄せる以外に術はない。
抱き寄せ、同じ当事者であった私も同情するしか、術はないのだ。
しばらく彼女のしゃっくりだけが続く沈黙が続いた。
彼女が口を開いた。
「わ、私、もしトモカネさんが生きていたらトモカネさんに謝りたい。 ちょっとしたすれ違いであんなことになるなんて。」
「もう終わったことなんだ。謝らなくていい。念仏でも唱えてればいいんだ。」
「そんなことない!! この前まで鬱陶しいぐらいに生き生きしていたトモカネさんのことを思うと私っ……」
彼女の本音が耳元に聞こえてくる。
本当に優しい子なのだな。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 02:38:18.55 ID:XWTxUnHrO
夕焼けが部屋の窓を介して照らすまで彼女を抱き締めた。
彼女もいつしか私を抱き締め、胸に潜っていた。全てを私に預けているようだが、そろそろ離れなければならない。
「キサラギ殿、起きろ。」
「……えへへ、寝てないですよぉ。」
やけに甘えた声で返事した。すっかり涙は止まったようだ。
彼女を玄関まで送った。
「……また来てもいいですよね。」
「ああ。」
さっきまでの泣き顔は嘘のようにニコニコしていた。
今私は学校の授業を終え、帰宅しようとしている。
一階の廊下を歩いていたら、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「キョージュ……。」
「野田殿。」
正直者の彼女は声や表情で何を考えているのかわかりやすい。
とてつもなく曇った表情と声色から察するに、トモカネのことだろう。
彼女はあの自殺からずっとこうだ。
「今日、一緒にかえろ。 ほら、いつもの喫茶店いこ。奢るからさ。」
エンストを起こした車のような取って付けて外れた笑顔だった。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 02:49:22.06 ID:XWTxUnHrO
「別に構わないが、奢られるのは好きではない。特に野田殿に奢られるのは不味い気がする」
「あはは、何それ。」
野田殿は私が承諾した瞬間に腕へへばりついてきた。やれやれ。
……それでも彼女は不安を払拭できていないようだ。
今日は特別に彼女が好きな高めのパフェを奢ってあげよう。
最寄りの喫茶店へ向かっている。
なんかはじまってた
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:03:08.95 ID:XWTxUnHrO
喫茶店へたどり着いた我々は注文したパフェを待っている。
目の前の彼女は落ち着きなく足をぶらぶらとさせ笑顔でいる。この前までの野田殿が帰ってきてくれた気がして少し微笑ましい。
そうこうしている内にウエイトレスの方がパフェを運んできてくれた。いつ見ても一人で食べきれるような量ではない。
「やったぁ! えへへ、キョージュ!あーん☆」
彼女はすぐにスプーンを手に取り、パフェのクリームをすくえば私に口を開けるよう催促してきた。
「あーん。」
「えへへ〜。間接キスだね☆」
楽しい。
彼女も昔のことは忘れて今は一時の楽しみを抱いていてほしいのだが。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:10:35.86 ID:NG0QKnOWO
なんか始まってたな
支援するから頑張って
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:11:06.80 ID:XWTxUnHrO
ようやく折り返し地点まで食べた。とはいってもほとんど野田殿が食べ、私は少し食べすぐギブアップした。にも拘らず野田殿は知らん顔で食べている。
唐突に彼女は聞いてきた。
「ねぇ、キョージュ。」
「……ん?」
あきらかに態度が一変した。
いつもの、トモカネ殿が自殺してからの彼女の表情だ。曇り、目は泳ぎ、虚ろだ。
「……キョージュはほんとに何も…ぼえてないの………?」
「………???」
消え入りそうな声で聞き取れなかった。
「……やっぱなんでもない。気にしないでっ。」
「………。」
何か、言い様のないとてつもなく嫌な予感がした。
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:11:31.05 ID:LaC8KSRw0
後日談か
支援
トモカネがいないGAか…
妙な感じだ
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:18:11.17 ID:XWTxUnHrO
テーブルの上のパフェへ目をやると、とうとう器だけを残して消えてなくなっていた。
「えへへ、ごちそうさまっ☆」
「お腹、壊さないようにな。」
私は伝票を持ち、カウンターへ向かおうとしたが野田殿に呼び止められた。
「いいのっ。今日は私が払うから。そのかわり次は払ってね。」
「……ふ。わかった。」
寂しそうな声色だった。
次またここで会うための動機作りのつもりだったのだろうか。私は止める事ができなかった。
>>56 >水渕「絶対に許さない」
ここだけは評価してやる
ノダ殿、キサラギ殿、普段と口調が異なるようだが
なんというVIPスレww
まぁ一種のアンソロジー的な感じでオモロいけどw
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:31:47.52 ID:XWTxUnHrO
クーラーの効いた店内から一変、初夏の蒸し暑さに曝された。
すぐ目の前の交差点に見慣れた女性が自転車に乗っていた。
彼女も私たちに気づいたのか表情をはっとさせ、手を振ってきた。
「あ、ナミコさんだ!おーい。」
後ろにいた野田殿も応えるように手を振った。
そういえばこの道は彼女らの帰り道だったな。
歩行者の信号は青に変わり、彼女は自転車を押して近づいてきた。
合流した彼女たちはこの後どうするのだろうか。
……私は帰った方がいいか。
「では、私は失礼する。」
「え。一緒に遊ぼうよ。」
「いやいい。元気な様子を見れてよかった。」
「そっか。じゃあまた今度ね!」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:35:14.21 ID:XWTxUnHrO
「例の件、どうなの?」
「キョージュは何も知らないわ。」
「じゃあ計画通りに進めましょう。」
