71 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/22(月) 23:50:36.88 ID:latcvQC5O
从 ゚∀从「おい、あんまりはしゃぐなよ。まだセキュリティのハックが終わってないんだ」
門扉の向こうで愉快そうに夜の学園を満喫しているヒートを尻目に、ハインは地面に腰掛けノートパソコンを操作する。
ノータイムのブラインドタッチは高速。次々とウィンドウが開いては閉じ、『CLEAR』の文字がディスプレイを覆い尽くした。
傍らで、ハインの手腕を覗き込んでいたフサギコは溜め息をつく。
ミ,,゚Д゚彡「全くもってお前は万能だな。学校の警備セキュリティをインターホンからハッキングするなんて、にわかには信じられん」
从 ゚∀从「どーせ民間のセキュリティ会社だ。大したことねーよ。端末さえあれば訳はない」
アダプタから伸びるがコードの先は、カバーを取り外され内部を顕にされた校門のインターホン。
ハインの指先一つで、この蟻の一穴から学園の警備は全て裸にされてしまうのだ。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 23:52:06.66 ID:zC/aW+p50
しえん
73 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/22(月) 23:53:30.27 ID:latcvQC5O
从 -∀从 (伝える必要もないことだが、実は繋いだ時点でほとんどの障壁がクリアされていたんだがな。
必要最低限、校内で移動の差し支えになるポイントのみ。多分、セントジョーンズたちの仕業だろう)
タイプを続ける彼女の脳裏を埋めるのは、既に敵が先行している可能性。
それは敵の誘いに乗った時点で避けられない事実。
最悪、このまま勝負をすっぽかし逃げることも可能だ。しかし、それは彼女の精神に反する行い。
从 ゚∀从 (ムカつくぜ。まさかあのクソ野郎の目の前で、ケツまくって逃げるのだけは勘弁したいからな)
ハインには珍しい、感情的な理由だった。
从 ゚∀从「よし、終わったぜ。感謝しろ野郎ども。これでオレ達は透明人間になった。
大騒ぎ上等。中で火を焚こうが壁をブッ壊そうが、センサーもカメラも一切反応しない」
最後に一叩き、エンターキーが押し込まれる。
浮かび上がるウィンドウたちが降伏するかのように、緑色に染まって閉じられていった。
74 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/22(月) 23:56:11.46 ID:latcvQC5O
川 ゚ -゚)「それは助かる。あの面子に対して、セキュリティの心配をする余裕はないからな」
それを合図に、ヒートに続いてクーも校門を飛び越える。
ひらりと裾のはためく袴。今回は制服の時のように、余計な懸念はない。
身なり、台詞からも伝わってくる。素直クールが全力で闘う――その予告が。
ノハ*゚听)「ドクオも来いよ! 真っ暗ですごいぞ! 声もめちゃ響く!」
そんな緊張感もどこの話。
興奮気味に飛び跳ねるヒートは、校門に顔をへばり付けると相棒を呼んだ。
しかし、本人の反応は芳しくない。
('Aメ)、「え、あ、あぁ……」
引け腰。
75 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/22(月) 23:58:28.43 ID:latcvQC5O
どこか覚束ない足取りで校門をよじ登る。素直姉妹とは比べ物にならない、地味臭い侵入の仕方。
しかし、一足飛びに胸より高い鉄扉を跨ぐのは、決して容易いことではない。
あくまでドクオが普通なのだ。
(;'Aメ)「うぉ、とと……。うぅ、く、暗いな、すぐそこの様子もわからねー……」
地に足が着くと、老眼鏡を落とした年寄りのよろしく恐々と歩き出す。
無造作に突き出された両手とひょろ長い体躯が相まって、チープなゾンビ映画の登場人物のようだ。危なっかしい。
ヒートは何やらその様子に思いつくことがあったらしい。
音も立てずに走り出すと、ドクオに気付かれないように背後へと回る。
(;'Aメ)「ヒート? クー? おいおいどこだよ、すぐそこにいるんだろ? マジで見えねーんだよ」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 23:58:54.06 ID:Z+YVnSfKO
しえ
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 23:59:18.72 ID:zC/aW+p50
しえん
78 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:01:07.63 ID:DvyWaoAWO
焦るドクオが立ち止まったその時、
ノパ听)σ「つんつーん!」
突き出された人差し指が、弛緩し切っていた脇腹を刺す。
(゚Aメ)「ひゃおぅっ!!」
全身の毛を逆立てる。おまけに大絶叫。
