1 :
◆qvQN8eIyTE :
2 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:11:09.60 ID:5DLUZr080
第二十二話 〔弟者の戦い〕
/ ,' 3「さて、次は誰が戦うんじゃ?」
(;^ω^)「んん……難しいお……」
_
( ゚∀゚)「誰が出るのがベストなんだ?」
(;'A`)「俺もわかりません……」
从'ー'从「頑張れー」
(´<_` )「何故全員こっちを見ながら悩む」
/ ,' 3「いやだってタイトルが……」
3 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:13:42.37 ID:5DLUZr080
(´<_`;)「ったく……、なんたる無茶振りを……」
荒巻の戻ってきた空間。
そこで今、弟者は皆の視線を集めている。
それもよくわからない理由でだ。
(´<_` )「……」
しかし、弟者には確固とした目的がある。
見えない壁一枚隔ててやっと出会えた、双子の兄。
( ´`_ゝ)「綿棒に幼女のちんぽ汁を染み込ませてそれで耳掃除したい」
ξ#゚听)ξ「……」
(*;∀;)「……!」
ボソッと呟いた一言で、敵サイドをドン引きさせている兄者。
一目見て、再確認。
自分には、この駄目な兄者が必要なのだ、と。
(´<_` )「仕方ない……。行くとしますか」
スプレー缶を握る手に、力が入る。
きたーん
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:14:44.34 ID:KnmSQp410
キタ━(゚∀゚)━!
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:15:10.61 ID:OejtPKvXO
おお支援!
7 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:18:14.58 ID:5DLUZr080
(´<_` )「ドクオ、これ預かっていてくれ」
そう言って、抱えていたズタ袋をドクオに手渡す。
あくまでゆっくりと、丁寧に。
/ ,' 3(ほぉ、もしかしたら本能的に気が付いておるのかな)
小さく笑みを浮かべる荒巻に、誰も気が付かない。
荒巻の見守る中、ズタ袋はドクオに手渡された。
(;'A`)「あ、う……うん」
受け取ったズタ袋は、ずっしりとした重みとなってドクオの腕の中に包まれる。
相変わらずそれが何なのかは理解できないが、とても大切なもののような気がする。
そのため、僅かながら緊張しながら、手に持った。
(;'A`)「お、弟者君……」
(´<_` )「ん?」
('A`)「頑張って、ね……」
壷に向かって歩を進める弟者。
振り向きざまの表情は、少し綻んでいるようにも見えた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:19:41.90 ID:iDLxIbteO
支援するぜ!
兄者の忍具気になる
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:22:07.96 ID:JHvQxayu0
支援!
10 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:23:44.25 ID:5DLUZr080
/ ,' 3「新人忍者のデビュー戦じゃな」
( ^ω^)「wktkwktk」
从'ー'从「頑張れー」
ドクオに引き続いて、弟者の背中に応援の声をかける。
そんな中、ただ一人。
_
( ゚∀゚)「弟者……」
弟者の師匠、長岡だけが神妙な面持ちで俯いていた。
(´<_` )「……」
そんな長岡の様子にも気が付かず、壷を被る弟者。
視界が真っ白に染まり、意識が壷の向こう側へと吸い寄せられていく。
戦いの場へと。
_
( ゚∀゚)「無理、すんなよ……」
長岡の呟きは、誰にも届かない。
11 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:25:58.83 ID:5DLUZr080
一方、敵サイド。
(,, Д )「悪い、力及ばなかった……」
荒巻に倒されたギコが、心身ともにボロボロになりながら戻ってきた。
どうやら、ギコの作った壷での想像体は本体にまで支障をきたすものらしい。
証拠に、ギコの体には戦いで受けた傷の後が数多に残っていた。