「だね。」
「警察の捜査の矛先が私たちに向かっているわ。まったく、安心して夜も眠れない。」
「焦らず確実に進めましょう。」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:43:13.07 ID:XWTxUnHrO
私は夢を見ているのか。
光が一切差さない真っ暗な場所にいる。ここがどこかわからない。
目の前には『何か』が立っている。
体は水分をすっていて所々醜く膨張していて、腐っている。
ゾンビのように両手を伸ばし、よたよたと千鳥足で近づいてきている。
気持ち悪くなって私は逃げた!でも……全速力で走っているのに、全くスピードがでない。私はその場で転んでしまった。
『何か』は目が潰れているくせに的確に私の下へ近づいてきている。
そして、いった。
「お、お、おばえがごろ゛じだ。お、おおぉぉぉおッ」
「う、うわ」
「うわぁああああ!!!!!」
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:44:03.77 ID:LaC8KSRw0
支援
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:53:07.08 ID:XWTxUnHrO
……ベットの上にいた。さっきまでこけていた体を起こすつもりが、飛び起きる結果になった。
カチッカチッと壁の時計が小さく鳴っている。目をやると5時頃だった。
朝焼けが部屋を優しく照らしていた。まるで恐怖する私を優しく包み込むように。
この多量の汗は夏の暑さだけではあるまい。おそらくさっきまでの悪夢が原因だ。
……『アレ』は一体何なのだろうか。
あの変調器で複雑に、かつ不気味に変調されたかのような声では何をいっているのかわからなかった。
……いや、たかが夢だ。深く考えるのはよそう。思考をシャットアウトした。
とりあえずこの嫌な汗を洗い流したい。お風呂に入ることにする。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 03:53:44.98 ID:b/Ur/Mca0
GAのSSなんて珍しいじゃあないか
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:07:25.25 ID:NG0QKnOWO
ひとつひ〜とつ
今日は休みだ。
キサラギ殿を家に呼び一緒に勉強をやろうと思っている。
私はソファーに深く座り、彼女が来るのを待っている。
―――……水死体、か。
そういえばトモカネ殿の遺体も港で見つかったと聞く。
数ある自害の手段の中から入水をチョイスするなんて正気の沙汰とは思えない。
きっと苦しんで死んでいったのだろうな……。
やはり人が一人死んだということは相当重大な事で後悔や不安や同情などの思いは禁じえない。
物思いに耽る私を妨げるようにインターホンが鳴った。
彼女だろう。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:12:34.34 ID:LaC8KSRw0
友兼……
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:15:38.48 ID:XWTxUnHrO
「こんにちは、キョージュさんっ」
「ああ。あがって。」
「お邪魔します。」
この所二人は私に依存しているようなきがする。
頼ってくれるのは嬉しいのだがいざ私がいなくなれば二人はどうなってしまうのだろうか。
……簡単なことだ。いつもいつまでも一緒にいてあげる。それ以外に選択肢はない。
いつものように彼女を二階の部屋へ向かわせ、一方で私はお菓子を探している。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:25:02.52 ID:XWTxUnHrO
私はお菓子片手に部屋のドアを開けた。
するとキサラギ殿は正座しながら異常にでかい目をさらにひんむいて何かを見ている。
異様な光景に寒気すら感じ、一瞬逃げたいとも思ったが、ゆっくりと踏みよった。
「ど、どうしたんだ……?」
恐怖から声がうまく出ないのがわかる。
「………………あ、あはは。い、いや、これトモカネさんも持ってたなぁって。」
彼女は私の声でようやく我に返り、何かを指差した。
人差し指の先には課題で作ったネックレスや指輪などのアクセサリーが入った入れ物があった。
「あ、あぁ、これか。トモカネ殿と一緒に作ったんだ。初めての作品だな。」
「…………へぇ。」
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:35:50.62 ID:XWTxUnHrO
「今となってはもう遺品に近いな。こうして眺めると昔とは違って見えてしまう。」
「…………それ、肌身離さず持っていたらしいですよ。」
「そうか……。 ………さて、気を取り直して勉強をしよう。」
私は空気を入れ換えるつもりで鞄から教材を取りだし、テーブルへ置いた。
いつまでも時間をあの時に止めておくわけにはいかない。
………彼女へ目をやると、俯き表情を曇らせている。無理もない。
「教材を出して、キサラギ殿。」
「あ、は、はいっ。」
慌てて彼女は教材を引っ張り出した。
………何か普段とは違う違和感を感じた。
いつか味わった嫌な予感にも似た違和感だ。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:37:37.74 ID:LaC8KSRw0
支援
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:44:45.80 ID:XWTxUnHrO
水飲んでた
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:52:34.70 ID:NG0QKnOWO
あらかわいい
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 04:55:08.02 ID:XWTxUnHrO
彼女は真面目で課題や態度は先生方から高評価を得ている。
そんなキサラギ殿との勉強は本当に捗るし楽しいのだ。ついこの前まではじゃじゃ馬がいたのだが。
……じゃじゃ馬も、急にいなくなられては少し悲しいということを知った。これはいくら真面目な我々が勉強したところで辿り着けなかった知識なのかもしれない。
