1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
「一心同体の私達と次の誰かとの邂逅のようです」
略称「2+1」「ニーイチ」
ジャンルは「普通じゃないのはわけがある、自堕落ひねくれもの」…とかどうでしょう
まとめは、ななばつさん
間が空きました
医者行ったり映画行ったり短編投下してたりしてたらあっという間ですね
もう最終回も近いので、これからは休みなしでいきましょう
さて、面白いと思ったなら、
「知ってるか…。コイツの作品、悪くない。支援」
つまらないと思ったなら、
「…クス。私を失望させないでいただきたい」
とレスをくださると自分は調子に乗るのでお気をつけを
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 20:55:09.42 ID:vR7fO2MS0
産業説明
・運命が見えるクラスメイト
・そんなもの俺の右手(幻想殺し)で…
・奇跡の価値は?
(-_-)難儀な超能力者のようです 2
第二十三話
『流石な兄弟〜実は学校を動かしているのはこの人達かもと思うのですが、
兄者が私の着替え写真(盗撮)を見てハァハァしているのを見たらどうでもよくなって
とりあえずデンプシーロールを打ち込んでみましたがどうでしょう?〜』
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 20:58:14.09 ID:vR7fO2MS0
次の日の放課後。
私達が来たのは勿論新聞部。
…でも今日は珍しく卑猥な声が聞こえてきませんね。
( ・∀・)「入るぞ」
( ´_ゝ`)『新婚さん、いらっしゃ〜い』(´<_` )
なぜか流石兄弟さんがいました。
寛いでいます。
(゚、゚トソン「なぜお2人が?」
( ´_ゝ`)「決まってるぜハニー」
(´<_` )「手伝いだよ」
('、`*川「私のね」
ペニサスさんが顔を出します。
相変わらずスカートが短い。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:01:21.39 ID:vR7fO2MS0
/*゚、。 /「今日はお客さんたくさん来ますね〜」
(゚、゚トソン「たくさん?」
(´<_` )「さっきまで会長がな」
( ´_ゝ`)「クーにゃんが」
(゚、゚トソン「(クーにゃん…)」
( ・∀・)「(この間の生徒会長水着写真流出事件の犯人はコイツかな)」
また少し私の中の兄者さんの評価が下がりました。
それは置いておいて、モララーが口を開きます。
( ・∀・)「…会長はなにしにきてたんだ?」
('、`*川「んー?『モララーの手伝いをしてやってくれ』って言いにきてただけよ」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:04:11.01 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「俺の?」
/*゚、。 /「はい」
ダイオードがお茶を置いてくれる。
…うん、おいしい。
全時空お茶汲み選手権に出ればいいところまで行けるでしょう。
('、`*川「…会長さんもあなたを心配しているのよ?」
( ・∀・)「……余計なお世話だね」
苦虫を噛み潰したような顔でそんなことを言うモララー。
この人の会長嫌いは異常です。
( ´_ゝ`)「で、どうする?」
(´<_` )「情報いる?」
( ´_ゝ`)「藁が無ければ煉瓦はできないぞ?」
(´<_` )「確かに」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:07:10.31 ID:vR7fO2MS0
考え出すモララー。
多分、彼の灰色の脳細胞はもっとも自分が得するシナリオを必死で考えているのでしょう。
数分後。
意を決したようで、
( ・∀・)「情報が欲しい」
('、`*川「りょーかい」
パチパチとノートパソコンを操作し出すペニサスさん。
…ああ、一挙一動が官能的です。
('、`*川「出たわよ」
( ・∀・)「超能力関連についてだけ読み上げろ」
軽く目を瞑る。
足を組み直し、腕も組む。
悔しいですが凄く絵になります。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:08:19.73 ID:Xx8QlRZA0
a
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:11:11.16 ID:vR7fO2MS0
('、`*川「特務機関FOXのデータ保管庫によると……」
( -∀-)「ストップ。…FOXって、あのFOXか?」
('、`*川「そのFOXよ」
特務機関FOX。
両親が所属していた組織で「特殊科学」…つまり、超能力や魔術などの対策機関。
私の将来の夢でもあります。
( ・∀・)「…あー、嫌だなー。見つかったら殺されそうだー……」