ドクオは石のように直立不動のまま固まると、ぱたりと地に伏した。口は全開、目は白目を剥いている。
後に残るのはヒートの爆笑。
ノハ*;凵G)「ぶはははは! ふひ、今の、『ひゃおぅっ』だって! ぷははは、ぷひ、ぷひひ! カッコ悪ぅ!」
腹を抱えて大笑い。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:01:48.19 ID:lQiB1DHrO
支援
80 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:04:01.00 ID:DvyWaoAWO
覚醒したのか、むくりと起き上がるドクオの目に怒りの火が灯っていた。
彼は暗い所と幽霊の類がからっきしダメだ。
しかし、許すまじきはそれを知っての上で狼藉を働く幼馴染。
(#'Aメ)「ヒート! お前よくもやりやがったな!」
怒髪、天を突く。
大人げなくも、紅いポニーを目印に彼はヒートを追いかけ回した。
無論、彼女は捕まる気も悪いことをした気もない。相変わらず甲高い笑い声を止めぬまま、軽やかに闇を疾走する。
ノハ*;凵G)「ぶふぅ、ははははは! ダッせー! 昔、同じようなシュチエーションでオネショしたのを思い出したかー?」
(#゚Aメ)「テメー!! 言ってはならんことをおおお!!」
81 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:06:38.26 ID:DvyWaoAWO
ついにはJET竹刀を抜いて暴れ回る。酷いものだ。
しかし、紅い軌跡がふいっと視界から消えたかと思うと、突然ドクオの顔面が何かに衝突する。
勢い余って躓いてしまったらしいのだが、その何かのせいで怪我はせずに済んだようだ。
('Aメ)「あ痛たたた、とっと、何だこれ?」
右手を突き、それを頼りに体勢を立て直す。随分と柔らかいものだった。
開いた手にも収まりきらない程のサイズ。ゴム毬のような感触を、にぎにぎと確かめては訝しがる。
次第に、夜の濃さに目が慣れてきたのか。
川 ゚ -゚)
ドクオの眼の前にはクーがいた。
82 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:09:16.91 ID:DvyWaoAWO
('Aメ)「あれ、何だよ。すぐ近くにいたのかクーは――……」
改めて、手元を確かめる。
がっちりと。
どういうわけだかドクオにはさっぱりだったのだが、間違いない。
彼の五指はしっかとクーの胸を鷲掴みにしていた。
道着の上からでもたわわな形状が滲み出る、推定Eの文句なしの巨乳。
もう一度、にぎにぎ。
('Aメ)「やーらか……」
川#゚ -゚)「何を、しているか……っ!」
天地が回転する。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:09:19.41 ID:YBJqxQHX0
ドクオ・・・死んだな・・・
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:11:46.27 ID:ompNGB+rO
支援
85 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:12:00.26 ID:DvyWaoAWO
(゚Aメ)「ん、ぼぉあ!?」
頭から真っ逆さまに投げ落とされた。
首から変な音と、口から悲痛な呻き声を上げ、ドクオは奇怪なトーテムポールと化す。
痛々しいことこの上ない。
川#゚ -゚)「全く! 不埒この上なし、少し見損なったぞドクオ!」
(;'Aメ)「いや、だって今のは不可抗力――」
川#゚ -゚)「問答無用!」
ダメ押しにもう一撃。
打たれた蹴りが、地面から覗いてくる情けない顔を踏み潰す。
(゚Aメ)「あばっ?!」
痛みに悶絶。
土の上を転がりまくるドクオをほったらかし、肩を怒らせてクーはヒートの後を追った。
86 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:14:28.99 ID:DvyWaoAWO
ノパ听)「あれ、クー姉ぇ。ドクオは?」
川 ゚ -゚)「知らん。それより気を抜くな。ここは既に戦場――敵の気配はあるか?」
怒りに紅潮していた頬を、二三度の深呼吸で普段通りの色にまで戻す。
さすがというところだろう。切り替えの早さは凄まじい。
ノパ听)「んー……そうだな、まぁクー姉ぇよりは頼りにならんけど……」
ヒートは虚空に目を凝らし、耳をそばだて、鼻をひくつかせる。
研ぎ澄まされた五感と、戦闘経験からくる六感。それらをフル活用し、彼女は闇に潜む敵の気配を探り取る。
ノハ--)「……ハッキリしないが、視線は感じる」
長い睫毛を伏せ、瞼の内に感じる敵の視線。
その位置を探る。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:15:01.24 ID:lQiB1DHrO
しえん