「…………信じていますからね、キョージュさん。」
「? 何を?」
唐突に、思いもよらぬ事を投げ掛けてきた。いったいどういうことなのか。
「……今日はもうこのぐらいでいいです。ありがとうございました。」
「そうか…。」
何時もはもう少しするのに、今日は二時間になるかならないか程度で彼女から言ってきた。
心なしかいつもより元気がないような気がする。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:05:23.62 ID:XWTxUnHrO
いつものように彼女を玄関まで送るとまたソファーに戻り、どすんと深く座った。そして深いため息を付く。
何か、あれこれと疑う日々が続いている。
ここ何日かで急激にストレスにみまわせている。
テーブルの上に置かれた私の携帯が振動した。携帯を開け見てみると、どうやら野田殿からのメールのようだ。
さっきまで休憩モードだった私はすぐに気持ちを切り替え、メールに集中した。
休憩を妨げられたからといって彼女らを恨んだりはしない。
from:野田殿
次の休み、また喫茶店行こうよ。
今度はじっくり遊ぼう☆
……やれやれ。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:06:27.98 ID:XWTxUnHrO
やばい、眠たい……困った
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:18:59.44 ID:XWTxUnHrO
リタイアだ
すまん
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:21:04.00 ID:LaC8KSRw0
続きが気になるが……無理はいかんな
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:22:35.47 ID:qblc70EWO
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:23:30.07 ID:XWTxUnHrO
いかん、やっぱ最後までかいてしまおう。
コーヒーいれる。
見てくれつありがとう
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:36:02.14 ID:XWTxUnHrO
案外早いうちに借りを返すことになりそうだ。知らないうちに微笑みが漏れていた。
私は了解とだけ打ち、送信した。
彼女との休日が今から楽しみだ。そう思いつつ食べ残したお菓子を口へ運んだ。
―――反面、不安を払拭しきれない部分もある。
喫茶店で感じた違和感、今日キサラギ殿から感じた違和感。
そして………今日見た悪夢。
これらが立て続けに引き起こり、どうも無関係だとは思えないのだ。
何故なら、どれも同じような質感を帯びた違和感なのだ。
…………考えすぎだ。
そう、考えすぎだ。
考えすぎに決まっている。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:44:47.01 ID:XWTxUnHrO
登校日。
キサラギ殿も野田殿もナミコ殿も皆いつものように接してくれている。
二人が困れば私やナミコ殿が支え、ニコニコしてお礼を言う。いつもの日々だ。
「今度の休みさ、喫茶店の帰りにキョージュのとこ行っていい? この前のゲームやろうよ!」
「ああ、構わない。」
「わーい!」
私の返答や態度で一喜一憂する彼女は本当に面白くて愛らしい。つい微笑みを溢した。
ひょっとすれば私は彼女に恋をしているのかもしれない。
相手が同姓というだけで、なんらおかしくないはずだ。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:54:50.01 ID:XWTxUnHrO
そうこうしているうちに休みは来た。
約束通り先に私は喫茶店で待っていた。アイスコーヒーを飲みつつ店内に流れるジャズサウンドへ耳を傾けながら、午後の風景を窓際から眺めている。
しばらくするとカランカランという音が聞こえ、見慣れた姿が見えた。彼女は小さく手を振っている。
「お待たせっ。」
「待つのは好きだから。」
独り向こう側に置かれた冷水が入ったコップが、彼女が座ることでようやく居場所を見つけたように見えた。彼女の賑やかさや華やかさからだろう。
「いっておくが、あのパフェは頼むな。」
「わかってるよ……さすがに私も胸焼けしたし。」
「ふっ……。」
今のところは何の変哲もない午後の風景だ。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 05:56:25.05 ID:LaC8KSRw0
お、続きかくのか頑張れ
支援
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:07:08.10 ID:XWTxUnHrO
「……ていうのも考えたんだけどー。」
「面白い。」
今度の課題について彼女の話を聞いている。
どれも突拍子もないユニークなものばかりだ。
話をしている彼女は何よりもイキイキとしていて低血圧の私は元気を分けてもらっている気分になる。
「このケーキおいしー!」
「それで、何だったんだ?」
「え…あれ……何だっけ?」
彼女は視線を斜め上へ向け顎をかき、やや焦ったように考えているようだ。
話だけではない。仕草や表情、あらゆる事において彼女に飽きるという事はなかった。
もうすこし私の瞳に彼女を映したい。
「なっ……あんま見つめないでよ。」
「ふふっ……。」
少し、日々のストレスから解放された気がした。
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:20:48.60 ID:XWTxUnHrO
しばらくして我々は喫茶店を後にした。
会計はもちろん私がしておいた。
「〜〜♪」
私よりも少し身長の低い野田殿は元気に鼻唄を歌いながら歩いている。
微笑ましい。
彼女の手を握りたくなった。
「えへへー♪」
彼女も握り返してくれた。
確信した。いやしていた。
私は野田殿が好きだ。
家へ着いた我々はリビングへ向かい、テレビの電源を入れた。
「後は好きなようにしていい。」
「え?やらないの?」
「見ているだけでいい。」