( ´_ゝ`)「安心しろ、モララー」
(´<_` )「精々記憶操作か精神破壊ぐらいさ」
( ・∀・)「一ミリたりとも安心できねぇ…」
死んだ方がマシ、と言わんばかりの顔の彼。
ペニサスさんがフォローを入れます。
('、`*川「大丈夫よ。うちの両親だってFOXなんだから」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:14:11.49 ID:vR7fO2MS0
/ ゚、。 /「根本的な解決にはなってないと思うんですが……」
ペニサスさんが、私やモララーの昔の友達のことをよく知っているのも両親がFOXだったおかげです。
一応私も極秘なわけですから……。
それを知ってる時点で一般人ではありませんね。
( ・∀・)「まぁ、いいや。説明続けて」
('、`*川「対象の能力は『解析』で、一応、『特異点』の疑いがかかっていたわ」
( -∀・)「へぇ…」
足を組みかえる彼。
…ああ、またです。
近くにいるだけで胸が締め付けられるような、そんな奇妙な威圧感……。
ダイオードは気分が悪くなりました、と告げて部屋を出て行きました。
( -∀-)「俺はなぁ、ペニ……」
ゆっくりと語りだすモララー。
怒っているわけでも、悲しんでいるわけでもなく、ただ、事実だけを言います。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:17:12.28 ID:vR7fO2MS0
( -∀-)「超能力者……、特に『特異点』ってやつが大嫌いなんだ……」
('、`*川「…ショボンのこと?」
( -∀・)「それも、ある。…あとコイツ」
(゚、゚トソン「……」
『特異点』とは、超能力者を越えた超能力者のこと。
世界のルールそのものを捻じ曲げ操る存在。
FOXでは数十年前からその研究が行われており、ある意味私もその一部なんですが……
ま、昔の話ですね。
( ・∀・)「…無駄な話をしたな。続けてくれ」
('、`*川「…ええっと、簡潔に言えば『触れた相手の強い想いや、それが未来に及ぼす影響がわかる』ってとこ」
( ・∀・)「だから運命が見える、ねぇ……」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:19:20.56 ID:iXmR3dR2O
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:20:10.03 ID:iXmR3dR2O
支援
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:20:13.57 ID:vR7fO2MS0
('、`*川「どうもそれが暴走してるみたいね」
( ・∀・)「………」
黙るモララー。
次に流石兄弟さん達が話しだします。
( ´_ゝ`)「これは予測だが、」
(´<_` )「一度、『自分の能力が完全ではない』と自覚させてしまえば」
( ´_ゝ`)「自分で能力を操れるようになると思うが」
(´<_` )「どうだろう」
( -∀-)「……」
沈黙。
しばらく経って、ゆっくり目を開けたモララー。
ポツリと一言。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:21:03.99 ID:iXmR3dR2O
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:23:17.31 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「…Zoning and Emotional Range Omitted SYSTEM……。いや、無理か…」
( ´_ゝ`)「そりゃ無理だろう」
(´<_` )「二次元と三次元の区別がつかない人間は、兄者みたいになってしまうぞ」
( ・∀・)「そうだなー…そうだよなー……」
…珍しく悩んでいる彼。
VIP州西部の名の知れた貴族、朝比奈家の次男。
極度の自信家。独善家。逆ヒーロー。
そんな風に気取る彼は、姿の見えない『運命』にどう対抗するのでしょうか。
…続きます。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:26:12.25 ID:vR7fO2MS0
俺が望めば、
世界はいつだって俺に味方する――
(-_-)難儀な超能力者のようです 3
第二十四話
『奇跡の価値は〜運命よ、そこをどけ 俺が通る〜』
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:29:44.44 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「状況を整理しよう」
我が家のリビング。
小さなノートを開く。
…でも他生徒の知られたくない秘密が書いてある、なんてことはないです。