88 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:17:07.34 ID:DvyWaoAWO
ノパ听)「どこだろうな? 窓から覗いているのかも。こんな暗い中で闘ったことないからよくワカンネ」
川 - _-)「なるほど、確かにいるな。だが私も同意見、よく分からん」
川 ゚ -゚)「まぁ、これだけ広い場所でなら、暗いとはいえ襲われてもある程度の対処は出来るだろう。ただ――」
ノパ听)「――弓使いが邪魔だな。しかも二人」
川 ゚ -゚)「明かりがないのはあちらも同じ。狙い撃ちはないだろうが、屋外に長居するのはよくない」
背後の様子を窺う。
フサギコに、顔を踏み潰されていたドクオも手伝い、今やっとハインが門を乗り越えた所だ。
荷物になるパソコンは傍の植木に隠しておいたらしい。土に汚れる白衣を叩いている。
89 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:19:28.89 ID:DvyWaoAWO
ノパ听)「呼んでくるわ」
川 ゚ -゚)「うむ、急ごう。行くなら正面玄関だ。あそこならまだ広さもあるし、奇襲には迎撃し易い」
三人の元へ駆け寄って行くヒートの背を眺め、クーは持参した腕時計に目を移す。
時刻は間もなく午前零時。
川 ゚ -゚) (ふむ……どうにも、嫌な予感が拭えんな)
肌寒い春の夜だというのに、彼女には珍しく額に一滴の汗が伝っていた。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:20:48.20 ID:ompNGB+rO
しえん
91 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:22:28.12 ID:DvyWaoAWO
* * *
(´<_` )「兄者、客だぜ。きっちり零時前だ」
弟者は声を上げた。
顔を覆う大きなゴーグルを押し上げる。赤いレンズが毒々しい、暗視ゴーグル。
ついさっきまで、そこに映し出されていたのは敵――ヒート軍団の姿だ。
(´<_` )「堂々としているぜ。正面玄関から乗り込んでくるとはな」
( ´_ゝ`)。゜「うおぉん、何だよぉ、まだ朝じゃないのかよお……」
(´<_` ;)「しっかりしろ兄者。ほらゴーグルを付けろよ」
( ´_ゝ`)。゜「え? なになに、ベーグル? 朝ご飯の時間?」
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:23:10.93 ID:WB0eJ/dK0
相変わらずの王道展開…だがそれがいい
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:23:24.22 ID:z+CvlU5XO
支援
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:23:41.51 ID:YBJqxQHX0
しえん
95 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:25:22.25 ID:DvyWaoAWO
(´<_` ;)「勘弁してくれ。ちゃんと指示通りに動かなきゃ、俺がセントジョーンズにどやされる」
( ´_ゝ`)。゜「分かったよ、ふぁぁ〜あぁ〜……」
一際、大きな欠伸を一つ。
むくりと起き上がる兄者は、天に伸び上がるが如く盛大な伸びをし、ゴーグルを装着する。
立ち上がった彼の背を、雲の切れ間から月光が穿つ。
剣のように鋭い三日月だ。
( ´_ゝ`)「はは、見ろよ弟者。天も俺達を手助けしてくれているぜ。こいつはゴーグルも不要かもな」
(´<_` )「何でもいいさ、始めようぜ兄者。戦いの火蓋を『射って』落とす――その役割を果たすのみ」
96 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:27:28.39 ID:DvyWaoAWO
――流石だよな、俺たち。
感嘆の声が漏れるほどの、酷似した声のトーン。
呟く二人のアーチャーはゆらりと、己らの得物を手に取る。既に双方、鷹の瞳は照準を合わせていた。
狙われる、跳ねっ毛の強い銀髪と丈の長い白衣。
弦は引き絞られる。
( ´_ゝ`)「「まずはお前だ、ハインリッヒ高岡」」(´<_` )
風は嘶き、魔弾が放たれた。
97 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:30:03.49 ID:DvyWaoAWO
* * *
川 ゚ -゚)「――――っ!!」
肌がざわめいた。
辺りが急に明るむ。真っ先に天を仰ぐクーは気付いた。月だ。
凍えるほどに鋭利な三日月が空に浮かんでいる。
それをバックに、東校舎屋上に二つの影が立ち上がっていた。
川;゚ -゚)「いかんっ!!」
弾かれるように疾走。
ハインたちに駆け寄っていたヒート
彼女の背にすぐさま追いつくと、襟首を引っ掴み後方へ投擲。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:32:33.05 ID:lQiB1DHrO