夢中な彼女の背中を見守っていたかった。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:34:18.14 ID:XWTxUnHrO
彼女はゲームの電源をいれようとした。その時。
彼女は四つん這いのまま固まった。
途端に妙な違和感が彼女の周囲から漂ってきた。どこかで味わった、そう、あの三つの違和感だ。少しの恐怖を覚えながらも私は彼女へ話しかけた。
「………どうした、何かあったのか。」
「…………………これ。」
彼女は姿勢を正座に変え、おもむろに一点を指差した。
指先へ目をやると、そこには課題で作った髪飾りがあった。
「あ、あぁ。それは課題で作ったんだ。トモカネ殿と。遺作になってしまったな。」
何が怖いのか自分でもわからないが、私はゴミ箱に捨ててあった髪飾りを足で何度も何度も踏みつけ、奥へ奥へ奥へ奥へ、押し付けた。
「はぁーっはぁーっ………ふぅーー。ほら、速くゲームを。」
「………っ。」
彼女は小動物のように小刻みに震え、私へ疑いの目にも似た眼差しを向けた。
つい、目をひんむいて睨み付けてしまった。
「わ、私帰る!!お邪魔しました!!!」
「待てっ!!!!逃げるな!!!!!」
「ご、ごめんっ…!」
彼女は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、逃げるように玄関へ向かい、帰っていった。
……………くそ。
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:42:35.75 ID:XWTxUnHrO
『キョージュ。』
「………私に話しかけるな。」
『俺はキョージュの気持ちわかるよ。』
「黙れ。」
『………………いつも俺の事守ってくれたよな。今度は俺が守ってやるからな。』
「……ッ」
布団の中で泣きつかれた。とうとう幻聴が聞こえるようになった。
蘇る記憶に必死で蓋をしめている。
本当はずっと前から気がついていたのかもしれない。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:46:58.23 ID:XWTxUnHrO
真夜中にインターホンが鳴った。
もう、逃げるしかない。逃げるために戦おう。
私は二階の窓を静かに開け、屋根へ登り、警察どもの目を欺き全力で走った。靴など履いていない。足が痛い。
涙が溢れている。
―――私がトモカネ殿を殺したんだ。全て思い出した。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:54:55.56 ID:XWTxUnHrO
あの日私はトモカネ殿に自殺に立ち会ってくれと言われた。
私は心が痛かったが彼女の決心は固く止めようがなかった。
真夜中に港へ向かい、トモカネ殿はゆっくりと梯子を降り海へ浸かっていった。その様はまるで故郷へ帰る海ガメのようだった。
とうとう全身は海へ浸かり、数秒経過した。ところが彼女は海から顔を出してしまった。
頭に来た私は足で何度も何度も踏みつけ、奥へ奥へ押し付けた。
言葉にならない悲鳴をあげていた。
しばらくして彼女の反応は消え、ゆっくりと夜の海に浮かんでしまった。
事の前に彼女から遺品としてアクセサリーを預かっていた。
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 06:58:40.58 ID:XWTxUnHrO
家で私はやっていない、私はやっていないと1000回以上唱えた。
記憶に蓋をしたのだ。
夢中で走ってきたため、少し息が切れてしまった。
隣には工事中の建物があり、角材などが散らばっている。
ふと人の気配がして目の前を見た。
―――……野田殿。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:01:07.58 ID:sI+z+uluO
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:02:27.19 ID:11nRArZ90
トモカネはいっそのこと男ならよかったのに
スカートはいてたら逆に受け入れられない
今流行のスカート男子かっていう
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:06:39.83 ID:XWTxUnHrO
野田殿は両手を広げ、道を妨げている。
恐怖しつつも決心固しといった表情だ。
………裏切り者め。
あれだけ恋い焦がれていた相手なのに今はそんな苛烈な感情しか湧かない。
私は角材を手に取り、臨戦体勢を取った。
「………そうやって、トモカネも殺したの?」
「うぉぉおおおお!!!!黙れぇぇぇえあああああ!!!!!!」
……角材を彼女の頭蓋骨目掛けて振り回したら、簡単に頭蓋骨は砕け散り脳がその裂け目から溢れでた。ケネディ暗殺のあれを体現しているかのようだ。
「ふ、ふははは。あははははは。」
今ならなんでもできる気がする。車の行き交う道路へ全力で走った。
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:17:02.41 ID:XWTxUnHrO
目の前に車が一台こちらへ走っている。ちょうどいい、あいつにしよう。
「はぁっ!!!」
タイミングを合わせうまく車の前車体へ乗った。突然の出来事にドライバーは対応しきれないといった様子だ。ブレーキを踏む前に私は角材を思いっきり叩きつけ、正面の窓を叩き割った。
「死にたくなければ私の言うことを聞け。私の言うことを聞けば少なくともこの場で即死する可能性からは逃れられるぞ。」
「ひ、ひいぃ!!!なんでもします!!!!」
見たところ40代前半の痩せた男だ。しめたものだ。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:20:28.24 ID:sI+z+uluO
もはや芸術とか言ってらんなくなってるぞ
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:26:52.10 ID:XWTxUnHrO
裂け目から助手席へ乗れば、ちょうど馬鹿なパトカーが数台サイレンを鳴らして追いかけてきた。
私は運転席のドアを開け、迷わず男を捨てた。悲鳴をあげていたがまあ死にはしまい。パトカーも男を無視することはできない。少しは足止めになるだろう。