ξ#゚听)ξ「何やってるの! 死ね! 腐れリーダー!」
(;゚∀゚)「あわわわわわ……、ツ、ツン……落ち着いて」
ξ#゚听)ξ「黙れ! 死ね!」
(*;∀;)「えーん……」
(#゚;;-゚)「よしよし」
(,, Д )「……」
ギコは悩んでいた。
自ら喫した初戦での一敗。そして、身内でのまとまりの無さ。
この状況を、どう打破するかを。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:27:23.01 ID:8B6o/SFmO
支援
13 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:28:05.50 ID:5DLUZr080
「大丈夫、もう相手側の一番強い荒巻は出ないんだから」
突然聞こえた、透き通るような声。
それが、全員の耳に静かに染み渡っていく。
(,, Д )「しぃ、か……。よし、お前に挽回を頼む。すまねぇ」
ギコが声の元に目を向ける。
そこには優麗の眼差しをギコに送る、赤い忍び装束の女がいた。
(*゚ー゚)「うん、リーダーのためなら頑張れるよ」
ここにきての新キャラ、しぃである。
彼女は小柄な体に、自身より一回り以上大きい風呂敷に包まれた物を背負って、壷へと向かう。
その足取りは、軽い。
狭い歩幅でちょこちょこと壷へと辿り着き、小さな頭を壷で覆った。
しぃも弟者に続いて、戦場へと向かったのである。
(#゚;;-゚)「しぃ、か……。こわいこわい」
('A`)(あれ? あの傷だらけの女の人……)
こうして舞台は戦場へと移り変わる。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:31:04.34 ID:JHvQxayu0
支援
15 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:32:57.36 ID:5DLUZr080
(´<_` )「ふへぇ……」
戦場へ辿り着いてから辺りを見回して、弟者が口を開く。
その口からは間抜けな声が出てきた。
あれほどの激戦の後なのに、傷一つつかない壁を見て、頑丈さに感動していたのだ。
(´<_` )「お、どうも」
感動していた弟者の視界に、白い床から一筋の光が差し込む。
その光は、線から段々と太くなり、遂には人の形を象りだす。
光が収まる頃、そこには一人の妙齢な女性がいた。
(*゚ー゚)「あら、どうも」
とてもこれから戦うもの同士だとは思えないくらい、軽い挨拶。
しぃに至っては、終始笑顔である。
(*゚ー゚)「ところであなた、あなたの戦う理由は?」
と、突然しぃからの投げ問答。
それに対し、弟者は顔色一つ変えずに答える。
16 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:37:23.36 ID:5DLUZr080
(´<_` )「元々は成り行き。今は兄貴を救うため」
(*゚ー゚)「へぇー。兄ってあの気持ち悪いは瀬川のこと? あんなのがお兄さんだなんて大変ねぇ」
(´<_` )「まぁ、気持ち悪いのは否定しないがな」
相変わらず、しぃは心の読めない笑顔を貼り付けている。
比べて、弟者は無表情。
互いにポーカーフェイスである。
(*゚ー゚)「ちなみにね、私が戦う理由。実は中嶋様のためじゃないんだ」
(´<_` )「ほぉ、じゃあ何のため?」
弟者がしぃの言葉に答えた。
その瞬間。
僅かに彼女の表情を覆っていた笑顔の面が外れ、確かな怒りを感じる笑顔が見えた。
(#゚ー゚)「私はね、リーダーのことが大好きなの。リーダーの追っかけで中嶋親衛隊に入ったの。
なのにあんたたちの長老がリーダーを傷つけた! 許せない、許せない、許せない!!」
口元は笑っている。
ただ、それだけ。
前兆も何も無い、突然の狂気。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:38:39.41 ID:JHvQxayu0
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:39:54.12 ID:BLnG/PorO
支援
19 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:41:38.20 ID:5DLUZr080
(#゚ー゚)「私はね! リーダーの一挙動一挙動が大好きなの!