しえ
99 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:32:48.69 ID:DvyWaoAWO
ノハ;゚听)「どぅわっ!!」
彼女の着地を確かめる暇もなく、さらに加速した。
突然、目の前で起きた出来事にぽかんと口を開けているドクオ、フサギコ、そしてハイン。
三名のド真ん中に飛び込むや否や、クーは風車のように両碗を振り回す。
そして、吹き飛ばされた。
一瞬で三人もの人間を、それぞれ別方向にブン投げたのだ。
距離もまた半端ない。ゆうに十メートル近く、ハインはまだしもフサギコまで軽々と放物線を描いた。
从;゚∀从「何だっ!?」
ミ;,,゚Д゚彡「クー!! 何を――」
受け身を取る間もない。
空中に投げ出された者たちは声を上げる。
100 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:35:20.22 ID:DvyWaoAWO
しかし、全ては遅かった。
いくら超人的な能力を持つ素直クールでも、他人の安全を優先して縦横無尽に動けるわけがない。
川;゚ -゚) (マズい! 暗闇だと油断した、それに一手遅れ――)
貫通。
川; - )「ぅあっ!!」
回避しようと駆け出す一歩は手遅れ。突き出した右腕に深々と。
カーボンの矢が突き刺さる。
開くのは鮮血の花。
101 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:37:31.50 ID:DvyWaoAWO
('Aメ)「ク――――ッ!!」
うずくまる少女。
ほぼ反射的に。
吹き飛びながらドクオは、柄のチェーンを渾身の力で投げる。狙いはクーだ。
矢の突き刺さっていない方の腕に巻き付くと同時に、思いっ切り引き寄せた。
吹っ飛ぶ勢いも合わせ、クーの身体が弾丸の如く飛ぶ。
刹那、彼女のいた場所へ第二撃――木製の矢が深々と突き立った。
川; - )「う、おのれ……っ!」
(;'Aメ)「掴まれクー! 放すなっ!」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:40:02.65 ID:kjupJO2dO
wktk支援
103 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:40:23.67 ID:DvyWaoAWO
手繰り寄せる鎖と共にクーを空中で抱え、ドクオは背中から着地する。
砂煙を巻き上げ、受け身も取れぬままに。それでもクーを決して離さない。
最後まで彼女の身体を庇いながら地を滑り終えると、すぐさまに抱え上げた。
そして走り出す、最も近い建物へと。
正面玄関は遠すぎた。仕方なく、東校舎出入り口に向かう。
案の定、後を追うように彼らの足跡を矢の雨が貫いてゆく。
立ち止まれば狙い撃ち。躊躇すれば敗北。
('Aメ)「うおおぉおおあああああ――っ!!」
頭から扉へと体当たり。
強引に室内へと飛び込むドクオとクー。姿が見えなくなると同時に、敵の攻撃も止んだ。
しかし、終わりではない。狙う相手が変わっただけのこと。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:40:35.91 ID:NdMf9F4kO
関係ないが抗護のせいで
ダイオードは大きいイメージがあるな……
支援
105 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:43:07.58 ID:DvyWaoAWO
ノハ;゚听)「クー姉ぇえええ!! ドクオおおお!!」
ミ;,,゚Д゚彡「待て!! 追うなヒート!!」
思わず、東校舎へと走り出すヒートの前方へ、フサギコが回り込む。
体当たりで彼女の勢いを殺すと共に、細腰を抱え上げて逆方向へと遁走。
その背後に突き立つ、矢の雨霰。
ノハ#゚听)「離せ! クー姉ぇが、クー姉ぇが!!」
ミ;,,゚Д゚彡「クーはドクオに任せろ! それよりまずはここから脱出する! 中央校舎に行くぞ!」
106 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:45:29.40 ID:DvyWaoAWO
目指すは広い学園のド真ん中に鎮座する、中央校舎。
その入り口、正面玄関。
大股で地を揺らし、月明かりによって顕となった校庭に目を馳せる。
かなり離れた位置、西校舎の出入り口間近でうずくまっている白衣の少女。
フサギコは見つけた。ハインはまだ逃げれていない。
从;-∀从「うぅ……」
受け身に失敗したのか、白衣を土で真っ茶色に汚す彼女は頭を抱える。
ミ;,,゚Д゚彡「ハイ――ンっ!! 逃げろおおおお!!」
从;゚∀从「……くっ、やられた……敵は……」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:46:48.42 ID:YBJqxQHX0