私は運転席に移り、全体重をアクセルへ向け、暖色の街灯が照らす橋を超スピードで走り抜けた。
警察どもが応援を要請する前に、手を打っておこう。何、簡単な事だ。ブレーキを踏むだけだ。躊躇なく全体重をブレーキへ向けた。
案の定パトカーとこの車は玉突き衝突事故を起こし、激しい爆発が起こった。
私はというと、先程破った穴から瞬時に脱出した。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:32:31.77 ID:sI+z+uluO
GANAAN
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:35:53.85 ID:XWTxUnHrO
混乱と暗闇に乗じ、私は最寄りの河川の橋の下へ逃げ切ることができた。
さっきの息切れとは比べ物にならないほどの息切れをしている。
だが、これなら逃げ切ることができる。整形でもなんでもして逃げればいいのだ。
息切れはまだ落ち着いていないが、立ち上がった。この距離ではいずればれると考えたのだ。
「止まりなさい!!!おとなしく両手を挙げなさい!!!!」
背後から聞きなれた声が響いた。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:48:53.34 ID:XWTxUnHrO
手を挙げゆっくりと振り返り、姿を確認した。
「止まりなさいと言っているのがわからないんですか…?」
「これはこれはキサラギ殿。警察のコスプレですかな?」
警察の格好をしているわけじゃない。おそらく先の警官から入手したであろうピストルを稚拙な構えで私に向けているのだ。
「………信じていたのにっ……。」
「君に撃てるのかな?この私を。」
「こ、来ないで!!!うわぁあああ!!!!!」
バンバンバンバン!!!!
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:54:03.21 ID:XWTxUnHrO
カチッカチッカチッ
「………ひ……ひぃぃ…し、死ん……ころしっ………うわぁぁぁぁあああ………!!!!」
「………く、くく。」
「え………。」
「その程度で殺したつもりかぁ!!!山口如月ィィイ!!!!」
私は再び起き上がり、角材を彼女の頭蓋骨目掛けて振り回した。が、命中しなかった。避けたのではなく、私の疲労からだ。
私は疲れはて、そのまま座り込んでしまった。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 07:59:31.58 ID:XWTxUnHrO
彼女の銃弾は私に命中していた。
ところが、トモカネ殿のアクセサリーを入れていたおかげで死なずに済んだのだ。
騒ぎを聞いて駆けつけてきた警官に取り押さえられた。どうやら私はこれまでのようだ。
いっそのことあの銃弾で死ねばよかったのにとパトカーで輸送されている中考えている。
『私が守るっつったろ、キョージュ。』
………また懐かしいじゃじゃ馬の幻聴が聞こえてきた。
声を聞いた瞬間、どうしようもなく涙が溢れた。
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:04:44.26 ID:NG0QKnOWO
がんばー
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:05:32.59 ID:XWTxUnHrO
「大変でしたね、野田さん」
「ほんとだよ。こんな大がかりな仕掛けまでして。GAじゃなきゃこんなキットないよ。」
「毎晩毎晩洗脳するために枕元で変調器で囁いてた私だって大変だったわ。」
「でもこれで罪をキョージュさんに擦り付けることができましたね。」
「ほんとに犯罪しちゃったしこれで警察の捜査からは逃れられるね。」
「明日私の所でお祝いパーリーしましょう♪」
「賛成ー☆」
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:06:51.01 ID:XWTxUnHrO
おわり
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:08:21.47 ID:NG0QKnOWO
終わりか乙
いや、まったく面白くない
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:21:06.60 ID:EIJg0PXPO
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:22:18.42 ID:NG0QKnOWO
普段のGAとギャップがw
策士すぎだろwwwwwwwwwww
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:10:50.85 ID:NG0QKnOWO
期待
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 10:41:25.44 ID:LaC8KSRw0
こんな終わりってw
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 10:43:28.34 ID:LaC8KSRw0
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 11:52:39.94 ID:YQXlfS9tO
おつ
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 12:46:46.49 ID:XWTxUnHrO
ほ
計画中
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:10:06.78 ID:XWTxUnHrO
あれから三年が経った。
私は少年法によりそのまま刑罰を課される事はなく、少年院、保護観察となった。
20歳になった今、改めて悪質な犯罪と認められ罪を課せられた。
懲役2年の実刑判決を受け、拘置所生活を送っている。当然親友だった彼女たちから手紙など来ることはなく、真の孤独を味わっている。
もし世に出ても、社会復帰などできるわけがない。
そんな絶望に曝されている今、私に一つの楽しみができたのだ。