そもそも、彼は絶対に忘れないから。
( ・∀・)「相手は特異点能力『解析』的予知能力の持ち主」
ノートに書き込む。
喧嘩ばかりのくせに綺麗な指。
…私もピアノとかやっておけば良かったなぁ。
( ・∀・)「相手に触れた瞬間、おおよその未来が見える。明日死ぬ、とか」
(゚、゚トソン「触れた時間が長いほど正確に未来が分かる」
( ・∀・)「そして、相手がリラックスしている時ほどいい。…うん、あれしかないな」
(゚、゚トソン「あれ?」
( ・∀・)「下のモノは上のモノに勝てない。俺は貴族の生まれだ。つまりは、そういうことだ」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:32:52.47 ID:vR7fO2MS0
むむ…意味はよくわかりませんが……、
そう考えるとどうにかなりそうな気も……やっぱりしないです。
(゚、゚トソン「大丈夫なのですか?」
思わず聞いてしまう。モララーは鼻で笑う。
ああ、デビルスマイル。草加さんより悪魔な笑顔。
( -∀・)「知ってるか?トソン。俺は奇跡を信じないが、奇跡は俺が、だぁい好きみたいだぜ?」
…それだけ言うと、モララーは帰っていってしまいました。
o川*゚ー゚)o「今日は勝負下着だったのに残念ねぇ」
(゚、゚トソン「どういうことですか?」
o川*゚ー゚)o「そーゆーことよ。最近御無沙汰みたいだし」
(-、-トソン「…モララーはそういう類いのことに無頓着なんですよ。最近どころか、ずっと昔から」
原稿用紙5枚分も着エロについて語れるくせに、女嫌いだったりする。
なんというか肉体関係なんて、ただの交渉の道具としてしか見ていない、みたいな……
…別にいいですけどね。私たちはただの親友なんですから。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:36:21.26 ID:vR7fO2MS0
……………
翌日、公園。
引き篭もり疋田君を部屋から引きずり出し、ここへ連れてきたモララー。
いささかプロセスに問題がある気もしますがいつものこと。
(-_-)「何か良い案でも見つかった?」
( ・∀・)「いや、別に。ただどうにも俺はお前が信じられないんだ」
めんどくさくなったのか、素で喋る。
…なんかもう、最近の彼には迷いが見受けられます。
( ・∀・)「だからさ、俺の運命とやらを見てくれよ」
(-_-)「……」
( -∀・)「いつ結婚するー、とか。さ」
うわっ、嘘っぽい。
絶対興味ないですよそんなこと。
知ってるか…。コイツの作品、悪くない。支援
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:39:00.51 ID:VGBwDPMk0
作者はこのモララー書きながらオカズにしてオナニーしてるのか?
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:39:12.67 ID:vR7fO2MS0
(-_-)「いいけど…。……後悔しないでよね」
(゚、゚トソン「…?」
(-_-)「いつ死ぬか、とかが分かっても」
暗い口調でそう言う疋田君。
対してモララー、自身たっぷりで、
( ・∀・)「構うもんか。俺は死ぬのなんて恐くない」
(゚、゚トソン「ちゅーに」
( ・∀・)「うるせぇよ。…死ぬのが恐いなんて言ってる奴はな、死ぬより恐いことを見たことないだけだ」
価値観なんて人それぞれですが、それでも、死ぬのは恐いです。
今から少し前。今でも思い出す、あの日。
…おかしいですよね。私が死ぬことを恐がるなんて。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:42:10.62 ID:vR7fO2MS0
(-_-)「…じゃ、君は見たって言うの?死ぬより恐いこと」
( -∀・)「んなこと今はどうでもいい。さっさと俺の運命とやらを見てくれよ」
(-_-)「…手出して」
指輪がはまった手を出す。
オパールが綺麗です。
…二秒後。
(;-_-)「…わかった、よ……」
(゚、゚;トソン「早いですね。というか大丈夫ですか?」
(;-_-)「なんとか…」
( ・∀・)「…何が見えた?」
黙り込む超能力者君。
息を整え、一言。
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:45:15.59 ID:vR7fO2MS0
(-_-)「…朝比奈もらの。君は今日、…死ぬ」
(゚、゚;トソン「!!」
まさかの結果です。
大体予想はついていましたが、まさか今日とは……
( ・∀・)「今日、か…。面白いな」
(;-_-)「面白い?何言ってるんだよ!君は、今日死ぬんだよ!?」
( -∀・)「俺は死なないさ…。まだやらなきゃならないことが、残っている」
どこかで聞いた言葉をそのまま引用。
でも、彼には精々使いづらい超能力ぐらいしかありません。
死ぬ確率大です。