決して流行らないギコワロスを必死に流行らせようとする痛い姿が大好きなの!」
(#゚ー゚)「それをあんた達は! リーダーを吹っ飛ばして! 絶対に許さない!」
(´<_` )(うわぁ……)
既に穏やかな笑みではなくなっている。
今しぃが浮かべている表情、それは怒りそのもの。
(´<_` )(向こうのリーダーもヤンデレに好かれて大変そうに)
弟者は相変わらず冷静を保っていた。
敵側の心配をするほどにも余裕が感じられる。
(´<_` )「ふぅ……、そんじゃ戦いますか」
(#゚ー゚)「ふふ、精々苦しんで負けてね」
荒巻とギコの戦い。
その轍をなぞるかのごとく。
弟者対しぃの戦いが始まる。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:43:31.00 ID:8B6o/SFmO
支援支援
21 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:44:41.79 ID:5DLUZr080
(*゚ー゚)「ちなみにこれが私の忍具ね」
一瞬、冷静さを取り戻したのだろうか。
元の柔らかな表情に戻る。
そして、背負っていた風呂敷包みの中身を、ゆっくりとさらす。
(´<_` )「でけぇ」
弟者の目に映るは、家庭用の冷蔵庫。
大人の男性よりも、いくらか大きい。
(´<_` )「……」
何よりも、そんな巨大な冷蔵庫を一人で持っていたしぃの力に動揺をした。
あんなか細い体つきでどうして持ってこられたのか。
しかも涼しい顔で。
(#゚ー゚)「じゃあ、まずはリーダーにそっちの長老の代わりに謝ってもらおうかしら」
冷蔵庫を置いたまま、しぃが弟者へと駆け寄ってくる。
そのスピードは、速い。
忍び装束の赤い影だけが、どうにか視認できた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:45:32.22 ID:iDLxIbteO
弟者がんばれええ
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:45:34.70 ID:+nhWnl1BO
最近はやいね。支援
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:45:39.24 ID:JHvQxayu0
支援
25 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:49:06.44 ID:5DLUZr080
(*゚ー゚)「遅いよ垂れ目君」
(´<_`;)「な!?」
弟者が反応したときには既に、しぃは弟者の腕の中にまで潜り込んでいた。
あまりの速度と、その狂気に僅かに身震いをする。
そしてなにより。
(´<_`;)「なんてことを」
しぃの右手が、しっかりと弟者の股間を服越しに包み込んでいたのだ。
(*゚ー゚)「さて、早速弱点掴んじゃったね。戦うなら相手の弱点を狙う。これセオリーだから」
そしてそのまましぃは股間を握る手に力をこめる。
これで忍具を使うまでも無く弟者の負けは確定した。
そう信じて、しぃは全力で股間を握り締める。
(´<_`;)「うわぁぁぁああああ!」
弟者の絶叫が響き渡った。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:51:39.40 ID:iDLxIbteO
しぃ恐えぇwww
27 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:52:32.27 ID:5DLUZr080
(´<_,` )「なーんちって」
小さく口角を上げて、弟者が余裕の表情を見せる。
これには、股間を握りつぶしたと信じていたしぃも驚きを隠せない。
もう一度、力をこめる。
しかし。
(;゚ー゚)「握れない! ……なんて粗チンなの!」
あまりにも弟者の股間が小さいからなのだろうか。
いくら握ってもズボンと下着の感触しかない。
(´<_` )「複雑すぎる」
自らが驚異的な粗チンであることによって、命拾いをした弟者。
だが、その表情は浮かないものであった。
(#゚ー゚)「クソッ!」
股間から手を離し、弟者の体を掴む。
そしてどこからそのような力が出るのか、弟者の体を持ち上げた。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:54:54.60 ID:8B6o/SFmO
粗チンwwwwwwww
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:56:38.72 ID:OejtPKvXO
握れないほどの粗チンwwwwww
30 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 22:56:52.53 ID:5DLUZr080
(#゚ー゚)「それなら忍具で倒してやる」
(´<_`;)「おっと」
しぃが両手で弟者の体を頭上に掲げ、そのまま冷蔵庫まで放り投げる。
高速で飛んでいく弟者。
すると、冷蔵庫が弟者を待ち構えるかのように、自動で扉が開いた。
(´<_` )「これはやばいかな」
そう言いながら、弟者は握っていたスプレー缶を冷蔵庫に向ける。
弟者の忍具だ。
(´<_` )「俺も忍具使ってみるか」
高速で冷蔵庫に向かいながらも悠長に考える。
そして、スプレーのノズルを、押し込んだ。
(´<_` )「おりゃっ」
瞬間、轟音が純白の部屋に響き渡った。
空間の空気が震える。弟者の姿は大量の靄が発生していて確認できない。
しぃの耳は、その轟音しか捉えられなくなっていた。
(;゚ー゚)「何? なんなの?」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 22:56:55.69 ID:iDLxIbteO
どんだけwwwwwwww