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:25:07.20 ID:XWTxUnHrO
ここを出れば社会から見捨てられ、社会復帰も許されない。
後悔や不安しかない絶望的な思いで少年院へ入った。
少年院では精神的回復を目標に勉強や規則正しい生活などを送る。基本的には集団生活で、寝るときも3人同じ部屋でねる。決して広くはない畳の部屋だ。
女子寮男子寮とがあって、勉強と食事の時にだけ合同して行動を共にすることがある。
こんな何も楽しくない生活を送っていても、小さな幸せというものは訪れる物だということを知った。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:30:12.11 ID:NG0QKnOWO
なんてダークなGAなんだ…
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:37:39.67 ID:XWTxUnHrO
いつものように少し広い食堂へ入った私は、私がよく座っている席へ座った。
教員の話によると今日は男子が料理を作ったそうだ。
なので厨房から戻ってくるまでしばらく待たされた。
この時まだ私にはどうでもいい出来事でしかなかった。
目を閉じ、教員の呼び掛けが聞こえるまでしばらく待っていた。
『はい。じゃあいただきますを言いましょう。』
そんな馬鹿げたリクエストに応えられるわけがない。溜め息を付き、目を開け見てみると、シチューや肉じゃが、漬け物、ご飯がテーブルに置かれていた。
私はほぼ流れ作業的に箸を取り、肉じゃがを食べた。
「肉じゃが僕も作ったんだけど、不味くないかな。」
「………?」
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:51:45.10 ID:5mskHD350
まだ続いてた
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:52:02.13 ID:XWTxUnHrO
男の声が聞こえ、ナンパか?と少々苛立ちを覚えつつもふと前へ目をやった。
――――…………。
トモカネ………殿…………?
「? 大丈夫かい?」
目の前の男は、私が殺してしまったトモカネ殿にそっくりだった。
余りの瓜二つに言葉を失い、同時に箸をテーブルへ落としてしまった。
そんな馬鹿な………必死に思考した。
たしか彼女には兄がいたが、彼はとっくの昔に亡くなっていた。それに座っていてもわかるが、彼とは違い明らかに身長は高い。
―――化けて出てきたのかもしれない。それほど目鼻立ちや髪型はそっくりだった。
表情や声色は不気味なほど落ち着いていて、全てを見透かしているようだった。
未だに言葉が出ない私を、目の前の男は心配そうに見ている。
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:00:31.12 ID:XWTxUnHrO
……数秒かけてようやく冷静さを取り戻した私は、箸を広い直し、言葉を探した。
「………すまない。貴方が知り合いに似ていて少々驚いてしまった。」
「君もか。僕も君を見た時知り合いににていて驚いたよ。」
「………。」
会話したくない。
彼と会話しているとトモカネ殿を思い出す。
私は知らん顔でご飯を食べ始めた。
「君の事を知りたい。良ければ友達になってくれないかな。」
「………断る。」
「そんな。疚しい考えなんてないのに。」
「断る。」
はっきりと彼の関与を断絶した。
もう懲り懲りなのだ。人間関係など。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:12:27.58 ID:XWTxUnHrO
はっきりと意思を伝えるため、わざとらしく物音をたてながら食器を重ね、厨房へと運んだ。直視していないが、明らかにショックを受けていることだろう。
これでいい。私には人間関係など築けないのだ。
部屋に戻った私は小さな自分用の机で課せられた勉強をこなしていた。
奴を、先程食堂にいた彼を思い出す。
………名前ぐらい聞いておけばよかった、などと淡い後悔をしている。
何日か経ち、少年院内で執り行われた創作活動で作った絵や芸術作品が展示された。
体育館のような場所で、少年院の生徒だけではなくいろんな方々が展示物を見ている。
もちろん私も油絵を使って描いてみた。教員や同じ女子生徒に割と高評価を得た。
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:14:39.22 ID:NoxnI2IQ0
どんな罪を重ねてみようかな
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:23:43.95 ID:XWTxUnHrO
純粋に生徒らが作った作品に興味があった私は、閲覧にも参加した。どれも面白いものばかりだ。
「うわーすげー!!」
「お前ほんとうめーな」
急に騒がしくなった。
ふと騒ぎのもとへ目をやると、どうやら男子寮の方だ。女子も男子もその展示物に興味津々といった様子で、ほんとうに賑やかだった。
私もその騒ぎに参加するように向かった。
絶句。
あらゆる芸術家の優れた芸術作品が並んでいたとしても何ら遜色のないほどに美しい色彩。
明らかに特別扱いされているかのように高級な額縁がその美しさを強調していた。
私はその絵に心奪われてしまった。
「その程度の絵なら、何枚でも描けるよ。」
背後から、どこかで聞いた声が優しく聞こえた。
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:38:12.28 ID:XWTxUnHrO
振り返ると、やはり彼だった。
あれから片時も忘れたことはなかった。トモカネ殿に似た彼。
彼は他の連中に視線をやらず、ただ私だけに語りかけるように言った。
「でもね。いつだって、本当に描きたいものが描けないんだ。
何年時が経っても色褪せない、無垢や運命を彷彿とさせる天使を描きたいんだ。」
彼はそっと額縁に手をやり、儚い表情を浮かべ言った。
「―――君の絵見せてもらったよ。素晴らしかった。」
「………こんな物を見せられた後にそんな事を言われても今一つ心に響かない。」
「はは。」
不思議だ。何年も前から彼と会っているような、そんな安心感がする。
なんてダークサイドなGA…