(゚、゚トソン「……」
…そんなことを思いつつも、私は、どこかで安心していました。
ファイナルアッタクライドシシシシエン
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:48:17.96 ID:vR7fO2MS0
この人なら、どうにかできるんじゃないかと。
あの日みたいに一瞬で全てをひっくり返してくれるんじゃないかと。
( ・∀・)「気に食わないんだよなぁ…。運命とか……」
(;-_-)「……」
( -∀・)「俺が今日死ななければ、つまりは、お前の能力は完全じゃないってことだ。どういうことか分かるか?」
(;-_-)「…どういうことなのさ」
( ・∀・)「…決まりきった未来なんて存在しないってことになる」
…なんとなく分かりました。
多分、モララーは他人のせいにしたくないんです。
何かを奪われたこと、誰かを救えなかったこと……
そういったことを「運命」なんて言葉で片付けたくない。
邪魔するモノは全部壊して、欲しいモノは全部手に入れて、自分のモノは全部守りきって……
( -∀・)「さぁ、勝負だ。お前の能力と俺の全て、どちらが強いのか」
支援し
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:51:13.25 ID:vR7fO2MS0
不敵に笑ったモララー。
漫画に出てくる悪役のようです。
四天王の三番目あたりのイケメンでそこそこ強い知的キャラみたいな。
…そんな彼は突然声音を変えます。
( ・∀・)「なぁ、ヒッキー。武田鉄矢って知ってるか?」
(;-_-)「え?うん。金八先生だよね?」
( ・∀・)「そうだ。放送時間か金曜八時だから金八先生」
出ましたモララー無駄知識。
私のお母さんみたいに完全記憶能力がなくとも、覚えている人は覚えているものです。
( ・∀・)「だがなぁ…、俺はどうも嫌いなんだ。アレ」
(゚、゚トソン「…なんとなく分かる気もします」
( ・∀・)「どっちかっつーと、あれだな、101回目のプロポーズの方が好きなんだ」
(;-_-)「古いね…。って、え?」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:54:10.69 ID:vR7fO2MS0
その瞬間。
モララーは公園を飛び出し、道路の真ん中で立ち尽くしました。
…しかも、ちょうどトラックが。
なんという予定調和。流石モララー。
( ・∀・)「だが、流石に『僕は死にましぇん』はダサい。変える」
右手を真っ直ぐ前に出す。
クラクションが鳴り響く。
…彼は、自信に満ちた顔で一言。
( -∀・)「…運命よ、そこをどけ。…俺が通る」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 21:57:11.71 ID:vR7fO2MS0
……………
二時間後。疋田君の家の前。
トラックの運転手さんに激怒され、警察に厳重注意され、モナー先生に殴られた後。
( ・∀-)「イテテ……。先生思いっきり殴り過ぎだろ」
頬を摩りながらそんなことを言うモララー。
自業自得です。馬鹿ですかあなたは。
( ・∀・)「でも、ま、これで分かっただろ。俺は死なないんだ」
(゚、゚トソン「まだ今日が終わるまで数時間ありますけどね」
( ・∀・)「細かけぇことはいいんだよ!」
…それもそうですね。
あとは、疋田君の能力が制御できるようになれば大団円です。
( ・∀・)「ほら、ヒッキー」
(-_-)「…え?」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:00:17.60 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「軽く触れてみ」
差し出された右手。
それを恐る恐る触る。
(*-_-)「見え…ない……。見えない。見えない!見えなくなった!」
( ・∀・)「な。これぞ魂のgradeの差だ。ハイグレードな俺には世界の全てが味方してくれる」
(-、-トソン「意味分かりませんよ……」
でも事実は事実です。
喜ぶ疋田君を見ていると、こっちまで嬉しくなります。
(*-_-)「…凄い。奇跡だよ、モララー君!」
( ・∀・)「だから言ったろ?奇跡ってのは起きるもんじゃない。ひ――」
(゚、゚トソン「人が起こすもんだ!」
( ・∀・)「最後ぐらい俺に言わせろよ……」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:03:10.88 ID:vR7fO2MS0
色々ありましたが、これで終わりです。
この後モララーは普通に家に帰り、寝て、次の日も生きてました。当たり前ですが。
そして、その日以来、疋田君は自分の能力を制御できるようになりました。
(゚、゚トソン「ねぇ、モララー」
ある日の帰り道。
気になっていたことを聞いてみます。
(゚、゚トソン「…なにか仕組みましたか?」