32 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:00:58.36 ID:5DLUZr080
(´<_`;)「何ですかこの威力は」
靄が晴れた時、そこには一人で驚いている弟者がいた。
手に持つスプレー缶からは、未だに少量の気体が昇っている。
(*゚ー゚)「……何をしたの?」
不穏な空気を醸し出しながら、しぃは尋ねる。
自らの忍具から逃げ出せた理由と。
先程の轟音の正体を。
(´<_` )「ん、あぁ。これが俺の忍具らしいんだわ」
言いながら、スプレー缶を見せ付ける。
それが、なんだというのか。
しぃには理解できなかった。
(´<_` )「昔っから兄者を黙らせるのに使ってたからか、ヘリウムガスってのが忍具でね。
俺の気合次第で噴出量が変わるらしいから、本気で噴出させて冷蔵庫から逃げさしてもらった」
敵に対しても、丁寧に説明。
それが天然なのか、余裕なのか。
しぃには判断できなかった。
33 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:05:11.57 ID:5DLUZr080
(*゚ー゚)「ふーん、気に食わないなぁ」
唯一つ、しぃが理解できることといえば。
それは弟者が気に食わないということ。
(*゚ー゚)「それならガス切れまでとことん攻め続けちゃえば良いし」
赤い影がゆらり、小さく揺れた。
蜃気楼のように、周囲の空気も微かに揺れる。
そして、しぃの姿が消えた。
(*゚ー゚)「ドンドンいくよ」
またも突然弟者の前に現れたしぃ。
しかし。
(;゚ー゚)「……え?」
( ゚ < _ ゚ (; ; ;)「よ……ようこそ……」
先程まで色白で細かった弟者の顔が、しぃが気づく頃には真っ赤になって膨らんでいた。
急激な変化に戸惑うしぃ。
その僅かな隙に、弟者が行動に移った。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:08:11.57 ID:8B6o/SFmO
支援
35 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:09:06.35 ID:5DLUZr080
( ゚ < _ ゚ (; ; ;)「――――――ッッッッ!!」
(; ー )「ッッ!?」
何の言葉を発しているかはわからない。
しかし、極限にまで膨れ上がった弟者が叫んだことだけは理解できた。
それも、直接脳に響くかのような超高音で。
(; ー )「――!」
しぃには言葉を発する余裕も無かった。
必死に後退する。
少しでもその驚異的な高音から逃れるように。
だが、後退しようが耳を塞ごうが。
弟者の発する高音は、お構い無しにしぃの鼓膜と脳を揺らし続ける。
しぃの体中の力が抜けていった。
地面に吸い込まれるように、しぃの身体が倒れていく。
(´<_`;)「ふぅ……」
数分後に、やっと高音を止めた弟者がへたり込む。
どうやら、相当体力を消耗したらしい。
肩で息をしている。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:09:55.36 ID:JHvQxayu0
支援
37 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:13:55.55 ID:5DLUZr080
(´<_` )「どう? ヘリウムで高くなった俺の声?」
自分の吸える限界まで、ヘリウムを吸い込み。
高くなった声を、鍛え上げた肺活量を持って相手にぶつける。
これが、長岡との修行で身に着けた弟者の技。
(´<_` )「とりあえず確認しておくか」
自分がしっかりと勝利を掴めたのかどうか。
忍具をポケットに戻し、倒れているしぃに近寄る。
近付く足音にも反応はしない。
(´<_` )「どれどれ……」
腕をゆっくりとしぃへ伸ばした。
その時である。
(* ー )「リーダーのためにも……負けられない」
か細い腕が、細長い指が。
伸ばされた弟者の腕に絡みつき、しっかりと握られる。
(´<_`;)「な!?」
弟者が振りほどく間もなく。
しぃは最後の力を振り絞って再度、忍具へと投げつける。
向かう先は、冷蔵庫。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:15:43.71 ID:iDLxIbteO
支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:16:49.94 ID:JHvQxayu0
支援
40 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:17:04.88 ID:5DLUZr080
(´<_`;)「くっ……」
飛ばされながらも弟者は思考をめぐらせる。
先程のように、スプレー缶を逆噴射させて止めるか。
否、先程は手に持っていたから間に合ったものの、今はしまっている。
間に合わない。
ならどうすればいい。
どんどんと冷蔵庫は近付いてくる。
冷蔵庫の、扉が開く。
(´<_`;)「くそっ」
冷蔵庫に突撃する直前。
弟者は一つの方法をひらめいた。
だが。
(´<_`;)「仕方ない、か」
どん、と響く音を立てて、冷蔵庫の中に吸い込まれる。
弟者を中に取り込んだまま。
冷蔵庫の扉が閉まる音が、小さく聞こえた。
41 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:20:22.59 ID:5DLUZr080
(* ー )「ふふ、ふ、ふふふふ……」
(* ー )「あははは、はははははははははあははははは!」
(*゚ー゚)「ははははははははははははははははははははははは!!!!」
狂気染みた笑いを、弟者のいなくなった空間で発するしぃ。
冷蔵庫を見ながら、確定された勝利の余韻に浸っている。
(#゚ー゚)「私の冷蔵庫はね! 脱出不能なのよ! なんたって私の意志じゃないと扉は絶対に開かないからね!