しえ
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:47:43.80 ID:r6R12EdWO
支援
109 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:48:26.23 ID:DvyWaoAWO
ミ#,,゚Д゚彡「モタモタするなあああ――っ!! 西校舎に逃げ込め!!」
なんとか中央校舎に辿り着き、廂の下で矢の嵐から身を隠す二人。
フサギコは大声を上げ、遥か彼方で身動きを取れていないハインへと呼びかけた。
从;゚∀从そ 「――うぁっ?!」
ハインの目の前にカーボン矢が突き立つ。
深く突き刺さったその光景は凶悪。こんな物を生身に受けては、大怪我も免れない。
襲いかかる恐怖。
从;゚∀从「く、くそっ!!」
110 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:50:36.90 ID:DvyWaoAWO
白衣の裾を踏み付けてつんのめりながらも、彼女はドアに齧り付く。
しかし、ドアには施錠がされている。そして懐が軽い。
クーに投げられた時だ。スリングショット他、装備のほとんどを取り落としてしまった。
从;゚∀从 (爆薬があればこんなドア……!)
こうなっては仕方ない。
軽い体重が悲しさを引き立てる、精一杯の体当たりを繰り返した。
从#゚∀从「開け! 開きやがれ! クソ、クソっ!!」
肩が軋む、衝撃に跳ね返される。
それでも諦めない。今まさに背後の大地では、自分を蜂の巣にしようと迫っているのだ。
ここで立ち止まっては敗北しか待っていない。
111 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:53:07.83 ID:DvyWaoAWO
从#-∀从「開けよクソがあああ――っ!!」
大声を上げ、再度ブチかます。
神の気まぐれがそこにあったのか、一撃はドアの鍵を破壊。
勢い余って廊下に転げ入る。
コンマ一秒遅れて、ドアの前に数本の矢が音を立てて衝突する。
間一髪という奴だった。
112 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 00:55:30.46 ID:DvyWaoAWO
* * *
人影の消えた校庭を見下ろす二人は、納得の溜め息を漏らす。
( ´_ゝ`)「よし、分断完了だな」
(´<_` )「しかし、ハインリッヒ高岡を再起不能に出来なかったのは痛手だな」
( ´_ゝ`)「構わないさ。それはあくまで出来たらの話。分断された奴の息の根は、他のメンバーが確実に止める。
むしろ素直クールにダメージを与えたのはラッキーだ。何事もポジティヴにいこうぜ、弟者」
(´<_` )「どうだかな……とにかく俺は行くよ。兄者も所定の位置に。ゴーグルは忘れるな」
肩をすくめ、兄者はおどけて見せた。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:58:22.86 ID:lQiB1DHrO
しぇ
114 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 01:01:11.87 ID:DvyWaoAWO
いつの間にか、切れ味鋭い三日月は消えている。
分厚い雲に切れ間は見えない。まさに、一瞬の偶然から生まれた襲撃。
無論、彼らがそれを知っていたわけではない。
しかし、ヒートたちに不幸が訪れようが、セントジョーンズたちに勝利の流れが見えようが、
戦いが始まったことに変わりはない。
( ´_ゝ`)「あぁ、始めようぜ。狩りの時間だ」
不気味に微笑む兄者の表情も、また訪れる闇の中へと霞んでいった。
第十八話・終
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:03:06.69 ID:YBJqxQHX0
おつ!
116 :
◆q2DBIOsk9ijb :2009/06/23(火) 01:04:32.58 ID:DvyWaoAWO
今日の投下分はこれで終わりです ここまで支援・ROMしていただきありがとうございました
何か分かりにくかった点などありましたら質問などご自由にどうぞ
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:08:42.11 ID:ompNGB+rO
乙!
今日よかった
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:10:08.76 ID:WB0eJ/dK0
乙。次回も楽しみにしてる
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:13:53.28 ID:z+CvlU5XO
クーたんEカップ…ウッ
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙!!
面白かったよ