( ・∀・)「仕組んだ。無論、裏がある」
(-、-トソン「やっぱり。…でも、それだと騙したことになりませんか?」
その言葉を聞いて、モララーは立ち止まりました。
「過程など興味はない。大事なのは結果だ」そう言わんばかりの顔で、一言。
( -∀・)「なんだっていい。ハッピーエンドじゃないお話に、なんの価値があるんだよ」
…それも、そうかもしれませんね。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:06:14.44 ID:vR7fO2MS0
無神教の人間でも、お墓参りはします。
私も、彼ももちろんします。
「人は忘れられたら死ぬ」らしいのです。
…さぁ、どうでしょうね。
第二十五話
『私、師、死〜大事な過去の思い出達へ〜』
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:09:11.73 ID:vR7fO2MS0
小さい頃の夢が作曲家だった私の幼馴染。
彼は才能に満ち溢れた人間です。
私のような計算され調整された才能ではなく、濃い血統が成せる天然の才能。
ある時、彼は言いました。
( ・∀・)「俺の先祖は神話の登場人物らしいんだが、そいつが何をしたか知ってるか?」
(゚、゚トソン「え?さぁ…」
( -∀・)「人間の国をいくつも滅ぼして、神様の1人を孕ませて、子供生ませた挙句どっかに消えたらしいぜ?」
…まぁ、それは嘘でしょうが、朝比奈家が名家なのは確かです。
FOXの、というか私の研究のパトロンで研究地提供者でしたし。
私が育った第3研究所は朝比奈家所有の山の中にありました。
そのおかげで彼は幼い頃の私に会えたわけですが……
( ・∀・)「ちっちゃい頃の君はひどかったな。あれほど無口を体現している人間はいない」
(゚、゚トソン「別に。必要ないものでしたから」
( ・∀・)「可愛げゼロだったなー……。今とは大違いだ」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:10:55.67 ID:VUUhFEvW0
しえん
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:12:14.31 ID:vR7fO2MS0
彼と対照的に、私は遺伝子レベルから調整された子供でした。
強化骨格やら、人工筋肉やら、意思統合システムやら……
まるでアニメに出てきそうな研究の被験体が私です。
…仮面ライダーみたいでカッコいいでしょ?
(゚、゚*トソン「思えば私が変身ヒーローが好きなのも、自分とよく似ているからかもしれません」
( ・∀・)「まぁな。本人の意思を無視して改造されてるところはそっくりだな」
(-、-*トソン「お母さんが生きていて、研究が最後までいっていたら、もしかしたら……」
( ・∀・)「いや、変身は無理だと思うぞ?多分」
(゚、゚*トソン「私のお母さんですよ?きっとパワード・スーツぐらいは作ってくれたに違いありません!」
実際加速装置の研究はしてたらしいです。
サイボーグ009の見過ぎです、お母さん。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:15:13.29 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「なぁ、嫌だとか思ったことないのか?」
(゚、゚トソン「何がですか?」
( ・∀・)「身体いじくりまわされるのとか、VRミッションとか……」
(゚ー゚*トソン「そんなわけないじゃないですか!」
( ・∀・)「…もうちょい、悲劇の子供ぶってみたらどうだ?」
(-、-トソン「確かに私はガラス越しにしかお母さんを見たことありませんよ」
少しだけ覚えている昔の記憶。
私は手術台の上にいて、調整中。
お母さんはガラスの向こうから私を見ている。
(゚、゚トソン「話したこともほとんどありませんし、顔も覚えていないけど……」
私怨
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:18:13.59 ID:vR7fO2MS0
(゚ー゚トソン「それでも私はお母さんが造ったこの身体に誇りを持っています。それは、あなたと同じじゃないですか?」
( -∀-)「…フン」
お母さんはきっと、誰かを守る為に研究をしていたんです。
FOXとして人を守る為に。
そのことを誰が恥じる必要がありますか。
…でも、1つだけ。
確かに後悔していることがあります。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:21:24.13 ID:vR7fO2MS0
……………
( ・∀・)「ショボンはショボンだった。それ以外の名前はなかった」
山を登りながら、モララーは言います。
雨が降った後なのか地面がぬかるんでいます。