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:43:27.39 ID:XWTxUnHrO
ちょっと休憩しよう
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 15:00:23.11 ID:XWTxUnHrO
ほ
なんとか終わらせたい
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 15:01:01.83 ID:NoxnI2IQ0
ごっちゃまっぜっのっ ←ウザい
まだ続いてたのか
支援
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 15:15:07.43 ID:XWTxUnHrO
「………少し話をしないか。自由時間はまだ少しあるはずだ。」
彼は振り返り言った。
……本当は断らなければならない。
それなのに彼に対して今まで以上に興味をそそられた私は断ることができず、彼の要求を承諾してしまった。
「………少しだけだぞ。」
我々は体育館から離れ、人が少ない施設内の中庭のベンチに座った。
中庭には手入れのされた草木が色とりどりに咲いていて、のんびりするにはうってつけだ。
隣に座った彼はしばらくして口を開いた。
「ここに来る前の、君の事を教えてほしい。どんな些細な事でもいい。話してくれないか。」
「………わかった。」
GAの事、仲間の事を思い付く限り話した。
――無論、事件の事は話さなかった。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 15:28:07.70 ID:XWTxUnHrO
「はは。面白い人たちだね。」
彼は私の一言一言に優しく相づちをしてくれたり、くすっと笑ってくれる。
しかし、突然表情がシリアスになり、刺すような声色に変わった。
「でも、君の仲間は4人いるんじゃなかった? その、トモカネという子はどうしたの?」
鋭い。
私は動揺を隠しきれなかった。
………ここは素直に話すべきだろう。
彼とは腹を割って付き合いたい。
私は本当の事を話した。
あの事件の全貌を。
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 15:42:45.91 ID:XWTxUnHrO
「………そんな事があったのか。」
彼は真剣に話を聞いてくれた。
感慨深そうに俯き、言葉を探しているような様子だ。
「………すまない。私の事が嫌いになったらいつでも離れていい。慣れていることだ。」
また自分を守るためにこんな事を言ってしまう。本当は許されたいのに。
「いや、ここにいる以上皆事情を抱えているしおかしいことじゃない。 そんな事で僕は嫌いになったりしないよ。それに君は悪くない。」
彼は慰めるように言った。
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:07:17.13 ID:NG0QKnOWO
紫雲
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:22:50.92 ID:XWTxUnHrO
ちょっと困りましてね
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:35:40.99 ID:XWTxUnHrO
ここにいる以上何かしらの理由があってここにいる。
その通りだ。
彼もまた、何かの理由があってここにいる。
だがそれを今探らなくてもいい。
彼にどんな過去があっても、彼は彼なのだから。
「―――僕は人を殺している。少年院を出れば改めて裁判が執り行われ実刑が下るだろう。 約束してほしい。離れ離れになっても手紙を交換してくれ。君と離れたくない。」
「………お安いご用だ。」
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:44:36.82 ID:XWTxUnHrO
月日は流れ、
とうとう私は拘置所に移送された。彼は最後まで私を見送ってくれた。
約束通り拘置所で彼と手紙のやり取りをした。何通も何通も重なり、看守に捨てろと言われたが頑なに守った。彼からの手紙を命よりも大事に守った。
看守から殴る蹴るの暴行を受けた。それでも手紙を守った。
私は彼が好きだった。
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:53:40.05 ID:XWTxUnHrO
社会的に抹殺された。
かつての仲間や家族、周りの人間全てがそう思っただろう。
だが、私は華麗に蘇り再びこの地に足を踏みしめたのだ。
ちなみに彼と獄中結婚をした。告白は彼からだった。
釈放され数年も経たないうちに私は獄中での出来事や絵についてのエッセイを書き綴った。かつてのあの騒動が売れ行きを後押しし、堂々のベストセラー入りとなった。都内の高級住宅街で端が見えないほどの一戸建てを建ててやった。
今ではかつての落ちぶれた知り合いが金を貸してくれと頼み込んでくる始末だ。汚いジャージを着ているババアのようだが、どうも名前を思い出せなかった私はとりあえず靴を舐めさせることにした。
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:54:58.80 ID:kyA18VBzO
部長が一番可愛い
でも中部弁って何
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:55:44.12 ID:XWTxUnHrO
もう終わる。
ご愛読ありがとうございました。
終わりかいw
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:56:51.09 ID:XWTxUnHrO
ああ、一言トモカネのこと引っ張ってきたほうがよかったか。
頭が回らなかった
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 16:56:51.33 ID:vKNKLiwLO
酢猫がいいー
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 17:06:06.85 ID:EIJg0PXPO
何だよこれ
今度どっかで野田の話も考えよう
サクッと終わるやつにしないと大変だな
乙!