生まれた時からずっと私の忍具だった! 今まで脱出した奴なんかいないのよ! 身も心も凍り尽きて死になさい!」
叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。
先程受けたダメージなど、もう忘れているかのように。
冷蔵庫内の弟者に、届くように。
(#゚ー゚)「一切の隙間すらも開いてないんだからね! 冷気だって絶対に逃がさないの!」
空間に聞こえるのは、冷蔵庫の駆動音と、しぃの叫びだけ。
少なくとも現実世界にいる皆には、それしか聞こえなかった。
42 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:21:39.98 ID:5DLUZr080
しかし。
(;゚ー゚)「何? 何の音?」
戦場。その場にいるしぃの耳は。
しぃの耳だけは。
微かな音も捉えていた。
冷蔵庫から聞こえる駆動音。
その陰に隠れるかのごとく。
小さく、本当に小さく。
空気の漏れるような音が聞こえてきた。
(;゚ー゚)「まさか……」
音に耳を寄せる。
やはり、音の元は冷蔵庫から聞こえてくる。
となると原因は一つしか考えられない。
弟者だ。
弟者が冷蔵庫の内部で、何らかの行動をしているのだ。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:21:48.62 ID:JHvQxayu0
支援
44 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:24:15.50 ID:5DLUZr080
(;゚ー゚)「一体何をしているの?」
一転、しぃが焦りの表情を浮かべ始める。
今まで彼女の戦いでは、このような些細な出来事さえおきなかった。
無音のまま、冷蔵庫の冷気によって凍死させ続けてきたのだ。
しかし、今は予想外なアクシデントが起こっている。
確実に弟者が中で足掻いているのだろう。
それも、自分の想像もつかない方法で。
(;゚ー゚)「え……?」
やがて、冷蔵庫から白い気体が吹き出てくるのをしぃは確認した。
白い気体は、冷蔵庫からかすかに上昇すると、たちまち周囲の空気に取り込まれ。
無色透明になっていく。
「見つけたぞ……」
冷蔵庫の中から、小さく声が響いた。
今にも空気に揉まれて消え入ってしまいそうな声。
それでも、しぃにとっては驚愕の声。
(;゚ー゚)「馬鹿な! 私の忍具は一度入れてしまえば勝利が約束されているはず! なんでまだ声が聞こえるの?」
焦りに焦るしぃの目の前で。
未だに冷蔵庫は気体を噴出している。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:25:34.17 ID:JHvQxayu0
支援
46 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:27:37.26 ID:5DLUZr080
そして。
(;゚ー゚)「わっ!」
しぃの目の前で、冷蔵庫が大破した。
それも、大量の白い気体を出しながら。
( <_ )「死ぬかと思った……」
大量の白い気体に纏われながら、弟者が姿を見せた。
その姿は、今にも倒れそうなほど虚弱しきっている。
(;゚ー゚)「何をしたの?」
しぃは、目の前の現実が信じられないのだろう。
うろたえながらも弟者に疑問を投げかける。
そこには既に、開戦時の余裕な姿は無い。
( <_ )「簡単なこと……」
弟者はその問いに、途切れ途切れになりながら答える。
( <_ )「俺が冷蔵庫に投げられたとき、俺は既に冷蔵庫に入る覚悟を決めていた。脱出する方法を考え付いたからな。
ただ、この冷蔵庫が年季物ということが絶対条件の方法でな。ある程度賭けだった(※途切れ途切れです)」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:28:12.47 ID:8B6o/SFmO
弟者かっこよすぎる
48 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:30:43.05 ID:5DLUZr080
( <_ )「知ってるか? ヘリウムって分子がめちゃくちゃ小さいんだ。酸素さえ通さない隙間も通れる。
しかもな、融点も沸点も一番低い気体だ。お前の冷蔵庫じゃ固められない(※途切れ途切れです)」
( <_ )「生まれた時から使ってるって言ったよな? それならどんな丁寧に使っていても僅かな隙間はあるはずだ。
隙間があるってことは、そこが脆い証拠だろ? 見つけ出して本気で忍具を噴射させてもらった(※途切れ途切れです)」