( ・∀・)「俺の初めての友達だった。親友だった」
延々と続く坂道。
それをゆっくり進んでいく私と彼。
( ・∀・)「アイツの夢は音楽家になること。俺の先生でもあった」
未知の事柄を研究しようとすれば、基準がいります。
そのショボンという人は私の調整の基準でした。
( ・∀・)「そして、FOXの『擬似特異点』の研究についてのサンプルだった」
(-、-トソン「…すいません」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:24:15.74 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「気にするな。別に君のせいじゃない。…あと、ごめんなさいのほうが可愛い」
山の中腹。
開けたその場所には、ポツリとお墓がありました。
件のショボンさんのお墓。
FOXというのは国の特務機関です。
敵対する組織も多い。
擬似特異点の研究を止める為、彼等が狙ったのは、そのショボンさんでした。
从//ー'从「こんにちは。モララー君と……」
(゚、゚トソン「トソンです。都村、トソン」
从//ー'从「…そう。あなたが、都村トソン……。想像していたよりずっと可愛いわ」
あっさりだったそうです。
ショボンさんはモララーや渡辺さんを守る為、必死に戦い、死にました。
…その日から彼はFOXを、そして特異点を憎むようになりました。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:27:11.60 ID:vR7fO2MS0
( ・∀・)「最終的にはな、人間の形を留めていなかった」
从//ー'从「何か人のカケラのようなものと、大量の血。それが雨に流されていた」
(-、-トソン「……」
結局、「擬似特異点」の研究は頓挫。
私に能力は宿りませんでした。
…つまり、ショボンさんは無駄に死んだことになります。
それが私が唯一後悔していること。
犠牲の分の成果を出せなかったこと。
( ・∀・)「…さて。始めるか」
リュックの中からケースを取り出します。
そのショボンさんが好きだった楽器。ヴァイオリン。
( -∀-)「追悼リサイタルの、スタートだ」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:30:14.48 ID:vR7fO2MS0
……………
私に音楽の知識はありません。
必要なかったから。
でも、彼の演奏は、使い古された言葉で言えば、心に響きました。
( ・∀・)「見たか、ショボン!君は楽譜を見ろだの、拍数数えろだのうるさかったが……」
長い演奏を終えたモララー。
もう会うことのできない親友へ向けて。
( ・∀・)「感覚だけでやってる俺は、こんなに上手くなったぞ!」
そう言って笑った彼は、悲しそうでした。
あまりに悲しそうなその姿。
なぜか、
(;、;トソン「………」
こっちが泣いてしまいました。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:33:17.51 ID:vR7fO2MS0
……………
(゚、゚トソン「モララー……」
( -∀-)「謝るなよ」
…私は、ショボンという人を知りません。
モララーや渡辺さん、その他の人達とどんな風に育ったのかも。
(゚、゚トソン「でも…」
( ・∀・)「アイツが、最後に言った言葉……。教えてやろう」
しかし、凄く都合のいい解釈だと思うのですが……
それでもこう思います。
( ・∀・)「『僕は君達の為に戦えたことを誇りに思う』…フフ、馬鹿だろう?」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:36:14.56 ID:vR7fO2MS0
(-、-トソン「……」
( ・∀・)「トソン。君が後悔する必要は何一つない。君は、自由に生きて自由に死ね」
私の為に犠牲になったあらゆる人の心が、私に宿っていると。
だから、私は……
(゚、゚トソン「はい…」
( ・∀・)「だから『うん』のほうが可愛いって」
(゚ー゚トソン「…うん」
その人達に顔向けできるよう、誰かを守る仕事につきたいです。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:39:11.81 ID:vR7fO2MS0
はい、以上で終わりです
ありがとうございました
可哀想の定義なんて人それぞれですよねー……
…ちょっとあっちを投下しなければならないので、失礼します
俺にはなんか色々足りないけど、何より速さが足りない!
質問には答えるかも
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/04(土) 22:56:26.57 ID:tT7hbJNuO
乙ですた
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
いつも楽しみにしてる!
乙