とても良い暑気払いになった。
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 18:21:09.60 ID:NoxnI2IQ0
野田いじめ期待あげ
乙
キサラギちゃんの眼鏡絵の具漬けにしたい
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:06:38.52 ID:5D7Gf+NzO
家に帰ったら読む
ほし
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:14:39.62 ID:XWTxUnHrO
野田いじめ計画中
ほんとはネタっぽくしようと思ってたんだけど
てか今更ながら
>>1ごめんね
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:20:55.69 ID:mwD833Pw0
待望のGASS
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:29:08.12 ID:XWTxUnHrO
「ひっ………ひとつっ。」
「ひとつひーとつ。ぐすっ。」
『発症』してからもう何時間経過してしまったのだろうか。
私野田ミキは、光の一切指さない暗がりの中、いつまでもあのフレーズを歌っている。泣き濡れ、時おりしゃっくりをしながら。
いや、歌わせれているのだ。忌々しい病原体に。
ふたつふ〜たつ
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:41:51.22 ID:XWTxUnHrO
数日前。
皆で課題に取り組んでいた。
キサラギちゃんが一生懸命にやっていたり、キョージュやナミコさんが時折アドバイスをして、完成された作品をトモカネが壊す。
そんないつもの風景だった。
突然キサラギちゃんが話題を投げ掛けた。
「みなさんはひとつひーとつ病って知っていますか?」
「ひとつひーとつ病?」
「聞いたことがある。ひとつひーとつ菌が体内に侵食することで『ひとつひーとつ』と死ぬまで歌ってしまう病だ。」
「あはは何それ、キモ!!」
私はまさか自分が感染するなんて思ってもみなかったから、散々笑いものにした。
………皆に会わせる顔がない。もう後数字間後には学校に行かなくてはならない。
こうして四苦八苦している間も私は「ひとつひーとつ」と歌っている。
………死にたい。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:50:33.86 ID:XWTxUnHrO
ネットでひとつひーとつ病について調べようとした矢先、玄関を激しく叩く音が聞こえた。
「ごめんください、警察の者です。この辺りでひとつひーとつ病が流行しているので検査に伺ったのですが。」
――私の身体中から汗がわき出ているのがわかる。
ひとつひーとつ病は今のところ治療方法がなく、とにかく伝染を食い止めるために隔離施設へ捨てられるらしい。
噂では処分することも視野に入れられると聞く。
そんな所に入れられてたまるか。
私は逃亡生活を計画する。
どうせ死ぬんだ。他のみんなにもうつしてやる。
こんな決心をしている最中でもひとつひーとつとひたすら歌っている。
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:57:01.60 ID:XWTxUnHrO
「ひとつひーとつひーとつひーとつ。」
「お、お前まさか……。」
リビングでありったけの食料を調達していると、起きたお父さんに見つかってしまった。
でもそんなことで物怖じなんてしてられない。
コップに水を入れ、口に含んだ。
「ゴボッ ゴボボゴーボボゴーボゴブハァッ……ゲホッゲホッ!!!ひ、ひーとつ、ひとつひーとつ………。げほっ。」
「………お前。」
………食べ物を食べたり水を飲むのにはコツがいるようだ。
当たり前の生命維持活動なのに一夜にして命取りの綱渡り活動に変わってしまった。
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 20:04:10.33 ID:XWTxUnHrO
私の行動をお父さんは一切止めなかった。
準備を終えた私はリュックを背負いお父さんへ敬礼した。
「ひとつひーとつひーとつひーとつ!!」
「ああ、言ってらっしゃい。」
玄関へ向かおうとした矢先にインターホンがなった。
さっきの警察ではないだろう。何故ならインターホンは鳴らさなかったからだ。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 20:09:11.25 ID:XWTxUnHrO
あんまり寝てないから眠たい
コーヒー入れる
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 20:16:32.91 ID:XWTxUnHrO
「例のウイルスの感染状況はどうなっているのだ、キサラギ殿。」
「あ、はい。私がムカつく相手に感染させて徐々に拡大しています。施設もパンク状態だそうです。」
「そうか。野田殿の困惑する姿、一度見てみたいものだ。」
「………ぐッ?!……あ、ああッ!!?………き、キサラギ殿、これは。」
「さっき言ったでしょう、ムカつく相手に感染させると。」
「ぐぁああああ貴様ァアアア!!!!ひとつひーとつぅああああアア!!!!」
「せいぜい残りの人生をその鉄格子で過ごしてください。あははは。」
まだ続いてた
ってかなんじゃこりゃw
SSまともに終わらせたの一回しかない
心理描写とか抜いたやつ
無理しすぎたな……
まだあったのかよw
てか昼やってた奴と内容変わりすぎだろww
もっと人気あるとこの見て研究するわ
ってことはもう終わりか?
乙
ひとつ
ひーとつ
ひとーつ
ひーとつ
思わず俺もつぶやいちゃたからw
支援しとく
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 21:53:01.40 ID:NoxnI2IQ0
ひとつひーとつwwwwwwwwwひーとつひーとつwwwwwwwwwwwwwwwww
残念ながらもう終わりだって
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
ひとつひーとつひーとつひーとつ