( <_ )「師匠の長岡さんと一緒にヘリウムについて調べた結果だ!(※途切れ途切れではありません)」
弟者の説明が終わる。
残る音は、二人の息遣いだけ。
(;゚ー゚)「……」
しかし。
忍具を失ったしぃは、既に戦意喪失していた。
( <_ )「さぁ、とどめだ」
一歩、一歩。
近付いてくる弟者。
(;゚ー゚)「ひ、ひぃ……」
怯えだすしぃ。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:31:16.70 ID:DvydqZ8lO
支援
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:31:41.58 ID:JHvQxayu0
支援
51 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:33:32.19 ID:5DLUZr080
と。
( <_ )「……」
(;゚ー゚)「え……?」
急に地面に倒れこむ弟者。
手からは、スプレー缶が零れ落ちる。
カラカラカラ、どこかへと転がっていく弟者の忍具。
(;゚ー゚)「……」
そのまま弟者が動くことはない。
見れば、体の至る所に凍傷がある。
既に弟者の体は限界を迎えていたのだろう。
(;゚ー゚)「……」
( <_ )「……」
言葉を発する者は誰もいない。
静かな、とても静かな敗北であった。
52 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:35:40.61 ID:5DLUZr080
_
( ゚∀゚)「やっぱり、な……」
現実の世界。
長岡がひっそりと呟く。
(;'A`)「え? どういうことですか……?」
_
( ゚∀゚)「弟者の忍具は確かに使いやすい。しかし、その分弱点も多いことが調べているときにわかった。
特に今の戦い、あいつは自分の忍具にやられたようなもんだ」
(;'A`)「……」
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( ゚∀゚)「ヘリウムってな、熱伝導率が高いんだ。だから、冷蔵庫の中をヘリウムで満たせばその分速く冷えていく。
まぁ、あの場はあれしかなかったがな。何より、忍具の相性が悪かったんだ」
(;'A`)「弟者君……」
見えない壁に映される、倒れこんだ弟者の姿。
それは、今のドクオを尚更不安にさせた。
ただいま、二戦一勝一敗。
まだ勝負は、前半なのである。
从'ー'从「頑張れー」
53 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:36:21.87 ID:5DLUZr080
これにて今回の投下終了。
何か質問等あればどうぞ。
あと俺のペットになりたい子達もどうぞ。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:37:18.99 ID:JHvQxayu0
乙んこ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:37:46.13 ID:OejtPKvXO
おつんつん
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:39:46.35 ID:8B6o/SFmO
お疲れさま
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:41:16.89 ID:iDLxIbteO
弟者……
乙ー
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/28(日) 23:48:36.63 ID:8B6o/SFmO
作者は理系なの?
59 :
◆qvQN8eIyTE :2009/06/28(日) 23:49:48.63 ID:5DLUZr080
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:00:32.66 ID:yBEnEpZU0
うんこしたい
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:13:59.79 ID:/g28xVO5O
よむほ
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:36:05.90 ID:/g28xVO5O
面白かった 乙
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
よむほ